インターフェアリングフロートとは?トータル・フリーとの違いを計算つきでやさしく解説
ネットワーク工程表の勉強をしていると、トータルフロート・フリーフロート・インターフェアリングフロートという3つの言葉が出てきます。このうち最後のインターフェアリングフロートだけ、名前も長くて意味もつかみにくい、と感じる人が多いところです。
この記事は「ネットワーク工程表を見たこともない」という状態から読めるように書いています。フロートという言葉そのものから始めて、最後は過去問の形で解けるところまで進みます。数式は使いません。すべて言葉と数字の足し引きだけで説明します。
インターフェアリングフロートとは? ひとことで言うと
用語インターフェアリングフロート(干渉フロート)
その作業で使ってしまうと、あとに続く作業の余裕が減ってしまうタイプの余裕日数のこと。
計算は インターフェアリングフロート = トータルフロート − フリーフロート のひと言です。
なぜ「干渉」という名前がついているのか?
この余裕を使うと、自分は間に合っても次の作業の取り分を横取りしてしまうからです。他人の余裕に干渉する(邪魔をする)ので干渉フロートと呼ばれます。
そもそも「フロート」とは何なのか?
フロート(float)は、工程表の世界では「余裕の日数」という意味です。
例えば「この配管工事は4日で終わる。でも次の工事が始まるまで6日ある」という場面を考えてください。このとき2日ぶんの余裕があります。この2日がフロートです。
工事の現場では、雨が降ったり材料が遅れたりします。そのときに「この作業は何日までなら遅れても全体に影響がないのか」を知っておく必要があります。それを数字にしたものがフロートです。
用語ネットワーク工程表
工事の作業を矢印でつなげて、どの作業がどの順番か・どれとどれが同時に進むかを1枚にした図のこと。丸(イベント)と矢印(作業)でできています。
なぜ棒グラフではなくこの図を使うのか?
棒グラフ(バーチャート)だと「どの作業が遅れたら全体が遅れるのか」が分かりません。矢印でつなぐと、遅れが他のどこに伝わるかが目で追えるようになります。
3つのフロートのちがいを、同じ例で並べて見る
言葉の定義を3つ並べても頭に入りません。ひとつの具体例で3つとも計算してみます。
次のような場面を考えます。
例例にする場面
・作業Aは10日目から始められる状態になっている
・作業Aは4日かかる
・次の作業Bは、早ければ16日目から始められる
・ただし全体の工期から逆算すると、作業Aは遅くとも20日目までに終わっていればよい
まず「トータルフロート」を出す
用語トータルフロート(全余裕)
全体の工期を1日も延ばさないという条件で、その作業が使える最大の余裕のこと。
なぜ「全」余裕という名前なのか?
その作業が持っている余裕を1日も残さず全部使い切った場合の日数だからです。ただし使い切ると、あとの作業の余裕はゼロになります。
例トータルフロートの計算
ステップ1 いちばん早く終わる日を出す。
10日目に始めて4日かかるので、14日目に終わります。
ステップ2 いちばん遅くていい終わりの日を確認する。
問題文から20日目です。
ステップ3 引き算する。
20 − 14 = 6日 これがトータルフロートです。
次に「フリーフロート」を出す
用語フリーフロート(自由余裕)
あとに続く作業に一切迷惑をかけずに使える余裕のこと。
なぜ「自由」という名前なのか?
この範囲なら誰にも断らずに自由に使ってよいからです。使っても次の作業は予定どおり最も早い日に始められます。
例フリーフロートの計算
ステップ1 次の作業がいちばん早く始められる日を確認する。
問題文から16日目です。
ステップ2 自分がいちばん早く終わる日を確認する。
さきほど出した14日目です。
ステップ3 引き算する。
16 − 14 = 2日 これがフリーフロートです。
最後に「インターフェアリングフロート」を出す
例インターフェアリングフロートの計算
トータルフロートから、フリーフロートを引くだけです。
6 − 2 = 4日 これがインターフェアリングフロートです。
この4日が何を意味しているか、言葉にしてみます。
作業Aは全部で6日の余裕を持っています。そのうち2日までなら、次の作業に何の影響もありません。ところが3日目以降を使うと、次の作業Bの開始が後ろにずれます。Bにも余裕があるので全体の工期は守られますが、Bの余裕を削ったことになります。
この「使うとあとの人の余裕を削ってしまう」部分が4日ぶん。それがインターフェアリングフロートです。
覚える覚え方・語呂合わせ
「全(トータル)から自由(フリー)を引くと、干渉(インターフェアリング)が残る」
全部の余裕のうち、自由に使えるぶんを引いた残り=人に迷惑がかかるぶん、と覚えます。
順番も「トータル > フリー」で固定です。フリーがトータルより大きくなることは絶対にありません。
3つの関係を表で確認する
| 名前 | 意味 | 今回の例 | 使うとどうなるか |
|---|---|---|---|
| トータルフロート (全余裕) |
工期を延ばさない範囲で使える最大の余裕 | 6日 | 全部使うと、あとの作業の余裕がゼロになる |
| フリーフロート (自由余裕) |
あとの作業に影響しない余裕 | 2日 | 何も起きない。自由に使える |
| インターフェアリングフロート (干渉フロート) |
使うとあとの作業の余裕が減るぶん | 4日 | 工期は守られるが、次の作業の余裕が減る |
3つの数字には必ず次の関係があります。
トータルフロート = フリーフロート + インターフェアリングフロート
計算した答えがこの形になっていなければ、どこかで間違えています。検算に使ってください。
クリティカルパス上ではどうなるのか
用語クリティカルパス
クリティカルパスとは、工程表の中でいちばん時間がかかる道筋のこと。この道の上にある作業が1日でも遅れると、工事全体が1日遅れます。
なぜこの道すじだけ特別あつかいするのか?
他の道がどれだけ早く終わっても、いちばん長い道が終わらないと工事は終わらないからです。工期を縮めたいなら、この道の作業を短くするしかありません。
クリティカルパス上の作業は、トータルフロートが0日です。余裕がまったくありません。
トータルフロートが0なら、フリーフロートも0、インターフェアリングフロートも0になります。3つとも0です。「クリティカルパス上の作業はフロートがゼロ」という言い方は、この3つ全部を指しています。
試験ではどう出るのか
1級管工事施工管理技士・2級管工事施工管理技士の一次検定では、ネットワーク工程表の問題が毎年のように出ます。インターフェアリングフロートは、次の3つの形で聞かれます。
例出題される3つの形
形1 言葉の意味を問う
「インターフェアリングフロートとは、トータルフロートからフリーフロートを差し引いたものである」——これは正しい記述です。この形が基本になります。
形2 図から計算させる
工程表が与えられて「作業Dのインターフェアリングフロートは何日か」と聞かれます。トータルフロートとフリーフロートを両方出してから引きます。
形3 大小関係を問う
「フリーフロートはトータルフロートより大きくなることがある」——これは誤りです。必ずトータルフロート以下になります。
覚える覚え方・語呂合わせ
ひっかけは「フリーのほうが大きい」と書いてくる形です。
自由に使えるぶん(フリー)が、持っている全部(トータル)を超えるわけがない——財布の中身より多くは使えない、と考えれば間違えにくくなります。
よくある質問
インターフェアリングフロートを使っても、工期は延びないのですか?
延びません。トータルフロートの範囲内なので、全体の工期は守られます。ただしあとに続く作業の余裕が減ります。その作業でさらにトラブルが起きたとき、逃げ場がありません。実務では「使えるけれど、できれば残しておきたい余裕」という扱いになります。
フリーフロートが0で、トータルフロートが5日のときはどうなりますか?
インターフェアリングフロートは 5 − 0 = 5日です。つまり5日の余裕は全部「使うと次に影響が出る」タイプということになります。1日でも遅れたら次の作業の開始が後ろにずれます。
ディペンデントフロートという言葉も見かけました。別のものですか?
同じものです。インターフェアリングフロートは干渉フロートともディペンデントフロートとも呼ばれます。試験ではインターフェアリングフロートまたは干渉フロートという表記で出ることが多いようです。
計算を早くするコツはありますか?
工程表の丸(イベント)に最早開始時刻と最遅完了時刻(いちばん早く始められる日と、遅くとも終えるべき日)の2つの数字を先に全部書き込むことです。数字が全部そろっていれば、あとは引き算だけになります。図を見ながら1つずつ計算しようとすると、どこかで混乱しやすくなります。
まとめこの記事のまとめ
・インターフェアリングフロート=使うとあとの作業の余裕が減るタイプの余裕
・計算はトータルフロート − フリーフロートのひと言
・トータル = フリー + インターフェアリング が必ず成り立つ(検算に使える)
・クリティカルパス上では3つとも0
・ひっかけは「フリーのほうが大きい」——ありえません
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