この記事でわかること
令和6年度・1級管工事施工管理技士「1次検定 A①〜⑩」の問題と、初学者にもわかるやさしい解説です。出題分野は、水質・流体・熱力学・伝熱・地球環境・湿り空気・音などです。
問1
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次亜塩素酸ナトリウム(消毒剤)を水に入れたあと、残留塩素の濃度が時間とともにどう変わるかを表すグラフを選ぶ問題です。正解は(4)です。
残留塩素とは?
消毒のために水の中に残っている塩素のことです。水中の有機物などと反応して使われていくため、時間がたつほど少しずつ濃度は減っていきます。
入れた直後は反応する相手が多いため最初の数時間で急に減り、その後は反応する相手が少なくなってゆるやかに減っていきます。
この問題のまとめ
残留塩素は「最初に急減 → その後ゆるやかに減少」のカーブを描きます。この形に合う(4)が正解です。
問2
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水槽の穴から流れ出る水の速さが、水位を H から 3H にすると何倍になるかを問う問題です。正解は(1)の√3倍です。
トリチェリの定理とは?
水槽の穴から出る水の速さ ν は ν=√(2gH) で表せます(g=重力加速度、H=水面から穴までの高さ)。つまり速さは水位 H の「平方根」に比例します。
水位が H から 3H に増えると、速さは √H が √(3H)=√3×√H になるので、√3倍になります(3倍ではない点に注意)。
この問題のまとめ
流出速さは水位の平方根に比例(ν=√(2gH))。H→3H なら速さは√3倍。よって(1)が正解です。
問3
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ダクト内の全圧・静圧・損失から「速度圧」を求め、そこから空気の流速を計算する問題です。正解は(3)の10m/sです。
全圧・静圧・速度圧とは?
全圧=静圧+速度圧(さらに損失分)という関係があります。速度圧は空気の動きの勢いが生む圧力で、速度圧=½×空気密度×流速²で表せます。
① 速度圧を出す…全圧 − 静圧 − 損失 = 80 − 10 − 10 = 60Pa
② 流速の式に当てはめる…速度圧=½×密度×流速² なので 60 = ½×1.2×ν²
③ νを求める…ν² = 60 ÷ 0.6 = 100 → ν = 10m/s
この問題のまとめ
速度圧(60Pa)を「速度圧=½×密度×流速²」に当てはめると、流速 ν=10m/s。よって(3)が正解です。
問4
分野:流体重要度 ★★☆
流体に関する用語の組合せのうち、関係のないものはどれか。
(1)オリフィス ― 流量測定
(2)ジュコフスキーの式 ― 毛管現象
(4)ベルヌーイの定理 ― エネルギー保存の法則
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⭕(1)オリフィス ― 流量測定
正しい組合せです。
オリフィス(絞り)は、前後の圧力差から流量を測るのに使われます。
❌(2)ジュコフスキーの式 ― 毛管現象
関係のない組合せです。
ジュコフスキーの式は、水撃圧(ウォーターハンマー)を求める式です。
毛管現象(細い管を液体が上る、表面張力の現象)とは関係ありません。
⭕(3)レイノルズ数 ― 粘性力
正しい組合せです。
レイノルズ数は、慣性力と粘性力の比で表されます。
⭕(4)ベルヌーイの定理 ― エネルギー保存の法則
正しい組合せです。
ベルヌーイの定理は、流体のエネルギー保存を表したものです。
この問題のまとめ
この問題で関係のない組合せは(2)です。
ジュコフスキーの式は水撃圧の式で、毛管現象とは無関係です。
問5
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モリエ線図(冷凍サイクル)の各過程が、どの機器の働きに対応するかを問う問題です。正解は(1)です。
モリエ線図とは?
冷媒の状態(圧力と比エンタルピー=もっている熱)を表す線図です。冷凍サイクルの4つの過程(蒸発・圧縮・凝縮・膨張)が、線図上の動きとして読み取れます。
①→②=蒸発器…低圧のまま熱を吸う(冷媒が蒸発)
②→③=圧縮機…圧力を上げる
③→④=凝縮器…熱を放出する(冷媒が液化)
④→①=膨張弁…圧力を下げる(減圧)
この対応から、選択肢(1)の「①→②は蒸発器における変化」が正しいと分かります。
この問題のまとめ
モリエ線図では①→②=蒸発器/②→③=圧縮機/③→④=凝縮器/④→①=膨張弁。よって(1)が正解です。
問6
分野:熱力学重要度 ★★☆
カルノーサイクルに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)カルノーサイクルは、高温熱源と低温熱源の温度差が大きいほど効率が高くなる。
(2)等温膨張では、外部に熱量を放出し、等温圧縮では、外部から熱量を受け取る。
(3)断熱膨張では、気体の温度が低下し、断熱圧縮では、気体の温度が上昇する。
(4)カルノーサイクルの効率は、全ての熱機関の中で最大である。
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⭕(1)カルノーサイクルは、高温熱源と低温熱源の温度差が大きいほど効率が高くなる。
正しい記述です。
高温側と低温側の温度差が大きいほど、効率が高くなります。
❌(2)等温膨張では、外部に熱量を放出し、等温圧縮では、外部から熱量を受け取る。
逆で誤りです。
等温膨張では外部から熱を受け取り(吸熱)、等温圧縮では外部に熱を放出します。
⭕(3)断熱膨張では、気体の温度が低下し、断熱圧縮では、気体の温度が上昇する。
正しい記述です。
熱の出入りなしに膨張すると温度が下がり、圧縮すると温度が上がります。
⭕(4)カルノーサイクルの効率は、全ての熱機関の中で最大である。
正しい記述です。
同じ温度条件では、カルノーサイクルが理論上の最大効率です。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(2)です。
等温膨張では吸熱、等温圧縮では放熱です。
問7
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壁をはさんで片側の流体からもう片側の流体へ熱が伝わるときの「熱通過率 K」の式を選ぶ問題です。正解は(4)です。
熱通過率(K)とは?
壁をはさんで熱がどれだけ伝わりやすいかを表す値です。K が大きいほど熱がよく伝わり(=逃げやすく)、小さいほど断熱性が高いことになります。
熱抵抗とは?
熱の「伝わりにくさ」のことです。熱が順番に通り抜けるとき、各部分の熱抵抗は直列に足し算できます(電気抵抗の直列と同じ考え方)。
① 熱の通り道…流体1 → 壁の表面 → 壁の中 → 壁の表面 → 流体2 と一直線
② 熱抵抗を足す…1/α1(流体1側)+ L/λ(壁の中)+ 1/α2(流体2側)
③ 熱通過率はその逆数…K = 1 ÷(1/α1+L/λ+1/α2)
この問題のまとめ
熱抵抗は直列に足せるので合計は1/α1+L/λ+1/α2。熱通過率 K はその逆数。よって(4)が正解です。
問8
分野:地球環境・日射重要度 ★★☆
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)直達日射とは、太陽表面から直
接地上に到達する太陽放射をいう。
(2)日射のエネルギーは、紫外線部よりも赤外線部及び可視線部に多く含まれている。
(3)日射の大気透過率は、主に大気中に含まれる窒素の量に影響される。
(4)日射により加熱された地表から放射される赤外線の一部は、大気中の水蒸気、二酸化炭素等の温室効果ガスに吸収される。
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⭕(1)直達日射とは、太陽表面から直接地上に到達する太陽放射をいう。
正しい記述です。
大気で散乱されず、まっすぐ地上に届く日射が直達日射です。
⭕(2)日射のエネルギーは、紫外線部よりも赤外線部及び可視線部に多く含まれている。
正しい記述です。
日射のエネルギーは、紫外線部より可視部・赤外線部に多く含まれます。
❌(3)日射の大気透過率は、主に大気中に含まれる窒素の量に影響される。
「窒素の量に影響される」が誤りです。
日射の大気透過率は、主に大気中の水蒸気の量に影響されます。
水蒸気が多いほど日射は通りにくくなります。
⭕(4)日射により加熱された地表から放射される赤外線の一部は、大気中の水蒸気、二酸化炭素等の温室効果ガスに吸収される。
正しい記述です。
地表からの赤外線を温室効果ガスが吸収するのが、温室効果です。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(3)です。
日射の大気透過率は、水蒸気の量に影響されます。
問9
分野:湿り空気重要度 ★★★
湿り空気線図上の状態変化に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)除湿のない冷却は、状態点から湿り空気線図上の左へ、①の移動で示される。
(2)加湿のない加熱は、状態点から湿り空気線図上の右へ、②の移動で示される。
(3)蒸気スプレーによる加湿は、状態点から湿り空気線図上の左上へ、③の移動で示される。
(4)液体吸収剤による除湿は、状態点から湿り空気線図上の右下へ、④の移動で示される。
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⭕(1)除湿のない冷却は、状態点から湿り空気線図上の左へ、①の移動で示される。
正しい記述です。
結露しない範囲で冷やすと、絶対湿度は変わらず温度だけ下がるので、左へ移動します。
⭕(2)加湿のない加熱は、状態点から湿り空気線図上の右へ、②の移動で示される。
正しい記述です。
湿気を加えずに温めると、絶対湿度は変わらず温度だけ上がるので、右へ移動します。
❌(3)蒸気スプレーによる加湿は、状態点から湿り空気線図上の左上へ、③の移動で示される。
「左上へ」が誤りです。
蒸気スプレーによる加湿は、温度をほとんど変えずに水蒸気を加えるため、絶対湿度が増えて右上(上方向)へ移動します。
左上ではありません。
⭕(4)液体吸収剤による除湿は、状態点から湿り空気線図上の右下へ、④の移動で示される。
正しい記述です。
吸収剤による除湿は、絶対湿度が減り温度が上がるため、右下へ移動します。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(3)です。
蒸気スプレーによる加湿は、線図上で右上へ移動します。
問10
分野:音重要度 ★★☆
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)コインシデンス効果は、音波が壁に斜めに入射した場合に発生し、遮音性能が低下する現象のことである。
(2)ロックウールやグラスウールは、一般的に、低周波数域よりも中・高周波数域の音をよく吸収する。
(3)音圧レベル50dBの音を2つ合成すると、約53dBになる。
(4)NC曲線で示される音圧レベルの許容値は、周波数が高いほど大きい。
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⭕(1)コインシデンス効果は、音波が壁に斜めに入射した場合に発生し、遮音性能が低下する現象のことである。
正しい記述です。
音が斜めに当たると壁が共振し、遮音性能が落ちる現象です。
⭕(2)ロックウールやグラスウールは、一般的に、低周波数域よりも中・高周波数域の音をよく吸収する。
正しい記述です。
繊維系の吸音材は、中・高音をよく吸収します。
⭕(3)音圧レベル50dBの音を2つ合成すると、約53dBになる。
正しい記述です。
同じ大きさの音を2つ合わせると、約3dB大きくなります(50→約53dB)。
❌(4)NC曲線で示される音圧レベルの許容値は、周波数が高いほど大きい。
「周波数が高いほど大きい」が誤りです。
NC曲線の許容値は、周波数が高いほど小さくなります。
高い音ほど耳ざわりに感じるため、許容値を厳しくしています。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(4)です。
NC曲線の許容値は、周波数が高いほど小さくなります。
この10問の要点(直前チェック用)
- 問1:次亜塩素酸ナトリウムは、時間とともに減少する(最初急減→ゆるやか)
- 問2:穴からの流出速度は水位の平方根に比例(H→3Hで√3倍)
- 問3:B点の流速は10m/s(速度圧60Pa=½ρν²から)
- 問4:ジュコフスキーの式は水撃圧の式(毛管現象とは無関係)
- 問5:①→②蒸発器、②→③圧縮機、③→④凝縮器、④→①膨張弁
- 問6:等温膨張では吸熱、等温圧縮では放熱
- 問7:熱通過率K=1÷(1/α1+L/λ+1/α2)
- 問8:日射の大気透過率は、水蒸気の量に影響される
- 問9:蒸気スプレーによる加湿は、線図上で右上へ移動する
- 問10:NC曲線の許容値は、周波数が高いほど小さい
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