山積みは、工程表をもとに毎日何人が必要かを積み上げて見える形にすることです。山崩しは、その山のでこぼこを平らにならす作業を指します。試験では用語の意味として出ることが多いでしょう。「配員計画」「人員の平準化」「マンパワースケジューリング」という言葉とセットで問われるのが定番です。この記事では、小さな工程表を1つ使って、山積みから山崩しまでを実際に手で解いてみましょう。

山積み・山崩しとは?

山積み=各作業に必要な人数を日ごとに足し合わせて、人数の山をつくること。山崩し=余裕のある作業をずらして、日ごとの人数の差を小さくすること。

💡 なぜ? 人数が日によって大きく変わると、人を集めたり帰したりする手間とむだが増えるから。山を平らにすれば、同じ人数で毎日安定して工事を進められます。

そもそも、なぜ人数をならす必要があるのか

でこぼこに積まれたブロックの山を、平らにならしていく様子を表したイメージ図
でこぼこの山を、余裕のある作業を動かして平らにします。

工事の現場では、職人さんを日ごとに手配するのが普通です。ある日は7人必要で、別の日は3人で足りる——こんな計画だと、7人の日に合わせて人を集めることになりがちです。

すると3人で足りる日には4人が手待ちになり、そのぶんの人件費がむだになります。逆に、日ごとに人を入れ替えると、段取りや移動の手間がかかるのです。

人数がでこぼこだと困ること

①最大人数に合わせて人を確保するので、少ない日に人が余る

②人の出入りが多くなり、段取り・引き継ぎ・安全教育の手間が増える

③宿舎や車両、道具なども最大人数ぶん用意しなければならない

そこで、工期は変えずに、作業の始める日をずらして人数をならします。これが山崩しで、全体の計画を配員計画(マンパワースケジューリング)と呼ぶのです。

💡 覚え方

「積んでから、崩す」の順番です。まず山積みで山の形を見る。次に山崩しで高いところを低いところへ移す。砂場で山をならす動きと同じで、砂(人数)の合計は変わらないのがポイントです。

例題:4つの作業で山積み表をつくる

ここからは、次の4つの作業だけの小さな工事で考えます。工期は7日で、この7日は延ばさない条件です。

作業 日数 1日に必要な人数 順番の決まり
A 3日 4人 最初に始める
B 4日 3人 Aが終わってから
C 2日 3人 最初から始められる
D 2日 2人 Cが終わってから

まず、どれがクリティカルパスかを確かめる

A→Bの道は、3日+4日=7日かかります。C→Dの道は、2日+2日=4日です。

いちばん長いのはA→Bの7日なので、ここがクリティカルパス(工期を決める道)になります。AとBは1日も動かせない作業だと分かりました。

一方のC→Dは4日で終わるので、7日の工期のなかで3日の余裕があります。この余裕をトータルフロートと呼び、CとDはこの範囲で動かせるのです。

👉 クリティカルパスとフロートの求め方はこちら

【超かんたん!】ネットワーク工程表の解き方を完全解説

手順1:全部「いちばん早く」始めて山積みする

最初は、すべての作業を始められる日にすぐ始めると考えます。Aは1〜3日目、Bは4〜7日目、Cは1〜2日目、Dは3〜4日目です。

山積み表(全部いちばん早く始めた場合)

作業 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目
A 4人 4人 4人 - - - -
B - - - 3人 3人 3人 3人
C 3人 3人 - - - - -
D - - 2人 2人 - - -
1日の合計 7人 7人 6人 5人 3人 3人 3人

青=クリティカルパスの作業(動かせない)/橙=余裕のある作業(動かせる)/赤字=いちばん人数が多い日

日ごとの人数の足し算

1日目=A4人+C3人=7人

2日目=A4人+C3人=7人

3日目=A4人+D2人=6人

4日目=B3人+D2人=5人

5〜7日目=B3人だけ=3人

前半に7人の山があり、後半は3人の谷です。このままだと7人を集めて、後半の3日間は4人が余る計画です。

手順2:のべ人数と、目標の高さを出す

山崩しの前に、工事全体で何人ぶんの仕事があるかを数えておきます。これをのべ人数(人・日)といい、「人数×日数」の合計で表すものです。

のべ人数の計算

A=4人×3日=12人・日

B=3人×4日=12人・日

C=3人×2日=6人・日

D=2人×2日=4人・日

合計=12+12+6+4=34人・日

1日あたりの平均=34÷7日=約4.9人

34人・日とは、「1人が34日働くのと同じ量の仕事」という意味です。平均は約4.9人なので、どの日も5人前後にできれば理想の平らな山になります。

🤔 山崩しをすると、のべ人数は減るのですか。

減りません。作業の中身は同じで、やる日をずらすだけだからです。変わるのは日ごとの配り方で、砂場の砂の量が変わらないのと同じです。

手順3:余裕のある作業を後ろへずらす

動かしてよいのはCとDだけです。AとBはクリティカルパスなので、ずらすと工期が延びてしまうのです。

CとDを人数の少ない後半へ移してみます。ただしDはCが終わってからという順番は守らなければなりません。そこでCを4〜5日目、Dを6〜7日目にします。

山崩しをしたあとの山積み表

作業 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目
A 4人 4人 4人 - - - -
B - - - 3人 3人 3人 3人
C - - - 3人 3人 - -
D - - - - - 2人 2人
1日の合計 4人 4人 4人 6人 6人 5人 5人

青=クリティカルパスの作業(動かせない)/橙=余裕のある作業(動かせる)/赤字=いちばん人数が多い日

山崩しのあとの人数

1〜3日目=Aだけ=4人

4〜5日目=B3人+C3人=6人

6〜7日目=B3人+D2人=5人

合計=4×3+6×2+5×2=34人・日(変わっていない)

いちばん多い日が7人から6人に下がりました。少ない日も3人から4人に上がり、山と谷の差が4人から2人に縮まっています。

🤔 前へずらすのではなく、なぜ後ろへずらしたのですか。

例題では、CとDはいちばん早い日に置いた状態から始めました。そこより前には動かせないので、動かせる向きは後ろだけです。実際の工事でも、余裕のある作業は後ろへ回すことで谷を埋める場合が多くなります。ただし後ろへ寄せすぎると余裕を使い切って、その作業も遅れられなくなる点には注意が必要です。

手順4:もっと平らにできないか確かめる

平均は約4.9人なので、最大を5人にできないかも考えてみます。1〜3日目はAの4人がいるので、3人のCも2人のDも足すと5人を超えてしまうのです。

すると、残りの4日間でB・C・Dの22人・日をこなさなければなりません。22÷4=5.5人なので、どこかで6人の日がどうしても出ます。つまりこの例では、最大6人がいちばん平らな形です。

💡 覚え方

山崩しは「谷を探して、余裕のある作業を流し込む」作業です。動かせるのはフロートのある作業だけ、動かせる範囲はフロートの日数まで。この2つを守れば、工期は延びません。

練習問題:自分で山崩ししてみよう

同じ考え方で、数字だけ変えた問題を1つ解いてみましょう。工期は6日で、延ばさないものとします。

作業 日数 1日に必要な人数 順番の決まり
P 2日 3人 最初に始める
Q 4日 2人 Pが終わってから
R 2日 2人 いつ始めてもよい(6日目までに終わる)

問い:いちばん人数が多い日を、何人まで下げられるでしょうか。

答えの出し方

①クリティカルパス=P→Q(2日+4日=6日)。PとQは動かせない

②Rは2日で終わるので、余裕は6−2=4日

③全部いちばん早く始めると、1〜2日目=P3人+R2人=5人、3〜6日目=Q2人

④のべ人数=3×2+2×4+2×2=18人・日。平均=18÷6=3人

⑤Rを3〜4日目へずらすと、1〜2日目=3人、3〜4日目=Q2人+R2人=4人、5〜6日目=2人

答えは4人です。1〜2日目はPの3人がいるので、Rの2人を足すと5人になってしまいます。3日目以降はQの2人にRの2人が乗るので、4人より下にはできないのです。

Rを5〜6日目に置いても最大は4人になります。答えの置き方は1つとは限らないので、「最大人数がいちばん小さくなるか」で判断してください。

山崩しの手順(どんな問題でも同じ)

①工程表からクリティカルパスとフロートを出す

②全部いちばん早く始めた形で山積みする

③のべ人数と1日の平均を出し、目標の高さを決める

④谷の日へ、フロートのある作業をずらして流し込む

⑤順番の決まりと工期が守れているかを確かめる

山崩しで守る3つのルール

例題で使った考え方を、ルールとしてまとめると次の3つになります。

ルール1:クリティカルパスの作業は動かさない

クリティカルパス上の作業は余裕が0日です。1日でもずらすと工期がそのまま1日延びるので、山崩しでは動かしません。

ルール2:動かすのはフロートの範囲まで

余裕のある作業でも、トータルフロートを超えてずらすと工期が延びます。例題のC→Dは余裕3日だったので、3日後ろまでが動かせる範囲でした。

ルール3:作業の順番の決まりは崩さない

DはCが終わってから、のような前後関係はそのまま守ります。Cより先にDを置くと、工程表として成り立たないからです。

⚠ 注意

フリーフロートの範囲でずらすと、あとに続く作業には影響しません。フリーフロートを超えてトータルフロートの範囲でずらすと、工期は守れても後ろの作業の余裕が減ります。例題でCを3日ずらしたとき、Dも一緒に後ろへ動いたのはこのためです。

試験ではこう出る

1級・2級管工事の一次検定では、工程管理の用語問題の選択肢の1つとして出ることが多いです。計算まで求められることは少なく、言葉の意味が正しいかどうかを判断します。

よくある記述 判断
配員計画において、割り付けた人員の不均衡の平滑化を図ることを山崩しという 正しい
配員計画とは、作業人数を調整して人員の平準化を図ることで、マンパワースケジューリングともいう 正しい
山積みとは、各作業の必要人数を日ごとに積み上げて表すことである 正しい
山崩しでは、クリティカルパス上の作業を優先して移動させる 誤り。動かすのは余裕のある作業
山崩しを行うと、工事全体ののべ人数が減る 誤り。配り方が変わるだけ

同じ問題には、フォローアップやクラッシュタイムも並ぶことが多いでしょう。工程管理の用語はまとめて覚えておくと得点しやすくなります。

用語 意味
フォローアップ 工期の途中で計画をチェックし、実際の進み具合に合わせて調整すること
クラッシュタイム(特急作業時間) 標準の作業時間を限界まで短くしたときの時間
配員計画(マンパワースケジューリング) 作業人数を調整して人員を平準化する計画
山崩し 割り付けた人員のでこぼこを平らにすること

よくある質問

Q. 山崩しをすると工期は延びますか。

A. フロートの範囲で動かす限り、延びません。クリティカルパスの作業を動かしたり、フロートを超えてずらしたりすると延びるので注意してください。人数をどうしても抑えたいときに、あえて工期を延ばして平らにする考え方もあります。

Q. 山積み表はどんな形で書くのですか。

A. 横軸に日、縦軸に人数をとった棒グラフで描くのが一般的です。この記事の表を縦に積み上げたものと考えてください。積み上がった形が山のように見えるので、山積みと呼ばれます。

Q. 工期を延ばしてでも人数を抑えることはありますか。

A. はい。集められる人数に上限があるときは、その上限を超えないように作業を並べ直し、結果として工期が延びることもあります。試験で問われやすいのは、工期を変えずにならす基本の形です。

Q. 「人・日」という単位がよく分かりません。

A. 1人が1日働いた量を「1人・日」と数えます。3人で2日かかる作業なら3×2=6人・日です。同じ6人・日でも、6人で1日や2人で3日のように、配り方はいろいろです。山崩しは、この配り方を工夫する作業だといえます。

Q. 人数以外にも山積みはしますか。

A. はい。クレーンなどの機械の台数や、材料の搬入量も同じように積み上げて、平らにならすことがあります。考え方は人数のときとまったく同じです。

まとめ

・山積み=日ごとの必要人数を積み上げて山の形にする

・山崩し=余裕のある作業をずらして、人数のでこぼこを平らにする

・動かせるのはフロートのある作業だけ。クリティカルパスは動かさない

・のべ人数(人・日)は変わらない。変わるのは日ごとの配り方

・配員計画=マンパワースケジューリング=人員の平準化