結論からいうと、「湿球温度(しっきゅうおんど)」は、温度計の球の部分を濡れたガーゼで包み、風を当てたときに示す温度のことです。水が蒸発するときに熱を奪う(気化熱)ので、ふつうの気温(乾球温度)より低くなります。空気の“乾き具合”がこの温度に表れる、空調でとても大事な指標です。図解でやさしく解説します。

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湿球温度ってなに?

ふつうの温度計が示す気温を乾球温度(かんきゅうおんど)といいます。これに対して、温度計の球を濡れたガーゼで包んで風を当てると、ガーゼの水が蒸発するときにまわりから熱を奪う(気化熱)ため、温度計は少し低い値を示します。

この蒸発で冷えた温度が湿球温度です。空気が乾いているほど水はよく蒸発するので、湿球温度はより低くなります。

湿球温度:ぬれた布で包んだ温度計の温度ぬれた布の水が蒸発するとき熱をうばうので、湿球は乾球より低くなります。乾球温度(高い)ふつうの温度計湿球温度(低い)ぬれた布で包む蒸発で冷える乾球と湿球の差が大きいほど、空気は乾いている
ぬれた布を巻いた温度計は、水が蒸発するとき熱をうばうため、乾いた温度計より低くなります(湿球温度)。

📘 湿球温度とは?

濡らした感温部に風を当て、水の蒸発で冷えた状態で測る温度。乾球温度との差(乾球温度−湿球温度)が大きいほど空気は乾いており、差がゼロ=湿度100%(飽和)を意味します。

なぜ濡らすと温度が下がるの?

湿球温度(蒸発で温度が下がる)のイメージ

🔧 🤔 汗をかくと涼しいのと同じしくみ

夏に汗をかいて風に当たると涼しく感じますよね。あれは汗(水)が蒸発するときに体の熱を奪っていくからです。

湿球温度もまったく同じで、ガーゼの水が蒸発して温度計を冷やしています。そして乾いた日ほど汗がよく乾いて涼しいのと同じく、空気が乾いているほど湿球温度は大きく下がるのです。

💡 たとえ:打ち水

夏の打ち水も同じ原理です。まいた水が蒸発するときに地面や空気の熱を奪うので、あたりが少し涼しくなります。

「水が蒸発する=まわりが冷える」——これが湿球温度の正体です。

露点温度・乾球温度との違い

まぎらわしい3つの温度を整理しましょう。乾球温度はふつうの気温、露点温度は冷やして結露し始める温度、そして湿球温度は蒸発で冷やせる限界の温度です。

同じ空気では「露点温度 ≦ 湿球温度 ≦ 乾球温度」の順に並び、湿度100%のときは3つともぴったり同じになります。

3つの温度の並び(同じ空気のとき)ふつう「露点 ≤ 湿球 ≤ 乾球」の順。乾いた空気ほど差が開きます。低い高い露点温度湿球温度乾球温度湿度100%(飽和)では3つが同じ温度になる
同じ空気では、いつも 乾球温度 ≧ 湿球温度 ≧ 露点温度 の順に並びます。

⚠️ 湿球温度は乾球温度より高くならない

湿球温度は必ず乾球温度以下です(蒸発で冷えるので高くはなりません)。また露点温度とは別もので、露点は「冷やして結露する温度」、湿球は「蒸発で冷やせる限界」です。

混同しやすいので注意しましょう。

なぜ設備で大事なの?

🔧 現場での使いどころ:冷却塔の冷却限界

湿球温度がもっとも効いてくるのが冷却塔(クーリングタワー)です。冷却塔は水を蒸発させて残りの水を冷やす装置なので、出口の水温は、原理的にその場所の湿球温度までしか下がりません(これを冷却限界といいます)。

だから冷却塔の能力を見積もるときは、気温(乾球温度)ではなく湿球温度を基準にします。また温度と湿度をまとめて読む湿り空気線図でも、湿球温度は重要な読み取り線になっています。

冷却塔(クーリングタワー)とは?水を冷やす仕組みを初心者にもやさしく図解👉 くわしく知りたい方はこちら冷却塔(クーリングタワー)とは?水を冷やす仕組みを初心者にもやさしく図解

試験で問われるポイント

  • 湿球温度=濡らした感温部を蒸発で冷やした温度。気化熱で乾球温度より低い。
  • 乾球温度−湿球温度が大きい=乾燥、差ゼロ=湿度100%
  • 露点温度 ≦ 湿球温度 ≦ 乾球温度。湿度100%で一致。
  • 冷却塔の冷却限界は湿球温度。湿り空気線図の基本量。

湿球温度・乾球温度・冷却塔の冷却限界は空調分野の頻出テーマです。過去問で確認しましょう。

過去問解説(1級管工事)を見る →

✅ この記事のまとめ

  • 湿球温度=濡れた温度計が蒸発で冷えて示す温度(気化熱で下がる)。
  • 空気が乾いているほど湿球温度は低く、湿度100%で乾球温度と一致
  • 同じ空気では露点温度 ≦ 湿球温度 ≦ 乾球温度
  • 汗・打ち水と同じ「水が蒸発するとまわりが冷える」しくみ。
  • 冷却塔の冷却限界=湿球温度。能力計算の基準になる。

よくある質問(FAQ)

Q. 湿球温度はなぜ乾球温度より低いの?

A. ガーゼの水が蒸発するときに熱を奪う(気化熱)ので、その分だけ温度計が冷やされるためです。

Q. 乾球温度と湿球温度が同じになるのはどんなとき?

A. 湿度100%(飽和)のときです。水がそれ以上蒸発できないため、蒸発による冷却が起きません。

Q. 露点温度と湿球温度はどう違う?

A. 露点は冷やして結露し始める温度、湿球は蒸発で冷やせる限界の温度です。露点≦湿球の関係になります。

Q. なぜ冷却塔で湿球温度が大事なの?

A. 冷却塔は蒸発で冷やすため、水温は湿球温度までしか下がらないからです(冷却限界)。

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