ダクトとは?空気を運ぶ仕組みと種類(長方形・スパイラル・フレキ)を初心者にもやさしく図解
オフィスや店舗の天井を見上げると、四角い吹出口から風が出ています。その風は、天井裏にかくれたダクトという空気の通り道を通って運ばれてきたものです。この記事では、ダクトの役割から長方形・スパイラル・フレキシブルの3種類の使い分け、試験に出るアスペクト比まで、図解でやさしく解説します。
ダクトとは?
空調や換気の空気を運ぶための管(風道)。おもに亜鉛めっき鋼板などの薄い鉄板で作られる。
💡 なぜ? 空気をつくる機械(空調機)は機械室や天井裏にあり、部屋から離れている。きれいな空気・冷えた空気を離れた部屋まで届ける道が必要だから。
ダクトの役割:空気を部屋まで届ける
空調のしくみは「空気の宅配便」にたとえると分かりやすいです。AHU(空調機)が荷物(きれいで温度のよい空気)を用意し、ダクトという道路を通って、吹出口という玄関から各部屋へ届けます。
届けるだけでなく、部屋の空気を回収してAHUへもどす還気(RA)ダクトや、外の空気を取り入れる外気(OA)ダクト、汚れた空気を捨てる排気(EA)ダクトもあります。行きと帰りがセットで、空気がぐるぐる循環しているのがポイントです。
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ダクトの種類と使い分け
ダクトは断面の形と作り方で、大きく3種類に分かれます。それぞれ得意な場面がちがうので、「本管は長方形かスパイラル、最後のつなぎはフレキ」という役割分担で覚えましょう。
① 長方形(矩形)ダクト
鉄板を折り曲げて作る四角い断面のダクトです。天井裏は高さがせまいことが多いため、幅を広く・高さを低くと寸法を自由に選べる長方形ダクトは、大きな風量を運ぶ本管でよく使われます。つなぎ目はフランジという枠どうしをボルトでしめて接続します。
⭕ 寸法(幅×高さ)を現場に合わせて自由に作れる
⭕ 大風量の本管に向く
❌ 製作に手間がかかる
❌ 平べったくしすぎると摩擦が増える(後述のアスペクト比)
② スパイラルダクト
帯状の鉄板をらせん状にくるくる巻いて作る丸いダクトです。らせんの継ぎ目は甲(こう)はぜと呼ばれるはぜ組みで、この継ぎ目が補強の役目もするため丈夫で、空気がもれにくいのが特長です。工場で量産できて価格も手ごろなので、中小風量の配管に広く使われます。
⭕ 甲はぜが補強になり強度が高い
⭕ 気密性がよく空気がもれにくい
⭕ 工場で量産でき経済的
❌ 丸い断面なので、せまい天井裏では場所をとることがある
③ フレキシブルダクト
じゃばら状で自由に曲げられるダクトです。本管から吹出口までの最後のひと曲がりなど、位置の微調整が必要な接続部分で活躍します。
⚠ 注意
フレキシブルダクトは内面がでこぼこしているため空気の抵抗が大きく、つぶれたり急に曲げたりすると風量が大きく落ちます。長く引き回さず、できるだけ短く使うのが原則です。
試験でのポイント:アスペクト比
アスペクト比とは?
長方形ダクトの長辺÷短辺の値。4以下が望ましいとされる。
💡 なぜ? 断面積(=運べる空気の量)が同じでも、平べったい形ほどまわりの長さが長くなる。空気と壁がこすれる面積が増えて圧力損失(抵抗)が増え、材料も多く必要になるから。
上の図のように、同じ断面積なら正方形や円に近い形ほど得です。とはいえ天井裏の高さには限りがあるので、「なるべく正方形に近づけつつ、アスペクト比4以下におさえる」が実務のバランスになります。
💡 覚え方
「平べったいダクトは損」とイメージしましょう。同じ量の空気を運ぶのに、平べったいほど壁との「こすれ」が増えてファンの力がムダになります。円がいちばん効率がよく、正方形、細長い長方形の順に損になっていきます。
ほかにも問われるポイント
① ダクトの曲がり(エルボ)はゆるやかに。急な曲がりは抵抗と騒音のもと
② 風速を上げると小さいダクトで済むが、騒音と抵抗が増える
③ 冷たい空気を送るダクトは結露防止の保温が必要
④ 防火区画を貫通する部分には防火ダンパーを設ける
🤔 なぜ丸いダクトがいちばん効率がよいの?
同じ断面積で比べると、円はまわりの長さがいちばん短い形だからです。空気の抵抗は壁とこすれる面積で決まるので、まわりが短い円は抵抗がいちばん小さく、同じ鉄板の量でいちばん多くの空気を運べます。スパイラルダクトが好んで使われる理由のひとつです。
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よくある質問
Q. ダクトの材料には何が使われますか?
A. もっとも一般的なのは亜鉛めっき鋼板です。さびに強く加工しやすいためです。厨房の排気など湿気や油をふくむ空気にはステンレス鋼板、屋外や特殊な環境ではガルバリウム鋼板や塩ビコーティング鋼板なども使われます。
Q. ダクトの保温はなぜ必要なのですか?
A. 夏に冷たい空気を送ると、ダクトの表面が天井裏の湿った空気に冷やされて結露し、天井にシミを作ってしまうからです。また、せっかく冷やした(温めた)空気の熱がにげるのを防ぐ省エネの目的もあります。
Q. 風量が同じなら、ダクトは大きいほうがよいのですか?
A. 抵抗の面では大きいほど有利ですが、材料費と天井裏のスペースが増えてしまいます。一般に低速ダクトでは風速10m/s程度以下を目安に、抵抗・騒音・コストのバランスで寸法を決めます。
まとめ
・ダクト=空気を部屋まで運ぶ通り道。行き(給気)と帰り(還気)で循環する
・長方形=本管・寸法自由/スパイラル=丈夫で気密よし/フレキ=最後の接続だけ短く
・アスペクト比(長辺÷短辺)は4以下。平べったいほど摩擦と材料で損
・冷風ダクトは保温で結露防止、防火区画の貫通部には防火ダンパー
