【第二種電気工事士】オームの法則と直列・並列をゼロから解説
第二種電気工事士の勉強を始めると、いきなり「合成抵抗」「オームの法則」といった言葉が出てきます。計算問題の多くはこの2つを土台にしているので、最初にしっかり押さえておきたいところです。
この記事は、電気をまったく知らない人向けです。電圧・電流・抵抗の3つから順に、例え話を使って説明していきます。読み終えるころには、過去問の計算問題に取り組む土台ができていることでしょう。
まず、電気を「水の流れ」に例える

電気は目に見えません。そのため昔から、水の流れに例えて理解する方法が使われてきました。この記事でも、最後までこの例えで説明します。
覚える水に例えると
電圧 … 水を押し出す圧力。ポンプの強さ。単位はV(ボルト)
電流 … 実際に流れている水の量。単位はA(アンペア)
抵抗 … ホースの詰まり具合。流れにくさ。単位はΩ(オーム)
圧力が強いほど水はたくさん流れ、詰まりが多いほど流れにくくなる。電気の世界でも、これとまったく同じことが起きています。
電圧(V)とは
電圧とは、電気を押し出す力のことです。単位にはV(ボルト)を使います。
例身近な電圧
家庭用コンセントは100V、エアコンやIHクッキングヒーターは200Vが一般的です。身近な乾電池は1.5Vしかありません。
なぜ?なぜ大きな機器は200Vを使うのか?
電気が行う仕事の大きさ(電力といいます)は、電圧 × 電流で決まります(第2回で詳しく扱います)。電圧を2倍にすれば、同じ仕事を半分の電流でこなせるわけです。電流が少ないほど電線は熱くなりにくいので、たくさんの電気を使う機器ほど200Vが向いています。
例1000Wの機器で、100Vと200Vを比べる
電流は電力 ÷ 電圧で求められます(電力=電圧 × 電流の形を変えたもの)。
100Vで使う場合 … 1000 ÷ 100 = 10A
200Vで使う場合 … 1000 ÷ 200 = 5A
同じ1000Wの仕事なのに、200Vなら電流は半分ですみます。
注意それなら、何でも電圧を高くすればよいのか?
そうではありません。電圧が高いほど、感電したときの危険は大きくなります。
そのため家庭では、ふだん使うコンセントは100V、エアコンやIHクッキングヒーターのような大きな機器だけ200V、と使い分けています。
冒頭の図では、電圧を給水タンクの高さに例えました。ここを、もう少しだけ詳しく見ておきましょう。
高い所にある給水タンクから蛇口まで管をつなぐと、水は勢いよく出てきます。タンクが高い所にあるほど、水を押し出す力は強くなります。反対に、タンクと蛇口が同じ高さなら、水はほとんど出てきません。
つまり水を押し出しているのは、タンクと蛇口の「高さの差」です。電圧もこれと同じで、電気を押し出す「差」の大きさを表しています。家庭用コンセントの100Vとは、「100Vぶんの差で電気を押し出せる」という意味です。
電流(A)とは
電流とは、実際に流れている電気の量のことです。単位にはA(アンペア)を使います。
例身近な電流
家庭のブレーカー(電気を自動で止める装置)は、20Aで切れるものが一般的です。電子レンジは、1台で15Aほど使います。
なぜ?なぜブレーカーが切れるのか?
電流が大きいほど、電線は熱くなります。熱くなりすぎると火事の原因になるため、電線が耐えられる量を超える前に電気を止める。それがブレーカーの役目です。
抵抗(Ω)とは
抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位にはΩ(オーム)を使い、数字が大きいほど電気は流れにくくなります。
覚える抵抗の大きさは3つで決まる
長さ … 長いほど抵抗は大きい(比例)
太さ(断面積) … 太いほど抵抗は小さい(反比例)
材質 … 金属の種類による流れにくさ(抵抗率)
なぜ?なぜ長さと太さで抵抗が変わるのか?
ホースで考えると分かりやすいでしょう。ホースが長いほど水は流れにくく、太いほど流れやすくなります。材質の違いは、ホースの内側がザラザラかツルツルかの違いにあたります。
ここで、試験で役に立つ話を1つ紹介しましょう。「太さ」の考え方です。
用語断面積(だんめんせき)とは?
電線をスパッと切ったときの、切り口の面積のことです。切り口は丸いので、面積は直径 × 直径に比例します(円の面積の公式から来ています)。
直径が2倍になると、どうなる?
切り口の面積は2 × 2 = 4倍になります。面積が4倍なら電気の通り道も4倍に広がるので、抵抗は4分の1になります。
試験の問題では、電線の太さはたいてい「直径1.6mm」「直径2.0mm」のように直径で書かれるのが一般的です。そのため、抵抗は断面積に反比例する=直径の2乗に反比例する、という関係を覚えておくと計算が速くなります。直径が2倍なら抵抗は4分の1、と考えればよいわけです。
例数字で確かめる:直径1mm・8Ωの電線を、直径2mmに替えると?
長さと材質は同じまま、太さだけを変えてみます。
手順1 切り口の面積を比べる … 直径1mmなら1 × 1 = 1、直径2mmなら2 × 2 = 4。面積は4倍になります。
手順2 抵抗を求める … 通り道が4倍に広がるので、抵抗は4分の1。8 ÷ 4 = 2Ωです。
おまけ 長さを変えた場合 … 反対に、太さはそのまま長さを2倍にすると、抵抗も2倍の16Ωになります(長さには比例)。
材質の違い=抵抗率(銅とアルミニウム)
抵抗の大きさを決める3つめは材質でした。同じ長さ・同じ太さの電線でも、何の金属でできているかで電気の流れにくさが変わります。
用語抵抗率(ていこうりつ)とは?
材料ごとの、電気の流れにくさを表す値です。同じ長さ・同じ太さにそろえて比べたときの流れにくさ、と考えてください。数字が小さいほど電気を通しやすい材料です。
覚える銅とアルミニウムの抵抗率
電線によく使われる材料は銅とアルミニウムです。
銅のほうが電気を通しやすい = 銅の抵抗率はアルミニウムより低い
目安として、日本産業規格(JIS)の電線の規格では、電気の通しやすさ(導電率)は軟銅線が98〜100%以上、硬アルミニウム線は61%以上と定められています。銅を100とすると、アルミニウムは6割ほどしか電気を通さない、ということです。
なぜ?なぜ同じ太さでも、金属によって流れやすさが違うのか?
金属によって、内部の作り(原子の並び方や性質)が違うからです。ホースで言えば、内側がツルツルの材料とザラザラの材料の違いにあたります。家の中の配線に使うVVFケーブルなどの電線には、流れやすい銅(軟銅線)が使われています。
温度が上がると、抵抗は大きくなる
もう1つ、試験で問われる性質があります。銅のような金属は、温度が上がると抵抗が大きくなります。熱くなると、電気が流れにくくなるのです。
なぜ?なぜ熱くなると電気が流れにくくなるのか?
金属の中の粒(原子)は、温度が上がるほど激しく揺れるようになります。揺れが大きくなるほど、流れてきた電気が粒にぶつかって邪魔されやすくなるためです。人混みの中を歩くとき、周りの人がじっとしているより、動き回っているほうが進みにくいのと似ています。
例規格の表に「20℃のとき」と書いてある理由
電線の規格(JIS)に載っている電気抵抗の表には、「20℃における値」という断り書きが付いています。温度によって抵抗が変わるので、何℃で測った値かをはっきりさせているのです。
オームの法則 計算問題のいちばんの土台
電圧・電流・抵抗の3つは、いつも次の関係でつながっています。これがオームの法則です。
覚えるオームの法則
電圧[V] = 電流[A] × 抵抗[Ω]
形を変えると
電流 = 電圧 ÷ 抵抗
抵抗 = 電圧 ÷ 電流
3つのうち2つが分かれば、残りの1つは計算で出せます。試験の計算問題の多くは、この式を使って解く形になっています。
例使い方の例
例1 100Vの電源に、抵抗5Ωをつないだ → 電流 = 100 ÷ 5 = 20A
例2 20A流れているところに抵抗0.1Ωがある → 電圧 = 20 × 0.1 = 2V
例3 100Vで16A流れた → 抵抗 = 100 ÷ 16 = 6.25Ω
直列つなぎ 抵抗は足すだけ

用語直列(ちょくれつ)とは?
抵抗が1本道に順番に並んでいるつなぎ方です。電流の通り道が1本しかありません。
なぜ?なぜ電流はどこでも同じなのか?
通り道が1本なので、どこを測っても電流は同じ大きさになります。かわりに、抵抗を通るたびに電圧が使われていきます。
用語合成抵抗(ごうせいていこう)とは?
いくつかの抵抗をまとめて、1個の抵抗とみなしたときの大きさのことです。
例5Ωを2つ直列につなぐと、10Ωが1個あるのと同じ
5Ωの抵抗を2つ、直列につないだとします。これは10Ωの抵抗が1個だけあるのと、まったく同じ働きをします。
5Ω+5Ωの回路に100Vをかける … 100 ÷ 10 = 10A
10Ωが1個の回路に100Vをかける … 100 ÷ 10 = 10A
流れる電流は同じ。この10Ωが合成抵抗です。
なぜ?なぜ1個にまとめて考えるのか?
抵抗がいくつあっても、1個にまとめてしまえば、オームの法則(電圧 = 電流 × 抵抗)がそのまま使えるからです。試験の「端子a−b間の合成抵抗は何Ωか」という問題は、このまとめた1個の大きさを聞いています。
覚える直列の合成抵抗
そのまま足し算。
5Ω + 5Ω = 10Ω / 3Ω + 4Ω + 5Ω = 12Ω
なぜ足し算になるのでしょうか。これは、詰まったホースを縦に2本つなぐのと同じだからです。通り道が長くなるぶん、水はそれだけ流れにくくなります。
覚える直列のもう1つの性質
抵抗が同じ大きさなら、電圧はきれいに等分されます。200Vを同じ抵抗2つで受ければ、100Vずつです。
なぜ?なぜ電圧が等分されるのか?
同じ流れにくさのものが並んでいれば、受け持つ電圧も等しくなるからです。過去問では、電線が切れて(断線して)直列の形になったときの電圧を求める問題として出てきます。
並列つなぎ 抵抗は必ず小さくなる
用語並列(へいれつ)とは?
道が枝分かれして、どちらにも電流が流れるつなぎ方です。
なぜ?なぜ道が増えると流れやすくなるのか?
道が増えるのは、道幅が広がるのと同じこと。全体としては流れやすくなるので、まとめた抵抗(合成抵抗)は必ず小さくなります。
覚える並列の合成抵抗
同じ大きさの抵抗が2本なら → 半分。5Ωと5Ω = 2.5Ω
同じ大きさが3本なら → 3分の1。6Ωが3本 = 2Ω
大きさが違う2本なら → かけて足して割る。(A×B)÷(A+B)
例大きさが違う場合の計算例(2Ωと3Ω)
手順1 かける … 2 × 3 = 6
手順2 足す … 2 + 3 = 5
手順3 割る … 6 ÷ 5 = 1.2Ω
確認 … 小さいほうの2Ωよりさらに小さい。並列は必ずこうなります。
コツ答え合わせのコツ
並列の答えがいちばん小さい抵抗より大きくなったら、計算が間違っています。
なぜ?なぜ小さくならないとおかしいのか?
道を増やしたのに流れにくくなる、ということはありえません。この確認をするだけで、計算ミスをかなり防げます。
いちばん大事な落とし穴 「抵抗のない道」
過去問でたびたび見かけるのが、抵抗と、ただの導線が並列になっている形です。
用語短絡(ショート)とは?
抵抗を通らずに電気が回り込める近道ができている状態です。電流は流れやすい道に集中するので、近道と並んでいる抵抗にはほとんど流れません。つまりその抵抗は無いのと同じになります。
なぜ?なぜ抵抗が0Ωになるのか?
並列の合成抵抗は「小さいほうより小さくなる」のでした。片方が0Ω(ただの導線)なら、合成も0Ωまで下がりきる、ということです。
コツ図を見たら最初にすること
「抵抗が1つもない、導線だけの道」を探す。見つけたら、その道と並んでいる抵抗を消してから考える。これだけで合成抵抗の問題はぐっと簡単になります。
実際の過去問で確かめてみましょう。令和8年度上期の問1です。

例この過去問の見方(令和8年度上期 問1)
手順1 抵抗のない道を探す … 右下の線は抵抗が1つもない導線です。中央の縦の線で上下がつながっているので、この導線は右上の5Ωと並列になっています。
手順2 並んでいる抵抗を消す … 電流は抵抗のない導線のほうへ流れ、右上の5Ωにはほとんど流れません。つまり右上の5Ωは無いのと同じです。
手順3 残りを計算する … 残るのは左側の5Ωが2本並列だけ。同じ大きさの2本なので半分になり、5 ÷ 2 = 2.5Ω。答えはイです。
右上の5Ωを消し忘れて足してしまうと、2.5 + 5 = 7.5Ω(ハ)になります。これがまさに、この落とし穴です。
この問題の解説は、令和8年度上期の過去問(問1〜10)でも詳しく読めます。
過去問で確かめる 3問
この記事の内容だけで解ける過去問を、3問紹介します。問題文と図は各年度の過去問ページで見られるので、まず自分で解いてから、ここの考え方と照らし合わせてみてください。
令和6年度下期 問1 合成抵抗(かたまりを順にまとめる)
抵抗が5本(2Ω・2Ω・3Ω・6Ω・6Ω)入り組んだ回路で、端子a−b間の合成抵抗を求める問題です。一見難しそうですが、小さなかたまりから順にまとめるだけで解けます。
コツこの問題の考え方
手順1 左のかたまり … 2Ωが2本の並列。同じ大きさ2本なので半分の1Ω
手順2 右のかたまり … 3Ωと6Ωの並列。かけて18、足して9、18 ÷ 9 = 2Ω
手順3 左と右をつなぐ … 1本道(直列)でつながっているので、1 + 2 = 3Ω
手順4 上をまたぐ6Ω … この3Ωと並列。かけて18、足して9で2Ω(答えはロ)
いきなり全体を見ようとせず、並列→直列→並列と1段ずつたたむのがポイントです。
問題の図と詳しい解説は、令和6年度下期の過去問(問1〜10)で読めます。
令和7年度上期 問1 スイッチのある回路
スイッチS₁を閉じ、スイッチS₂を開いたときの端子a−b間の合成抵抗を求める問題です。この記事ではまだスイッチが出てきていないので、先にスイッチの見方を押さえておきましょう。
用語スイッチの「閉じる」「開く」とは?
回路図では、線が途中で切れて、斜めの線が浮いている所がスイッチです。S₁・S₂はスイッチの名前です。
閉じる … 斜めの線が下りて、切れていた線がつながること。橋がかかって渡れるようになる、と考えてください。
開く … 斜めの線が上がったままで、道が切れていること。橋が上がって渡れない状態です。
なぜ?なぜ「閉じる」で電気が流れるのか?
スイッチの中では、金属の接点どうしがくっつく(閉じる)と電気の通り道ができるからです。接点が離れる(開く)と、そこで道が途切れます。日常の「ドアを閉じる=通れない」とは感覚が逆なので、ドアではなく橋で覚えるのがおすすめです。
覚えるスイッチ回路の読み方
閉じたスイッチ = 抵抗のない、ただの導線と同じ。並んでいる抵抗は、上の「抵抗のない道」と同じ理由で消える
開いたスイッチ = 道が切れている。その先へは電気が流れないので、その枝の抵抗も消える
コツこの問題の考え方
手順1 S₁を閉じる … 上の30Ωの横に、抵抗のない導線の道ができる → 上の30Ωは消える
手順2 S₂が開いている … 右の30Ωの先で道が切れている → 右の30Ωにも流れない
手順3 残りを計算 … aのすぐ後の30Ωと、縦向きの30Ωの1本道(直列)。30 + 30 = 60Ω(答えはロ)
問題の図と詳しい解説は、令和7年度上期の過去問(問1〜10)で読めます。
令和8年度上期 問2 軟銅線の電気抵抗(文の正誤)
軟銅線(電線の中身に使われる、やわらかい銅の線)の電気抵抗について、4つの文から誤っているものを選ぶ問題です。問われているのは、温度・断面積・長さ・アルミニウムとの抵抗率の比べ方の4点。どれもこの記事の「抵抗(Ω)とは」で扱った内容です。
コツこの問題の考え方
温度 … 金属は温度が上がると抵抗が大きくなる
断面積 … 抵抗は断面積にそのまま反比例。断面積が2倍なら抵抗は半分。「2乗」が付くのは直径のほう
長さ … 抵抗は長さに比例
材質 … 銅の抵抗率はアルミニウムより低い(銅のほうが電気を通しやすい)
この4点で正誤を判断すると、「断面積の2乗に反比例」という文が誤りだと分かります(答えはロ)。
注意「2乗」の付け場所に注意
直径が2倍 → 断面積は4倍 → 抵抗は4分の1。2乗が付くのは「直径」との関係だけです。「断面積の2乗」のように付け場所をずらした文は、引っかけとして出されることがあります。
4つの文の詳しい解説は、令和8年度上期の過去問(問1〜10)で読めます。
まとめ
まとめこの記事で覚えること
電圧=押す力(V)/電流=流れる量(A)/抵抗=流れにくさ(Ω)
オームの法則 電圧 = 電流 × 抵抗
直列=足す。同じ大きさなら電圧は等分
並列=必ず小さくなる。同じ2本なら半分、違うなら「かけて足して割る」
導線だけの道と並んだ抵抗は消える(短絡)
抵抗は長さに比例・断面積に反比例(=直径の2乗に反比例)
材質の違い=抵抗率。銅はアルミニウムより抵抗率が低い。金属は温度が上がると抵抗が大きくなる
スイッチは閉じる=ただの導線、開く=その先へ流れない
ここまで理解できれば、学科試験の問1〜問10の計算問題にも手が届くはずです。実際の問題で確かめてみましょう。
実際の過去問で確かめる(令和8年度上期 全50問)
▶ 問1〜10
計算と電気の基礎
▶ 問11〜20
材料と工具
▶ 問21〜30
工事のルールと法令
▶ 配線図 問31〜40
図記号と傍記
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと、実際に手を動かす練習ができません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
