技能試験にそなえる | 1本目 | 学習カリキュラムの目次を見る

第二種電気工事士の試験は、学科試験と技能試験の2つに分かれています。このうち技能試験は、机の上で実際に配線を組み立てる実技の試験です。ペーパーテストではないので、「何をやらされるのか想像がつかない」という人がとても多い試験でもあります。

この記事では、電気の知識がまったくない人に向けて、技能試験で何をするのか、どうすれば受かるのか、何を準備すればいいのかを、はじめから順番に説明します。まだ学科試験を受けていない人でも読めます。

技能試験とは? 40分で配線を1つ組み立てる試験

用語技能試験とは?

技能試験とは、配られた材料と、自分で持ち込んだ工具を使って、問題に描かれたとおりの配線を、時間内に組み立てる試験です。第二種電気工事士の場合、試験時間は40分です。

なぜ?なぜ実技の試験があるのか?

電気工事は、間違えると火事や感電につながる仕事だからです。知識として知っているだけでなく、正しく作れる技術が身についているかを確かめるために実技の試験があります。

学科試験は、50問の四択問題に答えるペーパーテストでした。技能試験はまったく別物で、問題用紙は1問だけです。その1問に描かれた配線図のとおりに、スイッチやコンセントを電線でつないで、ひとつの「作品」を完成させます。

技能試験を受けられるのは、学科試験に合格した人と、学科試験を免除された人だけです。学科に受かっていない人がいきなり技能試験を受けることはできません。

40分でやるのは、この5つの作業順番はいつも同じです。だから練習で身体に入ります1複線図を描くどの線をどこにつなぐかを紙に描く2ケーブルを切る問題に書かれた長さに合わせて切る3被覆をむく外側のカバーと絶縁被覆をはがす4器具に付けるスイッチやコンセントに線をつなぐ5つないで束ねる線どうしを圧着か差込でつなぐ
技能試験の作業は毎回この順番です。5つのうち最初の「複線図」でつまずくと、あとの4つにも影響が出てしまいます。

この5つの作業のうち、いちばん最初の「複線図を描く」でつまずく人が少なくありません。ここを間違えると、あとの4つの作業をどれだけきれいにやっても、つなぎ先が違う作品ができあがってしまいます。

出題されるのは「候補問題13問」から1問だけ

用語候補問題とは?

候補問題とは、試験センターが試験の前に公表している、出題される可能性のある問題のことです。第二種電気工事士では毎年13問が公表され、本番ではこの13問の中から1問だけが出ます。

なぜ?なぜ問題を先に公表するのか?

技能試験は「知らない問題を初見で解く力」ではなく、基本の作業を正確にこなせる力を見る試験だからです。問題を先に見せたうえで、それでも正確に作れるかを問うています。

令和8年度(2026年度)の候補問題は、No.1からNo.13までの13問が公表されています。つまり13問すべてを練習しておけば、本番で出る問題は必ずその中にあるということです。これは受験者にとって大きな利点といえるでしょう。

覚える候補問題について、公式が言っていること

13問から出る … 本番の問題は No.1〜No.13 の配線図の中から出題される

詳細は当日わかる … 配線図や施工条件の細かい指定は、当日の試験問題に書かれている

時間はすべて40分 … 13問のどれが出ても試験時間は40分

質問はできない … 候補問題についての個別の問い合わせには応じてもらえない

注意したいのは、候補問題は「配線図だけ」が公表されているという点です。「白い線をどこにつなぐか」「どこを圧着でつなぐか」といった施工条件は、当日の問題用紙で初めてわかります。同じ候補問題でも、年によって条件が変わることがあるので、当日は必ず問題文を読んでから作業を始めてください。

試験当日は何をするのか

技能試験当日の流れを6つの手順で並べた図。集合・試験前の説明・材料の確認・試験開始・試験終了・退出。材料の確認だけオレンジで強調し、材料は全部支給されること、開始後は交換できないこと(リングスリーブ・差込形コネクタ・端子ねじだけ例外)を下にまとめている
当日は6つの手順で進みます。開始前の材料確認だけは、始まるとやり直せません。

コツ当日の流れ【6ステップ】

手順1 集合 … 入室禁止時刻を過ぎると受験できません。受験票も必須です

手順2 試験前の説明 … 注意事項の説明を受けます。監督員の指示に従います

手順3 材料の確認 … 試験問題と材料箱が配られ、材料表と中身を照合します

手順4 試験開始 … 「それでは始めてください」の合図で問題を開き、40分の作業開始

手順5 試験終了 … 「止めてください」の合図で即座に手を止めます

手順6 退出 … 作品を回収するため、ひとりずつ退出します

用語材料箱とは?

材料箱とは、その日の問題を作るのに必要な電線・器具・部品が入った箱のことです。試験開始前に、問題用紙の表紙にある材料表と照らし合わせて、足りないものや不良品がないかを自分で確認します。

なぜ?なぜ試験が始まる前に材料を確認するのか?

試験が始まってしまうと、材料を交換してもらえないからです。足りないまま作業を始めると作品が完成せず、その時点で不合格になります。

覚える材料についての大事なルール

材料はすべて支給される … 自分で持ち込んだ材料を使うことは禁止されています

開始後の交換・追加はない … ただしリングスリーブ・差込形コネクタ(電線を差し込むだけでつなげる部品)・端子ねじだけは例外で、作業中でも交換してもらえます

不良品は開始前に申し出る … 気づいた時点で手を挙げてください

この「開始前の材料確認」は、試験の一部だと思って真剣にやってください。ここで数を数えておくと、その日の問題がどれなのかも見当がつきます。例えば見慣れない器具が入っていれば、その器具を使う候補問題に絞られます。

合否の決まり方は「欠陥が1つでもあるか」だけ

合否は「欠陥が1つでもあるか」だけで決まる点数はありません。9割できていても、欠陥が1つあれば不合格です欠陥ゼロ合格作品にひとつも欠陥がない欠陥が1つ不合格他がすべて完璧でも落ちる
欠陥は「あるか・ないか」だけを見られます。部分点はありません。だから、速く作ることより「欠陥を作らないこと」が先です。

用語欠陥とは?

欠陥とは、試験センターが決めた「これは認められない」という状態のことです。公式に「欠陥の判断基準」として12の分類で公表されており、この基準に1つでも当てはまると不合格になります。

なぜ?なぜ点数制ではないのか?

電気工事は1か所の手抜きが火事や感電につながる仕事だからです。「9割できているから合格」という考え方ができない世界なので、欠陥ゼロだけが合格という決め方になっています。

ここが技能試験のいちばん大事なところです。速く作れることより、欠陥を作らないことのほうが優先されます。練習では、まず「時間はかかってもいいから欠陥ゼロで完成させる」ことを目指し、そのあとで速さを詰めていくのがおすすめの順番です。

落ちる人がやってしまう欠陥

公式の「欠陥の判断基準」は12分類にわたりますが、実際につまずきやすい所はある程度決まっています。代表的なものを、なぜ欠陥になるのかとあわせて説明します。

未完成 … 時間内に終わらなかった

不合格の理由として特に多いのが、これです。作りかけの作品は、その時点で欠陥として扱われます。どれだけ丁寧に作っていても、40分で終わらなければ意味がありません。

だからこそ、13問すべてを時間内に作りきる練習が必要になります。1問を1回作っただけでは、時間内に終わらせるのは難しいでしょう。

寸法が図面の半分以下になってしまった

問題の配線図には、電線の長さ(寸法)が書かれています。この寸法どおりに切るのが原則ですが、図面に示された寸法の50%以下になると欠陥になります。

用語寸法とは?

寸法とは、配線図に書かれた、器具と器具のあいだの電線の長さのことです。器具については器具の中心からの長さで測ります。

なぜ?なぜ半分以下だと欠陥になるのか?

短すぎる電線は引っぱられて抜けたり、無理に曲げられて傷んだりするからです。逆に多少長いぶんには欠陥になりません。迷ったら長めに切るのが安全です。

覚える覚え方

寸法は「短いほうだけ」が要注意、と覚えてください。長すぎて落ちることはありませんが、半分より短いと一発で不合格です。切る前に、あと1回だけ長さを確かめる癖をつけるとミスが減るでしょう。

リングスリーブの選び方・圧着マークを間違えた

用語リングスリーブとは?

リングスリーブとは、電線どうしをつなぐための金属の筒のことです。数本の電線をこの筒に差し込み、専用の工具で強く握りつぶして固定します。つぶした跡には「圧着マーク」という刻印が残ります。

なぜ?なぜマークが残る工具を使うのか?

正しい強さで正しい大きさに圧着したことを、見ただけで確認できるようにするためです。採点者はこのマークを見て、適切な圧着かどうかを判定します。

ここでの欠陥は、大きく分けて2つです。ひとつはスリーブの大きさの選び間違い、もうひとつは圧着マークの間違いです。つなぐ電線の本数と太さによって、使うスリーブの大きさと押すべきマークが決まっています。

注意圧着でやってしまいがちな欠陥

スリーブの大きさを間違えた … 電線の本数・太さに合わないものを選んだ

圧着マークが違う … 押すべき刻印と違うところで握った

マークが2つ付いた … 1つのスリーブを2回握ってしまった

スリーブを2個使った … 1か所の接続に2個以上のリングスリーブを使った

マークが欠けた … スリーブの先端や末端で刻印の一部が欠けた

圧着はやり直しがきかない作業です。一度つぶすと元に戻せないので、握る前に「本数」「太さ」「使うマーク」を口に出して確認するくらいの慎重さでちょうどよいでしょう。

心線の出しすぎ・出なさすぎ

用語心線とは?

心線とは、電線のいちばん内側にある、金属そのものの部分のことです。電線は外側からカバー(外装)、色つきの絶縁被覆(電気を通さないビニールの覆い)、そして心線という順番になっています。実際に電気が流れるのはこの心線です。

なぜ?なぜ心線の長さが細かく決められているのか?

出すぎていると、むき出しの金属が他の線や金属部分に触れて感電・ショート(電線どうしが触れて大きな電流が流れること)の原因になり、足りないとしっかりつながらず、抜けたり発熱したりするからです。

心線をどれだけ出すかは、つなぐ相手によって基準が違います。公式の欠陥基準から、代表的なものをまとめました。

つなぐ場所 欠陥になる状態
リングスリーブの上 心線が5mm以上飛び出している
リングスリーブの下 心線が10mm以上見えている(被覆をむきすぎ)
差込形コネクタの先 真横から見て心線が見えない(差し込み不足)
差込形コネクタの下 真横から見て心線が見える(むきすぎ)
スイッチ・コンセント 差込口から心線が2mm以上露出している
引掛シーリング 差込口から心線が1mm以上露出している
ランプレセプタクル ねじの端から心線が5mm以上はみ出している

覚える覚え方

数字を全部覚える必要はありません。「金属がむき出しで見えていたら危険」という感覚だけ持っておけば、自然と正しい長さに近づきます。差込形コネクタだけは逆で、先から心線が見えていないと「奥まで刺さっていない」と判断される、と覚えてください。

取付枠に器具を付ける位置を間違えた

用語取付枠とは?

取付枠とは、スイッチやコンセントを壁に固定するための金属や樹脂の枠のことです。1つの枠に器具を1個・2個・3個と取り付けられるようになっています。

なぜ?なぜ取り付ける位置が決められているのか?

実際の壁では、器具の位置がずれていると化粧プレート(スイッチまわりを覆うカバー)がはまらないからです。見た目の問題ではなく、あとの工程が成立しなくなります。

覚える取付枠の位置のルール

器具が1個のとき … 中央に取り付ける(中央以外だと欠陥)

器具が2個のとき … 中央には付けない(上下に振り分ける)

器具が3個のとき … 中央には問題で指定された器具を付ける

共通 … 枠を裏返して取り付けたり、指定以外の場所で枠を使ったりすると欠陥

工具は自分で用意する(電動工具を持ち込むと失格)

作業ごとに使う工具を6枚のカードで並べた図。電線を切る=ペンチ、被覆をむく=ケーブルストリッパ、長さを測る=スケール、ねじを締める=プラス・マイナスドライバー、電線管を締める=ウォーターポンププライヤ、圧着する=リングスリーブ用圧着工具。下に、電動工具・改造した工具・テスタは使えないこと、クリップは使えることを示している
作業の順に並べると、必要な工具は6つです。電動工具は持っていかないでください。

技能試験では、材料は支給されますが、工具は支給されません。自分で用意して持っていく必要があります。他の受験者から借りることも禁止されています。

覚える工具について、公式が決めていること

電動工具は使えない … 充電式の電動ドライバーなども含みます。電動機能をOFFにしても使えません

持参しただけでも危ない … 試験中に使用すると不正行為で失格になります。最初から持っていかないでください

改造・自作の工具は禁止 … 持ち手を延ばした圧着工具などは使えません

計測器は禁止 … テスタなどは使えません

クリップは使える … 電線を一時的に束ねるクリップ等はOK。ただし試験終了までに必ず外すこと

借用は禁止 … 隣の人に借りることはできません

では実際に何を持っていけばいいのか。公式は品目のリストを示していませんが、候補問題の作業内容から、必要な工具は決まってきます。作業の流れに沿って並べると、次のようになります。

作業 必要になる工具
電線を切る ペンチ
外装と絶縁被覆をむく 電工ナイフ、またはケーブルストリッパ
長さを測る スケール(定規)
器具のねじを締める プラスドライバー、マイナスドライバー
ねじなし電線管を締める ウォーターポンププライヤ
リングスリーブを圧着する リングスリーブ用の圧着工具(握ると刻印が付くもの)

用語ケーブルストリッパとは?

ケーブルストリッパとは、電線の外側のカバーと絶縁被覆を、はさむだけでむける工具のことです。刃の位置が決まっているので、いつも同じ長さでむけるのが利点です。

なぜ?なぜナイフよりストリッパが勧められるのか?

速いうえに、心線を傷つけにくいからです。心線に折れる程度の傷が入るとそれ自体が欠陥になるため、手元が不安な人ほどストリッパを使ったほうが安全です。

注意公式からの注意

カッターナイフの使用は自粛してください … 試験センターは「近年、カッターナイフでケガをして手当のために退出された方が増えている」として、使用の自粛を呼びかけています。止血できないケガの場合は作業を終了して退出することになります

練習には「材料」が要ります

技能試験は、読んで覚える試験ではありません。手が自然に動くようになるまで、実際に電線を切って、むいて、つないで、を繰り返す練習が必要です。そして練習用の電線と器具は、自分で買うことになります。

ここが、他の資格試験といちばん違うところです。テキスト代より、材料代のほうが高くつくことも珍しくありません。「講座を申し込むかどうか」より先に、材料をどうやってそろえるかを考えたほうが、合格には近づきます。

練習しないと受からない試験です

技能試験は読んで覚える試験ではありません。手が動くようになるまで繰り返すしかなく、そのためには工具と練習用の材料が要ります。通信講座は必要か、材料はどこで買うのが安いか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する

まずは複線図が描けるようになることから

技能試験の準備で、いちばん最初にやるべきなのは複線図です。工具も材料もまだ手元になくても、紙と鉛筆だけで今日から始められます。

用語複線図とは?

複線図とは、問題に描かれている1本の線で省略された配線図(単線図)を、実際の電線の本数どおりに描き直したものです。「この器具とこの器具を、白い線でつなぐ」というところまで描きます。

なぜ?なぜわざわざ描き直す必要があるのか?

問題の配線図は、実際の電線の本数を省略して描いてあるからです。そのまま見ても「どの線を何本つなぐか」がわかりません。複線図に描き直して初めて、手を動かせる状態になります。

複線図の描き方は、別の記事で1ステップずつ説明しています。まずはここから始めてください。

この記事の情報について

この記事の内容は、一般財団法人 電気技術者試験センターが公表している「令和8年度第二種電気工事士技能試験候補問題の公表について」「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」「電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイント(令和8年3月)」をもとに、2026年9月2日時点でまとめたものです。

なぜ公式サイトも見たほうがよいのか?
試験時間・候補問題・判断基準は変更されることがあるからです。受験の前には、必ず試験センターの公式サイトで最新の内容を確認してください。