第8章 施工管理 | 第50回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 工程表の種類と、それぞれ何が見えるかがわかります
  • バーチャート・ガントチャートのちがいがわかります
  • バナナ曲線(工程管理曲線)の読み方がわかります
  • どの工程表をいつ使うかが判断できるようになります

工程表は「何が見えて、何が見えないか」で使い分けます。それぞれの長所・短所を対比させて覚えるのが近道です。

工程表は大きく4種類

ガントチャートとバーチャートをならべた図。ガントチャートは横軸が達成率、バーチャートは横軸が日付であることと、それぞれ何が分かって何が分からないかを示している。
2つのちがいは横軸だけ。達成率をとるのがガントチャート、日付をとるのがバーチャートです。
名前 横軸 見えるもの 見えないもの
ガントチャート 達成率(%) 各作業がいま何%できているか 日程・所要日数・作業の順序
バーチャート(横線式) 日付 いつからいつまでか・所要日数 作業どうしの関連・どれが遅れると全体が遅れるか
曲線式(Sカーブ・バナナ曲線) 日付 工事全体の進み具合(出来高) 個々の作業の状況
ネットワーク工程表 — 作業の順序・関連・クリティカルパス・余裕(フロート) ぱっと見の分かりやすさ

💡 覚え方

「ガントは%、バーチャートは日付、曲線は全体、ネットワークは関連」。ガントチャートとバーチャートは横軸が違うだけですが、そこがそのまま出題されます。

ガントチャート

  • 横軸は達成率(0〜100%)
  • 各作業が今どれだけ進んだかが一目で分かる
  • いつ始まるか、何日かかるかは分からない
  • 作業どうしの前後関係も分からない

🔰 簡単なたとえ

ガントチャートは「宿題の進み具合チェック表」のようなものです。国語60%、算数30%、理科100%——どれだけ進んだかは分かりますが、いつまでにやるのかは書いてありません。

バーチャート(横線式工程表)

  • 縦に作業名、横に日付を取り、作業期間を棒(バー)で表す
  • いちばん広く使われている。作りやすく、見やすい
  • 各作業の開始日・終了日・所要日数が分かる
  • 作業どうしのつながりが分からないのが弱点

バーチャートの弱点

  • ある作業が遅れたとき、全体がどれだけ遅れるかが分からない。
  • どの作業が「絶対に遅らせてはいけない作業」かが分からない。
  • → これを解決するのがネットワーク工程表です(第49回)。

弱点を補うため、バーチャートに出来高の曲線を重ねることがよく行われます。これをグラフ式工程表と呼ぶこともあります。

曲線式工程表(Sカーブとバナナ曲線)

バナナ曲線の図。上限と下限の2本の線にはさまれた帯を描き、上に外れたとき・帯の中・下に外れたときに、それぞれ何を意味するかを示している。
下に外れれば遅れですが、上に外れても手待ちやムダな費用のサインです。

Sカーブとは?

縦軸に出来高(%)、横軸に工期をとって、進み具合を線で表したものです。最初と最後はゆっくり、中盤で一気に進むので、Sの字に近い形になります。

なぜS字になるのか?

工事は、立ち上がりと仕上げに時間がかかるからです。最初は準備・段取り・搬入で出来高が伸びません。中盤は人も機械もフル稼働で一気に進みます。最後は手直し・検査・調整で、また伸びが鈍ります。

バナナ曲線(工程管理曲線)とは?

Sカーブに、許容できる上限と下限の2本の曲線を加えたものです。2本の線に挟まれた形がバナナに似ていることからこう呼ばれます。

バナナ曲線の読み方

  • 実績が上限より上 … 予定より進みすぎ。手待ちや不経済な施工になっていないか見直す。
  • 実績が2本の間 … 順調。
  • 実績が下限より下 … 遅れている。ただちに対策が必要。

💡 覚え方

「上に外れても良くない」のがポイントです。進みすぎは人や機械を余分に投入しているか、後工程が追いつかず手待ちが出るサインなので、原価の面では損をしています。「早ければ早いほど良い」ではありません。

工程の短縮(クラッシング)

  • クリティカルパス上の作業を短縮する … そこ以外を短くしても全体は縮まりません(第49回)
  • 人や機械を増やす … 直接費が増える
  • 作業を並行させる(オーバーラップ)
  • プレハブ化・工場加工を増やす … 現場での作業を減らす

やってはいけない短縮

  • 安全対策を省く … 絶対にNG(第52回)
  • 検査を省く … あとで大きな手戻りになる
  • むやみに残業・突貫工事 … 品質が落ち、災害が増え、原価も上がる

試験ではこう出る

  • ①横軸のちがい … 「ガントチャートは、横軸に日数をとる」→誤り。達成率です。
  • ②バーチャート … 「バーチャートは作業の関連を明確に表せる」→誤り。
  • ③バナナ曲線 … 「実績が上方許容限界を上回っている場合は、工程が良好であるといえる」→誤り。不経済な施工の可能性があります。
  • ④工程短縮 … 「クリティカルパス以外の作業を短縮しても、工期は短縮できない」→正しい。
  • ⑤Sカーブ … 「工事の出来高は、初期と終期に緩やかで、中期に急になる」→正しい。

よくある質問

Q.結局、現場ではどれを使うのですか?

A.バーチャートがいちばん多く使われています。作りやすく、誰が見ても分かるからです。そこに出来高のSカーブを重ねるのが実務の定番。ネットワーク工程表は、規模が大きく、作業の関連が複雑な工事で使われます。試験ではネットワークの計算問題が出るので、第49回もあわせて押さえてください。

Q.「出来高」とは何のことですか?

A.その時点までに完成した工事の量を、金額や%で表したものです。「工事全体の30%ができた」という言い方をします。出来高は、出来高払い(進み具合に応じた支払い)の根拠にもなるので、原価管理とも直結します。

Q.工程が遅れていたら、まず何をすればよいですか?

A.①どこが遅れているのかを特定する②クリティカルパス上かどうかを確かめる③原因を取り除く——この順です。クリティカルパス上でなければ、余裕(フロート)の範囲かもしれません。やみくもに人を増やす前に、「全体に響く遅れなのか」を判断するのが先です。

このページのまとめ

  • ガントチャート=横軸は達成率(日程は分からない)
  • バーチャート=横軸は日付(作業の関連は分からない)
  • 曲線式=全体の出来高(個々の作業は分からない)
  • ネットワーク=作業の関連とクリティカルパスが分かる
  • バナナ曲線は、上に外れても不経済
  • 工期短縮はクリティカルパス上を短くする。安全と検査は削らない