第9章 法規 | 第55回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 消防用設備等の分類がわかります
  • 屋内消火栓・スプリンクラーの基準がわかります
  • 着工届と設置届のちがいがわかります
  • 消防設備士の資格がどこまで必要かわかります

管工事は消火設備の配管を施工するので、消防法は避けて通れません。届出の相手と日数、設備の数値基準が出題の中心です。

消防用設備等の分類

区分 中身
消火設備 消火器・屋内消火栓・スプリンクラー・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末・屋外消火栓・動力消防ポンプ
警報設備 自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・漏電火災警報器・非常警報設備
避難設備 避難器具・誘導灯・誘導標識
消火活動上必要な施設 連結送水管・連結散水設備・排煙設備・非常コンセント設備・無線通信補助設備
消防の用に供する水利 防火水槽・貯水池

💡 覚え方

「消火・警報・避難」は建物にいる人のため、「消火活動上必要な施設」は消防隊のため。連結送水管は、消防車から水を送るための配管——誰のための設備かで分けると覚えやすくなります。

屋内消火栓設備

1号消火栓と2号消火栓がカバーする範囲を、水平距離25m以下と15m以下の円でくらべた図。下に操作する人数・放水量・放水圧力の表を付けている。
円の半径が水平距離です。1号は25m以下・2人、2号は15m以下・1人で操作できます。
1号消火栓 易操作性1号 2号消火栓
操作人数 2人 1人 1人
水平距離 25m以下 25m以下 15m以下
放水量 130L/分以上 130L/分以上 60L/分以上
放水圧力 0.17MPa以上0.7MPa以下 同左 0.25MPa以上0.7MPa以下
  • 水源の水量 … 1号は2.6㎥×設置個数(最大2)、2号は1.2㎥×設置個数(最大2)
  • 非常電源を設ける
  • 表示灯は赤色で、取付面と15度以上の角度で10m離れた所から容易に識別できること

なぜ2号消火栓ができたのか?

1人でも使えるようにするためです。1号はホースを全部伸ばしてから、2人がかりで使います。火事のときに都合よく2人そろうとは限りません。2号は1人で操作でき、そのぶん放水量は少なく、届く距離も短い(15m)という設計になっています。

スプリンクラー設備

閉鎖型 開放型
ヘッド ふだんは閉じている ふだんから開いている
作動 熱でヘッドが開く 一斉開放弁を開けて、全部から放水
使う場所 一般(湿式・乾式・予作動式) 天井が高く、熱が届きにくい場所(舞台部など)
  • 閉鎖型ヘッドの標示温度 … 取り付ける場所の最高周囲温度に応じて選ぶ
  • 放水圧力 … 0.1MPa以上1MPa以下
  • 放水量 … 80L/分以上
  • 末端試験弁 … 配管の末端に設け、作動の確認ができるようにする
  • 湿式は配管内が常に水で満たされている/乾式は圧縮空気(寒冷地で凍結を防ぐ)

湿式と乾式の使い分け

  • 湿式 … 反応が速い。ふつうはこれ。ただし凍結のおそれがある所は不可。
  • 乾式 … 凍結しないが、空気が抜けてから水が出るので遅い。
  • 予作動式 … 感知器とヘッドの両方が働かないと放水しない。水損を嫌う場所(電算室・美術館)で使う。

届出

着工届と設置届をくらべた図。着工届は甲種消防設備士が着工の10日前まで、設置届は関係者が完了後4日以内に出すことを、工事の時間の流れの上に示している。
出す人と時期が逆になった選択肢が定番です。どちらも出す先は消防長または消防署長です。
届出 出す人 いつ 出す先
着工届 甲種消防設備士 工事に着手する10日前まで 消防長または消防署長
設置届 関係者(所有者・管理者・占有者) 工事完了後4日以内 消防長または消防署長

💡 覚え方

「着工は10日前・設備士が出す/設置は完了後4日以内・関係者が出す」。出す人が違うのがポイントで、ここを入れ替えた選択肢が定番です。

消防設備士の資格

  • 甲種 … 工事と整備ができる
  • 乙種 … 整備のみ(工事はできない)
  • 第1類 … 屋内消火栓・スプリンクラー・水噴霧
  • 第2類=泡、第3類=不活性ガス・ハロゲン・粉末
  • → 管工事で関わるのは主に第1類です。

点検と報告

  • 機器点検 … 6か月に1回
  • 総合点検 … 1年に1回
  • 報告 … 特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回、消防長または消防署長へ

特定防火対象物とは?

不特定多数の人が出入りする建物のことです。劇場・百貨店・飲食店・病院・ホテルなど。逃げ遅れが起きやすいので、基準が厳しく、報告も毎年になります。事務所や工場・共同住宅は非特定です。

試験ではこう出る

  • ①1号と2号 … 「2号消火栓の水平距離は25m以下とする」→誤り。15m以下。
  • ②放水圧力 … 「1号消火栓の放水圧力は0.17MPa以上0.7MPa以下」→正しい。
  • ③着工届 … 「着工届は、工事に着手する10日前までに甲種消防設備士が届け出る」→正しい。
  • ④設置届 … 「設置届は、消防設備士が工事完了後7日以内に届け出る」→誤り。関係者が4日以内。
  • ⑤乾式 … 「乾式スプリンクラーは、寒冷地で凍結を防ぐために用いる」→正しい。
  • ⑥消火活動上必要な施設 … 「連結送水管は消火活動上必要な施設である」→正しい。

よくある質問

Q.連結送水管は、誰が使う設備ですか?

A.消防隊です。1階の送水口に消防車のホースをつなぐと、各階の放水口から水が出せるという配管設備です。高層建築では1階から何十階までホースを伸ばすのは不可能なので、あらかじめ建物に配管を入れておくのです。建物の人が使う設備ではありません。

Q.スプリンクラーヘッドの「標示温度」とは何ですか?

A.そのヘッドが作動する温度です。ヘッドに刻印や色で示されています。取り付ける場所の最高周囲温度が高いほど、標示温度の高いヘッドを選びます。厨房のように普段から暑い場所に低温のヘッドを付けると、火事でもないのに放水してしまうからです。(防火ダンパーの温度ヒューズと同じ考え方です。)

Q.甲種と乙種は、どちらから取るべきですか?

A.工事をするなら甲種が必要です。乙種は整備しかできません。ただし甲種には受験資格があり、管工事施工管理技士を持っていれば受験できます。管工事の資格が、消防設備士甲種への入口になる——キャリアの面でも知っておくと役に立ちます。

このページのまとめ

  • 消防用設備等は消火・警報・避難・消火活動上必要な施設・水利
  • 1号=25m・130L/分・2人/2号=15m・60L/分・1人
  • スプリンクラーは0.1MPa以上・80L/分以上
  • 湿式=速いが凍る/乾式=凍らないが遅い/予作動式=水損を避けたい所
  • 着工届=10日前・甲種消防設備士/設置届=完了後4日以内・関係者
  • 機器点検6か月・総合点検1年。報告は特定1年・非特定3年