【二級ボイラー技士】附属品①|安全弁・逃がし管・圧力計・水面計|知識ゼロから【第6回】
ボイラー本体のまわりには、圧力・水位・温度を見張り、危ないときに逃がす部品が取り付けられています。これが附属品です。第6回で扱うのは、そのうち安全を守る部品と、状態を測る計器です。安全弁・逃がし管・圧力計・水面計の問題は7回分のすべてに出ているので、構造の中でも特に大事な回になります。
附属品とは?
ボイラーを安全に、正しく運転するために取り付ける部品。安全弁・圧力計・水面計・温度計などがあります。
💡 なぜ? ボイラーの中は見えないうえ、圧力が上がりすぎたり水が減りすぎたりすると大事故になるからです。附属品は、中の状態を外から見えるようにし、異常のときは自動で逃がす役目を持っています。
安全弁:圧力が上がりすぎたら自動で蒸気を逃がす

” alt=”ボイラーの上部に取り付けられた安全弁、圧力計、水面計の位置と役目を表したイメージ図” style=”max-width:100%;height:auto;border-radius:8px;” />
安全弁は、蒸気の圧力が設定圧力に達すると、自動的に弁が開いて蒸気を吹き出す装置です。それ以上の圧力上昇を防ぐのが役目です。吹き出すことで圧力を下げ、破裂を防ぐしくみです。ボイラーの最後の守りといえる部品で、蒸気ボイラーには必ず取り付けられ、圧力の上限を守っているのです。
よく使われるばね安全弁は、ばねの力で弁体を弁座に押しつける仕組みです。吹出し圧力は、調整ボルトを締めたり緩めたりして、ばねの押す力を変えて調整するのです。
揚程式と全量式:吹出し量を何で決めるか
安全弁には揚程式と全量式の2種類があります。違いは、吹き出す蒸気の量を、どの面積で決めているかです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 揚程(リフト) | 弁体が弁座から持ち上がる距離 |
| 弁座流路面積(カーテン面積) | 持ち上がった弁体と弁座のすき間の面積(カーテンのように周りを囲む面) |
| のど部面積 | 弁座の下のいちばん細くなった通路の面積 |
| 種類 | 吹出し面積を決めるもの |
|---|---|
| 揚程式 | 弁座流路面積(カーテン面積)で決まる。リフトが小さめ |
| 全量式 | のど部の面積で決まる。リフトを大きくとり、弁座流路面積をのど部より十分大きくしている |
⚠ 注意
「全量式は弁座流路面積で吹出し面積が決まる」は誤り(令和6年4月公表)。「全量式は、のど部の面積が最大となる安全弁」も誤り(令和8年10月公表)。全量式は弁を大きく開けるので、いちばん細いのど部が流れを決める、と理解してください。
💡 覚え方
「全量式=全部(全量)開け切る」。大きく開けるとカーテンは十分広くなり、残るボトルネックはのど部だけ。揚程式は開きが小さいので、カーテンが流れを決める——と対にして覚えましょう。
また、安全弁の箱や排気管の底には、開放したドレン抜きを設けます。たまった凝縮水を抜いて、弁の動きを邪魔しないようにするためです。
温水ボイラーの逃がし管・逃がし弁と、暖房用のポンプ
温水ボイラーは水を沸騰させずにお湯をつくりますが、水は温めると体積が増えます(膨張)。密閉したままだと圧力が上がってしまうので、膨張した分を逃がす部品が必要です。
膨張タンクとは?
温水ボイラーの水が温まって増えた分(膨張分)を受け入れるタンク。上が開いた開放形と、閉じた密閉形の2種類です。
💡 なぜ? 水は温度が上がると体積が数%増える性質があります。その行き場を用意しておかないと、配管やボイラーの圧力が上がってしまうのです。
逃がし管:開放形の膨張タンクへつなぐ管
逃がし管は、ボイラーと高い所に設けた開放形の膨張タンクをつなぐ管です。膨張した水は逃がし管を通ってタンクへ上がるので、ボイラーが高圧になるのを防ぐ安全装置になります。
逃がし管の決まり(試験に出たもの)
①途中に弁やコックを取り付けてはならない(閉めると逃げ道がなくなる)
②管の太さは伝熱面積に応じて「最小径」が定められている
③膨張タンクには、水位を見る験水管やオーバーフロー管を設ける
⚠ 注意
逃がし管の太さの決まりは、入れ替え問題が多いところです。「伝熱面積に応じて最大径」(令和5年10月公表)も、「最高使用圧力に応じて最小径」(令和8年10月公表)も誤り。正しくは「伝熱面積に応じて最小径」です。大きいボイラーほど太い管がいると考えれば、最小径の決まりだと分かります。
「逃がし管にはボイラーに近い側に弁を付ける」(令和6年10月公表)は誤りです。「逃がし管は密閉形膨張タンクに直結」(令和7年10月・令和8年4月公表)も誤りです。逃がし管がつながるのは開放形のタンクです。
逃がし弁:逃がし管を使えないときの代わり
逃がし弁は、水の膨張で圧力が設定した圧力を超えると、弁体を押し上げて水を逃がす部品です。逃がし管を設けない場合や、膨張タンクを密閉形にした場合に使われます。
💡 覚え方
開放形タンクには逃がし管、密閉形タンクには逃がし弁。開いたタンクなら管でつなぐだけで水は上がっていけますが、閉じたタンクでは圧力が逃げないので弁で逃がす必要があるのです。
⚠ 注意
逃がし弁を「暖房用蒸気ボイラーで、蒸気の圧力の差が大きいときの調節弁」とした記述は誤りです。令和3年4月・令和4年4月公表で出ました。蒸気の圧力を下げて使う場所に合わせるのは減圧弁で、第7回の送気系統で扱います。逃がし弁は、温水ボイラーで膨張した水を逃がすものです。
水高計と温度計
水高計は、温水ボイラーの圧力を測る計器で、蒸気ボイラーの圧力計にあたる計器です。温度計は、ボイラー水がいちばん高い温度になる場所の、見やすい位置に取り付けます。
暖房用ボイラーのポンプ:温水循環ポンプと凝縮水給水ポンプ
暖房に使うボイラーでは、水を回したり、戻ってきた水を入れ直したりするポンプも使われるのです。試験に出たのは次の2つです。
| ポンプ | 使うボイラー | 役目 |
|---|---|---|
| 温水循環ポンプ | 温水暖房ボイラー | ボイラーで加熱された水を放熱器に送り、再びボイラーに戻す |
| 凝縮水給水ポンプ | 重力還水式の暖房用蒸気ボイラー | 戻ってきた凝縮水をボイラーに押し込む |
放熱器は、お湯の熱を部屋に出す器具で、いわゆるラジエーターのことです。温水循環ポンプは、お湯をボイラー→放熱器→ボイラーと回し続けます。
凝縮水は、暖房で熱を渡した蒸気が冷えて水に戻ったものです。重力還水式は、名前のとおり重力で凝縮水を還す(戻す)方式を指します。戻ってきた凝縮水を、圧力のあるボイラーの中へ押し込むのが凝縮水給水ポンプです。
よく似た名前に真空給水ポンプがあります。こちらは受水槽の中を真空にして、凝縮水を吸い込んで回収してから給水するポンプです。凝縮水給水ポンプは「押し込む」、真空給水ポンプは「吸い込む」と対にしておきましょう。
圧力計:ブルドン管のしくみ
ボイラーの圧力計として使われているのが、ブルドン管圧力計です。断面がつぶれた(扁平な)管を円弧の形に曲げ、一方の端を固定し、もう一方の端を閉じたものがブルドン管です。
ブルドン管圧力計が針を動かすまで
①ブルドン管に圧力が加わる
②つぶれた断面が丸くなろうとして、管の円弧が広がる
③管の先につながった歯付扇形片(扇形の歯車)が動く
④小歯車が回り、指針が圧力を示す
💡 覚え方
巻いた紙の吹き戻し(パーティーの笛)を吹くと、丸まった紙がまっすぐ伸びるでしょう。ブルドン管も同じで、中から押されると円弧が広がる動きを針に伝えています。
圧力計の取付けの決まり
①原則として、胴または蒸気ドラムのいちばん高い位置に取り付ける
②圧力計のコックは、ハンドルが管軸と直角になったときに閉じるように取り付ける
③高温の蒸気がブルドン管に直接入らないよう、水を入れたサイホン管を取り付ける
⚠ 注意
③で「オリフィスを取り付けて蒸気が直接入らないようにする」は誤り(令和5年10月公表)。使うのはサイホン管です。管の曲がりに水をためて、熱い蒸気がブルドン管まで届かないようにするしくみです。
耐熱用の圧力計でも、ブルドン管に高温の蒸気は入れない
圧力計には耐熱用のものもあります。耐熱用とは、まわりの温度が高い場所でも使えるという意味です。中のブルドン管に高温の蒸気や水を入れてよい、という意味ではありません。
⚠ 注意
「耐熱用の圧力計なら、ブルドン管に高温の蒸気や水が入っても差し支えない」は誤り(令和4年10月公表)。耐熱用でも、サイホン管で高温の蒸気や水が入らないようにします。
水面測定装置:水位を外から見る
ボイラーの水位は、下がりすぎると伝熱面が焼損するので、いつも確認できなければなりません。
ガラス水面計の決まり
①貫流ボイラーを除く蒸気ボイラーには、原則として2個以上のガラス水面計を見やすい位置に付ける
②ガラス水面計は、見える範囲の最下部が安全低水面と同じ高さになるように付ける
③ボイラー本体や蒸気ドラムに直接付けるか、水柱管を設けてそれに付ける
⚠ 注意
②で「可視範囲の最下部が安全低水面より上方」は誤り(令和6年4月公表)。同じ高さにしておけば、水面がガラスから消えた瞬間=安全低水面と分かります。
🤔 なぜガラス水面計を2個以上も付けるのですか。
水面計は汚れや詰まりで、正しい水位を示さなくなることがあるからです。2個あれば、2つの水位を見比べて、どちらかがおかしいことに気づけます。取扱いの回(第9回)で学ぶ「たき始めに2個の水面計の水位が同じか確かめる」も、この考え方から来ているのです。
| 水面計 | 特徴・見え方 |
|---|---|
| 丸形ガラス水面計 | 主に最高使用圧力1MPa以下の丸ボイラーなどに使う |
| 平形反射式水面計 | 前から見ると、水部は光が通って黒く、蒸気部は光が反射して白く光って見える |
| 平形透視式水面計 | 裏側から照明(電灯)の光を通して、水面を見分ける |
| 二色水面計 | 光の屈折率の差を利用。蒸気部は赤、水部は緑(青)に見える |
| マルチポート水面計 | 金属製の箱に小さな丸い窓を並べ、円形透視式ガラスをはめ込んだもの。平形透視式より高い圧力まで使える |
反射式と透視式は、名前が似ていて入れ替えられやすい組み合わせです。反射式は前から見て、光の反射の違いで水と蒸気を見分けます。透視式は裏側から光を通して、透かして水面を見るのです。
⚠ 注意
「平形反射式水面計は、裏側から電灯の光を通すことにより水面を見分ける」は誤り(令和5年4月公表)。裏側から光を通すのは平形透視式です(一級ボイラー技士の公表問題で正しい記述)。
マルチポート水面計の「マルチ」は「たくさんの」という意味です。名前のとおり、金属の箱に小さな丸い窓がいくつも並んでいます。
⚠ 注意
「マルチポート水面計は、使用できる圧力が平形透視式水面計より低い」は誤り(令和3年10月公表)。使える圧力は、平形透視式より高いほうです。
⚠ 注意
色の問題は入れ替えが定番です。「二色水面計で蒸気部が緑、水部が赤」(令和6年10月公表)は誤り。「平形透視式水面計が屈折率の差で赤と緑に見える」(令和8年10月公表)も誤りで、それは二色水面計の説明です。「平形反射式水面計が屈折率の差で赤と緑」(令和2年10月公表)も、同じ理由で誤りでした。「透視式で水部が黒、蒸気部が白」(令和5年10月公表)も誤りで、黒と白に見えるのは反射式です。
💡 覚え方
二色水面計は「蒸気は赤(熱い)、水は緑・青(冷たい)」。熱い方が赤と考えれば入れ替えにだまされません。反射式は「水が黒、蒸気が白く光る」。白く光るのは、光が反射する蒸気の側です。
流量計と通風計
| 計器 | しくみ |
|---|---|
| 面積式流量計 | 縦に置いたテーパ管(上ほど太い管)の中のフロートが流れで上下し、管とフロートのすき間の面積が流量に比例する |
| 容積式流量計 | だ円形の歯車2個が流れで回り、流量は歯車の回転数に比例する |
| 差圧式流量計 | 管の中に絞りを入れると、入口と出口に流量の2乗に比例する圧力差が生じる |
| U字管式通風計 | 測る場所の空気またはガスの圧力と大気圧との差(差圧)を、水柱で示す。ドラフト(通風力)や炉の中の圧力を測れる |
U字管式通風計は、U字に曲げた管に水を入れた計器です。片側を測る場所に、もう片側を大気につなぐと、圧力の差の分だけ左右の水面の高さがずれます。このずれ(水柱の高さ)で、大気圧との差を読み取るのです。
⚠ 注意
令和7年4月公表の問題で誤りだった記述は2つです。「容積式流量計は流量が回転数の2乗に比例」と、「U字管式通風計は炉内圧を測定できない」でした。2乗が出てくるのは差圧式だけと覚えておくと、入れ替えに気づけます。
練習問題:附属品の正誤を判断する
答えと考え方
①「揚程式安全弁は、のど部の面積で吹出し面積が決まる」 → 誤り(揚程式は弁座流路面積)
②「逃がし管は、高所に設けた開放形膨張タンクとボイラーを接続する」 → 正しい
③「圧力計のコックは、ハンドルが管軸と同じ方向のときに閉じる」 → 誤り(直角で閉じる)
④「平形反射式水面計は、水部が黒く、蒸気部が白く光って見える」 → 正しい
⑤「面積式流量計は、すき間の面積が流量に比例することを利用する」 → 正しい
附属品の問題は、2つのものを入れ替えた誤りがとても多いのが特徴です。揚程式と全量式、開放形と密閉形、反射式と二色のように、対になる言葉をセットで覚えておきましょう。
試験ではこう出る
| よくある記述 | 判断 |
|---|---|
| 安全弁の吹出し圧力は、調整ボルトを締めたり緩めたりして調整する | 正しい |
| 全量式安全弁は、弁座流路面積で吹出し面積が決まる | 誤り。のど部の面積 |
| 逃がし管には、途中に弁やコックを取り付けてはならない | 正しい |
| 逃がし管は、伝熱面積に応じて最大径が定められている | 誤り。最小径 |
| 逃がし弁は、膨張タンクを密閉形とした場合などに用いられる | 正しい |
| 圧力計は、胴または蒸気ドラムのいちばん高い位置に取り付ける | 正しい |
| 圧力計と胴の間にオリフィスを付け、蒸気が直接入らないようにする | 誤り。サイホン管 |
| ガラス水面計の可視範囲の最下部は、安全低水面と同じ高さにする | 正しい |
| 二色水面計は、蒸気部が赤、水部が緑(青)に見える | 正しい |
| 差圧式流量計は、流量の2乗に比例する圧力差を利用する | 正しい |
| U字管式通風計は、計測する場所の空気又はガスの圧力と大気圧との差圧を水柱で示す | 正しい |
| 平形反射式水面計は、裏側から電灯の光を通すことにより、水面を見分ける | 誤り。裏から光を通すのは平形透視式 |
| マルチポート水面計は、使用できる圧力が平形透視式水面計より低い | 誤り。平形透視式より高い |
| 耐熱用の圧力計なら、ブルドン管に高温の蒸気や水が入っても差し支えない | 誤り。耐熱用でも入れない(サイホン管) |
| 暖房用蒸気ボイラーの逃がし弁は、蒸気の圧力の差が大きいときの調節弁として用いる | 誤り。それは減圧弁 |
| 温水循環ポンプは、加熱された水を放熱器に送り、再びボイラーに戻すために用いる | 正しい |
| 凝縮水給水ポンプは、重力還水式の暖房用蒸気ボイラーで、凝縮水をボイラーに押し込む | 正しい |
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和2年4月〜令和8年10月公表)。一部は一級ボイラー技士の公表問題も参照し、ゼロパスが要点を整理しました。
よくある質問
Q. 暖房用蒸気ボイラーの真空給水ポンプとは何ですか。
A. 受水槽の中を真空にして、返り管の途中の凝縮水を吸い込み、さらにその水をボイラーへ給水するポンプです。暖房に使い終わった蒸気の水を、吸い寄せて回収しながら給水まで行う装置と考えてください。
Q. 水柱管とは何ですか。
A. ボイラーの胴と上下2本の管でつないだ、縦長の筒です。中の水位はボイラーと同じになるので、この筒に水面計を取り付けて水位を見ることができます。胴に直接付けにくいときに使う方法です。
Q. 膨張タンクの験水管とオーバーフロー管は、何のためにあるのですか。
A. 験水管は、タンクの中に水がどれだけあるかを確かめるための管です。オーバーフロー管は、水が増えすぎたときにあふれた分を外へ流すための管で、タンクから水が噴き出すのを防ぎます。
Q. 安全弁と逃がし弁は、何が違うのですか。
A. 安全弁は蒸気ボイラーで蒸気を逃がすもの、逃がし弁は温水ボイラーで水を逃がすものです。どちらも設定した圧力を超えると自動で開く点は同じです。
まとめ
・揚程式=弁座流路面積(カーテン面積)、全量式=のど部面積で吹出し量が決まる。安全弁箱の底にはドレン抜き
・逃がし管=開放形膨張タンクへ。弁・コック禁止。伝熱面積に応じて最小径
・逃がし弁=逃がし管がないとき・密閉形タンクのとき(蒸気の圧力を下げる調節弁は減圧弁)
・温水循環ポンプ=放熱器へ送ってボイラーへ戻す/凝縮水給水ポンプ=重力還水式で凝縮水を押し込む
・圧力計=いちばん高い位置、サイホン管(耐熱用でも高温の蒸気は入れない)、コックは直角で閉
・水面計=2個以上、最下部=安全低水面と同じ高さ/二色は蒸気赤・水緑/反射式は水黒・蒸気白
・反射式=前から見る、透視式=裏から光を通す/マルチポート=小さな丸窓を並べ、平形透視式より高い圧力まで
・流量計で2乗が出るのは差圧式だけ。容積式は回転数に比例/U字管式通風計は大気圧との差圧を水柱で示す(炉内圧も測れる)
