第3章 燃料及び燃焼 | 第14回 | 学習カリキュラムの目次を見る

ここから3つ目の科目「燃料及び燃焼」に入ります。第14回は、ボイラーで燃やす燃料そのものの性質です。重油やガスがどんな性質で、何に気をつけて扱うかは、令和5年10月〜令和8年10月公表の7回すべてに出題されました。特に発熱量・引火点・重油の性質・気体燃料の特徴は、毎回のように出題されています。用語の意味を1つずつ押さえていきましょう。

発熱量とは?

燃料を完全に燃やしたときに出る熱の量。液体・固体燃料はMJ/kg(1kgあたり何メガジュール)で表します。

💡 なぜ? 同じ量の燃料でどれだけ蒸気をつくれるかを比べるための、いちばん基本の数字だからです。

ボイラーの燃料は3種類

燃料 代表例 特徴のひとこと
液体燃料 重油・軽油・灯油 運びやすく貯めやすい。霧にして燃やす
気体燃料 都市ガス・LPG きれいに燃える。漏れると爆発の危険
固体燃料 石炭など 灰やばいじんが多い。今のビル用ボイラーでは少ない

試験では、重油(液体)と都市ガス・LPG(気体)の性質が中心に問われます。石炭は、比べる相手として出てくることが多いです。

発熱量:高発熱量と低発熱量

重油のタンク、ガス配管、石炭を並べ、それぞれが燃えて熱を出す様子を表したイメージ図
ボイラーの燃料は、重油などの液体燃料、都市ガスなどの気体燃料、石炭などの固体燃料に分かれます。

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ボイラーの燃料は、重油などの液体燃料、都市ガスなどの気体燃料、石炭などの固体燃料に分かれます。

燃料が燃えると水蒸気ができます。発熱量は、この水蒸気が水に戻るときに出す熱(潜熱)まで数えるかどうかで、2通りに分かれるのです。第2回のボイラー効率でも出てきた考え方です。

呼び方 別名 中身
高発熱量 総発熱量 水蒸気の潜熱を含めた発熱量
低発熱量 真発熱量 高発熱量から水蒸気の潜熱を差し引いた発熱量

2つの差は、燃料が燃えてできる水蒸気の量で決まります。水蒸気のもとは、燃料に含まれる水素(燃えて水になる)と水分です。だから高発熱量と低発熱量の差は、水素と水分の割合で決まるのです。

⚠ 注意

「差は、水分及び炭素の割合で決まる」(令和8年10月公表)は誤り。炭素は燃えるとCO2になるので、水蒸気とは関係ありません。「低発熱量は、高発熱量から水の顕熱を差し引いたもの」(令和8年4月公表)も誤りで、差し引くのは潜熱です。

💡 覚え方

「高(総)は全部、低(真)は使える分だけ」。煙突から出ていく水蒸気の潜熱は実際には使えないので、それを除いたのが真(本当の)発熱量です。

🤔 ボイラー効率では、どちらの発熱量を使うのでしたか。

低発熱量です(第2回)。ボイラーの排ガスの水蒸気は、通常水に戻らないまま煙突から出ていくので、その潜熱は使えません。実際に使える熱で効率を計算するために、低発熱量を使うのです。

燃料の分析:元素分析・成分分析・工業分析

分析 どの燃料に使うか・何を測るか
元素分析 液体燃料・固体燃料の組成を示すときに使う(炭素・水素などの割合)
成分分析 気体燃料の組成を示すときに使う(メタンなどの成分の割合)
工業分析 固体燃料を気乾試料にして、水分・灰分・揮発分を測り、残りを固定炭素とみなす

⚠ 注意

「液体燃料・固体燃料には成分分析、気体燃料には元素分析」(令和6年4月・令和6年10月公表)は入れ替えで誤りです。ガスは「メタン何%」と成分で、液体や固体は「炭素何%」と元素で表す、と考えましょう。

気乾試料とは、空気中で自然に乾かした試料(調べるために取り分けた燃料)のことです。工業分析は、固体燃料の成分を分析する方法の1つで、石炭の燃焼特性(燃え方の特徴)などをつかむのに有効です。令和4年4月公表で、正しい記述として出ました。

工業分析で測るもの 意味
水分 燃料に含まれる水
灰分(かいぶん) 燃やした後に灰として残る、燃えない成分
揮発分(きはつぶん) 燃料を熱したときにガスなどになって出ていく成分
固定炭素 水分・灰分・揮発分を除いた残り。燃料の中に炭素として残る分

石炭の性質:石炭化度と燃料比

石炭は、大昔の植物が地中で長い年月をかけて、炭素の多いものに変わってできた燃料です。この変化の進み具合を石炭化度といいます。

石炭化度が進むと(試験で「正しい」とされたもの)

①固定炭素は多くなる

②揮発分は少なくなる

③燃料比は大きくなる

④単位質量あたりの発熱量(1kgあたりの発熱量)は、一般に大きくなる

①④は令和2年4月・令和2年10月・令和4年10月公表で、正しい記述として出ました。②は令和4年10月公表、③は令和2年4月・令和2年10月公表で正しい記述です。

燃料比とは?

石炭の固定炭素を揮発分で割った値。燃料比=固定炭素÷揮発分です。

燃料比の例

固定炭素が50%、揮発分が25%の石炭がある

燃料比=50÷25=2

固定炭素が60%、揮発分が20%の石炭なら、60÷20=3(燃料比が大きい)

⚠ 注意

「石炭に含まれる揮発分は、石炭化度の進んだものほど多い」(令和2年4月・令和2年10月公表)は誤り。少なくなります。「石炭の燃料比は、揮発分を固定炭素で除した値」(令和4年10月公表)も誤りで、割り算の向きが逆です。

石炭に含まれる灰分が多くなると、発熱量が減少します(令和2年4月・令和4年10月公表)。燃焼に悪影響を及ぼす、という言い方でも出ました(令和2年10月公表)。どちらも正しい記述です。

💡 覚え方

石炭化度が進む=炭素の多い石炭に近づく。固定炭素が増えて揮発分が減るので、固定炭素÷揮発分(燃料比)は大きくなる、と1つにつなげて覚えましょう。

引火点と着火温度

用語 意味
引火点 液体燃料を加熱すると蒸気が出る。そこへ小さな炎を近づけたとき、瞬間的に光を放って燃え始める最低の温度
着火温度(発火温度) 燃料を空気中で加熱し、ほかから点火しないで自然に燃え始める最低の温度

着火温度は、燃料が加熱されて酸化反応で出す熱と、外へ逃げていく熱との平衡(つり合い)で決まります(令和7年10月公表)。出る熱が逃げる熱を上回ると、温度が上がり続けて自然に燃え出すのです。

⚠ 注意

「点火しないで自然に燃え始める最低の温度を引火点という」(令和8年4月公表)は誤り。それは着火温度です。

油の種類による引火点の違いも出ました。灯油は重油より引火点が低いというのが正解です(令和7年4月公表)。重油の実際の引火点は、一般に100℃前後とされています。

💡 覚え方

引火点=火を「引いて(近づけて)」つく温度、着火温度=火がなくても「着く」温度。火を近づけるぶん、引火点のほうが低い温度です。

重油の性質

重油には、粘り気の少ないA重油から、粘り気の強いC重油までの種類があります。

種類 粘り気(粘度) 主な使われ方
A重油 小さい(さらさら) 小型のボイラーなど。一般に加熱せずに使える
B重油 中くらい A重油とC重油の中間
C重油 大きい(どろっとしている) 大型のボイラーなど。加熱して粘度を下げて使う

試験に出た性質をまとめると、次のとおりです。

重油の性質(試験で「正しい」とされたもの)

①重油の密度は、温度が上がると減る

②重油の粘度は、温度が上がると低くなる(さらさらになる)

③重油の比熱は、温度と密度によって変わる

④重油の実際の引火点は、一般に100℃前後

⑤引火点の低い重油は、一般に粘度も低く密度も小さい

⑥A重油はC重油より、単位質量あたりの発熱量が大きい

⚠ 注意

発熱量の向きは入れ替えが出ます。「密度の大きい重油の方が単位質量あたりの発熱量が大きい」(令和6年4月公表)は誤り。「C重油はA重油より発熱量が大きい」(令和6年10月公表)も誤りです。軽い(密度が小さい)A重油ほど、1kgあたりの発熱量は大きいと覚えましょう。「C重油はA重油より水分が少ない」(令和7年4月公表)も誤りで、C重油のほうが多い側です。

凝固点と流動点:冷やしたときの重油

重油を冷やしていくと、だんだん流れにくくなり、やがて固まります。液体が固まることを、凝固(ぎょうこ)と呼ぶのです。

用語 意味
凝固点 油が低温になって凝固するときの最高温度
流動点 重油を冷やしたときに、流れる状態を保てる最低温度。一般に凝固点より2.5℃高い

例えば凝固点が−10℃の重油なら、流動点は−10+2.5=−7.5℃です。令和4年4月・令和5年4月公表で、流動点の説明は正しい記述として出ました。

⚠ 注意

「重油が低温になって凝固するときの最低温度を凝固点という」(令和2年4月公表)は誤り。正しくは最高温度です(令和5年4月公表で正しい記述)。凝固点は「最高」、流動点は「最低」と、向きをセットで覚えましょう。

石炭と比べた重油の特徴

石炭と比べた重油(試験で「正しい」とされたもの)

①ボイラーの負荷変動への応答性が優れている

②ばいじんの発生量が少ない

③貯蔵中に発熱量が下がるおそれがない

④水分やスラッジの量は、石炭と比べてきわめて少ない

⑤燃焼温度が高いため、ボイラーの局部過熱や炉壁の損傷を起こしやすい

⑥クリンカの発生が少ない

⑦急着火・急停止の操作が容易

①〜④は令和8年10月公表、①⑤⑥は令和3年4月・令和4年10月公表、⑦は令和4年4月・令和4年10月公表で出ました。①は令和4年4月公表でも正しい記述です。②は、令和4年4月公表では「すすやダストの発生が少ない」という言い方で出ました。

局部過熱とは、ボイラーの一部分だけが熱くなりすぎることです。クリンカは、燃料の灰が溶けて固まったものです。

⚠ 注意

⑤は向きの入れ替えが出ます。「燃焼温度が低いため、ボイラーの局部過熱及び炉壁の損傷を起こしにくい」(令和4年4月公表)は誤りです。重油は燃焼温度が高い側、と覚えておきましょう。

「完全燃焼させるのにより多くの過剰空気が必要」は、令和3年4月・令和4年10月・令和8年10月公表で誤りとされました。液体の重油は霧にして空気とよく混ぜられるので、石炭より少ない過剰空気で完全燃焼できます。「小さな量の過剰空気で完全燃焼させることができる」が正しい記述です(令和4年4月公表)。

重油の加熱:ちょうどよい粘度にする

粘り気の強い重油は、そのままでは細かい霧にできません。そこで粘度の高い重油を加熱して、噴霧に適した粘度にします。

加熱温度 起きること
高すぎる いきづき燃焼(炎が息をするように不安定になる)/バーナ管内で油が気化してベーパロック(油が流れなくなる)/炭化物(炭のような固まり)ができる原因になる
低すぎる 霧化不良で燃焼が不安定になる/すすが出る

「高すぎると炭化物生成の原因となる」は、令和2年4月公表で正しい記述でした。すすが出るのは、温度が低すぎる側です(令和4年10月・令和7年10月公表)。

⚠ 注意

「加熱温度が高すぎると、すすが発生する」(令和5年4月公表)は誤り。すすは低すぎる側です。同じ問題の「加熱温度が低すぎると、振動燃焼となる」も誤りでした。低すぎるときに起きるのは、霧化不良・燃焼が不安定・すすです(令和6年4月・令和4年10月・令和7年10月公表)。

目安として、C重油の加熱温度は一般に80〜105℃です。一方、A重油や軽油のように粘度の低い油は、一般に加熱しなくてもそのまま霧にできます。

⚠ 注意

「粘度の低い重油を加熱する」(令和6年4月公表)は誤りで、加熱するのは粘度の高い重油です。令和7年10月公表の「A重油や軽油は一般に50〜60℃に加熱する必要がある」も誤り。同じく「加熱温度が低すぎるとベーパロック」も誤りです。ベーパロックは温度が高すぎて油が気化することで起きます。

加熱しすぎも、足りないのもよくありません。ちょうど霧にしやすい粘度に合わせることが大切で、油加熱器の温度はそのために調整します。

燃料油の供給装置

燃料油タンクは、用途により貯蔵タンクとサービスタンクに分類される、というのが出発点です。令和5年10月公表から毎回のように、正しい記述として出ています。油をまとめて蓄えるのが貯蔵タンク、バーナの近くで使う分をためるのがサービスタンクです。

装置 役目・決まり
貯蔵タンク 1週間〜1か月分を蓄える。油の送入管は上部、取出し管は底から20〜30cm上(底の水やスラッジを吸わない)。油面計を取り付ける
サービスタンク バーナの近くで使う分をためる。最大燃焼量の2時間分程度。油面計・温度計・自動油面調節装置を付ける
油ストレーナ 油の中の土砂・鉄さび・ごみなどの固形物を取り除く(オートクリーナなど)。水分は取れない。タンク本体ではなく送油の配管の途中に設ける
油加熱器 燃料油を加熱して噴霧に適した粘度にする。蒸気式と電気式がある
噴燃ポンプ・油量調節弁 バーナへ油を送り、燃やす量を調節する

⚠ 注意

「貯蔵タンクに自動油面調節装置を付ける」(令和6年10月・令和8年4月公表)は誤り。付けるのはサービスタンクです。「油ストレーナで水分を除去できる」(令和5年10月・令和6年4月・令和7年10月公表)も誤りです。「貯蔵タンクの油送入管は、底から20〜30cm上に付ける」(令和8年10月公表)も誤り。20〜30cm上に付けるのは取出し管で、送入管はタンクの上部です。

ストレーナとは、液体を通しながら固形物を受け止める、こし器のことです。油ストレーナを設けるのは、送油の配管の途中です。例えば、噴燃ポンプの吐出し側(油を送り出す側)に設けるものを吐出し側ストレーナといいます。流量計・調節弁・遮断弁の目詰まりなどを防ぐためのもので、一級ボイラー技士の公表問題で正しい記述とされました。

⚠ 注意

「サービスタンク本体には、油ストレーナなどを取り付ける」(平成31年4月公表)は誤り。サービスタンクに付けるのは油面計・温度計・自動油面調節装置などで、ストレーナは配管の途中です。

油加熱器には、蒸気の熱で温める蒸気式と、電気で温める電気式があります(令和3年10月公表で正しい記述)。

気体燃料の性質

気体燃料(固体燃料と比べて)

①メタンなどの炭化水素が主な成分。成分中の炭素に対する水素の割合が高い

②硫黄分や灰分が少なく、伝熱面や炉の壁をほとんど汚さない。クリンカ(灰が溶けて固まったもの)もほとんど出ない

③同じ熱量なら、CO2の発生は石炭の約60%で、温室効果ガスの削減に有効

④漏れると燃えやすい混合気をつくりやすく、爆発の危険がある

ガス 特徴
都市ガス 一般に天然ガスが原料。液体燃料よりNOxやCO2の排出が少なく、SOxは出さない
LPG(液化石油ガス) 常温・常圧では気体だが、常温で加圧すると液化できる。都市ガスより発熱量が大きく、密度が大きい。漏れるとくぼみなどの底にたまりやすい
LNG(液化天然ガス) 天然ガスを産地で精製したあと、−162℃に冷やして液化したもの
オフガス 石油化学工場で発生するガス。特定のエリアや工場で燃料に使われる

LPGは Liquefied Petroleum Gas の頭文字です。L=液化した、P=石油の、G=ガス、という意味になります。LNGは Liquefied Natural Gas で、N=天然の。「LP」=石油、「LN」=天然と、真ん中の1文字で見分けましょう。

精製とは、まじりものを取り除いてきれいにすることです。LNGの説明は、令和2年10月公表で正しい記述として出ました。

オフガスは、英語の off-gas(出てくるガス)から来た言葉です。石油化学工場で発生するオフガスは、特定のエリアや工場で使われる気体燃料の1つです。令和3年10月公表で、正しい記述とされました。

パイロットバーナとは、主バーナに火をつける種火用の小さなバーナのことです。重油をたくボイラー(液体燃料ボイラー)でも、その燃料にはLPGを使うことが多いのです。令和3年10月公表で、正しい記述でした。

⚠ 注意

「CO2の発生は石炭の1/3以下」(令和6年4月公表)は誤りで、約60%です。「都市ガスは漏れるとくぼみにたまりやすい」(令和5年10月公表)も誤り。底にたまるのは空気より重いLPGです。「都市ガスは液体燃料よりCO2の排出量が多い」(令和8年10月公表)も誤りです。

⚠ 注意

①の「水素の割合が高い」は、向きを入れ替えた誤りが出ます。「石炭や液体燃料に比べて、成分中の水素に対する炭素の比率が高い」(令和3年10月公表)は誤り。「固体燃料と比べて、成分中の炭素に対する水素の比率が低い」(令和5年4月公表)も誤りです。気体燃料は水素の多い燃料、と覚えておきましょう。

気体燃料のお金の面:燃料費と配管費

気体燃料は、固体燃料と比べると燃料費が割高です(令和5年4月公表で正しい記述)。

また、気体燃料は液体燃料に比べて配管の口径(管の太さ)が大きくなります。そのため、配管費や制御機器費などが高くなるのです。一級ボイラー技士の公表問題で、正しい記述とされました。

⚠ 注意

「気体燃料は、液体燃料に比べ、配管口径が小さくなるので、配管費などが安くなる」(令和2年10月公表)は誤り。太く・高くが正しい向きです。

気体燃料の燃え方の特徴

気体燃料の燃焼の特徴

①燃やすときに微粒化や蒸発の手間がいらない。燃料の加熱も、霧化用の高圧空気・蒸気もいらない

②空気との混ぜ方を自由に決めやすく、炎の広がりや長さの調節が容易

③燃焼が安定し、点火・消火が容易で、自動化しやすい

④ガスの炎は油の炎より放射が弱いので、火炉での放射伝熱は減り、接触伝熱面での伝熱が増える

⑤温暖化ガスの削減や公害防止の面で有利(令和8年4月公表)

⚠ 注意

④は向きの入れ替えが定番です。「ガス火炎は放射率が高い」(令和5年10月公表)は誤り。「火炉での放射伝熱量は増え、接触伝熱面での伝熱量は減る」(令和6年10月・令和8年4月公表)も誤りです。ガスの炎は青く透き通って光が弱い、と思い浮かべてください。

練習問題:燃料の性質

答えと考え方

①「重油の粘度は、温度が上がると高くなる」 → 誤り(温めるとさらさらになる=低くなる)

②「液体燃料・固体燃料の発熱量は、通常MJ/kgで表す」 → 正しい

③「工業分析では、水分・灰分・揮発分を測り、残りを固定炭素とみなす」 → 正しい

④「貯蔵タンクの油取出し管は、タンクの底に取り付ける」 → 誤り(底から20〜30cm上)

⑤「気体燃料は、硫黄分や灰分が少なく、伝熱面をほとんど汚さない」 → 正しい

試験ではこう出る

よくある記述 判断
高発熱量と低発熱量の差は、水素と水分の割合で決まる 正しい
液体・固体燃料には成分分析、気体燃料には元素分析を用いる 誤り。逆
点火しないで自然に燃え始める最低の温度を引火点という 誤り。着火温度
C重油は、A重油より単位質量あたりの発熱量が大きい 誤り。A重油が大きい
加熱温度が高すぎると、ベーパロックを起こす 正しい
サービスタンクの貯油量は、最大燃焼量の2時間分程度とする 正しい
油ストレーナで油中の水分を除去できる 誤り
LPGは、漏れるとくぼみなどの底部に滞留しやすい 正しい
工業分析は、石炭の燃焼特性などを把握するのに有効である 正しい
石炭に含まれる揮発分は、石炭化度の進んだものほど多い 誤り。少ない
石炭の燃料比は、揮発分を固定炭素で除した値である 誤り。固定炭素÷揮発分
石炭に含まれる灰分が多くなると、発熱量が減少する 正しい
重油が凝固するときの最低温度を凝固点という 誤り。最高温度
流動点は、流動状態を保てる最低温度で、一般に凝固点より2.5℃高い 正しい
重油の加熱温度が高すぎると、炭化物生成の原因となる 正しい
重油の加熱温度が高すぎると、すすが発生する 誤り。すすは低すぎるとき
重油の加熱温度が低すぎると、振動燃焼となる 誤り
サービスタンク本体には、油ストレーナなどを取り付ける 誤り。配管の途中
油加熱器には、蒸気式と電気式がある 正しい
重油燃焼は石炭燃焼より燃焼温度が低く、局部過熱を起こしにくい 誤り。高く、起こしやすい
重油燃焼は石炭燃焼に比べ、クリンカの発生が少なく、急着火・急停止が容易 正しい
LNGは、天然ガスを産地で精製後、−162℃に冷却し液化したもの 正しい
気体燃料は液体燃料より配管口径が小さく、配管費などが安い 誤り。太く・高い
気体燃料は、固体燃料と比べて燃料費が割高である 正しい
液体燃料ボイラーのパイロットバーナの燃料には、LPGを使うことが多い 正しい
石油化学工場で発生するオフガスも、気体燃料として使われる 正しい

出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(平成31年4月〜令和8年10月公表)。一部は一級ボイラー技士の公表問題も参照し、ゼロパスが要点を整理しました。

よくある質問

Q. 燃料油の流れを、まとめて教えてください。

A. 一般的には、貯蔵タンク→(移送ポンプ)→サービスタンク→噴燃ポンプ→油加熱器→油量調節弁→バーナの順です。令和7年4月公表では、この系統図のA=貯蔵タンク、B=噴燃ポンプ、C=油量調節弁を選ぶ問題が出ました。

Q. なぜA重油のほうが、C重油より1kgあたりの発熱量が大きいのですか。

A. 軽い油ほど、成分の中の水素の割合が多い傾向があるからです。水素は同じ重さあたりで出す熱がとても大きいので、水素の多いA重油のほうが1kgあたりの発熱量が大きくなります。

Q. なぜ重油の取出し管を、タンクの底から少し上に付けるのですか。

A. タンクの底には、油より重い水やスラッジ(沈殿物)がたまるからです。底から直接取り出すと、水やスラッジまで吸い込んで、バーナの詰まりや燃焼不良の原因になります。

まとめ

・高(総)発熱量−潜熱=低(真)発熱量。差は水素と水分で決まる

・液体・固体=元素分析、気体=成分分析。工業分析の残りは固定炭素で、石炭の燃焼特性をつかむのに有効

・石炭化度が進むと固定炭素↑・揮発分↓・燃料比↑・発熱量↑。燃料比=固定炭素÷揮発分。灰分が多いと発熱量が減る

・引火点=火を近づけて、着火温度=火なしで燃え始める最低温度(引火点のほうが低い)

・重油は温度が上がると密度・粘度が下がる。A重油ほど1kgの発熱量が大きい。凝固点=固まる最高温度、流動点=流れる最低温度(凝固点+2.5℃)

・C重油の加熱は80〜105℃。高すぎ=いきづき燃焼・ベーパロック・炭化物、低すぎ=霧化不良・すす(振動燃焼ではない)

・石炭と比べた重油=燃焼温度が高く局部過熱しやすい・クリンカが少ない・急着火と急停止が容易・少ない過剰空気でよい

・自動油面調節装置はサービスタンク、ストレーナは配管の途中・水分を取れない、油加熱器は蒸気式と電気式

・LPGは底にたまる(都市ガスはたまりにくい)。LNG=−162℃で液化。パイロットバーナにはLPGが多い。オフガスも燃料になる

・気体燃料は水素の割合が高い。固体燃料より燃料費は割高、液体燃料より配管が太く配管費が高い

・ガスの炎は油より放射が弱く、火炉での放射伝熱は減り、接触伝熱面での伝熱が増える