二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和6年4月公表分の「ボイラーの構造」(問1〜問10)です。

専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和6年4月公表)

問1 熱の伝わり方(熱伝導・熱伝達・放射伝熱・熱貫流)

令和6年4月公表分野:熱の伝わり方(熱伝導・熱伝達・放射伝熱・熱貫流)重要度 ★★★
伝熱について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)伝熱作用は、熱伝導、熱伝達及び放射伝熱の三つに分けることができる。
(2)温度が一定でない物体の内部で、温度の高い部分から低い部分へ、順次、熱が移動する現象を熱伝達という。
(3)空間を隔てて相対している物体間に、熱が移動する現象を放射伝熱という。
(4)固体壁を通して、高温流体から低温流体へ熱が移動する現象を熱貫流又は熱通過という。
(5)熱貫流は、一般に熱伝達及び熱伝導が総合されたものである。
答え・解説を見る
正解

(2)
温度が一定でない物体の内部で、温度の高い部分から低い部分へ、順次、熱が移動する現象を熱伝達という。

この問題は何を聞いている?

熱の伝わり方の名前を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。似た名前を「どこで起きるか」で区別できるかが決め手です。

流体とは?

気体と液体をまとめた呼び名。ボイラーでは、燃焼ガス(燃えたあとの熱いガス)や水・蒸気が流体です。

名前 どこで起きるか 身近な例
熱伝導 1つの物体の内部で、温度の高い所から低い所へ フライパンの持ち手まで熱くなる
熱伝達 流体と固体の表面のあいだで 熱いお茶が湯のみの内側を温める
放射伝熱 空間を隔てて、離れた物体へ たき火に当たると顔が熱い

(1) ⭕ 正しい記述

伝熱作用は、熱伝導、熱伝達及び放射伝熱の三つに分けることができる。

熱の伝わり方の基本は、熱伝導・熱伝達・放射伝熱の3つです。上の表の3つが、そのまま選択肢の3つに当たります。

(2) ❌ 誤りの記述

温度が一定でない物体の内部で、温度の高い部分から低い部分へ、順次、熱が移動する現象を熱伝達という。

物体の内部で、温度の高い部分から低い部分へ熱が移る現象は、熱伝導です。熱伝達は、流体と固体の表面のあいだで熱が伝わる現象のこと。「熱伝導」が「熱伝達」に入れ替えられている点が誤りです。

(3) ⭕ 正しい記述

空間を隔てて相対している物体間に、熱が移動する現象を放射伝熱という。

空間を隔てて向かい合った物体のあいだで熱が移る現象が、放射伝熱です。たき火に当たると、火に触れていなくても顔が熱くなるのと同じ伝わり方です。

(4) ⭕ 正しい記述

固体壁を通して、高温流体から低温流体へ熱が移動する現象を熱貫流又は熱通過という。

高温の流体から、固体の壁を通って、低温の流体へ熱が移る現象を熱貫流といいます。熱通過は、その別の呼び名です。ボイラーなら、燃焼ガス→鉄の壁→水の流れがこれに当たります。

(5) ⭕ 正しい記述

熱貫流は、一般に熱伝達及び熱伝導が総合されたものである。

熱貫流は、3つの段階でできています。①高温の流体から壁の表面へ(熱伝達)、②壁の中を通る(熱伝導)、③壁の表面から低温の流体へ(熱伝達)です。つまり、熱伝達と熱伝導をまとめた全体が熱貫流なのです。

💡 覚え方

伝導は「物の中」、伝達は「流体と壁の表面」。「物体の内部で」という言葉を見たら、熱伝導になっているかを確かめましょう。

以上から、正解は(2)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第1回 熱と蒸気のきほん

問2 水管ボイラー(自然循環式・強制循環式・貫流式)

令和6年4月公表分野:水管ボイラー(自然循環式・強制循環式・貫流式)重要度 ★★
水管ボイラーについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)自然循環式水管ボイラーは、高圧になるほど蒸気と水との密度差が大きくなり、ボイラー水の循環力が強くなる。
(2)強制循環式水管ボイラーは、ボイラー水の循環系路中に設けたポンプによって、強制的にボイラー水の循環を行わせる。
(3)二胴形水管ボイラーは、炉壁内面に水管を配した水冷壁と、上下ドラムを連絡する水管群を組み合わせた形式のものが一般的である。
(4)高圧大容量の水管ボイラーには、炉壁全面が水冷壁で、蒸発部の接触伝熱面が少ない放射形ボイラーが多く用いられる。
(5)貫流ボイラーは、管系だけで構成され、蒸気ドラム及び水ドラムを必要としないので、高圧ボイラーに適している。
答え・解説を見る
正解

(1)
自然循環式水管ボイラーは、高圧になるほど蒸気と水との密度差が大きくなり、ボイラー水の循環力が強くなる。

この問題は何を聞いている?

水管ボイラーの種類ごとの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

水管ボイラーとは?

ドラム(水や蒸気をためる円筒)と多数の水管を組み合わせたボイラー。水管の中を流れる水を、外側の燃焼ガスで熱して蒸気をつくります。

方式 水の流れ方
自然循環式 水と蒸気の密度(重さ)の差で、ポンプなしで自然に回る
強制循環式 循環の通り道にポンプを設けて、強制的に回す
貫流式 管の入口から出口まで一方通行で流れながら蒸気になる

(1) ❌ 誤りの記述

自然循環式水管ボイラーは、高圧になるほど蒸気と水との密度差が大きくなり、ボイラー水の循環力が強くなる。

向きが逆です。自然循環の力は、水と蒸気の密度の差から生まれます。圧力が高くなると、蒸気が押し縮められて重くなり、密度の差は小さくなるのです。その結果、循環力は弱くなります。「大きくなり」「強くなる」の2か所が誤りです。

(2) ⭕ 正しい記述

強制循環式水管ボイラーは、ボイラー水の循環系路中に設けたポンプによって、強制的にボイラー水の循環を行わせる。

強制循環式は、ボイラー水が回る通り道(循環系路)の途中にポンプを設けた方式です。ポンプの力で、強制的に水を循環させます。

(3) ⭕ 正しい記述

二胴形水管ボイラーは、炉壁内面に水管を配した水冷壁と、上下ドラムを連絡する水管群を組み合わせた形式のものが一般的である。

二胴形は、上に蒸気ドラム、下に水ドラムの2つの胴がある形です。燃焼室の壁の内側に水管を並べた水冷壁と、上下のドラムをつなぐ水管群を組み合わせた形が一般的です。

(4) ⭕ 正しい記述

高圧大容量の水管ボイラーには、炉壁全面が水冷壁で、蒸発部の接触伝熱面が少ない放射形ボイラーが多く用いられる。

放射形ボイラーは、炉の壁の全面を水冷壁にしたボイラーです。炎からの放射熱を、水冷壁で大量に受け取る形です。そのため、ガスが触れて流れる面(接触伝熱面)は少ないのが特徴で、高圧大容量に多く使われています。

(5) ⭕ 正しい記述

貫流ボイラーは、管系だけで構成され、蒸気ドラム及び水ドラムを必要としないので、高圧ボイラーに適している。

貫流ボイラーは、蒸気ドラムも水ドラムもなく、管だけでできています。ドラムという大きな胴がないので、高い圧力に耐えやすく、高圧ボイラーに適しているのです。

💡 覚え方

高圧になると、蒸気が押し縮められて水の重さに近づく。重さの差が小さくなれば、回る力も弱まります。だから高圧では、ポンプで回す強制循環式が使われるのです。

以上から、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第2回 ボイラーの全体像・水循環・容量と効率 / 第4回 水管ボイラーと貫流ボイラー

問3 鋳鉄製蒸気ボイラー(給水管と返り管)

令和6年4月公表分野:鋳鉄製蒸気ボイラー(給水管と返り管)重要度 ★★★
鋳鉄製蒸気ボイラーについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)暖房用ボイラーでは、原則として復水を循環使用する。
(2)暖房用ボイラーの返り管の取付けには、ハートフォード式連結法が用いられる。
(3)暖房用ボイラーの給水管は、ポンプ循環方式の場合にはボイラーに直接取り付ける。
(4)セクションの数は20枚程度で、伝熱面積は50m²程度までが一般的である。
(5)多数のスタッドを取り付けたセクションによって、伝熱面積を増加させることができる。
答え・解説を見る
正解

(3)
暖房用ボイラーの給水管は、ポンプ循環方式の場合にはボイラーに直接取り付ける。

この問題は何を聞いている?

ビルなどの暖房に使われる鋳鉄製蒸気ボイラーの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

鋳鉄製ボイラーとは?

鋳物でつくったセクションという板状の部品を、何枚も前後に重ねて組み立てるボイラー。主に暖房用として、低い圧力の蒸気や温水をつくります。

返り管とは?

暖房に使った蒸気が水(復水)に戻り、その水がボイラーへ帰ってくるための管。

(1) ⭕ 正しい記述

暖房用ボイラーでは、原則として復水を循環使用する。

暖房用の蒸気ボイラーでは、原則として復水を循環使用します。復水はまだ温かく、不純物も少ないからです。冷たい新しい水を毎回入れるより、燃料が節約できます。

(2) ⭕ 正しい記述

暖房用ボイラーの返り管の取付けには、ハートフォード式連結法が用いられる。

返り管のつなぎ方には、ハートフォード式連結法が使われます。返り管を安全低水面(これより下げてはいけない水位)の近くでつなぐ方法です。水が返り管へ逆流しても水位が下がりすぎないので、低水位事故を防げるのです。

(3) ❌ 誤りの記述

暖房用ボイラーの給水管は、ポンプ循環方式の場合にはボイラーに直接取り付ける。

給水管は、ボイラーに直接取り付けません。返り管に取り付けるのが決まりです。給水も、返り管を通してボイラーへ入れるしくみです。「返り管に」が「ボイラーに直接」に入れ替えられている点が誤りです。

(4) ⭕ 正しい記述

セクションの数は20枚程度で、伝熱面積は50m²程度までが一般的である。

セクションの数は20枚程度まで、伝熱面積(熱を受け取る面の広さ)は50m²程度までが一般的です。数字がそのまま問われるので、2つをセットで押さえましょう。

(5) ⭕ 正しい記述

多数のスタッドを取り付けたセクションによって、伝熱面積を増加させることができる。

スタッドは、セクションのガスの通り道に付けた多数の突起です。突起のぶん、ガスに触れる面が広くなります。こうして伝熱面積を大きくし、効率をよくしているのです。

方式 給水管・返り管の取付け
ポンプ循環方式 返り管は安全低水面以下150mm以内の高さに取り付ける。給水管は返り管に取り付ける
重力循環方式 給水管は、ボイラー本体に直接つけず、返り管に取り付ける

💡 覚え方

鋳鉄製蒸気ボイラーの給水管は、どちらの方式でも返り管へ。「ボイラーに直接」という言葉が出てきたら、誤りを疑いましょう。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第3回 丸ボイラーと鋳鉄製ボイラー

問4 各部の構造と強さ(胴・マンホール・炉筒)

令和6年4月公表分野:各部の構造と強さ(胴・マンホール・炉筒)重要度 ★★
ボイラー各部の構造及び強さについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)胴板には、内部の圧力によって引張応力が生じる。
(2)薄肉円筒で胴板の厚さが同じ場合、周方向の引張応力は軸方向の引張応力の2倍である。
(3)だ円形のマンホールを胴に設ける場合には、短径部を胴の軸方向に配置する。
(4)波形炉筒は、平形炉筒に比べ、熱による炉筒の伸縮を吸収でき、外圧に対する強度も高い。
(5)炉筒は、鏡板で拘束されているため、燃焼ガスによって加熱されると炉筒板内部に引張応力が生じる。
答え・解説を見る
正解

(5)
炉筒は、鏡板で拘束されているため、燃焼ガスによって加熱されると炉筒板内部に引張応力が生じる。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの胴や炉筒にかかる力についての問題です。適切でないものを1つ選びます。

引張応力と圧縮応力とは?

引張応力は「引き伸ばされる力」、圧縮応力は「押し縮められる力」。ゴムを両側から引っ張るのが引張、両側から押すのが圧縮です。

(1) ⭕ 正しい記述

胴板には、内部の圧力によって引張応力が生じる。

胴は、水や蒸気をためる円筒形の容器です。中の圧力が壁を内側から押すので、胴の板には引き伸ばされる力、つまり引張応力がかかります。

(2) ⭕ 正しい記述

薄肉円筒で胴板の厚さが同じ場合、周方向の引張応力は軸方向の引張応力の2倍である。

胴の板にかかる力には、2つの向きがあります。胴の周りを一周する向き(周方向)と、胴の長さの向き(軸方向)です。板の厚さが同じ薄い円筒では、周方向の引張応力が軸方向の2倍になります。

(3) ⭕ 正しい記述

だ円形のマンホールを胴に設ける場合には、短径部を胴の軸方向に配置する。

マンホールは、人が入って点検・清掃するための穴です。大きい周方向の力を受け持つ部分を、なるべく切らない向きに開けます。そのため、だ円形の穴は短径(短い径)を胴の軸方向にそろえるのです。

(4) ⭕ 正しい記述

波形炉筒は、平形炉筒に比べ、熱による炉筒の伸縮を吸収でき、外圧に対する強度も高い。

炉筒は、丸ボイラーの胴の中にある、火を燃やす筒です。板を波の形にした波形炉筒は、波の部分が、ばねのように伸び縮みを吸収するのです。平らな筒(平形炉筒)に比べて、外からの圧力にも強くなります。

(5) ❌ 誤りの記述

炉筒は、鏡板で拘束されているため、燃焼ガスによって加熱されると炉筒板内部に引張応力が生じる。

生じるのは、引張応力ではなく圧縮応力です。炉筒は熱せられると、長さの方向に伸びようとします。ところが両端は鏡板(胴の両端をふさぐ板)に固定されていて、自由に伸びられません。伸びようとして押し返されるので、押し縮められる力がかかるのです。

🤔 なぜ周方向の力のほうが2倍も大きいのですか。

周方向の力は、胴の長さ全体で円筒を引き裂こうとします。軸方向の力は、両端のふた(鏡板)の面積ぶんしか押しません。計算すると、周方向のほうがちょうど2倍になるのです。

💡 覚え方

胴は内側から押し広げられるので引張、炉筒は伸びようとして押し返されるので圧縮。「炉筒」と「加熱」が出てきたら、圧縮応力になっているかを確かめましょう。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第5回 各部の構造と強さ

問5 ばね安全弁(揚程式と全量式)

令和6年4月公表分野:ばね安全弁(揚程式と全量式)重要度 ★★★
ボイラーのばね安全弁について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)安全弁には、揚程式と全量式がある。
(2)安全弁の吹出し圧力は、調整ボルトを締めたり緩めたりして調整する。
(3)弁体が弁座から上がる距離を揚程(リフト)という。
(4)弁座流路面積は、弁体と弁座間の面積で、カーテン面積ともいう。
(5)全量式安全弁は、弁座流路面積で吹出し面積が決まる。
答え・解説を見る
正解

(5)
全量式安全弁は、弁座流路面積で吹出し面積が決まる。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの圧力が上がりすぎたときに蒸気を逃がす安全弁の問題です。適切でないものを1つ選びます。

ばね安全弁とは?

ばねの力で、弁体(ふた)を弁座(受け口)に押しつけている安全弁。蒸気の圧力が設定した圧力に達すると、弁が自動的に開いて蒸気を吹き出します。

(1) ⭕ 正しい記述

安全弁には、揚程式と全量式がある。

安全弁には、揚程式と全量式の2種類があります。違いは、吹き出す蒸気の量をどの面積で決めているかです。

(2) ⭕ 正しい記述

安全弁の吹出し圧力は、調整ボルトを締めたり緩めたりして調整する。

吹出し圧力は、調整ボルトを締めたり緩めたりして調整します。ばねが弁体を押す力が変わるので、弁が開く圧力も変わるしくみです。

(3) ⭕ 正しい記述

弁体が弁座から上がる距離を揚程(リフト)という。

弁体が弁座から持ち上がる距離を、揚程(リフト)といいます。

(4) ⭕ 正しい記述

弁座流路面積は、弁体と弁座間の面積で、カーテン面積ともいう。

弁座流路面積は、持ち上がった弁体と弁座のすき間の面積です。カーテンのように周りを囲む面なので、カーテン面積とも呼ばれます。

(5) ❌ 誤りの記述

全量式安全弁は、弁座流路面積で吹出し面積が決まる。

弁座流路面積で吹出し面積が決まるのは、揚程式です。全量式は、弁座の下のいちばん細い通路、つまりのど部の面積で決まります。「のど部の面積」が「弁座流路面積」に入れ替えられている点が誤りです。

種類 吹出し面積を決めるもの
揚程式 弁座流路面積(カーテン面積)。リフトが小さめ
全量式 のど部の面積。リフトを大きくとり、弁座流路面積をのど部より十分大きくしている

💡 覚え方

全量式=弁を全部(全量)開け切る。大きく開ければ弁のまわりは十分広くなり、残る細い所はのど部だけです。揚程式は開きが小さいので、弁のまわりのすき間が流れを決めます。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第6回 附属品①(安全弁・圧力計・水面計)

問6 水面測定装置(ガラス水面計)

令和6年4月公表分野:水面測定装置(ガラス水面計)重要度 ★★★
ボイラーの水面測定装置について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)貫流ボイラーを除く蒸気ボイラーには、原則として、2個以上のガラス水面計を見やすい位置に取り付ける。
(2)ガラス水面計は、可視範囲の最下部がボイラーの安全低水面より上方になるように取り付ける。
(3)ガラス水面計は、ボイラー本体又は蒸気ドラムに直接取り付けるか、若しくは水柱管を設けこれに取り付ける。
(4)丸形ガラス水面計は、主として最高使用圧力1MPa以下の丸ボイラーなどに用いられる。
(5)平形反射式水面計は、ガラスの前面から見ると水部は光が通って黒色に見え、蒸気部は光が反射されて白色に光って見える。
答え・解説を見る
正解

(2)
ガラス水面計は、可視範囲の最下部がボイラーの安全低水面より上方になるように取り付ける。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水位を見る道具(水面計)についての問題です。適切でないものを1つ選びます。

安全低水面とは?

ボイラーを使っている間、これより水位を下げてはいけない最低の水面のこと。

💡 なぜ? 水位が下がりすぎると、熱を受ける面が水から出てしまい、焼けて傷むからです。

(1) ⭕ 正しい記述

貫流ボイラーを除く蒸気ボイラーには、原則として、2個以上のガラス水面計を見やすい位置に取り付ける。

水面計は、汚れや詰まりで正しい水位を示さなくなることがあります。2個以上あれば、見比べて異常に気づけるのです。そのため、貫流ボイラーを除く蒸気ボイラーには、原則として2個以上を見やすい位置に付けます。

(2) ❌ 誤りの記述

ガラス水面計は、可視範囲の最下部がボイラーの安全低水面より上方になるように取り付ける。

ガラスの見える範囲(可視範囲)の最下部は、安全低水面と同じ高さに合わせます。「同じ高さ」が「上方」に入れ替えられている点が誤りです。同じ高さにしておけば、水面がガラスから消えた瞬間=安全低水面だと分かります。

(3) ⭕ 正しい記述

ガラス水面計は、ボイラー本体又は蒸気ドラムに直接取り付けるか、若しくは水柱管を設けこれに取り付ける。

ガラス水面計は、ボイラー本体や蒸気ドラムに直接付けるのが1つの方法です。水柱管(水面計を付けるための縦の管)を設けて、それに付ける方法もあります。

(4) ⭕ 正しい記述

丸形ガラス水面計は、主として最高使用圧力1MPa以下の丸ボイラーなどに用いられる。

丸形ガラス水面計は、主に最高使用圧力1MPa以下の丸ボイラーなどに使われます。丸ボイラーは、大きな胴に水をためる形のボイラーです。

(5) ⭕ 正しい記述

平形反射式水面計は、ガラスの前面から見ると水部は光が通って黒色に見え、蒸気部は光が反射されて白色に光って見える。

平形反射式水面計は、前から見ると水部は光が通って黒く見えます。蒸気部は光が反射して白く光って見えるので、水位がはっきり分かるのです。

水面計 見え方
平形反射式水面計 水部は黒、蒸気部は白く光る
二色水面計 蒸気部は赤、水部は緑(青)

💡 覚え方

可視範囲の最下部は安全低水面と「同じ高さ」。ガラスの中に水面が見えているあいだは、安全低水面より上に水があると分かる付け方です。

以上から、正解は(2)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第6回 附属品①(安全弁・圧力計・水面計)

問7 吹出し装置(急開弁と漸開弁)

令和6年4月公表分野:吹出し装置(急開弁と漸開弁)重要度 ★★
ボイラーの吹出し装置について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)吹出し管は、ボイラー水の濃度を下げたり、沈殿物を排出するため、胴又はドラムに設けられる。
(2)吹出し弁には、スラッジなどによる故障を避けるため、仕切弁又はY形弁が用いられる。
(3)大形及び高圧のボイラーには、2個の吹出し弁を直列に設け、ボイラーに近い方には漸開弁を取り付ける。
(4)小容量の低圧のボイラーでは、吹出しコックが用いられることが多い。
(5)連続吹出し装置は、ボイラー水の濃度を一定に保つように調節弁によって吹出し量を加減し、ボイラー水を少量ずつ連続的に吹き出す装置である。
答え・解説を見る
正解

(3)
大形及び高圧のボイラーには、2個の吹出し弁を直列に設け、ボイラーに近い方には漸開弁を取り付ける。

この問題は何を聞いている?

ボイラー水の汚れを外へ出す吹出し装置の問題です。適切でないものを1つ選びます。

吹出し(ブロー)とは?

ボイラー水の濃くなった不純物や、底にたまった沈殿物(スラッジ)を外へ出すこと。

💡 なぜ? 水が蒸気になって出ていくぶん、水に溶けていた不純物が濃くなっていくからです。

(1) ⭕ 正しい記述

吹出し管は、ボイラー水の濃度を下げたり、沈殿物を排出するため、胴又はドラムに設けられる。

吹出し管は、ボイラー水の濃度を下げたり、沈殿物を出したりするための管です。胴やドラム(水や蒸気をためる円筒形の容器)に設けます。

(2) ⭕ 正しい記述

吹出し弁には、スラッジなどによる故障を避けるため、仕切弁又はY形弁が用いられる。

吹出し弁には、仕切弁またはY形弁を使います。スラッジなどで故障しないようにするためです。

(3) ❌ 誤りの記述

大形及び高圧のボイラーには、2個の吹出し弁を直列に設け、ボイラーに近い方には漸開弁を取り付ける。

前半の「2個の吹出し弁を直列に設ける」は合っています。誤りは並べ方で、ボイラーに近い方に付けるのは急開弁(すばやく開く弁)です。漸開弁(少しずつ開く弁)は、ボイラーから遠い方に付けます。

(4) ⭕ 正しい記述

小容量の低圧のボイラーでは、吹出しコックが用いられることが多い。

小容量で低圧のボイラーでは、弁のかわりに吹出しコックが多く使われます。

(5) ⭕ 正しい記述

連続吹出し装置は、ボイラー水の濃度を一定に保つように調節弁によって吹出し量を加減し、ボイラー水を少量ずつ連続的に吹き出す装置である。

連続吹出し装置は、調節弁で吹出し量を加減する装置です。ボイラー水を少量ずつ連続して吹き出し、濃度を一定に保ちます。

位置 付ける弁 使い方
ボイラーに近い方 急開弁 全開か全閉で使う
ボイラーから遠い方 漸開弁 吹き出す量を少しずつ調整する

💡 覚え方

ボイラーの近くは、さっと開け閉めする急開弁。外側で、ゆっくり量を決める漸開弁。「近い方に漸開弁」は、2つの位置を入れ替えたひっかけです。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第7回 附属品②(給水・吹出し・送気・熱回収)

問8 空気予熱器を設置した場合の利点

令和6年4月公表分野:空気予熱器を設置した場合の利点重要度 ★★
ボイラーに空気予熱器を設置した場合の利点として、最も適切なものは次のうちどれか。
(1)ボイラーへの給水温度が上昇する。
(2)乾き度の高い飽和蒸気を得ることができる。
(3)プライミングを防止することができる。
(4)燃焼用空気の温度が上昇し、水分の多い低品位燃料の燃焼に有効である。
(5)サーマルNOxの発生を抑えられる。
答え・解説を見る
正解

(4)
燃焼用空気の温度が上昇し、水分の多い低品位燃料の燃焼に有効である。

この問題は何を聞いている?

空気予熱器を付けると何がよくなるかを問う問題です。この問題は最も適切なものを1つ選びます。

空気予熱器とは?

煙突へ捨てる燃焼ガスの余熱で、燃焼に使う空気をあらかじめ温める装置。

(1) ❌ 利点ではない

ボイラーへの給水温度が上昇する。

給水(ボイラーに入れる水)の温度を上げるのは、エコノマイザの役目です。エコノマイザは、排ガスの余熱で給水を温める装置のこと。空気予熱器が温めるのは、水ではなく空気です。

(2) ❌ 利点ではない

乾き度の高い飽和蒸気を得ることができる。

乾き度は、蒸気のうち水滴でなく蒸気になっている部分の割合です。空気予熱器は燃焼用の空気を温める装置で、公表問題でも利点とされていません。

(3) ❌ 利点ではない

プライミングを防止することができる。

プライミングは、ボイラー水が水滴となって、蒸気と一緒に運び出される現象です。空気予熱器は燃焼用の空気を温める装置で、公表問題でも利点とされていません。

(4) ⭕ 利点である

燃焼用空気の温度が上昇し、水分の多い低品位燃料の燃焼に有効である。

これが利点です。空気予熱器を通すと、燃焼用空気の温度が上がります。温かい空気で燃やすので、燃焼状態がよくなるのです。水分の多い低品位の燃料を燃やすときに、特に有効です。

(5) ❌ 利点ではない

サーマルNOxの発生を抑えられる。

向きが逆です。サーマルNOxは、空気中の窒素が高温で酸素と結びついてできる窒素酸化物です。空気を温めると燃焼温度が上がるので、NOxは増えることがあるのです。

装置 排ガスの余熱で温めるもの
エコノマイザ 給水
空気予熱器 燃焼用の空気

空気予熱器には、もう1つ利点があります。捨てるはずの熱を取り戻すので、ボイラー効率が上がることです。

💡 覚え方

エコノマイザは「水」を、空気予熱器は「空気」を温める。名前に「空気」が入っているほうが空気、と考えれば(1)と(4)を取り違えません。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第7回 附属品②(給水・吹出し・送気・熱回収)

問9 自動制御の制御量と操作量

令和6年4月公表分野:自動制御の制御量と操作量重要度 ★★
低圧ボイラーの自動制御における制御量とそれに対する操作量との一般的な組合せとして、適切でないものは次のうちどれか。
制御量 操作量
(1) 蒸気圧力 燃料量及び燃焼用空気量
(2) 蒸気温度 過熱低減器の注水量又は伝熱量
(3) ボイラー水位 蒸気量
(4) 炉内圧力 排出ガス量
(5) 空燃比 燃料量及び燃焼用空気量
答え・解説を見る
正解

(3)
ボイラー水位 / 蒸気量

この問題は何を聞いている?

自動制御で「保ちたいもの」と「そのために動かすもの」の組合せを問う問題です。適切でない組合せを1つ選びます。

制御量と操作量とは?

制御量は、決まった値に保ちたいもの(蒸気圧力・水位など)。操作量は、制御量を保つために実際に増やしたり減らしたりするもの(燃料の量・給水の量など)です。

(1) ⭕ 正しい組合せ

蒸気圧力 / 燃料量及び燃焼用空気量

蒸気圧力を保つために動かすのは、燃料量と燃焼用空気量です。圧力が下がれば、燃料と空気を増やして火を強めます。

(2) ⭕ 正しい組合せ

蒸気温度 / 過熱低減器の注水量又は伝熱量

蒸気温度を保つために動かすのは、過熱低減器の注水量または伝熱量です。

(3) ❌ 誤りの組合せ

ボイラー水位 / 蒸気量

ボイラー水位を保つために動かすのは、給水量です。水位が下がれば、水を足します。蒸気量は蒸気を使う側が決めるもので、ボイラーが勝手に減らすわけにはいきません。「給水量」が「蒸気量」に入れ替えられている点が誤りです。

(4) ⭕ 正しい組合せ

炉内圧力 / 排出ガス量

炉内圧力(火を燃やす炉の中の圧力)を保つために動かすのは、排出ガス量です。炉の中の圧力が上がれば、ガスを多く出します。

(5) ⭕ 正しい組合せ

空燃比 / 燃料量及び燃焼用空気量

空燃比は、燃料と空気の割合のことです。これを保つために動かすのは、燃料量と燃焼用空気量です。

制御量(保ちたいもの) 操作量(動かすもの)
蒸気圧力 燃料量と燃焼用空気量
蒸気温度 過熱低減器の注水量または伝熱量
ボイラー水位 給水量
炉内圧力 排出ガス量
空燃比 燃料量と燃焼用空気量

💡 覚え方

「水位は水で、圧力は火で、炉内の圧力は煙で」。水位が下がれば水を足す。どれも日常の感覚どおりの組合せです。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第8回 自動制御

問10 水位検出器の取付け(連絡管の太さ)

令和6年4月公表分野:水位検出器の取付け(連絡管の太さ)重要度 ★★
ボイラーの水位検出器について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水位検出器は、原則として、2個以上取り付け、それぞれの水位検出方式は異なるものの方が良い。
(2)水位検出器の水側連絡管は、他の水位検出器の水側連絡管と共用しない。
(3)水位検出器の水側連絡管及び蒸気側連絡管には、それぞれバルブ又はコックを直列に2個以上設けてはならない。
(4)水位検出器の水側連絡管は、呼び径10A以下の管を使用する。
(5)水位検出器の水側連絡管の曲げ部分は、内部の掃除が容易にできる構造のものとする。
答え・解説を見る
正解

(4)
水位検出器の水側連絡管は、呼び径10A以下の管を使用する。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水位を自動で見張る水位検出器の、取付けの決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

水位検出器とは?

ボイラーの水位を自動で検出する装置。浮きの上下で検出するフロート式や、水に電気が流れるかで検出する電極式があります。

連絡管とは?

ボイラーと水位検出器をつなぐ管。水の側につなぐ水側連絡管と、蒸気の側につなぐ蒸気側連絡管があります。

(1) ⭕ 正しい記述

水位検出器は、原則として、2個以上取り付け、それぞれの水位検出方式は異なるものの方が良い。

水位検出器は、原則として2個以上取り付ける決まりです。検出方式は、それぞれ違うものにするのがよいとされています。1つが故障しても、もう1つで気づけるようにするためです。

(2) ⭕ 正しい記述

水位検出器の水側連絡管は、他の水位検出器の水側連絡管と共用しない。

水側連絡管は、ほかの水位検出器の連絡管と共用しません。1本を共用すると、その管が詰まったとき、両方の検出器が同時に正しく働かなくなるからです。

(3) ⭕ 正しい記述

水位検出器の水側連絡管及び蒸気側連絡管には、それぞれバルブ又はコックを直列に2個以上設けてはならない。

水側連絡管にも蒸気側連絡管にも、バルブやコックを直列に2個以上設けてはなりません。

(4) ❌ 誤りの記述

水位検出器の水側連絡管は、呼び径10A以下の管を使用する。

水側連絡管には、呼び径20A以上の管を使います。細い管は、スケール(湯あか)で詰まりやすいからです。「20A以上」が「10A以下」に入れ替えられている点が誤りで、数字も太さの向きも逆になっています。

(5) ⭕ 正しい記述

水位検出器の水側連絡管の曲げ部分は、内部の掃除が容易にできる構造のものとする。

水側連絡管の曲げ部分は、内部の掃除がしやすい構造にします。

💡 覚え方

連絡管は「20A以上」。細いと詰まるので、太さの下限が決められていると考えましょう。令和7年4月公表では「15A以上」という数字で出ており、これも誤りです。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第8回 自動制御

令和6年4月公表「ボイラーの構造」のまとめ

まとめ

・熱伝導=物体の内部、熱伝達=流体と壁の表面、放射伝熱=空間を隔てて、熱貫流=伝達と伝導をまとめた全体

・自然循環式は、高圧ほど密度差が小さく、循環力が弱くなる

・鋳鉄製蒸気ボイラーの給水管は返り管に取り付ける。セクション20枚・50m²程度まで

・胴板は引張応力(周方向は軸方向の2倍)。加熱された炉筒は圧縮応力

・全量式安全弁=のど部の面積、揚程式=弁座流路面積。水面計の最下部は安全低水面と同じ高さ

・2個の吹出し弁は近い方が急開弁、遠い方が漸開弁。空気予熱器は燃焼用空気を温め、低品位燃料に有効

・ボイラー水位—給水量。水位検出器の水側連絡管は呼び径20A以上