第8章 施工管理 | 第52回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 現場の安全管理体制がわかります
  • 足場・脚立・高所作業の数字が覚えられます
  • 酸素欠乏の危険と対策がわかります
  • KY活動・ツールボックスミーティングが何かわかります

安全管理は施工管理法で2〜3問。数字が多いところですが、「なぜその数字なのか」を人の体で考えると覚えやすくなります。

安全管理体制

役割 いつ選任するか 何をするか
総括安全衛生管理者 建設業で常時100人以上 全体を統括する
安全管理者 常時50人以上 安全に関する技術的事項を管理
衛生管理者 常時50人以上 衛生に関する技術的事項を管理
安全衛生推進者 常時10人以上50人未満 小規模事業場の安全衛生
統括安全衛生責任者 元請+下請で常時50人以上(ずい道・橋りょう等は30人以上) 元請が選任し、下請も含めた全体を統括
作業主任者 危険・有害な作業ごと その作業の指揮をとる

管工事で必要になる主な作業主任者

  • 酸素欠乏危険作業主任者 … ピット・タンク・マンホールの中での作業
  • 足場の組立て等作業主任者 … 高さ5m以上の足場の組立て・解体
  • ガス溶接作業主任者
  • 特定化学物質作業主任者
  • 石綿作業主任者

💡 覚え方

「50人で安全管理者、100人で総括、10人で推進者」。統括安全衛生責任者だけは「元請+下請の合計」で数えます。ここが引っかけになります。

足場のきまり

足場の断面図。手すり85cm以上、中さん35cm以上50cm以下、幅木10cm以上、作業床の幅40cm以上、床材のすき間3cm以下、床材と建地のすき間12cm未満の数字を書き込んでいる。
高さ2m以上の作業床に必要な設備です。数字は体の大きさと結びつけて覚えます。
  • 作業床の幅 … 40cm以上
  • 床材のすき間 … 3cm以下
  • 床材と建地のすき間 … 12cm未満
  • 手すり … 高さ85cm以上
  • 中さん … 高さ35cm以上50cm以下
  • 幅木 … 高さ10cm以上(物の落下防止)
  • 高さ2m以上の作業床には、上の設備が必要

💡 覚え方

数字は「幅40・すき間3・手すり85・中さん35〜50・幅木10」。手すり85cmは、大人の腰の高さ。幅木10cmは、工具が転がり落ちない高さ——体や物の大きさで考えると、数字に理由がついて忘れにくくなります。

高さ2mがひとつの境目

  • 高さ2m以上で作業するときは、作業床を設ける。
  • 設けられないときは要求性能墜落制止用器具(安全帯)を使う。
  • 高さ2m以上の箇所では、悪天候のときは作業させない。
  • 作業床の端・開口部には、手すり・囲い・覆いを設ける。

なぜ2mなのか?

人が落ちて大けがをするかどうかの境目がおおむねこのあたりだからです。実際、建設業の死亡災害でいちばん多いのが墜落・転落で、2〜5mの高さからの墜落が多くを占めます。「たかが2m」ではないということです。

脚立とはしご

決まり
脚立 脚と水平面の角度は75度以下/開き止めの金具を確実にかける/天板に乗らない
移動はしご 幅30cm以上/上端を60cm以上突き出す/すべり止めを設ける/継いで長くしない

💡 覚え方

「脚立75度、はしごは60cm突き出す」。はしごの突き出しは上に登りきったとき、つかまるところがないと危ないから。60cm=おおよそ上半身ひとつぶんです。

酸素欠乏──管工事でいちばん怖い災害

酸素濃度の帯で18%未満が危険であることを示し、ピット・地下タンク・マンホール・汚水槽など管工事で危ない場所と、測る・換気する・人を置くの3段階の手順を並べた図。
空気中の酸素が18%未満だと酸素欠乏危険場所です。助けに入った人まで倒れる二次災害が多く起きています。

酸素欠乏症とは?

空気中の酸素の濃度が18%未満の場所で、酸素が足りなくなって起きる障害です。意識を失うまでが早く、本人は苦しさを感じないまま倒れることがあります。

管工事で危ないのはこういう場所

  • ピット・地下タンク・マンホールの中
  • 汚水槽・排水槽 … 硫化水素も発生します(こちらは毒性)
  • 長く閉め切っていた配管や槽の中 … 鉄がさびる(酸化する)ときに、まわりの酸素を使ってしまいます
  • 作業前に酸素濃度を測定する … 18%以上を確認
  • 硫化水素は10ppm以下であることも確認
  • 換気する … 純酸素で換気してはいけない(火災の危険)
  • 酸素欠乏危険作業主任者を選任する
  • 特別教育を受けた者が作業する
  • 監視人を置く/空気呼吸器・命綱を備える

🔰 簡単なたとえ

酸素欠乏の事故で多いのは、倒れた人を助けに入った人まで倒れるという二次災害です。においも色もないので、危険が分かりません。だから「まず測る」「監視人を置く」「呼吸器なしで飛び込まない」という手順が法律で決められているのです。

日々の安全活動

名前 内容
KY活動(危険予知活動) 作業前に、その日の危険を出し合って対策を決める
ツールボックスミーティング(TBM) 作業前の短い打ち合わせ。道具箱のそばで行ったことから
4S・5S 整理・整頓・清掃・清潔(+しつけ)
ヒヤリハット 事故にならなかったが、ひやりとした事例を集める
安全パトロール 現場を巡回して危険を見つける

ハインリッヒの法則

1件の重大な事故の背後には、29件の軽い事故と、300件のヒヤリハットがあるという経験則です。1:29:300という数字で覚えます。だからヒヤリハットを集めることに意味があるのです。

試験ではこう出る

  • ①作業床 … 「高さ2m以上の作業床の幅は40cm以上とする」→正しい。
  • ②手すり … 「手すりの高さは75cm以上とする」→誤り。85cm以上。
  • ③酸素濃度 … 「酸素欠乏危険場所では、酸素濃度18%以上を確認する」→正しい。
  • ④換気 … 「酸素欠乏場所の換気に純酸素を用いる」→誤り。
  • ⑤ハインリッヒ … 「1件の重大事故の背後に29件の軽傷事故と300件の無傷害事故がある」→正しい。
  • ⑥作業主任者 … 「高さ5m以上の足場の組立て等には作業主任者を選任する」→正しい。

よくある質問

Q.「特別教育」と「技能講習」は何が違うのですか?

A.技能講習のほうが上位です。作業主任者になれるのは技能講習を修了した人で、特別教育はその作業に就くための最低限の教育です。例=酸素欠乏危険作業は、作業する人が特別教育、指揮をとる主任者が技能講習修了者、という組み合わせになります。

Q.「要求性能墜落制止用器具」とは安全帯のことですか?

A.はい。2019年から名称が変わりました。同時に原則としてフルハーネス型を使うことになり、高さ6.75mを超える箇所ではフルハーネス型が義務です(建設業では実務上5mが目安)。古い教材だと「安全帯」のままなので、新しい名称で覚えておくと安心です。

Q.排水槽の中は、なぜ硫化水素が出るのですか?

A.汚水の中の有機物を、酸素のないところで細菌が分解するからです。そのときに硫化水素(H₂S)が発生します。卵が腐ったようなにおいがしますが、濃度が高くなると逆ににおいを感じなくなるため、「においがしないから安全」とは言えません。必ず測定してから入るのが鉄則です。

このページのまとめ

  • 50人で安全管理者・衛生管理者/100人で総括/10人で推進者
  • 統括安全衛生責任者は元請+下請の合計50人以上
  • 作業床は幅40cm以上・すき間3cm以下・手すり85cm以上・幅木10cm以上
  • 高さ2m以上が、作業床と墜落防止のさかい目
  • 脚立75度以下・はしごは60cm突き出す
  • 酸素欠乏は18%以上を測定で確認。純酸素で換気しない
  • ハインリッヒ=1:29:300