必要換気量の計算は、使う式が1本しかありません。「出てくる汚れの量」を「濃さの差」で割るだけです。この記事では、なぜ割り算になるのかというところから、換気を知らない状態でも追えるように順に説明します。

式は1本:発生量を濃度差で割る

室内で発生する二酸化炭素を外気で薄めて一定の濃度に保つ換気の考え方を示した図
出てくる量と、持ち出せる量がつりあう風量が必要換気量です。

用語必要換気量とは?

室内の空気の汚れを決められた濃さより下に保つのに必要な、1時間あたりの外気の量。単位はm³/hです。

💡 なぜ?
汚れは出続けるから。出てくるのと同じ速さで外へ運び出せば、濃さはそれ以上上がらず、一定のところで落ち着きます。

例必要換気量の式

Q = M ÷ (Ci − Co)

・Q……必要換気量(m³/h)

・M……室内で発生する二酸化炭素の量(m³/h)

・Ci……室内の許容濃度

・Co……外気の濃度

なぜ?なぜ割り算なのですか。

外気1m³が持ち出せる汚れの量が(Ci − Co)だからです。1m³あたりで持ち出せる量が決まっているなら、全部で出てくる量をそれで割れば、必要な立方メートル数が出る——という素直な割り算です。

数字の入れ方でつまずかないために

注意注意

CiとCoは必ず単位をそろえてから引き算します。百分率(%)とppm(百万分の一を単位にした割合)が混ざったまま引くと、答えが1万倍ずれます。0.1% = 1,000ppm、0.04% = 400ppmです。

値 よく使われる数字 意味
室内の許容濃度 Ci 0.1%(1,000ppm) 建築基準法・ビル管理法で定められた上限
外気の濃度 Co 0.03〜0.04%(300〜400ppm) 問題文に書かれた値をそのまま使う
1人の発生量 M およそ0.02m³/h 安静にしている大人1人ぶん。作業をすると増える

外気の濃度は、問題によって0.03%だったり0.04%だったりします。実際の大気は0.04%台まで上がっていますが、試験では問題文に書いてある値を使うのが正解です。自分の記憶で上書きしないでください。

実際に計算してみる

例例:大人5人がいる部屋(Ci=0.1%、Co=0.04%、1人0.02m³/h)

①発生量 M = 0.02 × 5人 = 0.1m³/h

②濃度差 = 0.1% − 0.04% = 0.06% = 0.0006

③Q = 0.1 ÷ 0.0006 = 約167m³/h

→ 1人あたりでは約33m³/h。建築基準法の目安(1人20m³/h以上)を満たしています

覚える覚え方

パーセントのまま割らず、小数に直してから割るのがこの計算の要です。0.06%は0.0006。「パーセントは100で割る」を1回はさむだけで、桁のずれはかなり防げます。

換気量のもう1つの表し方:換気回数

用語換気回数とは?

1時間に部屋の空気が何回入れ替わるかを表した数。換気量 ÷ 部屋の容積で求め、単位は回/hです。

💡 なぜ?
部屋の大きさが違うと、同じ風量でも入れ替わり方がまるで違うから。広い部屋ほど、同じ回数にするには多くの風量が要ります。

住宅では、シックハウス対策(建材から出る化学物質で体調をくずすのを防ぐ対策)として0.5回/h以上の機械換気が義務づけられています。2時間で部屋の空気がひととおり入れ替わる速さ、と考えると想像しやすいでしょう。

試験ではこう出る

よくある選択肢 判断
必要換気量は発生量を濃度差で割って求める 正しい
必要換気量は発生量に濃度差を掛けて求める 誤り。割り算
室内の許容濃度は0.1%である 正しい(1,000ppm)
外気の濃度が高いほど必要換気量は減る 誤り。濃度差が縮むので増える
換気回数は換気量を部屋の容積で割った値である 正しい

よくある質問

Q. 外気が汚れていると、換気量はどうなりますか。

A. 増えます。外気の濃度Coが上がると(Ci − Co)が小さくなり、同じ量を運び出すのにより多くの外気が要るからです。式の形から素直に読み取れます。

Q. 二酸化炭素以外は考えなくていいのですか。

A. 計算では二酸化炭素を代表に使います。人がいる部屋では、二酸化炭素が増える速さと他の汚れが増える速さがだいたい連動するため、これを目印にしておけば他もおおむね収まる、という考え方です。

Q. 暖房のときに換気すると寒くなりませんか。

A. そのために全熱交換器を使います。出ていく空気の熱を、入ってくる外気に移してから捨てる装置で、換気をしながら暖房の負荷を減らせます。

まとめまとめ

・必要換気量 Q = 発生量M ÷ (室内濃度Ci − 外気濃度Co)

・単位をそろえてから引く。0.1% = 1,000ppm

・室内の許容濃度は0.1%、1人の発生量はおよそ0.02m³/h

・換気回数 = 換気量 ÷ 部屋の容積。住宅は0.5回/h以上