外気と室内の戻り空気を混ぜたときの温度は、量の多いほうに引っ張られるという一言で説明がつきます。この記事では、その混合温度の出し方と、コイル(空気を冷やしたり暖めたりする、管を並べた熱交換器)を通ったあとの温度に関わるバイパスファクターを続けて整理します。

混合温度は「量で重みをつけた平均」

外気と還気を混ぜたときの温度が、それぞれの風量で重みをつけた平均になることを示した図
多いほうの温度に近づきます。単純な真ん中ではありません。

用語混合空気とは?

外から取り入れた空気(外気)と、部屋から戻ってきた空気(還気)を混ぜたもの。空調機のコイルに入る前の空気です。

💡 なぜ?
外気だけを冷やしたり暖めたりするとエネルギーがかかりすぎるから。すでに快適な温度になっている室内の空気を混ぜて、負担を減らしています。

例混合温度の式

t = (Q1×t1 + Q2×t2) ÷ (Q1+Q2)

・Q1・Q2……それぞれの風量(m³/h)

・t1・t2……それぞれの温度

→ 風量で重みをつけた平均になります

なぜ?なぜ単純に足して2で割ってはいけないのですか。

量が違うからです。コップ1杯の熱湯と、浴槽いっぱいの水を混ぜても、ぬるま湯にはなりません。量の多いほうの温度に近づく——これが重みをつける意味です。

実際に計算してみる

例例:外気2,000m³/h(32℃)+ 還気8,000m³/h(26℃)

①分子 = 2,000×32 + 8,000×26 = 64,000 + 208,000 = 272,000

②分母 = 2,000 + 8,000 = 10,000

③混合温度 = 272,000 ÷ 10,000 = 27.2℃

→ 還気が4倍あるので、26℃寄りに落ち着きました

覚える覚え方

答えが2つの温度のあいだに入っているかを必ず確かめてください。26℃と32℃を混ぜたのに25℃や33℃になったら、計算をどこかで間違えています。この検算だけで、うっかりミスはかなり防げます。

バイパスファクター:コイルに触れない空気

用語バイパスファクターとは?

コイルを通る空気のうち、コイルに触れずにそのまま通り抜ける割合。記号はBFで、0から1のあいだの値をとります。

💡 なぜ?
コイルはすきまのある熱交換器だから。すべての空気がフィン(管のまわりに付いた薄い金属板)に触れるわけではなく、一部は温度が変わらないまま出ていきます。

触れた空気はコイルの表面温度まで変化し、触れなかった空気は入ったときのまま。出口の温度は、この2つが混ざった結果です。つまりここでも混合の考え方が使われています。

BFが小さい BFが大きい
意味 ほとんどの空気がコイルに触れる 触れない空気が多い
列数 多い 少ない
風速 遅い 速い
出口温度 コイル表面温度に近づく 入口温度に近いまま

注意注意

コンタクトファクター(CF)= 1 − BF です。触れた割合がCF、触れなかった割合がBF。問題文がどちらを聞いているのか、足して1になる関係を思い出して読み分けてください。

試験ではこう出る

よくある選択肢 判断
混合空気の温度は2つの温度の平均値になる 誤り。風量で重みをつけた平均
外気の割合が増えると混合温度は外気に近づく 正しい
コイルの列数を増やすとバイパスファクターは小さくなる 正しい
コイル通過風速を速くするとバイパスファクターは小さくなる 誤り。大きくなる
コンタクトファクターとバイパスファクターの和は1である 正しい

例現場の使いどころ

外気を取り入れる割合を増やすほど、空調の負荷は重くなります。だからといって減らしすぎると二酸化炭素の濃度が上がって換気不足になります。必要換気量で決まる下限を守りながら、それ以上は入れないというのが、外気量を決めるときの基本的な考え方です。

よくある質問

Q. 湿度も同じ計算でよいのですか。

A. はい、同じ考え方が使えます。絶対湿度(空気に含まれる水蒸気の量)やエンタルピー(空気が持つ熱の量)も、風量で重みをつけた平均になります。ただし相対湿度はこの計算ができません。温度によって基準が変わる値だからです。

Q. バイパスファクターの値はどのくらいですか。

A. 冷却コイルでおおむね0.05〜0.2程度です。列数が多いコイルほど小さくなります。試験では具体的な数値より、大きくなる条件・小さくなる条件が問われます。

Q. 装置露点温度という言葉が出てきました。

A. コイルの表面温度にあたる温度で、バイパスファクターが0のときに出口が到達する温度です。実際にはBFがあるので、出口温度はこれより少し高くなります。

まとめまとめ

・混合温度=(Q1t1+Q2t2)÷(Q1+Q2)。風量で重みをつけた平均

・答えが2つの温度のあいだに入るかを必ず検算する

・バイパスファクター=コイルに触れずに通り抜ける割合

・列数が多い・風速が遅いほどBFは小さい。CF=1−BF