第4章 法令 | 第18回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 貯蔵・取扱いの共通ルールが分かります
  • 「運搬」と「移送」の違いがはっきりします
  • 運搬容器の決まり(98%・95%・55℃)が分かります
  • タンクローリーに乗るときのルールが分かります

法令15問のうち3問前後はここから出ることが多い範囲です。特に「運搬」と「移送」の使い分けは繰り返し問われやすいので、まずそこから整理します。

貯蔵・取扱いの共通ルール

貯蔵・取扱いの基準と運搬・移送
  • 許可された数量・品名を超えて貯蔵しない
  • みだりに火気を使用しない
  • 係員以外をみだりに出入りさせない
  • 常に整理・清掃を行い、みだりに空き箱などを置かない
  • くず・かす(油のしみた布など)は1日に1回以上、安全な場所で廃棄などの処置をする
  • 貯留設備・油分離装置にたまった危険物は、あふれないようにくみ上げる
  • 危険物のもれ・あふれ・飛散を防ぐ
  • 温度計・圧力計などを監視し、適正な温度・圧力を保つ

覚える数字が出るのはここ

  • くず・かすの処置は「1日に1回以上」 … 「1週間に1回」などの選択肢が出ます。
  • 類の異なる危険物は、原則として同時に貯蔵しない … 第4類(燃える側)と第1類・第6類(酸化剤=他の物を燃やす手助けをする物質)を一緒に置かない、という化学の理由からきています(第9回)。

なぜ?なぜ「1日1回以上」なのか?

油のしみた布は、放っておくと自然発火するからです(第13回)。酸化熱(物が酸素と結びつくときに出る熱)がたまるには時間がかかるので、毎日片付けていれば発火を防ぎやすくなります。数字に理由があるので、この形で覚えると忘れにくいでしょう。

「運搬」と「移送」はまったく別のもの

運搬(トラックで容器を運ぶ)と移送(タンクローリー)の違い
運搬と移送はまったく別のもの
運搬移送
何で運ぶ容器に入れてトラックなど移動タンク貯蔵所(タンクローリー)
指定数量未満でもルールが適用される—
免状不要必要(乗車して携帯)
何の規制容器・積載・標識車両・運転・休憩

覚える覚え方

「容器で運ぶ=運搬/タンクで運ぶ=移送」。さらに「運搬は免状いらない/移送は免状いる」。この2点を押さえておけば、ここの問題の多くに対応できます。

なぜ?なぜ運搬に免状がいらないのか?

容器に入った危険物を運ぶだけだからです。危険物を「取り扱う」わけではないので、免状は求められません。ただし、指定数量以上を運搬するときは車両に標識が必要で、消火設備を備えることも求められます。

運搬容器の決まり

  • 液体は内容積の98%以下で収納し、55℃で漏れないだけの空間を残す
  • 固体は内容積の95%以下
  • 容器は密栓して収納する
  • 収納口を上に向けて積載する
  • 積み重ねは高さ3m以下
  • 雨水がかかるおそれのあるものは、防水性のもので覆う

なぜ?なぜ98%なのか?──熱膨張のため

第6回で見たとおり、液体は温度が上がるとふくらみます。ぎりぎりまで入れると夏の車内であふれる・容器が壊れるので、少なくとも2%分の空間を残しておくという決まりです。さらに「55℃で漏れない空間」を残すことも求められていて、両方を満たす必要があります。

覚える覚え方

「液は98、固は95」。液体はこれに加えて「55℃で漏れない空間を残す」という条件も付く、とセットで覚えましょう。

覚える積載時の「混載」ルール

  • 第4類と一緒に積んでよいのは、第2類・第3類・第5類。
  • 第1類・第6類(酸化剤)とは混載できません。
  • 指定数量の1/10以下なら、この混載制限は適用されません。

移送(タンクローリー)のルール

  • 移送する危険物を取り扱える危険物取扱者が乗車し、免状を携帯する
  • 移送前に、タンクの底弁(タンクの底にある出口の弁)・マンホール・注入口のふた・消火器などを点検する
  • 長距離のときは2人以上の運転要員 … 連続運転時間が4時間を超える、または1日9時間を超える場合
  • 休憩・故障などで一時停止するときは、安全な場所を選ぶ
  • 「危」の標識を車両の前後の見やすい位置に掲げる
  • 完成検査済証(完成検査に合格したことを示す書類)などの書類を車両に備え付ける

覚えるよく問われるところ

  • 免状は「携帯」する … 事務所に置いてある、では違反です。
  • 2人以上が必要なのは「連続4時間超 または 1日9時間超」 … 数字がそのまま問われます。
  • 移動貯蔵タンクは4,000L以下ごとに間仕切り … 中身が一気に動かないようにするためです。
  • 接地導線(アース) … ガソリンなど静電気がたまりやすいものを移送するタンクには必要です。

例簡単なたとえ

タンクの中で液体が一気に前後に動くと、車が押されてハンドルを取られます。これを防ぐのが間仕切りと防波板(ぼうはいた)です。牛乳パックを持って歩くのと、仕切りのある弁当箱を持って歩くのを比べてみてください。中身が動かないほうが安定します。

給油するときのルール

  • 自動車のエンジンを停止させる
  • 固定給油設備(地面に固定された給油機)を使って直接給油する
  • 自動車を給油空地(給油のために確保された車の停車スペース)からはみ出させない
  • 給油空地で、車の点検・整備・洗浄をしない
  • 物品の販売は、原則として建築物の1階で行う

「給油中エンジン停止」の掲示板は、黄赤色の地に黒文字です(第17回の掲示板とあわせて覚えます)。

よくある質問

Q.指定数量未満なら、何をしてもいいのですか?

A.違います。指定数量未満でも市町村の火災予防条例による規制を受けます。さらに「運搬」のルールは、指定数量に関係なく適用されます。ここは問われやすいので、「運搬は数量に関係なく規制される」と覚えておいてください。

Q.タンクローリーの運転手が乙4を持っていれば、何でも移送できますか?

A.乙4で移送できるのは第4類だけです。免状は「その類を取り扱える人」であることを示すもので、他の類は移送できません。また大型免許などの運転資格は別の話なので、危険物の免状だけでは運転できません。

Q.「危」の標識はどんな見た目ですか?

A.0.3m四方以上0.4m四方以下の正方形で、黒地に黄色の反射塗料で「危」と書きます。車両の前後の見やすい位置に掲げます。製造所等の標識(白地に黒文字)とは別物なので混同しないでください。

試験ではこう出る

例出題のされ方

  • ①運搬と移送 … 「運搬には危険物取扱者の同乗が必要」→誤り。
  • ②容器の収納率 … 液体98%以下・固体95%以下。
  • ③混載 … 「第4類と第1類は混載できる」→誤り。
  • ④2人以上の運転要員 … 連続4時間超または1日9時間超。
問題で確かめる▶ 法令の予想問題10問③(貯蔵・取扱い・消火設備・運搬)

まとめこのページのまとめ

  • 共通ルールで数字が出るのは「くず・かすの処置は1日1回以上」
  • 運搬=容器(免状不要)/移送=タンクローリー(免状を携帯)
  • 運搬のルールは指定数量未満でも適用される
  • 液体は98%以下・固体は95%以下、55℃で漏れない空間を残す
  • 第4類と混載できるのは第2類・第3類・第5類
  • 移送で2人以上が必要なのは連続4時間超 または 1日9時間超
  • 「危」の標識は黒地に黄色の反射塗料
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