冷凍三種の法令でいちばん多く出るのが「技術基準」です。ゼロパスに載せている令和元年度〜令和7年度の法令140問を数えたところ、35問(4問に1問)がこの分野でした。名前は堅苦しいのですが、中身は「冷凍の機械を置く部屋には何を備えるか」「運転中に何をするか」という決まりごとです。この記事では、法令の知識がまったくない状態からでも読めるように、出る順に整理してやさしく解説します。

その前に:だれに対する決まりなのか

技術基準は、高圧ガスを作る人(製造者)が守る決まりです。冷凍の機械は、冷媒(機械の中を巡って熱を運ぶ物質)を押し縮めて高い圧力にしています。法律ではこれを「高圧ガスの製造」とみなすので、一定の大きさを超える冷凍設備には決まりがかかります。

用語技術基準とは?

高圧ガスの製造施設が備えるべき設備の条件と、製造するときに守るやり方の条件をまとめた決まり。冷凍の場合は「冷凍保安規則」という規則に書かれています。

💡 なぜ?
冷媒が漏れると、中毒・火災・酸欠・凍傷といった事故につながるから。「漏らさない」「漏れても気づける」「漏れても広がらない」の3段構えで備えるよう決められています。

例技術基準は大きく2つに分かれます

① 製造施設(設備)の技術基準 … どんな設備を備えるか(ものの話)

② 製造の方法の技術基準 … 運転中や修理中に何をするか(やり方の話)

試験では①と②の両方から出ます。どちらの話をしているのかを意識して読むと、選択肢の正誤が見分けやすくなります。

👉 法令全体の位置づけはこちら

高圧ガス保安法の全体像|法令20問の地図をつくる

① 設備の技術基準:機械室に備えるもの

冷凍設備の機械室に備える設備(検知警報・消火設備・圧力計・安全弁の放出管・防液堤など)の図
機械室に何を備えるかが「設備の技術基準」です。出題の多くは、この図の中のどれかを問うものです。

漏れても、こもらない・気づける・広がらない

設備の決まりは、「漏れたあとにどうするか」に集中しています。順番に見ていきます。

例漏えいへの備え(3つセットで出ます)

・滞留しない構造 … 圧縮機・油分離器(冷媒ガスから油を分ける機器)・凝縮器(冷媒を冷やして液に戻す機器)・受液器やその間の配管は、可燃性ガス・毒性ガス・特定不活性ガスの場合、漏れたガスがこもらない場所に置く

・ガス漏えい検知警報設備 … 可燃性ガス・毒性ガス・特定不活性ガスの施設では、漏れをセンサーで感知して、ブザーやランプで知らせる装置を、ガスがたまりそうな場所に設ける

・除害の措置 … アンモニアのような毒性のガスは、漏れたときに中和・吸収して害を取り除く設備を備える

注意注意

この3つは「強制換気をしているから」「専用の機械室だから」という理由では省略できません。試験では、まさにその形(「〜しているので、〜しなくてよい」)で誤りの選択肢が作られます。

火を近づけない・消火設備を置く

冷凍設備は、引火性や発火性のものを積んだ場所や、火気の近くには設置しないのが原則です(防火措置をした場合を除きます)。また、アンモニアのような燃えるガスを使う施設には、規模に応じた消火設備を、適切な場所に設けます。

なぜ?検知警報設備があるなら、消火設備はいらないのでは?

必要です。検知警報設備は漏れを知らせる装置、消火設備は燃えたときに消す設備で、役割がまったく違います。片方があるからもう片方を省ける、という関係ではありません。ここは繰り返し問われている論点です。

受液器まわり:大きさで決まる2つの決まり

受液器(じゅえきき)は、凝縮器を出た冷媒の液をためておくタンクです。液の冷媒がたくさん入っているので、大きさ(内容積=タンクの内側の容量)によって追加の決まりがかかります。

決まり かかる大きさ 何をするか
流出を防ぐ措置 毒性ガスの受液器で内容積 1万リットル以上 周囲に防液堤(漏れた液をせき止める囲い)などを設け、漏れた液が広がらないようにする
耐震の性能 内容積 5,000リットル以上 受液器本体だけでなく、支持構造物と基礎も耐震性能のあるものにする

注意注意

耐震の決まりは、不活性ガス(フルオロカーボンなど毒性も可燃性もないガス)を使う施設にも適用されます。「不活性ガスだから関係ない」という選択肢は誤りです。

受液器の液面計にも決まりがあります。ガラス管の液面計は割れると冷媒が漏れるため、破損を防ぐ措置が必要です。

圧力計・安全装置・放出管

例装置まわりでよく問われる3点

・圧力計 … 冷媒設備には圧力計を設ける

・安全装置 … 圧力が許容圧力(その設備で許される圧力の上限)を超えたとき、直ちに許容圧力以下に戻せる安全装置を設ける

・安全弁の放出管 … 安全弁から出たガスを逃がす管の出口は、ガスの性質に応じた安全な位置にする

注意注意

「自動制御装置を設けたので、安全装置はいらない」は誤りです。自動で圧力を調整するしくみがあっても、限界を超えたときに働く安全装置は別に必要です。

覚える覚え方

設備の決まりは「漏れる前・漏れた瞬間・漏れたあと」の3つに並べると覚えやすくなります。漏れる前=火気を近づけない・圧力計・安全装置。漏れた瞬間=検知警報設備。漏れたあと=こもらない構造・除害・防液堤・消火設備。どの選択肢も、この並びのどこかに入ります。

② 製造の方法の技術基準:運転中に何をするか

「〜なので、〜しなくてよい」という選択肢はほとんどが誤りであることを示す図
運転中の決まりは数が少なく、ひっかけ方も決まっています。

例覚えるのはこの4つ

① 1日に1回以上、製造施設に異常がないかを点検し、異常があれば補修などの措置をとる

② 安全弁の元弁(安全弁の手前にある止め弁)は、原則として常に全開にしておく(修理のときだけ閉じる)

③ 修理や清掃のときは、あらかじめ作業計画を定め、その計画に従って行う

④ バルブの操作は、操作する人が誤らないように、適切に行う

なぜ?自動で動く設備でも、1日1回の点検は必要?

必要です。認定を受けた設備(認定指定設備)であっても、製造中の異常の点検は1日に1回以上行います。「自動制御装置があるので1か月に1回でよい」という選択肢は誤りです。

覚える数字は、この3つだけ

数字 何の決まりか
5,000リットル以上 受液器(支持構造物・基礎も含む)の耐震の性能が必要になる大きさ
1万リットル以上 毒性ガスの受液器の周囲に、液の流出を防ぐ措置が必要になる大きさ
1日に1回以上 製造中に、異常の有無を点検する回数

技術基準の問題で出てくる数字は、多くがこの3つです。逆にいえば、この3つを覚えておけば、数字で迷う場面はかなり減らせます。

試験ではこう出る(ひっかけの型は4つ)

この分野は、誤りの作り方がほぼ決まっています。次の4つの形を知っておくと、内容をうろ覚えでも判断できることがあります。

ひっかけの型 例 判断
「〜なので、しなくてよい」 強制換気しているので検知警報設備は不要 誤り。理由をつけて省略させる形はまず疑う
別の設備で代用させる 自動制御装置があるので安全装置は不要 誤り。役割が違うものは代用できない
対象から外す 不活性ガスなので受液器の耐震は関係ない 誤り。ガスの種類で外れない決まりもある
回数・期間をゆるめる 自動制御なので点検は1か月に1回でよい 誤り。点検は1日に1回以上

覚える覚え方

迷ったら「安全側かどうか」で考えてください。法律は、事故を防ぐために作られています。「省いてよい」「ゆるめてよい」と読める選択肢は、たいてい誤りです。

よくある質問

Q. 技術基準は、第二種製造者にも関係ありますか。

A. 関係します。第一種製造者(許可が必要な大きな規模の製造者)ほど項目は多くありませんが、第二種製造者にも技術基準は定められています。試験では、どちらの話なのかを問題文で必ず確認してください。

Q. アンモニアの問題ばかり出るのはなぜですか。

A. アンモニアは毒性と可燃性があり、決まりが多いからです。除害の措置や消火設備など、フルオロカーボン(不活性ガス)では問われない項目が加わるため、出題する側にとって問題を作りやすい題材になっています。

Q. 規則の条文まで覚える必要がありますか。

A. 必要ありません。条文番号を答えさせる問題は、まず出題されません。「何のために、何を備えるか」が分かっていれば、選択肢の正誤は判断できます。

まとめまとめ

・技術基準は、法令140問のうち35問(4問に1問)を占める最大の分野

・設備の決まりは「こもらない構造・検知警報・除害・消火設備・圧力計・安全装置・放出管」が中心

・受液器は5,000リットル以上で耐震、1万リットル以上(毒性ガス)で流出防止

・製造の方法は1日1回以上の点検・安全弁の元弁は常時全開・修理は作業計画

・「〜なので、しなくてよい」と読める選択肢は、まず疑う