第1章 冷凍のきほん | 第3回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 冷媒が何をしている物質かがわかります
  • フロン・アンモニア・二酸化炭素の違いがわかります
  • オゾン層破壊係数(ODP)と地球温暖化係数(GWP)がわかります
  • 冷媒に水分・不凝縮ガスが入るとどうなるかがわかります

冷凍サイクルの中を、ぐるぐる回り続けている液体(と気体)が冷媒です。この物質の性質が、冷凍機の性能を大きく左右します。

冷媒は「熱の運び屋」

冷媒とは?フロン・アンモニア・CO2のちがいを初心者にもやさしく解説【冷凍三種】

用語冷媒とは?

蒸発するときに周りから熱を奪い、凝縮(気体が冷えて液体に戻ること)するときに熱を捨てる——この2つを繰り返して熱を運ぶ物質のことです。

例簡単な例え

打ち水を思い浮かべてください。水が蒸発するとき、地面から熱を奪うので涼しくなります。冷媒がやっているのは、これと同じことです。違うのは、逃がしっぱなしにせず、集めて、圧縮して、外で熱を捨てて、また戻すという循環をつくっている点です。だから冷媒は減りません(漏れなければ)。

覚える冷媒に求められる性質

  • 蒸発しやすく、凝縮しやすい … 常温付近の温度で、扱いやすい圧力になること。
  • 蒸発潜熱(液体が蒸発するときに周りから奪う熱)が大きい … 少しの量でたくさんの熱を運べる。
  • 毒性がない・燃えない … 漏れたときに安全。
  • 金属や油を傷めない
  • 安く手に入る
  • → すべてを満たす完璧な冷媒はありません。どれを優先するかで選ばれます。

主な冷媒の種類

フロン類・アンモニア・二酸化炭素の長所と短所の比較図
フロン類・アンモニア・二酸化炭素には、それぞれ長所と短所があります。
冷媒特徴注意
フロン類(HFCなど)毒性・可燃性がほとんどない。扱いやすい地球温暖化係数(GWP)が大きい
アンモニア(R717)蒸発潜熱が非常に大きく効率がよい。安い。ODPはゼロ、GWPもほぼゼロ毒性あり・可燃性あり。銅と反応する
二酸化炭素(R744)無毒・不燃。GWP=1運転圧力が非常に高い
炭化水素(プロパンなど)効率がよい・GWPが小さいよく燃える

覚える覚え方

「フロンは扱いやすいが環境への負担が大きい、アンモニアは環境にやさしいが人には危険」。この対比が、冷媒の話の中心です。二酸化炭素は両方クリアするが、圧力が高い——という三すくみで覚えてください。

ODPとGWP──2つの環境の物差し

用語オゾン層破壊係数(ODP)とは?

その物質が、オゾン層をどれだけ壊すかを表した数字です。R11を1としています。特定フロン(CFC)は大きく、代替フロン(HFC)とアンモニアはゼロです。

用語地球温暖化係数(GWP)とは?

その物質が、地球をどれだけ温めるかを表した数字です。二酸化炭素を1としています。HFCは数百〜数千と非常に大きく、アンモニアはほぼゼロです。

覚えるここが混ざりやすい

  • ODPの基準はR11(=1)、GWPの基準は二酸化炭素(=1)。基準になる物質が違います。
  • HFC(代替フロン)はODPゼロだがGWPは大きい … 「オゾン層は壊さないから環境にやさしい」は誤りです。
  • アンモニアはODPがゼロ、GWPもほぼゼロ … 環境面で特に優れた冷媒です。

この事情があるので、フロンは回収が義務づけられ(第26回)、GWPの小さい冷媒への転換が進んでいます。

冷媒に「入ってはいけないもの」

①水分

覚える水分が入ると起きること

  • 膨張弁(冷媒の圧力を下げる弁)で凍って、詰まる(氷結) … 冷媒が流れなくなり、冷えなくなります。
  • 冷媒や油と反応して、酸ができる … 金属を腐食させ、モーターの絶縁を傷めます。
  • → だから乾燥器(ドライヤ。冷媒中の水分を吸い取る装置)を回路に入れ、真空乾燥(真空試験)をしてから冷媒を充填します(第18回)。

②不凝縮ガス(空気など)

用語不凝縮ガスとは?

凝縮器(冷媒の熱を外へ捨てて液体に戻す機器)で液体にならないガスのことです。主に空気。修理のときなどに混入します。

覚える不凝縮ガスが入ると起きること

  • 凝縮圧力(高圧側の圧力)が上がる … 凝縮器の中を空気が占領し、冷媒が熱を捨てる面積が減るためです。
  • 圧縮機の吐出しガス温度が上がる
  • 消費電力が増え、成績係数(COP)が下がる
  • → 凝縮器の上部などから抜き取ります(ガスパージ)。

覚える覚え方

「水は詰まらせる、空気は圧力を上げる」。水分は膨張弁で凍って冷媒が流れにくくなり、冷えなくなる(低圧側の圧力が下がる)、空気は凝縮圧力(高圧側)を上げると、現れ方が違います。試験では、症状から原因を当てる問題も出題されています。

冷凍機油との関係

  • 圧縮機の潤滑には冷凍機油を使う
  • 油は冷媒と一緒にサイクルを回ってしまうので、油分離器(冷媒ガスから油を分けて取り出す装置)で戻す(第14回)
  • 油が熱交換器(熱を受け渡しする機器)の内面に付くと、伝熱を妨げる
  • アンモニアは油と溶け合わないので、油だまりに落ちて分離しやすい
  • フロンは油と溶け合うので、油戻しの設計が必要

試験ではこう出る

  • ①冷媒の性質 … 「アンモニアは蒸発潜熱が大きく、成績係数が高い」→正しい。
  • ②銅の使用 … 「アンモニア冷凍装置の配管に銅管を使用してよい」→誤り。アンモニアは銅を腐食させます。
  • ③ODPとGWP … 「HFC系冷媒はオゾン層破壊係数がゼロなので、地球温暖化への影響もない」→誤り。GWPは大きい。
  • ④水分 … 「冷媒中の水分は、膨張弁で氷結して冷媒の流れを止めることがある」→正しい。
  • ⑤不凝縮ガス … 「不凝縮ガスが混入すると凝縮圧力が上昇する」→正しい。

よくある質問

Q.なぜアンモニアの配管に銅を使えないのですか?

A.アンモニアが銅と反応して腐食させるからです。特に水分があると激しく反応し、銅が溶けて青くなったり、配管に穴があいたりします。そのためアンモニア装置では鋼(鉄)の配管を使います。「アンモニアに銅は禁物」は、試験でもたびたび問われる知識です。

Q.R717、R744などの番号には意味がありますか?

A.あります。700番台は「無機化合物」で、下2桁がその物質の分子量を表します。アンモニア(NH₃)は分子量17なのでR717、二酸化炭素(CO₂)は分子量44なのでR744。数字の付け方に理由があると知っておくと、記憶に残りやすくなります。

Q.冷媒は使っているうちに減るのですか?

A.本来は減りません。密閉された回路の中を循環しているだけだからです。減っているとしたら、それは漏れています。冷媒が減ると冷えが悪くなり、圧縮機の吐出温度が上がって故障の原因になります。「補充」ではなく「漏れを直す」のが正しい対応です。

まとめこのページのまとめ

  • 冷媒は蒸発で熱を奪い、凝縮で熱を捨てる「熱の運び屋」
  • フロン=安全だがGWPが大きい/アンモニア=効率がよく環境によいが毒性・可燃性あり/CO₂=クリーンだが高圧
  • アンモニアに銅は使えない
  • ODPの基準はR11、GWPの基準は二酸化炭素
  • 水分は膨張弁で氷結、不凝縮ガスは凝縮圧力を上げる
  • 油は伝熱を妨げるので油分離器で戻す

費用はいくらかかる? 講座は必要?

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