第2章 機器のしくみ | 第11回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 蒸発器が「冷やしている本体」だとわかります
  • 乾式・満液式・冷媒液強制循環式の違いがわかります
  • 着霜(フロスト)がなぜ困るのかがわかります
  • 除霜(デフロスト)の4つの方法がわかります

蒸発器は実際に「冷やす」仕事をしている場所です。冷蔵庫の中、ショーケースの中、エアコンの室内機——冷たくなっているところには、たいてい蒸発器があります。

蒸発器の役割

蒸発器と着霜・除霜

用語蒸発器とは?

膨張弁で圧力を下げた冷媒液を蒸発させ、周りから熱を奪う熱交換器(熱を受け渡しする機器)です。ここで奪った熱の量が、そのまま冷凍能力になります。

  • 入ってくるもの … 低温・低圧の液(一部ガス)
  • 出ていくもの … 低圧のガス
  • 奪う熱の量 … 冷凍能力 Φo(第5回)

用語過熱度とは?

蒸発器の出口のガスの温度が、その圧力での蒸発温度よりどれだけ高くなっているかを表す値です。一般的に3〜8℃くらいに保ちます。過熱度がゼロだと、液のまま圧縮機(冷媒のガスを吸い込んで押し縮める機械)に戻る(液戻り)危険があり、大きすぎると冷凍能力が落ちます。

覚える覚え方

「過熱度は、少なすぎると壊れ、多すぎると冷えない」。だから膨張弁が自動で調整しているのです(第12回)。2つの回はセットで理解してください。

3つの方式

方式しくみ特徴
乾式管の中を冷媒が通り、出口ではガスになっている冷媒量が少なくて済む。油が戻りやすい。もっとも一般的
満液式器の中を冷媒液で満たし、その中に管を通す伝熱がよい。冷媒量が多く必要。油が戻りにくい
冷媒液強制循環式ポンプで蒸発量の3〜5倍の液を送り込む伝熱が非常によい。大規模な冷凍設備向け

覚える覚え方

「乾式は冷媒が少なくて油が戻る、満液式は伝熱がよいが冷媒が多くて油が戻らない」。この対比は試験でも問われやすいところです。満液式・強制循環式では、油戻しの装置が別に必要です。

着霜──氷がつくとなぜ困るのか

用語着霜(フロスト)とは?

蒸発器の表面に霜(氷)が付くことです。0℃以下で運転する蒸発器では、空気中の水分が凍りついて起こります。

覚える霜が付くと起きること

  • 熱が伝わりにくくなる … 霜は断熱材のようなもの。冷媒が空気の熱を受け取れません。
  • 風の通り道がふさがる … フィンの間が詰まり、風量が減ります。
  • 蒸発温度(蒸発圧力)が下がる … 熱が入ってこないので、冷媒が蒸発しきれません。
  • 圧力比(吐出し圧力と吸込み圧力の比)が大きくなり、COP(成績係数。使った電力に対してどれだけ冷やせたかを表す値)が下がる
  • 液戻りの危険が増す

例簡単な例え

霜の付いた蒸発器は、厚いセーターを着たまま扇風機に当たっているようなものです。風は来ているのに、涼しさが伝わってきません。霜は熱を通さない——だから取り除く必要があります。

除霜(デフロスト)の4つの方法

除霜(デフロスト)の4つの方法:散水・ホットガス・電気ヒータ・オフサイクル
オフサイクル除霜は、庫内の空気で溶かすので0℃より高い温度で運転する場合にしか使えません。
方法しくみ向いている場面
散水(水)除霜水をかけて溶かす大型の冷蔵倉庫
ホットガス除霜圧縮機の吐出しガス(高温)を蒸発器に流す速い。中〜大型
電気ヒータ除霜電熱線で温める小型(家庭用冷蔵庫など)
オフサイクル(自然)除霜圧縮機を止め、送風だけ続けて庫内の空気で溶かす0℃より高い温度で運転する場合

覚える除霜で気をつけること

  • ドレン(溶けた水)が凍らないように、ドレン配管にもヒータを入れることがあります。
  • 除霜が終わったら、水を切ってから送風を再開する(そのまま風を送ると、水が再び凍りつきます)。
  • ホットガス除霜では、液が圧縮機に戻らないよう注意します。

覚える覚え方

「水・ホットガス・電気・自然」の4つ。オフサイクル除霜は0℃より高い温度でしか使えない(庫内の空気が冷たすぎると溶けない)——この条件が問われます。

蒸発温度が下がる/冷えない原因

症状考えられる原因
蒸発圧力が低い着霜/冷媒不足/膨張弁の詰まり(水分の氷結)/フィルタの目詰まり
冷えない冷媒不足/圧縮機の能力低下/負荷が大きすぎる
液戻り過熱度が小さすぎる/膨張弁の開きすぎ/負荷の急変

試験ではこう出る

  • ①方式の比較 … 「満液式蒸発器は乾式に比べて冷媒充填量が多い」→正しい。
  • ②油戻り … 「満液式蒸発器では油が戻りにくいので、油戻し装置が必要」→正しい。
  • ③着霜の影響 … 「着霜すると熱通過率が大きくなる」→誤り。熱通過率(熱の伝わりやすさを表す値)は小さくなります。
  • ④除霜の方法 … 「オフサイクル除霜は、庫内温度が0℃以下の場合に用いる」→誤り。0℃より高い場合です。
  • ⑤過熱度 … 「過熱度が小さすぎると、圧縮機への液戻りのおそれがある」→正しい。

よくある質問

Q.霜と氷は違うのですか?

A.試験では区別しません。どちらも蒸発器の表面に付く氷の層として扱われます。実務では、ふわふわの霜のうちは風で飛ばせるが、溶けて再凍結した氷は取れにくいという違いがあり、除霜のタイミングを逃さないことが大切になります。

Q.冷媒が不足すると、なぜ蒸発圧力が下がるのですか?

A.蒸発器に入ってくる冷媒の量が減るからです。圧縮機は変わらず吸い込み続けるので、入ってくる量より吸い出す量のほうが多くなり、蒸発器の中の圧力が下がります。同時に過熱度が大きくなり、吐出しガス温度も上がります。「冷媒不足=低圧が下がり、吐出温度が上がる」とセットで覚えてください。

Q.蒸発温度を上げると効率がよくなると聞きました。冷えなくなりませんか?

A.必要以上に下げないほうがよい、という意味です。庫内を−20℃にしたいのに蒸発温度を−5℃にはできません。しかし−30℃まで下げる必要がないのに下げているなら、圧力比が大きくなって無駄に電気を使っています。「必要な温度差だけ確保して、それ以上下げない」のが運転管理の考え方です(第19回)。

まとめこのページのまとめ

  • 蒸発器は冷媒を蒸発させて熱を奪う=実際に冷やす場所
  • 方式は乾式(冷媒少・油が戻る)/満液式(伝熱よい・冷媒多・油が戻らない)/冷媒液強制循環式
  • 過熱度は一般的に3〜8℃。小さすぎると液戻り、大きすぎると能力低下
  • 着霜すると熱通過率が下がり、蒸発圧力も下がる
  • 除霜は散水・ホットガス・電気ヒータ・オフサイクル
  • オフサイクル除霜は0℃より高い温度でしか使えない

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