膨張弁のしくみ|温度自動膨張弁が過熱度を保つ理由【冷凍三種】
この記事でわかること
- 膨張弁が何をしているかがわかります
- 温度自動膨張弁が過熱度を保つしくみがわかります
- 内部均圧形と外部均圧形の使い分けがわかります
- キャピラリチューブ・電子膨張弁との違いがわかります
膨張弁は小さいのに、とても賢い部品です。自動で流量を調整して、過熱度(蒸発しきったガスの温度が、蒸発温度より何度高いか)を一定に保っています。その理屈がわかると、装置全体の動きが読めるようになります。
膨張弁の2つの仕事

用語膨張弁とは?
高圧の冷媒液を絞って、低い圧力まで下げる部品です。同時に蒸発器へ送る冷媒の量を調整しています。
- ①減圧する … 高圧の液を細い通路で絞り、蒸発できる低い圧力まで下げる
- ②流量を調整する … 蒸発器の出口の過熱度が一定になるように、開き具合を変える
例簡単な例え
ホースの先を指でつまむと、勢いよく細く出て、圧力が下がります。膨張弁がやっているのは、これと同じ「絞り」です。違うのは、つまむ強さを自動で変えている点。冷えすぎたら絞り、冷え足りなければ開く——それを機械だけでやっています。
なぜ?なぜ圧力を下げると冷えるのか?
圧力が下がると、沸点(蒸発温度)が下がるからです。常温の液体でも、圧力を十分に下げれば−20℃でも沸騰します。沸騰=蒸発するとき、まわりから熱を奪う——これが冷える仕組みです。
温度自動膨張弁(TXV)のしくみ

用語温度自動膨張弁とは?
蒸発器の出口の温度を感じて、自動で開き具合を変える弁です。感温筒という小さな筒を蒸発器の出口の配管に取り付け、その中のガスの圧力で弁を動かします。
- ①感温筒が蒸発器出口の温度を感じる
- ②中のガスの圧力が変わる(温かい→圧力が上がる)
- ③ダイヤフラム(薄い膜)を押す
- ④弁が開く → 冷媒が多く流れる → 蒸発器がよく冷える
- ⑤出口の温度が下がる → 感温筒の圧力が下がる → 弁が閉じる
覚える覚え方
「出口が熱ければ開き、冷たければ閉じる」。ぬるいシャワーの蛇口を自分でひねっているような動きだと思ってください。これで過熱度がおおむね3〜8℃に保たれます。
覚える弁を動かしている3つの力
- ①感温筒の圧力 … 弁を開ける向き
- ②蒸発器内の冷媒の圧力 … 弁を閉じる向き
- ③過熱度調整ばねの力 … 弁を閉じる向き
- → ①=②+③でつり合った位置で止まります。ばねを強くすると過熱度が大きくなります。
内部均圧形と外部均圧形
なぜ?なぜ外部均圧形が必要なのか?
蒸発器を通るあいだに、冷媒の圧力が下がるからです。入口と出口で圧力が違うと、入口の圧力で判断していては、出口の本当の過熱度が分かりません。内部均圧形のままだと、出口より高い入口の圧力が弁を閉じる向きに働くので、弁が必要以上に絞られます。その結果、出口の過熱度が大きくなりすぎて冷えが悪くなります(能力不足)。そこで出口の圧力を直接引いてきて判断します。
コツ選び方の目安
- 蒸発器の圧力降下が、飽和温度(その圧力で冷媒が沸騰する温度)で2℃相当を超えるようなら外部均圧形を使います。
- ディストリビュータ(分配器)を使う蒸発器は、圧力降下が大きいので外部均圧形です。
そのほかの膨張装置
用語キャピラリチューブの特徴
- 構造が簡単で安く、故障しにくい
- 負荷の変化に対応できない … 穴の太さが固定なので、流量を変えられません。
- 冷媒の充填量を正確に守る必要がある … 受液器を持たない装置が多いためです。
自動制御機器いろいろ
- 電磁弁(ソレノイドバルブ) … 電気でパチンと開閉する弁。停止中に冷媒が蒸発器へ流れ込むのを防ぐ
- 蒸発圧力調整弁 … 蒸発圧力が下がりすぎないようにする
- 吸入圧力調整弁 … 圧縮機の吸込み圧力が上がりすぎないようにして、モーターの過負荷を防ぐ
- 凝縮圧力調整弁 … 冬に凝縮圧力が下がりすぎるのを防ぐ(下がりすぎると膨張弁が働かない)
- 断水リレー … 冷却水が止まったら装置を停止させる
覚える覚え方
調整弁は「○○圧力調整弁=その圧力を守る弁」と名前どおりに読めば意味が取れます。蒸発圧力調整弁は下がりすぎ防止、吸入圧力調整弁は上がりすぎ防止——この2つだけ向きが逆なので注意してください。
試験ではこう出る
- ①膨張弁の役割 … 「温度自動膨張弁は、蒸発器出口の過熱度を一定に保つように作動する」→正しい。
- ②3つの力 … 「弁は、感温筒の圧力・蒸発器内の圧力・ばねの力のつり合いで開度が決まる」→正しい。
- ③外部均圧形 … 「蒸発器の圧力降下が大きい場合は外部均圧形を用いる」→正しい。
- ④キャピラリチューブ … 「負荷の変動に応じて冷媒流量を調整できる」→誤り。
- ⑤吸入圧力調整弁 … 「圧縮機の吸込み圧力が設定値より高くならないようにする」→正しい。
よくある質問
Q.感温筒はどこに、どう取り付けるのですか?
A.蒸発器出口の吸込み管に、密着させて取り付けます。管の水平部分に付けるのが基本で、断熱材でくるんで、まわりの空気の温度を拾わないようにします。取り付けが悪いと実際と違う温度を感じて、弁が正しく動きません。
Q.過熱度調整ばねを強くすると、どうなりますか?
A.過熱度が大きくなります。ばねは弁を閉じる向きに働くので、強くすると弁が開きにくくなり、冷媒が絞られます。その結果、蒸発器の中で早く蒸発しきって、出口のガスがより熱くなる=過熱度が大きくなるのです。能力は下がりますが、液戻りは起きにくくなります。
Q.膨張弁が詰まると、どんな症状が出ますか?
A.低圧側の圧力が下がり、冷えなくなります。代表的な原因は水分の氷結(第3回)とゴミの詰まりです。氷結の場合は装置を止めるといったん溶けて直り、また運転すると詰まるという特徴的な症状が出ます。ドライヤ(乾燥器)の交換が対処になります。
まとめこのページのまとめ
- 膨張弁の仕事は①減圧する ②過熱度が一定になるよう流量を調整する
- 温度自動膨張弁は感温筒の圧力/蒸発器内の圧力/ばねの力のつり合いで動く
- ばねを強くすると過熱度は大きくなる
- 蒸発器の圧力降下が大きいときは外部均圧形
- キャピラリチューブは流量を調整できないので、冷媒量を正確に
- 蒸発圧力調整弁=下がりすぎ防止/吸入圧力調整弁=上がりすぎ防止
費用はいくらかかる? 講座は必要?
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