第2章 機器のしくみ | 第8回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 圧縮機がサイクルの中で何をしているかがわかります
  • 容積式とターボ式の違いがわかります
  • 体積効率と、圧力比が上がるとどうなるかがわかります
  • 容量制御(アンロード)のしかたがわかります

圧縮機は冷凍サイクルの心臓です。保安管理技術のなかでも出題数が多いところなので、しっかり押さえましょう。

圧縮機の役割

圧縮機の種類としくみ

用語圧縮機は何をしているのか?

圧縮機とは、蒸発器から出た低い圧力の冷媒ガス(冷やすために装置の中を巡る物質=冷媒の気体)を吸い込み、圧縮して高い圧力・高い温度にして吐き出す装置です。

なぜ?なぜ圧縮する必要があるのか?

外の空気より高い温度にしないと、熱を捨てられないからです。熱は高いほうから低いほうへしか流れません。部屋から取った熱を外に捨てるには、冷媒を外気より熱くする必要があります。圧縮すると温度が上がる——この性質を使っているのです。

例簡単なたとえ

自転車の空気入れを勢いよくポンプすると、筒が熱くなります。あれは空気を圧縮したから温度が上がったのです。圧縮機がやっているのも、これと同じ原理です。

大きく2種類──容積式とターボ式

圧縮機の2種類(容積式と ターボ式)の比較図
容積式は空間を小さくして押し縮め、ターボ式は羽根車を高速で回して圧力を上げます。
方式しくみ代表
容積式空間を小さくして押し縮める往復(レシプロ)・スクリュー・ロータリー・スクロール
ターボ式(遠心式)羽根車で高速に回して圧力を上げる遠心圧縮機

覚える覚え方

「容積式は押し縮める、ターボ式は高速で回す」。容積式は小〜中容量、ターボ式は大容量に向きます。法令の冷凍能力の算定式が遠心式だけ別(原動機の定格出力)なのも、しくみがまったく違うからです(第21回)。

往復圧縮機(レシプロ)

  • ピストンがシリンダーの中を往復して圧縮する
  • 吸込み弁・吐出し弁がある
  • 小〜中容量に向く。もっとも広く使われてきた形
  • すきま容積(クリアランスボリューム)があるため、押しのけ量(ピストンが動いて押し出す体積)のすべてを吸い込めない

スクリュー圧縮機

  • らせん状のローターがかみ合って、すき間の体積を小さくしながら送る
  • 弁がないので、脈動(流れが周期的に強くなったり弱くなったりすること)が少なく静か
  • 中〜大容量に向く
  • 油を大量に使うので、油分離器(冷媒ガスに混じった油を分けて取り出す容器)が必須

遠心圧縮機(ターボ)

  • 高速で回る羽根車で冷媒を外側へ飛ばし、圧力を上げる
  • 大容量に向く(大型ビルの熱源)
  • サージングという不安定現象に注意

用語サージングとは?

流量が少なくなりすぎたときに、冷媒の流れが逆流したり脈動したりする現象です。激しい振動と騒音を起こし、機械を傷めます。容量を絞りすぎると起きるので、ホットガスバイパス(吐出しガスの一部を低圧側へ戻す方法)などで防ぎます。

体積効率──押しのけた分を全部吸えるわけではない

用語体積効率とは?

実際に吸い込めた冷媒の体積 ÷ ピストンの押しのけ量です。1(100%)にはなりません。

覚える体積効率が下がる原因

  • すきま容積(クリアランス) … ピストンが上がりきっても残る空間。ここに残ったガスが膨らんでから吸込みが始まるので、そのぶん吸えません。
  • 圧力比が大きい … 圧力比=吐出し圧力÷吸込み圧力。これが大きいほど体積効率は下がります。
  • 弁の漏れ・吸込みガスの加熱

覚える覚え方

「圧力比が上がると、体積効率も成績係数も下がる」。第5回のCOPの話とまったく同じ結論です。凝縮温度を下げ、蒸発温度を上げれば、圧力比が小さくなって効率がよくなる——これが運転管理の基本方針になります(第19回)。

容量制御(アンロード)

用語容量制御とは?

容量制御とは、負荷(冷やす必要のある熱の量)が小さいときに、圧縮機の能力を落とすしくみです。止めたり動かしたりを繰り返す(発停)と機械を傷めるので、運転したまま能力を下げます。

  • 往復圧縮機 … 吸込み弁を強制的に開いたままにして、そのシリンダーを休ませる(アンローダ)
  • スクリュー圧縮機 … スライド弁を動かして、圧縮を始める位置を変える
  • 遠心圧縮機 … 入口ベーン(案内羽根)の角度を変える

覚える容量制御のねらい

  • 始動・停止の繰り返しを減らす … 始動電流が大きく、モーターや接点を傷めるため。
  • 吸込み圧力を安定させる
  • 省エネ … 必要な分だけ運転する。

圧縮機まわりで問われる異常

症状考えられる原因
吐出しガス温度が高い圧力比が大きい/冷媒不足/不凝縮ガスの混入/吸込みガスの過熱度が大きい
液戻り(液圧縮)蒸発器から液のまま冷媒が戻る。液体は縮まないので、弁やピストンを壊す
油上がり油が冷媒側へ出てしまい、熱交換を妨げる
始動できない電源・保護装置の作動・油圧の異常

用語液圧縮(リキッドハンマ)とは?

液圧縮とは、液体の冷媒が圧縮機に吸い込まれてしまうことです。気体は縮みますが、液体はほとんど縮みません。そのため逃げ場のない圧力がかかり、弁やピストンが壊れるおそれがあります。アキュムレータ(液分離器)で防ぎます(第14回)。

試験ではこう出る

  • ①方式の分類 … 「スクロール圧縮機は容積式である」→正しい。
  • ②体積効率 … 「圧力比が大きくなると体積効率は大きくなる」→誤り。小さくなります。
  • ③すきま容積 … 「すきま容積が大きいほど体積効率は低下する」→正しい。
  • ④容量制御 … 「往復圧縮機のアンローダは、吸込み弁を開放してシリンダーを無負荷にする」→正しい。
  • ⑤液圧縮 … 「液圧縮は圧縮機を損傷させるおそれがある」→正しい。

よくある質問

Q.「圧力比」とは何を割った数字ですか?

A.吐出し圧力 ÷ 吸込み圧力です。どちらも絶対圧力(真空を起点にした圧力)で計算します。圧力比が大きいということは「低いところから高いところまで、大きく持ち上げている」ということ。その分、無理がかかるので、効率が落ち、温度が上がります。

Q.全密閉・半密閉・開放形とは何ですか?

A.圧縮機とモーターの入れ物の作りによる分類です。全密閉は圧縮機とモーターが1つの容器に溶接で封じられていて、分解できません(家庭用エアコンなど)。半密閉はボルトで開けられるので修理できます。開放形はモーターが外にあり、軸が容器を貫くのでシャフトシール(軸封装置)が必要です。

Q.冷媒が足りないとき、なぜ吐出しガス温度が上がるのですか?

A.冷媒が少ないと、蒸発器で早く蒸発しきってしまうからです。蒸発しきったあとの冷媒ガスは、そのまま熱を受け取り続けて温度が上がります(過熱度が大きくなる)。熱くなったガスを吸い込んで圧縮するので、吐出し温度がさらに高くなるのです。「冷媒不足=吐出し温度上昇」は試験でも問われやすいポイントです。

まとめこのページのまとめ

  • 圧縮機は外気より高い温度にして、熱を捨てられるようにするための装置
  • 容積式(往復・スクリュー・ロータリー・スクロール)とターボ式(遠心)
  • 圧力比が大きいほど、体積効率もCOPも下がる
  • すきま容積があるので体積効率は1にならない
  • 容量制御は往復=アンローダ/スクリュー=スライド弁/遠心=入口ベーン
  • 液圧縮は圧縮機を壊す。アキュムレータで防ぐ

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