第2章 機器のしくみ | 第9回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事で分かること

  • 凝縮器が何をしているかが分かります
  • 水冷・空冷・蒸発式の違いが分かります
  • 凝縮温度が上がると何が悪いのかが分かります
  • 汚れ係数・不凝縮ガスの影響が分かります

凝縮器は「熱を捨てる」装置です。ここがうまく働かないと、圧力が上がり、電力を多く使い、最悪の場合は装置が止まります。

凝縮器の役割

凝縮器のしくみと種類

用語凝縮器とは?

圧縮機から出た高温・高圧の冷媒ガスを冷やして、液体に戻す熱交換器です。このとき冷媒が持っていた熱を、水や空気に渡します。

  • 入ってくるもの … 高温・高圧のガス
  • 出ていくもの … 高圧の液
  • 捨てる熱の量(凝縮負荷Φk) … 冷凍能力Φo + 圧縮動力P(第5回)

例簡単な例え

やかんのふたに水滴が付くのと同じです。湯気(気体)が冷たいふたに触れて熱を奪われ、水(液体)に戻ります。凝縮器の中では、これが冷媒で起きています。気体が液体に戻るときに、大きな熱を出す——その熱を水や空気に受け取ってもらうのが、この装置の仕事です。

3つの方式

方式冷やす相手特徴
水冷式水(冷却水)凝縮温度を低くできる=効率がよい。冷却塔(温まった冷却水を空気で冷やして再び使えるようにする装置)が必要
空冷式空気水がいらず手軽。外気温に左右され、夏は効率が落ちる
蒸発式水の蒸発+空気水冷と空冷の中間。冷却塔が要らない

覚える覚え方

「水で冷やすほうが、空気で冷やすより効率がよい」。水は空気よりずっと熱を受け取りやすいからです。そのぶん冷却塔・ポンプ・水処理という手間がかかります。

水冷式のかたち

  • 横形シェルアンドチューブ … 円筒(シェル)の中に細い管(チューブ)を束ねた形。管の中を冷却水、外を冷媒が通る。最も一般的
  • 二重管式 … 管の中に管を通し、内側に冷却水、外側に冷媒
  • ブレージングプレート式 … 薄い板を重ねたもの。小型で高性能

空冷式のかたち

  • フィン付きの管に、ファンで風を当てる
  • フィン(ひれ)で表面積を増やしている
  • フィンが汚れたり、目詰まりすると能力が落ちる

凝縮温度が上がると何が悪いのか

凝縮温度が上がると起きること(圧力比・COP・油の劣化・高圧遮断)
どれも「凝縮温度が上がる」ひとつの原因から始まります。だから凝縮温度は、基本的に低いほうがよいのです。

例凝縮温度が上がると…

  • 凝縮圧力(高圧側の圧力)が上がる
  • 圧力比(低圧側に対する高圧側の圧力の比)が大きくなる → 体積効率(圧縮機が理論上吸い込める量に対する、実際に吸い込める量の割合)が下がる(第8回)
  • 圧縮動力が増える → COPが下がる(第5回)
  • 吐出しガス温度(圧縮機から出るガスの温度)が上がる → 油が劣化する
  • 高圧遮断装置(圧力が上がりすぎると運転を止める安全装置)が働いて、装置が止まる(第17回)

覚える覚え方

「凝縮温度は、基本的に低いほどよい」。この一言で、凝縮器周りの正誤問題の多くを判定しやすくなります。冷却水温を下げる・水量を確保する・汚れを取る・不凝縮ガスを抜く——どれも凝縮温度を下げるための手段です。

凝縮温度が上がる原因

原因なぜ上がるか
冷却水の温度が高い/量が少ない熱を受け取ってもらえない
伝熱面の汚れ(スケール・水あか)汚れ係数が大きくなり、熱が伝わりにくくなる
不凝縮ガス(空気)の混入凝縮器の内側の面積を空気が占領する
冷媒の過充填液が凝縮器にたまり、伝熱面積が減る
空冷式で、フィンの目詰まり・風量不足風が通らない

用語汚れ係数(ファウリングファクタ)とは?

伝熱面の汚れによって、熱が伝わりにくくなる度合いを表した数字です。汚れが多いほど大きくなり、熱通過率(熱の伝わりやすさを表す値)が小さくなります。設計のときにはあらかじめ汚れることを見込んで余裕を持たせます。

コツ不凝縮ガスの見分け方(重要)

  • 装置を止めて、冷媒の温度が周りと同じになるまで待つ
  • そのときの凝縮器の圧力が、その温度での冷媒の飽和圧力より高ければ、不凝縮ガスがある
  • → 凝縮器の上部から抜く(ガスパージ)

受液器と冷媒の量

  • 凝縮器を出た液は、受液器(レシーバ)にためられる
  • 負荷が変わっても冷媒の量を調整できる
  • 修理のときに冷媒を回収する場所にもなる
  • 入れすぎ(過充填)は、凝縮圧力を上げる

試験ではこう出る

  • ①凝縮負荷 … 「凝縮器で放出する熱量は、冷凍能力と圧縮動力の和である」→正しい。
  • ②水冷と空冷 … 「空冷式は水冷式より凝縮温度が低くなる」→誤り。逆です。
  • ③汚れ … 「伝熱面に水あかが付着すると、熱通過率は小さくなる」→正しい。
  • ④不凝縮ガス … 「不凝縮ガスが混入すると凝縮圧力が下がる」→誤り。上がります。
  • ⑤過充填 … 「冷媒を多く充填すると、凝縮圧力が高くなることがある」→正しい。

よくある質問

Q.「凝縮温度」と「冷却水温度」は違うのですか?

A.違います。凝縮温度は、冷媒が液に戻る温度。冷却水温度は、熱を受け取る水の温度です。熱は温度差があって初めて流れるので、凝縮温度は必ず冷却水温度より高くなります。その差が小さいほど効率がよい、ということになります。

Q.空冷式は水冷式より劣るのですか?

A.効率だけを見れば水冷式が有利ですが、空冷式には水が要らない・冷却塔が要らない・水処理やレジオネラ(冷却塔の水で増えやすい細菌)対策が要らないという大きな利点があります。中小規模では空冷式が主流です。試験では効率の比較として問われることが多いので、「水冷のほうが凝縮温度を低くできる」と覚えておくとよいでしょう。

Q.不凝縮ガスは、どこから入ってくるのですか?

A.主に修理や部品交換のときです。配管を開けると空気が入り、真空引き(ポンプで配管内の空気を抜くこと)が不十分なまま冷媒を入れると残ってしまいます。また低圧側が大気圧より低い状態で運転する装置では、わずかな漏れ口から空気を吸い込むこともあります。だから第18回の真空試験が大切なのです。

まとめこのページのまとめ

  • 凝縮器は高温高圧のガスを液に戻し、熱を水や空気に捨てる
  • 凝縮負荷 Φk = 冷凍能力 Φo + 圧縮動力 P
  • 水冷式のほうが凝縮温度を低くできる=効率がよい
  • 凝縮温度は低いほどよい。上がると圧力比が増えCOPが下がる
  • 上がる原因は冷却水の不足・汚れ・不凝縮ガス・過充填
  • 不凝縮ガスは凝縮圧力を上げる。上部から抜く

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