第3章 配管・材料・安全装置 | 第15回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 冷媒配管に使える材料・使えない材料がわかります
  • 低温で使えない金属がある理由がわかります
  • 吸込み管・吐出し管・液管それぞれの注意点がわかります
  • 油をどう戻すかという配管の考え方がわかります

配管はただの「管」ではありません。冷媒と油を、正しい向きに、正しい速さで運ぶための設計がされています。ここを押さえると、装置の不調の原因が読めるようになります。

材料の使い分け

冷媒ごとに使える配管材料が変わることを示す図
アンモニアは銅を腐食させます。特に水分があると進みやすくなります。
冷媒配管と材料の選び方
冷媒使える材料使えない材料
フロン類銅・鋼・ステンレスマグネシウムを2%を超えて含むアルミ合金
アンモニア鋼(配管用炭素鋼鋼管など)銅・銅合金(黄銅など)

なぜ?なぜアンモニアに銅を使えないのか?

アンモニアが銅を腐食させるからです(第3回)。特に水分があると激しく反応して、配管に穴があいたり、青い腐食生成物ができたりします。だからアンモニア装置では鋼(鉄)の配管を使います。

覚える覚え方

「アンモニアに銅は使えない、フロンには銅が一般的」。ここは確実に押さえておきましょう。繰り返し出題されている論点です。

低温で使えない材料

用語低温脆性(ぜいせい)とは?

低温脆性とは、温度が下がると、金属がもろくなって割れやすくなる性質のことです。一般的な炭素鋼は、低温でこれが起きます。

覚える低温での材料選び

  • −25℃より低い温度では、一般的な配管用炭素鋼鋼管(SGP)は使えません。
  • 低温では低温配管用鋼管・ステンレス鋼・銅などを使います。
  • 銅とステンレスは低温でももろくなりません。

例簡単な例え

冷凍庫から出したチョコレートが、常温のときよりパキッと割れるのを思い浮かべてください。金属にも同じことが起きます。普段は粘り強く曲がる鉄が、低温では衝撃でパキッと割れる——これが低温脆性です。

3つの配管、それぞれの役割

配管どこからどこへ中身
吐出し管圧縮機 → 凝縮器高温・高圧のガス
液管凝縮器(受液器) → 膨張弁高圧の液
吸込み管蒸発器 → 圧縮機低圧のガス

吐出し管の注意

  • 油が圧縮機に逆流して戻らないようにする … 立ち上がりの下にトラップ(配管をU字形に曲げて油をためる部分)を設ける
  • 停止中に、凝縮した液が圧縮機に戻らないようにする
  • 温度が高いので、火傷防止や断熱に注意

液管の注意

  • フラッシュガス(液管の途中で液の一部が気化してできたガス)を防ぐ(第14回) … 大きな立ち上がり・長すぎる配管・断熱不足は避ける
  • ストレーナ(ごみを取り除くこし器)と乾燥器(水分を取り除く機器)を入れる
  • 流速が速すぎると、圧力降下が大きくなる

吸込み管の注意

  • 油を圧縮機まで運び上げられる流速を確保する … 遅すぎると油が戻りません
  • 立ち上がりが高いときは、二重立ち上がり管にする
  • 断熱する … 冷たいので結露します。また吸込みガスが加熱されると、比体積(決まった重さあたりの体積)が大きくなって冷媒循環量が減り、冷凍能力が下がります
  • 蒸発器より圧縮機が上にあるときは、蒸発器の出口にトラップを設けてから立ち上げる(逆に圧縮機が下にあるときは、停止中に液が圧縮機へ流れ込まないよう、蒸発器の出口で一度立ち上げてから下げる)

覚える覚え方

配管の設計は「油をどう戻すか」がすべてと言ってもよいくらいです。油は冷媒と一緒に出ていくのに、自分では戻ってこられない——だから流速を確保し、トラップを設け、勾配をつけるのです。

流速の考え方

配管流速が速すぎると遅すぎると
吸込み管圧力降下が大きい・騒音油が戻らない
吐出し管圧力降下・騒音油が戻らない
液管圧力降下でフラッシュガス—

速すぎても遅すぎてもいけない——特にガスの配管は、油を運ぶために最低限の流速が必要だ、という点が液管と違うところです。

配管の施工

  • 曲げは、なるべく大きな半径で … 急な曲がりは圧力降下と乱れの原因
  • 支持は適切な間隔で … 振動と自重によるたわみを防ぐ
  • 伸縮を考える … 温度差が大きいので、配管は伸び縮みします
  • 可とう管(フレキシブルチューブ) … 圧縮機の振動を配管に伝えないため

試験ではこう出る

  • ①アンモニアと銅 … 「アンモニア冷媒の配管に銅管を使用する」→誤り。
  • ②低温脆性 … 「−30℃で使用する配管に、配管用炭素鋼鋼管(SGP)を用いる」→誤り。
  • ③吸込み管の流速 … 「吸込み管の流速が遅いと、油が圧縮機に戻りにくい」→正しい。
  • ④液管 … 「液管の圧力降下が大きいと、フラッシュガスが発生しやすい」→正しい。
  • ⑤断熱 … 「吸込み管を断熱すると、冷凍能力の低下を防げる」→正しい。

よくある質問

Q.「トラップ」とは、排水管のトラップと同じものですか?

A.形は似ていますが、目的が違います。排水管のトラップは水をためて臭いを止めるためのもの(管工事の封水深)。冷媒配管のトラップは油をためて、ガスの流れで一気に持ち上げるためのものです。「油だまり」と考えるとイメージしやすいと思います。

Q.二重立ち上がり管とは何ですか?

A.太い管と細い管を2本並べた立ち上がりです。負荷が大きいときは2本とも使い、負荷が小さいときは細いほうだけに流して流速を保ちます。「負荷が変わっても油が戻る」ようにする工夫です。容量制御(負荷に合わせて圧縮機の能力を増減すること)をする装置(第8回)で必要になります。

Q.配管が結露すると何がいけないのですか?

A.水滴が落ちて、まわりを濡らす・カビが生える・さびるという実害があります。それだけでなく、結露するということは、空気の熱を吸ってしまっているということでもあります。断熱すれば、その熱の侵入も防げて効率がよくなる——一石二鳥なのです。

まとめこのページのまとめ

  • アンモニアに銅は使えない。フロンには銅・鋼・ステンレス
  • −25℃より低い温度では、一般的な炭素鋼鋼管は使えない(低温脆性)
  • 配管は吐出し管・液管・吸込み管の3つ
  • ガスの配管は、油を戻すために最低限の流速が必要
  • 液管は圧力降下でフラッシュガスが出る
  • 吸込み管は断熱する(結露防止+冷凍能力の低下防止)

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