圧力容器の強さと材料|許容引張応力・板厚・溶接継手の効率【冷凍三種】
この記事でわかること
- 圧力容器とは何を指すかがわかります
- 許容引張応力と安全率の関係がわかります
- 円筒胴の板厚の式が読めるようになります
- 溶接継手の効率・腐れしろの意味がわかります
計算が出てくるので身構えますが、問われるのは「何が大きくなると、板厚はどうなるか」という関係の向きが中心です。式の形を覚えれば、計算せずに答えられる問題も多くあります。
圧力容器とは

用語圧力容器とは?
内部に圧力がかかる容器のことです。冷凍装置では凝縮器・受液器・油分離器・液分離器など(いずれも冷媒や油をためたり分けたりする容器)があてはまります。これらが壊れると、冷媒が一気に噴き出すおそれがあります。
- 設計圧力 … その容器を設計するときの基準になる圧力
- 許容圧力 … その容器を実際に使ってよい最高の圧力(腐食したぶんを考えたあとの値)
- 耐圧試験圧力 … 設計圧力の1.5倍以上(液体で行う場合)
- 気密試験圧力 … 設計圧力以上
覚える覚え方
「耐圧は1.5倍、気密はそのまま」。耐圧試験は壊れないかを見る(水で)、気密試験は漏れないかを見る(ガスで)——目的が違うので、圧力も違います(第18回)。
材料の強さ──許容引張応力
用語引張強さとは?
その材料が引っ張りに耐えられる限界の力です。これを超えると、材料はちぎれます。
用語許容引張応力とは?
許容引張応力とは、設計で使ってよい応力(材料の内部にかかる力の強さ)の上限のことです。引張強さを、安全率で割って求めます。許容引張応力 = 引張強さ ÷ 4(=安全率4)が基本です。
例簡単なたとえ
体重60kgの人が、ちょうど60kgまで耐えられるロープで宙づりになろうと思うでしょうか。——思わないはずです。240kgまで耐えるロープを選ぶでしょう。この「4倍の余裕」が安全率です。材料にはばらつき・傷・経年劣化があるので、ぎりぎりで設計してはいけないのです。
覚えるここが出ます
- 安全率は4(引張強さに対して)。
- 許容引張応力が大きい材料ほど、板厚は薄くてすむ。
- 温度が高くなると、許容引張応力は小さくなる … 熱いと金属は弱くなるためです。
円筒胴の板厚の式

用語円筒胴の必要な板厚
t = (P × Di) ÷ (2 × σa × η − 1.2 × P) + α
t=板厚[mm]、P=設計圧力[MPa]、Di=内径[mm]、σa=許容引張応力[N/mm²]、η=溶接継手の効率、α=腐れしろ[mm]
式を丸暗記する必要はありません。「何が分子にあり、何が分母にあるか」だけ見てください。
覚える覚え方
「圧力が高い・容器が大きい・さびる → 厚く」/「材料が強い・溶接がよい → 薄く」。直感どおりです。計算させる問題より、この向きを問う問題のほうが多い傾向があるので、まずここを確実に。
溶接継手の効率
用語溶接継手の効率(η)とは?
溶接した部分の強さが、元の材料の何割になるかを表した数字です。1以下になります。
- 全線を放射線検査(X線などで溶接の内部の傷を調べる検査)した突合せ両側溶接(板の端どうしを突き合わせ、両面から溶接する方法) … η=1.00
- 部分的に検査したもの … 1.00と0.70の間の値
- 検査していないもの … η=0.70
きちんと検査したものほど効率が高く、板厚を薄くできます。「検査するとコストがかかるが、材料は節約できる」というトレードオフ(一方を得ると他方をあきらめる関係)になっています。
腐れしろ
用語腐れしろ(α)とは?
使っているうちに腐食して減るぶんを、あらかじめ足しておく厚みです。
覚える覚え方
「さびる鉄は1mm、さびにくい金属は0.2mm」。腐れしろを足すぶん、板厚は厚くなります。「腐れしろを大きくすると板厚は薄くなる」という選択肢は誤りです。
鏡板(かがみいた)
- 円筒の両端をふさぐふたが鏡板です
- さら形・半だ円体形・半球形などがある
- 平らなものほど強度が低く、厚くしなければならない
- 半球形がいちばん強い
なぜ?なぜ丸いほど強いのか?
力が一点に集中せず、面全体に分散するからです。平らな板は中央が膨らむように曲げられるので弱いのですが、ドーム状なら圧力を全体で受け止められます。橋やダムがアーチ形をしているのと同じ理屈です。
試験ではこう出る
- ①安全率 … 「許容引張応力は、引張強さを4で割った値である」→正しい。
- ②板厚の向き … 「設計圧力が高いほど、必要な板厚は薄くなる」→誤り。厚くなります。
- ③溶接継手の効率 … 「溶接継手の効率が大きいほど、必要な板厚は薄くなる」→正しい。
- ④腐れしろ … 「鋼板の腐れしろは1mmである」→正しい。
- ⑤温度 … 「材料の温度が高くなると、許容引張応力は大きくなる」→誤り。
- ⑥鏡板 … 「同じ設計圧力なら、半球形の鏡板は平形より薄くできる」→正しい。
よくある質問
Q.「応力」とは何ですか?
A.材料の内部にかかっている、単位面積あたりの力です。単位はN/mm²(=MPa)。同じ力でも、細い棒にかかれば応力は大きく、太い棒なら小さくなります。「厚くすれば応力が下がる」のは、力を受け止める面積が増えるからです。
Q.設計圧力はどうやって決めるのですか?
A.その装置が運転中に到達しうる最高の圧力をもとに、冷媒の種類と基準凝縮温度から定められています。同じ装置でも高圧側と低圧側で設計圧力は異なります。試験では数値が与えられるので、覚える必要はありません。
Q.計算問題は捨ててもいいですか?
A.おすすめしません。保安管理技術15問のうち2〜3問が計算ですが、式は問題文に与えられることが多く、数字を入れるだけのことも珍しくありません。それより「何が増えると何がどうなるか」の向きを押さえておけば、計算せずに選択肢を絞れる問題もあります。
まとめこのページのまとめ
- 許容引張応力 = 引張強さ ÷ 4(安全率4)
- 温度が高いと許容引張応力は小さくなる
- 板厚は圧力・内径・腐れしろが大きいほど厚く、許容引張応力・溶接継手の効率が大きいほど薄く
- 溶接継手の効率は全線検査で1.00、検査なしで0.70(部分検査はその間)
- 腐れしろは鋼1mm、銅・ステンレス0.2mm
- 鏡板は丸いほど強い(半球形>さら形>平形)
費用はいくらかかる? 講座は必要?
冷凍三種はお金のかけどころがはっきりしている試験です。国家試験の前に受けられる公式の講習を使うと、本番が2科目から法令1科目だけになります。免除を持つ人の合格率は87.9%、2科目受験の人は45.0%(令和7年度)。講習・独学・通信講座の費用を、実際の金額で並べました。
