安全装置の種類と作動する順番|高圧遮断装置・安全弁・溶栓・破裂板【冷凍三種】
この記事でわかること
- 安全装置が「何から守っているか」がわかります
- 高圧遮断装置・安全弁・溶栓・破裂板の違いがわかります
- 作動する順番がわかります
- 設定圧力の関係が整理できます
安全装置は保安管理技術でも法令でも出るところです。「どれが先に働くか」という順番で覚えると、設定圧力の大小関係も一緒に頭に入ります。
何から守っているのか

用語守っているのは「異常な圧力上昇」
冷凍装置が壊れる大きな原因の一つは、高圧側の圧力が上がりすぎることです。冷却水が止まる・凝縮器(冷媒の熱を外へ捨てて液体に戻す機器)が汚れる・不凝縮ガス(空気など、冷やしても液体にならないガス)が入る・火災で外から加熱される——いろいろな理由で圧力は上がります。
例簡単な例え
圧力鍋にはおもりが付いていて、一定以上の圧力になるとシューッと蒸気を逃がします。さらに、それでも下がらないときのために安全弁も付いています。冷凍装置の安全装置も、これと同じ考え方で何段構えにもなっているのです。
作動する順番で覚える

覚える覚え方
「まず止める、次に逃がす、最後は壊れて逃がす」。①は元に戻せる/③は戻せない——この順で並べると、設定圧力の大小も自然に決まります。先に働くものほど、低い圧力に設定されているのです。
高圧遮断装置
用語高圧遮断装置とは?
高圧側の圧力が設定値まで上がったら、圧縮機のモーターを止める装置です。圧力スイッチとも呼ばれます。
覚える試験で問われやすいところ
- 設定圧力は、安全弁の吹始め圧力以下にします … 安全弁より先に働くためです。
- 原則として手動復帰 … なぜ止まったかを確認せずに再運転させないためです。
- 圧力を「逃がす」装置ではありません … 止めるだけです。ここが安全弁との決定的な違いです。
安全弁
用語安全弁とは?
圧力が設定値を超えたら自動で開いて冷媒を逃がし、下がったら自分で閉じる弁です。
- 圧縮機に付けるもの … 吐出し側(圧縮機からガスが出ていく側)の圧力が上がりすぎたときに働く
- 圧力容器(凝縮器・受液器(液になった冷媒をためておく容器)など)に付けるもの … 内容積500L以上の容器には安全弁が必要
- 止め弁(元弁)は、原則として常に開けておく … 閉じていたら安全弁の意味がありません
覚える試験で問われやすい決まり
- 安全弁の元弁は常時開。修理のときだけ閉じ、終わったら必ず開ける。
- 放出管は、安全な場所へ導く … アンモニアなら除害設備(漏れたガスを無害にする設備)へ。
- 安全弁の口径は、計算式で決まる … 容器が大きいほど、大きな口径が必要です。
用語吹始め圧力・吹出し圧力とは?
吹始め圧力=弁が開き始める圧力。吹出し圧力=勢いよく吹き出す圧力。高圧遮断装置は、この吹始め圧力以下に設定します。
溶栓(可溶栓)
用語溶栓とは?
一定の温度になると溶ける金属でふさがれた栓です。火災などで温度が上がると溶けて、冷媒を放出します。溶ける温度はおおむね75℃以下。
覚える溶栓のポイント
- 圧力ではなく「温度」で働く … ここが安全弁とのいちばんの違いです。
- 可燃性ガス・毒性ガスには使えません … 全部出てしまうので、アンモニアの装置には使いません。不活性ガス(フロン類)に使います。
- いちど溶けたら交換です。
- 取り付ける場所に注意 … 圧縮機の吐出しガスの温度の影響を受ける場所(熱くなって誤って溶ける)や、冷却水で冷やされる場所(冷やされて溶けにくくなる)には付けません。
破裂板
用語破裂板とは?
設定した圧力で破れる薄い金属板です。一気に大量の冷媒を放出できます。
- 構造が簡単で、大きな口径がとれる
- いちど破れたら交換
- 可燃性ガス・毒性ガスには使えない(全部放出してしまうため)
- ターボ冷凍機など、低圧で大容量の装置に使われる
覚える覚え方
「溶栓と破裂板は、フロンには使えるがアンモニアには使えない」。いちど働くと中身が全部出る——毒性・可燃性のガスでそれをやったら大惨事だからです。安全弁は閉じるので、アンモニアでも使えます。
そのほかの保護
- 低圧圧力スイッチ … 吸込み圧力が下がりすぎたら停止させる
- 油圧保護圧力スイッチ … 潤滑油の圧力が上がらないときに停止させる
- 断水リレー … 冷却水が止まったら停止させる(第12回)
- ガス漏えい検知警報設備 … 可燃性・毒性ガスの漏れを検知して知らせる
試験ではこう出る
- ①順番 … 「高圧遮断装置は、安全弁の吹始め圧力以下に設定する」→正しい。
- ②高圧遮断装置 … 「高圧遮断装置は、冷媒を放出して圧力を下げる」→誤り。圧縮機を止めるだけです。
- ③溶栓 … 「溶栓は、圧力が上がると作動する」→誤り。温度で作動します。
- ④可燃性ガス … 「アンモニア冷凍装置に溶栓を使用してよい」→誤り。
- ⑤安全弁の元弁 … 「安全弁に付けた止め弁は、通常は開けておく」→正しい。
- ⑥内容積500L … 「内容積500L以上の圧力容器には安全弁を取り付ける」→正しい。
よくある質問
Q.なぜ高圧遮断装置は「手動復帰」なのですか?
A.原因を確かめずに再運転させないためです。自動で復帰すると、止まる → 圧力が下がる → また動く → また止まるを繰り返します。そのあいだ本当の原因(冷却水が止まっているなど)は直っていません。手動にすることで、人が必ず一度は見に行くようになります。
Q.安全弁と溶栓の両方を付けることはありますか?
A.あります。圧力の上がりすぎには安全弁、火災には溶栓と、守る相手が違うからです。安全弁は圧力を感じますが、火災で外から加熱されたときは、温度で働く溶栓のほうが確実な場合があります。
Q.冷媒を放出してしまって、環境に問題はないのですか?
A.問題があります。フロンには大きな温室効果があるので(第3回)、放出は最後の手段です。だからこそその前に高圧遮断装置で止めるという順番になっているのです。「放出させないための装置が先に働く」——この設計思想を押さえておくと、順番を忘れにくくなります。
まとめこのページのまとめ
- ①高圧遮断装置(止める)→ ②安全弁(逃がす・閉じる)→ ③溶栓・破裂板(壊れて逃がす)
- 高圧遮断装置は安全弁の吹始め圧力以下に設定。手動復帰
- 安全弁の元弁は常時開。内容積500L以上の容器に必要
- 溶栓は「温度」で働く(約75℃以下)
- 溶栓・破裂板は、可燃性ガス・毒性ガス(アンモニア)には使えない
- ほかに低圧圧力スイッチ・油圧保護・断水リレー・ガス漏えい検知警報設備
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