第4章 高圧ガス保安法 | 第21回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 法令でいう「高圧ガス」の定義がわかります
  • 1MPa・0.2MPaという数字が何を指すかがわかります
  • 1日の冷凍能力の算定式が使えるようになります
  • 「法の適用を受けない冷凍設備」がわかります

ここは法令のすべての入口です。「その設備が高圧ガスにあたるのか」「冷凍能力は何トンか」——この2つが決まって初めて、許可がいるのか、誰を選任するのかが決まります。

法令でいう「高圧ガス」とは

液化ガスは0.2MPa以上、圧縮ガスは1MPa以上で高圧ガスになることを、目盛りの帯で示した図。
冷媒のフロンやアンモニアは液化ガス。0.2MPaが境目です。

用語高圧ガスの定義(冷凍に関わる部分)

圧縮ガス … 常用の温度で1MPa以上になるもの(または35℃で1MPa以上になるもの)。
液化ガス … 常用の温度で0.2MPa以上になるもの(または0.2MPaになる温度が35℃以下のもの)。

覚える覚え方

数字は「圧縮は1、液化は0.2」。液化ガスのほうが低い圧力から規制されるのは、液体が気体になると体積が何百倍にも膨らむから。漏れたときの危険が大きいぶん、早い段階から見張るのです。

用語「常用の温度」とは?

常用の温度とは、その設備が、普段運転されているときの温度のことです。最高でも最低でもなく、通常の運転状態を指します。「常用の温度で」と「35℃で」のどちらかを満たせば高圧ガス、という「または」の関係になっているところが引っかけになります。

覚える冷凍設備で覚えておくこと

  • フロン・アンモニアなどの冷媒ガスは、運転中は液化ガスとして扱われる。つまり0.2MPa以上で高圧ガスです。
  • 止まっているときも、圧力が下がっていなければ高圧ガスのままです。
  • 「高圧ガスであること」=「すぐ許可がいる」ではありません。許可がいるかどうかは冷凍能力で決まります(第22回)。

1日の冷凍能力の求め方

1日の冷凍能力の求め方3種類。遠心式圧縮機は1.2kWで1トン、吸収式冷凍設備は27,800kJで1トン、その他はR=V÷C。
設備の種類で使う数字と式が変わります。

用語1日の冷凍能力とは?

冷凍設備の大きさを表す法令上の数字で、設備の種類ごとに決まった算定式で求めます(実際に運べる熱を測るわけではありません)。単位はトン(冷凍トン)。法令上の区分の多くは、この数字で決まります。

求め方は設備の種類ごとに決まった式があります。試験で主に問われるのは遠心式・吸収式・往復式(容積式)の3つです。

  • 遠心式圧縮機 … 原動機(圧縮機を回すモーターなど)の定格出力 1.2kW = 1トン
  • 吸収式冷凍設備 … 発生器(吸収液を加熱して冷媒を追い出す部分)を加熱する1時間の入熱量 27,800kJ = 1トン
  • その他(往復式など容積式) … R = V ÷ C (V=1時間のピストン押しのけ量(ピストンが吸い込んで押し出す気体の体積)[㎥]、Cは冷媒の種類ごとの定数)

覚える覚え方

「遠心は1.2kW、吸収は27,800kJ、それ以外はV÷C」。この3つを唱えられれば、どの式を使うかの問題で迷いにくくなります。数字そのものが問われることもあります。

  • 例題 遠心式圧縮機を使う冷凍設備で、原動機の定格出力が60kW。1日の冷凍能力は?
  • ① 遠心式は1.2kWで1トン
  • ② 60 ÷ 1.2 = 50トン
  • → ちょうど第一種製造者の境目(50トン以上)にあたります(第22回)。

用語定数Cとは?

定数Cとは、冷媒ごとに定められた数字です。冷媒によって「同じ体積でどれだけ熱を運べるか」が違うので、それを補正するために使います。試験で数値そのものを覚える必要はありません。式の形だけ覚えてください。

複数の設備があるときの数え方

覚えるここは要注意

  • 同じ事業所に複数の冷凍設備がある場合は、合計します。
  • ただしそれぞれ独立した設備なら、独立に数える場合もあり、冷媒設備がつながっているかどうかで判断します。
  • 1つの設備の中に圧縮機が複数ある場合は、合計です。

法の適用を受けない冷凍設備

小さな冷凍設備まですべて規制すると、家庭の冷蔵庫やルームエアコンまで対象になってしまいます。そこで一定より小さいものは適用除外とされています。

  • 1日の冷凍能力が3トン未満のもの(フロンなど不活性ガスなら5トン未満)
  • 適用除外かどうかも、1日の冷凍能力(トン)で決まる
  • → 境目は「未満」なので、ちょうど3トンの設備は適用除外に入りません。

覚える覚え方

「3トン未満は法の外、不活性なら5トン未満まで」。不活性ガス(フロン類)は毒性も可燃性もない分だけ基準が緩い、という理屈で覚えると、このあとの届出の数字(不活性フロン20トン・アンモニア5トン)も筋で追えます。

試験ではこう出る

  • ①高圧ガスの定義 … 「常用の温度で圧力が1MPa以上となる圧縮ガス」→正しい。0.2MPaと1MPaの入れ替えが代表的な引っかけ。
  • ②冷凍能力の算定 … 「遠心式圧縮機を使用する設備の1日の冷凍能力の算定に必要なものは」→原動機の定格出力。
  • ③適用除外 … 「1日の冷凍能力が3トン未満の設備には法の適用がない」→正しい。
  • ④V÷C … 「往復動式圧縮機の冷凍能力の算定に必要なのは、ピストン押しのけ量と冷媒の種類による定数」→正しい。

よくある質問

Q.「1冷凍トン」は何を表しているのですか?

A.もともとは0℃の水1トン(1,000kg)を、24時間で0℃の氷にするのに必要な冷却能力のことです。日本冷凍トンでは約3.86kWにあたります。ただし法令上の「1日の冷凍能力」は、この物理的な意味ではなく、上の算定式で決まります。別物として扱ってください——ここは混同しやすいところです。

Q.MPa(メガパスカル)はどれくらいの圧力ですか?

A.1MPa = 約10気圧です。自動車のタイヤが約0.2〜0.25MPaなので、1MPaはタイヤの4〜5倍くらいの圧力になります。また、法令の圧力は「ゲージ圧」(大気圧を0とした圧力)で表されます。

Q.冷媒がアンモニアかフロンかで、扱いは変わりますか?

A.変わります。アンモニアは毒性があり可燃性もあるので、不活性ガス(フロン類)より厳しく扱われます。適用除外の線引き(3トン/5トン)も、届出が必要になる下限(アンモニア5トン/不活性フロン20トン)も、不活性かどうかで数字が変わります(許可が必要になる50トンは同じです)。問題文に冷媒の名前が出てきたら、必ずそこを見てください。

まとめこのページのまとめ

  • 圧縮ガスは1MPa以上、液化ガスは0.2MPa以上で高圧ガス
  • 冷媒は液化ガス扱い=0.2MPa以上
  • 遠心式は1.2kWで1トン/吸収式は27,800kJで1トン/その他はV÷C
  • 3トン未満(不活性なら5トン未満)は法の適用外
  • 法令の圧力はゲージ圧。1MPa=約10気圧
  • 「以上」と「未満」の境目に注意(50トンちょうどは「50トン以上」に入る/3トンちょうどは「3トン未満」に入らない)

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