第3章 配管・材料・安全装置 | 第19回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 日常点検で何を見るかがわかります
  • 圧力と温度から異常を読むコツがわかります
  • 冷媒漏れ・不凝縮ガス(空気など、冷やしても液体にならないガス)・水分の見分け方がわかります
  • 効率よく運転するための考え方がわかります

カリキュラムの保安管理技術・最後の回です。ここまで学んだことを「現場でどう使うか」という視点でまとめます。症状から原因を当てる問題は、たびたび出題されています。

日常点検で見るもの

  • 吸込み圧力(低圧)と吐出し圧力(高圧)
  • 吐出しガス温度(圧縮機から出てくるガスの温度)
  • 油面と油圧
  • 冷却水の温度と流量(水冷式)
  • 電流値
  • 異音・異常な振動
  • サイトグラス(配管の中の冷媒を見るのぞき窓。気泡・水分の色)
  • 着霜の状態(着霜=蒸発器に霜がつくこと)

覚える覚え方

点検の基本は「圧力・温度・音・見た目」の4つ。いつもの値を知っていることがいちばん大切で、異常とは「いつもと違う」ことです。だから記録を取るのが決まりになっています。

圧力から異常を読む

冷凍サイクルの4つの機器を並べ、凝縮器側を高圧、蒸発器側を低圧として示した図。高圧が高いとき・低圧が低いときの原因を並べている。
その圧力が高圧側か低圧側かが分かれば、原因の見当がつきます。
症状 考えられる原因
高圧が高い 冷却水の不足・水温が高い/凝縮器の汚れ/不凝縮ガス/冷媒の過充填(入れすぎ)/空冷の風量不足
高圧が低い 冷媒不足/冷却水が多すぎる・冷たすぎる/負荷が小さい
低圧が低い 冷媒不足/着霜/膨張弁(冷媒の圧力を下げ、流す量を調整する弁)の詰まり(水分の氷結)/ストレーナ(ごみをこし取る網)の目詰まり/負荷が小さい
低圧が高い 負荷が大きい/膨張弁の開きすぎ/圧縮機の能力低下

覚える覚え方

「高圧が高い=熱を捨てられていない」/「低圧が低い=冷媒が入ってこない」。この2つの見方で、原因の見当がつきます。個別の原因を暗記するより、その圧力がどこの圧力なのかを思い出すほうが速いです。

吐出しガス温度から読む

覚える吐出しガス温度が高くなる原因

  • 圧力比が大きい(圧力比=高圧が低圧の何倍か。高圧が高い/低圧が低い)
  • 冷媒不足 … 過熱度(蒸発し終えたガスが、さらに温められた度合い)が大きくなり、熱いガスを吸い込む(第8回)
  • 不凝縮ガスの混入
  • 吸込み管の断熱不良
  • 圧縮機の弁の漏れ

吐出しガス温度が高いと冷凍機油が劣化・炭化します。油が悪くなると潤滑できなくなり、最後は圧縮機が焼き付くおそれがあります。だから吐出しガス温度は、いちばん見るべき数字のひとつです。

冷媒が漏れているときのサイン

冷媒漏れのサイン。吸込み圧力は下がる、吐出しガス温度は上がる、過熱度は大きくなる、サイトグラスに気泡が見える。漏れの見つけ方は石けん水・漏えい検知器・ハライドトーチ・アンモニアのにおい。
計器の動き方と、漏れているところの見つけ方。
  • 低圧が下がる
  • 吐出しガス温度が上がる
  • 過熱度が大きくなる
  • サイトグラスに気泡が見える
  • 冷えが悪い
  • 圧縮機の運転時間が長くなる(止まらない)

覚える漏れを見つける方法

  • 石けん水 … 泡が出る。手軽で確実
  • 電子式漏えい検知器(ガス検知器) … フロン用。微量でも見つかる
  • ハライドトーチ … 炎の色が緑に変わる(フロン用)
  • アンモニアは、においですぐ分かる … 試験紙(リトマス)が青くなる

用語補充ではなく修理を

冷媒は減るものではありません(第3回)。減っているなら必ずどこかから漏れています。補充してもまた減りますし、フロンの大気放出は法律で禁止されています(第26回)。漏れ箇所を直してから充填するのが正しい対応です。

効率よく運転するために

  • 凝縮温度を下げる … 冷却水温を下げる/水量を確保する/伝熱面をきれいにする/不凝縮ガスを抜く
  • 蒸発温度を必要以上に下げない … 着霜を取る/庫内温度の設定を見直す
  • 圧力比を小さく保つ … 上の2つの結果として
  • 負荷に合わせて容量制御する … 発停を繰り返さない(第8回)
  • 断熱をきちんとする … 侵入する熱を減らせば、そもそも運転が少なくてすむ

覚える覚え方

効率の話の多くは「圧力比を小さくする」につながっています。凝縮温度を下げ、蒸発温度を上げる——この2つが運転管理の柱だと言ってもよいくらいです。第5回のCOPの話と、ここでつながりました。

保守で交換・点検するもの

対象 目安
冷凍機油 汚れ・色を見て交換。水分・酸に注意
乾燥器(ドライヤ) 水分を吸うと能力がなくなるので定期交換
ストレーナ 目詰まりしたら清掃
Vベルト 張り・摩耗
安全装置 正しく作動するか、定期的に確認
凝縮器の伝熱面 スケール(水あか)・汚れを除去

長期に運転を止めるとき

  • 冷媒を受液器(液体の冷媒をためておく容器)に回収して、液封を避ける
  • 止め弁の開閉状態を記録しておく
  • 水冷式では、冷却水を抜いて凍結を防ぐ
  • 再運転の前に、点検してから始動する

用語液封とは?

液体の冷媒が、閉じた弁と弁の間に閉じ込められることです。液体は温度が上がると膨らむのに、逃げ場がありません。その結果異常な圧力がかかって、配管や弁が破壊されるおそれがあります。液配管の途中に安全弁や破裂板(圧力が上がりすぎると破れて圧力を逃がす板)を設ける、弁の閉じ方に注意することで防ぎます。

試験ではこう出る

  • ①症状と原因 … 「凝縮圧力が高くなる原因として、不凝縮ガスの混入がある」→正しい。
  • ②冷媒不足 … 「冷媒が不足すると、吐出しガス温度は低くなる」→誤り。高くなります。
  • ③着霜 … 「着霜すると蒸発圧力が低下する」→正しい。
  • ④液封 … 「液封は、液配管の弁を閉じたときに起こるおそれがある」→正しい。
  • ⑤効率 … 「凝縮温度を下げると成績係数は向上する」→正しい。

よくある質問

Q.「いつもの値」が分からない場合は、どう判断すればよいですか?

A.圧力から飽和温度(その圧力で冷媒が液体と気体に入れ替わる温度)を読み、外気温や庫内温度と比べます。例えば水冷式なら凝縮温度は冷却水の出口温度+5℃前後、空冷式なら外気温+15℃前後が目安です。これより高ければ熱が捨てられていないと判断できます。絶対値ではなく、まわりとの温度差で見るのがコツです。

Q.油が汚れているかは、どう見分けるのですか?

A.色とにおいです。新しい油は薄い黄色で透明ですが、劣化すると濃い茶色〜黒になり、焦げたにおいがします。これは吐出しガス温度が高すぎるサインでもあるので、油を替えるだけでなく原因を探す必要があります。

Q.冷媒を「補充」してはいけないのですか?

A.漏れを直さずに補充するのがいけないのです。漏れ箇所を修理し、真空引き(配管の中の空気や水分を抜くこと)をしてから、規定量を充填する——これが正しい手順です。フロンをそのまま減らし続けるのは、法律にも環境にも反します(第26回)。

まとめこのページのまとめ

  • 点検は圧力・温度・音・見た目。いつもの値を記録しておく
  • 高圧が高い=熱を捨てられていない/低圧が低い=冷媒が入ってこない
  • 冷媒不足では、低圧が下がり、吐出しガス温度が上がる
  • 吐出しガス温度が高いと、油が劣化して圧縮機が焼き付く
  • 効率は凝縮温度を下げ、蒸発温度を上げる=圧力比を小さくする
  • 液封に注意。長期停止時は冷媒を受液器へ

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