運転管理と保守|圧力と温度から異常を読む【冷凍三種】
この記事でわかること
- 日常点検で何を見るかがわかります
- 圧力と温度から異常を読むコツがわかります
- 冷媒漏れ・不凝縮ガス(空気など、冷やしても液体にならないガス)・水分の見分け方がわかります
- 効率よく運転するための考え方がわかります
カリキュラムの保安管理技術・最後の回です。ここまで学んだことを「現場でどう使うか」という視点でまとめます。症状から原因を当てる問題は、たびたび出題されています。
日常点検で見るもの
- 吸込み圧力(低圧)と吐出し圧力(高圧)
- 吐出しガス温度(圧縮機から出てくるガスの温度)
- 油面と油圧
- 冷却水の温度と流量(水冷式)
- 電流値
- 異音・異常な振動
- サイトグラス(配管の中の冷媒を見るのぞき窓。気泡・水分の色)
- 着霜の状態(着霜=蒸発器に霜がつくこと)
覚える覚え方
点検の基本は「圧力・温度・音・見た目」の4つ。いつもの値を知っていることがいちばん大切で、異常とは「いつもと違う」ことです。だから記録を取るのが決まりになっています。
圧力から異常を読む

覚える覚え方
「高圧が高い=熱を捨てられていない」/「低圧が低い=冷媒が入ってこない」。この2つの見方で、原因の見当がつきます。個別の原因を暗記するより、その圧力がどこの圧力なのかを思い出すほうが速いです。
吐出しガス温度から読む
覚える吐出しガス温度が高くなる原因
- 圧力比が大きい(圧力比=高圧が低圧の何倍か。高圧が高い/低圧が低い)
- 冷媒不足 … 過熱度(蒸発し終えたガスが、さらに温められた度合い)が大きくなり、熱いガスを吸い込む(第8回)
- 不凝縮ガスの混入
- 吸込み管の断熱不良
- 圧縮機の弁の漏れ
吐出しガス温度が高いと冷凍機油が劣化・炭化します。油が悪くなると潤滑できなくなり、最後は圧縮機が焼き付くおそれがあります。だから吐出しガス温度は、いちばん見るべき数字のひとつです。
冷媒が漏れているときのサイン

- 低圧が下がる
- 吐出しガス温度が上がる
- 過熱度が大きくなる
- サイトグラスに気泡が見える
- 冷えが悪い
- 圧縮機の運転時間が長くなる(止まらない)
覚える漏れを見つける方法
- 石けん水 … 泡が出る。手軽で確実
- 電子式漏えい検知器(ガス検知器) … フロン用。微量でも見つかる
- ハライドトーチ … 炎の色が緑に変わる(フロン用)
- アンモニアは、においですぐ分かる … 試験紙(リトマス)が青くなる
用語補充ではなく修理を
冷媒は減るものではありません(第3回)。減っているなら必ずどこかから漏れています。補充してもまた減りますし、フロンの大気放出は法律で禁止されています(第26回)。漏れ箇所を直してから充填するのが正しい対応です。
効率よく運転するために
- 凝縮温度を下げる … 冷却水温を下げる/水量を確保する/伝熱面をきれいにする/不凝縮ガスを抜く
- 蒸発温度を必要以上に下げない … 着霜を取る/庫内温度の設定を見直す
- 圧力比を小さく保つ … 上の2つの結果として
- 負荷に合わせて容量制御する … 発停を繰り返さない(第8回)
- 断熱をきちんとする … 侵入する熱を減らせば、そもそも運転が少なくてすむ
覚える覚え方
効率の話の多くは「圧力比を小さくする」につながっています。凝縮温度を下げ、蒸発温度を上げる——この2つが運転管理の柱だと言ってもよいくらいです。第5回のCOPの話と、ここでつながりました。
保守で交換・点検するもの
長期に運転を止めるとき
- 冷媒を受液器(液体の冷媒をためておく容器)に回収して、液封を避ける
- 止め弁の開閉状態を記録しておく
- 水冷式では、冷却水を抜いて凍結を防ぐ
- 再運転の前に、点検してから始動する
用語液封とは?
液体の冷媒が、閉じた弁と弁の間に閉じ込められることです。液体は温度が上がると膨らむのに、逃げ場がありません。その結果異常な圧力がかかって、配管や弁が破壊されるおそれがあります。液配管の途中に安全弁や破裂板(圧力が上がりすぎると破れて圧力を逃がす板)を設ける、弁の閉じ方に注意することで防ぎます。
試験ではこう出る
- ①症状と原因 … 「凝縮圧力が高くなる原因として、不凝縮ガスの混入がある」→正しい。
- ②冷媒不足 … 「冷媒が不足すると、吐出しガス温度は低くなる」→誤り。高くなります。
- ③着霜 … 「着霜すると蒸発圧力が低下する」→正しい。
- ④液封 … 「液封は、液配管の弁を閉じたときに起こるおそれがある」→正しい。
- ⑤効率 … 「凝縮温度を下げると成績係数は向上する」→正しい。
よくある質問
Q.「いつもの値」が分からない場合は、どう判断すればよいですか?
A.圧力から飽和温度(その圧力で冷媒が液体と気体に入れ替わる温度)を読み、外気温や庫内温度と比べます。例えば水冷式なら凝縮温度は冷却水の出口温度+5℃前後、空冷式なら外気温+15℃前後が目安です。これより高ければ熱が捨てられていないと判断できます。絶対値ではなく、まわりとの温度差で見るのがコツです。
Q.油が汚れているかは、どう見分けるのですか?
A.色とにおいです。新しい油は薄い黄色で透明ですが、劣化すると濃い茶色〜黒になり、焦げたにおいがします。これは吐出しガス温度が高すぎるサインでもあるので、油を替えるだけでなく原因を探す必要があります。
Q.冷媒を「補充」してはいけないのですか?
A.漏れを直さずに補充するのがいけないのです。漏れ箇所を修理し、真空引き(配管の中の空気や水分を抜くこと)をしてから、規定量を充填する——これが正しい手順です。フロンをそのまま減らし続けるのは、法律にも環境にも反します(第26回)。
まとめこのページのまとめ
- 点検は圧力・温度・音・見た目。いつもの値を記録しておく
- 高圧が高い=熱を捨てられていない/低圧が低い=冷媒が入ってこない
- 冷媒不足では、低圧が下がり、吐出しガス温度が上がる
- 吐出しガス温度が高いと、油が劣化して圧縮機が焼き付く
- 効率は凝縮温度を下げ、蒸発温度を上げる=圧力比を小さくする
- 液封に注意。長期停止時は冷媒を受液器へ
費用はいくらかかる? 講座は必要?
冷凍三種はお金のかけどころがはっきりしている試験です。国家試験の前に受けられる公式の講習を使うと、本番が2科目から法令1科目だけになります。免除を持つ人の合格率は87.9%、2科目受験の人は45.0%(令和7年度)。講習・独学・通信講座の費用を、実際の金額で並べました。
