第2章 機器のしくみ | 第14回 | 学習カリキュラムの目次を見る

この記事でわかること

  • 4大機器以外の「脇役」が何をしているかがわかります
  • 受液器・油分離器・液分離器・乾燥器の役割がわかります
  • どこに取り付けるかが言えるようになります
  • それぞれがどんなトラブルを防いでいるかがわかります

冷凍サイクルの主役は圧縮機・凝縮器・膨張弁・蒸発器の4つですが、実際の装置にはそれを支える部品がたくさん付いています。どれも「あるトラブルを防ぐため」に付いているので、目的から覚えると忘れにくくなります。

受液器(レシーバ)

附属機器のはたらき

用語受液器とは?

受液器とは、凝縮器を出た冷媒液を、いったんためておくタンクです。凝縮器と膨張弁のあいだ(高圧側)に付けます。

  • 負荷(冷やす必要のある熱の量)が変わっても、冷媒の量を調整できる
  • 修理のとき、冷媒を回収する場所になる
  • 液が切れて、膨張弁にガスが入るのを防ぐ

覚える気をつけること

  • いっぱいまで満たさない … おおむね容積の90%以下にして、液が熱で膨らむ余地を残します。
  • 低圧受液器もあります … 冷媒液強制循環式(第11回)で、ポンプへ送る液をためるためのものです。高圧側の受液器とは別物です。

油分離器(オイルセパレータ)

用語油分離器とは?

油分離器とは、圧縮機から吐き出されたガスに混じった冷凍機油(圧縮機の潤滑に使う油)を分け、圧縮機へ戻す装置です。圧縮機と凝縮器のあいだに付けます。

なぜ?なぜ油を分ける必要があるのか?

油が熱交換器の内面にべったり付くと、熱が伝わらなくなるからです(第3回)。また圧縮機から油が減ると、潤滑ができなくなり焼き付きます。熱交換を妨げず、圧縮機を守る——この2つの目的があります。

覚える油分離器が特に必要なのは

  • スクリュー圧縮機 … 油を大量に使うので必須です(第8回)。
  • アンモニア装置 … アンモニアは油と溶け合わないので、油だまりに落ちて分離しやすい反面、放っておくと熱交換器の底にたまります。
  • 満液式(蒸発器の中を冷媒液で満たして使う方式)・冷媒液強制循環式の蒸発器 … 油が自然には戻らないので必要です。

液分離器(アキュムレータ)

用語液分離器とは?

液分離器とは、蒸発器から戻ってきたガスに液が混じっていたときに、それを分けて圧縮機に入れないようにする装置です。蒸発器と圧縮機のあいだ(低圧側)に付けます。

これが液圧縮(第8回)を防ぐための装置です。液体は縮まないので、圧縮機に入ると弁やピストンを壊します。

覚える覚え方

「油分離器は高圧側で油を取る、液分離器は低圧側で液を取る」。名前が似ていて混ざりやすいので、付いている場所(高圧か低圧か)とセットで覚えてください。

乾燥器(ドライヤ)

用語乾燥器とは?

乾燥器とは、冷媒に混じった水分を吸い取る装置です。中にシリカゲルやゼオライト(乾燥剤)が入っています。受液器と膨張弁のあいだ(高圧の液配管)に付けます。

なぜ?なぜ水分を取るのか(第3回の復習)

  • 膨張弁で凍って詰まる(氷結)
  • 酸ができて金属を腐食させる
  • フロン装置では特に重要 … アンモニアは水とよく混ざるので氷結しにくいのですが、フロンは水と混ざらないので、水だけが分かれて凍ります。

そのほかの附属機器

名前役割付ける場所
液ガス熱交換器高圧の液を冷やし、低圧のガスを温める。フラッシュガスを防ぎ、液戻りも防ぐ液配管と吸込み配管の間
サイトグラス(のぞきガラス)液の流れと、水分の有無(色で分かる)を見る液配管
ストレーナ(こし器)ゴミを取る膨張弁や電磁弁の手前
油戻し装置蒸発器にたまった油を圧縮機へ返す満液式などの蒸発器
不凝縮ガス分離器(ガスパージャ)空気を抜く凝縮器の上部

用語フラッシュガスとは?

フラッシュガスとは、膨張弁に着く前に、液配管の途中で冷媒が一部蒸発してしまう現象です。配管が長い・立ち上がりがある・液が十分に冷えていないと起こります。膨張弁が正しく働かなくなり、冷凍能力が落ちます。液ガス熱交換器で液をさらに冷やし、過冷却(液を凝縮温度より低く冷やしておくこと)をつけるのが防止策です。

覚える覚え方

「液ガス熱交換器は、液を冷やしてガスを温める」。液を冷やす=フラッシュガス防止、ガスを温める=液戻り防止。1台で2つのトラブルを防ぐので、しっかり押さえておきたい機器です。

付ける場所のまとめ

附属機器が冷凍サイクルのどこに付くかの図
圧縮機を出てすぐ油を取り、凝縮したら液をため、乾かしてから膨張弁へ。蒸発したら液を取ってから圧縮機へ。
機器高圧/低圧どこに
油分離器高圧圧縮機 → 凝縮器 の間
受液器高圧凝縮器 → 膨張弁 の間
乾燥器高圧受液器 → 膨張弁 の間
液分離器低圧蒸発器 → 圧縮機 の間

この表を書けるようになることが、この回の目標です。「圧縮機を出てすぐ油を取り、凝縮したら液をため、乾かしてから膨張弁へ。蒸発したら液を取ってから圧縮機へ戻す」——サイクルの順にたどると自然に並びます。

試験ではこう出る

  • ①受液器 … 「受液器は凝縮器と膨張弁の間に設ける」→正しい。
  • ②油分離器 … 「油分離器は圧縮機の吸込み側に設ける」→誤り。吐出し側です。
  • ③液分離器 … 「液分離器は圧縮機への液戻りを防ぐ」→正しい。
  • ④乾燥器 … 「乾燥器は冷媒中の水分を除去する」→正しい。
  • ⑤液ガス熱交換器 … 「フラッシュガスの発生を防ぐ効果がある」→正しい。

よくある質問

Q.受液器を「90%以下」にするのはなぜですか?

A.液体が温度で膨張するからです(危険物乙4でも同じ考え方が出ます)。満タンにしておくと、停止中に外気で温められて液が膨らみ、容器や配管に異常な圧力がかかります。ガスの余地(空間)を残しておくことで、膨らんだ分を吸収できます。

Q.サイトグラスで水分が分かるとは、どういうことですか?

A.色が変わる指示薬が入っているからです。乾いていれば緑、水分があると黄色に変わるものが一般的です。また気泡が見えたら、冷媒不足かフラッシュガスのサインになります。「のぞくだけで2つのことが分かる」便利な部品です。

Q.小型の装置には、これらの機器が付いていないようですが?

A.そのとおりです。家庭用の冷蔵庫やルームエアコンは、キャピラリチューブ(細い管で圧力を下げる、膨張弁の代わりの部品)を使い、受液器も油分離器も持ちません。冷媒の量を厳密に決めて封じ込めることで、調整の必要をなくしているのです。附属機器は負荷が変動する業務用の装置で必要になるもの、と考えてください。

まとめこのページのまとめ

  • 受液器=高圧側で液をためる(90%以下)
  • 油分離器=圧縮機の吐出し側で油を取り、圧縮機へ戻す
  • 液分離器(アキュムレータ)=低圧側で液を取り、液圧縮を防ぐ
  • 乾燥器=高圧の液配管で水分を取る
  • 液ガス熱交換器=液を冷やし(フラッシュガス防止)、ガスを温める(液戻り防止)
  • 取り付け位置はサイクルの順にたどれば思い出せる

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