附属機器のはたらき|受液器・油分離器・液分離器・乾燥器【冷凍三種】
この記事でわかること
- 4大機器以外の「脇役」が何をしているかがわかります
- 受液器・油分離器・液分離器・乾燥器の役割がわかります
- どこに取り付けるかが言えるようになります
- それぞれがどんなトラブルを防いでいるかがわかります
冷凍サイクルの主役は圧縮機・凝縮器・膨張弁・蒸発器の4つですが、実際の装置にはそれを支える部品がたくさん付いています。どれも「あるトラブルを防ぐため」に付いているので、目的から覚えると忘れにくくなります。
受液器(レシーバ)

用語受液器とは?
受液器とは、凝縮器を出た冷媒液を、いったんためておくタンクです。凝縮器と膨張弁のあいだ(高圧側)に付けます。
- 負荷(冷やす必要のある熱の量)が変わっても、冷媒の量を調整できる
- 修理のとき、冷媒を回収する場所になる
- 液が切れて、膨張弁にガスが入るのを防ぐ
覚える気をつけること
- いっぱいまで満たさない … おおむね容積の90%以下にして、液が熱で膨らむ余地を残します。
- 低圧受液器もあります … 冷媒液強制循環式(第11回)で、ポンプへ送る液をためるためのものです。高圧側の受液器とは別物です。
油分離器(オイルセパレータ)
用語油分離器とは?
油分離器とは、圧縮機から吐き出されたガスに混じった冷凍機油(圧縮機の潤滑に使う油)を分け、圧縮機へ戻す装置です。圧縮機と凝縮器のあいだに付けます。
なぜ?なぜ油を分ける必要があるのか?
油が熱交換器の内面にべったり付くと、熱が伝わらなくなるからです(第3回)。また圧縮機から油が減ると、潤滑ができなくなり焼き付きます。熱交換を妨げず、圧縮機を守る——この2つの目的があります。
覚える油分離器が特に必要なのは
- スクリュー圧縮機 … 油を大量に使うので必須です(第8回)。
- アンモニア装置 … アンモニアは油と溶け合わないので、油だまりに落ちて分離しやすい反面、放っておくと熱交換器の底にたまります。
- 満液式(蒸発器の中を冷媒液で満たして使う方式)・冷媒液強制循環式の蒸発器 … 油が自然には戻らないので必要です。
液分離器(アキュムレータ)
用語液分離器とは?
液分離器とは、蒸発器から戻ってきたガスに液が混じっていたときに、それを分けて圧縮機に入れないようにする装置です。蒸発器と圧縮機のあいだ(低圧側)に付けます。
これが液圧縮(第8回)を防ぐための装置です。液体は縮まないので、圧縮機に入ると弁やピストンを壊します。
覚える覚え方
「油分離器は高圧側で油を取る、液分離器は低圧側で液を取る」。名前が似ていて混ざりやすいので、付いている場所(高圧か低圧か)とセットで覚えてください。
乾燥器(ドライヤ)
用語乾燥器とは?
乾燥器とは、冷媒に混じった水分を吸い取る装置です。中にシリカゲルやゼオライト(乾燥剤)が入っています。受液器と膨張弁のあいだ(高圧の液配管)に付けます。
なぜ?なぜ水分を取るのか(第3回の復習)
- 膨張弁で凍って詰まる(氷結)
- 酸ができて金属を腐食させる
- フロン装置では特に重要 … アンモニアは水とよく混ざるので氷結しにくいのですが、フロンは水と混ざらないので、水だけが分かれて凍ります。
そのほかの附属機器
用語フラッシュガスとは?
フラッシュガスとは、膨張弁に着く前に、液配管の途中で冷媒が一部蒸発してしまう現象です。配管が長い・立ち上がりがある・液が十分に冷えていないと起こります。膨張弁が正しく働かなくなり、冷凍能力が落ちます。液ガス熱交換器で液をさらに冷やし、過冷却(液を凝縮温度より低く冷やしておくこと)をつけるのが防止策です。
覚える覚え方
「液ガス熱交換器は、液を冷やしてガスを温める」。液を冷やす=フラッシュガス防止、ガスを温める=液戻り防止。1台で2つのトラブルを防ぐので、しっかり押さえておきたい機器です。
付ける場所のまとめ

この表を書けるようになることが、この回の目標です。「圧縮機を出てすぐ油を取り、凝縮したら液をため、乾かしてから膨張弁へ。蒸発したら液を取ってから圧縮機へ戻す」——サイクルの順にたどると自然に並びます。
試験ではこう出る
- ①受液器 … 「受液器は凝縮器と膨張弁の間に設ける」→正しい。
- ②油分離器 … 「油分離器は圧縮機の吸込み側に設ける」→誤り。吐出し側です。
- ③液分離器 … 「液分離器は圧縮機への液戻りを防ぐ」→正しい。
- ④乾燥器 … 「乾燥器は冷媒中の水分を除去する」→正しい。
- ⑤液ガス熱交換器 … 「フラッシュガスの発生を防ぐ効果がある」→正しい。
よくある質問
Q.受液器を「90%以下」にするのはなぜですか?
A.液体が温度で膨張するからです(危険物乙4でも同じ考え方が出ます)。満タンにしておくと、停止中に外気で温められて液が膨らみ、容器や配管に異常な圧力がかかります。ガスの余地(空間)を残しておくことで、膨らんだ分を吸収できます。
Q.サイトグラスで水分が分かるとは、どういうことですか?
A.色が変わる指示薬が入っているからです。乾いていれば緑、水分があると黄色に変わるものが一般的です。また気泡が見えたら、冷媒不足かフラッシュガスのサインになります。「のぞくだけで2つのことが分かる」便利な部品です。
Q.小型の装置には、これらの機器が付いていないようですが?
A.そのとおりです。家庭用の冷蔵庫やルームエアコンは、キャピラリチューブ(細い管で圧力を下げる、膨張弁の代わりの部品)を使い、受液器も油分離器も持ちません。冷媒の量を厳密に決めて封じ込めることで、調整の必要をなくしているのです。附属機器は負荷が変動する業務用の装置で必要になるもの、と考えてください。
まとめこのページのまとめ
- 受液器=高圧側で液をためる(90%以下)
- 油分離器=圧縮機の吐出し側で油を取り、圧縮機へ戻す
- 液分離器(アキュムレータ)=低圧側で液を取り、液圧縮を防ぐ
- 乾燥器=高圧の液配管で水分を取る
- 液ガス熱交換器=液を冷やし(フラッシュガス防止)、ガスを温める(液戻り防止)
- 取り付け位置はサイクルの順にたどれば思い出せる
費用はいくらかかる? 講座は必要?
冷凍三種はお金のかけどころがはっきりしている試験です。国家試験の前に受けられる公式の講習を使うと、本番が2科目から法令1科目だけになります。免除を持つ人の合格率は87.9%、2科目受験の人は45.0%(令和7年度)。講習・独学・通信講座の費用を、実際の金額で並べました。
