過去問には「単相2線式」「単相3線式」「三相3線式」という言葉が何度も出てきます。名前が長くて似ているので、まずここでつまずきます。

この記事では、電気をまったく知らない人を想定して、3つの違いと試験で必ず問われるポイントを説明します。

そもそも「相」と「線式」とは

相(そう)とは?

電気の波が何組あるかを表します。単相=1組、三相=3組です。

なぜ3組にして送るのか? 家庭のコンセントに来ている交流は、波のように大きさが変わりながら流れています。この波を3組ずらして送ると、モーターを回す力がなめらかに生まれるので、大きな機器では三相を使います。

線式(せんしき)とは?

電線が何本あるかです。2線式=2本、3線式=3本です。

なぜ電線の本数が問題になるのか? 電線の本数によって取り出せる電圧の種類が変わるからです。

名前の読み方

「単相3線式」= 波は1組、電線は3本
名前を「相の数」と「電線の本数」に分けて読むだけで、意味が分かります。

単相2線式 いちばん単純な形

電線が2本だけの、いちばん基本の配線です。100Vが取り出せます。

単相2線式の特徴

電線は2本(非接地側1本・接地側1本)

取り出せる電圧は100Vのみ

小さな店舗や、古い住宅で使われている

計算での注意点

電圧降下を計算するとき、電線の長さは行きと帰りで2倍にします。

なぜ長さを2倍にするのか? 電気は行ったきりでは流れません。必ず戻ってくるので、2本ぶんの抵抗を通ることになります。「こう長12m」と書かれていたら、計算では24mを使います。

単相3線式 今の住宅の標準

単相3線式で100Vと200Vが取れる理由真ん中の中性線が接地されているので、100Vの側は対地100Vで収まりますL1(電圧線)N(中性線)L2(電圧線)100V100V200V中性線は接地されている(大地とつながっている)
外側の線と中性線の間で100V、外側どうしで200V。中性線が接地されているので、100V回路の対地電圧は100Vにおさまります。

電線が3本の配線です。今の住宅ではこれが標準です。100Vと200Vの両方が取り出せます。

単相3線式の特徴

電線は3本 … 外側の線2本+中性線1本

外側の線と中性線のあいだ → 100V(照明・コンセント)

外側の線どうしのあいだ → 200V(エアコン・IH)

対地電圧は100V … 200Vの機器を使っていても、大地との差は100V

中性線(ちゅうせいせん)とは?

3本の真ん中の線です。上側の負荷と下側の負荷の、電流の差だけが流れます。

なぜ電流が流れないことがあるのか? 上と下がまったく同じ量を使っていれば差はゼロ。つまり中性線には電流が流れなくなります。この状態を平衡といいます。

平衡すると電圧が上がる

上下が同じ負荷になると、中性線での電圧降下が消えるので、機器に届く電圧はむしろ上がります

なぜ負荷を増やしたのに電圧が上がるのか? 電気が通る道から中性線の抵抗が1本ぶん外れるからです。「負荷を増やしたのに電圧が上がる」という、試験の定番の引っかけがこれです。

中性線が切れると危険

中性線が断線すると、負荷の小さいほうに高い電圧がかかり、機器が壊れます

なぜ片方に高い電圧がかかるのか? 中性線がなくなると、上下の負荷が直列につながった形になり、200Vを2つで分け合うことになるからです。抵抗が大きい(=電気を使わない)ほうに、電圧が偏ってかかります。だから中性線にはヒューズやスイッチを入れてはいけないと決められています。

三相3線式 工場やビルのモーター用

電線が3本で、波が3組の配線です。工場やビルの大きなモーターに使われます。

三相3線式の特徴

電線は3本。波が3組、少しずつずれて流れている

同じ太さの電線で、より多くの電力を効率よく送れる

モーターを回す力がなめらかに出るので、動力用に向いている

対地電圧は200V(200Vの三相の場合)

Y(スター)結線と√3

3つの抵抗の片方の端を1点に集めたつなぎ方をY結線といい、集めた点を中性点といいます。
このとき 線間電圧 = 相電圧 × √3(√3 ≒ 1.73

なぜ√3倍になるのか? 3本の電気はタイミングがずれてやってくるので、単純な足し算になりません。ずれを計算に入れると√3倍という数字が出てきます。試験では√3=1.73と覚えるだけで十分です。

よく出る計算

線間電圧200Vのとき、相電圧は … 200 ÷ 1.73 = 約116V

この116という数字はそのまま覚えてよいほど頻繁に出ます

3つを並べて比べる

3つの配線方式 どこで何が使われるか線の数と、取り出せる電圧のちがいで見分けます単相2線式電線 2 本100V が 1種類昔の住宅・小さな店単相3線式中性線は接地電線 3 本100V と 200V今の住宅の標準三相3線式電線 3 本200V(動力用)工場のモーター
線の本数と取り出せる電圧で3つを見分けます。単相3線式だけは真ん中の中性線が接地されていて、外側との間で100V、外側どうしで200Vが取れます。

ひと目で分かる比較

単相2線式 … 線2本/100Vのみ/対地電圧100V

単相3線式 … 線3本/100Vと200V/対地電圧100V/中性線あり

三相3線式 … 線3本/200V/対地電圧200V/モーター用

なぜ「対地電圧」が大事なのか

絶縁抵抗の基準が、対地電圧で決まるからです。

なぜ大地との差で決まるのか? 感電の危険は電線と大地(地面)とのあいだの電圧で決まります。人は地面に立っているからです。使用電圧が同じ200Vでも、単相3線式なら対地100V、三相3線式なら対地200Vと違うため、求められる絶縁抵抗も変わります。

絶縁抵抗の基準(対地電圧で決まる)

使用電圧300V以下 かつ 対地電圧150V以下 … 0.1MΩ以上
使用電圧300V以下 でも 対地電圧150V超 … 0.2MΩ以上
使用電圧300V超 … 0.4MΩ以上

まとめ

この記事で覚えること

名前は「相の数」+「電線の本数」と読む

単相3線式=住宅の標準。100Vと200Vが取れる。対地電圧は100V

中性線は、上下が同じなら電流が流れない(平衡)。平衡すると電圧は上がる

中性線にはヒューズ・スイッチを入れてはいけない

三相3線式は√3=1.73。200÷1.73=約116V

絶縁抵抗の基準は使用電圧ではなく対地電圧で決まる

実際の過去問で確かめる(令和8年度上期 全50問)

▶ 問1〜10
計算と電気の基礎

▶ 問11〜20
材料と工具

▶ 問21〜30
工事のルールと法令

▶ 配線図 問31〜40
図記号と傍記

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け