第9章 法規 | 第58回 | 目次を見る:1級 / 2級

この記事でわかること

  • 給水装置がどこからどこまでかがわかります
  • 給水装置工事主任技術者の役割がわかります
  • 簡易専用水道の管理義務がわかります
  • 排水設備と公共下水道の境目がわかります

水まわりの法律は3つに分かれています。水道法=きれいな水を届けるまで、下水道法=汚れた水を受け入れてから、浄化槽法=下水道がない所。この役割分担をまず押さえます。

給水装置とは、どこからどこまでか

配水管から分水栓・止水栓・水道メーターを通って直結の蛇口や湯沸器までが給水装置であることを流れで示し、受水槽から先の設備・ホース・ポータブルの浄水器は含まれないことを別枠で示した図。
直結していれば給水装置、タンクに落としたらそこで終わりです。

給水装置とは?

配水管から分岐して設けられた給水管と、これに直結する給水用具のことです。「直結している」ことが条件です。

給水装置に含まれる/含まれない

  • 含まれる … 分水栓・止水栓・水道メーター・給水管・直結している蛇口・湯沸器
  • 含まれない … 受水槽(貯水槽)から先の設備。いったんタンクに落とすと、直結ではなくなるため。
  • 含まれない … ホース、ポータブルの浄水器など(取り外せるものは給水用具ではない)。

💡 覚え方

「直結していれば給水装置、タンクに落としたらそこで終わり」。受水槽以降は建物側の設備として、水道法ではなく建築基準法や条例で扱われます。

なぜ受水槽で切れるのか?

水道事業者が責任を持てるのは、自分が送った水がそのまま流れている範囲だけだからです。タンクにためると、管理の良し悪しで水質が変わってしまいます。だからそこから先は建物の所有者の責任に切り替わります。

給水装置工事主任技術者

  • 指定給水装置工事事業者は、事業所ごとに主任技術者を選任する
  • 職務 … 調査・計画・工事の技術上の管理・従事者の技術上の指導監督・構造材質基準への適合の確認・水道事業者との連絡調整
  • 国家資格(厚生労働大臣が実施)

よく出る

  • 「工事の技術上の管理」だけでなく「水道事業者との連絡調整」も職務。
  • 選任するのは「事業所ごと」であって、工事現場ごとではありません。

簡易専用水道

受水槽を建物の中に置いた断面図。上部100cm以上、周囲60cm以上、下部60cm以上の空間をあけることを、矢印と数字で示している。
上・下・四方の6面すべてを見て回れるようにするのが六面点検です。

簡易専用水道とは?

水道から供給される水だけを水源とし、受水槽の有効容量の合計が10㎥を超えるものです。マンションやビルの受水槽がこれに当たります。

  • 1年以内ごとに1回、水槽を清掃する
  • 1年以内ごとに1回、登録検査機関の検査を受ける
  • 有害物や汚水で汚染されないよう、水槽の点検などの措置をとる
  • 給水栓における水の色・濁り・におい・味に異常があれば、水質検査
  • 健康を害するおそれがあるときは、給水を停止し、周知する

💡 覚え方

数字は「10㎥を超える/清掃も検査も1年に1回」。10㎥以下のものは「小規模貯水槽水道」として条例で規制されます。

受水槽の構造で問われること

  • 六面点検ができるように設置する … 周囲60cm以上、上部100cm以上、下部60cm以上の空間をあける。
  • オーバーフロー管の先は間接排水にし、防虫網を設ける。
  • マンホールは、ふちを槽の上面から10cm以上立ち上げる。
  • 通気管を設ける(有効容量が大きい場合)。

なぜ六面点検が必要なのか?

飲み水をためる容器だからです。壁にぴったりつけると、その面のひび割れや漏れを一生確認できません。上・下・四方の6面すべてを見て回れるようにするのが六面点検です。

下水道法

排水設備と公共下水道の境目

公共ます(最終ます)が境目です。そこまでが敷地内の「排水設備」=所有者の責任、その先が「公共下水道」=自治体の責任になります。

  • 処理区域内では、供用開始から遅滞なく排水設備を設置する義務
  • くみ取り便所は、供用開始から3年以内に水洗便所へ改造する
  • 排水設備の工事は、市町村の指定工事店が行う
  • 除害施設 … 下水道を傷めたり処理を妨げる水は、基準に合うよう処理してから流す
方式 雨水と汚水 特徴
合流式 1本の管で流す 安く早く整備できるが、大雨のとき汚水が川に出る(越流)
分流式 別々の管で流す 水質はよいが、管が2本いる

浄化槽法

  • 合併処理浄化槽 … し尿と生活雑排水を、あわせて処理する
  • 単独処理浄化槽(し尿のみ)は、新設できません
  • 設置には、都道府県知事と特定行政庁への届出が必要
  • 保守点検・清掃 … 清掃は1年に1回以上(全ばっ気方式は6か月に1回以上)
  • 法定検査 … 設置後3か月を経過した日から5か月間に1回(7条検査)と、その後1年に1回(11条検査)
  • 浄化槽管理者は、技術管理者を置く(処理対象人員501人以上の場合)

💡 覚え方

「単独はもう作れない」が最大のポイント。し尿だけきれいにしても、台所や風呂の水がそのまま川へ出たら意味がない——これが合併処理に一本化された理由です。

試験ではこう出る

  • ①給水装置の範囲 … 「受水槽以降の給水設備も給水装置に含まれる」→誤り。
  • ②簡易専用水道 … 「受水槽の有効容量の合計が10㎥を超えるものをいう」→正しい。
  • ③清掃 … 「簡易専用水道の水槽の清掃は、3年以内ごとに1回行う」→誤り。1年以内ごとに1回。
  • ④六面点検 … 「受水槽の上部は60cm以上の空間をあける」→誤り。100cm以上。
  • ⑤水洗化 … 「処理区域では、供用開始から3年以内にくみ取り便所を水洗便所に改造する」→正しい。
  • ⑥浄化槽 … 「単独処理浄化槽を新たに設置することができる」→誤り。

よくある質問

Q.水道メーターは誰のものですか?

A.水道事業者(自治体など)の所有であることがほとんどです。給水装置には含まれますが、所有と管理は水道事業者——というややこしい関係になっています。交換も水道事業者が行います(計量法により8年ごとの交換が必要)。

Q.「直結増圧方式」は給水装置ですか?

A.給水装置です。受水槽を置かず、配水管の水をポンプで増圧して直接送る方式で、タンクに落としていないので「直結」のままです。水がタンクで滞留しないので水質が良く、タンクの清掃も不要という利点があります。

Q.合流式は、なぜ今も残っているのですか?

A.古くから下水道を整備した都市に多いからです。当時はとにかく早く汚水を流すことが優先され、1本の管で済む合流式が選ばれました。今から分流式に作り替えるには道路を全部掘り返す必要があり、現実的ではありません。そのため越流水を一時的にためる貯留施設などで対策しています。

このページのまとめ

  • 給水装置=配水管から分岐し、直結している範囲。受水槽から先は含まない
  • 主任技術者の職務には水道事業者との連絡調整も含む
  • 簡易専用水道=受水槽10㎥超。清掃も検査も1年に1回
  • 六面点検=周囲60cm・上部100cm・下部60cm
  • 公共ますが、排水設備と公共下水道の境目
  • 単独処理浄化槽は新設できない