凝縮温度(ぎょうしゅくおんど)と蒸発温度(じょうはつおんど)は、冷凍機の調子を見るうえで特に大事な2つの温度です。この2つが分かると、「なぜ効率が落ちるのか」「どこが悪いのか」が読めるようになります。この記事では、そもそも冷凍サイクルとは何かから始めて、2つの温度の意味・上がると何が起きるか・原因と対策までを図解でやさしく解説します。冷凍の知識がゼロでも、この記事だけで分かるように書いています。

その前に:冷凍機の中で何が起きている?

2つの温度の話に入る前に、冷凍サイクルを30秒だけおさらいします。ここが分かっていないと、温度の意味がつかみにくくなります。

用語冷媒(れいばい)とは?

冷媒とは、冷凍機の中をぐるぐる回っている、熱を運ぶ役の液体・気体のことです。

💡 なぜ?
冷媒には蒸発するときに周りの熱を奪うという性質があるから。打ち水をすると涼しくなるのと同じで、「蒸発」が熱を奪う力になります。

コツ冷媒がたどる4つのステップ

① 蒸発器:冷媒が蒸発して、周りの熱を奪う(ここで冷える)

② 圧縮機:冷媒ガスを押し縮めて、高温・高圧にする

③ 凝縮器:冷媒を冷やして液体に戻す(ここで熱を外へ捨てる)

④ 膨張弁:圧力を下げて、また蒸発しやすい状態に戻す(①へ)

この①と③で、冷媒は姿を変えます。気体になるのが①、液体に戻るのが③です。このとき冷媒が何℃なのか——それが蒸発温度と凝縮温度です。

凝縮温度と蒸発温度とは?

用語蒸発温度とは?

蒸発温度とは、蒸発器の中で、冷媒が蒸発しているときの温度のことです。冷房なら0〜5℃くらいが目安。

💡 なぜ?
冷媒はこの温度で気体に変わりながら、周りの熱を奪っています。つまり「冷やす側」の温度で、これが低いほど冷たい風が作れます。

用語凝縮温度とは?

凝縮温度とは、凝縮器の中で、冷媒が液体に戻っているときの温度のことです。空冷なら40〜45℃くらいが目安。

💡 なぜ?
冷媒はこの温度で液体に戻りながら、奪ってきた熱を外へ捨てています。つまり「熱を捨てる側」の温度で、外気より高くないと熱を捨てられません。

冷凍サイクルの中の2つの温度凝縮器圧縮機蒸発器膨張弁凝縮温度だいたい40〜45℃蒸発温度0〜5℃凝縮温度=熱を捨てる側の温度/蒸発温度=冷やす側の温度この2つの差が小さいほど、冷凍機は楽に働けます
蒸発温度=冷やす側の温度/凝縮温度=熱を捨てる側の温度

なぜ?なぜ凝縮温度は外気より高くないといけないのか?

熱は、高いほうから低いほうへしか動かないからです。35℃の外気に熱を捨てたいのに、冷媒が30℃しかなければ、熱は逃げていきません。むしろ外から熱が入ってきてしまいます。だから冷媒をわざと高温(40〜45℃)にしてから、外気へ熱を押し出しているのです。

覚える覚え方

「蒸発=冷やす側、凝縮=捨てる側」と覚えます。蒸発は打ち水(涼しくなる)、凝縮は結露(お風呂のフタが熱くなる)とイメージすると、どちらが冷たくてどちらが熱いか、迷わなくなります。

大事なのは「2つの温度の差」

冷凍サイクルの凝縮温度(高い側)と蒸発温度(低い側)の差
凝縮温度と蒸発温度の差

冷凍機の効率を決めるのは、片方の温度ではなく2つの差です。差が大きいほど、圧縮機はより強く押し縮めなければならず、電気を余計に使います。

凝縮温度が上がると、効率が落ちる正常(40℃)凝縮 40℃蒸発 5℃差 35℃高すぎる(50℃)凝縮 50℃蒸発 5℃差 45℃差が大きいほど、圧縮機はより強く押しちぢめないといけません→ 電気をよけいに使う = 成績係数(COP)が下がる※ 冷凍能力も落ちて、吐出しガスの温度も上がります
凝縮温度が上がると差が広がり、圧縮機の負担が増える

例凝縮温度が上がると起きること

① 凝縮温度が40℃→50℃に上がる

② 蒸発温度が5℃のままなら、差は35℃→45℃に広がる

③ 圧縮機は、より高い圧力まで押し上げないといけなくなる

④ 使う電気が増える=成績係数(COP:使った電気に対してどれだけ冷やせたかを表す数字)が下がる

⑤ 同時に冷凍能力も落ちる(冷えが悪くなる)

なぜ?なぜ差が大きいと電気を食うのか?

坂道を自転車で登るのと同じです。同じ距離でも、坂がきついほど力が要りますね。冷凍機にとっての「坂のきつさ」が、この温度差です。低い蒸発温度から高い凝縮温度まで冷媒を持ち上げるのが圧縮機の仕事なので、差が広がるほど、こぐ力=電気が必要になります。

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凝縮温度が上がってしまう原因

凝縮温度が上がってしまう原因1冷却水・外気が熱い夏場や、室外機に日が当たるとき2熱交換の面がよごれた水あか・ほこりで熱が伝わらない3空気が混入した冷媒に空気が混じると圧力が上がる4冷媒を入れすぎた受液器からあふれて凝縮面がせまくなるどれも「熱を捨てにくくなる」という同じ結果につながります
どれも「熱を捨てにくくなる」という同じ結果につながる

① 冷却水や外気が熱い

熱を捨てる相手そのものが熱ければ、当然捨てにくくなります。真夏や、室外機に直射日光が当たっている場合がこれにあたります。対策=室外機の風通しをよくする、日よけをつける。

② 熱交換する面がよごれている

水冷なら配管の内側に水あか(スケール)、空冷ならフィンにほこり。汚れが層になると、そこで熱がせき止められて伝わらなくなります。対策=定期的な洗浄。

③ 冷媒に空気が混入した

冷媒の中に空気(不凝縮ガス)が混じると、その空気のぶんだけ圧力が上乗せされ、凝縮温度が上がります。空気は液体にならないので、凝縮器の中にたまって邪魔をします。対策=ガスパージ(空気抜き)。

④ 冷媒を入れすぎた

冷媒が多すぎると、液が凝縮器の中にたまって、熱をやりとりできる面が狭くなります。その結果、残った面で無理に熱を捨てようとして温度が上がります。対策=適正量まで抜く。

注意注意

「凝縮温度が高い=熱を捨てにくくなっている」と考えてください。原因は上の4つ(外気・冷却水が熱い/汚れ/空気混入/冷媒の入れすぎ)です。点検の順番としては、まず目で見て分かる汚れ・風通しを確認し、それでも下がらなければ空気混入や冷媒量を疑います。

逆に、蒸発温度が下がりすぎるとどうなる?

蒸発温度が下がりすぎても、やはり差が広がるので効率は落ちます。さらに0℃を下回ると、蒸発器の表面に霜(しも)がつきます。

用語着霜(ちゃくそう)とは?

蒸発器の表面が0℃より冷たくなり、空気中の水分が凍りついてしまうこと。

💡 なぜ?
霜は熱を通しにくいので、氷の毛布をかぶせたのと同じ状態になるから。熱を奪えなくなり、ますます冷えが悪くなるという悪循環に入ります。

そのため、霜がついたら溶かす必要があります。これを除霜(デフロスト)といいます。

例蒸発温度が下がる主な原因

・冷媒が不足している(量が足りず圧力が下がる)

・膨張弁の開きが小さすぎる(冷媒が十分に流れない)

・蒸発器が汚れている・霜がついている(熱を奪えない)

・風量が足りない(送風ファンの不調やフィルタの目詰まり)

試験ではどう問われる?

第三種冷凍機械責任者では、「凝縮温度が上がると何が起きるか」が代表的な論点です。結果はすべて同じ方向を向くので、ひとまとめに覚えてしまいましょう。

変化圧縮機の仕事冷凍能力成績係数(COP)吐出しガス温度
凝縮温度が上がる増える下がる下がる上がる
蒸発温度が下がる増える下がる下がる上がる
凝縮温度が下がる減る上がる上がる下がる

覚える覚え方

「差が広がると、ぜんぶ悪くなる」——これを覚えておけば、表の中身はほぼ思い出せます。凝縮が上がっても、蒸発が下がっても、起きるのは同じ「差の拡大」です。だから結果も同じで、能力もCOPも下がり、吐出しガス温度(圧縮機から出てくる冷媒ガスの温度)だけが上がります。

まとめまとめ

・蒸発温度=冷やす側の温度(冷房で0〜5℃くらい)

・凝縮温度=熱を捨てる側の温度(空冷で40〜45℃くらい)

・効率を決めるのは片方ではなく2つの差

・差が広がると、能力もCOPも下がる。吐出しガス温度だけ上がる

・凝縮温度が上がる原因=外気が熱い/よごれ/空気混入/冷媒入れすぎ

・蒸発温度が下がりすぎると着霜し、さらに冷えが悪くなる