二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和8年4月公表分の「ボイラーの構造」(問1〜問10)です。

専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和8年4月公表)

問1 熱と蒸気の基礎(温度・圧力・仕事率・ボイラー効率)

令和8年4月公表分野:熱と蒸気の基礎(温度・圧力・仕事率・ボイラー効率)重要度 ★★★
熱及び蒸気に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)温度の単位であるセルシウス(摂氏)温度[℃]は、標準大気圧のもとで、水の氷点を0℃、沸点を100℃と定め、この間を100等分したものを1℃としたものである。
(2)ボイラー効率は、換算蒸発量と発生蒸気の比エンタルピの積の値を、燃料消費量と燃料低発熱量の積の値で除して示すことができる。
(3)大気が地球上に及ぼす圧力は約0.1MPaであり、760㎜の高さの水銀柱がその底面に及ぼす圧力(760㎜Hg)を標準大気圧(1atm)という。
(4)単位時間当たりの仕事量を仕事率といい、単位は[W]で、1W=1J/sで仕事量1kWh=3.6MJである。
(5)水の比熱は、4.187kJ/(kg・K)である。
答え・解説を見る
正解

(2)
ボイラー効率は、換算蒸発量と発生蒸気の比エンタルピの積の値を、燃料消費量と燃料低発熱量の積の値で除して示すことができる。

この問題は何を聞いている?

温度・圧力・熱の単位や数字と、ボイラー効率の式を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

比エンタルピとは?

水や蒸気1kgが持っている熱の量。単位はkJ/kgです。

(1) ⭕ 正しい記述

温度の単位であるセルシウス(摂氏)温度[℃]は、標準大気圧のもとで、水の氷点を0℃、沸点を100℃と定め、この間を100等分したものを1℃としたものである。

セルシウス温度(℃)は、標準大気圧のもとで決めた目盛りです。水が凍る温度を0℃、沸騰する温度を100℃とし、その間を100等分しています。

(2) ❌ 誤りの記述

ボイラー効率は、換算蒸発量と発生蒸気の比エンタルピの積の値を、燃料消費量と燃料低発熱量の積の値で除して示すことができる。

ボイラー効率は、燃料の熱のうち何%が蒸気に入ったかを表す割合です。分母の「燃料消費量×低発熱量」は合っています。誤りは分子で、正しくは実際の蒸発量×(発生蒸気の比エンタルピ−給水の比エンタルピ)です。換算蒸発量は、この式には使いません。

ボイラー効率の式

ボイラー効率(%)= 蒸気が受け取った熱 ÷ 燃料の熱 × 100

蒸気が受け取った熱=実際の蒸発量 ×(発生蒸気の比エンタルピ − 給水の比エンタルピ)

燃料の熱=燃料消費量 × 燃料の低発熱量

換算蒸発量は、蒸気が受け取った熱を2,257kJ/kgで割った数字です。条件の違うボイラーを同じ物差しで比べるために使うもので、効率の式とは別物です。

(3) ⭕ 正しい記述

大気が地球上に及ぼす圧力は約0.1MPaであり、760㎜の高さの水銀柱がその底面に及ぼす圧力(760㎜Hg)を標準大気圧(1atm)という。

大気が地球上のものを押す圧力は、約0.1MPaです。高さ760mmの水銀柱が底を押す圧力を、標準大気圧(1atm)といいます。

(4) ⭕ 正しい記述

単位時間当たりの仕事量を仕事率といい、単位は[W]で、1W=1J/sで仕事量1kWh=3.6MJである。

仕事率は、1秒あたりの仕事量のこと。単位はW(ワット)で、1W=1J/sです。1kWは1秒に1,000J、1時間は3,600秒です。だから1kWh=1,000J×3,600=3,600,000J=3.6MJになります。

(5) ⭕ 正しい記述

水の比熱は、4.187kJ/(kg・K)である。

比熱は、1kgの物の温度を1K(1℃)上げるのに必要な熱の量です。水の比熱は4.187kJ/(kg・K)で、この数字のまま出題されています。

💡 覚え方

効率の式の分子は「実際の蒸発量×比エンタルピの差」。換算蒸発量は、2,257で割って出す別の数字なので、効率の式に出てきたら誤りと判断できます。

以上から、正解は(2)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第1回 熱と蒸気のきほん / 第2回 ボイラーの全体像・水循環・容量と効率

問2 ボイラーの水循環

令和8年4月公表分野:ボイラーの水循環重要度 ★★★
ボイラーの水循環に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラー内で、温度が上昇した水及び気泡を含んだ水は上昇し、その後に温度の低い水が下降して、水の循環流ができる。
(2)丸ボイラーは、伝熱面の多くがボイラー水中に設けられ、水の対流が容易なので、特別な水循環の系路を構成する必要がない。
(3)水管ボイラーは、水と気泡の混合体が上昇する管と、水が下降する管を区別して設けているものが多い。
(4)炉筒ボイラーには、水循環を良くするために、炉筒を中央部から片方に少しずらしたものがある。
(5)水循環が良くなるほど、熱が水に十分に伝わるので、伝熱面温度は水温より著しく高い温度となる。
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正解

(5)
水循環が良くなるほど、熱が水に十分に伝わるので、伝熱面温度は水温より著しく高い温度となる。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの中で水がどう回っているかについての問題です。適切でないものを1つ選びます。

水循環とは?

ボイラーの中で、温まった水が上がり、冷たい水が下りてくる流れのこと。

💡 なぜ? 水が回っていると、熱を受け取る面(伝熱面)にいつも新しい水が触れるからです。熱を受け取り続けることができます。

(1) ⭕ 正しい記述

ボイラー内で、温度が上昇した水及び気泡を含んだ水は上昇し、その後に温度の低い水が下降して、水の循環流ができる。

温まった水や気泡をふくんだ水は軽いので、上へのぼります。そのあとへ温度の低い重い水が下りてきて、循環の流れになるのです。

(2) ⭕ 正しい記述

丸ボイラーは、伝熱面の多くがボイラー水中に設けられ、水の対流が容易なので、特別な水循環の系路を構成する必要がない。

丸ボイラーは、大きな胴(円筒形の容器)に水をためる形のボイラーです。伝熱面の多くが水の中にあり、水が自然に対流しやすいので、特別な循環の通り道はいりません。

(3) ⭕ 正しい記述

水管ボイラーは、水と気泡の混合体が上昇する管と、水が下降する管を区別して設けているものが多い。

水管ボイラーは、細い管の中に水を通すボイラーです。「水と気泡が上がる管」と「水が下りる管」を分けて設けたものが多くあります。

(4) ⭕ 正しい記述

炉筒ボイラーには、水循環を良くするために、炉筒を中央部から片方に少しずらしたものがある。

炉筒ボイラーは、胴の中に、火を燃やす筒(炉筒)が入ったボイラーです。水循環をよくするために、炉筒を中央から片方へ少しずらしたものがあります。

(5) ❌ 誤りの記述

水循環が良くなるほど、熱が水に十分に伝わるので、伝熱面温度は水温より著しく高い温度となる。

水循環がよいと、伝熱面が受け取った熱を水がすぐに運び去ります。そのため伝熱面の温度は、水温に近い温度に保たれるのです。「水温より著しく高い温度となる」が誤りです。

反対に水循環が悪いと、伝熱面に気泡がとどまり、熱が水に渡らなくなります。鉄の壁だけが熱くなり、焼損(焼けて傷む)や膨出(ふくれ出す)の原因になるのです。

💡 覚え方

よく回るほど、伝熱面は水に冷やされる。だから温度は「水温に近い」が正しく、「著しく高い」は逆向きの記述です。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第2回 ボイラーの全体像・水循環・容量と効率

問3 伝熱面・燃焼室・燃焼装置

令和8年4月公表分野:伝熱面・燃焼室・燃焼装置重要度 ★★
ボイラーの伝熱面、燃焼室及び燃焼装置に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃焼室に直面している伝熱面は接触伝熱面といい、燃焼室を出たガス通路に配置される伝熱面は放射伝熱面といわれる。
(2)燃焼室は、燃料を燃焼させ、熱が発生する部分で、火炉ともいわれる。
(3)燃焼室は、供給された燃料を速やかに着火・燃焼させ、発生する可燃性ガスと空気との混合接触を良好にして、完全燃焼を行わせる部分である。
(4)加圧燃焼方式の燃焼室は、気密構造になっている。
(5)燃焼装置は、燃料の種類によって異なり、液体燃料、気体燃料及び微粉炭にはバーナが、一般固体燃料には火格子が用いられる。
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正解

(1)
燃焼室に直面している伝熱面は接触伝熱面といい、燃焼室を出たガス通路に配置される伝熱面は放射伝熱面といわれる。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの燃やす所(燃焼室・燃焼装置)と、熱を受け取る面(伝熱面)の呼び名を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

伝熱面とは?

ボイラーの壁のうち、片側が燃焼ガスに触れ、反対側が水(または蒸気)に触れている面。ここを通って熱が水へ渡ります。

呼び方 場所 主な熱の受け取り方
放射伝熱面 燃焼室に直面している伝熱面 炎からの放射
接触伝熱面(対流伝熱面) 燃焼室を出たガスの通り道にある伝熱面 ガスが触れて流れることで受け取る

(1) ❌ 誤りの記述

燃焼室に直面している伝熱面は接触伝熱面といい、燃焼室を出たガス通路に配置される伝熱面は放射伝熱面といわれる。

2つの名前が逆になっています。燃焼室に直面している伝熱面は放射伝熱面です。燃焼室を出たガス通路にある伝熱面が、接触伝熱面(対流伝熱面)です。

(2) ⭕ 正しい記述

燃焼室は、燃料を燃焼させ、熱が発生する部分で、火炉ともいわれる。

燃焼室は、燃料を燃焼させて熱を発生させる部分です。火炉(かろ)とも呼ばれます。

(3) ⭕ 正しい記述

燃焼室は、供給された燃料を速やかに着火・燃焼させ、発生する可燃性ガスと空気との混合接触を良好にして、完全燃焼を行わせる部分である。

燃焼室の役目は、供給された燃料をすばやく着火・燃焼させることです。燃料から出るガスと空気をよく混ぜて、完全燃焼させます。

(4) ⭕ 正しい記述

加圧燃焼方式の燃焼室は、気密構造になっている。

加圧燃焼方式は、燃焼室の中を大気より高い圧力にして燃やす方式です。中の燃焼ガスが外へ漏れないように、燃焼室は気密構造になっています。

(5) ⭕ 正しい記述

燃焼装置は、燃料の種類によって異なり、液体燃料、気体燃料及び微粉炭にはバーナが、一般固体燃料には火格子が用いられる。

燃焼装置は、燃料の種類によって違うものを使います。液体燃料・気体燃料・微粉炭(粉にした石炭)にはバーナです。粉にしていない一般の固体燃料には、燃料を載せて燃やす火格子が使われます。

💡 覚え方

炎が見える所は「放射」、ガスが通り過ぎる所は「接触(対流)」。場所の様子を思い浮かべると、名前の入れ替えに気づけます。

以上から、正解は(1)です。

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問4 炉筒煙管ボイラー(ブリージングスペース)

令和8年4月公表分野:炉筒煙管ボイラー(ブリージングスペース)重要度 ★★★
炉筒煙管ボイラーに関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)加圧燃焼方式を採用し、燃焼室熱負荷を高くして燃焼効率を高めたものがある。
(2)水管ボイラーに比べ、蒸気使用量の変動による圧力変動が小さい。
(3)戻り燃焼方式を採用し、燃焼効率を高めたものがある。
(4)炉筒は、他の部分より高温になるので、胴板にブリージングスペースを設けて応力を緩和する。
(5)煙管には、伝熱効果の高いスパイラル管を使用しているものが多い。
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正解

(4)
炉筒は、他の部分より高温になるので、胴板にブリージングスペースを設けて応力を緩和する。

この問題は何を聞いている?

丸ボイラーの代表である炉筒煙管ボイラーの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

炉筒煙管ボイラーとは?

大きな胴(円筒形の容器)の中に、炉筒(燃焼室になる太い筒)と煙管(燃焼ガスが通る細い管)を入れたボイラー。

💡 なぜ? 炎は炉筒の中で燃えます。燃焼ガスは煙管を通りながら、まわりの水に熱を渡すしくみです。

(1) ⭕ 正しい記述

加圧燃焼方式を採用し、燃焼室熱負荷を高くして燃焼効率を高めたものがある。

加圧燃焼方式は、燃焼室の圧力を大気より高くして燃やす方式です。燃焼室熱負荷を高くして、燃焼効率を上げたものがあります。

(2) ⭕ 正しい記述

水管ボイラーに比べ、蒸気使用量の変動による圧力変動が小さい。

炉筒煙管ボイラーは、胴に水をたっぷりためているボイラーです。蒸気を使う量が変わっても、たまった湯から蒸気が補われます。そのため、細い管に水を通す水管ボイラーに比べて圧力変動が小さいのです。

(3) ⭕ 正しい記述

戻り燃焼方式を採用し、燃焼効率を高めたものがある。

戻り燃焼方式は、燃焼ガスを炉筒の奥で折り返す方式です。これを採用して、燃焼効率を高めたものがあります。

(4) ❌ 誤りの記述

炉筒は、他の部分より高温になるので、胴板にブリージングスペースを設けて応力を緩和する。

前半の「炉筒は他の部分より高温になる」は合っています。誤りは場所で、ブリージングスペースを設けるのは胴板ではなく鏡板です。鏡板は、胴の両端をふさぐふたの板のこと。鏡板が胴板に入れ替えられている点がひっかけです。

(5) ⭕ 正しい記述

煙管には、伝熱効果の高いスパイラル管を使用しているものが多い。

スパイラル管は、らせん状の溝をつけた管です。ガスをかき回して伝熱効果を高めるので、煙管に使ったものが多くあります。

ブリージングスペースとは?

鏡板のうち、炉筒の取付け部と胴とのあいだに残す、ステー(補強材)を入れない余裕の部分。

💡 なぜ? 炉筒は熱で伸び縮みしますが、両端は鏡板に固定されています。鏡板がこの部分で少したわむことで、伸び縮みを逃がすのです。

💡 覚え方

ブリージング=「呼吸」。炉筒が伸び縮みするたびに、鏡板がひと呼吸ぶんたわむスペースです。炉筒がつながっている板は鏡板だと考えると、場所を間違えません。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第3回 丸ボイラーと鋳鉄製ボイラー

問5 貫流ボイラー

令和8年4月公表分野:貫流ボイラー重要度 ★★★
貫流ボイラーに関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水管ボイラーに分類されるが、一連の長い管系で構成されており、水循環がない。
(2)暖房用、業務用及び工場プロセス用の小形低圧ボイラーとしては、単管式及び多管式が多く使われる。
(3)細い管内で給水のほとんどが蒸発するので、十分な処理を行った水を使用しなければならない。
(4)伝熱面積当たりの保有水量が著しく小さいので、起動から所要蒸気を発生するまでの時間が短い。
(5)同容量の丸ボイラーに比べ、一般に据付面積が大きくなる。
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正解

(5)
同容量の丸ボイラーに比べ、一般に据付面積が大きくなる。

この問題は何を聞いている?

貫流ボイラーの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

貫流ボイラーとは?

蒸気ドラムも水ドラムもなく、管だけで構成されたボイラー。水は管の中を一方通行で流れながら蒸気になります。

💡 なぜ? ドラム(水や蒸気をためる円筒)という大きな胴がないので、小さく軽くつくれるからです。

(1) ⭕ 正しい記述

水管ボイラーに分類されるが、一連の長い管系で構成されており、水循環がない。

貫流ボイラーは、分類のうえでは水管ボイラーの仲間です。ただし、長い管の入口から出口まで水が一度で流れるので、水循環がありません。

(2) ⭕ 正しい記述

暖房用、業務用及び工場プロセス用の小形低圧ボイラーとしては、単管式及び多管式が多く使われる。

暖房用・業務用・工場用の小形低圧ボイラーとしては、単管式や多管式がよく使われます。単管式は1本の長い管、多管式は多数の管を並べた形です。

(3) ⭕ 正しい記述

細い管内で給水のほとんどが蒸発するので、十分な処理を行った水を使用しなければならない。

貫流ボイラーでは、細い管の中で給水のほとんどが蒸発します。水にふくまれる不純物が管に残るので、十分に処理した水を使わなければなりません。

(4) ⭕ 正しい記述

伝熱面積当たりの保有水量が著しく小さいので、起動から所要蒸気を発生するまでの時間が短い。

貫流ボイラーは、伝熱面積あたりの保有水量(ためている水の量)が著しく小さいボイラーです。少ない水はすぐ温まるので、起動から蒸気が出るまでの時間が短くなります。

(5) ❌ 誤りの記述

同容量の丸ボイラーに比べ、一般に据付面積が大きくなる。

貫流ボイラーは、同じ容量の丸ボイラーに比べて据付面積が小さいのが特徴です。「小さい」が「大きい」に入れ替えられている点が誤りです。

💡 覚え方

貫流ボイラー=水が少ない、小さい、速い。保有水量が少ないことから、起動が速い・場所をとらない・水の汚れに弱いがまとめて出てきます。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第4回 水管ボイラーと貫流ボイラー

問6 鋳鉄製ボイラーのハートフォード式連結法

令和8年4月公表分野:鋳鉄製ボイラーのハートフォード式連結法重要度 ★★★
暖房用鋳鉄製蒸気ボイラーにハートフォード式連結法により返り管を取り付ける主な目的として、適切なものは次のうちどれか。
(1)蒸気圧力の異常な昇圧を防止する。
(2)水の自然循環を良くする。
(3)不純物のボイラーへの混入を防止する。
(4)低水位事故を防止する。
(5)湿り蒸気を乾き飽和蒸気にする。
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正解

(4)
低水位事故を防止する。

この問題は何を聞いている?

ハートフォード式連結法で返り管を取り付ける主な目的を問う問題です。適切なものを1つ選びます。

返り管とは?

暖房に使った蒸気が水(復水)に戻り、その水がボイラーへ帰ってくるための管。この返り管のつなぎ方の1つが、ハートフォード式連結法です。

安全低水面とは?

ボイラーの運転中に、これより下げてはいけない水位のこと。

💡 なぜ? これより下がると、熱を受ける面が水から出て焼損するおそれがあるからです。

ハートフォード式連結法の考え方

①返り管で漏れなどのトラブルが起きる

②ボイラーの水が返り管の側へ逆流するおそれがある

③そのままでは、ボイラーの水位が大きく下がる

④そこで返り管を安全低水面の近くでつなぐ

⑤水が逆流しても、安全低水面より下がらない

(1) ❌ 主な目的ではない

蒸気圧力の異常な昇圧を防止する。

蒸気圧力の上がりすぎを防ぐことは、この連結法の目的ではありません。圧力の上がりすぎを防ぐのは、蒸気を自動で吹き出す安全弁の役目です。

(2) ❌ 主な目的ではない

水の自然循環を良くする。

水の自然循環をよくすることは、この連結法の主な目的ではありません。

(3) ❌ 主な目的ではない

不純物のボイラーへの混入を防止する。

不純物がボイラーに入るのを防ぐことも、主な目的ではありません。

(4) ⭕ 主な目的である

低水位事故を防止する。

これが主な目的です。返り管を安全低水面の近くでつなぐつなぎ方です。水が逆流しても水位が下がりすぎないので、低水位事故を防げるのです。

(5) ❌ 主な目的ではない

湿り蒸気を乾き飽和蒸気にする。

湿り蒸気を乾き飽和蒸気にすることも、主な目的ではありません。返り管は水が戻る管で、蒸気の質を変える部品ではないからです。

💡 覚え方

ハートフォード式=低水位事故の防止。返り管を安全低水面の近くでつなぐ、という場所とセットで覚えると目的を思い出せます。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第3回 丸ボイラーと鋳鉄製ボイラー

問7 胴に設けるマンホール・掃除穴・検査穴

令和8年4月公表分野:胴に設けるマンホール・掃除穴・検査穴重要度 ★★
ボイラーの胴に設けるマンホールなどの穴に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)マンホールの大きさは、だ円の場合は長径375mm以上、短径275mm以上とし、円形の場合は直径375mm以上とすることが、JISで定められている。
(2)だ円形又は長方形の穴をボイラーの胴に設ける場合には、短径又は短い辺を胴の軸方向に配置する。
(3)掃除穴は、ボイラー内部を掃除するための穴で、だ円形又は円形とする。
(4)検査穴は、ボイラー内部の点検用として設けられるもので、一般にだ円形とする。
(5)穴を設けた場所は、強度が減少するので、強め材を取り付けたり、フランジを打ち出したりして補強する。
答え・解説を見る
正解

(4)
検査穴は、ボイラー内部の点検用として設けられるもので、一般にだ円形とする。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの胴(円筒形の容器)にあける穴の種類と、形・向きの決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

マンホール・掃除穴・検査穴とは?

ボイラー構造規格第33条で、内部の掃除と検査のために設けるよう定められた3種類の穴。人が入るマンホール、沈殿物を取り除く掃除穴、内部を検査する検査穴です。

穴 大きさ・形(JIS B 8201)
マンホール だ円形なら長径375mm以上・短径275mm以上。円形なら内径375mm以上
掃除穴 だ円形または円形
検査穴 直径30mm以上の円形

(1) ⭕ 正しい記述

マンホールの大きさは、だ円の場合は長径375mm以上、短径275mm以上とし、円形の場合は直径375mm以上とすることが、JISで定められている。

マンホールの大きさは、JIS(JIS B 8201)で決められています。だ円形なら長径375mm以上・短径275mm以上、円形なら直径375mm以上です。

(2) ⭕ 正しい記述

だ円形又は長方形の穴をボイラーの胴に設ける場合には、短径又は短い辺を胴の軸方向に配置する。

胴の板には、中の圧力で引き伸ばされる力がかかります。その力は、胴の周りを一周する向き(周方向)のほうが、長さの向き(軸方向)の2倍です。大きい周方向の力を受け持つ部分を、なるべく切らないようにします。そのため、短径(短い辺)を胴の軸方向にそろえるのです。

(3) ⭕ 正しい記述

掃除穴は、ボイラー内部を掃除するための穴で、だ円形又は円形とする。

掃除穴は、ボイラーの内部を掃除するための穴です。スケールなどの沈殿物を取り除ける大きさにします(構造規格第33条)。形はだ円形または円形です。

(4) ❌ 誤りの記述

検査穴は、ボイラー内部の点検用として設けられるもので、一般にだ円形とする。

前半の「内部の点検用として設ける」は合っています。誤りは形で、JISが定める検査穴は直径30mm以上の円形です。「円形」が「だ円形」に入れ替えられている点がひっかけです。

(5) ⭕ 正しい記述

穴を設けた場所は、強度が減少するので、強め材を取り付けたり、フランジを打ち出したりして補強する。

穴をあけた場所は、板が切り取られたぶん強度が下がります。そこで強め材を取り付けたり、フランジを打ち出したりして補強するのです。構造規格第34条も、胴の穴を十分な強度の強め材で補強するよう定めています。

🤔 なぜ短径を軸方向にすると、切る部分が少なくて済むのですか。

周方向の力を受け持つ帯は、軸方向に並んでいます。穴の軸方向の長さを短くすれば、切られる帯の数が少なくなるからです。

💡 覚え方

人が入るマンホールは大きく、のぞくだけの検査穴は小さな丸(30mm)。だ円の穴は短径を軸方向に向け、大きい周方向の力を受け持つ部分を切らないようにします。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第5回 各部の構造と強さ

問8 温水ボイラーの逃がし管・逃がし弁と附属品

令和8年4月公表分野:温水ボイラーの逃がし管・逃がし弁と附属品重要度 ★★★
温水ボイラー及び蒸気ボイラーの附属品に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水高計は、温水ボイラーの圧力を測る計器であり、蒸気ボイラーの圧力計に相当する。
(2)温水ボイラーの温度計は、ボイラー水が最高温度となる箇所の見やすい位置に取り付ける。
(3)温水ボイラーの逃がし管は、ボイラー水の膨張分を逃がすためのもので、高所に設けた密閉形膨張タンクに直結させる。
(4)温水ボイラーの逃がし弁は、水の膨張により圧力が設定した圧力を超えると、弁体を押し上げ、水を逃がすものである。
(5)暖房用蒸気ボイラーの真空給水ポンプは、受水槽内を真空にして返り管途中の凝縮水を受水槽に吸引するとともに、ボイラーに給水するために用いられる。
答え・解説を見る
正解

(3)
温水ボイラーの逃がし管は、ボイラー水の膨張分を逃がすためのもので、高所に設けた密閉形膨張タンクに直結させる。

この問題は何を聞いている?

温水ボイラーと暖房用蒸気ボイラーの附属品(まわりに付ける部品)の問題です。適切でないものを1つ選びます。

膨張タンクとは?

温めて体積が増えた分の水を受け止めるタンク。上が大気に開いた開放形と、閉じた密閉形の2種類です。

💡 なぜ? 水は温めるとふくらむ性質があります。逃げ場がないと、ボイラーの中の圧力が上がってしまうからです。

(1) ⭕ 正しい記述

水高計は、温水ボイラーの圧力を測る計器であり、蒸気ボイラーの圧力計に相当する。

水高計は、温水ボイラーの圧力を測る計器です。蒸気ボイラーでいう圧力計にあたります。

(2) ⭕ 正しい記述

温水ボイラーの温度計は、ボイラー水が最高温度となる箇所の見やすい位置に取り付ける。

温水ボイラーの温度計は、ボイラー水がいちばん高い温度になる場所に取り付けます。その中でも、見やすい位置を選ぶ決まりです。

(3) ❌ 誤りの記述

温水ボイラーの逃がし管は、ボイラー水の膨張分を逃がすためのもので、高所に設けた密閉形膨張タンクに直結させる。

前半の「ボイラー水の膨張分を逃がすためのもの」は合っています。誤りはつなぐ相手で、逃がし管がつながるのは開放形の膨張タンクです。開放形が密閉形に入れ替えられている点がひっかけです。

(4) ⭕ 正しい記述

温水ボイラーの逃がし弁は、水の膨張により圧力が設定した圧力を超えると、弁体を押し上げ、水を逃がすものである。

逃がし弁は、水の膨張で圧力が設定した圧力を超えると、弁体を押し上げて水を逃がす部品です。逃がし管を設けない場合や、膨張タンクが密閉形の場合に使われます。

(5) ⭕ 正しい記述

暖房用蒸気ボイラーの真空給水ポンプは、受水槽内を真空にして返り管途中の凝縮水を受水槽に吸引するとともに、ボイラーに給水するために用いられる。

真空給水ポンプは、受水槽の中を真空にするポンプです。返り管の途中の凝縮水(蒸気が冷えて戻った水)を吸い込み、その水をボイラーへ給水します。

膨張タンクの形 水を逃がす部品
開放形(高い所に設ける) 逃がし管でボイラーとつなぐ
密閉形 逃がし弁を使う

💡 覚え方

開放形タンクには逃がし管、密閉形タンクには逃がし弁。開いたタンクなら管でつなぐだけで水は上がれますが、閉じたタンクでは弁で逃がす必要があるのです。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第6回 附属品①(安全弁・圧力計・水面計)

問9 蒸気トラップの分類

令和8年4月公表分野:蒸気トラップの分類重要度 ★★
ボイラーの蒸気トラップの分類を示すAからDまでの方式について、作動原理が蒸気とドレンの温度差を利用するもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A バイメタル式
B ベローズ式
C オリフィス式
D ディスク式
(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,C,D
(4)B,C
(5)C,D
答え・解説を見る
正解

(1)
A,B

この問題は何を聞いている?

蒸気トラップの4つの方式のうち、蒸気とドレンの温度差を利用して動くものを全部選ぶ問題です。

ドレンとは?

蒸気が冷えて水に戻ったもの。凝縮水ともいいます。

蒸気トラップとは?

蒸気の配管にたまったドレンを抜くための装置。蒸気を送る主蒸気管では、要所に設けます。

💡 なぜ? たまった水が、流れてきた蒸気に押されて配管にぶつかるおそれがあるからです。大きな衝撃(ウォータハンマ)の原因になります。

蒸気トラップは、蒸気とドレンの何の違いを使うかで3つのグループに分かれます。

グループ 利用する違い 方式
メカニカル 密度(比重)の差 フロート式・バケット式
サーモスタチック 温度差 バイメタル式・ベローズ式
サーモダイナミック 熱力学的性質(流速など)の差 ディスク式・オリフィス式

A ⭕ 温度差を利用する

バイメタル式

バイメタル式は、温度差を利用するグループ(サーモスタチック)です。感温体が温度で膨張・収縮する動きで、弁を開け閉めします。

B ⭕ 温度差を利用する

ベローズ式

ベローズ式も、温度差を利用するグループ(サーモスタチック)です。バイメタル式と同じく、感温体の膨張・収縮で弁を動かします。

C ❌ 温度差を利用しない

オリフィス式

オリフィス式は、温度差ではなく熱力学的性質(流速など)の差を利用するグループです。サーモダイナミックと呼ばれ、ディスク式と同じ仲間です。

D ❌ 温度差を利用しない

ディスク式

ディスク式も、熱力学的性質(流速など)の差を利用するグループです。温度差を利用する方式ではありません。

💡 覚え方

サーモ(熱)+スタチック=温度で形が変わる部品(バイメタル・ベローズ)。サーモ+ダイナミック(動き)=流れ方の差(ディスク・オリフィス)、メカニカル=重さの差(フロート・バケット)です。

温度差を利用するのはAとBなので、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第7回 附属品②(給水・吹出し・送気・熱回収)

問10 オンオフ式温度調節器(電気式)

令和8年4月公表分野:オンオフ式温度調節器(電気式)重要度 ★★
温水ボイラーの温度制御に用いるオンオフ式温度調節器(電気式)に関するAからDまでの記述について、適切なもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 感温体内の液体は、温度の上昇・下降によって膨張・収縮し、ベローズやダイヤフラムの変位により、マイクロスイッチを開閉させる。
B 感温体内の液体には、一般にトルエン、エーテル、アルコールなどが用いられる。
C 保護管を用いて感温体を取り付ける場合は、保護管内にシリコングリスを挿入してはならない。
D 温度調節器は、一般に調節温度及び比例帯の設定を行う。
(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,B,D
(4)B,C,D
(5)C,D
答え・解説を見る
正解

(1)
A,B

この問題は何を聞いている?

温水ボイラーの温度を保つオンオフ式温度調節器(電気式)のしくみと設定を問う問題です。AからDのうち、適切なものを全部選びます。

オンオフ動作とは?

決めた値で入れる・切るを切り替えるだけの制御の動き。

💡 なぜ? これに対して、ずれの大きさに比例して弁の開きを変える動きを比例動作といいます。

感温体とは?

温度調節器のうち、温度を感じ取る部分。温水温度調節器の構成部分の1つです。

A ⭕ 正しい記述

感温体内の液体は、温度の上昇・下降によって膨張・収縮し、ベローズやダイヤフラムの変位により、マイクロスイッチを開閉させる。

感温体には液体が封入されています。液体は温度が上がると膨張し、下がると収縮するのです。その動きがベローズやダイヤフラムの変位になり、マイクロスイッチを開閉させるしくみです。

B ⭕ 正しい記述

感温体内の液体には、一般にトルエン、エーテル、アルコールなどが用いられる。

感温体の中に入れる液体には、一般にトルエン、エーテル、アルコールなどが使われます。

C ❌ 誤りの記述

保護管を用いて感温体を取り付ける場合は、保護管内にシリコングリスを挿入してはならない。

保護管を使って感温体を取り付けるときは、保護管の中にシリコングリス(グリース)を充てんします。そうすると、感温体の応答がよくなるからです。「挿入してはならない」と、逆にしている点が誤りです。

D ❌ 誤りの記述

温度調節器は、一般に調節温度及び比例帯の設定を行う。

オンオフ式の温度調節器で設定するのは、調節温度と動作すき間です。比例帯は、比例動作の調節器で設定するものです。「動作すき間」が「比例帯」に入れ替えられている点が誤りです。

比例帯という言葉は、ほかの回でもひっかけに使われています。比例帯設定ねじは、圧力を細かく調節する比例式の蒸気圧力調節器の部品です。

💡 覚え方

「比例帯」は比例式の言葉。オンオフ式は入れるか切るかの2つだけなので、比例帯が出てきたら誤りと判断できます。

適切なのはAとBなので、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第8回 自動制御

令和8年4月公表「ボイラーの構造」のまとめ

まとめ

・ボイラー効率の分子は実際の蒸発量×(発生蒸気の比エンタルピ−給水の比エンタルピ)。換算蒸発量は使わない

・水循環がよいと、伝熱面は水温に近い温度に保たれる

・燃焼室に直面=放射伝熱面、ガス通路=接触(対流)伝熱面

・ブリージングスペースは鏡板に設ける。貫流ボイラーは据付面積が小さい

・ハートフォード式連結法=低水位事故の防止。だ円の穴は短径を軸方向に。検査穴は直径30mm以上の円形

・逃がし管は開放形膨張タンクへ。密閉形のときは逃がし弁

・温度差で動く蒸気トラップはバイメタル式・ベローズ式。比例帯はオンオフ式では設定しない