二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和8年4月公表分の「ボイラーの取扱い」(問11〜問20)です。
専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。
この記事の問題はどこから?
問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和8年4月公表)
問11 油だきボイラーの逆火の原因
令和8年4月公表分野:油だきボイラーの逆火の原因重要度 ★★
油だきボイラーの点火時に発生する逆火の発生原因となる事象に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)煙道ダンパの開度が不足しているとき。
(2)複数のバーナを有するボイラーで、燃焼中のバーナの火炎を利用して次のバーナに点火したとき。
(3)空気より先に燃料を供給したとき。
(4)煙道内に、すすの堆積が多いとき又は未燃ガスが多く滞留しているとき。
(5)点火の際に着火遅れが生じたとき。
答え・解説を見る
正解
(4)
煙道内に、すすの堆積が多いとき又は未燃ガスが多く滞留しているとき。
この問題は何を聞いている?
油を燃やすボイラーに火をつけるときの事故、逆火(ぎゃっか)の原因を問う問題です。原因として適切でないものを1つ選びます。
逆火とは?
点火のときなどに、炉(火を燃やす部屋)の中で一気に燃え広がった炎が、たき口などから外へ吹き出す現象。
💡 なぜ? 炉の中に燃料がたまった状態で火がつくと、急に大量のガスが燃えて、炉内の圧力が上がるからです。
(1) ⭕ 正しい記述
煙道ダンパの開度が不足しているとき。
煙道ダンパは、燃えたあとのガスの通り道(煙道)の開き具合を変える板です。開き方が足りないと、ガスの逃げ場がなくなるので、逆火の原因になります。
(2) ⭕ 正しい記述
複数のバーナを有するボイラーで、燃焼中のバーナの火炎を利用して次のバーナに点火したとき。
バーナが複数あるボイラーで、燃焼中のバーナの炎を使って次のバーナに点火することは、逆火の原因の1つです。点火には、点火用の火種を使います。
(3) ⭕ 正しい記述
空気より先に燃料を供給したとき。
点火の基本は「空気が先、燃料が後」です。燃料を先に入れると、火がつくまでのあいだに燃料がたまり、一気に燃え広がるおそれがあります。
(4) ❌ 誤りの記述
煙道内に、すすの堆積が多いとき又は未燃ガスが多く滞留しているとき。
煙道のすすや未燃ガス(燃え残ったガス)は、点火時の逆火の原因には当たりません。これは、煙道の中で燃え出す二次燃焼の原因として扱われるものです。別の現象の原因が混ぜられている点が誤りです。
(5) ⭕ 正しい記述
点火の際に着火遅れが生じたとき。
着火が遅れると、そのあいだに炉の中へ燃料がたまります。たまった燃料に一気に火がつくので、逆火の原因です。着火しないときは、ただちに燃料を止めて換気し直すのが決まりです。
| 現象 |
どこで起きるか |
主な原因 |
| 逆火 |
炉の中から、たき口の外へ炎が吹き出す |
ダンパの開き不足・着火遅れ・燃料が先・ほかのバーナの炎で点火 |
| 二次燃焼 |
煙道の中で燃え出す |
煙道にたまったすす・未燃ガス |
💡 覚え方
逆火=炉に燃料がたまったまま火がつく事故。原因はどれも点火のしかたの話です。「煙道のすす・未燃ガス」は二次燃焼の話なので、場所の違いで見分けましょう。
以上から、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第9回 点火と運転開始
問12 たき始めに燃焼量を急増させない理由
令和8年4月公表分野:たき始めに燃焼量を急増させない理由重要度 ★★★
ボイラーのたき始めに、燃焼量を急激に増加させてはならない理由に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラーとれんが積みとの境界面に隙間が生じる原因となるため。
(2)れんが積みの目地に割れが発生する原因となるため。
(3)ウォータハンマの主要な原因となるため。
(4)クラックや漏れを発生させないため。
(5)煙管の取付け部や継手部から、ボイラー水の漏れの原因となるため。
答え・解説を見る
正解
(3)
ウォータハンマの主要な原因となるため。
この問題は何を聞いている?
ボイラーのたき始め(火を入れた直後)に、火を急に強くしてはいけない理由を問う問題です。理由として適切でないものを1つ選びます。
熱応力とは?
温度の差によって、場所ごとの伸び縮みが食い違うことで生まれる力。
💡 なぜ? 熱い所はよく伸び、冷たい所はあまり伸びないので、その境目で引っ張り合い・押し合いが起きるからです。
ボイラーの各部は圧力に耐えるようにつくられていますが、急な温度変化には弱い面があります。そのため点火後は、本体に大きな温度差をつくらないよう、時間をかけて徐々に圧力を上げるのが基本です。
(1) ⭕ 正しい記述
ボイラーとれんが積みとの境界面に隙間が生じる原因となるため。
燃焼量を急に増やすと、ボイラーとれんが積み(炉のまわりに積んだれんがの壁)の境目に、すき間ができる原因になります。
(2) ⭕ 正しい記述
れんが積みの目地に割れが発生する原因となるため。
れんが積みの目地(れんがとれんがの継ぎ目)が割れる原因にもなります。
(3) ❌ 誤りの記述
ウォータハンマの主要な原因となるため。
ウォータハンマは、配管の中の水や蒸気の流れで起きる現象です。例えば蒸気の管にたまった水が、流れてきた蒸気に押されて配管にぶつかり、大きな衝撃を起こします。燃焼量の急増とは別の話なので、理由として誤りです。
(4) ⭕ 正しい記述
クラックや漏れを発生させないため。
燃焼量を急に増やすと、クラック(ひび)や漏れが出る原因になります。それを起こさないために、ゆっくりたき始めるのです。
(5) ⭕ 正しい記述
煙管の取付け部や継手部から、ボイラー水の漏れの原因となるため。
煙管(中を燃焼ガスが通る管)の取付け部や継手から、ボイラー水が漏れる原因になります。
💡 覚え方
急にたくと傷むのは、れんが(すき間・目地の割れ)と本体(クラック・漏れ)。どれも急な温度変化で起きる傷みです。ウォータハンマだけは配管の中の話なので、仲間外れだと分かります。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第5回 各部の構造と強さ / 第9回 点火と運転開始
問13 ボイラー水位の異常低下の原因
令和8年4月公表分野:ボイラー水位の異常低下の原因重要度 ★★
ボイラー水位が安全低水面以下の異常低下となる原因に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)蒸気を大量に供給、消費した。
(2)給水逆止め弁が故障した。
(3)沸水防止管が閉塞した。
(4)吹出し装置の閉止が不完全だった。
(5)水面測定装置が閉塞していた。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
ボイラーの水位が下がりすぎる原因を問う問題です。原因として適切でないものを1つ選びます。
安全低水面とは?
ボイラーを使っている間、これより水位を下げてはいけない最低の水面のこと。
💡 なぜ? これより下がると、熱を受ける面が水から出て空だき(水がないまま燃やすこと)になります。焼損や破裂のおそれが出るのです。
原因の多くは、「水が入らない」か「水が出ていく」のどちらかです。この2つに分けて、選択肢を見ていきましょう。
(1) ⭕ 正しい記述
蒸気を大量に供給、消費した。
蒸気を大量に消費したことは、水位が異常に下がる原因の1つです。ボイラーの水は、蒸気になって出ていくからです。
(2) ⭕ 正しい記述
給水逆止め弁が故障した。
給水逆止め弁は、ボイラーの水がポンプ側へ逆流するのを防ぐ弁です。これが故障すると、ボイラー水が逆流して出ていくので、水位が下がります。
(3) ❌ 誤りの記述
沸水防止管が閉塞した。
沸水防止管は、蒸気の取出し口の下の胴内(円筒形の本体の中)に設ける部品です。役目は、水滴が蒸気と一緒に出ていくのを防ぐこと。蒸気側の部品で、ボイラーの水の出入りには直接関係しないため、原因に当たりません。
(4) ⭕ 正しい記述
吹出し装置の閉止が不完全だった。
吹出し装置は、ボイラー水を外へ出すための装置です。閉め方が不完全だと、そこから水が漏れ出て、水位が下がっていきます。
(5) ⭕ 正しい記述
水面測定装置が閉塞していた。
水面測定装置(水位を見る水面計など)が詰まると、本当の水位と違う高さを示します。水位を見誤るので、下がっていることに気づけません。
| 分け方 |
原因とされたもの |
| 水が出ていく |
蒸気の大量消費・給水逆止め弁の故障(逆流)・吹出し装置の閉め方が不完全 |
| 水が入らない |
給水内管(給水側の管)の穴がふさがる |
| 水位を見誤る |
水面測定装置の詰まり |
💡 覚え方
水位が下がる原因は「入らない・出ていく・見誤る」の3つで整理できます。沸水防止管と蒸気トラップは蒸気側の部品で、公表問題で原因に当たらないとされた2つです。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応
問14 キャリオーバの影響
令和8年4月公表分野:キャリオーバの影響重要度 ★★★
ボイラーにおけるキャリオーバの影響に関するAからDまでの記述について、適切なもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 蒸気の純度を低下させる。
B ボイラー水全体が著しく揺動し、水面計の水位が確認しにくくなる。
C ボイラー水が過熱器に入り、蒸気温度の上昇により過熱器を破損する。
D 水位制御装置が、ボイラー水位が下がったと誤認して、ボイラー水位を高水位にする。
(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,B,D
(4)B,C
(5)C,D
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この問題は何を聞いている?
キャリオーバが起きると何が困るかを問う問題です。AからDのうち、適切なものを全部選びます。
キャリオーバとは?
ボイラー水が、水滴や泡のまま蒸気と一緒にボイラーの外へ運び出されること。
💡 なぜ? 蒸気に水が混じると、水に溶けていた不純物まで配管や機械へ運ばれてしまうので、問題になります。
| 呼び方 |
どんな現象か |
| プライミング(水気立ち) |
ボイラー水が水滴となって、蒸気と一緒に運び出される |
| ホーミング(泡立ち) |
ドラムの中にできた泡が広がり、蒸気に水分が混じって運び出される |
A ⭕ 正しい記述
蒸気の純度を低下させる。
キャリオーバが起きると、蒸気に水や不純物が混じります。そのぶん蒸気の純度が下がるので、正しい記述です。
B ⭕ 正しい記述
ボイラー水全体が著しく揺動し、水面計の水位が確認しにくくなる。
キャリオーバのときは、ボイラー水全体が大きく揺れます。水面計(水位を見る道具)の水面も揺れるので、水位が確認しにくくなるのです。
C ❌ 誤りの記述
ボイラー水が過熱器に入り、蒸気温度の上昇により過熱器を破損する。
過熱器は、できた蒸気をさらに熱する装置です。キャリオーバでボイラー水が過熱器に入ると、蒸気温度は下がります。そのうえで、過熱器の汚れや破損につながるのです。「低下」が「上昇」に入れ替えられている点が誤りです。
D ❌ 誤りの記述
水位制御装置が、ボイラー水位が下がったと誤認して、ボイラー水位を高水位にする。
キャリオーバのときは、水位制御装置が水位が上がったと受け取ります。そのため水位を下げてしまい、低水位を起こすのです。「上がった・低水位」が「下がった・高水位」に入れ替えられている点が誤りです。
あわせて確認:キャリオーバが起きたときの処置
処置のながれ
①燃焼量を下げる
②主蒸気弁を絞って、蒸気の取り出しを減らす(急に開くのは誤り)
③水位が高いときは、一部を吹出しする
④ボイラー水の水質試験を行う
💡 覚え方
キャリオーバの影響は、まず「蒸気の純度が下がる」と「水面が揺れて水位が見にくい」の2つ。この回は、AとBの2つだけが適切な記述でした。
適切なものはAとBなので、正解は(1)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応
問15 ガラス水面計の機能試験を行う時期
令和8年4月公表分野:ガラス水面計の機能試験を行う時期重要度 ★★★
ボイラーのガラス水面計の機能試験を行う時期に関するAからDまでの記述について、適切な時期のみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 休止中のボイラーを稼働させるとき。
B ガラス管の取替えなどの補修を行ったとき。
C 水位が絶えず上下にかすかに動いていると確認したとき。
D プライミングが生じたとき。
(1)A,B
(2)A,B,D
(3)A,C,D
(4)B,C
(5)C
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
ガラス水面計(ガラスごしに水位を見る道具)の機能試験を、いつ行うかを問う問題です。AからDのうち、適切な時期を全部選びます。
水面計の機能試験とは?
水面計の中をブロー(水や蒸気を吹き出させること)して、正しく動くかを試すこと。
💡 なぜ? 水面計が詰まっていると、本当の水位と違う高さを示してしまうからです。
A ⭕ 適切な時期
休止中のボイラーを稼働させるとき。
休止していたボイラーを動かすときは、機能試験が必要な時期の1つです。
B ⭕ 適切な時期
ガラス管の取替えなどの補修を行ったとき。
ガラス管の取替えなどの補修をしたときも、機能試験が必要な時期です。
C ❌ 適切な時期ではない
水位が絶えず上下にかすかに動いていると確認したとき。
水面計が正常なら、水位はいつも少し揺れているものです。かすかに上下しているのは正常のしるしなので、試験が特に必要な時期とはされていません。逆に、まったく動かないときこそ詰まりを疑います。
D ⭕ 適切な時期
プライミングが生じたとき。
プライミングは、ボイラー水が水滴となって、蒸気と一緒に運び出される現象です。プライミングや、泡立ちのホーミングが起きたときは、機能試験が必要な時期に当たります。
| 機能試験が特に必要な時期 |
|
| ① |
休止していたボイラーを動かすとき |
| ② |
ガラス管の取替えなどの補修をしたとき |
| ③ |
取扱い担当者が交替して引き継いだとき |
| ④ |
プライミングやホーミングが起きたとき |
💡 覚え方
「かすかに動いている=水面計は生きている」。試験をするのは、止めていた・直した・人が替わった・水面が荒れたという、いつもと違う場面です。
適切な時期はA・B・Dなので、正解は(2)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応
問16 ディフューザポンプの取扱い
令和8年4月公表分野:ディフューザポンプの取扱い重要度 ★★
ボイラーに給水するディフューザポンプの取扱いに関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)グランドパッキンシール式の軸については、運転中に少量の水が連続で滴下する程度にパッキンが締まっていることを確認する。
(2)運転前に、ポンプ内及びポンプ前後の配管内の空気を十分に抜く。
(3)起動は、ポンプ駆動用電動機が過電流とならないように、吸込み弁及び吐出し弁を全開にした状態で行う。
(4)運転中は、ポンプの吐出し圧力、流量及び負荷電流が適正であることを確認する。
(5)運転を停止するときは、吐出し弁を徐々に閉め、全閉にしてからポンプ駆動用電動機を止める。
答え・解説を見る
正解
(3)
起動は、ポンプ駆動用電動機が過電流とならないように、吸込み弁及び吐出し弁を全開にした状態で行う。
この問題は何を聞いている?
ボイラーに水を送る給水ポンプ(ディフューザポンプ)の、起動・運転・停止の扱い方を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
吸込み弁と吐出し弁とは?
ポンプの入口側にあるのが吸込み弁、出口側にあるのが吐出し弁。吐出し弁の先が、ボイラーへ向かう配管です。
ディフューザポンプの起動から停止まで
①運転前に、ポンプの中と前後の配管の空気を十分に抜く
②吐出し弁を全閉、吸込み弁を全開にした状態で起動する
③回転と水圧が正常になったら、吐出し弁を徐々に開いて全開にする
④運転中は、吐出し圧力・流量・負荷電流が適正か確かめる
⑤停止するときは、吐出し弁を徐々に閉めて全閉にしてから電動機を止める
(1) ⭕ 正しい記述
グランドパッキンシール式の軸については、運転中に少量の水が連続で滴下する程度にパッキンが締まっていることを確認する。
グランドパッキンシール式は、軸のまわりにパッキン(詰め物)を詰めて水を封じる方式です。運転中に少量の水が連続して滴下する程度が、正常な締まり具合です。この水が軸とパッキンを冷やし、なめらかにしているのです。
(2) ⭕ 正しい記述
運転前に、ポンプ内及びポンプ前後の配管内の空気を十分に抜く。
ポンプの中に空気が残っていると、羽根車が空気をかき回すだけで、水を押し出せません。そこで運転前に、ポンプと前後の配管の空気を十分に抜いておきます。
(3) ❌ 誤りの記述
起動は、ポンプ駆動用電動機が過電流とならないように、吸込み弁及び吐出し弁を全開にした状態で行う。
起動は、吐出し弁を全閉、吸込み弁を全開にして行うのが正解です。吐出し弁を開いたまま起動すると、いきなり大量の水が流れ、電動機に過電流(大きすぎる電流)が流れます。吐出し弁まで全開としている点が誤りです。
(4) ⭕ 正しい記述
運転中は、ポンプの吐出し圧力、流量及び負荷電流が適正であることを確認する。
運転中は、吐出し圧力・流量・負荷電流(電動機に流れる電流)が適正かを確かめます。負荷電流を見るのは、ポンプに無理がかかっていないかを知るためです。
(5) ⭕ 正しい記述
運転を停止するときは、吐出し弁を徐々に閉め、全閉にしてからポンプ駆動用電動機を止める。
停止するときは、吐出し弁を徐々に閉め、全閉にしてから電動機を止めます。吐出し側が開いたままだと、ボイラー側から水が逆流するおそれがあるからです。
💡 覚え方
「吐出し弁は、閉じて起動・閉じて停止」。問題文の「過電流とならないように」という理由は正しく、弁の開け閉めだけが逆にされています。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第13回 附属品の取扱い
問17 燃料遮断弁が作動する原因
令和8年4月公表分野:燃料遮断弁が作動する原因重要度 ★★
ボイラーの燃焼安全装置の燃料遮断弁が作動する原因に関する記述について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)蒸気圧力が低下した。
(2)低水位になった。
(3)異常消火した。
(4)送風量が低下した。
(5)油圧が過昇した。
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この問題は何を聞いている?
異常のときに燃料を止める燃料遮断弁が、どんなときに作動するかを問う問題です。作動の原因として適切でないものを1つ選びます。
燃焼安全装置と燃料遮断弁とは?
燃焼安全装置は、異常を見つけると燃料遮断弁を閉じて燃料を止めるしくみ。燃料遮断弁は、そのとき燃料の通り道をふさぐ弁です。
見分け方は、「そのまま燃やし続けると危ないか」です。危ないときだけ、燃料を止めます。
(1) ❌ 誤りの記述
蒸気圧力が低下した。
燃料遮断弁が作動するのは、蒸気圧力が上がりすぎたときです。圧力が下がっても、燃やし続けて危険が増すわけではないので、燃料は止めません。「上昇」が「低下」に入れ替えられている点が誤りです。
(2) ⭕ 正しい記述
低水位になった。
低水位になると、燃料遮断弁が作動します。水が少ないまま燃やし続けると、空だき(水がないまま燃やすこと)につながるからです。
(3) ⭕ 正しい記述
異常消火した。
異常消火(燃焼中に火が消えること)のときも作動します。点火しても火がつかない不着火のときも同じです。
(4) ⭕ 正しい記述
送風量が低下した。
送風量が低下したとき、つまり燃焼に使う空気が足りなくなったときも、燃料遮断弁が作動します。
(5) ⭕ 正しい記述
油圧が過昇した。
油圧が上がりすぎた(過昇した)ときも、燃料遮断弁が作動する原因の1つです。
| 作動する(燃料を止める) |
作動の原因ではない |
| 蒸気圧力が上がりすぎた |
蒸気圧力が下がった |
| 低水位になった |
高水位になった |
| 不着火・異常消火 |
|
| 送風量が低下した |
|
| 油圧が上がりすぎた |
|
💡 覚え方
圧力は「上がりすぎ」、水位は「下がりすぎ」で燃料を止めます。圧力の低下や高水位は、燃やし続けても危険が増えないので、作動の原因ではありません。
以上から、正解は(1)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応
問18 運転を停止してボイラー水を全部排出する手順
令和8年4月公表分野:運転を停止してボイラー水を全部排出する手順重要度 ★★
ボイラーの運転を停止し、ボイラー水を全部排出する場合の措置に関するAからDまでの記述について、適切なもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 運転停止の際は、最初に、ボイラーの水位を常用水位に保つように給水を続け、蒸気の送り出しを徐々に減少させる。
B 運転停止の際は、ファンを止めた後、燃料の供給を停止し、固体燃料は完全に燃え切らせる。
C 給水弁及び蒸気弁を閉じた後は、ボイラー内部がわずかに真空になる程度に、空気を送り込んでから空気抜き弁を閉じる。
D ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて排水を行う。
(1)A,B,C
(2)A,B,D
(3)A,D
(4)B,C
(5)C,D
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この問題は何を聞いている?
ボイラーを止めて、中の水を全部抜くときの手順を問う問題です。AからDのうち、適切なものを全部選びます。
運転を停止してボイラー水を全部排出する順番
①常用水位を保つように給水を続けながら、蒸気の送り出しを徐々に減らす
②燃料の供給を止め、十分に換気してからファンを止める
③ボイラーの圧力がないことを確かめてから、給水弁と蒸気弁を閉じる
④内部が負圧(真空)にならないよう、空気抜弁を開いて空気を入れる
⑤ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて排水する
A ⭕ 正しい記述
運転停止の際は、最初に、ボイラーの水位を常用水位に保つように給水を続け、蒸気の送り出しを徐々に減少させる。
最初にすることは、蒸気の送り出しを徐々に減らすことです。そのあいだも、常用水位(ふだんの運転の水位)を保つように給水を続けます。水位を保つのは、空だき(水がないまま燃やすこと)を防ぐためです。
B ❌ 誤りの記述
運転停止の際は、ファンを止めた後、燃料の供給を停止し、固体燃料は完全に燃え切らせる。
正しい順番は、燃料を止める→十分に換気する→ファンを止めるです。ファンを先に止めると換気ができず、炉の中に燃料のガスが残ってしまいます。ファンと燃料の順番が逆にされている点が誤りです。
C ❌ 誤りの記述
給水弁及び蒸気弁を閉じた後は、ボイラー内部がわずかに真空になる程度に、空気を送り込んでから空気抜き弁を閉じる。
ボイラーが冷えると、中の蒸気が水に戻って真空になり、外から押しつぶされるおそれがあります。それを防ぐために、空気抜弁を開いて空気を入れるのです。「わずかに真空になる程度」にして弁を閉じるのは、目的と反対です。
D ⭕ 正しい記述
ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて排水を行う。
排水は、ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて行います。熱いまま抜くと、急な温度変化で本体を傷めるうえ、高温の水が噴き出す危険もあるからです。
💡 覚え方
「蒸気を減らす→火を消して煙を出す→弁を閉じる→空気を入れる→冷めたら抜く」。ファンは換気が終わるまで止めない、空気は真空を防ぐために入れる、と目的から考えましょう。
適切なものはAとDなので、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第11回 運転の停止・保存・清掃
問19 清缶剤(脱酸素剤に使う薬剤)
令和8年4月公表分野:清缶剤(脱酸素剤に使う薬剤)重要度 ★★★
ボイラー給水の脱酸素剤として使用される薬剤の組合せは、次のうちどれか。
(1)塩化ナトリウム りん酸ナトリウム
(2)りん酸ナトリウム タンニン
(3)亜硫酸ナトリウム 炭酸ナトリウム
(4)亜硫酸ナトリウム タンニン
(5)炭酸ナトリウム りん酸ナトリウム
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この問題は何を聞いている?
脱酸素剤として使われる薬剤を、2つとも正しく組み合わせたものを選ぶ問題です。薬の名前と働きを結びつけられるかが問われています。
脱酸素剤とは?
給水の中に溶けている酸素(溶存酸素)を取り除く薬。タンニンや亜硫酸ナトリウムなどがあります。
💡 なぜ? 水に溶けた酸素は、ボイラーの鋼材を腐食させる原因になるからです。
脱酸素剤は、清缶剤の仲間です。清缶剤とは、スケール(湯あか)の付着や腐食を防ぐため、給水やボイラー水に直接加える薬品のことです。
| 働き |
主な薬品 |
| 脱酸素剤(溶存酸素を取り除く) |
タンニン・亜硫酸ナトリウム |
| 軟化剤(硬度成分を溶けない化合物に変える) |
炭酸ナトリウム・りん酸ナトリウム |
| 酸消費量付与剤(アルカリ分を加える) |
水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウム |
(1) ❌ 脱酸素剤でない薬剤をふくむ
塩化ナトリウム りん酸ナトリウム
りん酸ナトリウムは、脱酸素剤ではなく軟化剤です。塩化ナトリウムも、脱酸素剤のタンニン・亜硫酸ナトリウムのどちらでもありません。
(2) ❌ 脱酸素剤でない薬剤をふくむ
りん酸ナトリウム タンニン
タンニンは脱酸素剤ですが、りん酸ナトリウムは軟化剤です。片方だけが合っている組合せなので、当てはまりません。
(3) ❌ 脱酸素剤でない薬剤をふくむ
亜硫酸ナトリウム 炭酸ナトリウム
亜硫酸ナトリウムは脱酸素剤ですが、炭酸ナトリウムは軟化剤です。名前が似ているので、「亜硫酸」と「炭酸」を読み分けましょう。
(4) ⭕ 2つとも脱酸素剤
亜硫酸ナトリウム タンニン
亜硫酸ナトリウムとタンニンは、どちらも脱酸素剤です。2つとも合っている組合せは、これだけです。
(5) ❌ 脱酸素剤でない薬剤をふくむ
炭酸ナトリウム りん酸ナトリウム
炭酸ナトリウムとりん酸ナトリウムは、どちらも軟化剤です。軟化剤は、スケールのもとになる硬度成分(カルシウムなど)を、溶けない化合物に変える薬です。
💡 覚え方
脱酸素剤は「タンニン・亜硫酸ナトリウム」、軟化剤は「炭酸ナトリウム・りん酸ナトリウム」。選択肢に「タンニン」が入っているかを先に見ると、脱酸素剤の組を見つけやすくなります。
2つとも脱酸素剤なのは亜硫酸ナトリウムとタンニンなので、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第12回 ボイラーの水管理
問20 給水の脱気(溶存気体の除去)
令和8年4月公表分野:給水の脱気(溶存気体の除去)重要度 ★
ボイラーの給水の中の溶存気体の除去に関するAからDまでの記述について、適切なもののみを全てあげた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 溶存気体の溶解度は、圧力が高くなると減少する。
B 脱気法には、化学的脱気法と物理的脱気法がある。
C 加熱脱気法は、水を加熱し、溶存気体の溶解度を上げることにより、溶存気体を除去する方法である。
D 膜脱気法は、高分子気体透過膜を介して、水中から溶存気体を除去する方法である。
(1)A,B
(2)A,B,D
(3)A,C
(4)B,D
(5)C,D
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この問題は何を聞いている?
給水に溶けている気体を取り除く脱気についての問題です。AからDのうち、適切なものを全部選びます。
溶存気体と脱気とは?
溶存気体は、水に溶けているO₂(酸素)やCO₂(二酸化炭素)のこと。これを取り除くのが脱気です。
💡 なぜ? 溶存気体は、ボイラーの鋼材を腐食させる原因になるからです。
溶解度とは?
気体が水に溶ける量のこと。温度が上がると減り、圧力が上がると増える性質があります。
💡 なぜ? 炭酸飲料が、ぬるくなったり、ふたを開けて圧力が下がったりすると気が抜けるのと同じです。
A ❌ 誤りの記述
溶存気体の溶解度は、圧力が高くなると減少する。
溶解度は、圧力が高くなると増加します。圧力が高いほど、気体は水によく溶けるのです。「増加」が「減少」に入れ替えられている点が誤りです。
B ⭕ 正しい記述
脱気法には、化学的脱気法と物理的脱気法がある。
脱気の方法は、化学的脱気法と物理的脱気法の2つに分けられます。化学的脱気は、脱酸素剤という薬を加えて、酸素と反応させて取り除く方法です。
C ❌ 誤りの記述
加熱脱気法は、水を加熱し、溶存気体の溶解度を上げることにより、溶存気体を除去する方法である。
加熱脱気法は、水を加熱して溶解度を下げ、気体を追い出す方法です。温めると、気体は水に溶けにくくなるからです。「下げる」が「上げる」に入れ替えられている点が誤りです。
D ⭕ 正しい記述
膜脱気法は、高分子気体透過膜を介して、水中から溶存気体を除去する方法である。
膜脱気法は、高分子の気体透過膜(気体だけを通す膜)を使う方法です。この膜を通して、水の中から溶存気体を取り除きます。
| 方法 |
しくみ |
| 加熱脱気法 |
水を加熱して溶解度を下げ、気体を追い出す |
| 膜脱気法 |
高分子の気体透過膜を通して、気体を取り除く |
| 化学的脱気 |
脱酸素剤を加え、酸素と反応させて取り除く |
💡 覚え方
気体は「温めると溶けにくく、圧力をかけると溶けやすい」。ぬるい炭酸飲料は気が抜け、ふたを閉めた(圧力が高い)うちは抜けない、と思い出しましょう。
適切なものはBとDなので、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第12回 ボイラーの水管理
令和8年4月公表「ボイラーの取扱い」のまとめ
まとめ
・逆火の原因=ダンパの開き不足・着火遅れ・燃料が先・ほかのバーナの炎で点火。煙道のすす・未燃ガスは二次燃焼の原因
・たき始めの燃焼量の急増はれんがの割れ・クラック・漏れの原因。ウォータハンマは配管の中の話
・水位の異常低下は「水が入らない・出ていく・見誤る」。沸水防止管の閉塞は原因に当たらない
・キャリオーバの影響=蒸気の純度が下がる・水面が揺れて水位が見にくい。水面計の機能試験はかすかに動いているときは不要
・ディフューザポンプは吐出し弁を閉じて起動・閉じて停止。燃料遮断弁は圧力の上がりすぎ・低水位などで作動
・停止の順番=燃料停止→換気→ファン停止、空気抜弁は開いて真空を防ぎ、90℃以下で排水
・脱酸素剤=タンニン・亜硫酸ナトリウム。気体の溶解度は温度が上がると減り、圧力が上がると増える