二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和7年10月公表分の「ボイラーの構造」(問1〜問10)です。
専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。
この記事の問題はどこから?
問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和7年10月公表)
問1 温度と圧力(℃とK・ゲージ圧力)
令和7年10月公表分野:温度と圧力(℃とK・ゲージ圧力)重要度 ★★★
温度及び圧力に関する記述のうち、適切でないものは次のうちどれか。ただし、* を付した数字は、小数点以下を省略している。
(1)セルシウス(摂氏)温度は、標準大気圧の下で、水の氷点を0℃、沸点を100℃と定め、この間を100等分したものを1℃としたものである。
(2)セルシウス(摂氏)温度t[℃]と絶対温度T[K]との間には、t=T+273*の関係がある。
(3)760㎜の高さの水銀柱がその底面に及ぼす圧力を標準大気圧といい、1013*hPaに相当する。
(4)圧力計に表れる圧力をゲージ圧力といい、その値に大気圧を加えたものを絶対圧力という。
(5)1Pa は1m²当たり1Nの力が作用する圧力であり、1MPa =10⁶Pa =1N/ mm²である。
答え・解説を見る
正解
(2)
セルシウス(摂氏)温度t[℃]と絶対温度T[K]との間には、t=T+273*の関係がある。
この問題は何を聞いている?
温度と圧力の単位や換算についての問題です。適切でないものを1つ選びます。決め手は、式の足す向きに気づけるかどうかです。
絶対温度とは?
これ以上冷えない最低の温度を0K(ケルビン)とした温度の目盛り。1Kの幅は1℃と同じです。
(1) ⭕ 正しい記述
セルシウス(摂氏)温度は、標準大気圧の下で、水の氷点を0℃、沸点を100℃と定め、この間を100等分したものを1℃としたものである。
セルシウス温度(℃)は、日常で使う温度の目盛りです。標準大気圧のもとで、水が凍る温度を0℃、沸騰する温度を100℃と決め、その間を100等分しています。
(2) ❌ 誤りの記述
セルシウス(摂氏)温度t[℃]と絶対温度T[K]との間には、t=T+273*の関係がある。
正しい式はT=t+273です。絶対温度T[K]は、セルシウス温度t[℃]より273大きい数字になります。選択肢の「t=T+273」は、足す向きが逆になっている点が誤りです。
℃をKに直す式で確かめる
絶対温度T[K]=セルシウス温度t[℃]+273
例:0℃ → 0+273=273K
例:20℃ → 20+273=293K
選択肢の式だと、0Kのとき0+273=273℃になってしまう → 逆
(3) ⭕ 正しい記述
760㎜の高さの水銀柱がその底面に及ぼす圧力を標準大気圧といい、1013*hPaに相当する。
標準大気圧は、高さ760mmの水銀柱が底面を押す圧力のことです。これは約1013hPaに当たり、MPaに直すと約0.1MPaです。
(4) ⭕ 正しい記述
圧力計に表れる圧力をゲージ圧力といい、その値に大気圧を加えたものを絶対圧力という。
圧力計の目盛りは、大気圧を0として表示しています。圧力計が示す値がゲージ圧力です。ゲージ圧力に大気圧を足したものを絶対圧力といいます。
(5) ⭕ 正しい記述
1Pa は1m²当たり1Nの力が作用する圧力であり、1MPa =10⁶Pa =1N/ mm²である。
圧力は、面を押す力を面積1m²あたりで表したものです。1Pa=1m²あたり1N(ニュートン)の力という決まりです。1Paはとても小さいので、ボイラーではMPaを使います。1MPa=10の6乗Pa(1,000,000Pa)=1N/mm²です。
💡 覚え方
Kのほうが273大きい(0℃でも273K)。圧力も同じ形で、絶対圧力=ゲージ圧力+大気圧です。どちらも0の置き場所が違うだけなので、「大きいほう=小さいほう+差」と覚えましょう。
以上から、正解は(2)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第1回 熱と蒸気のきほん
問2 ボイラーの水循環
令和7年10月公表分野:ボイラーの水循環重要度 ★★★
ボイラーの水循環に関する記述のうち、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラー内で、温度が上昇した水及び気泡を含んだ水は上昇し、その後に温度の低い水が下降して、水の循環流ができる。
(2)丸ボイラーは、伝熱面の多くがボイラー水中に設けられ、水の対流が容易なので、特別な水循環の系路を構成する必要がない。
(3)水管ボイラーは、水と気泡の混合体が上昇する管と、水が下降する管を区別して設けているものが多い。
(4)炉筒ボイラーには、水循環を良くするために、炉筒を中央部から片方に少しずらしたものがある。
(5)水循環が良くなるほど、熱が水に十分に伝わるので、伝熱面温度は水温より著しく高い温度となる。
答え・解説を見る
正解
(5)
水循環が良くなるほど、熱が水に十分に伝わるので、伝熱面温度は水温より著しく高い温度となる。
この問題は何を聞いている?
ボイラーの中で水がどう回っているかについての問題です。適切でないものを1つ選びます。
水循環とは?
ボイラーの中で、温まった水が上がり、冷たい水が下りてくる流れのこと。
💡 なぜ? 水は温まると軽くなり、冷えると重くなるからです。鍋でお湯を沸かすと、底の水が上がってくるのと同じ動きです。
(1) ⭕ 正しい記述
ボイラー内で、温度が上昇した水及び気泡を含んだ水は上昇し、その後に温度の低い水が下降して、水の循環流ができる。
温まった水や気泡をふくんだ水は軽いので上がります。そのあとへ温度の低い重い水が下りてきて、循環の流れになるのです。
(2) ⭕ 正しい記述
丸ボイラーは、伝熱面の多くがボイラー水中に設けられ、水の対流が容易なので、特別な水循環の系路を構成する必要がない。
丸ボイラーは、大きな胴(円筒形の容器)に水をためる形のボイラーです。熱を受け取る面(伝熱面)の多くが水の中にあり、水が自然に対流しやすいので、特別な循環の通り道はいりません。
(3) ⭕ 正しい記述
水管ボイラーは、水と気泡の混合体が上昇する管と、水が下降する管を区別して設けているものが多い。
水管ボイラーは、細い管(水管)の中に水を通して熱するボイラーです。水と気泡が上がる管と、水が下りる管を分けて設けたものが多くあります。上り下りの道を分けると、水がスムーズに回るからです。
(4) ⭕ 正しい記述
炉筒ボイラーには、水循環を良くするために、炉筒を中央部から片方に少しずらしたものがある。
炉筒ボイラーは、胴の中に、火を燃やす筒(炉筒)が入ったボイラーです。水循環をよくするために、炉筒を中央から片方へ少しずらしたものがあります。
(5) ❌ 誤りの記述
水循環が良くなるほど、熱が水に十分に伝わるので、伝熱面温度は水温より著しく高い温度となる。
水循環がよいと、伝熱面が受け取った熱はすぐ水に運び去られます。そのため伝熱面の温度は、水温に近い温度に保たれるのです。「水温より著しく高い温度となる」が誤りです。
🤔 反対に、水循環が悪いとどうなるのですか。
伝熱面に気泡がとどまり、熱が水に渡らなくなります。すると鉄の壁だけが熱くなり、焼損(焼けて傷む)や膨出(ふくれ出す)の原因になるのです。
💡 覚え方
よく回るほど、伝熱面は水で冷やされる。だから伝熱面の温度は水温に近くなります。「著しく高い」は、水循環が悪いときに起きることです。
以上から、正解は(5)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第2回 ボイラーの全体像・水循環・容量と効率
問3 伝熱面・燃焼室・燃焼装置
令和7年10月公表分野:伝熱面・燃焼室・燃焼装置重要度 ★★
ボイラーの伝熱面、燃焼室及び燃焼装置に関する記述のうち、適切でないものは次のうちどれか。
(1)燃焼室に直面している伝熱面は接触伝熱面、燃焼室を出た高温ガス通路に配置される伝熱面は対流伝熱面といわれる。
(2)燃焼室は、燃料を燃焼させ、熱が発生する部分で、火炉ともいわれる。
(3)燃焼室は、供給された燃料を速やかに着火・燃焼させ、発生する可燃性ガスと空気との混合接触を良好にして、完全燃焼を行わせる部分である。
(4)加圧燃焼方式の燃焼室は、気密構造になっている。
(5)燃焼装置は、燃料の種類によって異なり、液体燃料、気体燃料及び微粉炭にはバーナが、一般固体燃料には火格子が用いられる。
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正解
(1)
燃焼室に直面している伝熱面は接触伝熱面、燃焼室を出た高温ガス通路に配置される伝熱面は対流伝熱面といわれる。
この問題は何を聞いている?
ボイラーの熱を受け取る面(伝熱面)と、燃やす場所・燃やす装置についての問題です。適切でないものを1つ選びます。
伝熱面とは?
ボイラーの壁のうち、片側が燃焼ガス(燃えてできた熱いガス)に触れ、反対側が水や蒸気に触れている面。ここを通って熱が水へ渡ります。
| 呼び方 |
場所 |
主な熱の受け取り方 |
| 放射伝熱面 |
燃焼室に直面している伝熱面 |
炎からの放射 |
| 対流伝熱面(接触伝熱面) |
燃焼室を出た高温ガスの通り道にある伝熱面 |
ガスが触れて流れる対流 |
(1) ❌ 誤りの記述
燃焼室に直面している伝熱面は接触伝熱面、燃焼室を出た高温ガス通路に配置される伝熱面は対流伝熱面といわれる。
燃焼室に直面している伝熱面は、放射伝熱面といいます。接触伝熱面は、高温ガスの通り道にある対流伝熱面の別の呼び名です。前半の「放射」が「接触」に入れ替えられている点が誤りです。後半の対流伝熱面の説明は合っています。
(2) ⭕ 正しい記述
燃焼室は、燃料を燃焼させ、熱が発生する部分で、火炉ともいわれる。
燃焼室は、燃料を燃やして熱を発生させる部分です。火炉(かろ)とも呼ばれます。
(3) ⭕ 正しい記述
燃焼室は、供給された燃料を速やかに着火・燃焼させ、発生する可燃性ガスと空気との混合接触を良好にして、完全燃焼を行わせる部分である。
燃焼室の役目は2つです。供給された燃料をすばやく着火・燃焼させること。そして、燃料から出る可燃性ガスと空気をよく混ぜて完全燃焼させることです。
(4) ⭕ 正しい記述
加圧燃焼方式の燃焼室は、気密構造になっている。
加圧燃焼方式は、燃焼室の中を大気より高い圧力にして燃やす方式です。中の燃焼ガスが外へ漏れないように、燃焼室は気密構造になっています。
(5) ⭕ 正しい記述
燃焼装置は、燃料の種類によって異なり、液体燃料、気体燃料及び微粉炭にはバーナが、一般固体燃料には火格子が用いられる。
燃焼装置は、燃料の種類によって違うものを使います。液体燃料・気体燃料・微粉炭(粉にした石炭)にはバーナです。粉にしていない一般の固体燃料には、燃料を載せて燃やす火格子を用います。
💡 覚え方
炎が見える所は放射、ガスが通り過ぎる所は対流(接触)。燃焼室に直面していれば、炎の放射を直接受けるので放射伝熱面です。
以上から、正解は(1)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第2回 ボイラーの全体像・水循環・容量と効率
問4 炉筒煙管ボイラー
令和7年10月公表分野:炉筒煙管ボイラー重要度 ★★★
炉筒煙管ボイラーに関する記述のうち、適切でないものは次のうちどれか。
(1)加圧燃焼方式を採用し、燃焼室熱負荷を高くして燃焼効率を高めたものがある。
(2)水管ボイラーに比べ、蒸気使用量の変動による圧力変動が小さい。
(3)戻り燃焼方式を採用し、燃焼効率を高めたものがある。
(4)炉筒は、他の部分より高温になるので、胴にブリージングスペースを設けて応力を緩和する。
(5)煙管には、伝熱効果の高いスパイラル管を使用しているものが多い。
答え・解説を見る
正解
(4)
炉筒は、他の部分より高温になるので、胴にブリージングスペースを設けて応力を緩和する。
この問題は何を聞いている?
丸ボイラーの代表である炉筒煙管ボイラーの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
炉筒煙管ボイラーとは?
胴(円筒形の容器)の中に、炉筒(燃焼室になる太い筒)と煙管(燃焼ガスが通る細い管)の両方を入れたボイラー。
💡 なぜ? 炎は炉筒の中で燃え、燃焼ガスは煙管を通りながら、まわりの水に熱を渡して出ていきます。
(1) ⭕ 正しい記述
加圧燃焼方式を採用し、燃焼室熱負荷を高くして燃焼効率を高めたものがある。
加圧燃焼方式は、燃焼室の圧力を大気より高くして燃やす方式です。これを採用し、燃焼室熱負荷を高くして燃焼効率を上げたものがあります。
(2) ⭕ 正しい記述
水管ボイラーに比べ、蒸気使用量の変動による圧力変動が小さい。
炉筒煙管ボイラーは、大きな胴に水をたっぷりためているボイラーです。たまった熱い水が熱のたくわえになるので、蒸気を使う量が変わっても圧力変動が小さいのです。
(3) ⭕ 正しい記述
戻り燃焼方式を採用し、燃焼効率を高めたものがある。
戻り燃焼方式は、燃焼ガスを炉筒の奥で折り返す方式です。これを採用して、燃焼効率を高めたものがあります。
(4) ❌ 誤りの記述
炉筒は、他の部分より高温になるので、胴にブリージングスペースを設けて応力を緩和する。
ブリージングスペースを設けるのは、胴ではなく鏡板(胴の両端をふさぐふたの板)です。「鏡板」が「胴」に入れ替えられている点が誤りです。前半の「炉筒は他の部分より高温になる」は合っています。
(5) ⭕ 正しい記述
煙管には、伝熱効果の高いスパイラル管を使用しているものが多い。
スパイラル管は、らせん状の溝をつけた管です。ガスをかき回して伝熱効果を高めるので、煙管に使ったものが多くあります。
ブリージングスペースとは
炉筒は炎に直接さらされるので、熱でよく伸び縮みする部分です。しかも炉筒の両端は、鏡板に固定されています。そのため、伸び縮みのたびに鏡板が押されたり引かれたりするのです。
そこで鏡板のうち、炉筒の取付け部と胴とのあいだに、ステー(補強材)を入れない余裕の部分を残します。これがブリージングスペースです。鏡板がこの部分で少したわむことで、炉筒の伸び縮みを逃がします。
💡 覚え方
ブリージング=「呼吸」。炉筒が伸び縮みするたびに、炉筒がつながっている鏡板がひと呼吸ぶんたわみます。炉筒の端は鏡板に付いているので、受け止めるのは胴ではなく鏡板です。
以上から、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第3回 丸ボイラーと鋳鉄製ボイラー
問5 貫流ボイラー
令和7年10月公表分野:貫流ボイラー重要度 ★★★
貫流ボイラーに関する記述のうち、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水管ボイラーに分類され、一連の長い管系で構成されており、水循環がない。
(2)暖房用、業務用及び工場プロセス用の小形低圧ボイラーとして、単管式及び多管式が多く使われる。
(3)細い管内で給水のほとんどが蒸発するので、十分な処理を行った水を使用しなければならない。
(4)伝熱面積当たりの保有水量が著しく小さいので、起動から所要蒸気を発生するまでの時間が短い。
(5)同容量の丸ボイラーに比べ、一般に据付面積が大きくなる。
答え・解説を見る
正解
(5)
同容量の丸ボイラーに比べ、一般に据付面積が大きくなる。
この問題は何を聞いている?
貫流ボイラーの特徴を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
貫流ボイラーとは?
蒸気や水をためるドラム(胴)がなく、管だけで構成されたボイラー。水は管の入口から出口まで一方通行で流れながら蒸気になります。
💡 なぜ? 大きな胴がないので、高い圧力に耐えやすく、小さく軽くつくれるからです。
(1) ⭕ 正しい記述
水管ボイラーに分類され、一連の長い管系で構成されており、水循環がない。
貫流ボイラーは、細い管に水を通す水管ボイラーの仲間です。一連の長い管でできていて、水は一方通行で流れます。ぐるぐる回る水循環はありません。
(2) ⭕ 正しい記述
暖房用、業務用及び工場プロセス用の小形低圧ボイラーとして、単管式及び多管式が多く使われる。
暖房用・業務用・工場用の小形低圧ボイラーとしてよく使われます。1本の長い管でできた単管式と、多数の管を並べた多管式の2つです。
(3) ⭕ 正しい記述
細い管内で給水のほとんどが蒸発するので、十分な処理を行った水を使用しなければならない。
細い管の中で、給水のほとんどが蒸発します。すると水にふくまれていた不純物が管に残るのです。そのため、十分に処理した水を使わなければなりません。
(4) ⭕ 正しい記述
伝熱面積当たりの保有水量が著しく小さいので、起動から所要蒸気を発生するまでの時間が短い。
貫流ボイラーは、熱を受け取る面の広さに対して、ためている水(保有水量)が著しく少ないボイラーです。少ない水はすぐ温まるので、起動してから蒸気が出るまでの時間が短くなります。
(5) ❌ 誤りの記述
同容量の丸ボイラーに比べ、一般に据付面積が大きくなる。
貫流ボイラーの据付面積は、同じ容量の丸ボイラーに比べて小さくなります。丸ボイラーは大きな胴に水をためますが、貫流ボイラーにはその胴がないからです。「小さい」が「大きい」に入れ替えられている点が誤りです。
💡 覚え方
貫流ボイラー=水が少ない、小さい、速い。大きな胴がないことから、起動が速い・場所をとらない・水の汚れに弱いがまとめて出てきます。
以上から、正解は(5)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第4回 水管ボイラーと貫流ボイラー
問6 鋳鉄製ボイラーのハートフォード式連結法
令和7年10月公表分野:鋳鉄製ボイラーのハートフォード式連結法重要度 ★★★
暖房用鋳鉄製蒸気ボイラーにハートフォード式連結法により返り管を取り付ける主な目的として、適切なものは次のうちどれか。
(1)蒸気圧力の異常な昇圧を防止する。
(2)水の自然循環を良くする。
(3)不純物のボイラーへの混入を防止する。
(4)低水位事故を防止する。
(5)湿り蒸気を乾き飽和蒸気にする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
暖房用の鋳鉄製蒸気ボイラーで使う、ハートフォード式連結法の目的を選ぶ問題です。この問題は適切なものを1つ選びます。
返り管とは?
暖房に使った蒸気が冷えて水(復水)になり、ボイラーへ戻ってくるときに通る管。この返り管のつなぎ方の1つが、ハートフォード式連結法です。
安全低水面とは?
ボイラーの運転中に、これより下げてはいけない水位。
💡 なぜ? これより下がると、熱を受ける面が水から出て焼損(焼けて傷むこと)するおそれがあるからです。
ハートフォード式連結法の考え方
①返り管で漏れなどのトラブルが起きる
②ボイラーの水が、返り管の側へ逆流するおそれがある
③そのままでは、ボイラーの水位が大きく下がる
④そこで返り管を、安全低水面の近くでつないでおく
⑤水が逆流しても、安全低水面より下がらない
(1) ❌ 主な目的ではない
蒸気圧力の異常な昇圧を防止する。
ハートフォード式連結法の目的には当たりません。蒸気圧力の上がりすぎを防ぐのは、圧力が設定した値に達すると自動で蒸気を逃がす安全弁の役目です。
(2) ❌ 主な目的ではない
水の自然循環を良くする。
水の自然循環をよくすることは、ハートフォード式連結法の主な目的ではありません。
(3) ❌ 主な目的ではない
不純物のボイラーへの混入を防止する。
不純物がボイラーへ入るのを防ぐことも、ハートフォード式連結法の主な目的ではありません。
(4) ⭕ 主な目的である
低水位事故を防止する。
これが目的です。返り管を安全低水面の近くでつなぐと、水が返り管へ逆流しても水位が安全低水面より下がりません。水位が下がりすぎる事故、つまり低水位事故を防ぐためのつなぎ方です。
(5) ❌ 主な目的ではない
湿り蒸気を乾き飽和蒸気にする。
湿り蒸気は水滴が混じった蒸気、乾き飽和蒸気は水滴のない蒸気のことです。これは蒸気の状態の話で、返り管のつなぎ方であるハートフォード式連結法の主な目的ではありません。
💡 覚え方
ハートフォード式連結法=低水位事故の防止。「返り管へ水が逆流しても、安全低水面より下がらないようにつなぐ」と、しくみと目的をセットで押さえましょう。
以上から、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第3回 丸ボイラーと鋳鉄製ボイラー
問7 胴に設けるマンホール・掃除穴・検査穴
令和7年10月公表分野:胴に設けるマンホール・掃除穴・検査穴重要度 ★★
ボイラーの胴に設けるマンホールなどの穴に関する記述のうち、適切でないものは次のうちどれか。
(1)マンホールの大きさは、だ円の場合は長径375mm以上、短径275mm以上とし、円形の場合は直径375mm以上とすることが、JISで定められている。
(2)だ円形又は長方形の穴をボイラーの胴に設ける場合には、短径又は短い辺を胴の軸方向に配置する。
(3)掃除穴は、ボイラー内部を掃除するための穴で、だ円形又は円形とする。
(4)検査穴は、ボイラー内部の点検用として設けられるもので、普通、だ円形とする。
(5)穴を設けた場所は、強度が減少するので、強め材を取り付けたり、フランジを打ち出したりして補強する。
答え・解説を見る
正解
(4)
検査穴は、ボイラー内部の点検用として設けられるもので、普通、だ円形とする。
この問題は何を聞いている?
ボイラーの胴(水や蒸気をためる円筒形の容器)に開ける穴についての問題です。適切でないものを1つ選びます。
マンホール・掃除穴・検査穴とは?
ボイラー構造規格第33条で、内部の掃除と検査のために設けるよう定められた3種類の穴。人が入るマンホール、沈殿物を取り除く掃除穴、内部を検査する検査穴です。
| 穴 |
大きさ・形(JIS B 8201) |
| マンホール |
だ円形なら長径375mm以上・短径275mm以上。円形なら内径375mm以上 |
| 掃除穴 |
だ円形または円形 |
| 検査穴 |
直径30mm以上の円形 |
(1) ⭕ 正しい記述
マンホールの大きさは、だ円の場合は長径375mm以上、短径275mm以上とし、円形の場合は直径375mm以上とすることが、JISで定められている。
マンホールの大きさは、JIS(JIS B 8201)で決められています。だ円形なら長径375mm以上・短径275mm以上、円形なら直径375mm以上です。
(2) ⭕ 正しい記述
だ円形又は長方形の穴をボイラーの胴に設ける場合には、短径又は短い辺を胴の軸方向に配置する。
だ円形や長方形の穴は、短径(短い辺)を胴の軸方向(胴の長さの向き)にそろえます。胴の板には、周りを一周する向きの力が、長さの向きの力の2倍かかるからです。この大きい力を受け持つ部分をなるべく切らないように、軸方向の長さを短くするのです。
(3) ⭕ 正しい記述
掃除穴は、ボイラー内部を掃除するための穴で、だ円形又は円形とする。
掃除穴は、ボイラーの内部を掃除するための穴です。スケールなどの沈殿物を取り除ける大きさにします(構造規格第33条)。形はだ円形または円形です。
(4) ❌ 誤りの記述
検査穴は、ボイラー内部の点検用として設けられるもので、普通、だ円形とする。
前半の「内部の点検用として設ける」は合っています。誤りは形で、JISが定める検査穴は直径30mm以上の円形です。「円形」が「だ円形」に入れ替えられている点がひっかけです。
(5) ⭕ 正しい記述
穴を設けた場所は、強度が減少するので、強め材を取り付けたり、フランジを打ち出したりして補強する。
穴を開けた場所は、そのぶん強度が下がります。そこで、強め材を取り付けたり、フランジを打ち出したりして補強するのです。構造規格第34条も、胴の穴を十分な強度の強め材で補強するよう定めています。
🤔 なぜ、周りを一周する向きの力のほうが大きいのですか。
周りを一周する向き(周方向)の力は、胴の長さ全体で円筒を引き裂こうとします。長さの向き(軸方向)の力は、両端のふたの面積ぶんしか押しません。計算すると、周方向のほうがちょうど2倍になるのです。
💡 覚え方
ソーセージを焼くと、皮は縦(長さの向き)に裂ける。周方向の力が大きいからです。だから穴は、短径を軸方向にして、大きい力を受け持つ部分を切りすぎないようにします。検査穴は直径30mm以上の小さな丸と、形もセットで押さえましょう。
以上から、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第5回 各部の構造と強さ
問8 温水ボイラーの逃がし管・逃がし弁と附属品
令和7年10月公表分野:温水ボイラーの逃がし管・逃がし弁と附属品重要度 ★★★
温水ボイラー及び蒸気ボイラーの附属品に関する記述のうち、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水高計は、温水ボイラーの圧力を測る計器であり、蒸気ボイラーの圧力計に相当する。
(2)温水ボイラーの温度計は、ボイラー水が最高温度となる箇所の見やすい位置に取り付ける。
(3)温水ボイラーの逃がし管は、ボイラー水の膨張分を逃がすためのもので、高所に設けた密閉型膨張タンクに直結させる。
(4)温水ボイラーの逃がし弁は、水の膨張により圧力が設定した圧力を超えると、弁体を押し上げ、水を逃がすものである。
(5)暖房用蒸気ボイラーの真空給水ポンプは、受水槽内を真空にして返り管途中の凝縮水を受水槽に吸引するとともに、ボイラーに給水するために用いられる。
答え・解説を見る
正解
(3)
温水ボイラーの逃がし管は、ボイラー水の膨張分を逃がすためのもので、高所に設けた密閉型膨張タンクに直結させる。
この問題は何を聞いている?
温水ボイラーと蒸気ボイラーの附属品(安全に運転するために取り付ける部品)の問題です。適切でないものを1つ選びます。
膨張タンクとは?
温めて体積が増えた分の水を受け止めるタンク。上が大気に開いた開放形と、閉じた密閉形の2種類です。
💡 なぜ? 水は温めるとふくらむ性質があります。逃げ場がないと、ボイラーの中の圧力が上がってしまうからです。
(1) ⭕ 正しい記述
水高計は、温水ボイラーの圧力を測る計器であり、蒸気ボイラーの圧力計に相当する。
水高計は、温水ボイラーの圧力を測る計器です。蒸気ボイラーでいう圧力計に当たります。
(2) ⭕ 正しい記述
温水ボイラーの温度計は、ボイラー水が最高温度となる箇所の見やすい位置に取り付ける。
温水ボイラーの温度計は、ボイラー水がいちばん高い温度になる場所の、見やすい位置に取り付けます。
(3) ❌ 誤りの記述
温水ボイラーの逃がし管は、ボイラー水の膨張分を逃がすためのもので、高所に設けた密閉型膨張タンクに直結させる。
逃がし管がつながるのは、高い所に設けた開放形の膨張タンクです。「開放形」が「密閉型」に入れ替えられている点が誤りです。前半の「ボイラー水の膨張分を逃がすためのもの」は合っています。
(4) ⭕ 正しい記述
温水ボイラーの逃がし弁は、水の膨張により圧力が設定した圧力を超えると、弁体を押し上げ、水を逃がすものである。
逃がし弁は、水の膨張で圧力が設定した圧力を超えると、弁体を押し上げて水を逃がす部品です。逃がし管を設けない場合や、膨張タンクが密閉形の場合に使われます。
(5) ⭕ 正しい記述
暖房用蒸気ボイラーの真空給水ポンプは、受水槽内を真空にして返り管途中の凝縮水を受水槽に吸引するとともに、ボイラーに給水するために用いられる。
真空給水ポンプは、暖房用の蒸気ボイラーで使われるポンプです。受水槽の中を真空にして、返り管(使い終わった蒸気の水が戻る管)の途中の凝縮水を吸い込みます。さらに、その水をボイラーへ給水するところまで受け持つポンプです。
| 膨張タンクの形 |
膨張した水の逃がし方 |
| 開放形(上が開いている) |
逃がし管でつなぐ |
| 密閉形(閉じている) |
逃がし弁で逃がす |
💡 覚え方
開放形タンクには逃がし管、密閉形タンクには逃がし弁。開いたタンクなら、管でつなぐだけで水は上がっていけます。閉じたタンクでは圧力が逃げないので、弁で逃がすのです。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第6回 附属品①(安全弁・圧力計・水面計)
問9 蒸気トラップの分類
令和7年10月公表分野:蒸気トラップの分類重要度 ★★
ボイラーの蒸気トラップの分類を示すAからDまでの方式のうち、作動原理が蒸気とドレンの温度差を利用するもののみを全て挙げた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A バイメタル式
B ベローズ式
C オリフィス式
D ディスク式
(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,C,D
(4)B,C
(5)C,D
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
4つの蒸気トラップの方式のうち、蒸気とドレンの温度差を利用するものを全部選ぶ問題です。
ドレンとは?
蒸気が冷えて水に戻ったもの。凝縮水ともいいます。
蒸気トラップとは?
蒸気を送る管(主蒸気管)の要所に設けて、たまったドレンを抜くための部品。
💡 なぜ? 管にドレンがたまると、流れてきた蒸気に押されて配管にぶつかることがあります。このとき大きな衝撃(ウォータハンマ)が起きるおそれがあるからです。
蒸気トラップは、蒸気とドレンの何の違いを使うかで3つのグループに分かれます。
| グループ |
利用する違い |
方式 |
| メカニカル |
密度(比重)の差 |
フロート式・バケット式 |
| サーモスタチック |
温度差 |
バイメタル式・ベローズ式 |
| サーモダイナミック |
熱力学的性質(流速など)の差 |
ディスク式・オリフィス式 |
A ⭕ 温度差を利用する
バイメタル式
バイメタル式は、温度差を利用するグループ(サーモスタチック)です。感温体が温度で膨張・収縮する動きで、弁を開け閉めします。
B ⭕ 温度差を利用する
ベローズ式
ベローズ式も、温度差を利用するグループ(サーモスタチック)です。バイメタル式と同じく、感温体の膨張・収縮で弁を動かします。
C ❌ 温度差を利用しない
オリフィス式
オリフィス式は、温度差ではなく熱力学的性質(流速など)の差を利用するグループです。サーモダイナミックと呼ばれ、ディスク式と同じ仲間です。
D ❌ 温度差を利用しない
ディスク式
ディスク式も、熱力学的性質(流速など)の差を利用するグループです。温度差を利用する方式ではありません。
💡 覚え方
サーモ(熱)+スタチック=温度で形が変わる部品(バイメタル・ベローズ)。サーモ+ダイナミック(動き)=流れ方の差(ディスク・オリフィス)、メカニカル=重さの差(フロート・バケット)です。
温度差を利用するのはAとBなので、正解は(1)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第7回 附属品②(給水・吹出し・送気・熱回収)
問10 オンオフ式温度調節器(電気式)
令和7年10月公表分野:オンオフ式温度調節器(電気式)重要度 ★★
温水ボイラーの温度制御に用いるオンオフ式温度調節器(電気式)に関するAからDまでの記述のうち、適切なもののみを全て挙げた組合せは、(1)~(5)のうちどれか。
A 感温体内の液体は、温度の上昇・下降によって膨張・収縮し、ベローズやダイヤフラムの変位により、マイクロスイッチを開閉させる。
B 感温体内の液体には、一般にトルエン、エーテル、アルコールなどが用いられる。
C 保護管を用いて感温体を取り付ける場合は、保護管内にシリコングリスを挿入してはならない。
D 温度調節器は、一般に調節温度及び比例帯の設定を行う。
(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,B,D
(4)B,C,D
(5)C,D
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
温水ボイラーの温度を自動で保つオンオフ式温度調節器についての問題です。A〜Dのうち適切なものを全部選びます。
オンオフ動作とは?
決めた値で、入れる・切るを切り替えるだけの制御の動き。
💡 なぜ? これに対して、ずれの大きさに比例して調節の度合いを変える動きを比例動作といいます。
温水の温度を見て燃焼を調節する装置が温水温度調節器です。温度を感じ取る部品を感温体といいます。
A ⭕ 正しい記述
感温体内の液体は、温度の上昇・下降によって膨張・収縮し、ベローズやダイヤフラムの変位により、マイクロスイッチを開閉させる。
適切な記述です。感温体には液体が封入されていて、温度が上がるとふくらみ、下がると縮むのです。その動きがベローズやダイヤフラムの変位になり、マイクロスイッチを開閉させるしくみです。
B ⭕ 正しい記述
感温体内の液体には、一般にトルエン、エーテル、アルコールなどが用いられる。
適切な記述です。感温体の中の液体には、一般にトルエン、エーテル、アルコールなどが使われます。
C ❌ 誤りの記述
保護管を用いて感温体を取り付ける場合は、保護管内にシリコングリスを挿入してはならない。
保護管を使って感温体を取り付けるときは、保護管の中にシリコングリス(グリース)を充てんします。そうすると、感温体の応答がよくなるからです。「挿入してはならない」と、逆にしている点が誤りです。
D ❌ 誤りの記述
温度調節器は、一般に調節温度及び比例帯の設定を行う。
オンオフ式の温度調節器で設定するのは、調節温度と動作すき間です。比例帯は、ずれの大きさに比例して調節する比例式の調節器で設定するものです。「動作すき間」が「比例帯」に入れ替えられている点が誤りです。
💡 覚え方
オンオフ式は「入れるか切るか」だけ。「比例帯」という言葉は、比例式の調節器のものです。オンオフ式の説明に「比例帯」が出てきたら、誤りを疑いましょう。
適切なのはAとBなので、正解は(1)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第8回 自動制御
令和7年10月公表「ボイラーの構造」のまとめ
まとめ
・絶対温度はT[K]=t[℃]+273。絶対圧力=ゲージ圧力+大気圧
・水循環がよいと、伝熱面は水温に近い温度に保たれる
・燃焼室に直面=放射伝熱面、高温ガスの通り道=対流(接触)伝熱面
・ブリージングスペースは鏡板に設ける。貫流ボイラーの据付面積は丸ボイラーより小さい
・ハートフォード式連結法の目的は低水位事故の防止。だ円形の穴は短径を胴の軸方向に。検査穴は直径30mm以上の円形
・逃がし管は開放形の膨張タンクへ。密閉形のときは逃がし弁
・温度差を利用する蒸気トラップはバイメタル式・ベローズ式。オンオフ式温度調節器に比例帯の設定はない