二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年10月公表分の「ボイラーの取扱い」(問11〜問20)です。
専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。
この記事の問題はどこから?
問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和5年10月公表)
問11 点火前の点検・準備(水位検出器の試験)
令和5年10月公表分野:点火前の点検・準備(水位検出器の試験)重要度 ★★
ボイラーの点火前の点検・準備について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水面計を点検してからボイラー水位を確認し、水位が低いときは、給水を行って常用水位に調整する。
(2)水位を上下して水位検出器の機能を試験し、設定水位の下限において、給水調節弁が閉方向に動作することを確認する。
(3)圧力計の指針の位置を点検し、残針がある場合は予備の圧力計と取り替える。
(4)験水コックがある場合には、水部にあるコックを開けて、水が噴き出すことを確認する。
(5)煙道の各ダンパを全開にしてファンを運転し、炉及び煙道内の換気を行う。
答え・解説を見る
正解
(2)
水位を上下して水位検出器の機能を試験し、設定水位の下限において、給水調節弁が閉方向に動作することを確認する。
この問題は何を聞いている?
ボイラーに火を入れる前に、何を確かめるかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
常用水位とは?
ふだんの運転で保つ水位のこと。水位が低ければ給水し、高ければ吹出し(水を外へ出す操作)で合わせます。
点火前に確かめるのは、水位・計器・換気です。どれも、空だき(水がないまま燃やすこと)や爆発を防ぐための確認です。
(1) ⭕ 正しい記述
水面計を点検してからボイラー水位を確認し、水位が低いときは、給水を行って常用水位に調整する。
最初の確認は水位です。水面計(水位を外から見る計器)を点検してから水位を見て、低ければ給水して常用水位に合わせます。
(2) ❌ 誤りの記述
水位を上下して水位検出器の機能を試験し、設定水位の下限において、給水調節弁が閉方向に動作することを確認する。
水位検出器は、水位を感じ取って給水などを動かす装置です。設定水位の下限で確かめるのは、給水調節弁が開く方向に動くこと。水が減ったら、水を入れるのが当たり前の動きだからです。「開」が「閉」に入れ替えられている点が誤りです。
(3) ⭕ 正しい記述
圧力計の指針の位置を点検し、残針がある場合は予備の圧力計と取り替える。
圧力がかかっていないのに、圧力計の針が0に戻っていない状態を残針と呼びます。残針は圧力計が狂っているしるしなので、予備の圧力計と取り替えるのです。
(4) ⭕ 正しい記述
験水コックがある場合には、水部にあるコックを開けて、水が噴き出すことを確認する。
験水コックは、水位を確かめるための小さなコックです。水部にあるコックを開けて、水が噴き出すことを確認します。水が出れば、その高さまで確かに水がある証拠です。
(5) ⭕ 正しい記述
煙道の各ダンパを全開にしてファンを運転し、炉及び煙道内の換気を行う。
ダンパは、煙道(燃えたあとのガスの通り道)の開き具合を変える板です。これを全開にしてファンを回し、炉と煙道を換気します。残った燃料のガスに火がついて爆発するのを防ぐための操作で、プレパージと呼ばれるものです。
| 設定水位 |
正しい動き |
| 下限(水が減った) |
給水ポンプが起動する・給水調節弁が開く方向に動く |
💡 覚え方
水が減ったら(下限)、水を入れる(開く・起動)。「下限で閉」「上限で起動」と書かれていたら、向きが逆だと判断できます。
以上から、正解は(2)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第9回 点火と運転開始
問12 たき始めの弁・コックの開閉
令和5年10月公表分野:たき始めの弁・コックの開閉重要度 ★★★
ボイラーをたき始めるときの、各種の弁又はコックとその開閉の組合せとして、適切でないものは次のうちどれか。
|
弁又はコック |
開閉 |
| (1) |
主蒸気弁 |
閉 |
| (2) |
胴の空気抜弁 |
開 |
| (3) |
吹出し弁又は吹出しコック |
閉 |
| (4) |
水面計とボイラー間の連絡管の弁又はコック |
閉 |
| (5) |
圧力計のコック |
開 |
答え・解説を見る
正解
(4)
水面計とボイラー間の連絡管の弁又はコック / 閉
この問題は何を聞いている?
ボイラーに火を入れるとき、それぞれの弁やコックを開けておくか、閉めておくかを問う問題です。適切でない組合せを1つ選びます。
弁やコックは、管の途中で流れを止めたり通したりする部品です。たき始めの開閉は、1つずつ理由を考えれば決められます。
(1) ⭕ 正しい組合せ
主蒸気弁 / 閉
主蒸気弁は、できた蒸気を使う場所へ送り出す弁です。たき始めはまだ蒸気が出ていないうえ、冷えた配管へ送らないために閉にしておきます。
(2) ⭕ 正しい組合せ
胴の空気抜弁 / 開
空気抜弁は、ボイラーの中の空気を外へ逃がす弁です。たき始めから開けておき、白い蒸気が出てくるのを確かめてから閉じます。白い蒸気は、空気が追い出された合図です。
(3) ⭕ 正しい組合せ
吹出し弁又は吹出しコック / 閉
吹出し弁・吹出しコックは、ボイラーの水を外へ抜くための弁です。開いていると水が抜けて水位が下がるので、閉にしておきます。
(4) ❌ 誤った組合せ
水面計とボイラー間の連絡管の弁又はコック / 閉
水面計は、ボイラーの中の水位を外から見るための計器です。ボイラーとつながっていて初めて、本当の水位を示せます。連絡管の弁やコックは開が正解です。「閉」になっている点が誤りです。
(5) ⭕ 正しい組合せ
圧力計のコック / 開
圧力計のコックを閉じていると、圧力が計れません。たき始めから開にしておくのが正しい状態です。
| 弁・コック |
たき始め |
理由 |
| 主蒸気弁 |
閉 |
まだ蒸気が出ていない |
| 胴の空気抜弁 |
開 |
中の空気を外へ逃がす |
| 吹出し弁・吹出しコック |
閉 |
開いていると水位が下がる |
| 水面計の連絡管の弁・コック |
開 |
閉じると本当の水位が出ない |
| 圧力計のコック |
開 |
閉じると圧力が計れない |
💡 覚え方
「見る物は開け、出す物は閉める」。水面計と圧力計は見るための物なので開。主蒸気弁と吹出し弁は蒸気や水を出す物なので閉。空気抜弁だけは、空気を出すために開です。
以上から、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第9回 点火と運転開始
問13 ボイラー水位の異常低下の原因
令和5年10月公表分野:ボイラー水位の異常低下の原因重要度 ★★
ボイラー水位が安全低水面以下に異常低下する原因として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)蒸気トラップの機能が不良である。
(2)給水逆止め弁が故障した。
(3)吹出し装置の閉止が不完全である。
(4)蒸気を大量に消費した。
(5)給水内管の穴が閉塞した。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
ボイラーの水位が下がりすぎる原因を問う問題です。原因として適切でないものを1つ選びます。
安全低水面とは?
ボイラーを使っている間、これより水位を下げてはいけない最低の水面のこと。
💡 なぜ? これより下がると、熱を受ける面が水から出て空だき(水がないまま燃やすこと)になります。焼損や破裂のおそれが出るのです。
原因の多くは、「水が入らない」か「水が出ていく」のどちらかです。この2つに分けて、選択肢を見ていきましょう。
(1) ❌ 誤りの記述
蒸気トラップの機能が不良である。
蒸気トラップは、蒸気を送る管の要所に設ける部品です。役目は、管にたまるドレン(蒸気が冷えてできた水)を抜くこと。蒸気側の部品で、ボイラーの水の出入りには直接関係しないため、原因に当たりません。
(2) ⭕ 正しい記述
給水逆止め弁が故障した。
給水逆止め弁は、ボイラーの水がポンプ側へ逆流するのを防ぐ弁です。これが故障すると、ボイラー水が逆流して出ていくので、水位が下がります。
(3) ⭕ 正しい記述
吹出し装置の閉止が不完全である。
吹出し装置は、ボイラー水を外へ出すための装置です。閉め方が不完全だと、そこから水が漏れ出て、水位が下がっていきます。
(4) ⭕ 正しい記述
蒸気を大量に消費した。
蒸気を大量に消費したことは、水位が異常に下がる原因の1つです。ボイラーの水は、蒸気になって出ていくからです。
(5) ⭕ 正しい記述
給水内管の穴が閉塞した。
給水内管は、給水側(ボイラーに水を入れる側)の管です。その穴がふさがると水が入らないので、水位が下がります。
| 分け方 |
原因とされたもの |
| 水が出ていく |
蒸気の大量消費・給水逆止め弁の故障(逆流)・吹出し装置の閉め方が不完全 |
| 水が入らない |
給水内管の穴がふさがる |
| 水位を見誤る |
水面測定装置(水面計など)の詰まり |
💡 覚え方
水位が下がる原因は「入らない・出ていく・見誤る」の3つで整理できます。蒸気トラップは蒸気側の部品なので、ボイラーの水の出入りとは別の話です。
以上から、正解は(1)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応
問14 キャリオーバの現象と原因
令和5年10月公表分野:キャリオーバの現象と原因重要度 ★★★
ボイラーに発生するキャリオーバとしての現象及び原因として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出された。これをプライミング(水気立ち)という。
(2)ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出された。これをホーミング(泡立ち)という。
(3)蒸気流量が急増した。
(4)ボイラー水に有機物が含まれていたり、又は溶解した蒸発残留物が過度に濃縮している。
(5)ボイラー水の導電性が低下している。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
ボイラーの水が蒸気と一緒に出ていくキャリオーバの、呼び名と原因を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
キャリオーバとは?
ボイラー水が、水滴や泡のまま蒸気と一緒にボイラーの外へ運び出されること。
💡 なぜ? 蒸気に水が混じると蒸気の純度が下がり、水に溶けていた不純物まで配管や機械へ運ばれてしまいます。
(1) ⭕ 正しい記述
ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出された。これをプライミング(水気立ち)という。
ボイラー水が水滴となって、蒸気と一緒に運び出される現象です。これがプライミング(水気立ち)です。
(2) ⭕ 正しい記述
ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出された。これをホーミング(泡立ち)という。
ドラム(水と蒸気をためる円筒形の容器)の中で泡が広がり、蒸気に水分が混じって運び出される現象です。これをホーミング(泡立ち)といいます。
(3) ⭕ 正しい記述
蒸気流量が急増した。
蒸気流量が急に増えたことは、キャリオーバの原因です。蒸気を一度に大量に取り出すと、水まで一緒に引っぱり出されてしまうのです。
(4) ⭕ 正しい記述
ボイラー水に有機物が含まれていたり、又は溶解した蒸発残留物が過度に濃縮している。
ボイラー水に有機物がふくまれていることは、原因の1つです。溶けた蒸発残留物(水が蒸発すると残る成分)が過度に濃縮していることも、同じく原因です。
(5) ❌ 誤りの記述
ボイラー水の導電性が低下している。
導電性が低下しているとした点が誤りです。キャリオーバの原因は、ボイラー水に不純物が多いこと。不純物が多い水は、導電性(電気の通しやすさ)が高い側です。向きが逆になっています。
| キャリオーバの原因 |
誤りとされた記述(向きが逆) |
| 蒸気流量が急に増えた |
蒸気流量が減少した |
| 水位が高い |
低水位である |
| 有機物・不純物が多い、過度に濃縮している |
ボイラー水の導電性が低下している |
💡 覚え方
キャリオーバの原因は「水が多すぎ・汚れすぎ・急ぎすぎ」の3つ。呼び名は、水滴がプライミング、泡立ちがホーミングと区別します。
以上から、正解は(5)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応
問15 燃料遮断弁が作動する原因
令和5年10月公表分野:燃料遮断弁が作動する原因重要度 ★★
ボイラーの燃焼安全装置の燃料遮断弁が作動する原因となる場合として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)蒸気圧力が過昇した。
(2)高水位である。
(3)不着火だった。
(4)異常消火した。
(5)送風量が低下した。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
異常のときに燃料を止める燃料遮断弁が、どんなときに作動するかを問う問題です。作動の原因として適切でないものを1つ選びます。
燃焼安全装置と燃料遮断弁とは?
燃焼安全装置は、異常を見つけると燃料遮断弁を閉じて燃料を止めるしくみ。燃料遮断弁は、そのとき燃料の通り道をふさぐ弁です。
見分け方は、「そのまま燃やし続けると危ないか」です。危ないときだけ、燃料を止めます。
(1) ⭕ 正しい記述
蒸気圧力が過昇した。
蒸気圧力が上がりすぎた(過昇した)ときは、燃料遮断弁が作動します。そのまま燃やし続けると、圧力がさらに上がって危ないからです。
(2) ❌ 誤りの記述
高水位である。
燃料遮断弁が作動するのは、低水位になったときです。水位が高くても、燃やし続けて危険が増すわけではないので、燃料は止めません。「低水位」が「高水位」に入れ替えられている点が誤りです。
(3) ⭕ 正しい記述
不着火だった。
不着火とは、点火しても火がつかないことです。このときも、燃料遮断弁が作動して燃料を止めます。
(4) ⭕ 正しい記述
異常消火した。
異常消火とは、燃焼中に火が消えることです。これも、燃料遮断弁が作動する原因の1つです。
(5) ⭕ 正しい記述
送風量が低下した。
送風量が低下したとき、つまり燃焼に使う空気が足りなくなったときも、燃料遮断弁が作動します。
| 作動する(燃料を止める) |
作動の原因ではない |
| 蒸気圧力が上がりすぎた |
蒸気圧力が下がった |
| 低水位になった |
高水位になった |
| 不着火・異常消火 |
|
| 送風量が低下した |
|
| 油圧が上がりすぎた |
|
💡 覚え方
圧力は「上がりすぎ」、水位は「下がりすぎ」で燃料を止めます。高水位や圧力の低下は、燃やし続けても危険が増えないので、作動の原因ではありません。
以上から、正解は(2)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応
問16 ディフューザポンプの取扱い
令和5年10月公表分野:ディフューザポンプの取扱い重要度 ★★
ボイラーに給水するディフューザポンプの取扱いについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)グランドパッキンシール式の軸については、運転中に少量の水が連続して滴下する程度にパッキンが締まっていることを確認する。
(2)運転前に、ポンプ内及びポンプ前後の配管内の空気を十分に抜く。
(3)起動は、吸込み弁及び吐出し弁を全開にした状態で行う。
(4)運転中は、ポンプの吐出し圧力、流量及び負荷電流が適正であることを確認する。
(5)運転を停止するときは、吐出し弁を徐々に閉め、全閉にしてからポンプ駆動用電動機を止める。
答え・解説を見る
正解
(3)
起動は、吸込み弁及び吐出し弁を全開にした状態で行う。
この問題は何を聞いている?
ボイラーに水を送る給水ポンプ(ディフューザポンプ)の、起動・運転・停止の扱い方を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
吸込み弁と吐出し弁とは?
ポンプの入口側にあるのが吸込み弁、出口側にあるのが吐出し弁。吐出し弁の先が、ボイラーへ向かう配管です。
ディフューザポンプの起動から停止まで
①運転前に、ポンプの中と前後の配管の空気を十分に抜く
②吐出し弁を全閉、吸込み弁を全開にした状態で起動する
③回転と水圧が正常になったら、吐出し弁を徐々に開いて全開にする
④運転中は、吐出し圧力・流量・負荷電流が適正か確かめる
⑤停止するときは、吐出し弁を徐々に閉めて全閉にしてから電動機を止める
(1) ⭕ 正しい記述
グランドパッキンシール式の軸については、運転中に少量の水が連続して滴下する程度にパッキンが締まっていることを確認する。
グランドパッキンシール式は、軸のまわりにパッキン(詰め物)を詰めて水を封じる方式です。運転中に少量の水が連続して滴下する程度が、正常な締まり具合です。この水が軸とパッキンを冷やし、なめらかにしているのです。
(2) ⭕ 正しい記述
運転前に、ポンプ内及びポンプ前後の配管内の空気を十分に抜く。
ポンプの中に空気が残っていると、羽根車が空気をかき回すだけで、水を押し出せません。そこで運転前に、ポンプと前後の配管の空気を十分に抜いておきます。
(3) ❌ 誤りの記述
起動は、吸込み弁及び吐出し弁を全開にした状態で行う。
起動は、吐出し弁を全閉、吸込み弁を全開にして行うのが正解です。吐出し弁を開いたまま起動すると、いきなり大量の水が流れ、電動機に過電流(大きすぎる電流)が流れます。吐出し弁まで全開としている点が誤りです。
(4) ⭕ 正しい記述
運転中は、ポンプの吐出し圧力、流量及び負荷電流が適正であることを確認する。
運転中は、吐出し圧力・流量・負荷電流(電動機に流れる電流)が適正かを確かめます。負荷電流を見るのは、ポンプに無理がかかっていないかを知るためです。
(5) ⭕ 正しい記述
運転を停止するときは、吐出し弁を徐々に閉め、全閉にしてからポンプ駆動用電動機を止める。
停止するときは、吐出し弁を徐々に閉め、全閉にしてから電動機を止めます。吐出し側が開いたままだと、ボイラー側から水が逆流するおそれがあるからです。
💡 覚え方
「吐出し弁は、閉じて起動・閉じて停止」。吸込み弁は全開のままで、開け閉めするのは吐出し弁だけと押さえましょう。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第13回 附属品の取扱い
問17 ばね安全弁・逃がし弁の調整と試験
令和5年10月公表分野:ばね安全弁・逃がし弁の調整と試験重要度 ★★★
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整並びに試験について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
(2)安全弁が設定圧力になっても作動しない場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて、再度、試験する。
(3)ボイラー本体に安全弁が2個ある場合は、1個を最高使用圧力以下で先に作動するように調整したときは、他の1個を最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整することができる。
(4)エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より低い圧力に調整する。
(5)最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
答え・解説を見る
正解
(4)
エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より低い圧力に調整する。
この問題は何を聞いている?
圧力の上がりすぎを防ぐ安全弁を、どの圧力で作動するように調整するかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
吹出し圧力と吹止まり圧力とは?
吹出し圧力は、安全弁が開いて蒸気を吹き出し始める圧力。吹止まり圧力は、圧力が下がって安全弁が閉じ、吹き出しが止まる圧力です。
(1) ⭕ 正しい記述
安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
ばね安全弁は、調整ボルトでばねの押す力を変えて、吹出し圧力を合わせます。ボルトを定められた位置にしたら、圧力をゆっくり上げて作動させるのです。そして吹出し圧力と吹止まり圧力の両方を確かめます。
(2) ⭕ 正しい記述
安全弁が設定圧力になっても作動しない場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて、再度、試験する。
設定圧力になっても作動しないのは、吹出し圧力が高すぎる状態です。いったん圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて再試験します。緩めるとばねが弱くなり、低い圧力で開くようになるからです。
(3) ⭕ 正しい記述
ボイラー本体に安全弁が2個ある場合は、1個を最高使用圧力以下で先に作動するように調整したときは、他の1個を最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整することができる。
本体の安全弁が2個あるときの決まりです。1個を最高使用圧力以下で先に作動させれば、もう1個は3%増以下で作動するよう調整できます。最高使用圧力とは、そのボイラーを安全に使える最高の圧力のことです。
(4) ❌ 誤りの記述
エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より低い圧力に調整する。
エコノマイザは、煙突へ捨てる排ガスの熱で給水を温める装置です。その逃がし弁(安全弁)は、本体の安全弁より高い圧力に調整します。エコノマイザは、給水ポンプの圧力がかかる本体より手前の部分だからです。「高い」が「低い」に入れ替えられています。
(5) ⭕ 正しい記述
最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
つながっているボイラーは、同じ圧力になります。高い方に合わせると、弱い方のボイラーが最高使用圧力を超えてしまうでしょう。だから、最高使用圧力がいちばん低いボイラーを基準に調整するのです。
| 安全弁 |
調整のしかた |
| 過熱器用安全弁 |
本体の安全弁より先に(低い圧力で)吹き出すように |
| ボイラー本体の安全弁 |
最高使用圧力以下。2個なら、2個目は3%増以下でもよい |
| エコノマイザの逃がし弁 |
本体の安全弁より高い圧力に |
💡 覚え方
「過熱器が先、本体が真ん中、エコノマイザが後」。エコノマイザは給水ポンプに近い上流側なので、いちばん高い圧力に設定すると考えましょう。
以上から、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第13回 附属品の取扱い
問18 運転を停止してボイラー水を全部排出する手順
令和5年10月公表分野:運転を停止してボイラー水を全部排出する手順重要度 ★★
ボイラーの運転を停止し、ボイラー水を全部排出する場合の措置として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)運転停止のときは、ボイラーの水位を常用水位に保つように給水を続け、蒸気の送り出し量を徐々に減少させる。
(2)運転停止のときは、燃料の供給を停止し、十分換気してからファンを止める。
(3)運転停止後は、ボイラーの蒸気圧力がないことを確かめた後、給水弁及び蒸気弁を閉じる。
(4)給水弁及び蒸気弁を閉じた後は、ボイラー内部が負圧にならないように空気抜弁を閉じて、空気を送り込む。
(5)ボイラー水の排出は、運転停止後、ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて行う。
答え・解説を見る
正解
(4)
給水弁及び蒸気弁を閉じた後は、ボイラー内部が負圧にならないように空気抜弁を閉じて、空気を送り込む。
この問題は何を聞いている?
ボイラーを止めて、中の水を全部抜くときの手順を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
運転を停止してボイラー水を全部排出する順番
①常用水位を保つように給水を続けながら、蒸気の送り出しを徐々に減らす
②燃料の供給を止め、十分に換気してからファンを止める
③ボイラーの圧力がないことを確かめてから、給水弁と蒸気弁を閉じる
④内部が負圧(真空)にならないよう、空気抜弁を開いて空気を入れる
⑤ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて排水する
(1) ⭕ 正しい記述
運転停止のときは、ボイラーの水位を常用水位に保つように給水を続け、蒸気の送り出し量を徐々に減少させる。
最初にすることは、蒸気の送り出しを徐々に減らすことです。そのあいだも、常用水位(ふだんの運転の水位)を保つように給水を続けます。水位を保つのは、空だき(水がないまま燃やすこと)を防ぐためです。
(2) ⭕ 正しい記述
運転停止のときは、燃料の供給を停止し、十分換気してからファンを止める。
順番は、燃料を止める→十分に換気する→ファンを止めるです。換気するのは、炉の中に燃料のガスを残さないため。次の点火で爆発しないようにするのです。
(3) ⭕ 正しい記述
運転停止後は、ボイラーの蒸気圧力がないことを確かめた後、給水弁及び蒸気弁を閉じる。
給水弁と蒸気弁を閉じるのは、圧力がないことを確かめた後です。圧力が残ったまま操作すると、蒸気や熱水が噴き出す危険があります。
(4) ❌ 誤りの記述
給水弁及び蒸気弁を閉じた後は、ボイラー内部が負圧にならないように空気抜弁を閉じて、空気を送り込む。
ボイラーが冷えると、中の蒸気が水に戻って負圧(真空)になります。すると、外から押しつぶされるおそれが出てくるのです。それを防ぐには、空気抜弁を開いて空気を入れます。「開いて」が「閉じて」に入れ替えられている点が誤りです。
(5) ⭕ 正しい記述
ボイラー水の排出は、運転停止後、ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて行う。
排水は、ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて行います。熱いまま抜くと、急な温度変化で本体を傷めるうえ、高温の水が噴き出す危険もあるからです。
💡 覚え方
「蒸気を減らす→火を消して煙を出す→弁を閉じる→空気を入れる→冷めたら抜く」。空気抜弁は、閉じたままでは空気の入り口がないと考えれば、「開く」が正しいと分かります。
以上から、正解は(4)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第11回 運転の停止・保存・清掃
問19 ボイラー水中の不純物(スケールとスラッジ)
令和5年10月公表分野:ボイラー水中の不純物(スケールとスラッジ)重要度 ★★
ボイラー水中の不純物について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)溶存しているO₂は、鋼材の腐食の原因となる。
(2)溶存しているCO₂は、鋼材の腐食の原因となる。
(3)スケールは、溶解性蒸発残留物が濃縮され、ドラム底部などに沈積した軟質沈殿物である。
(4)懸濁物には、りん酸カルシウムなどの不溶物質、エマルジョン化された鉱物油などがある。
(5)スケールの熱伝導率は、炭素鋼の熱伝導率より低い。
答え・解説を見る
正解
(3)
スケールは、溶解性蒸発残留物が濃縮され、ドラム底部などに沈積した軟質沈殿物である。
この問題は何を聞いている?
ボイラーの水にふくまれる不純物の種類と害を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。
| グループ |
中身 |
困ること |
| 溶存気体 |
水に溶けたO₂(酸素)・CO₂(二酸化炭素) |
鋼材の腐食 |
| 溶解性蒸発残留物 |
水に溶けている塩類など。水が蒸発すると残る |
濃縮してスケールになる |
| 懸濁物 |
りん酸カルシウムなどの溶けない物質、エマルジョン化した鉱物油など |
沈殿・泡立ち |
(1) ⭕ 正しい記述
溶存しているO₂は、鋼材の腐食の原因となる。
水に溶けているO₂(酸素)は、鋼材(ボイラーの鉄)を腐食させる原因です。
(2) ⭕ 正しい記述
溶存しているCO₂は、鋼材の腐食の原因となる。
水に溶けているCO₂(二酸化炭素)も、同じく鋼材の腐食の原因です。
(3) ❌ 誤りの記述
スケールは、溶解性蒸発残留物が濃縮され、ドラム底部などに沈積した軟質沈殿物である。
「ドラム底部などに沈積した軟質沈殿物」は、スラッジ(かま泥)の説明です。スケール(湯あか)は、溶解性蒸発残留物が濃縮して出てきて、管壁などの伝熱面に固着したもの。スケールとスラッジの説明が入れ替えられている点が誤りです。
(4) ⭕ 正しい記述
懸濁物には、りん酸カルシウムなどの不溶物質、エマルジョン化された鉱物油などがある。
懸濁物には、りん酸カルシウムなどの溶けない物質があります。エマルジョン化された鉱物油なども懸濁物です。
(5) ⭕ 正しい記述
スケールの熱伝導率は、炭素鋼の熱伝導率より低い。
スケールの熱伝導率(熱の伝えやすさ)は、炭素鋼よりずっと低いのが問題です。伝熱面(熱を受け取る面)にスケールが付くと熱が水へ逃げられず、鉄が過熱してしまいます。
| 呼び方 |
どんなものか |
| スケール(湯あか) |
伝熱面に固着したもの |
| スラッジ(かま泥) |
ドラムの底などに沈んでたまった、やわらかい沈殿物 |
💡 覚え方
スケール=やかんの内側にこびりつく白い湯あか(壁にくっつく)。スラッジ=底にたまる泥(沈むだけ)。台所のやかんを思い浮かべると、入れ替えに気付けます。
以上から、正解は(3)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第12回 ボイラーの水管理
問20 清缶剤(脱酸素剤に使う薬剤)
令和5年10月公表分野:清缶剤(脱酸素剤に使う薬剤)重要度 ★★★
次のうち、ボイラー給水の脱酸素剤として使用される薬剤のみの組合せはどれか。
(1)塩化ナトリウム りん酸ナトリウム
(2)りん酸ナトリウム タンニン
(3)炭酸ナトリウム りん酸ナトリウム
(4)亜硫酸ナトリウム 炭酸ナトリウム
(5)亜硫酸ナトリウム タンニン
答え・解説を見る
この問題は何を聞いている?
脱酸素剤として使われる薬剤を、2つとも正しく組み合わせたものを選ぶ問題です。薬の名前と働きを結びつけられるかが問われています。
脱酸素剤とは?
給水の中に溶けている酸素(溶存酸素)を取り除く薬。タンニンや亜硫酸ナトリウムなどがあります。
💡 なぜ? 水に溶けた酸素は、ボイラーの鋼材を腐食させる原因になるからです。
脱酸素剤は、清缶剤の仲間です。清缶剤とは、スケール(湯あか)の付着や腐食を防ぐため、給水やボイラー水に直接加える薬品のことです。
| 働き |
主な薬品 |
| 脱酸素剤(溶存酸素を取り除く) |
タンニン・亜硫酸ナトリウム |
| 軟化剤(硬度成分を溶けない化合物に変える) |
炭酸ナトリウム・りん酸ナトリウム |
| 酸消費量付与剤(アルカリ分を加える) |
水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウム |
(1) ❌ 脱酸素剤でない薬剤をふくむ
塩化ナトリウム りん酸ナトリウム
りん酸ナトリウムは、脱酸素剤ではなく軟化剤です。塩化ナトリウムも、脱酸素剤のタンニン・亜硫酸ナトリウムのどちらでもありません。
(2) ❌ 脱酸素剤でない薬剤をふくむ
りん酸ナトリウム タンニン
タンニンは脱酸素剤ですが、りん酸ナトリウムは軟化剤です。片方だけが合っている組合せなので、当てはまりません。
(3) ❌ 脱酸素剤でない薬剤をふくむ
炭酸ナトリウム りん酸ナトリウム
炭酸ナトリウムとりん酸ナトリウムは、どちらも軟化剤です。軟化剤は、スケールのもとになる硬度成分(カルシウムなど)を、溶けない化合物に変える薬です。
(4) ❌ 脱酸素剤でない薬剤をふくむ
亜硫酸ナトリウム 炭酸ナトリウム
亜硫酸ナトリウムは脱酸素剤ですが、炭酸ナトリウムは軟化剤です。名前が似ているので、「亜硫酸」と「炭酸」を読み分けましょう。
(5) ⭕ 2つとも脱酸素剤
亜硫酸ナトリウム タンニン
亜硫酸ナトリウムとタンニンは、どちらも脱酸素剤です。2つとも合っている組合せは、これだけです。
💡 覚え方
脱酸素剤は「タンニン・亜硫酸ナトリウム」、軟化剤は「炭酸ナトリウム・りん酸ナトリウム」。選択肢に「タンニン」が入っているかを先に見ると、脱酸素剤の組を見つけやすくなります。
2つとも脱酸素剤なのは亜硫酸ナトリウムとタンニンなので、正解は(5)です。
▶ 基礎から学び直すなら講座の 第12回 ボイラーの水管理
令和5年10月公表「ボイラーの取扱い」のまとめ
まとめ
・点火前の水位検出器の試験=設定水位の下限で給水調節弁が開く方向に動く(閉方向は誤り)
・たき始め=主蒸気弁・吹出し弁は閉、空気抜弁・水面計・圧力計は開(見る物は開け、出す物は閉める)
・水位の異常低下は「水が入らない・出ていく・見誤る」。蒸気トラップの不良は原因に当たらない
・キャリオーバの原因=蒸気流量の急増・有機物・過度の濃縮。燃料遮断弁は低水位で作動し、高水位では作動しない
・ディフューザポンプは吐出し弁を閉じて起動・閉じて停止。エコノマイザの逃がし弁は本体の安全弁より高い圧力
・水を全部抜くときは、空気抜弁を開いて負圧を防ぎ、90℃以下で排水する
・スケール=伝熱面に固着、スラッジ=底に沈む軟質沈殿物。脱酸素剤はタンニン・亜硫酸ナトリウム