二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和6年10月公表分の「ボイラーの取扱い」(問11〜問20)です。

専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和6年10月公表)

問11 点火前の点検・準備(空気抜き弁)

令和6年10月公表分野:点火前の点検・準備(空気抜き弁)重要度 ★★
ボイラーの点火前の点検・準備について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水面計によってボイラー水位が高いことを確認したときは、吹出しを行って常用水位に調整する。
(2)験水コックがある場合には、水部にあるコックを開けて、水が噴き出すことを確認する。
(3)圧力計の指針の位置を点検し、圧力がないときでも残針がある場合は、予備の圧力計と取り替える。
(4)空気抜き弁は、蒸気が発生し始めるまで閉じておく。
(5)煙道の各ダンパを全開にしてファンを運転し、炉及び煙道内の換気を行う。
答え・解説を見る
正解

(4)
空気抜き弁は、蒸気が発生し始めるまで閉じておく。

この問題は何を聞いている?

ボイラーに火を入れる前に、何を確かめ、何を準備するかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

常用水位とは?

ふだんの運転で保つ水位のこと。

💡 なぜ? 水が少ないまま燃やすと空だき(水がないまま燃やすこと)になるので、火を入れる前にまず水位を確かめます。

(1) ⭕ 正しい記述

水面計によってボイラー水位が高いことを確認したときは、吹出しを行って常用水位に調整する。

水面計は、ボイラーの水位を外から見るための道具です。水位が低ければ給水、高ければ吹出し(水を外へ出す操作)で、常用水位に合わせます。高いときに吹出しを行うので、正しい記述です。

(2) ⭕ 正しい記述

験水コックがある場合には、水部にあるコックを開けて、水が噴き出すことを確認する。

験水コックは、水位を確かめるための小さなコック(栓)です。水部にあるコックを開けて、水が噴き出すことを確認します。水が出てくれば、その高さまで確かに水があるという証拠です。

(3) ⭕ 正しい記述

圧力計の指針の位置を点検し、圧力がないときでも残針がある場合は、予備の圧力計と取り替える。

圧力がかかっていないのに、圧力計の針が0に戻っていない状態を残針と呼びます。残針は圧力計が狂っているしるしなので、予備の圧力計と取り替えるのです。狂ったままでは、圧力の上がりすぎに気づけません。

(4) ❌ 誤りの記述

空気抜き弁は、蒸気が発生し始めるまで閉じておく。

空気抜き弁を閉じておくとしている点が誤りです。空気抜き弁は、ボイラーの中の空気を外へ逃がす弁です。たき始めから開けておきます。蒸気が発生し始め、白い蒸気が出るのを確認してから閉じるのが正しい扱いです。

(5) ⭕ 正しい記述

煙道の各ダンパを全開にしてファンを運転し、炉及び煙道内の換気を行う。

ダンパは、煙道(燃えたあとのガスの通り道)の開き具合を変える板です。点火前には各ダンパを全開にし、ファンを運転して炉と煙道を換気します。前の運転で残った燃料のガスに火がついて爆発するのを防ぐためです。

🤔 なぜ、ボイラーの中の空気を抜くのですか。

空気は熱を伝えにくい気体です。蒸気に空気が混じったまま送り出すと、蒸気を使う側で熱がうまく伝わらない原因になります。そこで、たき始めのうちに空気を追い出しておくのです。

💡 覚え方

空気抜き弁は「空気を出すための弁」。出すためには、最初から開けておく必要があります。閉じる合図は白い蒸気です。「閉じておく」「あとから開く」とあれば、誤りだと判断できます。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第9回 点火と運転開始

問12 スートブロー(すすの吹き飛ばし)

令和6年10月公表分野:スートブロー(すすの吹き飛ばし)重要度 ★★
ボイラーのスートブローについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)スートブローは、主として、ボイラーの水管外面などに付着したすすの除去を目的として行う。
(2)スートブローの回数は、燃料の種類、負荷の程度、蒸気温度などに応じて決める。
(3)スートブローは、一箇所に長く吹き付けないようにして行う。
(4)スートブローは、燃焼量の低い状態で行う。
(5)スートブローを行ったときは、煙道ガスの温度や通風損失を測定して、その効果を確かめる。
答え・解説を見る
正解

(4)
スートブローは、燃焼量の低い状態で行う。

この問題は何を聞いている?

伝熱面に付いたすすを吹き飛ばす作業(スートブロー)の決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

スートブローとは?

水管の外側などに付いたすすを、蒸気や圧縮空気で吹き飛ばす作業。

💡 なぜ? すすが付くと熱が伝わりにくくなります。排ガスの温度が上がって、効率が落ちてしまうからです。

(1) ⭕ 正しい記述

スートブローは、主として、ボイラーの水管外面などに付着したすすの除去を目的として行う。

水管は、中に水を通し、外側から燃焼ガスで熱する管です。スートブローの主な目的は、その外面などに付いたすすを取り除くことです。

(2) ⭕ 正しい記述

スートブローの回数は、燃料の種類、負荷の程度、蒸気温度などに応じて決める。

スートブローの回数は、一律には決まっていません。燃料の種類・負荷の程度・蒸気温度などに応じて決めます。負荷とは、蒸気の使用量のことです。

(3) ⭕ 正しい記述

スートブローは、一箇所に長く吹き付けないようにして行う。

スートブローは、1か所に長く吹き付けないようにして行います。これも、スートブローの決まりの1つです。

(4) ❌ 誤りの記述

スートブローは、燃焼量の低い状態で行う。

燃焼量の低い状態としている点が誤りです。正しくは、燃焼量の高い状態で行います。低い状態で行うと、火が消えるおそれがあるからです。「高い」が「低い」に入れ替えられています。

(5) ⭕ 正しい記述

スートブローを行ったときは、煙道ガスの温度や通風損失を測定して、その効果を確かめる。

終わったら、煙道ガスの温度や通風損失を測ります。数字で比べて、スートブローの効果を確かめるのです。

スートブローの決まり 内容
回数 燃料の種類・負荷の程度・蒸気温度などに応じて決める
行うとき 燃焼量の高い状態(低いと消火のおそれ)
使う蒸気 ドレン(水)を含まない乾いた蒸気
吹き付け方 1か所に長く吹き付けない
終わったあと 煙道ガスの温度や通風損失を測って効果を確かめる

💡 覚え方

スートブローは炉の中へ蒸気や空気を吹き込む作業です。火が弱いときに行うと消えるおそれがあるので、燃焼量の高い状態で行う、とつなげて覚えましょう。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問13 キャリオーバ(プライミングとホーミング)

令和6年10月公表分野:キャリオーバ(プライミングとホーミング)重要度 ★★★
ボイラーのキャリオーバに関する現象及び原因について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることを、プライミング(水気立ち)という。
(2)ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出されることを、ホーミング(泡立ち)という。
(3)ホーミングは、ボイラー水が過度に濃縮しているときに発生する。
(4)プライミングは、低水位であるときに発生する。
(5)ホーミングは、ボイラー水に油脂分が多く含まれているときに発生する。
答え・解説を見る
正解

(4)
プライミングは、低水位であるときに発生する。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水が蒸気と一緒に出ていくキャリオーバの、呼び名と原因を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

キャリオーバとは?

ボイラー水が、水滴や泡のまま蒸気と一緒にボイラーの外へ運び出されること。

💡 なぜ? 蒸気に水が混じると蒸気の純度が下がり、水に溶けていた不純物まで配管や機械へ運ばれてしまいます。

(1) ⭕ 正しい記述

ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることを、プライミング(水気立ち)という。

ボイラー水が水滴となって、蒸気と一緒に運び出される現象です。これをプライミング(水気立ち)といいます。

(2) ⭕ 正しい記述

ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出されることを、ホーミング(泡立ち)という。

ドラム(水と蒸気をためる円筒形の容器)の中で泡が広がり、蒸気に水分が混じって運び出される現象です。これがホーミング(泡立ち)です。

(3) ⭕ 正しい記述

ホーミングは、ボイラー水が過度に濃縮しているときに発生する。

ボイラーの中では蒸気だけが出ていき、溶けていた成分は残ります。そのため水はだんだん濃くなるのです。溶けた成分が過度に濃縮していることは、キャリオーバの原因の1つです。

(4) ❌ 誤りの記述

プライミングは、低水位であるときに発生する。

低水位のときとしている点が誤りです。原因になるのは、水位が高いときです。水位が高いと、水面と蒸気の取出し口が近くなります。はね上がった水滴が、取出し口へ吸い込まれやすいのです。「高水位」が「低水位」に入れ替えられています。

(5) ⭕ 正しい記述

ホーミングは、ボイラー水に油脂分が多く含まれているときに発生する。

ボイラー水に有機物・油脂分・不純物が多いことは、キャリオーバの原因の1つです。油脂分が多いときにホーミングが起きる、という記述は正しいといえます。

キャリオーバの原因 誤りとされた記述(向きが逆)
水位が高い 低水位である
蒸気流量が急に増えた 蒸気流量が減少した/蒸気負荷が過小
ボイラー水に有機物・油脂分・不純物が多い
溶けた蒸発残留物が過度に濃縮している

💡 覚え方

キャリオーバの原因は「水が多すぎ・汚れすぎ・急ぎすぎ」の3つ。水が多すぎる(高水位)と起きるので、「低水位」と書いてあれば向きが逆です。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問14 油だきボイラーの運転を手動で終える順序

令和6年10月公表分野:油だきボイラーの運転を手動で終える順序重要度 ★★
油だきボイラーの運転作業を手動により終了するときの一般的な操作順序として、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。ただし、A~Eは、それぞれ次の操作をいうものとする。
A 蒸気弁を閉じ、ドレン弁を開く。
B 給水を行い、圧力を下げた後、給水弁を閉じ、給水ポンプを止める。
C 燃料の供給を停止する。
D ダンパを閉じる。
E 空気を送入し、炉内及び煙道の換気を行う。
(1)A→B→D→C→E
(2)A→C→B→E→D
(3)A→C→D→E→B
(4)C→D→B→E→A
(5)C→E→B→A→D
答え・解説を見る
正解

(5)
C→E→B→A→D

この問題は何を聞いている?

油を燃やすボイラーのその日の運転を、手動で終えるときの順番を問う問題です。A〜Eの5つの操作を正しい順に並べたものを選びます。

考え方の軸は2つです。最初に燃料を止めることと、ダンパは最後に閉じることです。ダンパは、煙道(燃えたあとのガスの通り道)の開き具合を変える板です。

C ⭕ 1番目の操作

燃料の供給を停止する。

最初に、燃料の供給を止めます。運転を終えるときは、まず火を止めるのが出発点です。

E ⭕ 2番目の操作

空気を送入し、炉内及び煙道の換気を行う。

火を止めたら、空気を送り込んで、炉と煙道を換気します。炉は、火を燃やす部屋のことです。

B ⭕ 3番目の操作

給水を行い、圧力を下げた後、給水弁を閉じ、給水ポンプを止める。

次に給水して圧力を下げてから、給水弁を閉じ、給水ポンプを止めます。冷たい水を入れて、中の温度と圧力を落ち着かせてから弁を閉じるためです。

A ⭕ 4番目の操作

蒸気弁を閉じ、ドレン弁を開く。

続いて蒸気弁を閉じ、ドレン弁を開きます。ドレンは、蒸気管の中で蒸気が冷えて水に戻ったものです。これを抜いておきます。ためたままだと、次に蒸気を送ったときにウォータハンマの原因になるからです。

D ⭕ 5番目の操作

ダンパを閉じる。

最後にダンパを閉じます。ダンパを先に閉じると、換気ができなくなるからです。

油だきボイラーの運転を手動で終える順番

①C:燃料の供給を停止する

②E:空気を送入し、炉内と煙道の換気を行う

③B:給水を行い、圧力を下げた後、給水弁を閉じ、給水ポンプを止める

④A:蒸気弁を閉じ、ドレン弁を開く

⑤D:ダンパを閉じる

🤔 選択肢を早くしぼるには、どこを見ればよいですか。

先頭がC(燃料の停止)なのは、(4)と(5)だけです。このうち、最後がD(ダンパを閉じる)になっているのは(5)しかありません。(4)はCのすぐあとにダンパを閉じるので、換気ができなくなります。

💡 覚え方

「燃料を止めるのが最初、ダンパを閉じるのが最後」。ダンパを閉じると換気ができないので、換気(E)より前にDが来る並びは選べません。

順番はC→E→B→A→Dなので、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第11回 運転の停止・保存・清掃

問15 水面測定装置の取扱い(水柱管と水面計)

令和6年10月公表分野:水面測定装置の取扱い(水柱管と水面計)重要度 ★★★
ボイラーの水面測定装置の取扱いについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)水柱管の連絡管の途中にある止め弁は、誤操作を防ぐため、全開にしてハンドルを取り外しておく。
(2)水柱管の水側連絡管の取付けは、ボイラー本体から水柱管に向かって上がり勾配とする。
(3)水側連絡管のスラッジを排出するため、水柱管下部の吹出し管により、毎日1回吹出しを行う。
(4)水面計のドレンコックを開くときは、ハンドルを管軸と同一方向にする。
(5)プライミングやホーミングが生じたときは、水面計の機能試験を行う。
答え・解説を見る
正解

(4)
水面計のドレンコックを開くときは、ハンドルを管軸と同一方向にする。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水位を見る装置(水面測定装置)の扱い方を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

水柱管とは?

ボイラーの胴(円筒形の本体)と上下2本の管でつないだ、縦長の筒。この筒に水面計を取り付けて水位を見ます。

💡 なぜ? 筒の中の水位はボイラーと同じになるからです。つないでいる管を、問題文では連絡管と呼んでいます。

(1) ⭕ 正しい記述

水柱管の連絡管の途中にある止め弁は、誤操作を防ぐため、全開にしてハンドルを取り外しておく。

水柱管の連絡管の途中にある止め弁は、全開にしてハンドルを取り外しておきます。ハンドルがなければ、誤って閉じてしまうことを防げるからです。止め弁が閉じていると、水面計に本当の水位が出ません。

(2) ⭕ 正しい記述

水柱管の水側連絡管の取付けは、ボイラー本体から水柱管に向かって上がり勾配とする。

水側連絡管は、水柱管の水の側をボイラーとつなぐ管です。ボイラー本体から水柱管に向かって、上がり勾配(先へ行くほど高くなる傾き)で取り付けます。

(3) ⭕ 正しい記述

水側連絡管のスラッジを排出するため、水柱管下部の吹出し管により、毎日1回吹出しを行う。

スラッジは、水の中にできる泥のような、やわらかい沈殿物です。水側連絡管のスラッジを出すために、水柱管下部の吹出し管を使います。ここから毎日1回、吹出し(水を外へ出す操作)を行う、という記述です。

(4) ❌ 誤りの記述

水面計のドレンコックを開くときは、ハンドルを管軸と同一方向にする。

ハンドルを管軸と同一方向にするとしている点が誤りです。ドレンコックは、水面計の中の水を抜く出口の栓のこと。水面計のコックは、ハンドルが管軸と直角方向のときに開くつくりで、一般のコックとは逆です。運転中にハンドルがすべて下を向くようにするためです。

(5) ⭕ 正しい記述

プライミングやホーミングが生じたときは、水面計の機能試験を行う。

プライミングは、ボイラー水が水滴となって、蒸気と一緒に運び出される現象です。ホーミングは、泡が広がって蒸気に水分が混じる現象。この2つが起きたときは、水面計の機能試験が特に必要な時期に当たります。

🤔 水面計の機能試験とは、何をするのですか。

水面計の中をブローして、正しく動くかを試すことです。ブローは、中の水や蒸気を吹き出させる操作をいいます。水面計が詰まっていると、本当の水位と違う高さを示してしまうからです。

💡 覚え方

水面計のコックは「直角で開」。一般のコックと逆なので、「同一方向で開く」は誤りです。止め弁は全開でハンドルを外す、水側連絡管は上がり勾配、吹出しは毎日1回と押さえましょう。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第6回 附属品①(安全弁・圧力計・水面計) / 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問16 ばね安全弁・逃がし弁の調整と試験

令和6年10月公表分野:ばね安全弁・逃がし弁の調整と試験重要度 ★★★
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整並びに試験について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、いったんボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて吹出し圧力を上昇させる。
(2)過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より先に吹き出すよう調整する。
(3)エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
(4)最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
(5)安全弁の手動試験は、最高使用圧力の75%以上の圧力で行う。
答え・解説を見る
正解

(1)
吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、いったんボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて吹出し圧力を上昇させる。

この問題は何を聞いている?

圧力の上がりすぎを防ぐ安全弁の、調整のしかたと試験を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

ばね安全弁と吹出し圧力とは?

ばね安全弁は、ばねの力で弁体(ふた)を弁座(受け口)に押しつけている安全弁。安全弁が開いて蒸気を吹き出し始める圧力が、吹出し圧力です。

💡 なぜ? ばねの押す力は調整ボルトで変えられます。ボルトを回して、決めた圧力で開くように合わせるのです。

(1) ❌ 誤りの記述

吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、いったんボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて吹出し圧力を上昇させる。

調整ボルトを緩めて吹出し圧力を上げる、としている点が誤りです。緩めるとばねが弱くなり、もっと低い圧力で吹き出してしまいます。吹出し圧力を上げたいときは、ボルトを締めるのが正解です。圧力を設定圧力の80%程度まで下げる部分は合っています。

(2) ⭕ 正しい記述

過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より先に吹き出すよう調整する。

過熱器は、できた蒸気をさらに熱する装置です。過熱器用の安全弁は、本体の安全弁より先に吹き出すように調整します。本体が先に吹くと過熱器に蒸気が流れなくなり、過熱器の管が焼けるおそれがあるからです。

(3) ⭕ 正しい記述

エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。

エコノマイザは、排ガスの熱で給水(ボイラーに入れる水)を温める装置です。その逃がし弁(安全弁)は、本体の安全弁より高い圧力に調整します。エコノマイザは、給水ポンプの圧力がかかる本体より手前の部分だからです。

(4) ⭕ 正しい記述

最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。

つながっているボイラーは、同じ圧力になります。高い方に合わせると、弱い方のボイラーが最高使用圧力を超えてしまうのです。だから、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準にします。

(5) ⭕ 正しい記述

安全弁の手動試験は、最高使用圧力の75%以上の圧力で行う。

手動試験は、試験用レバーを使い、手で安全弁を開いてみる試験です。弁が固着していないかを確かめるもので、最高使用圧力の75%以上の圧力で行います。

状況 直し方
設定圧力より低い圧力で吹き出す 圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを締めて再試験
設定圧力になっても作動しない 圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて再試験

🤔 調整の前に、なぜ圧力を80%程度まで下げるのですか。

安全弁が吹き出している最中や、吹き出す寸前にボルトを回すのは危険です。蒸気が噴き出すおそれがあるので、いったん圧力を下げてから調整します。

💡 覚え方

ボルトを締める=ばねが強くなる=開きにくくなる(吹出し圧力が上がる)。瓶のふたを強く締めるほど開きにくいのと同じです。早く吹き出すなら締め、吹き出さないなら緩めます。

以上から、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第13回 附属品の取扱い

問17 ボイラー水の吹出し(行う時期と弁の順番)

令和6年10月公表分野:ボイラー水の吹出し(行う時期と弁の順番)重要度 ★★
ボイラー水の吹出しについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)炉筒煙管ボイラーの吹出しは、最大負荷よりやや低いときに行う。
(2)鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止してボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。
(3)水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。
(4)吹出しを行っている間は、他の作業を行ってはならない。
(5)直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、漸開弁を先に閉じ、次に急開弁を閉じる。
答え・解説を見る
正解

(1)
炉筒煙管ボイラーの吹出しは、最大負荷よりやや低いときに行う。

この問題は何を聞いている?

ボイラー水を外へ出す吹出し(ブロー)を、いつ、どう行うかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

吹出しとは?

ボイラー水の一部を、吹出し弁を開いて外へ出すこと。

💡 なぜ? ボイラーの中では蒸気だけが出ていき、溶けていた成分は残ります。濃くなった水や沈殿物を外へ出す必要があるからです。

(1) ❌ 誤りの記述

炉筒煙管ボイラーの吹出しは、最大負荷よりやや低いときに行う。

最大負荷よりやや低いときとしている点が誤りです。炉筒煙管ボイラーは、胴の中に、火を燃やす筒と燃焼ガスを通す管を入れたボイラーです。その吹出しは、運転する前・運転を止めたとき・負荷が低いときに行います。蒸気をたくさん使っているときに水を抜くと、水位が急に下がるおそれがあるのです。

(2) ⭕ 正しい記述

鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止してボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。

鋳鉄製蒸気ボイラーは、鋳鉄(型に流し込んでつくった鉄)でできた蒸気ボイラーです。その吹出しは、燃焼をしばらく止めて、ボイラー水の一部を入れ替えるときに行います。

(3) ⭕ 正しい記述

水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。

水冷壁は、燃焼室(火を燃やす部屋)の壁に水管を並べたものです。水冷壁の吹出しは、どんな場合でも運転中に行ってはなりません。

(4) ⭕ 正しい記述

吹出しを行っている間は、他の作業を行ってはならない。

吹出しは、ボイラーの水が減っていく作業です。水位から目を離すと空だき(水がないまま燃やすこと)につながります。だから吹出しの間は、ほかの作業をしてはならない決まりです。

(5) ⭕ 正しい記述

直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、漸開弁を先に閉じ、次に急開弁を閉じる。

2個の吹出し弁は、ボイラーに近い方が急開弁、遠い方が漸開弁です。漸開弁は、少しずつ開いて量を調整する弁です。閉じるときは、漸開弁を先に閉じて流れを止めます。そのあとで急開弁を閉じるのです。

2個の吹出し弁の操作順序

開けるとき:急開弁を先に開け、次に漸開弁を少しずつ開けて量を調整する

閉めるとき:漸開弁を先に閉じ、次に急開弁を閉じる

💡 覚え方

吹出しは水を抜く作業なので、行うのは蒸気をあまり使っていないときです。「最大負荷」に近い場面と結びついていたら、誤りだと判断できます。

以上から、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第7回 附属品②(給水・吹出し・送気・熱回収) / 第11回 運転の停止・保存・清掃

問18 内面清掃の目的(すすは外面)

令和6年10月公表分野:内面清掃の目的(すすは外面)重要度 ★
ボイラーの内面清掃の目的として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)すすの付着によるボイラー効率の低下を防止する。
(2)スケールやスラッジによる過熱の原因を取り除き、腐食や損傷を防止する。
(3)スケールの付着、腐食の状態などから水管理の良否を判断する。
(4)穴や管の閉塞による安全装置、自動制御装置などの機能障害を防止する。
(5)ボイラー水の循環障害を防止する。
答え・解説を見る
正解

(1)
すすの付着によるボイラー効率の低下を防止する。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水側(内面)をきれいにする清掃の目的を問う問題です。目的として適切でないものを1つ選びます。

内面清掃とは?

ボイラーの水側(内面)にたまった、スケールやスラッジを取り除く清掃。スケールは伝熱面にこびりつく湯あか、スラッジは底にたまる泥のような沈殿物です。

(1) ❌ 誤りの記述

すすの付着によるボイラー効率の低下を防止する。

すすが付くのは、燃焼ガス側(外面)です。水側には付きません。すすによる効率の低下を防ぐのは、外面清掃やスートブローの目的です。外面の目的が、内面の目的にまぎれ込んでいる点が誤りです。

(2) ⭕ 正しい記述

スケールやスラッジによる過熱の原因を取り除き、腐食や損傷を防止する。

スケールは熱をとても伝えにくい物質です。水側に付くと、燃焼ガスの熱が水に逃げられず、鉄の壁にこもって過熱します。その原因を取り除き、腐食や損傷を防ぐのが目的の1つです。

(3) ⭕ 正しい記述

スケールの付着、腐食の状態などから水管理の良否を判断する。

スケールの付き方や腐食の様子を見れば、水管理がうまくいっているかを判断できます。これも内面清掃の目的の1つです。

(4) ⭕ 正しい記述

穴や管の閉塞による安全装置、自動制御装置などの機能障害を防止する。

穴や管が詰まると、安全装置や自動制御装置が正しく働かなくなります。その機能の障害を防ぐことも、目的の1つです。

(5) ⭕ 正しい記述

ボイラー水の循環障害を防止する。

ボイラー水の循環の障害を防ぐことも、内面清掃の目的の1つです。循環とは、ボイラーの中を水が回る流れをいいます。

清掃 どちら側 取り除くもの
内面清掃 水側 スケール・スラッジ
外面清掃(スートブローを含む) 燃焼ガス側 すす・灰

💡 覚え方

「内は水の汚れ、外は火の汚れ」。水の中でできるのがスケール・スラッジ、火の側でできるのがすすです。内面清掃の話に「すす」が出てきたら、場所が違うと気づけます。

以上から、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第11回 運転の停止・保存・清掃

問19 ボイラー水中の不純物(スケールとスラッジ)

令和6年10月公表分野:ボイラー水中の不純物(スケールとスラッジ)重要度 ★★
ボイラー水中の不純物について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)溶存しているO₂は、鋼材の腐食の原因となる。
(2)溶存しているCO₂は、鋼材の腐食の原因となる。
(3)スラッジは、溶解性蒸発残留物が濃縮されて析出し、管壁などの伝熱面に固着したものである。
(4)懸濁物には、りん酸カルシウムなどの不溶物質、エマルジョン化された鉱物油などがある。
(5)スケールの熱伝導率は、炭素鋼の熱伝導率より低い。
答え・解説を見る
正解

(3)
スラッジは、溶解性蒸発残留物が濃縮されて析出し、管壁などの伝熱面に固着したものである。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水にふくまれる不純物の種類と害を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

グループ 中身 困ること
溶存気体 水に溶けたO₂(酸素)・CO₂(二酸化炭素) 鋼材の腐食
溶解性蒸発残留物 水に溶けている塩類など。水が蒸発すると残る 濃縮してスケールになる
懸濁物 りん酸カルシウムなどの溶けない物質、エマルジョン化した鉱物油など 沈殿・泡立ち

(1) ⭕ 正しい記述

溶存しているO₂は、鋼材の腐食の原因となる。

水に溶けているO₂(酸素)は、鋼材(ボイラーの鉄)を腐食させる原因です。

(2) ⭕ 正しい記述

溶存しているCO₂は、鋼材の腐食の原因となる。

水に溶けているCO₂(二酸化炭素)も、同じく鋼材の腐食の原因です。

(3) ❌ 誤りの記述

スラッジは、溶解性蒸発残留物が濃縮されて析出し、管壁などの伝熱面に固着したものである。

「溶解性蒸発残留物が濃縮されて析出し、伝熱面に固着したもの」は、スケール(湯あか)の説明です。スラッジ(かま泥)は、ドラムの底などに沈んでたまった、やわらかい沈殿物をいいます。スケールの説明に、スラッジの名前が付けられている点が誤りです。

(4) ⭕ 正しい記述

懸濁物には、りん酸カルシウムなどの不溶物質、エマルジョン化された鉱物油などがある。

懸濁物には、りん酸カルシウムなどの溶けない物質があります。エマルジョン化された鉱物油なども懸濁物です。

(5) ⭕ 正しい記述

スケールの熱伝導率は、炭素鋼の熱伝導率より低い。

スケールの熱伝導率(熱の伝えやすさ)は、炭素鋼よりずっと低いのが問題です。伝熱面(熱を受け取る面)に付くと熱が水へ逃げられず、鉄が過熱してしまいます。

呼び方 どんなものか
スケール(湯あか) 溶解性蒸発残留物が濃縮して析出し、伝熱面に固着したもの
スラッジ(かま泥) ドラムの底などに沈んでたまった、やわらかい沈殿物

💡 覚え方

スケール=やかんの内側にこびりつく白い湯あか(壁にくっつく)。スラッジ=底にたまる泥(沈むだけ)。台所のやかんを思い浮かべると、入れ替えに気づけます。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第12回 ボイラーの水管理

問20 単純軟化法の軟化装置(貫流点)

令和6年10月公表分野:単純軟化法の軟化装置(貫流点)重要度 ★★
ボイラー補給水処理における単純軟化法に関する装置として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)軟化装置は、強酸性陽イオン交換樹脂を充塡したNa塔に補給水を通過させるものである。
(2)軟化装置は、水中のカルシウムやマグネシウムを除去することができる。
(3)軟化装置による処理水の残留硬度は、臨界点を超えると著しく増加する。
(4)軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、一般に食塩水で再生を行う。
(5)軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂は、1年に1回程度、鉄分による汚染などを調査し、樹脂の洗浄及び補充を行う。
答え・解説を見る
正解

(3)
軟化装置による処理水の残留硬度は、臨界点を超えると著しく増加する。

この問題は何を聞いている?

ボイラーに入れる水をやわらかくする軟化装置のしくみと、手入れを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

単純軟化法とは?

水を強酸性陽イオン交換樹脂を詰めた塔(Na塔)に通して、カルシウムやマグネシウムを取り除く方法。

💡 なぜ? カルシウムやマグネシウム(硬度の成分)は、伝熱面にこびりつくスケール(湯あか)のもとになるからです。

(1) ⭕ 正しい記述

軟化装置は、強酸性陽イオン交換樹脂を充塡したNa塔に補給水を通過させるものである。

軟化装置は、強酸性陽イオン交換樹脂を詰めたNa塔に、補給水を通すものです。補給水は、ボイラーに補う水のことです。

(2) ⭕ 正しい記述

軟化装置は、水中のカルシウムやマグネシウムを除去することができる。

樹脂がカルシウムやマグネシウムを吸い取り、代わりにナトリウムを出します。こうして、スケールになりにくい水に変えるのです。

(3) ❌ 誤りの記述

軟化装置による処理水の残留硬度は、臨界点を超えると著しく増加する。

点の名前を臨界点としている部分が誤りです。処理した水の量が増えていくと、ある点を境に残留硬度が急に増えます。この点の正しい名前は貫流点です。「貫流点」が「臨界点」に入れ替えられています。

(4) ⭕ 正しい記述

軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、一般に食塩水で再生を行う。

使い続けると、樹脂の交換能力(カルシウムなどを吸い取る力)が落ちていきます。落ちたときは、一般に食塩水で再生するのです。

(5) ⭕ 正しい記述

軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂は、1年に1回程度、鉄分による汚染などを調査し、樹脂の洗浄及び補充を行う。

樹脂は1年に1回程度、鉄分による汚染などを調べます。そのうえで、洗浄と補充を行う決まりです。

残留硬度とは、処理したあとの水に残っている硬度の成分の量のことです。令和7年10月公表では、グラフから貫流点を選ぶ形で出題されました。

💡 覚え方

貫流点=硬度が「突き抜けて(貫いて)流れ出す」点。樹脂がいっぱいになると、カルシウムなどが素通りし始めると考えましょう。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第12回 ボイラーの水管理

令和6年10月公表「ボイラーの取扱い」のまとめ

まとめ

・空気抜き弁はたき始めから開けておき、白い蒸気を確認して閉じる。点火前はダンパ全開でファンを回して換気

・スートブローは燃焼量の高い状態で行う(低いと消火のおそれ)。終わったら煙道ガスの温度や通風損失で効果を確かめる

・キャリオーバの原因は高水位・過度の濃縮・油脂分など。低水位は原因ではない

・手動で運転を終える順番=燃料停止→換気→給水して圧力を下げ給水停止→蒸気弁閉・ドレン弁開→ダンパ閉

・安全弁の吹出し圧力が低いときは、80%程度まで下げて調整ボルトを締める。過熱器が先、エコノマイザは本体より高い圧力

・炉筒煙管ボイラーの吹出しは負荷が低いとき。2個の吹出し弁を閉じるときは漸開弁が先

・内面清掃で取るのはスケール・スラッジ(すすは外面)。スケールは固着、スラッジは沈殿。残留硬度が急増する点は貫流点