二級ボイラー技士の公表試験問題を、ボイラーを見たことがない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和6年4月公表分の「ボイラーの取扱い」(問11〜問20)です。

専門用語はその場で説明します。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、正解と、選択肢1つずつの正誤と理由が出ます。まず自分で考えてから開くと、力がつきやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・選択肢・正答は、試験を実施している公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表しているものです。
出典:安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士 公表試験問題(令和6年4月公表)

問11 ガスだきボイラーの手動点火

令和6年4月公表分野:ガスだきボイラーの手動点火重要度 ★
ガスだきボイラーの手動操作による点火などについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)バーナが上下に2基配置されている場合は、上方のバーナから点火する。
(2)ガス圧力が加わっている継手、コック及び弁は、ガス漏れ検出器の使用又は検出液の塗布によりガス漏れの有無を点検する。
(3)ガス圧力が適正で、安定していることを確認する。
(4)点火用火種は、適正な火力のものを使用する。
(5)隣接しているバーナや炉壁の熱により点火してはならない。
答え・解説を見る
正解

(1)
バーナが上下に2基配置されている場合は、上方のバーナから点火する。

この問題は何を聞いている?

ガスを燃料にするボイラーへ、人の手で火をつけるときの決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

バーナとは?

燃料を吹き出して燃やす器具。ガスだきボイラーでは、ここからガスを出して火をつけます。

(1) ❌ 誤りの記述

バーナが上下に2基配置されている場合は、上方のバーナから点火する。

上方のバーナから点火するとしている点が誤りです。炎や熱いガスは上へ昇ります。そのため、下のバーナから順に点火するのが基本です。

(2) ⭕ 正しい記述

ガス圧力が加わっている継手、コック及び弁は、ガス漏れ検出器の使用又は検出液の塗布によりガス漏れの有無を点検する。

継手は管と管のつなぎ目、コックや弁は流れを止めたり通したりする部品です。ガスの圧力がかかっているこれらの部分は、ガス漏れがないかを点検します。方法は、ガス漏れ検出器を使うか、検出液を塗るかのどちらかです。

(3) ⭕ 正しい記述

ガス圧力が適正で、安定していることを確認する。

点火の前に、ガス圧力が適正かを確かめます。あわせて、圧力が安定していることも確かめる、という記述です。

(4) ⭕ 正しい記述

点火用火種は、適正な火力のものを使用する。

点火用火種は、バーナに火をつけるための火です。適正な火力のものを使う決まりになっています。

(5) ⭕ 正しい記述

隣接しているバーナや炉壁の熱により点火してはならない。

隣のバーナや、炉壁(炉の壁)の熱を使って点火してはなりません。点火には、点火用の火種を使います。

ガスだきの手動点火で守ること ポイント
継手・コック・弁のガス漏れを点検する ガス漏れ検出器か検出液で
ガス圧力を確かめる 適正で、安定していること
点火用の火種 適正な火力のものを使う
隣のバーナや炉壁の熱 それで点火してはならない
バーナが上下2基のとき 下のバーナから点火する

💡 覚え方

炎と熱いガスは上へ昇る。だから点火は下のバーナからです。「上方のバーナから」と書いてあったら、向きが逆だと判断しましょう。

以上から、正解は(1)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第9回 点火と運転開始

問12 スートブロー(すすの吹き飛ばし)

令和6年4月公表分野:スートブロー(すすの吹き飛ばし)重要度 ★★
ボイラーのスートブローについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)回転式スートブロワは、ボイラーのガス通路部、エコノマイザ、空気予熱器などに用いられる。
(2)抜き差し式スートブロワは、燃焼室、高温ガス中の管群などに用いられる。
(3)スートブローには、蒸気又は圧縮空気が使用される。
(4)スートブローは、圧力及び温度が低く、多少のドレンを含む蒸気を使用する方が、ボイラーへの損傷が少ない。
(5)スートブローは、一箇所に長く吹き付けないようにして行う。
答え・解説を見る
正解

(4)
スートブローは、圧力及び温度が低く、多少のドレンを含む蒸気を使用する方が、ボイラーへの損傷が少ない。

この問題は何を聞いている?

伝熱面に付いたすすを吹き飛ばす作業(スートブロー)の決まりを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

スートブローとは?

伝熱面(熱を受け取る面)に付いたすすを、蒸気や圧縮空気で吹き飛ばすこと。そのための装置がスートブロワです。

💡 なぜ? すすが付くと熱が伝わりにくくなり、排ガスの温度が上がって効率が落ちるからです。

(1) ⭕ 正しい記述

回転式スートブロワは、ボイラーのガス通路部、エコノマイザ、空気予熱器などに用いられる。

回転式スートブロワは、ボイラーのガス通路(燃焼ガスの通り道)などに使われます。エコノマイザ(排ガスの熱で給水を温める装置)にも使われるものです。空気予熱器(排ガスの熱で燃焼用の空気を温める装置)も、回転式の使い場所です。

(2) ⭕ 正しい記述

抜き差し式スートブロワは、燃焼室、高温ガス中の管群などに用いられる。

抜き差し式スートブロワは、燃焼室(火を燃やす部屋)などに使われます。高温ガスの中の管群(管の集まり)も、抜き差し式の使い場所です。

(3) ⭕ 正しい記述

スートブローには、蒸気又は圧縮空気が使用される。

すすを吹き飛ばすのに使うのは、蒸気または圧縮空気です。

(4) ❌ 誤りの記述

スートブローは、圧力及び温度が低く、多少のドレンを含む蒸気を使用する方が、ボイラーへの損傷が少ない。

多少のドレンをふくむ蒸気がよいとしている点が誤りです。ドレンとは、蒸気が冷えてできた水のこと。水滴が混じると管を傷めるので、ドレンをふくまない乾いた蒸気を使います。

(5) ⭕ 正しい記述

スートブローは、一箇所に長く吹き付けないようにして行う。

スートブローは、1か所に長く吹き付けないようにして行います。

スートブローの決まり 内容
回数 燃料の種類・負荷の程度・蒸気温度などに応じて決める
行うとき 燃焼量の高い状態で行う
使う蒸気 ドレンをふくまない乾いた蒸気
吹き付け方 1か所に長く吹き付けない
終わったら 排ガスの温度や通風損失を測って効果を確かめる

💡 覚え方

スートブローに使うのは乾いた蒸気。水滴は管を傷めるので、「ドレンをふくむ方がよい」は誤りです。使う場所は、回転式=ガス通路・エコノマイザなど、抜き差し式=燃焼室などと分けましょう。

以上から、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問13 キャリオーバ(プライミングとホーミング)

令和6年4月公表分野:キャリオーバ(プライミングとホーミング)重要度 ★★★
ボイラーのキャリオーバに関する現象及び原因について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることを、プライミング(水気立ち)という。
(2)ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出されることを、ホーミング(泡立ち)という。
(3)プライミングは蒸気負荷が過小であるときに発生する。
(4)プライミングは高水位であるときに発生する。
(5)ホーミングはボイラー水に油脂分が多く含まれているときに発生する。
答え・解説を見る
正解

(3)
プライミングは蒸気負荷が過小であるときに発生する。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水が蒸気と一緒に出ていくキャリオーバの、呼び名と原因を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

キャリオーバとは?

ボイラー水が、水滴や泡のまま蒸気と一緒にボイラーの外へ運び出されること。

💡 なぜ? 蒸気に水が混じると蒸気の純度が下がり、水に溶けていた不純物まで配管や機械へ運ばれてしまうからです。

(1) ⭕ 正しい記述

ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることを、プライミング(水気立ち)という。

ボイラー水が水滴となって、蒸気と一緒に運び出される現象です。これをプライミング(水気立ち)といいます。

(2) ⭕ 正しい記述

ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出されることを、ホーミング(泡立ち)という。

ドラム(水と蒸気をためる円筒形の容器)の中で泡が広がる現象です。泡のせいで蒸気に水分が混じり、運び出されます。これがホーミング(泡立ち)です。

(3) ❌ 誤りの記述

プライミングは蒸気負荷が過小であるときに発生する。

蒸気負荷が過小のときとしている点が誤りです。蒸気負荷とは、蒸気の使用量のこと。原因になるのは、蒸気流量が急に増えたときです。向きが逆になっています。

(4) ⭕ 正しい記述

プライミングは高水位であるときに発生する。

水位が高いと、水面と蒸気の取出し口が近くなります。はね上がった水滴や泡が、取出し口へ吸い込まれやすくなるのです。

(5) ⭕ 正しい記述

ホーミングはボイラー水に油脂分が多く含まれているときに発生する。

ボイラー水に有機物・油脂分・不純物が多いことは、キャリオーバの原因の1つです。

キャリオーバの原因 誤りとされた記述(向きが逆)
蒸気流量が急に増えた 蒸気負荷が過小/蒸気流量が減少した
水位が高い 低水位である
ボイラー水に有機物・油脂分・不純物が多い
溶けた蒸発残留物が過度に濃縮している

💡 覚え方

キャリオーバの原因は「水が多すぎ・汚れすぎ・急ぎすぎ」の3つ。呼び名は、水滴がプライミング、泡立ちがホーミングと区別します。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問14 ボイラーの緊急停止の操作順序

令和6年4月公表分野:ボイラーの緊急停止の操作順序重要度 ★★
ボイラーの使用中に突然、異常事態が発生して、ボイラーを緊急停止しなければならないときの一般的な操作順序として、最も適切なものは(1)~(5)のうちどれか。ただし、A~Dは、それぞれ次の操作をいうものとする。
A 給水を行う必要があるときは給水を行い、必要な水位を維持する。
B 炉内及び煙道の換気を行う。
C 燃料の供給を停止する。
D 主蒸気弁を閉じる。
(1)A→D→C→B
(2)B→A→C→D
(3)B→D→A→C
(4)C→B→D→A
(5)D→C→B→A
答え・解説を見る
正解

(4)
C→B→D→A

この問題は何を聞いている?

運転中に突然の異常が起きて、ボイラーを急いで止めるときの順番を問う問題です。A〜Dの4つの操作を正しい順に並べたものを選びます。

主蒸気弁とは?

ボイラーでできた蒸気を、使う場所へ送り出す弁。閉じると、蒸気が送られなくなります。

C ⭕ 1番目の操作

燃料の供給を停止する。

最初に、燃料の供給を止めます。まず火を止めるのが出発点です。

B ⭕ 2番目の操作

炉内及び煙道の換気を行う。

次に、炉(火を燃やす部屋)と煙道(燃えたあとのガスの通り道)を換気します。中に残ったガスを外へ出すためです。

D ⭕ 3番目の操作

主蒸気弁を閉じる。

続いて、主蒸気弁を閉じます。蒸気を送るのをやめる操作です。

A ⭕ 4番目の操作

給水を行う必要があるときは給水を行い、必要な水位を維持する。

最後は水位です。給水が必要なときは給水を行い、必要な水位を保ちます。

緊急停止の一般的な操作順序

①C:燃料の供給を止める(まず火を止める)

②B:炉と煙道を換気する(残ったガスを出す)

③D:主蒸気弁を閉じる(蒸気を送るのをやめる)

④A:必要なら給水して、必要な水位を保つ

選択肢を見ると、Cから始まるのは(4)だけです。「最初に燃料を止める」と分かれば、それだけで答えをしぼれます。

🤔 ふだんの運転の終わり方と、何が違うのですか。

どちらも「まず燃料を止めて、次に換気」は同じです。緊急停止は異常への対応なので、その次に主蒸気弁を閉じます。そして必要なら給水して、水位を守る流れです。

💡 覚え方

「火を消す→煙を出す→蒸気を止める→水を守る」。危険の大きいものから順に止めていく、と考えると並べられます。

順番はC→B→D→Aなので、正解は(4)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問15 水面測定装置の取扱い(水柱管・水面計)

令和6年4月公表分野:水面測定装置の取扱い(水柱管・水面計)重要度 ★★★
ボイラーの水面測定装置の取扱いについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)運転開始時の水面計の機能試験は、点火前に残圧がない場合は、たき始めて蒸気圧力が上がり始めたときに行う。
(2)水柱管の水側連絡管の取付けは、ボイラー本体から水柱管に向かって上がり勾配とする。
(3)水側連絡管のスラッジを排出するため、水柱管下部の吹出し管により、毎日1回吹出しを行う。
(4)差圧式の遠方水面計では、途中に漏れがあると著しい誤差が生じるので、漏れを完全に防止する。
(5)水面計のドレンコックを開くときは、ハンドルを管軸と同一方向にする。
答え・解説を見る
正解

(5)
水面計のドレンコックを開くときは、ハンドルを管軸と同一方向にする。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水位を見る装置(水面測定装置)の扱い方を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

水柱管とは?

ボイラーの胴(円筒形の本体)と上下2本の管でつないだ、縦長の筒。この筒に水面計(水位を外から見る道具)を取り付けます。

💡 なぜ? 中の水位がボイラーと同じになるので、筒に付けた水面計で水位を見られるからです。

水面計は、詰まっていると本当の水位と違う高さを示してしまいます。そこで、中の水や蒸気を吹き出させて、正しく動くかを試すのです。これを機能試験といいます。

(1) ⭕ 正しい記述

運転開始時の水面計の機能試験は、点火前に残圧がない場合は、たき始めて蒸気圧力が上がり始めたときに行う。

運転を始めるときの、機能試験の時期についての記述です。点火前に残圧(ボイラーに残っている圧力)がない場合があります。そのときは、たき始めて蒸気圧力が上がり始めたときに行うのです。

(2) ⭕ 正しい記述

水柱管の水側連絡管の取付けは、ボイラー本体から水柱管に向かって上がり勾配とする。

水側連絡管は、ボイラーの水の部分と水柱管をつなぐ管です。ボイラー本体から水柱管に向かって、上がり勾配(先へ行くほど高くなる傾き)で取り付けます。

(3) ⭕ 正しい記述

水側連絡管のスラッジを排出するため、水柱管下部の吹出し管により、毎日1回吹出しを行う。

水側連絡管のスラッジ(泥のような沈殿物)を、外へ出すための操作です。水柱管の下部にある吹出し管を使い、毎日1回吹出しを行います。

(4) ⭕ 正しい記述

差圧式の遠方水面計では、途中に漏れがあると著しい誤差が生じるので、漏れを完全に防止する。

差圧式の遠方水面計についての記述です。途中に漏れがあると、著しい誤差が出てしまいます。そのため、漏れを完全に防ぐという内容です。

(5) ❌ 誤りの記述

水面計のドレンコックを開くときは、ハンドルを管軸と同一方向にする。

ハンドルを管軸と同一方向にするとしている点が誤りです。ドレンコックは、水面計の中の水を抜く出口の栓のこと。水面計のコックは、ハンドルが管軸と直角方向のときに開くつくりで、一般のコックとは逆です。運転中にハンドルがすべて下を向くようにするためです。

正しいとされた記述 押さえる言葉
運転開始時の機能試験(残圧がない場合) 蒸気圧力が上がり始めたとき
水柱管の水側連絡管の取付け 水柱管に向かって上がり勾配
水柱管下部の吹出し管による吹出し 毎日1回
差圧式の遠方水面計 漏れを完全に防止する

💡 覚え方

水面計のコックは「直角で開」。一般のコックと逆なので、「同一方向で開く」は誤りです。正しい4つは、水側連絡管は上がり勾配、水柱管の吹出しは毎日1回のように言葉と数字で押さえましょう。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第6回 附属品①(安全弁・圧力計・水面計) / 第10回 運転中の管理と異常時の対応

問16 ばね安全弁と逃がし弁の調整・試験

令和6年4月公表分野:ばね安全弁と逃がし弁の調整・試験重要度 ★★★
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整並びに試験について、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
(2)安全弁の吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを締めて再度、試験する。
(3)過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
(4)エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
(5)安全弁の手動試験は、最高使用圧力の75%以上の圧力で行う。
答え・解説を見る
正解

(3)
過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。

この問題は何を聞いている?

圧力の上がりすぎを防ぐ安全弁を、どう調整し、どう試すかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

吹出し圧力と吹止まり圧力とは?

吹出し圧力は、安全弁が開いて蒸気を吹き出し始める圧力。吹止まり圧力は、圧力が下がって安全弁が閉じる圧力です。

💡 なぜ? 安全弁は、決めた圧力で確実に開き、圧力が下がったら確実に閉じる必要があるからです。

(1) ⭕ 正しい記述

ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。

ボイラーの圧力をゆっくり上げて、安全弁を作動させます。そのときの吹出し圧力と吹止まり圧力の両方を確かめるのです。

(2) ⭕ 正しい記述

安全弁の吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを締めて再度、試験する。

ばね安全弁は、調整ボルトでばねの押す力を変えて、吹出し圧力を合わせます。ボルトを締めるとばねが強くなり、吹出し圧力が上がるしくみです。低い圧力で吹き出すときは、いったん80%程度まで圧力を下げ、締めて試し直します。

(3) ❌ 誤りの記述

過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。

本体の安全弁より高い圧力としている点が誤りです。過熱器は、できた蒸気をさらに熱する装置のこと。過熱器用安全弁は、本体より先に吹き出すよう、低い圧力に調整します。

(4) ⭕ 正しい記述

エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。

エコノマイザは、排ガスの熱で給水(ボイラーに入れる水)を温める装置です。給水ポンプの圧力がかかる、本体より手前の部分に当たります。そのため逃がし弁は、本体の安全弁より高い圧力に調整するのです。

(5) ⭕ 正しい記述

安全弁の手動試験は、最高使用圧力の75%以上の圧力で行う。

手動試験は、試験用レバーを使い、安全弁を手で開いてみる試験です。最高使用圧力の75%以上の圧力で行います。

🤔 なぜ、過熱器用の安全弁を先に吹かせるのですか。

本体の安全弁が先に吹くと、蒸気が本体から逃げてしまいます。すると過熱器に蒸気が流れなくなり、炎の熱で過熱器の管が焼けるおそれがあるのです。だから過熱器を先に吹かせて、蒸気の流れを保ちます。

安全弁 調整する圧力
過熱器用安全弁 本体の安全弁より低い圧力(先に吹き出す)
ボイラー本体の安全弁 基準になる圧力
エコノマイザの逃がし弁(安全弁) 本体の安全弁より高い圧力

💡 覚え方

「過熱器が先、本体が真ん中、エコノマイザが後」。数字は、調整の前に下げる80%程度と、手動試験の75%以上を分けて覚えましょう。

以上から、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第13回 附属品の取扱い

問17 ボイラー水の吹出し(時期と弁の操作順)

令和6年4月公表分野:ボイラー水の吹出し(時期と弁の操作順)重要度 ★★
ボイラー水の吹出しについて、適切でないものは次のうちどれか。
(1)炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。
(2)鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止して、ボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。
(3)水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。
(4)吹出しを行っている間は、他の作業を行ってはならない。
(5)直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、急開弁を先に閉じ、次に漸開弁を閉じる。
答え・解説を見る
正解

(5)
直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、急開弁を先に閉じ、次に漸開弁を閉じる。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水を外へ出す吹出し(ブロー)を、いつ、どう行うかを問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

吹出し(ブロー)とは?

ボイラー水の一部を外へ出すこと。濃くなった水を薄めたり、沈殿物を出したりするために行います。

💡 なぜ? ボイラーの中では蒸気だけが出ていき、溶けていた成分は残ってどんどん濃くなるからです。

(1) ⭕ 正しい記述

炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。

炉筒煙管ボイラーは、胴の中に、火を燃やす筒と燃焼ガスを通す管を入れたボイラーです。吹出しは水を抜く作業です。蒸気を多く使っているときに行うと、水位が急に下がるおそれがあります。だから運転前・運転を止めたとき・負荷が低いときに行うのです。

(2) ⭕ 正しい記述

鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止して、ボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。

鋳鉄製蒸気ボイラーは、鋳鉄(型に流し込んでつくった鉄)でできた蒸気ボイラーです。吹出しは、燃焼をしばらく止めて行います。行うのは、ボイラー水の一部を入れ替えるときです。

(3) ⭕ 正しい記述

水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。

水冷壁は、燃焼室(火を燃やす部屋)の壁に並べた水管のことです。その吹出しは、どんな場合でも運転中に行ってはなりません。

(4) ⭕ 正しい記述

吹出しを行っている間は、他の作業を行ってはならない。

吹出しは、ボイラーの水が減っていく作業です。水位から目を離すと、空だき(水がないまま燃やすこと)につながります。そのため、吹出しの間はほかの作業をしない決まりです。

(5) ❌ 誤りの記述

直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、急開弁を先に閉じ、次に漸開弁を閉じる。

閉じるときに急開弁を先に閉じるとしている点が誤りです。正しくは、漸開弁を先に閉じ、次に急開弁を閉じます。流れを調整する漸開弁でまず流れを止める、という順番です。

2個の吹出し弁の操作順序

開けるとき:急開弁を先に開け、次に漸開弁を少しずつ開けて量を調整する

閉めるとき:漸開弁を先に閉じ、次に急開弁を閉じる

2個の吹出し弁は、ボイラーに近い方が急開弁(すばやく開く弁)です。遠い方が漸開弁(少しずつ開く弁)で、吹き出す量はこちらで調整します。

💡 覚え方

「開けるのは内から、閉めるのは外から」。内(ボイラーに近い方)が急開弁、外が漸開弁です。開けるときは急開弁が先、閉めるときは漸開弁が先と、順番が入れ替わります。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第7回 附属品②(給水・吹出し・送気・熱回収) / 第11回 運転の停止・保存・清掃

問18 運転を停止してボイラー水を全部排出する順序

令和6年4月公表分野:運転を停止してボイラー水を全部排出する順序重要度 ★★
ボイラーの運転を停止し,ボイラー水を全部排出する場合の操作順序として、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。ただし、A~Eはそれぞれ次の操作をいうものとする。
A ボイラーの圧力がないことを確かめた後、給水弁及び蒸気弁を閉じる。
B 燃料の供給を停止し、十分換気してからファンを止める。
C ボイラー水の排出は、ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開く。
D ボイラーの水位を常用水位に保つように給水を続け、蒸気の送り出し量を徐々に減少させる。
E ボイラー内部が負圧にならないように空気抜弁を開いて空気を送り込む。
(1)A→C→B→E→D
(2)B→E→D→C→A
(3)D→B→A→E→C
(4)D→C→B→A→E
(5)E→A→C→D→B
答え・解説を見る
正解

(3)
D→B→A→E→C

この問題は何を聞いている?

ボイラーを止めて、中の水を全部抜くときの順番を問う問題です。A〜Eの5つの操作を正しい順に並べたものを選びます。

常用水位とは?

ふだんの運転で保つ水位のこと。

D ⭕ 1番目の操作

ボイラーの水位を常用水位に保つように給水を続け、蒸気の送り出し量を徐々に減少させる。

最初は、蒸気の送り出しを徐々に減らすことです。火を止める前に急に蒸気を止めると、圧力が上がってしまいます。そのあいだも給水を続けて常用水位を保ち、空だき(水がないまま燃やすこと)を防ぐのです。

B ⭕ 2番目の操作

燃料の供給を停止し、十分換気してからファンを止める。

次に燃料を止め、十分に換気してからファン(送風機)を止めます。炉の中に燃料のガスを残さないためです。

A ⭕ 3番目の操作

ボイラーの圧力がないことを確かめた後、給水弁及び蒸気弁を閉じる。

続いて、圧力がないことを確かめてから、給水弁と蒸気弁を閉じます。圧力が残ったまま操作すると、蒸気や熱水が噴き出す危険があるからです。

E ⭕ 4番目の操作

ボイラー内部が負圧にならないように空気抜弁を開いて空気を送り込む。

空気抜弁を開いて、中に空気を入れます。冷えると中の蒸気が水に戻り、負圧(真空)になるからです。そのままでは、外から押しつぶされるおそれがあります。

C ⭕ 5番目の操作

ボイラー水の排出は、ボイラー水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開く。

最後に、水の温度が90℃以下になってから、吹出し弁を開いて排水します。熱いまま抜くと、急な温度変化で本体を傷めるからです。高温の水が噴き出す危険もあります。

運転を停止してボイラー水を全部排出する順番

①D:給水を続けて常用水位を保ち、蒸気の送り出しを徐々に減らす

②B:燃料を止め、十分に換気してからファンを止める

③A:圧力がないことを確かめて、給水弁と蒸気弁を閉じる

④E:空気抜弁を開いて空気を入れる

⑤C:90℃以下になってから、吹出し弁を開いて排水する

選択肢のうち、Dから始まるのは(3)と(4)の2つです。(4)は2番目がC(排水)で、火を止める前に水を抜くことになってしまいます。

💡 覚え方

「蒸気を減らす→火を消して煙を出す→弁を閉じる→空気を入れる→冷めたら抜く」。熱いものから順に片づけていくと考えると、並べかえで迷いません。

順番はD→B→A→E→Cなので、正解は(3)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第11回 運転の停止・保存・清掃

問19 ボイラーの内面腐食と抑え方(pH)

令和6年4月公表分野:ボイラーの内面腐食と抑え方(pH)重要度 ★
ボイラーの内面腐食及びその抑制方法に関する記述で、適切でないものは次のうちどれか。
(1)給水中に含まれる溶存気体のO₂やCO₂は、鋼材の腐食の原因となる。
(2)腐食には、溶接加工による残留応力が原因となるものがある。
(3)局部腐食には、ピッチング、グルービングなどがある。
(4)腐食には、濃度の高い水酸化ナトリウムが原因となるものがある。
(5)ボイラー水のpHを中性に調整することによって、腐食を抑制する。
答え・解説を見る
正解

(5)
ボイラー水のpHを中性に調整することによって、腐食を抑制する。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水に触れる側(内面)が腐食する原因と、その抑え方を問う問題です。適切でないものを1つ選びます。

pH(ペーハー)とは?

水が酸性かアルカリ性かを表す数字。7が中性で、小さいほど酸性、大きいほどアルカリ性です。

(1) ⭕ 正しい記述

給水中に含まれる溶存気体のO₂やCO₂は、鋼材の腐食の原因となる。

溶存気体とは、水に溶けている気体のことです。給水(ボイラーに入れる水)に溶けたO₂(酸素)やCO₂(二酸化炭素)は、鋼材の腐食の原因になります。

(2) ⭕ 正しい記述

腐食には、溶接加工による残留応力が原因となるものがある。

残留応力は、溶接加工のあとに材料の中に残った力のことです。これが原因になる腐食もある、という記述です。

(3) ⭕ 正しい記述

局部腐食には、ピッチング、グルービングなどがある。

局部腐食は、一部分だけが深く傷む腐食です。点のように深く掘れるピッチングや、溝のように掘れるグルービングがあります。

(4) ⭕ 正しい記述

腐食には、濃度の高い水酸化ナトリウムが原因となるものがある。

水酸化ナトリウムは、水をアルカリ性にする成分です。濃度が高い、つまりアルカリが強すぎると、それも腐食の原因になります。

(5) ❌ 誤りの記述

ボイラー水のpHを中性に調整することによって、腐食を抑制する。

pHを中性に調整するとしている点が誤りです。鉄は、酸性や中性の水ではさびやすい性質があります。腐食を抑えるには、ボイラー水を適度なアルカリ性に保つのです。

内面腐食の原因(試験に出たもの) 腐食を抑えるポイント
給水に溶けているO₂やCO₂ ボイラー水のpHを適度なアルカリ性に保つ
溶接加工による残留応力
濃度の高い水酸化ナトリウム アルカリは強すぎても腐食する

💡 覚え方

腐食を抑えるのは、中性ではなく、適度なアルカリ性。ただしアルカリが強すぎても腐食するので、選択肢(4)と(5)をセットで押さえましょう。

以上から、正解は(5)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第12回 ボイラーの水管理

問20 清缶剤の使用目的

令和6年4月公表分野:清缶剤の使用目的重要度 ★★★
ボイラー清缶剤の使用目的として、適切でないものは次のうちどれか。
(1)ボイラー内で生じた泥状沈殿物の結晶の成長を防止する。
(2)ボイラー伝熱面の低温腐食を防止する。
(3)低圧ボイラーでは、ボイラー水中のシリカを可溶性の化合物に変える。
(4)ボイラー水中の硬度成分を不溶性の化合物(スラッジ)に変える。
(5)酸消費量を適度に保つことによって腐食を抑制する。
答え・解説を見る
正解

(2)
ボイラー伝熱面の低温腐食を防止する。

この問題は何を聞いている?

ボイラーの水に加える薬品、清缶剤(せいかんざい)を何のために使うかを問う問題です。使用目的として適切でないものを1つ選びます。

清缶剤とは?

水が原因で起きるスケールの付着・腐食・キャリオーバなどを防ぐため、給水やボイラー水に直接加える薬品。

(1) ⭕ 正しい記述

ボイラー内で生じた泥状沈殿物の結晶の成長を防止する。

スラッジ分散剤のはたらきです。ボイラーの中でできた泥状の沈殿物の、結晶が大きくなるのを防ぎます。

(2) ❌ 誤りの記述

ボイラー伝熱面の低温腐食を防止する。

低温腐食の防止は、清缶剤の目的ではありません。低温腐食は、燃料の硫黄からできた硫酸が起こす腐食です。硫酸が、温度の低い伝熱面で結露して金属を腐らせます。これは燃焼ガス側の話で、水に加える清缶剤とは場所が違うのです。

(3) ⭕ 正しい記述

低圧ボイラーでは、ボイラー水中のシリカを可溶性の化合物に変える。

低圧ボイラーでの目的です。ボイラー水中のシリカを、溶けやすい(可溶性の)化合物に変えます。

(4) ⭕ 正しい記述

ボイラー水中の硬度成分を不溶性の化合物(スラッジ)に変える。

軟化剤のはたらきです。硬度成分(カルシウムやマグネシウム)は、伝熱面に固着するスケールのもとになります。これを溶けない(不溶性の)化合物=スラッジに変えるのです。

(5) ⭕ 正しい記述

酸消費量を適度に保つことによって腐食を抑制する。

酸消費量は、水にふくまれるアルカリ分の量のことです。これを適度に保つと、ボイラー水が適度なアルカリ性になり、腐食を抑えられます。

清缶剤のはたらき 内容
pH・酸消費量の調節 酸消費量を適度に保って腐食を抑える
軟化剤 硬度成分を不溶性の化合物(スラッジ)に変える
スラッジ分散剤 泥状の沈殿物の結晶の成長を防ぐ
脱酸素剤 給水中の溶存酸素を取り除く

💡 覚え方

清缶剤は水の側に入れる薬、低温腐食は燃焼ガスの側で起きる腐食。変える先は、硬度成分=不溶性(スラッジ)、シリカ=可溶性と対にして覚えましょう。

以上から、正解は(2)です。

▶ 基礎から学び直すなら講座の 第12回 ボイラーの水管理 / 第17回 大気汚染・重油の障害・低温腐食

令和6年4月公表「ボイラーの取扱い」のまとめ

まとめ

・ガスだきの手動点火は、バーナが上下2基なら下のバーナから。隣のバーナや炉壁の熱で点火しない

・スートブローはドレンをふくまない乾いた蒸気で、1か所に長く吹き付けない

・キャリオーバの原因=蒸気流量の急増・高水位・油脂分などの不純物(蒸気負荷が過小は誤り)

・緊急停止=燃料停止→換気→主蒸気弁を閉じる→必要なら給水(C→B→D→A)

・安全弁は過熱器(低い圧力)→本体→エコノマイザ(高い圧力)。手動試験は75%以上

・吹出し弁は閉めるとき漸開弁が先。全部排出の停止はD→B→A→E→Cで、排水は90℃以下

・腐食を抑えるのは適度なアルカリ性(中性ではない)。低温腐食の防止は清缶剤の目的ではない