第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和4年度 上期・午後(2022年5月29日実施)の問1〜10です。

問1〜問10には計算問題と配線の決まりがまとまって出てきます。数字が並ぶと身構えてしまいがちですが、土台になるのはオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力の式がほとんどです。この記事では、その式がどうしてそうなるのか、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和4年度上期第二種電気工事士試験(午後)

問1

分野:電気の基礎(回路の電圧)重要度 ★★★

図のような回路で,スイッチS を閉じたとき,a−b端子間の電圧[V]は。

令和4年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問1 の回路図
イ.30
ロ.40
ハ.50
ニ.60
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正解

ハ.50[V]
この問題は何を聞いているの?

図の回路に100Vの電池がつながっています。スイッチSを入れたとき、右はしの「a」と「b」の2つの出口のあいだに何ボルト出ているかを答える問題です。回路の中には30Ωの抵抗が4つありますが、計算に使うのはそのうち2つだけ。どれを外してよいかを見抜くのがこの問題の中心になります。まず言葉を確認しましょう。

用語電圧[V]とは?

電圧とは、電気を押し出す力の強さのことです。単位はV(ボルト)。図の左にある「100 V」の記号(長い線と短い線のペア)が電池で、この回路全体を100Vの力で押しています。

なぜ?なぜ電圧は水道の「水圧」に例えられるのか?

水圧が高いほど蛇口から水が勢いよく出るのと同じで、電圧が高いほど電気が強く押し出されるからです。電圧は流れそのものではありません。流れを起こす「押す力」だと考えると、このあとの話が追いやすくなるでしょう。

用語抵抗[Ω]とは?

抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど流れにくくなります。図の細長い長方形が抵抗で、どれも30Ωです。

なぜ?なぜ抵抗があると電圧が「使われる」のか?

細いホースの区間を水が通るとき、そこで勢い(水圧)が落ちるのと同じです。電気が抵抗を通り抜けるたびに、押す力の一部がそこで使われて、抵抗の後ろでは電圧が下がります。この「下がる分」が電圧降下です。

用語a−b端子間の電圧とは?

端子(たんし)とは、機械や電線をつなぐための出口のことです。図の右の小さな丸がaとb。「a−b端子間の電圧」は、aとbのあいだに、どれだけの押す力の差があるかを意味します。

なぜ?なぜ「あいだ」の電圧を聞くのか?

電圧は2つの点の高さの差のようなものだからです。階段の段差のように、1つの点だけでは高さを決められません。aとbの差が分かれば、そこに電球などをつないだとき、どれだけの力がかかるかが見えてくるでしょう。

ポイント1:スイッチを閉じると、上の30Ωは素通りされる

図の上のまん中には30Ωの抵抗とスイッチSが、同じ2つの点のあいだに並んでいます。スイッチを「閉じる」とは、スイッチを入れて電気が通れるようにすることです。

なぜ?なぜスイッチを「閉じる」と電気が通るのか?

スイッチは電線の途中にある「開け閉めできる橋」のようなものだからです。橋を下ろして道をつなぐことを「閉じる」と言います。日常の「閉める=止める」とは逆に感じますが、電気では閉じる=つながる(ON)と覚えましょう。

用語短絡(たんらく)とは?

短絡とは、抵抗のある部品を、抵抗がほぼ0の電線でまたいでしまうことです。「ショート」とも呼ばれる現象です。またがれた抵抗には電気がほとんど流れず、計算では無いものとして扱えます。

なぜ?なぜ電気は抵抗のほうを通らなくなるのか?

電気は通りやすい道へ流れるからです。30Ωの道と、ほぼ0Ωのスイッチの道が並んでいれば、ほとんどがスイッチ側を通ります。料金所のある道と無料の広い道が並んでいれば、車が無料の道に集まるのと同じ。上の30Ωは計算から外してよいということです。

ポイント2:aの先は行き止まり=右の30Ωには電気が流れない

次に右の30Ωを見ます。この抵抗は端子aにつながっていますが、aの先には何もつながっていません。問題文にも、aとbのあいだに機械をつないだとは書かれていないのです。

用語開放(かいほう)とは?

開放とは、回路の先が途切れていて、どこにもつながっていない状態のことです。行き止まりの道と同じで、そこには電流が流れません。

なぜ?なぜ行き止まりだと電流が流れないのか?

電気は電池から出て、ぐるりと回って電池に帰る道があるときだけ流れるからです。aの先が途切れていると帰り道がありません。だから右の30Ωを流れる電流は0Aです。

なぜ?なぜ電流が0なら、その抵抗で電圧が下がらないのか?

抵抗で下がる電圧は電流×抵抗で決まるからです。電流が0なら、0×30=0V。右の30Ωでは電圧が1Vも下がらないので、aの電圧は、右の30Ωの左はし(縦の30Ωの上はし)と同じになります。

残るのは「30Ωが2つの1本道」

2つの抵抗を外すと、残るのは左上の30Ωと、縦の30Ωだけです。電池→左上の30Ω→縦の30Ω→電池、という1本道になります。そしてa−b間の電圧は、縦の30Ωにかかる電圧と同じ。縦の30Ωの上はしがa、下はしがbにつながっているからです。

用語直列(ちょくれつ)とは?

直列とは、部品が1本道に順番に並んでいるつなぎ方のことです。直列の抵抗は足し算で1つにまとめられます。30Ωと30Ωなら、30+30=60Ωです。

なぜ?なぜ直列だと抵抗を足し算できるのか?

1本道なので、電気はどちらの抵抗の邪魔も順番に受けるからです。スポンジを2つ続けて詰めたホースは、1つのときより通りにくくなります。邪魔が積み重なるので足し算になるのです。

用語オームの法則とは?

オームの法則とは、電圧=電流×抵抗(V=I×R)という関係のことです。電流を知りたいときは電流=電圧÷抵抗の形で使います。

なぜ?なぜ電圧を抵抗で割ると電流になるのか?

押す力(電圧)が強いほど電流は増え、流れにくさ(抵抗)が大きいほど電流は減るからです。押す力÷流れにくさで、実際に流れる量が決まります。例えば100Vで押して50Ωの邪魔なら、100÷50=2Aです。

手順1 スイッチSを閉じたので、上の30Ωは短絡されて計算から外す。

手順2 aの先は開放なので、右の30Ωには電流が流れない。ここで下がる電圧は0V。

手順3 残りは左上の30Ωと縦の30Ωの直列。合計 = 30 + 30 = 60Ω

手順4 流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 100 ÷ 60 = 約1.67A

手順5 縦の30Ωにかかる電圧 = 電流 × 抵抗 = 1.67 × 30 = 約50V

手順6 a−b間の電圧は縦の30Ωの電圧と同じ = 50V

よって答えはハの50Vです。

コツ割り算をしない近道

同じ大きさの抵抗が2つ直列なら、電池の電圧をちょうど半分ずつ分け合います。どちらにも同じ電流が流れ、電圧は「電流×抵抗」なので、抵抗が同じなら電圧も同じになるからです。100Vの半分で50V。100÷60のような割り切れない計算をしなくても答えが出ます。

覚えるこの問題の覚え方

「閉じたスイッチの横は消す」「行き止まりの先も消す」の2つです。閉じたスイッチと並んでいる抵抗は素通りされるので消し、端子の先に何もつながっていなければ、そこへ向かう抵抗には電流が流れないので消します。消したあとに残った回路だけで計算する、と覚えておきましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.30 … スイッチを閉じたことを見落とし、上の30Ωを残した人が選びやすい数字です。左上・上・縦の3つの直列(90Ω)と考えると、縦の30Ωには100Vの3分の1で約33Vかかり、いちばん近い30を選んでしまいます。

ロ.40 … 誤りです。外してよい抵抗を2つとも外せば、30Ωが2つの1本道になり、50Vにたどり着けます。

ニ.60 … 誤りです。右の30Ωには電流が流れないので、aとbの電圧は縦の30Ωの電圧(50V)と同じになります。

問2

分野:電気の基礎(抵抗率)重要度 ★★☆

抵抗率ρ[Ω・m],直径D[mm],長さL[m]の導線の電気抵抗[Ω]を表す式は。

令和4年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問2 の選択肢(4つの式)
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正解

イ.4ρL/(πD²)×10⁶
この問題は何を聞いているの?

電線の抵抗(電気の流れにくさ)を、材料の性質ρ・太さD・長さLの3つで表す式を選ぶ問題です。計算の答えを出すのではなく、正しい式の形を選ぶ問題です。式を丸暗記していなくても、「長いほど流れにくい」「太いほど流れやすい」という感覚と、円の面積の求め方から組み立てられます。

用語抵抗率ρ(ロー)[Ω・m]とは?

抵抗率とは、その材料そのものの電気の流れにくさを表す数字のことです。銅なら銅、アルミならアルミで値が決まっています。記号ρはギリシャ文字で、読み方は「ロー」。

なぜ?なぜ抵抗とは別に「抵抗率」があるのか?

同じ銅の電線でも、長さや太さが変われば抵抗は変わるからです。長さや太さに左右されない「材料の素の流れにくさ」を表すために、抵抗率という数字を使います。電線の抵抗は、この抵抗率に長さと太さの影響をかけ合わせて求めるのです。

用語直径D[mm]・長さL[m]とは?

直径とは、電線を輪切りにしたときの丸の、端から端までの長さのことです。この問題ではmm(ミリメートル)で与えられています。長さLは電線の長さで、こちらはm(メートル)です。

なぜ?なぜ単位がmmとmで混ざっているのか?

電線の太さは1.6mmや2.0mmのようにmmで言うのが一般的で、長さは何mとmで言うのが一般的だからです。ただし式の中では単位をそろえないと正しく計算できません。この単位合わせが、選択肢の「×10⁶」の正体です。

抵抗は「長いほど大きく、太いほど小さい」

電線の抵抗は、長さに比例し、断面積(切り口の面積)に反比例します。式にすると抵抗=ρ×長さ÷断面積です。

なぜ?なぜ長いほど抵抗が大きくなるのか?

電気が通る道が長いほど、邪魔を受ける距離が長くなるからです。長さが2倍なら抵抗も2倍。一方が2倍になるともう一方も2倍になる関係が比例です。だから長さLは式の分子(上)に来ます。

なぜ?なぜ太いほど抵抗が小さくなるのか?

切り口が広いほど、電気が通れる道幅が広くなるからです。1車線の道より2車線の道のほうが車がスムーズに流れます。断面積が2倍なら抵抗は半分。この関係を反比例といい、断面積は式の分母(下)に来ます。

断面積を直径Dで表す

電線の切り口は円です。円の面積は半径×半径×π(円周率、約3.14)で求めます。半径は直径の半分なのでD÷2。

手順1 円の面積 = 半径 × 半径 × π = (D÷2)×(D÷2)× π = πD²÷4(D²は「D×D」の意味)

手順2 例えばD=2mmなら、半径1mmで、面積=1×1×3.14=3.14mm²。式で確かめると 3.14×2×2÷4=3.14mm²。同じになる

手順3 抵抗 = ρ × L ÷ 断面積 = ρ × L ÷(πD²÷4) = 4ρL÷(πD²)

手順4 Dはmmなので、面積の単位はmm²。これをm²に直すと1mm²=0.000001m²(10⁻⁶m²)

手順5 分母が10⁻⁶倍(100万分の1)になるので、全体は10⁶倍(100万倍)になる → 4ρL/(πD²)×10⁶

なぜ?なぜ1mm²は0.000001m²なのか?

1mは1,000mmなので、1m×1mの正方形は、1,000mm×1,000mm=1,000,000mm²です。逆に言うと、1mm²は1m²の100万分の1。長さは1,000倍でも、面積は1,000×1,000で100万倍になる点がポイントです。

なぜ?なぜ分母が100万分の1になると、答えが100万倍になるのか?

割る数が小さいほど、答えは大きくなるからです。例えば12÷4=3ですが、割る数を半分の2にすると12÷2=6で答えは2倍になります。割る数が100万分の1なら、答えは100万倍。だから式の最後に「×10⁶」がつきます。

よって答えはイの4ρL/(πD²)×10⁶です。

覚えるこの問題の覚え方

「長さは上、面積は下」と覚え、面積は円の面積=πD²÷4から作ります。分母の「÷4」が上に回って4ρL、下にπD²が残る形です。直径Dは必ず2乗(面積だから)、長さLは1乗のまま(長さだから)という2点で、4つの選択肢は見分けられます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.4ρL/(πD)×10⁶ … 断面積が直径に比例すると思い、Dを2乗し忘れた人が選びやすい式です。面積は直径の2乗で決まるので、Dは2乗が正しい形です。

ロ.ρL²/(πD²)×10⁶ … 誤りです。長さは2乗しません。長さが2倍なら抵抗も2倍(1乗)です。

ニ.4ρL²/(πD)×10⁶ … 誤りです。長さLは1乗、直径Dは2乗で、この選択肢は両方が逆になっています。

問3

分野:電気の基礎(電力と熱量)重要度 ★★☆

電線の接続不良により,接続点の接触抵抗が0.2 Ωとなった。この接続点での電圧降下が2 V のとき,接続点から1 時間に発生する熱量[kJ]は。
ただし,接触抵抗及び電圧降下の値は変化しないものとする。

イ.72
ロ.144
ハ.288
ニ.576
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正解

イ.72[kJ]
この問題は何を聞いているの?

電線のつなぎ目がうまくつながっておらず、そこに0.2Ωの抵抗ができてしまった、という場面です。その場所で電圧が2V下がっているとき、1時間でどれだけの熱が出るかをkJ(キロジュール)で答えます。「電流→電力→熱量」と3段で進めれば解ける問題です。

用語接続不良・接触抵抗とは?

接続不良とは、電線どうしのつなぎ目がゆるんだり、しっかり押さえつけられていなかったりする状態のことです。そのつなぎ目で生まれる余分な抵抗を接触抵抗といいます。

なぜ?なぜつなぎ目がゆるいと抵抗ができるのか?

つなぎ目がゆるいと、金属どうしが触れ合っている面積が小さくなるからです。電気の通り道が細くなると流れにくくなる、というのは電線の太さと同じ理屈。通り道がせまい所ほど抵抗は大きくなるのです。

用語電圧降下とは?

電圧降下とは、抵抗に電流が流れたとき、その前後で電圧が下がることです。下がる大きさは電流×抵抗。この問題では、つなぎ目の前後で2V下がっていると書かれています。

なぜ?なぜ電圧降下から電流が分かるのか?

「下がった電圧=電流×抵抗」なので、下がった電圧と抵抗が分かれば、割り算で電流が出るからです。2Vが下がり、抵抗が0.2Ωなら、電流は2÷0.2で求められます。

用語熱量[kJ]とは?

熱量とは、出た熱の量のことです。単位はJ(ジュール)で、1,000Jが1kJ(キロジュール)。熱量は電力[W]×時間[秒]で求めます。

なぜ?なぜ電力に「秒」をかけると熱量になるのか?

1W(ワット)とは、1秒あたり1Jのエネルギーを使う(熱にする)勢いだからです。20Wなら1秒で20J。それが3,600秒(1時間)続けば、20×3,600のJになります。勢い×続いた時間=全体の量です。

用語電力[W]とは?

電力とは、電気が1秒あたりにする仕事(熱や光に変わる量)の勢いのことです。単位はW(ワット)で、電力=電圧×電流で求めます。

なぜ?なぜ電圧×電流で電力になるのか?

水車に例えると、水を押す力(電圧)が強く、流れる水の量(電流)が多いほど、水車を回す力が大きくなるからです。どちらかが2倍になれば、仕事の勢いも2倍になります。

手順1 つなぎ目を流れる電流 = 電圧降下 ÷ 抵抗 = 2 ÷ 0.2 = 10A

手順2 つなぎ目での電力 = 電圧 × 電流 = 2 × 10 = 20W(1秒に20Jの熱)

手順3 1時間を秒に直す = 60秒 × 60分 = 3,600秒

手順4 熱量 = 電力 × 秒 = 20 × 3,600 = 72,000J

手順5 JをkJに直す(1,000で割る) = 72,000 ÷ 1,000 = 72kJ

なぜ?なぜ2÷0.2が10になるのか?

0.2は10分の2です。「2の中に0.2がいくつ入るか」と考えると、0.2を10個集めて2になるので10。小数で割るのが苦手なら、両方を10倍して20÷2=10と計算しても同じ答えになります。

よって答えはイの72kJです。20Wは小さな電球くらいの電力ですが、つなぎ目の小さな一点にそれだけの熱が集中すると、まわりの被覆(電線を包むビニル)が傷むおそれがあります。電線の接続をしっかり行う理由は、ここにあるのです。

コツ別の式でも同じ答えになる

電力は電流²×抵抗や電圧²÷抵抗でも求められます。10×10×0.2=20W、2×2÷0.2=20Wと、どれで計算しても20W。手元の数字に合わせて使いやすい式を選べば大丈夫です。

覚えるこの問題の覚え方

「電流→電力→秒をかける→1,000で割る」の4段です。熱量の問題では、時間は必ず秒に直す(1時間=3,600秒)、Jを1,000で割るとkJ、の2点で答えが大きくずれやすいので気をつけましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.144 … 誤りです。電流10A、電力20Wを出してから3,600秒をかけると72,000J=72kJになります。

ハ.288 … 誤りです。電力は電圧×電流(2×10)で、20Wより大きくはなりません。

ニ.576 … 誤りです。電流・電力・秒の順に1段ずつ計算すれば72kJにたどり着けます。

問4

分野:電気の基礎(交流とコイル)重要度 ★★☆

コイルに100 V,50 Hz の交流電圧を加えたら6 A の電流が流れた。このコイルに100 V,60 Hz の交流電圧を加えたときに流れる電流[A]は。
ただし,コイルの抵抗は無視できるものとする。

イ.4
ロ.5
ハ.6
ニ.7
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正解

ロ.5[A]
この問題は何を聞いているの?

コイルに100V・50Hzの電気を加えたら6Aが流れました。同じコイルに電圧は同じ100Vのまま、周波数だけ60Hzに変えたら、何Aになるかを答える問題です。周波数が上がるとコイルはどうなるかが分かれば、かけ算と割り算1回ずつで解けます。

用語交流と周波数[Hz]とは?

交流とは、電気の流れる向きが、行ったり来たりを規則正しくくり返す電気のことです。家庭用コンセントの電気は交流。1秒間に何回行ったり来たりするかを周波数といい、単位はHz(ヘルツ)です。

なぜ?なぜ50Hzと60Hzの2種類があるのか?

日本では、東日本がおおむね50Hz、西日本がおおむね60Hzと、地域によって発電所の周波数が違うからです。明治時代に東と西で別々の国の発電機を輸入したことが始まりとされています。この問題は、同じコイルを50Hzの地域と60Hzの地域で使ったら、という場面だと考えると分かりやすいでしょう。

用語コイルとは?

コイルとは、電線をぐるぐると巻いた部品のことです。モーターや蛍光灯の安定器などの中に入っている部品です。図記号では、くるくるとした山がつながった形で描かれます。

なぜ?なぜ電線を巻くだけで電気が流れにくくなるのか?

電線を巻くと、電流が変化するたびに、その変化をじゃまする力が生まれるからです。交流は向きが絶えず変わるので、コイルはいつも「変化させまい」と踏ん張ります。この交流に対する流れにくさを誘導性リアクタンスといい、抵抗と同じΩで表すのです。

用語誘導性リアクタンス[Ω]とは?

誘導性リアクタンスとは、コイルが交流に対して示す流れにくさのことです。大事な性質は周波数に比例すること。周波数が2倍になれば、流れにくさも2倍になります。

なぜ?なぜ周波数が高いほどコイルは流れにくくなるのか?

コイルは電流の変化をじゃまする部品だからです。周波数が高いと、1秒間に向きが変わる回数が多くなり、変化が激しくなるほど、じゃまする力も強くなります。ゆっくり押されるドアは開けやすく、何度も素早く押し引きされると重く感じる、というイメージです。

問題文に「コイルの抵抗は無視できる」とあるのは、電線そのものの流れにくさは0と考えて、リアクタンスだけで計算してよいという意味です。

手順1 50Hzのときのリアクタンス = 電圧 ÷ 電流 = 100 ÷ 6 = 約16.7Ω

手順2 60Hzは50Hzの何倍か = 60 ÷ 50 = 1.2倍

手順3 リアクタンスは周波数に比例するので = 16.7 × 1.2 = 約20Ω

手順4 60Hzのときの電流 = 電圧 ÷ リアクタンス = 100 ÷ 20 = 5A

なぜ?なぜ16.7×1.2がちょうど20になるのか?

16.7は100÷6を小数にしたものなので、正確には(100÷6)×1.2=120÷6=20です。分数のまま計算すると、ぴったり20Ωです。

コツ比で考えるともっと早い

電圧が同じなら、流れにくさが1.2倍になると、電流は1.2分の1になります。6A÷1.2=5A。言いかえると、電流は周波数に反比例する、ということです。6×50÷60=5と計算しても同じ答えになります。

よって答えはロの5Aです。

覚えるこの問題の覚え方

コイルは「速い変化が苦手」と覚えましょう。周波数が上がる(変化が速くなる)と、コイルは流れにくくなり、電流は減ります。50Hz→60Hzなら1.2倍流れにくくなるので、電流は6÷1.2=5A。周波数が上がったのに電流が増える答えを選んだら、向きが逆だと気づけます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.7 … 周波数が上がると電流も増えると逆に考えた人が選びやすい数字です。6×60÷50=7.2Aとなり、いちばん近い7を選んでしまいます。コイルは周波数が上がるほど流れにくくなるので、電流は減ります。

ハ.6 … 電圧が同じだから電流も変わらないと考えた人が選びやすい答えです。コイルの流れにくさは周波数で変わるので、電流も変わります。

イ.4 … 誤りです。60Hzは50Hzの1.2倍なので、電流は6÷1.2=5Aになります。

問5

分野:電気の基礎(三相交流の電力)重要度 ★★★

図のような三相3 線式回路の全消費電力[kW]は。

令和4年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問5 の回路図
イ.2.4
ロ.4.8
ハ.9.6
ニ.19.2
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正解

ハ.9.6[kW]
この問題は何を聞いているの?

三角形の形につながれた3組の「8Ωの抵抗+6Ωのコイル」に、200Vの三相交流がかかっています。この回路全体で何kW(キロワット)の電力を使うかを答える問題です。「1組分の電流を出す→抵抗で使う電力を出す→3倍する」という順番で進めます。

用語三相3線式(3φ3W)とは?

三相3線式とは、3本の電線で、タイミングが少しずつずれた3つの交流を送る方式のことです。図の「3φ3W」がこの意味で、φ(ファイ)は「相」、Wは「線(ワイヤ)」の意味です。工場のモーターやビルの大きなエアコンなどで使われています。

なぜ?なぜ電線3本で送る方式があるのか?

3つの交流を少しずつずらして送ると、少ない電線で多くの電力を効率よく送れるからです。モーターをなめらかに回しやすいという利点もあるのです。この問題では、3本の電線のどの2本の間も200Vになっています。

用語Δ(デルタ)結線とは?

Δ結線とは、3つの負荷(電気を使う部品)を三角形の3辺のようにつなぐ方法のことです。三角形の3つの角に、電源からの3本の電線が1本ずつつながります。

なぜ?なぜΔ結線では1辺に200Vがそのままかかるのか?

三角形の1辺の両はしが、電源の電線2本にそれぞれ直接つながっているからです。電線2本の間は200Vなので、1辺の「8Ω+6Ω」の組には200Vがまるごとかかります。3辺とも同じです。

用語インピーダンス[Ω]とは?

インピーダンスとは、抵抗とコイルなどをまとめた、交流全体の流れにくさのことです。単位はΩ。抵抗とコイルが直列のときは、単純な足し算ではなく、直角三角形の斜めの辺として求めます。

なぜ?なぜ8Ωと6Ωを足して14Ωにしないのか?

抵抗とコイルでは、電流をじゃまするタイミングがずれているからです。ずれた2つの力を合わせるときは、縦と横の矢印を合わせるように考えます。縦8・横6の直角三角形の斜めの辺は、√(8×8+6×6)=√100=10。3・4・5の三角形を2倍した6・8・10の形です。

用語消費電力[W]とは?

消費電力とは、電気が熱や動きなどに変わって、実際に使われた電力のことです。抵抗とコイルの組では、電気を消費するのは抵抗だけ。抵抗で使われる電力は電流²×抵抗で求めます。

なぜ?なぜコイルは電力を消費しないのか?

コイルは電気をためては返す、をくり返しているだけだからです。交流の向きが変わるたびに、ためた分を電源に返すので、差し引きすると何も使っていないことになります。熱になって消えるのは抵抗の分だけです。

手順1 1辺のインピーダンス = √(8² + 6²)= √(64 + 36)= √100 = 10Ω

手順2 1辺に流れる電流 = 電圧 ÷ インピーダンス = 200 ÷ 10 = 20A

手順3 1辺で消費する電力 = 電流² × 抵抗 = 20 × 20 × 8 = 3,200W

手順4 3辺の合計 = 3,200 × 3 = 9,600W

手順5 kWに直す(1,000で割る) = 9,600 ÷ 1,000 = 9.6kW

なぜ?なぜ電力の計算に6Ωを使わないのか?

6Ωはコイルの流れにくさで、コイルは電力を消費しないからです。6Ωは電流を求めるとき(インピーダンス10Ωの計算)だけに使います。電力を求める段階では、抵抗の8Ωだけを使いましょう。

よって答えはハの9.6kWです。

覚えるこの問題の覚え方

「電流は10Ω、電力は8Ω、最後に3倍」です。Δ結線なら1辺に200Vがそのままかかり、8と6の組は6・8・10の三角形で10Ω。電流20Aを出したら、電力は抵抗の8Ωだけで20²×8=3,200W。三相は3辺あるので3倍して9.6kWです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.2.4 … 誤りです。電力を消費するのは抵抗の8Ωで、1辺あたり3,200Wになります。

ロ.4.8 … 誤りです。1辺の電力3,200Wを3辺分合計すると9,600W=9.6kWです。

ニ.19.2 … 誤りです。1辺に流れる電流は200÷10=20Aで、20²×8×3=9.6kWより大きくはなりません。

問6

分野:配電理論(電圧降下)重要度 ★★★

図のように,単相2 線式電線路で,抵抗負荷A,B,C にそれぞれ負荷電流10 A が流れている。
電源電圧が210 V であるとき抵抗負荷C の両端電圧VC[V]は。
ただし,r は電線の抵抗[Ω]とする。

令和4年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問6 の回路図
イ.198
ロ.200
ハ.202
ニ.204
答え・解説を見る
正解

イ.198[V]
この問題は何を聞いているの?

電源から右へ向かう電線に、A・B・Cの3つの負荷(電気を使う機械)が順番につながった回路です。電源は210Vですが、電線にも少し抵抗があるため、いちばん遠いCに届くころには電圧が下がっています。Cにかかる電圧VCを求める問題です。区間ごとに流れる電流が違うことに気づけるかが分かれ目になります。

用語単相2線式(1φ2W)とは?

単相2線式とは、行きの電線1本と帰りの電線1本、合わせて2本で電気を送る方式のことです。図の上の線が行き、下の線が帰りにあたります。

なぜ?なぜ帰りの電線の抵抗まで数えるのか?

電気は電源から出て、負荷を通り、電源に帰ってくるからです。行きの線でも帰りの線でも電圧は下がります。図の上下どちらにも「r=0.1Ω」と書かれているのは、両方で下がる分を足しなさいという意味です。

用語抵抗負荷とは?

抵抗負荷とは、電熱器のように、電気を熱に変えて使う機械のことです。図のA・B・Cの長方形がそれで、どれにも10Aずつ流れています。

なぜ?なぜ負荷ごとの電流が分かれば十分なのか?

この問題で知りたいのは電線で下がる電圧で、それは電線を流れる電流×電線の抵抗で決まるからです。負荷の抵抗の値そのものは分からなくても、流れている電流が分かれば計算できます。

用語電圧降下とは?

電圧降下とは、抵抗に電流が流れたとき、その前後で電圧が下がることです。下がる大きさは電流×抵抗。例えば10Aが0.1Ωを通ると、10×0.1=1V下がります。

なぜ?なぜ電線にも抵抗があるのか?

電線は銅でできていて電気を通しやすいものの、流れにくさが完全に0ではないからです。長い電線ほど、その小さな抵抗が積み重なります。だから電源から遠い機械ほど、届く電圧が少し低くなるのです。

区間ごとに流れる電流が違う

電線を3つの区間に分けて考えましょう。電源からAまでの区間には、A・B・C全部に向かう電流がまとめて流れています。Aで10Aが抜けると、その先には残りの分しか流れません。

なぜ?なぜ電源に近い区間ほど電流が大きいのか?

水道管に例えると分かりやすいでしょう。1本の水道管から3軒の家に水を配るとき、最初の区間には3軒分の水がまとめて流れ、1軒目で使われた分だけ先は少なくなります。電気も同じで、電源〜Aは30A、A〜Bは20A、B〜Cは10Aです。

手順1 電源〜A:30Aが行きと帰りの電線(0.1Ω×2本=0.2Ω)を通る → 30 × 0.2 = 6V下がる

手順2 A〜B:20Aが0.2Ωを通る → 20 × 0.2 = 4V下がる

手順3 B〜C:10Aが0.2Ωを通る → 10 × 0.2 = 2V下がる

手順4 下がった合計 = 6 + 4 + 2 = 12V

手順5 Cにかかる電圧 = 210 - 12 = 198V

よって答えはイの198Vです。

覚えるこの問題の覚え方

「電源に近いほど電流は太い」「行きと帰りで2本分」の2つです。最初の区間は3台分の30A、次は20A、最後は10A。それぞれに0.1Ω×2本をかけて足すと12V。全区間を10Aで計算しないことが、この問題でいちばん大事なところです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.204 … どの区間も10Aしか流れないと考えた人が選びやすい数字です。10×0.2=2Vが3区間で6V、210-6=204Vとなります。電源に近い区間には、先の負荷の分の電流もまとめて流れています。

ロ.200 … 誤りです。区間ごとの電流(30A・20A・10A)に0.2Ωをかけて足すと12Vで、198Vになります。

ハ.202 … 誤りです。帰りの電線の分も含めて区間ごとに計算すれば198Vにたどり着けます。

問7

分野:配電理論(単相3線式)重要度 ★★★

図のような単相3 線式回路において,電線1 線当たりの抵抗が0.1 Ωのとき,a−b間の電圧[V]は。

令和4年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問7 の回路図
イ.102
ロ.103
ハ.104
ニ.105
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正解

ハ.104[V]
この問題は何を聞いているの?

3本の電線で電気を送る単相3線式の回路です。上と下に同じ10Aの抵抗負荷がつながっていて、電線1本ごとに0.1Ωの抵抗があります。上の負荷にかかる電圧(a−b間)を答える問題です。まん中の線に電流が流れるかどうかがカギになります。

用語単相3線式(1φ3W)とは?

単相3線式とは、3本の電線で、100Vと200Vの両方を取り出せるようにした方式のことです。多くの住宅で使われている方式です。この図では、上の線とまん中の線の間が105V、まん中と下の間も105V、上と下の間が210Vになっています。

なぜ?なぜ家庭で単相3線式が使われるのか?

照明やテレビなどの100Vの機械と、大きなエアコンやIHクッキングヒーターなどの200Vの機械を、同じ3本の線から使い分けられるからです。

用語中性線とは?

中性線とは、単相3線式のまん中の電線のことです。上の負荷の帰り道と、下の負荷の行き道を1本で兼ねています。

なぜ?なぜ上下の電流が同じだと、中性線には電流が流れないのか?

まん中の線では、上の負荷から戻る電流と、下の負荷へ向かう電流が、反対向きにぶつかるからです。どちらも10Aなら打ち消し合って10-10=0A。綱引きで両側が同じ力なら綱が動かないのと同じです。

中性線に電流が流れないので、中性線の0.1Ωでは電圧が下がりません。電圧が下がるのは、上の線と下の線だけです。

なぜ?なぜ上の線の電圧降下だけを引けばよいのか?

a−b間は上の線の先(a)と、中性線の先(b)の間だからです。電源の105Vから、上の線で下がる分と中性線で下がる分を引けば、a−b間の電圧になります。中性線の分は0Vなので、上の線の分だけを引けばよいのです。

手順1 中性線の電流 = 10 - 10 = 0A → 中性線で下がる電圧は 0 × 0.1 = 0V

手順2 上の線で下がる電圧 = 電流 × 抵抗 = 10 × 0.1 = 1V

手順3 a−b間の電圧 = 105 - 1 - 0 = 104V

よって答えはハの104Vです。

覚えるこの問題の覚え方

「上下が同じなら、まん中はお休み」と覚えましょう。上下の負荷の電流が等しいと中性線の電流は0Aになり、電圧も下がりません。105Vから外側の線1本分(10×0.1=1V)だけ引いて104Vです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.103 … 中性線にも10A流れると考えた人が選びやすい数字です。上の線で1V、中性線でも1V下がると考えると、105-2=103Vになります。上下が同じ10Aなら、中性線の電流は0Aです。

ニ.105 … 電線の抵抗を無視した人が選びやすい答えです。上の線の0.1Ωで1V下がる分を引き忘れています。

イ.102 … 誤りです。電圧が下がるのは上の線だけで、105-1=104Vになります。

問8

分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径2.0 mm の600V ビニル絶縁電線(軟銅線)2 本を収めて施設した場合,電線1 本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は30 ℃以下,電流減少係数は0.70 とする。

イ.19
ロ.24
ハ.27
ニ.35
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正解

ロ.24[A]
この問題は何を聞いているの?

金属の管の中に、直径2.0mmの電線を2本通したとき、電線1本に流してよい電流の上限は何Aかを答える問題です。「2.0mmの電線の許容電流」×「電流減少係数0.70」のかけ算1回で解けます。覚えておく数字は1つだけです。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

許容電流とは、その電線に流し続けてもよい電流の上限のことです。単位はA(アンペア)。直径2.0mmの600Vビニル絶縁電線なら、35Aとされています(周囲温度30℃以下のとき)。

なぜ?なぜ電線に流してよい電流の上限があるのか?

電線に電流が流れると、電線の抵抗のせいで熱が出るからです。電流が大きいほど熱も大きくなり、熱くなりすぎると電線を包むビニルが傷み、溶けたり燃えたりするおそれがあります。ビニルが耐えられる温度を超えないよう決めたのが許容電流です。

用語600Vビニル絶縁電線(IV)とは?

600Vビニル絶縁電線とは、銅の線のまわりをビニルで1重に包んだ電線のことです。略してIV(アイブイ)と呼ばれます。「軟銅線」は、やわらかく加工した銅の線という意味。

なぜ?なぜIV線は管の中に通して使うことが多いのか?

IV線はビニルの被覆が1重だけで、外からの傷に強くないからです。そのため、金属管などの中に通して守りながら配線するのが一般的とされます。

用語電流減少係数とは?

電流減少係数とは、管の中に電線を何本かまとめて入れたとき、許容電流を何倍に減らすかを表す数字のことです。この問題では0.70(7割)と書かれています。

なぜ?なぜ管の中に電線をまとめると、流せる電流が減るのか?

管の中では電線どうしが近く、出た熱が逃げにくいからです。1本だけで空気中にあるときより熱がこもりやすいので、流してよい電流を減らして温度が上がりすぎないようにします。満員電車の中が暑くなりやすいのと同じです。

例IV線の許容電流(周囲温度30℃以下)

直径1.6mm … 27A

直径2.0mm … 35A

直径2.6mm … 48A

手順1 直径2.0mmのIV線の許容電流 = 35A

手順2 管に入れたので電流減少係数をかける = 35 × 0.70 = 24.5A

手順3 選択肢のうち最も近い値 = 24A

なぜ?なぜ35×0.70が24.5になるのか?

0.70は「7割」のことなので、35の7割を求めます。35の1割は3.5、それを7つ分で3.5×7=24.5です。問題文の前書きに「選択肢が数値の場合は最も近い値を選ぶ」とあるので、24Aを選びます。

よって答えはロの24Aです。

覚えるこの問題の覚え方

「表の数字×係数」の1回だけです。IV線の許容電流は1.6mm=27A・2.0mm=35A・2.6mm=48Aの3つを覚えておきましょう。問題文に減少係数が書いてあれば、それをかけるだけ。直径の数字を見間違えないことと、係数をかけ忘れないことが大事です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.35 … 電流減少係数0.70をかけ忘れた人が選びやすい数字です。35Aは管に入れないときの値です。

ハ.27 … 直径1.6mmの許容電流と取り違え、さらに係数もかけなかった人が選びやすい数字です。

イ.19 … 直径1.6mmの27Aに0.70をかけた人が選びやすい数字です。27×0.70=18.9で約19Aになります。この問題の電線は2.0mmです。

問9

分野:配線設計(幹線の太さ)重要度 ★★★

図のように,三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合,幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値[A]は。
ただし,需要率は100%とする。

令和4年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問9 の配線図
イ.70
ロ.74
ハ.80
ニ.150
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正解

ハ.80[A]
この問題は何を聞いているの?

1本の幹線から、電動機(モーター)2台と電熱器2台に電気を配っています。この幹線に最低どれだけの電流を流せる太さが必要かを答える問題です。ただの足し算ではなく、モーターの分だけ多めに見積もる決まりを使います。

用語幹線(かんせん)とは?

幹線とは、電気の入口(引込口)から分電盤などへ電気を運ぶ太い電線のことです。木の幹から枝が分かれるように、幹線から各機械への電線(分岐回路)が分かれていきます。

なぜ?なぜ幹線の太さを計算で決めるのか?

幹線にはその先につながる機械全部の電流がまとめて流れるからです。細すぎると熱を持って危険なので、流れる電流に耐えられる太さを選ぶ必要があります。

用語図記号Ⓜ・Ⓗ・Bとは?

Ⓜは電動機(モーター)、Ⓗは電熱器を表す記号です。四角のBは配線用遮断器(ブレーカー:電流が流れすぎたとき自動で電気を止める装置)を表します。

なぜ?なぜモーターと電熱器を区別して描くのか?

このあと説明するように、モーターと電熱器では幹線の見積もり方が違うからです。図を見たら、まずⓂの電流の合計とⒽの電流の合計を別々に出しましょう。

用語需要率とは?

需要率とは、つながっている機械のうち、同時にどれだけの割合が使われるかを表す数字のことです。100%なら、全部が同時に動くと考えます。

なぜ?なぜ問題文で需要率100%と書いてあるのか?

全部の機械が同時に定格電流で動くとして計算しなさい、という意味だからです。割り引きをせずに、書かれた電流をそのまま合計に使ってよいことになります。

なぜ?なぜモーターの電流だけ多めに見積もるのか?

モーターは動き始めの瞬間に、ふだんより大きな電流が流れる性質があるからです。ふだんの電流ちょうどの太さだと余裕がありません。そこで、モーターの電流の合計が電熱器などの合計より大きいときは、モーターの分に1.25倍(50Aを超えるときは1.1倍)をかけて見積もる決まりになっています。

例幹線の太さを決める電流の求め方

モーターの合計 ≦ 電熱器などの合計 … そのまま足す

モーターの合計 > 電熱器などの合計、かつモーターの合計が50A以下 … モーター×1.25 + 電熱器など

モーターの合計 > 電熱器などの合計、かつモーターの合計が50A超 … モーター×1.1 + 電熱器など

手順1 モーターの合計 = 10 + 30 = 40A

手順2 電熱器の合計 = 15 + 15 = 30A

手順3 モーター40A > 電熱器30A で、モーターの合計は50A以下 → 1.25倍を使う

手順4 モーター分 = 40 × 1.25 = 50A

手順5 幹線の太さを決める電流 = 50 + 30 = 80A

なぜ?なぜ40×1.25が50になるのか?

1.25は「1と4分の1」のことです。40の4分の1は10なので、40+10=50。小数のかけ算が苦手なら、「4分の1を足す」と考えると暗算しやすくなります。

よって答えはハの80Aです。

覚えるこの問題の覚え方

「ⓂとⒽを別々に足して、比べる」が出発点です。Ⓜのほうが大きければⓂに1.25倍(Ⓜが50Aを超えるなら1.1倍)、Ⓗはそのまま足します。モーターは動き始めに大食いなので、その分だけ余裕を持たせる、と理由とセットで覚えましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.70 … 全部をそのまま足した人が選びやすい数字です。10+30+15+15=70Aになります。モーターの合計が電熱器より大きいので、1.25倍が必要です。

ロ.74 … 50Aを超えるときの1.1倍を使った人が選びやすい数字です。40×1.1+30=74Aになります。モーターの合計は40Aで50A以下なので、1.25倍を使います。

ニ.150 … 誤りです。モーター分40×1.25=50Aに電熱器の30Aを足すと80Aになります。

問10

分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★

低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは3 m,配線用遮断器からコンセントまでは8 mとし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

令和4年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問10 の選択肢(4つの分岐回路の図)
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正解

ニ.20A遮断器・2.0mm・20Aコンセント2個
この問題は何を聞いているの?

家の中の配線で、ブレーカー(配線用遮断器)の大きさ・電線の太さ・コンセントの大きさの3つの組み合わせのうち、決まりに合っているものを選ぶ問題です。計算はありません。20Aと30Aの2つの組み合わせ表を知っていれば解けます。

用語分岐回路とは?

分岐回路とは、分電盤から枝分かれして、コンセントや照明まで電気を届ける電線のひとまとまりのことです。1つの分岐回路ごとに、1つのブレーカーがついています。

なぜ?なぜ分岐回路ごとにブレーカーをつけるのか?

1か所で電流が流れすぎたとき、その回路だけを止めて、ほかの部屋の電気は使えるようにするためです。家全体の電気が一度に止まると不便なうえ、どこで問題が起きたかも分かりにくくなります。

用語配線用遮断器(B)とは?

配線用遮断器とは、決められた大きさを超える電流が流れたとき、自動で電気を止める装置のことです。いわゆるブレーカーで、図では四角のBで表します。横の「20A」「30A」が、その遮断器の大きさ(定格電流)です。

なぜ?なぜ遮断器の大きさで電線の太さが決まるのか?

遮断器はその大きさまでの電流は止めずに流してしまうからです。30Aの遮断器なら、電線に30A近く流れても止まりません。だから電線は、遮断器の大きさに耐えられる太さにしておく必要があります。

用語コンセントの定格電流とは?

コンセントの定格電流とは、そのコンセントに流してよい電流の上限のことです。家庭用の一般的なコンセントは15Aのものが多く、20A・30Aのものもあります。

なぜ?なぜコンセントは大きすぎても小さすぎても使えないのか?

遮断器より大きいコンセントだと、差し込んだ機械が使いたい電流を遮断器が止めてしまい、コンセントの能力を生かせません。遮断器より小さすぎるコンセントだと、コンセントの上限を超えても遮断器が止めてくれないので、コンセントが熱くなるおそれがあります。

例分岐回路の組み合わせ(配線用遮断器)

20Aの配線用遮断器 … 電線は直径1.6mm以上/コンセントは20A以下(15A・20A)

30Aの配線用遮断器 … 電線は直径2.6mm(断面積5.5mm²)以上/コンセントは20A以上30A以下

問題文の「分岐点から配線用遮断器までは3m」は、遮断器を幹線から分かれてすぐの場所(3m以内)につけているので、ここは決まりに合っている、という前提を示しています。だから遮断器・電線・コンセントの組み合わせだけを見ればよいのです。

4つの選択肢を表に当てはめる

手順1 イ 30A遮断器・3.5mm²・30Aコンセント1個 → 30Aには5.5mm²以上が必要。3.5mm²では細すぎる(×)

手順2 ロ 20A遮断器・2.0mm・30Aコンセント1個 → 20A回路のコンセントは20A以下。30Aは大きすぎる(×)

手順3 ハ 30A遮断器・2.6mm・15Aコンセント2個 → 30A回路のコンセントは20A以上。15Aは小さすぎる(×)

手順4 ニ 20A遮断器・2.0mm・20Aコンセント2個 → 電線1.6mm以上OK、コンセント20A以下OK(○)

なぜ?なぜ2.0mmの電線を20A回路に使ってよいのか?

20A回路の決まりは「1.6mm以上」だからです。「以上」なので、1.6mmより太い2.0mmは問題なく使えます。太い電線ほど流せる電流は大きいので、安全側になるのです。

なぜ?なぜ3.5mm²の電線は30A回路に使えないのか?

30A回路の決まりは「2.6mm(5.5mm²)以上」だからです。3.5mm²は断面積で比べると5.5mm²より小さく、直径2.0mmとほぼ同じ太さ。30Aの遮断器と組み合わせるには細すぎます。

よって答えはニです。

覚えるこの問題の覚え方

20A=1.6mm・コンセント20Aまで、30A=2.6mm(5.5mm²)・コンセント20〜30Aの2行を覚えましょう。選択肢を見るときは「電線は細すぎないか」「コンセントは大きすぎ・小さすぎないか」の2点を順にチェックすると、迷わず選べます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ … 誤りです。遮断器とコンセントは30A同士で合っていますが、30A回路の電線は5.5mm²以上が必要で、3.5mm²は細すぎます。

ハ … 誤りです。電線の2.6mmは合っていますが、30A回路のコンセントは20A以上が必要で、15Aでは小さすぎます。

ロ … 誤りです。20A回路に30Aのコンセントはつけられません。

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この記事のまとめ

問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。

まとめこの10問で持ち帰ること

問1 回路の電圧 … 閉じたスイッチの横の抵抗と、行き止まりの先の抵抗を消す。30Ωが2つの直列で100Vを半分ずつ=50V

問2 抵抗率 … 長さLは上、断面積πD²÷4は下。Dは2乗。mm²をm²に直して×10⁶

問3 熱量 … 2÷0.2=10A、2×10=20W、×3,600秒=72,000J=72kJ

問4 コイルと周波数 … 周波数が1.2倍になるとコイルは1.2倍流れにくい。6÷1.2=5A

問5 三相の消費電力 … Δなら1辺に200V。6・8・10で10Ω、20A。電力は8Ωだけで20²×8×3=9.6kW

問6 電圧降下 … 電源に近い区間ほど電流が大きい(30A・20A・10A)。行き帰り0.2Ωで6+4+2=12V

問7 単相3線式 … 上下が同じ10Aなら中性線は0A。105-1=104V

問8 許容電流 … 2.0mm=35A。管に入れたら×0.70で24.5→24A

問9 幹線の太さ … Ⓜ40A>Ⓗ30A、Ⓜは50A以下なので40×1.25+30=80A

問10 分岐回路 … 20A=1.6mm・コンセント20Aまで、30A=2.6mm(5.5mm²)・コンセント20〜30A

この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流²×抵抗)の2本でした。これにインピーダンスや抵抗率の式が加わり、残りは暗記した表に当てはめるか、図から電流の流れ方を読み取るかです。式を増やすより、この2本の使い方に慣れるほうが近道になるでしょう。

出典

令和4年度上期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

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材料と器具(リングレジューサ・CVケーブルの最高許容温度・工具・スターデルタ始動・力率・写真の見分け)

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図記号と数字もの(工事方法・図記号・接地工事・電線管・小勢力回路・電線本数・絶縁抵抗)

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用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

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電圧・電流・抵抗のきほんから

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電力・電力量・熱量

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配線方式のちがい

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スイッチ・コンセント・照明の記号

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幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

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「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する