第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和2年度 下期・午前(2020年10月4日実施)の問1〜10です。

問1〜問10には計算問題と配線の決まりがまとまって出てきます。数字や式が並ぶと身構えてしまいますが、土台になるのはオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力の式が中心です。この記事では、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ言葉で書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和2年度下期第二種電気工事士試験(午前)

問1

分野:電気の基礎(合成抵抗と電流)重要度 ★★★

図のような直流回路に流れる電流I[A]は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問1 の回路図
イ.1
ロ.2
ハ.4
ニ.8
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正解

ハ.4[A]
この問題は何を聞いているの?

左はしの16Vの電池から出ていく電流Iが何Aになるかを聞いています。抵抗が5つ、はしごのように組み合わさっているので複雑に見えますが、右はしから順番に1つずつまとめていけば、最後は「16V÷○Ω」という1回のわり算で答えが出る問題です。まず、出てくる言葉を確かめましょう。

用語直流(ちょくりゅう)とは?

いつも同じ向きに流れる電気のことです。乾電池や自動車のバッテリーの電気は直流です。図の左にある長い線と短い線を組み合わせた記号が電池で、16Vの力で電気を押し出しています。

なぜ?なぜ「直流」とわざわざ書いてあるのか?

コンセントの電気は向きが1秒間に100回以上も入れかわる「交流」で、交流では抵抗以外の部品が電流の流れ方に影響することがあるからです。直流で抵抗だけの回路なら、オームの法則だけで計算できるという合図になっています。

用語電流[A]とは?

電線の中を流れる電気の量のことです。単位はA(アンペア)。図の「I[A]」と上向きの矢印が、電池から出ていく電流を表しています。

なぜ?なぜ電流を水の流れに例えるのか?

電池をポンプ、電線を水道管だと思うと、管の中を1秒間に流れる水の量が電流にあたるからです。ポンプの力(電圧)が強いほど、また管が通りやすい(抵抗が小さい)ほど、たくさん流れます。

用語抵抗[Ω]とは?

電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど流れにくくなるのが特徴です。図の細長い長方形が抵抗で、横向きの2Ωが2つ、縦向きの4Ωが3つあります。

なぜ?なぜ電気に「流れにくさ」があるのか?

ホースの中にスポンジが詰まっていると水が通りにくいのと同じで、電線や部品の中にも電気の通り道を邪魔するものがあるからです。その邪魔の度合いを数字にしたものが抵抗です。

用語オームの法則とは?

電圧=電流×抵抗(V=I×R)という関係のことです。電流を知りたいときは電流=電圧÷抵抗の形にして使います。

なぜ?なぜ「電圧÷抵抗」で電流が出るのか?

押す力(電圧)が大きいほど電流は増え、流れにくさ(抵抗)が大きいほど電流は減るからです。例えば10Vを5Ωにかけると、10÷5=2A流れます。

2つのつなぎ方「直列」と「並列」を区別する

抵抗のまとめ方は、つなぎ方によって計算が変わります。この回路には2種類のつなぎ方が混ざっているので、先に見分け方を押さえておきましょう。

用語直列(ちょくれつ)とは?

部品が1本道に並んでつながっている形のことです。直列の抵抗はそのまま足し算します。2Ωと4Ωが直列なら、2+4=6Ωです。

なぜ?なぜ直列だと抵抗が足し算になるのか?

1本道なので、電気はどちらの邪魔も順番に受けるからです。スポンジを2個続けて詰めたホースは、1個のときより通りにくくなります。

用語並列(へいれつ)とは?

部品が横に並んで、同じ2つの点をつないでいる形のことです。道が枝分かれして、また合流する形とも言えます。同じ大きさの抵抗2つが並列なら、まとめると半分になります(4Ωと4Ωなら2Ω)。

なぜ?なぜ並列にすると抵抗が小さくなるのか?

電気の通り道が2本に増えるからです。改札口が1つの駅より2つの駅のほうが人がスムーズに通れるのと同じで、道が増えるほど全体としては流れやすくなります。

コツ大きさがちがう2つの並列は「かけ算÷足し算」

並列の2つの抵抗をまとめるときは、(A×B)÷(A+B)で計算できます。例えば6Ωと3Ωなら、(6×3)÷(6+3)=18÷9=2Ωです。同じ大きさどうし(4Ωと4Ω)なら、(4×4)÷(4+4)=16÷8=2Ωで、ちょうど半分になります。

右はしから順番にまとめていく

図を見ると、上の線に黒い点(線どうしがつながっている所)が2つあります。左から「点①」「点②」と呼ぶことにしましょう。いちばん電池から遠い右はしの部分からまとめていくのが、この形の回路を解くときの定番の順番です。

なぜ?なぜ電池から遠い右はしから始めるのか?

右はしはそれ以上先に何もつながっていないので、そこだけを切り取ってまとめられるからです。左から始めると、先の部分がまだ分からないまま計算することになり、途中で行き詰まってしまいます。

点②の右側には、まん中の縦の4Ωと、右はしの縦の4Ωがあります。どちらも上の線と下の線を結んでいるので、この2つは並列です。

手順1 点②より右:4Ωと4Ωの並列 → 4 ÷ 2 = 2Ω

手順2 その手前にある横の2Ωと直列 → 2 + 2 = 4Ω(点①から右を見た抵抗)

手順3 点①では、左の縦の4Ωと「点①から右の4Ω」が並列 → 4 ÷ 2 = 2Ω

手順4 いちばん左の横の2Ωと直列 → 2 + 2 = 4Ω(回路全体の合成抵抗)

手順5 電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 16 ÷ 4 = 4A

よって答えはハの4Aです。

用語合成抵抗(ごうせいていこう)とは?

いくつもの抵抗を、同じ働きをする1つの抵抗に置きかえたときの値のことです。この問題では、5つの抵抗全部が4Ωの抵抗1個と同じ働きをしていることになります。

なぜ?なぜ合成抵抗を出してから電流を求めるのか?

オームの法則は電池1つ・抵抗1つの形にすると、1回のわり算で使えるからです。複雑な回路も、まとめてしまえば「16Vの電池に4Ωが1個」という単純な形になります。

覚えるこの問題の覚え方

「はしご形の回路は、電池から遠い右はしから、並列→直列→並列→直列の順にたたむ」。同じ数字が並ぶ問題では、たたむたびに4Ω→2Ω→4Ω→2Ωと数字がくり返し出てくることがあり、それが計算ミスに気づく手がかりにもなります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.1 … 5つの抵抗を全部1本道(直列)と考えて足してしまった人が選ぶ数字です。2+2+4+4+4=16Ωとすると、16÷16=1Aになります。

ロ.2 … 縦の4Ωを右はしの1本だけ数えて、左とまん中の縦の4Ωを無視した人が選ぶ数字です。2+2+4=8Ωとすると、16÷8=2Aになります。

ニ.8 … いちばん左の横の2Ωを足し忘れた人が選ぶ数字です。手順3の2Ωで止めてしまうと、16÷2=8Aになります。

問2

分野:電気の基礎(電線の抵抗)重要度 ★★★

A,B 2 本の同材質の銅線がある。A は直径 1.6 mm,長さ 20 m,B は直径 3.2 mm,長さ 40 m である。A の抵抗は B の抵抗の何倍か。

イ.2
ロ.3
ハ.4
ニ.5
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正解

イ.2[倍]
この問題は何を聞いているの?

材料が同じ銅線AとBの太さと長さが分かっているとき、Aの抵抗はBの何倍になるかを聞いています。抵抗そのものの値は出さなくてよく、「太さで何倍」「長さで何倍」を別々に出してかけ合わせるだけで解ける問題です。

用語同材質(どうざいしつ)とは?

同じ材料でできているという意味です。この問題では、AもBも同じ銅でできています。

なぜ?なぜ「同材質」と書いてあるのか?

電線の抵抗は、材料・長さ・太さの3つで決まるからです。材料が同じなら、材料の影響はAとBで打ち消し合い、長さと太さの比べっこだけで答えが出せます。

用語直径(ちょっけい)とは?

円の端から端まで、まん中を通って測った長さのことです。電線の「1.6mm」「3.2mm」は、銅の部分を輪切りにしたときの丸の直径を表しています。

なぜ?なぜ電線の太さを直径で表すのか?

1本の銅の棒でできた電線(単線)は切り口がきれいな円なので、直径を測れば太さがひと目で分かるからです。家の配線でよく使われる1.6mmや2.0mmも、この直径の値です。

電線の抵抗は「長いほど大きく、太いほど小さい」

電線の抵抗は、長さに比例し、断面積に反比例します。式で書くと抵抗 = 抵抗率 × 長さ ÷ 断面積です。

用語比例・反比例とは?

比例は、片方が2倍になるともう片方も2倍になる関係です。反比例は、片方が2倍になるともう片方は半分になる関係を指します。

なぜ?なぜ長いと抵抗が大きく、太いと小さくなるのか?

水道のホースで考えてみましょう。長いホースほど水は通りにくく、太いホースほどたくさん流れます。電気も同じで、道が長いと邪魔が増え、道が広いと邪魔が減るのです。

用語断面積(だんめんせき)とは?

電線を輪切りにしたときの、切り口の面積のことです。切り口は円なので、直径×直径×π÷4で求められます(πは円周率で約3.14)。

なぜ?なぜ直径が2倍になると断面積は4倍になるのか?

面積はたて×よこのように、長さを2回かけて出すからです。直径が2倍なら、2×2=4倍になります。1辺2cmの正方形の中には、1辺1cmの正方形が4つ入るのと同じです。

「太さ」と「長さ」を別々に比べる

手順1 直径を比べる → Aは1.6mm、Bは3.2mm。Bの直径はAの2倍

手順2 断面積を比べる → 直径が2倍なので、Bの断面積はAの2×2=4倍

手順3 太さだけで比べた抵抗 → 断面積が4倍のBは抵抗が4分の1。つまりAの抵抗はBの4倍

手順4 長さを比べる → Aは20m、Bは40m。Aの長さはBの半分なので、長さだけで比べるとAの抵抗はBの半分

手順5 2つを合わせる → 4 × 0.5 = 2倍

よって答えはイの2倍です。

例式で確かめると

抵抗=抵抗率×長さ÷断面積 なので、共通の「抵抗率」と「π÷4」を省いて、長さ÷(直径×直径)を比べればOKです。Aは 20÷(1.6×1.6)=20÷2.56、Bは 40÷(3.2×3.2)=40÷10.24。A÷B =(20÷2.56)÷(40÷10.24)= 7.8125 ÷ 3.90625 = 2 と、同じ答えになります。

なぜ?なぜ抵抗率やπを省いてよいのか?

AとBの両方に同じ数がかかっているからです。「何倍か」を聞かれているときは、両方に共通する数はわり算で消えてしまいます。100円の2倍は200円、1万円の2倍は2万円で、何倍かという答えは変わりません。

覚えるこの問題の覚え方

「直径は2乗で効く、長さはそのまま効く」。直径が2倍なら抵抗は4分の1、長さが2倍なら抵抗は2倍です。太さと長さを別々に何倍か出して、最後にかけ合わせると、ミスが少なくなります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.4 … 長さのちがいを考え忘れた人が選ぶ数字です。太さだけで比べるとAの抵抗はBの4倍ですが、Aは長さが半分なので、さらに半分にする必要があります。

ロ.3 … 誤りです。直径の比(2倍)を2乗して4倍、長さの比で半分、と順に当てはめれば2倍になります。

ニ.5 … 誤りです。「直径は2乗」「長さはそのまま」の2点を確かめましょう。

問3

分野:電気の基礎(発熱量)重要度 ★★★

電線の接続不良により,接続点の接触抵抗が 0.2 Ωとなった。この電線に 15 A の電流が流れると,接続点から 1 時間に発生する熱量[kJ]は。
ただし,接触抵抗の値は変化しないものとする。

イ.11
ロ.45
ハ.72
ニ.162
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正解

ニ.162[kJ]
この問題は何を聞いているの?

電線のつなぎ目がうまくつながっておらず、そこに0.2Ωの抵抗ができてしまったとき、15Aの電流を1時間流すとつなぎ目からどれだけの熱が出るかを聞いています。「電力を出す→時間をかける→単位を直す」の3段で解ける問題です。

用語接続不良(せつぞくふりょう)とは?

電線と電線、電線と器具のつなぎ目が、しっかりつながっていない状態のことです。ねじのゆるみや、電線の差し込み不足などで起こります。

なぜ?なぜ接続不良が問題になるのか?

つなぎ目の接触が悪いと、そこだけ電気が通りにくくなり、熱が出るからです。熱が長く続くと、周りの絶縁物(電気を通さないカバー)が傷んだり、最悪の場合は火災の原因になったりします。

用語接触抵抗(せっしょくていこう)とは?

つなぎ目の部分にできる抵抗のことです。この問題では、接続不良のせいでつなぎ目に0.2Ωの抵抗ができたという設定になっています。

なぜ?なぜつなぎ目に抵抗が生まれるのか?

金属どうしが点でしか触れていないと、電気の通り道がとても狭くなるからです。広い道路が1車線にしぼられると渋滞が起きるように、狭い所を電気が無理に通ると、その分だけ通りにくくなります。

用語熱量(ねつりょう)とは?

発生した熱の量のことです。単位はJ(ジュール)で、1000J=1kJ(キロジュール)になります。

なぜ?なぜ電気が流れると熱が出るのか?

電気が抵抗を通るとき、邪魔されて失ったエネルギーが熱に変わるからです。電気ストーブやドライヤーは、この性質をわざと利用して熱を作っています。

ステップ1:つなぎ目で使われる電力を出す

用語電力[W]とは?

1秒あたりに電気が行う仕事(ここでは熱を出す量)のことです。単位はW(ワット)。抵抗で使われる電力は電流×電流×抵抗で求められます。

なぜ?なぜ電力は「電流×電流×抵抗」になるのか?

電力の基本の式は電圧×電流で、抵抗にかかる電圧は(オームの法則より)電流×抵抗だからです。2つを組み合わせると、(電流×抵抗)×電流=電流×電流×抵抗になります。

15Aと0.2Ωを当てはめると、15×15×0.2=225×0.2=45Wです。つなぎ目が、45Wの小さな電熱器と同じくらいの熱を出し続けていることになります。

ステップ2:1時間を秒に直してかける

用語W(ワット)とJ(ジュール)の関係

1Wの電力を1秒間使うと1Jの熱になります。つまり熱量[J]=電力[W]×時間[秒]です。

なぜ?なぜ時間を「秒」に直さないといけないのか?

Wは1秒あたりの量なので、かけ合わせる時間も秒でなければJにならないからです。1時間のまま「45×1」としても、Jの値にはなりません。

手順1 電力 = 15 × 15 × 0.2 = 45W

手順2 1時間を秒に直す → 60分 × 60秒 = 3600秒

手順3 熱量 = 45 × 3600 = 162 000J

手順4 kJに直す → 162 000 ÷ 1000 = 162kJ

よって答えはニの162kJです。

コツ「W×時間」の時間の単位で答えの単位が決まる

電力に秒をかけるとJ、時間をかけるとWh(ワット時)になります。この問題の45Wを1時間なら45Whです。1Wh=3600Jという関係も、あわせて覚えておくと便利です(45Wh×3600=162 000J)。

覚えるこの問題の覚え方

「熱量=電流×電流×抵抗×秒」。電流は2回かける、時間は秒に直す、最後に1000で割ってkJ。この3つの確認ポイントを順番に思い出しましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.45 … 電力(45W)を出したところで止めてしまった人が選ぶ数字です。熱量にするには、時間(3600秒)をかける必要があります。

イ.11 … 電流を1回しかかけなかった人が選ぶ数字です。15×0.2×3600=10 800J=約10.8kJとなり、いちばん近い11を選んでしまいます。

ハ.72 … 誤りです。電流は2回かける、時間は秒に直す、の2点を確かめましょう。

問4

分野:電気の基礎(交流回路の力率)重要度 ★★☆

図のような交流回路の力率[%]を示す式は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問4 の回路図
令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問4 の選択肢(4つの式)
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正解

ロ.100R ÷ √(R²+X²)
この問題は何を聞いているの?

抵抗RとコイルXを1本道(直列)につないだ交流回路で、「力率」を%で表す式はどれかという問題です。数字は出てこないので、力率とは何か、インピーダンスとは何かが分かれば、4つの式から正しいものを選べます。

用語交流(こうりゅう)とは?

電気の流れる向きが、行ったり来たりをくり返す電気のことです。家庭用コンセントの電気は交流で、東日本では1秒間に50回、西日本では60回、行き来の波がくり返されます(向きが入れかわる回数はその2倍です)。図の左の丸の中に波の記号(~)があるのが交流電源です。

なぜ?なぜ交流ではコイルが関係してくるのか?

コイルには電流の変化をきらう性質があるからです。直流のように流れが一定ならコイルはただの電線と同じですが、交流は向きが変わり続けるので、コイルが流れを邪魔するようになります。

用語リアクタンス[Ω]とは?

コイルなどが交流の流れを邪魔する度合いのことです。単位は抵抗と同じΩ。図のぐるぐる巻きの記号がコイルで、その邪魔の大きさをX[Ω]と書いています。

なぜ?なぜ抵抗とリアクタンスを区別するのか?

抵抗は電気を熱に変えて使うのに対し、コイルのリアクタンスは電気をためては返すだけで、使わないからです。同じΩでも働きがちがうので、別の名前で呼び分けます。

用語インピーダンス[Ω]とは?

抵抗とリアクタンスを合わせた、交流回路全体の流れにくさのことです。記号はZ。抵抗RとリアクタンスXが直列なら、Z=√(R²+X²)で求めます。

なぜ?なぜR+Xと足し算にしないのか?

抵抗とコイルでは、電圧がかかるタイミングが4分の1周期ずれるからです。ずれた2つは、直角三角形のたてとよこのような関係になります。そのため合計は、ななめの辺の長さ(三平方の定理)=√(R²+X²)で求めるのです。例えばR=3Ω、X=4Ωなら、Z=√(9+16)=√25=5Ωで、3+4=7Ωにはなりません。

用語√(ルート)とは?

2回かけるとその数になる数を表す記号です。√25は、5×5=25なので5。√9は3×3=9なので3です。

なぜ?なぜインピーダンスの式に√が出てくるのか?

直角三角形のななめの辺は、たての2乗+よこの2乗=ななめの2乗という関係(三平方の定理)で決まるからです。ななめの辺そのものを出すには、2乗をもとに戻す√が必要になります。

力率は「抵抗÷インピーダンス」

用語力率(りきりつ)とは?

電源から送られた電気のうち、実際に仕事(熱や動力)に使われる割合のことです。直列の回路では力率=R÷Zで求めます。%で表すときは、これに100をかけた値です。

なぜ?なぜ力率はRをZで割るのか?

回路全体の流れにくさZのうち、電気を本当に使っている(熱に変えている)のは抵抗Rの部分だけだからです。Xの部分はためて返すだけなので、仕事には数えません。上の例(R=3Ω、Z=5Ω)なら、力率は3÷5=0.6、つまり60%です。

手順1 インピーダンスを書く → Z = √(R² + X²)

手順2 力率は抵抗÷インピーダンス → R ÷ √(R² + X²)

手順3 %にするため100をかける → 100R ÷ √(R² + X²)

分子が100R、分母が√(R²+X²)になっているのはロです。よって答えはロです。

覚えるこの問題の覚え方

「力率は R が上、Z が下」。そして「Z は √(R²+X²)。足し算だけにはしない」。分子にXが来ている式や、分母がR+Xの式は、この2点で消せます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.100X÷√(R²+X²) … 分子に抵抗RではなくリアクタンスXを入れてしまった人が選ぶ式です。仕事に使われるのは抵抗の部分なので、分子はRになります。

ニ.100R÷(R+X) … インピーダンスをR+Xと単純に足してしまった人が選ぶ式です。交流では抵抗とリアクタンスはずれているので、√(R²+X²)で合わせます。

イ.100RX÷(R²+X²) … 誤りです。分子にXが入っている時点で、力率の式ではありません。

問5

分野:電気の基礎(三相誘導電動機の力率)重要度 ★★☆

定格電圧 V[V],定格電流 I[A]の三相誘導電動機を定格状態で時間 t[h]の間,連続運転したところ,消費電力量が W[kW・h]であった。この電動機の力率[%]を表す式は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問5 の選択肢(4つの式)
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正解

ニ.W ÷ (√3VIt)× 10⁵
この問題は何を聞いているの?

三相のモーターを決められた条件でt時間動かしたら、W[kW・h]の電気を使った。このときモーターの力率を%で表す式はどれかを聞いています。「三相の電力の式」と「電力量=電力×時間」の2つを組み合わせ、kWをWに直すのがポイントです。

用語三相誘導電動機(さんそうゆうどうでんどうき)とは?

三相交流で回るモーターのことです。工場のポンプや送風機、ビルの空調などで広く使われています。

なぜ?なぜ工場では三相のモーターが多いのか?

三相交流は3本の電線で、少しずつタイミングをずらした3つの交流を送る方式で、モーターをなめらかに、力強く回しやすいからです。同じ太さの電線で、より多くの電力を送れる利点もあります。

用語定格(ていかく)とは?

その機械を安全に使い続けられるように、メーカーが決めた使用条件のことです。「定格電圧V」「定格電流I」は、その電圧をかけたときに流れる決められた電流を表します。

なぜ?なぜ「定格状態で運転」と書いてあるのか?

電圧も電流もずっとVとIのまま一定だったと言いたいからです。途中で電流が変わると計算できないので、条件をそろえています。

用語電力量[kW・h]とは?

電力×使った時間のことです。単位のkW・h(キロワット時)は、1kWの電力を1時間使ったときの量を表します。電気料金の明細に出てくる「○kWh」と同じものです。

なぜ?なぜ電力と電力量を区別するのか?

電力はその瞬間の勢い、電力量は使った合計だからです。車でいえば、電力が「時速」、電力量が「走った距離」にあたります。

三相の電力の式を思い出す

用語三相の消費電力の式

三相交流の消費電力は電力[W]=√3 × 電圧 × 電流 × 力率で求めます。√3は約1.73です。

なぜ?なぜ三相の電力の式に√3が出てくるのか?

三相では、電線どうしの間の電圧(線間電圧)や電線を流れる電流と、1つ1つの負荷にかかる電圧や流れる電流のあいだに、つなぎ方によって√3倍の関係が出てくるからです。その結果、3つ分の電力を合計すると、線間電圧と線電流を使って√3×電圧×電流×力率という形にまとまります。試験では、この式を形ごと覚えておけば十分です。

「電力量=電力×時間」と組み合わせる

電力量W[kW・h]は電力×時間なので、電力=W÷t[kW]です。ここで単位に注意しましょう。三相の電力の式はW(ワット)の世界、WはkWの世界の数字です。

コツkWをWに直すには1000(10³)をかける

1kW=1000Wなので、kWの数字に1000をかけるとWになります。1000は10³(10を3回かけた数)とも書く決まりです。例えば2kWなら、2×1000=2000Wです。

手順1 電動機の電力[kW] → W ÷ t

手順2 Wに直す → W × 10³ ÷ t [W]

手順3 三相の電力の式に入れる → W × 10³ ÷ t = √3 × V × I × 力率

手順4 力率について解く → 力率 = W × 10³ ÷ (√3VIt)

手順5 %にするため100(10²)をかける → W × 10³ × 10² ÷ (√3VIt) = W ÷ (√3VIt)× 10⁵

なぜ?なぜ10³と10²をかけると10⁵になるのか?

10³は10を3回、10²は10を2回かけた数なので、合わせると10を5回かけた数になるからです。1000×100=100 000=10⁵ です。

分子がW、分母が√3VIt、最後に×10⁵となっているのはニです。よって答えはニです。

例数字を入れて確かめると

電圧200V、電流10A、力率80%の三相モーターなら、電力は1.73×200×10×0.8=2768W(約2.77kW)です。2時間動かすとWは約5.536kW・h。これをニの式に入れると、5.536÷(1.73×200×10×2)×10⁵=5.536÷6920×100 000=約80%となり、元の力率に戻ります。

覚えるこの問題の覚え方

「三相は√3、kWは×10³、%は×10²」。3つの数字の出どころが分かれば、10⁵がどこから来たのかも迷いません。力率は使った電力が上(分子)、√3VI×時間が下(分母)です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.W÷(3VIt)×10⁵ … 三相の電力の式の√3を、3と取りちがえた人が選ぶ式です。三相の電力は√3×電圧×電流×力率です。

ロ.√3VI÷(Wt)×10⁵ … 分子と分母を逆にしてしまった人が選ぶ式です。力率は「実際に使った電力÷√3VI」なので、Wが分子に来ます。

ハ.3VI÷W×10⁵ … 誤りです。分子と分母が逆で、√3も3になり、時間tも入っていません。

問6

分野:配電理論(三相3線式の電力損失)重要度 ★★★

図のような三相3線式回路において,電線 1 線当たりの抵抗が r[Ω],線電流が I[A]のとき,この電線路の電力損失[W]を示す式は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問6 の回路図
イ.√3I²r
ロ.3Ir
ハ.3I²r
ニ.√3Ir
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正解

ハ.3I²r
この問題は何を聞いているの?

三相の電源から負荷まで、3本の電線で電気を送る回路です。1本の電線にはr[Ω]の抵抗があり、I[A]の電流が流れているとき、3本の電線で熱になって失われる電力の合計を表す式を聞いています。「1本分を出して、本数をかける」だけで解ける問題です。

用語三相3線式(さんそうさんせんしき)とは?

三相交流を3本の電線で送る方式のことです。図の左の「3φ3W」は、3φ(さんそう)=三相、3W(スリーワイヤー)=3本の線という意味の略号です。工場や店舗の動力用の電気で使われます。

なぜ?なぜ「3φ3W」のような書き方をするのか?

図面に配線の方式を短く書くためです。φ(ファイ)の前の数字が相の数、W(Wire:ワイヤー=電線)の前の数字が電線の本数を表します。「1φ3W」なら単相3線式、「3φ3W」なら三相3線式です。

用語線電流(せんでんりゅう)とは?

電源と負荷を結ぶ電線1本1本を流れる電流のことです。図では3本の線それぞれに「I[A]」の矢印が描かれていて、どの線にも同じIが流れていることが分かります。

なぜ?なぜ「線」電流とわざわざ呼ぶのか?

三相では、電線を流れる電流と、負荷の中の1つ1つの抵抗を流れる電流が、つなぎ方によってちがう値になることがあるからです。この問題で使うのは電線を流れる電流=線電流のほうです。

用語電力損失(でんりょくそんしつ)とは?

電線の抵抗のせいで、電気が熱になって失われる分のことです。届けたい負荷に着く前に、電線の途中で消えてしまう電力を指します。1本の電線の損失は電流×電流×抵抗=I²rです。

なぜ?なぜ電線で電力が失われるのか?

電線の銅にもわずかな抵抗があり、電流が流れると電線そのものが少し温まるからです。その熱は負荷の仕事には使われないので、「損失」と呼ばれます。

用語抵抗負荷(ていこうふか)とは?

電気を使う側の機器のうち、抵抗だけでできているもののことです。電熱器のような機器をイメージしてください。図の点線で囲まれた三角形に並んだ3つの抵抗がこれにあたります。

なぜ?なぜ負荷が三角形(Δ)につながっていても計算に関係しないのか?

この問題で聞いているのは電線での損失だけで、使う数字は電線の抵抗rと、電線を流れるIの2つだからです。負荷の中がどうつながっていても、電線を流れる電流がIと決まっていれば、電線の損失は変わりません。

手順1 電線1本の損失 → 電流 × 電流 × 抵抗 = I²r

手順2 電線は3本で、どれにも同じIが流れている

手順3 3本分の合計 → I²r × 3 = 3I²r

よって答えはハの3I²rです。

例数字を入れると

線電流が10A、電線1本の抵抗が0.1Ωなら、1本の損失は10×10×0.1=10W。3本で30Wです。式3I²rに入れても、3×10×10×0.1=30Wと同じになります。

なぜ?なぜ三相なのに√3を使わないのか?

√3が出てくるのは、電線どうしの間の電圧(線間電圧)を使う計算だからです。電線の損失は1本ずつの「電流×電流×抵抗」を足すだけなので、電圧は出てきません。本数の3をそのままかけると覚えましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「電力損失は、1本分(I²r)×本数」。単相2線式なら×2、三相3線式なら×3です。電流は必ず2乗、√3は使わないの2点を確かめれば、選択肢は1つにしぼれます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.√3I²r … 「三相なら√3」と思い込んだ人が選ぶ式です。電線の損失は本数分を足すので、√3ではなく3をかけます。

ロ.3Ir … 電流を2乗し忘れた人が選ぶ式です。I×rは電圧(電圧降下)を表すので、単位がWになりません。

ニ.√3Ir … 三相3線式の「電圧降下」の式と取りちがえた人が選ぶ式です。電線で下がる電圧(V)は√3Irで求めますが、聞かれているのは電力(W)の損失です。

問7

分野:配電理論(単相3線式の電力損失)重要度 ★★★

図のような単相 3 線式回路において,電線 1 線当たりの抵抗が0.1 Ω,抵抗負荷に流れる電流がともに15 Aのとき,この電線路の電力損失[W]は。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問7 の回路図
イ.45
ロ.60
ハ.90
ニ.135
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正解

イ.45[W]
この問題は何を聞いているの?

3本の電線で2つの抵抗負荷に電気を送る回路で、電線の抵抗のせいで失われる電力の合計を聞いています。カギは、まん中の電線(中性線)に電流が流れているかどうかです。そこを見抜けば、計算は2回のかけ算で終わります。

用語単相3線式(たんそうさんせんしき)とは?

3本の電線で、100Vと200Vの両方を取り出せる配線方式のことです。図の「1φ3W」は、1φ=単相、3W=3本の線を表します。多くの住宅の引込み(電柱から家に入る部分)で使われている方式です。

なぜ?なぜ3本の線で100Vと200Vが取り出せるのか?

まん中の線を基準にして、上の線との間が100V、下の線との間が100Vになるように電気が送られているからです。上と下の線どうしの間では、2つの100Vが重なって200Vになります。図の左の「100V」「100V」「200V」の矢印は、この関係を示したものです。

用語中性線(ちゅうせいせん)とは?

単相3線式のまん中の電線のことです。上下の負荷の共通の帰り道として使われます。

なぜ?なぜ中性線を流れる電流は「差」になるのか?

上の負荷の電流は中性線を一方向に、下の負荷の電流は中性線を逆方向に流れようとするからです。向きが逆の流れは打ち消し合い、中性線には上下の電流の差だけが流れます。上が15A、下が15Aなら、差は15−15=0Aです。

用語平衡(へいこう)とは?

上下の負荷に流れる電流が同じで、つり合っている状態のことです。この問題は「電流がともに15A」なので、平衡しています。

なぜ?なぜ平衡だと中性線の損失が0になるのか?

損失は電流×電流×抵抗で、中性線の電流が0Aなら、0×0×0.1=0Wだからです。まん中の線の0.1Ωは、平衡しているときは計算から外してかまいません。

用語電力損失とは?

電線の抵抗のせいで、電気が熱になって失われる分のことです。1本の電線の損失は電流×電流×抵抗で求めます。

なぜ?なぜ電線の損失を気にするのか?

損失が大きいと、電気がむだになるうえ、電線が熱を持つからです。配線の方式を選ぶときに、損失の少なさは大事な判断材料になります。

手順1 中性線の電流 → 15 − 15 = 0A(損失も0W)

手順2 上の電線の損失 → 15 × 15 × 0.1 = 225 × 0.1 = 22.5W

手順3 下の電線の損失 → 同じく 22.5W

手順4 合計 → 22.5 + 22.5 + 0 = 45W

よって答えはイの45Wです。

例もし平衡していなかったら

例えば上の負荷が20A、下の負荷が10Aなら、中性線には20−10=10Aが流れます。このときの損失は、上 20×20×0.1=40W、下 10×10×0.1=10W、中性線 10×10×0.1=10W で、合計60Wです。上下がちがうと、中性線の分も数える必要があります。

覚えるこの問題の覚え方

「単相3線式で上下の電流が同じなら、中性線は0A。損失は外側の2本分だけ」。つまり電流×電流×抵抗×2です。先に中性線の電流(上下の差)を確かめるクセをつけましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.135 … 中性線に上下の電流の合計(15+15=30A)が流れると考えた人が選ぶ数字です。外側2本で45W、中性線で30×30×0.1=90W、合わせて135Wになります。中性線を流れるのは合計ではなく差です。

ハ.90 … 誤りです。中性線に30Aが流れるとした場合の中性線だけの損失(30×30×0.1=90W)と同じ数字で、外側2本の分も入っていません。

ロ.60 … 誤りです。平衡しているので中性線の電流は0A、損失は外側2本分だけ、と順に確かめましょう。

問8

分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に断面積 5.5 mm2 の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)4 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は 30℃以下,電流減少係数は 0.63 とする。

イ.19
ロ.24
ハ.31
ニ.49
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正解

ハ.31[A]
この問題は何を聞いているの?

金属の管の中に5.5mm²の電線を4本まとめて通したとき、電線1本に流してよい電流の上限(許容電流)は何Aかを聞いています。「表で覚えた数字」×「問題文の係数0.63」で答えが出る問題です。

用語低圧屋内配線(ていあつおくないはいせん)とは?

建物の中に施設する、低い電圧の電気の配線のことです。低圧とは、交流なら600V以下の電圧を指します。家庭やお店の100V・200Vの配線も、この低圧の配線です。

なぜ?なぜ「低圧」と区切って呼ぶのか?

電圧が高いほど感電や事故のときの危険が大きく、守るべき決まりも厳しくなるからです。第二種電気工事士が扱えるのは、主にこの低圧の範囲です。

用語金属管工事(きんぞくかんこうじ)とは?

電線を鉄などの金属でできた管の中に通して配線する工事のことです。管が電線を外からの衝撃から守ってくれます。

なぜ?なぜ管に入れた本数で流せる電流が変わるのか?

電線は電流が流れると熱を持ちます。管の中に何本もまとめると、熱がこもって逃げにくくなるからです。熱くなりすぎると電線のビニルが傷むため、本数が増えるほど1本に流せる電流を減らす決まりになっています。

用語600Vビニル絶縁電線(軟銅線)とは?

やわらかい銅の線を、ビニルで包んだ電線のことです。IV線とも呼ばれ、金属管や合成樹脂管に通して使います。600Vは、600Vまでの電圧で使えるという意味です。

なぜ?なぜ「IV」と呼ぶのか?

I=Indoor(屋内)、V=Vinyl(ビニル)の頭文字で、「屋内用のビニル電線」という意味だからです。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

その電線に、安全に流し続けてよい電流の上限のことです。電線の太さごとに決められています。

なぜ?なぜ電線ごとに流せる電流の上限があるのか?

電流が多すぎると電線が熱くなりすぎて、ビニルが溶けたり燃えたりするおそれがあるからです。太い電線ほど電気が通りやすく熱が出にくいので、許容電流は大きくなります。

用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?

管に何本も電線を入れたとき、許容電流を減らすためにかける数のことです。決まりでは、3本以下で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56となっています。この問題は4本なので0.63。問題文にも書いてあります。

なぜ?なぜ係数をかけるだけでよいのか?

「管に入れていない電線1本なら何Aまで」というもとの許容電流が表で決まっていて、そこに熱がこもる分の割引率をかけるという考え方だからです。0.63なら、もとの値の63%まで、という意味になります。

もとの許容電流を表から引く

覚える電線の太さと許容電流(周囲温度30℃以下・管に入れない場合)

単線(1本の銅線) … 1.6mm=27A/2.0mm=35A/2.6mm=48A

より線(細い線をより合わせた線) … 2mm²=27A/3.5mm²=37A/5.5mm²=49A/8mm²=61A/14mm²=88A

なぜ?なぜ「mm」と「mm²」の2種類の表し方があるのか?

1本の丸い銅線(単線)は直径(mm)で、細い線をより合わせた電線(より線)は銅の部分の断面積(mm²)で太さを表す決まりだからです。この問題の「断面積5.5mm²」は、より線の太さの表し方です。

手順1 5.5mm²の許容電流を表から引く → 49A

手順2 管に4本入れるので、電流減少係数は 0.63

手順3 1本あたりの許容電流 → 49 × 0.63 = 30.87A

手順4 最も近い選択肢を選ぶ → 31A

問題の最初に「選択肢が数値の場合は最も近い値を選びなさい」とあるので、30.87Aに最も近いハの31Aが答えです。

コツ49×0.63を暗算するには

0.63を0.6と0.03に分けると楽です。49×0.6=29.4、49×0.03=1.47、合わせて30.87。もっと大まかに、50×0.63=31.5から「少し小さい」と考えても、31を選べます。

覚えるこの問題の覚え方

「許容電流=表の値×電流減少係数」。表の値は5.5mm²=49A、係数は4本で0.63。係数は問題文に書いてあることが多いので、表の数字のほうを確実に覚えるのが近道です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.49 … 電流減少係数をかけ忘れた人が選ぶ数字です。49Aは管に入れないときの値で、4本まとめた場合は0.63をかける必要があります。

ロ.24 … 誤りです。5.5mm²=49Aを確かめてから、0.63をかけましょう。

イ.19 … 誤りです。電線の太さの読み取り(5.5mm²)と表の値を確かめましょう。

問9

分野:配線設計(幹線の許容電流)重要度 ★★★

図のように,三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合,幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値[A]は。
ただし,需要率は100%とする。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問9 の幹線と分岐の図
イ.95
ロ.103
ハ.115
ニ.255
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正解

ロ.103[A]
この問題は何を聞いているの?

1本の太い電線(幹線)から、モーター3台と電熱器1台に枝分かれして電気を送る回路です。このとき、幹線にはどれだけの電流に耐えられる太さが必要か、その最小の電流値を聞いています。モーターの電流だけ1.1倍(または1.25倍)にするという決まりを当てはめる問題です。

用語幹線(かんせん)とは?

引込口(電気が建物に入ってくる所)から、それぞれの分岐回路へ電気を配る大もとの電線のことです。木でいえば幹にあたり、そこから枝のように分岐回路が分かれていきます。

なぜ?なぜ幹線には全部の機器の電流が流れるのか?

枝分かれした先の機器へ行く電気は、すべて一度幹線を通ってから分かれていくからです。そのため幹線は、つながっている機器の電流をまとめて流せる太さが必要になります。

用語電動機(M)と電熱器(H)とは?

図のMの丸がモーター(電動機)、Hの丸が電熱器を表します。それぞれの横に書かれた「定格電流」は、ふだん運転しているときに流れる決められた電流です。

なぜ?なぜモーターだけ特別扱いするのか?

モーターは回り始める瞬間に、ふだんの何倍もの大きな電流(始動電流)が流れるからです。幹線にはその分の余裕を持たせておく必要があるため、モーターの電流には割り増しの係数をかける決まりになっています。電熱器にはこの性質がないので、そのままの値で数えてかまいません。

用語B(配線用遮断器)とは?

図の四角にBの記号は配線用遮断器、いわゆるブレーカーです。電流が流れすぎたときに自動で電気を止める装置のことです。幹線の入口に1つ、枝分かれした先の機器ごとにも1つずつ付いています。

なぜ?なぜ機器ごとにもブレーカーを付けるのか?

1台の機器で電流が流れすぎたとき、その機器の回路だけを止めて、ほかの機器は動かし続けられるようにするためです。

用語需要率(じゅようりつ)とは?

つながっている機器のうち、同時に使われる割合のことです。100%なら、全部が同時に動いているとして計算します。

なぜ?なぜ需要率を100%と決めておくのか?

実際には全部の機器が同時に動くとは限りませんが、条件をはっきりさせて計算を1通りにするためです。100%なら、全部の電流をそのまま足せばよいことになります。

幹線の太さを決める電流の決まり

覚えるモーターがあるときの幹線の許容電流

① モーターの電流の合計(IM)と、それ以外の電流の合計(IH)を出す

② IMがIH以下なら … そのまま足す(IM+IH)

③ IMがIHより大きく、IMが50A以下なら … IM×1.25+IH

④ IMがIHより大きく、IMが50Aを超えるなら … IM×1.1+IH

なぜ?なぜ係数が1.25と1.1の2種類あるのか?

電気設備の技術基準の解釈という決まりで、モーターの電流の合計が50A以下か、50Aを超えるかによって係数を分けて定めているからです。試験では「50A以下なら1.25、超えたら1.1」と境目の50Aとセットで覚えましょう。

手順1 モーターの電流の合計 → 30 + 30 + 20 = 80A(IM)

手順2 それ以外(電熱器)の電流 → 15A(IH)

手順3 比べる → 80Aは15Aより大きく、しかも50Aを超えているので、1.1倍を使う

手順4 モーターの分を割り増す → 80 × 1.1 = 88A

手順5 電熱器の分を足す → 88 + 15 = 103A

よって答えはロの103Aです。

例モーターの合計が50A以下だったら

例えばモーターが20Aと20Aの2台(合計40A)、電熱器が15Aなら、40Aは15Aより大きく、50A以下です。このときは40×1.25+15=50+15=65Aになります。50Aを超えるかどうかで係数が変わる点に気をつけましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「モーターだけ割り増し。50A以下は1.25倍、50A超えは1.1倍。電熱器はそのまま足す」。先にモーターの合計とそれ以外の合計を分けて出すのが、ミスを防ぐ手順です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.95 … モーターの割り増しを忘れて、全部をそのまま足した人が選ぶ数字です。30+30+20+15=95Aになります。

ハ.115 … 50Aを超えているのに1.25倍を使った人が選ぶ数字です。80×1.25=100A、これに15Aを足すと115Aになります。

ニ.255 … 誤りです。モーターの合計(80A)を出してから、50Aを超えるかどうかで係数を選びましょう。

問10

分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★

低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは 3 m,配線用遮断器からコンセントまでは 8 m とし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

令和2年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問10 の選択肢(4つの分岐回路の図)
答え・解説を見る
正解

ニ.50Aの配線用遮断器・14mm²・50Aのコンセント1個
この問題は何を聞いているの?

幹線から枝分かれした分岐回路について、ブレーカー(配線用遮断器)の大きさ・電線の太さ・コンセントの大きさの組み合わせが、決まりに合っているものを1つ選ぶ問題です。ブレーカーの大きさごとに、使ってよい電線の太さとコンセントの範囲が表で決まっているので、その表と見比べます。

用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?

幹線から枝分かれして、コンセントや照明などへ電気を送る回路のことです。家の分電盤に並んでいる小さなブレーカー1つ1つが、それぞれ1つの分岐回路を守っています。

なぜ?なぜ分岐回路ごとにブレーカーを付けるのか?

ある回路で電流が流れすぎたとき、その回路だけを止めて、ほかの部屋の電気は使えるようにするためです。全部を1つで守ると、どこか1か所の不具合で家じゅうが停電してしまいます。

用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?

電流が流れすぎたときに、自動で電気を止める装置で、いわゆるブレーカーのことです。図の四角にBの記号で表され、横の「20A」「30A」などは何Aを超えると止まるように作られているか(定格電流)を示します。

なぜ?なぜブレーカーの大きさで電線の太さが決まるのか?

ブレーカーはその電流までは止めずに流し続けるからです。30Aのブレーカーなら30A近くまで流れることがあるので、電線はそれに耐えられる太さでなければ、ブレーカーが切れる前に電線が熱くなりすぎてしまいます。

用語定格電流(ていかくでんりゅう)のコンセントとは?

コンセントにも「何Aまで使えるか」の大きさがあり、15A・20A・30A・50Aなどがあります。家庭用コンセントの多くは15Aです。

なぜ?なぜコンセントは「小さすぎても」いけないのか?

ブレーカーが30Aなのに15Aのコンセントを付けると、コンセントの限度を超える電流が流れても、ブレーカーが切れないからです。コンセントが熱くなる危険があるので、ブレーカーに見合った大きさのコンセントを付ける決まりになっています。

用語兼用コンセントとは?

15A用と20A用のどちらのプラグも差し込めるコンセントのことです。この問題では「兼用コンセントではない」とあるので、書かれたAの値どおりのコンセントとして考えます。

なぜ?なぜ「兼用ではない」と断っているのか?

兼用コンセントは15Aと20Aの両方の性質を持つので、扱いにまぎれが出るからです。条件をはっきりさせて、表とそのまま見比べられるようにしています。

なぜ?なぜ「3m」「8m」と長さが書いてあるのか?

分岐回路のブレーカーは、原則として幹線から分かれた点から3m以下の所に付ける決まりがあり、この問題はその条件を満たしていることを示しています。8mはコンセントまでの距離で、選択肢の良し悪しには影響しません。長さの条件に気を取られず、表との見比べに集中しましょう。

ブレーカー×電線×コンセントの表

覚える分岐回路の決まり(軟銅線)

20Aの配線用遮断器 … 電線1.6mm以上/コンセント20A以下

30Aの配線用遮断器 … 電線2.6mm(5.5mm²)以上/コンセント20A以上30A以下

40Aの配線用遮断器 … 電線8mm²以上/コンセント30A以上40A以下

50Aの配線用遮断器 … 電線14mm²以上/コンセント40A以上50A以下

なぜ?なぜ電線は「以上」、コンセントは「範囲」なのか?

電線は太いぶんには熱くなりにくく、安全側だからです。一方コンセントは、大きすぎるとコンセントの定格どおりの機器をつないだだけでブレーカーが切れてしまい、小さすぎるとコンセントの限度を超えても止まらないので、上と下の両方に限度があります。

4つの選択肢を表と見比べる

手順1 イ(20A・2.0mm・30Aのコンセント) → 電線は1.6mm以上なのでOK。でも20Aのブレーカーにはコンセント20A以下なので、30Aは不適切

手順2 ロ(30A・2.0mm・20Aのコンセント2個) → コンセント20Aは範囲内。でも30Aのブレーカーには電線2.6mm以上が必要なので、2.0mmは不適切

手順3 ハ(30A・2.6mm・15Aのコンセント) → 電線はOK。でも30Aのブレーカーにはコンセント20A以上が必要なので、15Aは不適切

手順4 ニ(50A・14mm²・50Aのコンセント) → 電線14mm²以上もOK、コンセント40A以上50A以下もOK。適切

よって答えはニです。

覚えるこの問題の覚え方

「ブレーカーを見たら、まず電線、次にコンセント」の順に表と見比べます。電線は20A=1.6mm、30A=2.6mm、40A=8mm²、50A=14mm²。コンセントはブレーカーと同じか、1段下まで(20Aのブレーカーだけは20A以下ならよい)と覚えると整理しやすくなります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ … 電線の太さだけ確かめて、コンセントの下限を見落とした人が選びやすい組み合わせです。30Aのブレーカーに15Aのコンセントは小さすぎます。

ロ … コンセントだけ確かめて、電線の太さを見落とした人が選びやすい組み合わせです。30Aのブレーカーには2.6mm以上の電線が必要です。

イ … 「コンセントは大きいほうが安全」と考えた人が選びやすい組み合わせです。20Aのブレーカーに付けてよいのは20A以下のコンセントです。

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この記事のまとめ

問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。

まとめこの10問で持ち帰ること

問1 合成抵抗と電流 … はしご形は右はしから並列→直列の順にたたむ。全体4Ω、16÷4=4A

問2 電線の抵抗 … 直径は2乗、長さはそのまま。太さで4倍、長さで半分、合わせて2倍

問3 発熱量 … 電流×電流×抵抗×秒。45W×3600秒=162 000J=162kJ

問4 力率 … 力率=R÷Z。Zは√(R²+X²)で、R+Xにはしない

問5 三相電動機の力率 … 三相は√3、kWは×10³、%は×10²。合わせて×10⁵

問6 三相3線式の損失 … 1本分(I²r)×3本。√3は使わない

問7 単相3線式の損失 … 上下が同じなら中性線は0A。外側2本で15×15×0.1×2=45W

問8 許容電流 … 5.5mm²=49A。4本なら係数0.63をかけて約31A

問9 幹線の許容電流 … モーターだけ割り増し。80Aは50A超えなので×1.1、88+15=103A

問10 分岐回路 … 20A=1.6mm・30A=2.6mm・40A=8mm²・50A=14mm²。コンセントは範囲の中だけOK

この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流×電流×抵抗)の2本でした。そこにインピーダンスや√3が加わり、残りは覚えた表に当てはめる問題です。新しい式を増やすより、この2本をどう使うかに慣れるほうが近道になるでしょう。

出典

令和2年度下期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和2年度下期 午前 全5記事)

▶ 問11〜20
材料と器具(地中配線のケーブル・ゴムコードの許容電流・工具・三相誘導電動機・配線用遮断器の動作時間・写真の見分け・湿気の多い場所の工事)

▶ 問21〜30
施工・検査・法令(ルームエアコンの施工・D種接地工事・合成樹脂管工事・電圧と絶縁抵抗の測定・計器の記号・電気工事士法・電気用品安全法・一般用電気工作物)

▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(図記号の名称・最少電線本数・絶縁抵抗・接地工事・引込口開閉器・電線管の種類・工事の種類)

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(ケーブル・リングスリーブと差込形コネクタ・スイッチ・照明器具・遮断器・工具・コンセント)

用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから

▶ W・Wh・Jの違い
電力・電力量・熱量

▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
配線方式のちがい

▶ 配線図の図記号の読み方
スイッチ・コンセント・照明の記号

▶ 電線とケーブルの種類・許容電流
VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

▶ 電線管の種類と配線工事
金属管・VE・PF・CD管のちがいと付属品

▶ 幹線と分岐回路の決まり
幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する