第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和元年度(2019年度) 上期(2019年6月2日実施)の問1〜10です。
問1〜問10には計算問題と配線の決まりがまとまって出てきます。数字や式が並ぶと身構えてしまいますが、土台になるのは主にオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力の式の2つです。この記事では、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ言葉で書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:2019年度上期第二種電気工事士試験
問1
分野:電気の基礎(回路の電圧)重要度 ★★★
図のような回路で,スイッチ S を閉じたとき,a−b 端子間の電圧[V]は。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
図の回路に120Vの電池をつなぎ、スイッチSを入れたとき、右はしの「a」と「b」という2つの出口のあいだに何ボルト出ているかを聞いている問題です。抵抗が4つもあって複雑に見えますが、計算から外してよい抵抗を2つ見つけると、ずっと単純な形になります。まず、出てくる言葉を確かめましょう。
用語電圧[V]とは?
電圧とは、電気を押し出す力の強さのことです。単位はV(ボルト)で、図の左の「120 V」が、この回路を動かしている力です。
なぜ?なぜ電圧を「押す力」に例えるのか?
水道でいう水圧にあたるからです。水圧が高いほど水が勢いよく出るのと同じで、電圧が高いほど電気はたくさん流れようとします。電圧は流れそのものではなく、流れを起こす“もと”と考えてください。
用語抵抗[Ω]とは?
抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、図の細長い長方形が抵抗を表します。この問題で使われているのは、50Ωの抵抗4つです。
なぜ?なぜ電気に「流れにくさ」があるのか?
ホースの中にスポンジが詰まっていると水が通りにくいのと同じで、部品の中にも電気の通り道を邪魔するものがあるからです。その邪魔の度合いを数字にしたものが抵抗です。
用語端子(たんし)とは?
端子とは、電気を取り出したり、機器をつないだりするための出口のことです。図の右の白い丸が端子で、上がa、下がbという名前になっています。
なぜ?なぜ端子のあいだの電圧を聞かれるのか?
実際の工事では、こうした出口に照明やコンセントをつなぐからです。出口に何ボルト来ているかが分からなければ、つないでよい機器を選べません。
用語スイッチを「閉じる」とは?
スイッチを閉じるとは、スイッチを入れて電気が通る状態にすることです。閉じる=つながる(ON)/開く=切れる(OFF)と覚えましょう。
なぜ?なぜ「閉じる」がONになるのか?
スイッチを川に架かる跳ね橋だと思ってください。橋を下ろして(閉じて)道がつながれば車が通れ、橋を上げれば(開けば)通れません。電気の世界では道がつながることを「閉じる」と言うため、日常の感覚とは逆に感じやすいのです。
スイッチを閉じると、上の左側の50Ωは「消える」
図をよく見ると、上の段の左側の50Ωの真上に、スイッチSがあることに気づくでしょう。スイッチSの左はしは50Ωの左の黒い点に、右はしは50Ωの右の黒い点につながっています。つまり抵抗とスイッチが、同じ2つの点のあいだに並んでいる形です。
用語短絡(たんらく)とは?
短絡とは、抵抗のある部品を、抵抗のない電線でまたいでしまうことです。「ショート」とも呼ばれる現象です。またがれた部品には電流がほとんど流れなくなり、計算ではその部品が無いものとして扱えます。
なぜ?なぜ電気は50Ωのほうを通らなくなるのか?
電気には通りやすい道へ集まる性質があるからです。50Ωの道と、ほぼ0Ωのスイッチの道が並んでいれば、電流はほとんど全部がスイッチの側を通ります。広く開いた水路と細い水路が並んでいれば、水が広いほうへ流れるのと同じです。
スイッチSを閉じた時点で、上の段の左側の50Ωは計算から外してよいことになります。これが1つ目のポイントです。
aの先は行き止まり=上の段の右側の50Ωには電流が流れない
2つ目のポイントは、端子aとbのあいだに何もつながっていないことです。問題文は「a−b端子間の電圧は?」と聞いているだけで、そこに電球などをつないだとは書かれていません。
用語開放(かいほう)とは?
開放とは、回路の先がどこにもつながらず、途切れている状態のことです。道が行き止まりになっているのと同じで、そこには電流が流れません。
なぜ?なぜ行き止まりだと電流が流れないのか?
電気は電池から出て、ぐるっと1周して電池に戻ってこないと流れないからです。aの先は途切れているので、aにつながる上の段の右側の50Ωには、1Aも流れていません。
用語電圧降下(でんあつこうか)とは?
電圧降下とは、抵抗に電流が流れたとき、その抵抗の前と後ろで電圧が下がることです。下がる大きさは電流×抵抗で求めます。
なぜ?なぜ電流が0なら電圧は下がらないのか?
下がる大きさが電流×抵抗だからです。電流が0なら、0×50=0Vにしかなりません。だから上の段の右側の50Ωは、あってもなくてもaの電圧は同じになります。
残るのは「50Ωが2本の1本道」
ここまでの2つを当てはめると、電流が流れる道は電池 → スイッチS → まん中の縦の50Ω → 下の段の50Ω → 電池に戻るという1本道だけになります。
用語直列(ちょくれつ)とは?
直列とは、部品が1本道に並んでつながっている形のことです。直列の抵抗はそのまま足し算して1本にまとめられます。
なぜ?なぜ直列だと抵抗を足し算するのか?
1本道なので、電気はどちらの邪魔も順番に受けるからです。スポンジを2個続けて詰めたホースは、1個のときより通りにくくなります。だから50Ω+50Ω=100Ωです。
用語オームの法則とは?
オームの法則とは、電圧=電流×抵抗(V=I×R)という関係のことです。形を変えて電流=電圧÷抵抗としても使えます。
なぜ?なぜこの式1本でいろいろな値が求められるのか?
電圧・電流・抵抗のうち2つが分かれば、残りの1つが決まるからです。知りたい値を左に置いて式の形を変えるだけで、電流も電圧も求められます。
手順1 スイッチSを閉じたので、上の段の左側の50Ωは短絡されて計算から外す。
手順2 a−b間には何もつながっていないので、上の段の右側の50Ωには電流が流れない。ここでの電圧降下は0V。
手順3 電流が流れる道は、縦の50Ωと下の段の50Ωの1本道。合計=50 + 50 = 100Ω
手順4 流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 120 ÷ 100 = 1.2A
手順5 縦の50Ωにかかる電圧 = 電流 × 抵抗 = 1.2 × 50 = 60V
手順6 aは縦の50Ωの上の点と同じ電圧(右側の50Ωで電圧が下がらないため)、bは縦の50Ωの下の点そのもの。だからa−b間の電圧=60V
よって答えはニの60Vです。
わり算をしなくても答えは出せる
同じ大きさの抵抗が2本、1本道に並んでいるときは、電池の電圧をちょうど半分ずつ分け合うからです。120Vの半分で60Vと、一瞬で答えが出せます。
用語分圧(ぶんあつ)とは?
分圧とは、直列に並んだ抵抗が、電池の電圧を抵抗の大きさの比で分け合うことです。50Ωと50Ωなら1対1なので、120Vは60Vと60Vに分かれます。
なぜ?なぜ抵抗の比で電圧を分け合うのか?
1本道ではどの抵抗にも同じ電流が流れるからです。電圧降下は「電流×抵抗」なので、電流が同じなら電圧の比=抵抗の比になります。
覚えるこの問題の覚え方
この問題は「消す」作業を2回するだけです。①閉じたスイッチと並んでいる抵抗を消す(短絡)。②端子の先が行き止まりなら、そこへ向かう抵抗も消す(電流0なので電圧も下がらない)。残った回路が同じ抵抗2本の1本道なら、電池の電圧の半分が答えです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.40 … スイッチを閉じたことを見落とした人が選ぶ数字です。上の段の左側の50Ωを残すと、50Ωが3本の1本道(150Ω)になり、電流は120÷150=0.8A。縦の50Ωの電圧は0.8×50=40Vとなります。
イ.30 / ハ.50 … どちらも誤りです。「消してよい抵抗を先に消す」という順番で考えれば、正しい60Vにたどり着けます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】オームの法則と直列・並列をゼロから解説
問2
分野:電気の基礎(電線の抵抗と許容電流)重要度 ★★★
ビニル絶縁電線(単心)の導体の直径をD,長さをL とするとき,この電線の抵抗と許容電流に関する記述として,誤っているものは。
イ.許容電流は,周囲の温度が上昇すると,大きくなる。
ロ.電線の抵抗は,D2に反比例する。
ハ.電線の抵抗は,Lに比例する。
ニ.許容電流は,Dが大きくなると,大きくなる。
答え・解説を見る
正解
イ.許容電流は,周囲の温度が上昇すると,大きくなる。
この問題は何を聞いているの?
電線の太さ(直径D)と長さ(L)によって、電線の抵抗と許容電流がどう変わるかを聞いています。4つの文のうち誤っているものを1つ選ぶ問題です。計算はなく、「長い・太い・暑い」とどうなるかをイメージできれば解けます。
用語ビニル絶縁電線(単心)とは?
ビニル絶縁電線とは、銅の線のまわりを、電気を通さないビニルで包んだ電線のことです。「単心」は、中の銅の線が1本だけという意味です。
なぜ?なぜ銅線をビニルで包むのか?
銅線がむき出しだと、人がさわって感電したり、ほかの電線とふれてショートしたりするからです。電気を通さない材料(絶縁物)で包むことで、安全に配線できます。
用語導体(どうたい)とは?
導体とは、電気を通す部分のことです。この電線では中の銅の線が導体です。問題の「導体の直径D」は、ビニルを除いた銅の線の太さを指しています。
なぜ?なぜビニルを含めない太さで考えるのか?
電気が流れるのは銅の部分だけだからです。ビニルがいくら厚くても、電気の流れやすさは変わりません。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
許容電流とは、その電線に安全に流し続けてよい電流の上限のことです。単位はA(アンペア)です。
なぜ?なぜ電線に流してよい電流の上限があるのか?
電線に電流が流れると、電線の抵抗のせいで熱が出るからです。流しすぎると熱でビニルが傷み、溶けたり火事の原因になったりします。ビニルが耐えられる温度を超えない範囲が許容電流です。
抵抗は「長いと大きく、太いと小さく」なる
電線の抵抗は、抵抗=抵抗率×長さ÷断面積という式で表せます。抵抗率は材料(銅など)ごとに決まった通しにくさの数字で、断面積は電線を輪切りにした切り口の面積です。
なぜ?なぜ長いと抵抗が大きく、太いと小さくなるのか?
水道のホースで考えてみましょう。ホースが長いほど水は通りにくく、太いほどたくさん流れます。電気も同じで、道が長いと邪魔が増え、道が広いと邪魔が減るのです。
長さLは式のかけ算の側にあるので、抵抗はLに比例します(長さが2倍なら抵抗も2倍)。だからハは正しい文です。
用語比例・反比例とは?
比例とは、一方が2倍になると、もう一方も2倍になる関係です。反比例とは、一方が2倍になると、もう一方は半分になる関係です。
なぜ?なぜ抵抗は直径Dではなく「D²」に反比例するのか?
切り口は円なので、断面積はπ×D×D÷4と、Dを2回かけて求めるからです。例えば直径が1.6mmから2倍の3.2mmになると、断面積は2×2=4倍になり、抵抗は4分の1になります。抵抗は断面積に反比例するので、D²に反比例するのです。
よってロの「電線の抵抗は,D²に反比例する」も正しい文です。
許容電流は「太いと大きく、暑いと小さく」なる
許容電流は、電線の温度がビニルの耐えられる温度まで上がらない範囲で決まります。この考え方で、残りの2つの文を確かめましょう。
なぜ?なぜ太い電線ほど許容電流が大きいのか?
太い電線は抵抗が小さいので、同じ電流でも出る熱が少ないからです。熱が出にくいぶん、たくさんの電流を流しても安全な温度に収まります。実際の規定でも、太い電線ほど許容電流の値は大きく決められているのです。
よってニの「許容電流は,Dが大きくなると,大きくなる」は正しい文です。
なぜ?なぜ周りが暑いと許容電流が小さくなるのか?
電線の熱はまわりの空気に逃げていくことで冷やされる仕組みです。まわりの温度が高いと熱が逃げにくく、しかも出発点の温度がすでに高いため、少ない電流でもビニルの限界温度に近づいてしまいます。真夏に走ると、涼しい日より早く体が熱くなるのと同じです。
つまり周囲の温度が上がると、許容電流は小さくなります。イの「大きくなる」は逆なので、これが誤りです。
よって答えはイです。
覚えるこの問題の覚え方
抵抗は「長いと大きい・太いと小さい(D²で効く)」、許容電流は「太いと大きい・暑いと小さい」。どちらもホースと熱のイメージで考えると、向きを取り違えにくくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.電線の抵抗は,D²に反比例する。 … 「Dに反比例」ではないかと迷った人が選びやすい文です。断面積はDを2回かけて求めるので、D²に反比例が正しい文です。
ハ・ニ … どちらも正しい文です。長いほど抵抗が大きい、太いほどたくさん流せるというイメージどおりです。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電線とケーブルの種類・許容電流をゼロから解説
問3
分野:電気の基礎(電力量と熱量)重要度 ★★☆
電熱器により,60 kg の水の温度を20 K 上昇させるのに必要な電力量[kW・h]は。
ただし,水の比熱は4.2 kJ/(kg・K)とし,熱効率は100 %とする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
電熱器(電気で熱を出す器具)で60kgの水を20度あたためるには、電気をどれだけ使うかを聞いています。考え方は2段です。①水をあたためるのに必要な熱の量を出す。②その熱を電気の量(kW・h)に直す。この順で進めましょう。
用語電力量[kW・h]とは?
電力量とは、電気を使った量の合計のことです。kW・h(キロワットアワー)は「1kWの電気を1時間使ったときの量」を表し、電気料金の明細にも出てくる単位です。
なぜ?なぜ「kW」と「h(時間)」をかけた単位なのか?
電気を使った量は、勢い(kW)×使った時間(h)で決まるからです。1kWのドライヤーを2時間使えば2kW・h、2kWの機器を30分使っても1kW・hになります。
用語K(ケルビン)とは?
Kとは、温度を表す単位の1つです。温度の「差」で使うときは、1K上がる=1℃上がると同じ意味になります。
なぜ?なぜ「20℃上昇」ではなく「20K上昇」と書くのか?
Kは理科や工学の計算で正式に使われる単位だからです。目盛りの出発点は℃と違いますが、目盛り1つの幅は同じなので、温度が何度上がったかを表すときは20K=20℃と読みかえてかまいません。
用語比熱(ひねつ)とは?
比熱とは、1kgのものを1K(1℃)あたためるのに必要な熱の量のことです。水の比熱4.2kJ/(kg・K)は、水1kgを1℃上げるのに4.2kJの熱が要るという意味です。
なぜ?なぜ単位が「kJ/(kg・K)」という形なのか?
「1kgあたり・1Kあたり何kJ要るか」を表しているからです。「/」は「〜あたり」という意味です。だから重さ(kg)と上げたい温度(K)をかければ、全体で何kJ要るかが出ます。
用語kJ(キロジュール)とは?
J(ジュール)とは、熱やエネルギーの量を表す単位です。kJは1000Jを表します。
なぜ?なぜ熱と電気を同じ物差しで比べられるのか?
電気も熱もエネルギーの一種だからです。電熱器は電気のエネルギーを熱のエネルギーに変える器具なので、単位をそろえれば、熱の量を電気の量に直せます。
用語熱効率100%とは?
熱効率とは、使った電気のうち、どれだけが水をあたためるのに役立ったかの割合です。100%は、電気がすべて水の熱になり、むだがないという意味です。
なぜ?なぜ熱効率を100%と決めておくのか?
実際には熱の一部がまわりの空気に逃げますが、それを考えると計算が複雑になるからです。100%と決めることで、必要な熱の量=使う電気の量として計算できます。
ステップ1:水をあたためるのに必要な熱の量
熱の量は比熱×重さ×上げる温度で求めます。「1kgを1℃上げるのに4.2kJ」が分かっているので、60kgぶん、20℃ぶんをかけ合わせればよいのです。
ステップ2:kJをkW・hに直す
コツ1kW・h=3600kJ
1kWとは1秒あたり1kJのエネルギーを使う勢いのことです。1時間は3600秒なので、1kWで1時間使うと1×3600=3600kJ。つまりkJを3600で割ればkW・hになります。
なぜ?なぜ1kWが「1秒あたり1kJ」になるのか?
もともとW(ワット)は「1秒あたり何Jか」を表す単位だからです。1Wは1秒に1J、1kW(1000W)は1秒に1000J=1kJです。この決まりのおかげで、秒の数をかけるとJに、3600で割るとkW・hに行き来できます。
手順1 必要な熱の量 = 比熱 × 重さ × 上げる温度 = 4.2 × 60 × 20
手順2 4.2 × 60 = 252。252 × 20 = 5040kJ
手順3 熱効率100%なので、使う電気のエネルギーも5040kJ
手順4 kW・hに直す = 5040 ÷ 3600 = 1.4kW・h
よって答えはハの1.4kW・hです。
例1.4kW・hを実感してみる
1.4kW・hは、1.4kWの電熱器を1時間、または700Wの電熱器を2時間使ったときの電気の量です。60kgの水は60リットルにあたり、20℃上げるだけでもこれだけの電気が必要になります。
覚えるこの問題の覚え方
熱の量=比熱×重さ×温度差、そしてkJ÷3600=kW・h。この2本で解ける問題です。「1時間=3600秒だから3600で割る」と理由ごと覚えておくと、割るのかかけるのかで迷いにくくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.1.0 / ロ.1.2 / ニ.1.6 … いずれも誤りです。4.2×60×20=5040kJを3600で割るとちょうど1.4になります。かけ算の途中(252×20など)を落ち着いて確かめましょう。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)
問4
分野:電気の基礎(交流回路のインピーダンス)重要度 ★★★
図のような交流回路において,抵抗 8 Ω の両端の電圧 V[V]は。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
100Vの交流電源に、8Ωの抵抗と6Ωのコイルが1本道(直列)でつながっています。このとき8Ωの抵抗にかかる電圧が何Vかを聞いている問題です。ポイントは、抵抗とコイルは単純に足し算できないことです。
用語交流(こうりゅう)とは?
交流とは、電気の流れる向きが、1秒間に100回以上(50Hzなら100回、60Hzなら120回)行ったり来たり入れかわる電気のことです。家庭用コンセントの電気が交流です。図の丸の中に波の形(〜)が描かれた記号が、交流の電源を表します。
なぜ?なぜ交流では「コイル」が特別な働きをするのか?
コイルには電流の変化をいやがって、さまたげる性質があるからです。交流は向きがたえず変わるので、コイルはずっと流れを邪魔し続けます。この邪魔の度合いが、図の「6Ω」です。
用語コイルとリアクタンスとは?
コイルとは、電線をぐるぐる巻いた部品です。図のくねくねした記号がコイルです。コイルが交流の流れを邪魔する度合いをリアクタンスと呼び、抵抗と同じΩで表します。
なぜ?なぜ同じΩなのに抵抗とコイルを足し算できないのか?
抵抗とコイルでは、電圧がいちばん大きくなるタイミングがずれるからです。交流では電圧が波のように増えたり減ったりしますが、コイルの電圧の波は、抵抗の電圧の波より4分の1周期(90°)先に山が来ます。山の時刻がずれているので、単純に足すと大きく見積もりすぎてしまうのです。
用語インピーダンスとは?
インピーダンスとは、抵抗とリアクタンスを合わせた、交流での全体の流れにくさのことです。単位はΩで、記号はZと書きます。
なぜ?なぜ「2乗して足して√」で合わせるのか?
タイミングが4分の1周期ずれた2つの量は、直角に交わる2本の辺のように組み合わさるからです。直角三角形の斜めの辺の長さは√(たて²+よこ²)で求まります(三平方の定理)。抵抗8Ωと6Ωを直角の2辺とみると、斜めの辺は√(64+36)=√100=10Ωになります。
コツ3・4・5の三角形を思い出す
6・8・10は、中学で習う3・4・5の直角三角形を2倍したものです。抵抗とリアクタンスが6と8(または8と6)なら、インピーダンスは10とすぐに分かるでしょう。第二種電気工事士の試験では、この組み合わせがくり返し出題されています。
回路全体の電流を出してから、8Ωの電圧を求める
1本道なので、抵抗にもコイルにも同じ電流が流れるのがポイントです。まず回路全体の電流を出し、それに8Ωをかけると抵抗の電圧が出ます。
手順1 インピーダンス = √(8² + 6²)= √(64 + 36)= √100 = 10Ω
手順2 回路を流れる電流 = 電圧 ÷ インピーダンス = 100 ÷ 10 = 10A
手順3 8Ωの抵抗の電圧 = 電流 × 抵抗 = 10 × 8 = 80V
よって答えはニの80Vです。
なぜ?なぜ抵抗80Vとコイル60Vを足すと100Vを超えてしまうのか?
コイルの電圧は10×6=60Vなので、80+60=140Vとなり、電源の100Vより大きく見えます。これは2つの電圧の山の時刻がずれているからです。電源の100Vは、√(80²+60²)=√10000=100Vと、ここでも直角三角形の形で合わさっています。
覚えるこの問題の覚え方
抵抗とコイルが直列なら「2乗して足して√」。数字が8と6なら合わせて10(3・4・5の三角形の2倍)。全体の電流を出したら、聞かれた部品のΩをかけるだけです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.57 … 8Ωと6Ωを普通に足して14Ωとした人が選ぶ数字です。電流は100÷14≒7.14Aとなり、8Ωの電圧は7.14×8≒57Vになります。
イ.43 … 14Ωとして計算し、さらにコイル側(6Ω)の電圧を出した人の数字です。7.14×6≒43Vとなります。
ハ.60 … インピーダンス10Ωまでは正しくても、コイルの電圧(10A×6Ω=60V)を答えてしまった人の数字です。聞かれているのは8Ωの抵抗の電圧です。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】
問5
分野:電気の基礎(三相交流の消費電力)重要度 ★★★
図のような三相 3 線式回路の全消費電力[kW]は。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
3本の電線で200Vを送る回路に、8Ωの抵抗と6Ωのコイルを組にしたものが三角形の形で3組つながっています。この回路が全部でどれだけの電力を使っているかを聞いている問題です。1組ぶんを求めて3倍するのが基本の流れになります。
用語三相3線式(さんそう3せんしき)とは?
三相3線式とは、3本の電線を使って電気を送る方式のことです。工場の機械や大きなモーターで使われる方式です。図の左の「3φ3W 電源」がそれで、φ(ファイ)は「相」、Wは「線(Wire)」を表します。
なぜ?なぜ3本の電線で送るのか?
3本の電線にタイミングを少しずつずらした交流を流すと、少ない電線で効率よく大きな電力を送れるからです。モーターをなめらかに回せるという利点もあります。
用語Δ(デルタ)結線とは?
Δ結線とは、3組の負荷(電気を使う部品)を三角形の形につなぐ方法です。図では、三角形の3つの辺のそれぞれに、8Ωの抵抗と6Ωのコイルが並んで入っています。
なぜ?なぜΔ結線では1組に200Vがそのままかかるのか?
三角形の各辺の両はしが、そのまま電源の2本の電線につながっているからです。図の左に「200V」と書かれた電線どうしの電圧が、三角形の1辺にそのままかかります。
用語消費電力とは?
消費電力とは、電気が熱や光などの仕事に変わった量の勢いのことです。単位はW(ワット)で、1000W=1kWです。
なぜ?なぜ電力を計算するとき抵抗の8Ωだけを使うのか?
電気を熱に変えて消費するのは抵抗だけだからです。コイルは電気をためては返すことをくり返すだけで、電力を消費しません。だから電力は電流²×抵抗(8Ω)で求めます。
用語インピーダンスとは?
インピーダンスとは、抵抗とコイルを合わせた、交流での全体の流れにくさのことです。抵抗とコイルは電圧のタイミングがずれるため、√(抵抗²+リアクタンス²)で合わせます。
なぜ?なぜ電流を出すときは10Ωを使うのか?
電流の流れにくさには、抵抗もコイルも両方が効くからです。8Ωと6Ωを合わせると√(64+36)=10Ω。電流はこの10Ωで決まります。
1組ぶんの電力を出して、3倍する
3組の部品はどれも同じ(8Ω+6Ω)で、どれにも200Vがかかっている状態です。だから1組ぶんの電力を出して3倍すれば、全体の電力になります。
手順1 1組のインピーダンス = √(8² + 6²)= √100 = 10Ω
手順2 1組にかかる電圧=200V(Δ結線なので電源の電圧そのまま)
手順3 1組に流れる電流 = 200 ÷ 10 = 20A
手順4 1組の消費電力 = 電流² × 抵抗 = 20 × 20 × 8 = 3200W
手順5 全体の消費電力 = 3200 × 3 = 9600W = 9.6kW
よって答えはハの9.6kWです。
なぜ?なぜ電力は「電流²×抵抗」で求められるのか?
電力は電圧×電流で、抵抗にかかる電圧は電流×抵抗だからです。2つを組み合わせると、電力=(電流×抵抗)×電流=電流²×抵抗になります。この問題では8Ωにかかる電圧が20×8=160Vなので、160×20=3200Wと計算しても同じ答えです。
覚えるこの問題の覚え方
Δなら200Vがそのまま1組にかかる。電流は10Ω(√で合わせた値)で出し、電力は8Ω(抵抗だけ)で出す。最後に3組ぶんで3倍。「電流は全部で、電力は抵抗だけ」と覚えましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.2.4 / ロ.4.8 / ニ.19.2 … いずれも誤りです。1組の電力3200Wを3倍した9600W=9.6kWが正しい値です。「電流は10Ω、電力は8Ω、最後に3倍」の順を守れば、迷わず9.6にたどり着けます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】単相2線式・単相3線式・三相3線式の違いをゼロから解説
問6
分野:配電理論(単相2線式の電圧降下)重要度 ★★★
図のような単相 2 線式回路において,c−c′間の電圧が 100 V のとき,a−a′間の電圧[V]は。
ただし,r は電線の電気抵抗[Ω]とする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
左の電源(a−a′)から右へ電線をのばし、途中のb−b′と、いちばん奥のc−c′に負荷がつながっています。いちばん奥のc−c′が100Vのとき、電源側のa−a′は何Vかを聞いている問題です。電線にも少し抵抗があるので、電源から遠くなるほど電圧が下がっていくことがポイントです。
用語単相2線式(たんそう2せんしき)とは?
単相2線式とは、行きと帰りの2本の電線で電気を送る方式のことです。図の左の「1φ2W 電源」がそれで、1φは「単相」、2Wは「2本の線」を表します。家庭の100Vのコンセントの配線がこの形です。
なぜ?なぜ電気には行きと帰りの2本が必要なのか?
電気は電源から出て、ぐるっと1周して電源に戻ってこないと流れないからです。上の電線が行きの道、下の電線が帰りの道になります。
用語負荷(ふか)とは?
負荷とは、電気を使う機器のことです。図の「抵抗負荷」は、電気ストーブのように電気を熱に変えるタイプの機器と考えてください。
なぜ?なぜ図に5Aや10Aと書いてあるのか?
それぞれの負荷にどれだけの電流が流れこんでいるかを示すためです。b−b′の負荷に5A、c−c′の負荷に10Aです。電線の電圧降下を計算するには、電線を通る電流が分かっている必要があります。
用語電線の電圧降下とは?
電線の電圧降下とは、電線の抵抗rに電流が流れることで、電線を通るあいだに電圧が少し下がることです。下がる大きさは電流×抵抗で求めます。
なぜ?なぜ電線でも電圧が下がるのか?
電線は銅でできていても、ごくわずかな抵抗があるからです。長いホースの先では水の勢いが少し弱まるのと同じで、電源から遠い場所ほど電圧が下がります。この問題の電線は1本あたりr=0.1Ωです。
電線を流れる電流を区間ごとに読み取る
電線はa〜bの区間とb〜cの区間に分かれています。区間によって通る電流の大きさが違うことに注意しましょう。
なぜ?なぜa〜bの区間には15Aが流れるのか?
a〜bの電線は、bの負荷へ行く5Aと、その先のcの負荷へ行く10Aの両方を運んでいるからです。合計で5+10=15Aです。一方、b〜cの電線はcの負荷の10Aだけを運びます。水道管でいえば、枝分かれする前の太い管ほど、たくさんの水が通るのと同じです。
なぜ?なぜ1区間の電圧降下は「2本ぶん」で考えるのか?
電流は上の電線で行き、下の電線で帰ってくるからです。行きの電線でも帰りの電線でも電圧が下がるので、1区間あたり0.1Ω×2本=0.2Ωぶんの電圧降下になります。
奥(c)から電源(a)に向かって、電圧を足していく
分かっているのはいちばん奥のc−c′の100Vです。電源に近づくほど、電線で下がったぶんを足し戻していけば、電源側の電圧が分かります。
手順1 b〜cの区間の電圧降下 = 10A × 0.1Ω × 2本 = 2V
手順2 b−b′間の電圧 = 100 + 2 = 102V
手順3 a〜bの区間の電流 = 5 + 10 = 15A
手順4 a〜bの区間の電圧降下 = 15A × 0.1Ω × 2本 = 3V
手順5 a−a′間の電圧 = 102 + 3 = 105V
よって答えはニの105Vです。
覚えるこの問題の覚え方
「奥から足していく」「電源側の区間ほど電流が大きい」「行きと帰りで2本ぶん」の3つです。区間ごとに電流×0.1Ω×2を計算し、奥の電圧に順番に足していきましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.102 … b〜cの区間だけ計算して止めてしまった人の数字です。102Vはb−b′の電圧で、a〜bの区間の3Vがまだ足されていません。
ロ.103 … 区間を分けずに、15Aが0.2Ωを1回だけ通ると考えた人の数字です。100+15×0.2=103Vという計算です。電線は2区間あるので、両方の区間の電圧降下を足す必要があります。
ハ.104 … bの負荷の5Aを見落とし、どちらの区間も10Aとした人の数字です。100+2+2=104Vという計算です。a〜bの区間には5Aと10Aの合計15Aが流れます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】単相2線式・単相3線式・三相3線式の違いをゼロから解説
問7
分野:配電理論(単相3線式の電圧降下)重要度 ★★☆
図のような単相 3 線式回路で,電線 1 線当たりの抵抗が r[Ω],負荷電流が I[A],中性線に流れる電流が 0 A のとき,電圧降下(Vs−Vr)[V]を示す式は。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
3本の電線で電気を送る単相3線式の回路で、電源側の電圧Vsと、負荷側の電圧Vrの差(電線で下がった電圧)を、式で表すとどうなるかを聞いています。カギは、まん中の電線(中性線)に電流が流れていないという条件です。
用語単相3線式(たんそう3せんしき)とは?
単相3線式とは、3本の電線で、100Vと200Vの両方を使えるように電気を送る方式のことです。一般的な住宅の引き込みで使われる方式です。図の左の「1φ3W 電源」がそれで、3Wは「3本の線」を表します。
なぜ?なぜ3本の電線で100Vと200Vの両方が使えるのか?
まん中の線と上の線のあいだが100V、まん中の線と下の線のあいだも100Vになっているからです。上の線と下の線のあいだでは、100V+100V=200Vが取り出せるわけです。図の上下2つの負荷は、それぞれ100Vのほうにつながっています。
用語中性線(ちゅうせいせん)とは?
中性線とは、単相3線式のまん中の電線のことです。上の負荷と下の負荷の両方にとっての共通の帰り道の役目をします。
なぜ?なぜ中性線の電流が0Aになるのか?
上の負荷と下の負荷に同じ大きさの電流Iが流れているからです。中性線には、上の負荷からの電流と下の負荷への電流が逆向きに重なり、打ち消し合って流れます。上下が同じ大きさなら差は0で、中性線には電流が流れません。図の「0 A」がそれを表しています。
用語VsとVrとは?
Vsは電源側(送る側)の電圧、Vrは負荷側(受ける側)の電圧です。どちらもまん中の線と、上(または下)の線のあいだの電圧を指しています。
なぜ?なぜVs−Vrが電圧降下になるのか?
電源から負荷まで電気が届くあいだに、電線の抵抗rで電圧が少しずつ下がるからです。送り出したときの電圧と、届いたときの電圧の差が、電線で失われた電圧=電圧降下になります。
上半分の回路だけを取り出して考える
上の負荷に注目します。電流の通り道は上の電線(行き)→上の負荷→中性線(帰り)です。この道の電線で、どれだけ電圧が下がるかを見ていきましょう。
なぜ?なぜ電圧が下がるのは上の電線1本だけなのか?
電圧降下は電流×抵抗で決まるからです。上の電線には電流Iが流れるのでI×r=rIだけ下がります。一方、帰り道の中性線は電流が0Aなので、0×r=0Vしか下がりません。合計すると、電圧降下はrIだけになります。
手順1 上の電線で下がる電圧 = 電流 × 抵抗 = rI
手順2 中性線で下がる電圧 = 0A × r = 0
手順3 電圧降下(Vs−Vr)= rI + 0 = rI
よって答えはハのrIです。
例数字を入れて確かめる
例えばr=0.1Ω、I=20Aとすると、上の電線で0.1×20=2V下がり、中性線では0V。電源側が105Vなら、負荷側は103Vになります。もし中性線にも20Aが流れていたら、さらに2V下がって101Vになるところです。中性線の電流が0だと、電圧降下が半分ですむことが分かります。
覚えるこの問題の覚え方
中性線0Aなら、下がるのは外側の電線1本ぶんだけ=rI。行きと帰りの2本で下がる単相2線式は2rI、三相3線式は√3rIです。「2線式は2、3線式(単相・中性線0A)は1、三相は√3」と並べて覚えましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.2rI … 単相2線式と同じように、行きと帰りの2本ぶんで下がると考えた人が選ぶ式です。帰り道の中性線は電流0なので、そこでは電圧が下がりません。
ニ.√3rI … 三相3線式の電圧降下の式です。この問題は「単相」3線式なので√3は出てきません。
ロ.3rI … 誤りです。電線が3本あるからといって3倍にはなりません。電流が流れている電線だけで電圧が下がります。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】単相2線式・単相3線式・三相3線式の違いをゼロから解説
問8
分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径 2.0 mm の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)5 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は 30 ℃以下,電流減少係数は 0.56 とする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
金属の管の中に、直径2.0mmの電線を5本まとめて通したとき、電線1本に流してよい電流の上限が何Aになるかを聞いています。電線の太さで決まる基本の値に、まとめて通したことによる割引き(電流減少係数)をかけるだけの問題です。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
許容電流とは、その電線に安全に流し続けてよい電流の上限のことです。単位はA(アンペア)です。
なぜ?なぜ電線に流してよい電流の上限があるのか?
電線に電流が流れると、電線の抵抗によって熱が出るからです。流しすぎるとビニルの被覆(まわりのカバー)が熱で傷み、火事の原因になります。
用語金属管工事とは?
金属管工事とは、鉄などでできた金属製の管の中に電線を通して配線する工事のことです。電線を外からの衝撃から守ることができます。
なぜ?なぜ管に入れると許容電流が小さくなるのか?
管の中は空気の通りが悪く、電線の熱が逃げにくいからです。しかも電線を何本もまとめると、おたがいの熱で温め合ってしまうのです。満員電車の中が暑くなるのと同じで、本数が多いほど熱がこもります。
用語600Vビニル絶縁電線(軟銅線)とは?
600Vビニル絶縁電線とは、600Vまでの電圧で使える、銅線をビニルで包んだ電線で、略してIV線と呼ばれます。「軟銅線(なんどうせん)」は、やわらかく加工した銅の線という意味です。
なぜ?なぜ「直径2.0mm」が大事な情報なのか?
許容電流の基本の値は電線の太さで決まっているからです。太い電線ほど抵抗が小さく熱が出にくいので、たくさんの電流を流せます。
用語電流減少係数とは?
電流減少係数とは、管の中に電線をまとめて入れたときに、許容電流をどれだけ減らすかを表す割合のことです。この問題では0.56(56%に減らす)と、問題文で与えられています。
なぜ?なぜ「周囲温度は30℃以下」と書いてあるのか?
許容電流はまわりの温度でも変わるからです。周りが暑いと熱が逃げにくくなり、許容電流はさらに小さくなるのです。30℃以下と決めておけば、温度による割引きは考えなくてよいことになります。
基本の許容電流は覚えておく必要がある
この問題では、直径2.0mmの電線の基本の許容電流は問題文に書かれていません。電線の太さと許容電流の組み合わせは、覚えておくべき数字です。
覚える単線(1本の銅線)の許容電流
直径1.6mm … 27A
直径2.0mm … 35A
直径2.6mm … 48A
なぜ?なぜ電線を管に入れる前の値から始めるのか?
表の値は電線を管などに入れず、熱が逃げやすい状態での上限だからです。まずこの値を出発点にして、管に入れた本数に応じて係数で割り引くという2段の考え方になっています。
手順1 直径2.0mmの電線の基本の許容電流 = 35A
手順2 5本まとめて管に入れたので、電流減少係数0.56をかける
手順3 35 × 0.56 = 19.6A
手順4 選択肢の中で19.6に最も近いのは19
よって答えはハの19Aです。問題用紙の最初には「選択肢が数値の場合は最も近い値を選びなさい」と書かれているので、19.6に最も近い19を選びます。
コツ35×0.56を楽に計算する
35×0.56は、35×0.5=17.5と35×0.06=2.1に分けて足すと、17.5+2.1=19.6と暗算しやすくなります。
覚えるこの問題の覚え方
「太さで基本の値、本数で割り引き」。基本の値は1.6mm=27A、2.0mm=35A、2.6mm=48Aの3つを丸ごと覚えましょう。あとは問題文の係数をかけるだけです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.27 … 直径1.6mmの基本の許容電流(27A)と同じ数字です。太さを取り違えたうえに、係数もかけていません。
ロ.15 … 1.6mmの27Aに係数をかけた人の数字です。27×0.56≒15.1Aになります。この問題の電線は2.0mmなので、出発点は35Aです。
イ.10 … 誤りです。35Aに0.56をかけた19.6Aが正しい値です。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電線とケーブルの種類・許容電流をゼロから解説
問9
分野:配線設計(幹線からの分岐)重要度 ★★★
図のように定格電流 100 A の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,6 m の位置に過電流遮断器を施設するとき,a−b 間の電線の許容電流の最小値[A]は。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
太い電線(幹線)の途中の点aから枝分かれさせ、6m先の点bにブレーカーを付けるとき、aからbまでの電線は、少なくとも何Aの許容電流が必要かを聞いています。距離によって決まる割合を覚えていれば、かけ算1回で解ける問題です。
用語幹線(かんせん)とは?
幹線とは、電源から各部屋へ電気を配る大もとの太い電線のことです。木の幹から枝が分かれるように、幹線から細い電線が枝分かれしていきます。図の横に太く描かれた線が幹線です。
なぜ?なぜ幹線は太いのか?
幹線は、枝分かれした先で使う電気をまとめて運ぶからです。多くの電流が流れても熱くなりすぎないよう、太い電線が使われます。
用語過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)とは?
過電流遮断器とは、決められた電流を超えたら、自動で電気を止める装置のことです。ブレーカーやヒューズがこれにあたります。図の四角にBと書かれた記号がそれで、幹線のものは定格電流100Aです。
なぜ?なぜ過電流遮断器が必要なのか?
電線に許容電流を超える電流が流れ続けると、熱で被覆が傷み、火事の原因になるからです。危険な電流になる前に電気を止めて、電線を守ります。
用語定格電流(ていかくでんりゅう)とは?
定格電流とは、その機器が決められた条件で使える電流の値のことです。過電流遮断器では、電流がこれを超えると動作して電気を止める目安の値を表します。
なぜ?なぜ枝分かれした電線の太さが問題になるのか?
点aからbまでの細い電線は、手前の100Aのブレーカーにしか守られていないからです。細い電線に50Aや80Aが流れても、100Aのブレーカーは切れません。そのため、bのブレーカーまでの電線にも一定以上の太さが求められます。
距離で変わる3つのルール
分岐点aからブレーカーbまでの距離によって、a−b間の電線に必要な許容電流が決められています。
覚える分岐する電線の許容電流のルール
3m以下 … 電線の太さの制限はなし
3mを超え8m以下 … 幹線の過電流遮断器の定格電流の35%以上
8mを超える … 幹線の過電流遮断器の定格電流の55%以上
なぜ?なぜ距離が長いほど太い電線が必要になるのか?
分岐点からブレーカーまでの電線は、bのブレーカーに守られていない区間だからです。その区間が長いほど、傷んだり、ショートしたりする可能性のある部分が長くなるからです。だから長いほど、電線そのものに熱への余裕を持たせるルールになっています。
手順1 分岐点aからブレーカーbまでの距離 = 図より6m
手順2 6mは3mを超え8m以下 → 使うルールは35%以上
手順3 幹線の過電流遮断器の定格電流 = 100A
手順4 必要な許容電流 = 100 × 0.35 = 35A
よって答えはロの35Aです。
なぜ?なぜ「最小値」が聞かれているのか?
ルールが「35%以上」だからです。35Aより大きい許容電流の電線なら何を使ってもかまいません。ぎりぎり許される下限を聞いているので、かけ算の結果がそのまま答えになります。
覚えるこの問題の覚え方
「3・8・35・55」の4つの数字です。3m以下は自由、8mまでは35%、それより先は55%。距離を読んだら、手前のブレーカーの数字に割合をかけるだけです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.55 … 55%のルールを使ってしまった人の数字です。100×0.55=55Aになります。6mは8m以下なので、使うのは35%です。
イ.25 / ハ.45 … どちらも誤りです。この問題で使う割合は35%(100×0.35=35)と55%(100×0.55=55)の2つだけで、25や45はどちらにも当てはまりません。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】幹線と分岐回路の決まりをゼロから解説
問10
分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器の定格電流とコンセントの組合せとして,不適切なものは。
答え・解説を見る
正解
ロ.30A(配線用遮断器)・15Aコンセント2個
この問題は何を聞いているの?
ブレーカー(配線用遮断器)の大きさと、そこにつなぐコンセントの大きさの組み合わせとして、ルールに合わないものを1つ選ぶ問題です。計算はありません。1つの対応表を覚えているかどうかで決まります。
用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?
分岐回路とは、幹線(大もとの太い電線)から枝分かれして、部屋のコンセントや照明につながる回路のことです。家の分電盤(ブレーカーが並んだ箱)から出ている1本1本が分岐回路です。
なぜ?なぜ回路を分けるのか?
1か所の故障で家中の電気が止まらないようにするためと、1つの回路で電気を使いすぎないようにするためです。台所・エアコン・照明を別の回路にしておけば、電子レンジでブレーカーが落ちても照明は消えません。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
配線用遮断器とは、決められた電流を超えたら自動で電気を止め、何度でも入れ直して使える装置のことです。一般にブレーカーと呼ばれる装置です。図では四角にBと書かれた記号で表し、横に定格電流(30A・20A)が書かれています。
なぜ?なぜ「配線用」と付いているのか?
守る相手が配線(電線)だからです。電線に流れすぎた電流を止めて、電線が熱で傷むのを防ぎます。
用語コンセントの定格電流とは?
コンセントの定格電流とは、そのコンセントに流してよい電流の上限のことです。15A・20A・30Aなどがあり、大きさによって差しこみ口の形も違います。
なぜ?なぜコンセントにも上限があるのか?
コンセントの中の金属の板や接触部分にも、流せる電流の限界があるからです。限界を超えると、接触部分が熱を持ち、溶けたり火花が出たりする危険があります。
覚えるのはブレーカーとコンセントの対応表
ブレーカーの大きさが決まると、付けてよいコンセントの範囲が決まります。この表をそのまま選択肢に当てはめましょう。
覚えるブレーカーとコンセントの組合せ
15Aのブレーカー … コンセント15A以下
20Aの配線用遮断器 … コンセント20A以下(15Aまたは20A)
30Aのブレーカー … コンセント20A以上30A以下
40Aのブレーカー … コンセント30A以上40A以下
50Aのブレーカー … コンセント40A以上50A以下
なぜ?なぜ30Aの回路に15Aのコンセントを付けてはいけないのか?
ブレーカーが守ってくれないからです。30Aの回路に15Aのコンセントを付けると、コンセントに20Aや25Aが流れて熱くなり始めても、ブレーカーは30Aを超えるまで切れません。コンセントの限界を超えたまま使われ続けるので、30Aの回路には20A以上のコンセントという決まりになっています。
なぜ?なぜ20Aの回路なら15Aのコンセントを付けてもよいのか?
表で20Aの配線用遮断器の回路は「コンセント20A以下」と決められているからです。15Aのコンセントは、一般家庭でよく見かけるタイプで、20Aの回路にはこの15Aを付けることが認められています。
選択肢を1つずつ表と照らし合わせる
例4つの選択肢を確かめる
イ 30A/30Aコンセント2個 … 30Aの回路は20A以上30A以下。30Aは範囲内 → 適切
ロ 30A/15Aコンセント2個 … 30Aの回路は20A以上30A以下。15Aは小さすぎる → 不適切
ハ 20A/20Aコンセント1個 … 20Aの回路は20A以下。20Aは範囲内 → 適切
ニ 20A/15Aコンセント2個 … 20Aの回路は20A以下。15Aは範囲内 → 適切
よって答えはロです。コンセントの個数(1個・2個)は答えに関係しません。見るのはブレーカーとコンセントの定格電流の組み合わせだけです。
覚えるこの問題の覚え方
コンセントの範囲は「ブレーカーの1つ下の段からブレーカーまで」(30Aなら20A〜30A、40Aなら30A〜40A)と、ずれた階段のイメージで覚えましょう。ただし20Aの配線用遮断器は「20A以下」で、15Aも付けられます。コンセントは大きすぎても小さすぎてもいけないのがポイントです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.20A・15Aコンセント2個 … 「30Aの回路に15Aは不可」と同じように、20Aの回路にも15Aは不可だと考えた人が選びやすい選択肢です。20Aの配線用遮断器の回路は「20A以下」なので、15Aを付けても問題ありません。
イ.30A・30Aコンセント2個 … コンセントが2個あるので電流が多すぎると考えた人が選びやすい選択肢です。表のルールは個数ではなくコンセント1個ずつの定格電流で判断します。
ハ.20A・20Aコンセント1個 … ブレーカーとコンセントが同じ20Aで、表のとおりの適切な組み合わせです。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】幹線と分岐回路の決まりをゼロから解説
📝 読んだあとは、解いて確かめる
令和元年度 上期 第二種電気工事士 学科(全50問)を、1問ずつ解いて答え合わせ
全50問。選択肢を選ぶとその場で正解・不正解と解説が出ます。登録も料金もいりません。
ドリルで解く →
この記事のまとめ
問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。
まとめこの10問で持ち帰ること
問1 回路の電圧 … 閉じたスイッチと並ぶ抵抗を消し、行き止まりの抵抗も消す。50Ωが2本の1本道で120Vの半分=60V
問2 電線の抵抗と許容電流 … 抵抗はLに比例・D²に反比例。許容電流は太いと大きく、周りが暑いと小さい
問3 電力量 … 熱の量=比熱×重さ×温度差=5040kJ。÷3600で1.4kW・h
問4 交流回路の電圧 … 8Ωと6Ωは√で合わせて10Ω。電流10A×8Ω=80V
問5 三相の消費電力 … Δなら200Vがそのまま。電流は10Ωで20A、電力は8Ωで3200W、3倍で9.6kW
問6 単相2線式の電圧降下 … 奥から足していく。2V+3Vで105V。電源側の区間ほど電流が大きい
問7 単相3線式の電圧降下 … 中性線0Aなら下がるのは外側の1本だけ=rI
問8 許容電流 … 2.0mm=35A。係数0.56をかけて19.6A→最も近い19A
問9 幹線からの分岐 … 3m以下は自由、8mまで35%、それより先は55%。6mなので100×0.35=35A
問10 分岐回路 … 30Aの回路のコンセントは20A〜30A。15Aは小さすぎて不適切
この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電流²×抵抗)でした。そこに交流の「√で合わせる」考え方と熱量の換算が加わり、残りは覚えた表や決まりに当てはめる問題です。新しい式を増やすより、この2本の使い方と表の数字に慣れることが近道になるでしょう。
出典
2019年度上期第二種電気工事士試験
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和元年度上期 全5記事)
▶ 問11〜20
材料・器具・工具(アウトレットボックス・ビニルコード・金属管工事の工具・誘導電動機の回転速度・パワーコンディショナ・写真の見分け・電線の接続)
▶ 問21〜30
施工・検査・法令(ルームエアコンの電路の工事・接地工事・金属管の末端・中性線の断線・漏えい電流・絶縁抵抗と接地抵抗・クランプ形漏れ電流計 ほか)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(図記号の名称・最少電線本数・絶縁抵抗・接地工事・工事の種類)
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(材料・工具・器具を写真から選ぶ)
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する