第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和3年度 上期・午後(2021年5月30日実施)の問21〜問30です。

ここは工事の方法・検査・法令の分野です。計算はほとんど出てきませんが、そのかわり数字と言葉の決まりごとが多く並んでいます。丸暗記しようとすると混ざりやすいので、この記事では「なぜその決まりがあるのか」を一つずつ書きました。理由が分かると、似た数字が並んでいても迷いにくくなります。

各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和3年度上期第二種電気工事士試験(午後)

用語この10問で問われている分野

問21 パイロットランプのつなぎ方 / 問22 D種接地工事を省略できる条件 / 問23 電流減少係数 / 問24 測定器とその用途 / 問25 絶縁抵抗計の使い方 / 問26 接地抵抗値と絶縁抵抗値 / 問27 アナログ計器とディジタル計器 / 問28 電気工事士でなければできない作業 / 問29 電気用品安全法 / 問30 電圧の区分

なぜ?なぜこの10問はまとめて勉強すると効率がいいのか?

同じ考え方が、角度を変えて何度も出てくるため。例えば問21〜23は「どうつなぎ、どう施設するか」、問24〜27は「何を、どの測定器で、どう測るか」、問28〜30は「どの法律が何を決めているか」です。問22と問26のように、接地の決まりが1回の試験で2問出ることもあるほどです。まとまりごとに整理すると、1つ覚えたことが隣の問題にも使えます。

問21

分野:施工(パイロットランプの結線)重要度 ★★★

図に示す一般的な低圧屋内配線の工事で,スイッチボックス部分の回路は。ただし,ⓐは電源からの非接地側電線(黒色),ⓑは電源からの接地側電線(白色)を示し,負荷には電源からの接地側電線が直接に結線されているものとする。
なお,パイロットランプは100 V用を使用する。
○ は確認表示灯(パイロットランプ)を示す。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問21 の問題図と選択肢の図。電源からスイッチボックスまでの配線図と、パイロットランプとスイッチのつなぎ方4通り(イ〜ニ)
イ.(図のイ)
ロ.(図のロ)
ハ.(図のハ)
ニ.(図のニ)
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正解

ロ.(図のロ)
この問題は何を聞いているの?

「スイッチの横に付ける小さなランプを、スイッチボックスの中でどうつなぐのが正しいか」を聞いています。4つの図は、どれもスイッチ1個とランプ1個をつないだものです。違うのは、ランプをどこからどこへつないでいるかだけです。

解くカギは、問題文の「確認表示灯」という言葉です。この言葉の意味が分かると、ランプがいつ光ればよいかが決まり、つなぎ方も1つに絞れます。

問題文の言葉を説明する

用語パイロットランプとは?

パイロットランプとは、スイッチと一緒に取り付ける、小さな表示用のランプのことです。部屋の照明ではなく、「いま電気が入っている」「スイッチはここにある」などを知らせるための目印として使うものです。図では白い丸(○)で描かれています。

用語確認表示灯(かくにんひょうじとう)とは?

確認表示灯とは、スイッチの先につながった器具(照明や換気扇など)が動いているときに光って、それを知らせるランプのことです。例えば、屋外の照明や換気扇のように、スイッチの場所から動いているかどうか見えにくい器具に使われます。

なぜ?なぜ「確認表示灯」だと、照明と同じときに光らせるのか?

「器具が動いていることを確認する」ためのランプだからです。照明が点いているときに光り、消えているときに消える。こうして初めて、ランプを見るだけで照明の状態が分かるというわけです。この光り方を同時点灯(どうじてんとう)といいます。

用語非接地側電線(ひせっちがわでんせん)と接地側電線とは?

家の中の100 Vの電気は、2本の電線で来ているのが一般的です。そのうち地面とつながっている(接地されている)ほうが接地側電線で、白い電線を使います。もう一方が非接地側電線で、こちらは黒い電線。電気の「押し出す力」がかかっているのは黒のほうだと考えてください。

用語負荷(ふか)とは?

負荷とは、電気を使って仕事をする器具のことです。この問題では、スイッチで点けたり消したりする照明などを指します。図の「(負荷へ)」は、「この線は照明などの器具へ行く」という意味です。

問題の図を読む

例左下の図を順に読む

1φ2W 100 V 電源 … 「1φ」は単相(たんそう)、「2W」は電線2本のこと。家庭用コンセントと同じ100 Vの電気が、2本の電線で来るという意味です。

斜線の入った丸 … 電線どうしをつなぐ中継点。ここで電源からの線が、器具へ行く線とスイッチへ行く線に分かれます。

四角に「イ」と書いた器具 … スイッチで点けたり消したりする負荷(照明など)。

点線の四角(スイッチボックス)の中の「○●」 … ○がパイロットランプ、●がスイッチ。上の「イ」は、イの器具を入り切りするスイッチだという意味です。

問題文には「負荷には電源からの接地側電線が直接に結線されている」とあります。つまり、白い線は中継点から負荷へ直接行っているということです。スイッチは黒い線の途中に入り、スイッチを通った線が負荷へ向かいます。

ランプの光り方は3種類ある

パイロットランプは、どこにつなぐかで光り方が変わるのが特徴です。試験でよく問われる3種類を、つなぎ方と一緒に並べます。

常時点灯(じょうじてんとう) … いつも光っている。ランプを黒(ⓐ)と白(ⓑ)の間に直接つなぐ。スイッチの入り切りに関係なく100 Vがかかる。

同時点灯(どうじてんとう) … 照明が点いているときだけ光る。ランプを「スイッチを通ったあとの線」と白(ⓑ)の間につなぐ。照明と横並び(並列)になる。

異時点灯(いじてんとう) … 照明が消えているときだけ光る。ランプをスイッチと横並びにつなぐ。暗い所でスイッチの場所を知らせるのに使う。

なぜ?なぜスイッチを通ったあとの線につなぐと、照明と同時に光るのか?

スイッチを入れたときだけ、その線に電気の押し出す力(100 V)が届くからです。スイッチが切れていれば、その線には電気が来ません。そこへランプの片方をつなぎ、もう片方を白い線につなげば、ランプは照明とまったく同じ条件で100 Vを受け取ります。だから、照明と一緒に点いて一緒に消えるのです。

選択肢を1つずつ確かめる

イ … ⓐ(黒)→スイッチ→ランプ→白(負荷へ)と、ランプとスイッチが1本道(直列)になっています。これでは照明にランプを通った電気しか届かず、正しく働きません。白い線を負荷へ戻している点も、問題文の条件と合いません。→ 誤り

ロ … ランプをⓑ(白)と、スイッチを通ったあとの赤い線(負荷へ)の間につないだ図です。スイッチを入れると赤い線に100 Vが届き、照明と同時にランプが光ります。→ 確認表示灯(同時点灯)=これが答え

ハ … ランプをⓐ(黒)とⓑ(白)の間に直接つないだ図です。これは常時点灯で、照明が消えていてもランプは光り続けます。→ 誤り

ニ … ランプをスイッチと横並びにつないだ図です。これは異時点灯で、照明が消えているときに光ります。→ 誤り

よって答えはロです。

間違えた人が選びやすいのはハ

ハはⓐとⓑの両方が出てきて、図もきれいに整っているため、正しく見えやすい図です。しかし黒と白の間に直接つなぐと、ランプは一日中光りっぱなしになります。

ランプが光り続けていては、照明が点いているかどうかの確認になりません。「確認表示灯」と書いてあれば、照明と一緒に点く同時点灯を選びましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「確認=照明と同時」「黒と白に直接=いつも」「スイッチと横並び=消えているとき」。図を見たら、まずランプの両端がどの線につながっているかを指でたどります。片方がスイッチを通ったあとの線、もう片方が白なら同時点灯です。

問22

分野:施工(D種接地工事の省略)重要度 ★★★

D種接地工事を省略できないものは。
ただし,電路には定格感度電流30 mA,動作時間0.1秒の漏電遮断器が取り付けられているものとする。

イ.乾燥した場所に施設する三相200 V(対地電圧200 V)動力配線を収めた長さ4 mの金属管。
ロ.乾燥した木製の床の上で取り扱うように施設する三相200 V(対地電圧200 V)誘導電動機の鉄台。
ハ.乾燥したコンクリートの床に施設する三相200 V(対地電圧200 V)ルームエアコンの金属製外箱部分。
ニ.乾燥した場所に施設する単相3線式100/200 V(対地電圧100 V)配線の電線を収めた長さ8 mの金属管。
答え・解説を見る
正解

ハ.乾燥したコンクリートの床に施設する三相200 V(対地電圧200 V)ルームエアコンの金属製外箱部分。
この問題は何を聞いているの?

「本来はアース(接地)が必要なものでも、条件しだいで省略できる。では4つのうち、省略できないものはどれか」を聞いています。

省略してよい条件は、「電技解釈(でんぎかいしゃく)」というルール集に書かれているものです。その条件と、選択肢の「乾燥」「木製の床」「対地電圧」「長さ」を1つずつ照らし合わせれば解けます。

問題文の言葉を説明する

用語接地(せっち)とは?

接地とは、機械の金属の部分や金属管を、電線で地面とつないでおくことです。「アース」ともいいます。電線の覆いが傷んで電気が金属に漏れても、電気を地面へ逃がして、人が触ったときの感電を防ぐのが役目です。

用語D種接地工事とは?

D種接地工事とは、300 V以下の低い電圧で使う機械の金属の部分などに行う接地のことです。接地にはA種・B種・C種・D種の4種類があり、住宅や小さな店の工事で一番よく出てくるのがD種です。

用語対地電圧(たいちでんあつ)とは?

対地電圧とは、電線と地面の間にかかる電圧のことです。例えば単相3線式100/200 V(一般的な住宅に来ている、電線3本の方式)では、2本の線の間は200 Vでも、どの線も地面との間は100 V以下です。これを「対地電圧100 V」と書きます。

なぜ?なぜ対地電圧が低いと接地を省略しやすいのか?

人が金属に触ったとき、体にかかるのは「その金属と地面の間の電圧」だからです。人は地面に立っているので、対地電圧が低いほど、感電したときの危険は小さくなるのです。そのため、ルールでは対地電圧150 V以下かどうかが、省略できるかどうかの分かれ目の1つになっています。

用語漏電遮断器(ろうでんしゃだんき)と定格感度電流とは?

漏電遮断器とは、電気が本来の道から漏れたときに、自動で電気を止める装置です。定格感度電流は「これだけ漏れたら止める」という値で、30 mAなら0.03 A漏れたら止まるという意味です(1 mA=1 Aの1000分の1)。

接地を省略できる主な条件

電技解釈では、機械の金属の部分の接地(第29条)と、金属管の接地(第159条)について、省略してよい場合を決めています。以下は、この問題に関係するものです。

機械の鉄台・外箱① … 対地電圧150 V以下の機械を、乾燥した場所に施設する場合。

機械の鉄台・外箱② … 乾燥した木製の床など、電気を通しにくいものの上で取り扱うように施設する場合(電圧の条件なし)。

機械の鉄台・外箱③ … 水気のある場所以外で、定格感度電流15 mA以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を付けた場合。

金属管① … 管の長さが4 m以下で、乾燥した場所に施設する場合(電圧の条件なし)。

金属管② … 対地電圧150 V以下で、管の長さが8 m以下のものを、乾燥した場所に施設する場合など。

なぜ?なぜ漏電遮断器の条件は「15 mA以下」なのか?

ごく小さな漏れでもすぐ止まるなら、触ったときの危険がとても小さくなるからです。そこでルールは、15 mA以下という特に敏感なものを付けたときだけ、接地を省略してよいとしています。この問題の漏電遮断器は30 mAなので、この条件は使えません。ここがひっかけです。

選択肢を1つずつ確かめる

イ … 金属管で、長さ4 m・乾燥した場所。金属管①に当てはまるので、対地電圧が200 Vでも省略できます。→ 省略できる

ロ … 電動機の鉄台で、乾燥した木製の床の上で取り扱う。機械②に当てはまるので、200 Vでも省略できます。→ 省略できる

ハ … エアコンの外箱で、対地電圧200 V(150 Vを超える)。床はコンクリートで、木製の床のように電気を通しにくいものとは扱われません。漏電遮断器も30 mAで、15 mA以下の条件を満たしません。→ 省略できない=これが答え

ニ … 金属管で、対地電圧100 V・長さ8 m・乾燥した場所。金属管②に当てはまります。→ 省略できる

よって答えはハです。

なぜ?なぜコンクリートの床では省略できないのか?

コンクリートは乾いて見えても、木ほど電気を通しにくい材料ではないからです。中に水分を含んでいたり、鉄筋や地面とつながっていたりするためです。そのため、コンクリートの上に立って金属の外箱に触ると、体を通って電気が地面へ流れるおそれがあります。

間違えた人が選びやすいのはイ

イも対地電圧200 Vなので、「150 Vを超えているから省略できない」と考えてしまいやすい選択肢です。しかし金属管は、長さ4 m以下で乾燥した場所なら、電圧に関係なく省略できます。

「金属管の4 m」と「機械の対地電圧150 V」は別々の条件です。混ぜないように、金属管か機械かを先に見分けましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「金属管:4 mなら電圧不問、8 mなら150 V以下」「機械:150 V以下か、木の床か、15 mAの漏電遮断器」。問題文に30 mAと書いてあったら、漏電遮断器の条件は使えないというひっかけだと気づきましょう。

問23

分野:施工(電流減少係数)重要度 ★★★

低圧屋内配線工事で,600Vビニル絶縁電線を合成樹脂管に収めて使用する場合,その電線の許容電流を求めるための電流減少係数に関して,同一管内の電線数と電線の電流減少係数との組合せで,誤っているものは。
ただし,周囲温度は30℃以下とする。

イ.2本 0.80
ロ.4本 0.63
ハ.5本 0.56
ニ.7本 0.49
答え・解説を見る
正解

イ.2本 0.80
この問題は何を聞いているの?

「1本の管の中に電線を何本も入れると、1本あたりに流してよい電流は減らさなければならない。その減らす割合(電流減少係数)の組合せで、間違っているのはどれか」を聞いています。

計算問題ではなく、本数と係数の対応を覚えているかを確かめる問題です。表を1つ覚えれば解けます。

問題文の言葉を説明する

用語600Vビニル絶縁電線とは?

600Vビニル絶縁電線とは、銅の線をビニルの覆い1枚で包んだ電線のことです。記号でIV(アイブイ)と呼ばれます。600 V以下で使えるという意味の名前で、管の中に通して使うのが一般的です。

用語合成樹脂管(ごうせいじゅしかん)とは?

合成樹脂管とは、プラスチックでできた、電線を通すための管のことです。電線をぶつかったり踏まれたりすることから守るために使います。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

許容電流とは、その電線に安全に流し続けてよい電流の上限のことです。電線は電流を流すと熱を持つもの。流しすぎると熱で覆いのビニルが傷み、火事の原因になります。そうならない上限が許容電流です。

例許容電流の例

直径1.6 mmのIV線 … 許容電流は27 A(周囲温度30℃以下で、管に入れずに使う場合)。

直径2.0 mmのIV線 … 許容電流は35 A。

太い電線ほど熱を逃がしやすく、たくさん流せます。

用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?

電流減少係数とは、電線を管に入れたとき、許容電流を何倍に減らすかを表す数です。例えば係数が0.70なら、もとの許容電流の0.7倍(7割)までしか流せません。

なぜ?なぜ管の中の電線が多いほど、流せる電流を減らすのか?

管の中では熱が逃げにくく、本数が多いほど熱がこもるからです。電線1本1本が熱を出し、それがせまい管の中にたまって、お互いを温め合います。そこで、本数が多いほど1本あたりの電流を減らして、熱を抑えるのです。満員電車の中が暑くなるのと同じイメージです。

電流減少係数の表(内線規程)

3本以下 … 0.70

4本 … 0.63

5本〜6本 … 0.56

7本〜15本 … 0.49

本数が増えるほど係数が小さくなることを確かめてください。いちばん少ない「3本以下」でも0.70です。2本だけ特別に大きい値、というものはありません。

実際に1回計算してみる

直径1.6 mmのIV線を3本、合成樹脂管に入れる場合

① もとの許容電流は27 A。

② 3本以下なので係数は0.70。

③ 27の0.7倍で18.9 A。

④ 小数点以下1位を七捨八入して19 A。これが1本あたりに流せる電流です。

このように、同じ電線でも管に入れると約7割に減るのです。本数がもっと増えれば、さらに減っていきます。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 2本 0.80 … 2本は「3本以下」に入るので、正しくは0.70です。0.80という値は表にありません。→ 誤り=これが答え

ロ 4本 0.63 … 表のとおり。→ 正しい

ハ 5本 0.56 … 5本〜6本は0.56。→ 正しい

ニ 7本 0.49 … 7本〜15本は0.49。→ 正しい

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすいのはニ

0.49は半分以下の小さな数なので、「さすがに減らしすぎでは?」と疑って選びやすい選択肢です。しかし7本〜15本は0.49で、表のとおりです。

イの0.80は、本数が少ないから大きめでよさそうに見える数字です。「少ないほど係数が大きい」という考え方自体は正しいので、表の一番上が0.70だと覚えておくことが大切です。

覚えるこの問題の覚え方

「3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56、7本以上0.49」。数字は0.70から始まって、0.07ずつ小さくなっていく(0.70→0.63→0.56→0.49)と覚えると楽です。

問24

分野:検査(測定器と用途)重要度 ★★☆

低圧回路を試験する場合の測定器とその用途の組合せとして,誤っているものは。

イ.回路計(テスタ) と 導通試験
ロ.検相器 と 三相回路の相順(相回転)の確認
ハ.電力計 と 消費電力量の測定
ニ.クランプ式電流計 と 負荷電流の測定
答え・解説を見る
正解

ハ.電力計 と 消費電力量の測定
この問題は何を聞いているの?

「測定器の名前と、その測定器で調べることの組合せで、合っていないのはどれか」を聞いています。4つの測定器それぞれについて、何を測る道具なのかが分かれば解ける問題です。

特に大事なのは、「電力」と「電力量」は別のものだという点です。ここを先に説明します。

「電力」と「電力量」の違い

用語電力(でんりょく)とは?

電力とは、電気がその瞬間に行っている仕事の大きさのことです。単位はW(ワット)。例えば「1000 Wのドライヤー」は、使っている間ずっと、1000 Wの勢いで電気を使うという意味です。

用語電力量(でんりょくりょう)とは?

電力量とは、電力を、使った時間の分だけ積み重ねたものです。単位はWh(ワット時)やkWh(キロワット時)です。1000 Wのドライヤーを2時間使えば、1000×2で2000 Wh=2 kWhになります。電気料金を決めるのは、この電力量です。

なぜ?なぜ電力と電力量を分けて考えるのか?

「勢い」と「合計」は、測り方も使い道も違うからです。車で例えると、電力は速度計の「時速60 km」、電力量は走った距離の「120 km」にあたります。速度計だけでは走った距離は分かりません。同じように、電力を測る計器では、使った電力量の合計は分かりません。

4つの測定器を説明する

用語回路計(テスタ)と導通試験とは?

回路計(かいろけい)とは、電圧・電流・抵抗などを、つまみを切り替えて1台で測れる測定器です。「テスタ」とも呼ばれる道具です。導通試験とは、電線が途中で切れずに、端から端まで電気が通るかを確かめる試験のことで、テスタの抵抗を測る機能などで調べます。

用語検相器(けんそうき)と相順とは?

三相(さんそう)とは、3本の電線で電気を送る方式で、工場やビルの大きなモーターに使います。3本の線には決まった順番(相順)があり、この順番を確かめる道具が検相器です。順番を間違えてつなぐと、モーターが逆向きに回ってしまいます。

用語電力計(でんりょくけい)とは?

電力計とは、その瞬間の電力(W)を測る計器です。いま何Wの勢いで電気を使っているかが分かります。

用語電力量計(でんりょくりょうけい)とは?

電力量計とは、使った電力量(Wh・kWh)を積み重ねて記録する計器です。家の外に付いている、電力会社が電気料金を計算するためのメーターがこれです。

用語クランプ式電流計とは?

クランプ式電流計とは、洗濯ばさみのように開く輪で電線をはさむだけで、流れている電流を測れる測定器です。「クランプ」は英語で「はさむ」という意味。負荷電流とは、照明などの器具(負荷)を動かすために流れている電流のことです。

なぜ?なぜクランプ式電流計は電線をはさむだけで電流が測れるのか?

電線に電流が流れると、そのまわりに磁気(磁石の力)が生まれるからです。クランプの輪はこの磁気を感じ取って、電流の大きさに直して表示します。電線を切ったり外したりしなくてよいので、動いている回路をそのまま測れるのが長所です。

選択肢を1つずつ確かめる

イ 回路計(テスタ)と導通試験 … テスタで電線が切れていないかを確かめられます。→ 正しい

ロ 検相器と三相回路の相順の確認 … 検相器は3本の線の順番を確かめる道具です。→ 正しい

ハ 電力計と消費電力量の測定 … 電力計が測るのはその瞬間の電力(W)です。消費電力量(Wh)を測るのは電力量計です。→ 誤り=これが答え

ニ クランプ式電流計と負荷電流の測定 … 電線をはさんで器具に流れる電流を測れます。→ 正しい

よって答えはハです。

間違えた人が選びやすいのはロ

検相器はふだん目にする機会が少ない道具なので、なじみのなさから選んでしまいやすい選択肢です。しかし「検相」=「相を検(しら)べる」と読めば、相順を確かめる道具だと分かります。

ハは「電力」と「電力量」の1文字違いを見落とすと正しく見えます。「量」が付いたら積み重ねた合計と、言葉の最後まで読みましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「電力計=いまの勢い(W)、電力量計=使った合計(Wh)」。車の速度計と走行距離計の関係と同じです。測定器の名前は漢字の意味どおりの用途であることが多いので、名前をよく読みましょう。

問25

分野:検査(絶縁抵抗計の使い方)重要度 ★★★

アナログ形絶縁抵抗計(電池内蔵)を用いた絶縁抵抗測定に関する記述として,誤っているものは。

イ.絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗計の電池容量が正常であることを確認する。
ロ.絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗測定のレンジに切り替え,測定モードにし,接地端子(E:アース)と線路端子(L:ライン)を短絡し零点を指示することを確認する。
ハ.電子機器が接続された回路の絶縁測定を行う場合は,機器等を損傷させない適正な定格測定電圧を選定する。
ニ.被測定回路に電源電圧が加わっている状態で測定する。
答え・解説を見る
正解

ニ.被測定回路に電源電圧が加わっている状態で測定する。
この問題は何を聞いているの?

「絶縁抵抗計という測定器の正しい使い方として、間違っている説明はどれか」を聞いています。測定の前の準備(イ・ロ)、測定電圧の選び方(ハ)、測定するときの回路の状態(ニ)が並ぶ構成です。

絶縁抵抗計が中で何をしている道具なのかが分かると、どれが間違いかが自然に見えてきます。

問題文の言葉を説明する

用語絶縁(ぜつえん)と絶縁抵抗とは?

絶縁とは、電気が流れてはいけない所へ漏れないように、電気を通しにくいもので隔てておくことです。電線のビニルの覆いがその役目をしています。絶縁抵抗とは、その覆いがどれだけ電気を通しにくいかを表す値で、大きいほど漏れにくく安全です。

用語絶縁抵抗計(ぜつえんていこうけい)とは?

絶縁抵抗計とは、電線と地面の間などに電圧をかけて、どれだけ電気が漏れるかから絶縁抵抗を測る測定器です。「メガー」とも呼ばれます。単位はMΩ(メガオーム)で、1 MΩは100万Ωです。

用語アナログ形(電池内蔵)とは?

アナログ形とは、針が動いて目盛りを指す方式のことです。電池内蔵とは、測定に使う電圧を、中の電池から作っているという意味です。

測定の前にすること

なぜ?なぜ測定の前に電池を確かめるのか?

絶縁抵抗計は、電池から作った電圧を回路にかけて測るからです。電池が弱っていると、決められた電圧が出ず、正しい値が出ません。そのため、多くの絶縁抵抗計には電池の残りを確かめる機能(バッテリーチェック)が付いています。

用語短絡(たんらく)と零点(れいてん)とは?

短絡とは、2つの端子を電線で直接つなぐことです。零点とは、目盛りの0の位置を指す言葉。絶縁抵抗計のE端子(接地側)とL端子(線路側)を短絡すれば、間の抵抗は0になるので、針が0を指すはずです。

なぜ?なぜ測る前にE端子とL端子を短絡して0を確かめるのか?

測定器そのものや、測定用のコードが正常かどうかを確かめるためです。短絡しても針が0を指さなければ、コードが切れているなどの不具合があります。そのまま測ると、本当は悪い絶縁を「良い」と読み違えるおそれがあるのです。

測定電圧の選び方

用語定格測定電圧とは?

定格測定電圧とは、絶縁抵抗計が測定のときに回路へかける電圧のことです。125 V・250 V・500 Vなどがあり、測る回路に合わせて切り替えます。

なぜ?なぜ電子機器がつながった回路では、測定電圧を選ぶ必要があるのか?

電子機器の部品は、高い電圧に弱いものがあるからです。必要以上に高い電圧をかけると、つながっている機器を壊してしまうおそれがあるのです。そのため、回路や機器に合った電圧を選んで測ります。

測定するときの回路の状態

絶縁抵抗の測定は、回路の電源を切った状態(停電させた状態)で行います。これがニの間違いです。

なぜ?なぜ電源を切ってから測らなければいけないのか?

絶縁抵抗計は、自分で作った電圧をかけて、そのときの電流から抵抗を求める道具だからです。回路に電源の100 Vなどがかかったままだと、その電圧も一緒に加わり、正しい値になりません。さらに、測定器を壊したり、作業する人が感電したりする危険もあります。

選択肢を1つずつ確かめる

イ … 測る前に電池が十分か確かめる。弱った電池では正しく測れません。→ 正しい

ロ … 測る前にE端子とL端子を短絡して、針が0を指すか確かめる。測定器とコードの点検です。→ 正しい

ハ … 電子機器がある回路では、機器を壊さない測定電圧を選ぶ。→ 正しい

ニ … 電源電圧が加わったまま測る。絶縁抵抗は電源を切ってから測ります。→ 誤り=これが答え

よって答えはニです。

間違えた人が選びやすいのはロ

ロは文が長く、「短絡」という言葉も出てくるので、「わざと短絡させるのはおかしい」と感じて選んでしまいやすい選択肢です。

しかしこれは、測る前の点検として端子どうしをつなぐだけです。回路を短絡させるわけではありません。0を指すのが正常と覚えておきましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「電池確認 → 端子を短絡して0確認 → 電源を切って測る」。絶縁抵抗計は自分で電圧を出す道具なので、よその電圧(電源)がかかっていてはいけない、と理由ごと覚えましょう。

問26

分野:検査(接地抵抗値と絶縁抵抗値)重要度 ★★★

使用電圧100 Vの低圧電路に,地絡が生じた場合0.1秒で自動的に電路を遮断する装置が施してある。この電路の屋外にD種接地工事が必要な自動販売機がある。その接地抵抗値a[Ω]と電路の絶縁抵抗値b[MΩ]の組合せとして,「電気設備に関する技術基準を定める省令」及び「電気設備の技術基準の解釈」に適合していないものは。

イ.a 600  b 2.0
ロ.a 450  b 1.0
ハ.a 200  b 0.2
ニ.a 50  b 0.1
答え・解説を見る
正解

イ.a 600  b 2.0
この問題は何を聞いているの?

「屋外の自動販売機のアース(接地)の抵抗値aと、電線の絶縁抵抗値bの組合せで、ルールに合っていないのはどれか」を聞いています。

決め手は2つの数字です。aは「いくつ以下」なら合格か、bは「いくつ以上」なら合格か。この2つの基準を覚えていれば、4つを順に当てはめるだけで解けます。

問題文の言葉を説明する

用語地絡(ちらく)とは?

地絡とは、電気が電線から外へ漏れて、地面のほうへ流れてしまうことです。電線の覆いが傷んだり、水がかかったりすると起こります。いわゆる「漏電」とほぼ同じ意味です。

用語「地絡が生じた場合0.1秒で自動的に電路を遮断する装置」とは?

漏電を感じたら、0.1秒で自動的に電気を止める装置のことです。一般には漏電遮断器がこれにあたります。

用語接地抵抗(せっちていこう)とは?

接地抵抗とは、アースの線から地面へ、電気がどれだけ流れにくいかを表す値です。単位はΩ(オーム)。小さいほど電気が地面へ逃げやすく、安全です。

用語絶縁抵抗(ぜつえんていこう)とは?

絶縁抵抗とは、電線の覆いなどが、どれだけ電気を通しにくいかを表す値です。単位はMΩ(メガオーム)で、1 MΩは100万Ωにあたります。大きいほど漏れにくく、安全です。

なぜ?なぜ接地抵抗は「小さいほどよい」のに、絶縁抵抗は「大きいほどよい」のか?

2つは役割が反対だからです。接地は漏れた電気をすばやく地面へ逃がす道なので、通りやすい(抵抗が小さい)ほうがよい。絶縁は電気を漏らさないための壁なので、通しにくい(抵抗が大きい)ほうがよいのです。だからaは「以下」、bは「以上」で基準が決まっています。

aの基準:D種接地工事の接地抵抗値

原則 … 100 Ω以下。

0.5秒以内に自動的に電気を止める装置がある場合 … 500 Ω以下まで認められる。

この問題の電路には0.1秒で止まる装置が付いています。0.1秒は0.5秒以内なので、接地抵抗は500 Ω以下ならよいということです。

なぜ?なぜすぐ止まる装置があると、接地抵抗が大きくてもよいのか?

漏電しても、すぐに電気が止まって危険な時間が短くなるからです。接地抵抗が大きいと、漏電したときに機械の金属部分に危険な電圧が残りやすくなるのが問題です。しかし0.5秒以内に電気そのものが止まれば、触ってしまう危険はかなり小さくなります。そのため基準がゆるめられているのです。

bの基準:低圧電路の絶縁抵抗値

対地電圧150 V以下 … 0.1 MΩ以上

対地電圧150 Vを超え、使用電圧300 V以下 … 0.2 MΩ以上

使用電圧300 V超 … 0.4 MΩ以上

対地電圧とは、電線と地面の間の電圧のことです。この問題は使用電圧100 Vなので、対地電圧は150 V以下です。よって絶縁抵抗は0.1 MΩ以上ならよいことになります。

選択肢を1つずつ確かめる

イ a 600 Ω、b 2.0 MΩ … bは0.1以上で合格。しかしaの600 Ωは500 Ωを超えています。→ 適合していない=これが答え

ロ a 450 Ω、b 1.0 MΩ … 450は500以下、1.0は0.1以上。→ 適合

ハ a 200 Ω、b 0.2 MΩ … 200は500以下、0.2は0.1以上。→ 適合

ニ a 50 Ω、b 0.1 MΩ … 50は500以下、0.1は「0.1以上」ちょうどで合格。→ 適合

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすいのはニ

ニはbが0.1 MΩと4つの中で一番小さいので、「足りないのでは」と感じて選びやすい選択肢です。しかし基準は「0.1 MΩ以上」なので、0.1ちょうどは合格です。

ロやハを選んだ人は、aの基準を「100 Ω以下」のまま当てはめた可能性があります。その考え方だと、ロ・ハ・イの3つが不合格になり、1つに絞れません。「0.5秒以内に止まる装置があれば500 Ω」という条件を思い出しましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「D種は100 Ω、すぐ止まれば500 Ω」「絶縁は0.1→0.2→0.4 MΩの倍々」。接地は小さいほど、絶縁は大きいほど安全という向きも、理由とセットで覚えておきましょう。

問27

分野:検査(アナログ計器とディジタル計器)重要度 ★★☆

アナログ計器とディジタル計器の特徴に関する記述として,誤っているものは。

イ.アナログ計器は永久磁石可動コイル形計器のように,電磁力等で指針を動かし,触れ角でスケールから値を読み取る。
ロ.ディジタル計器は測定入力端子に加えられた交流電圧などのアナログ波形を入力変換回路で直流電圧に変換し,次にA-D変換回路に送り,直流電圧の大きさに応じたディジタル量に変換し,測定値が表示される。
ハ.アナログ計器は変化の度合いを読み取りやすく,測定量を直感的に判断できる利点を持つが,読み取り誤差を生じやすい。
ニ.電圧測定では,アナログ計器は入力抵抗が高いので被測定回路に影響を与えにくいが,ディジタル計器は入力抵抗が低いので被測定回路に影響を与えやすい。
答え・解説を見る
正解

ニ.電圧測定では,アナログ計器は入力抵抗が高いので被測定回路に影響を与えにくいが,ディジタル計器は入力抵抗が低いので被測定回路に影響を与えやすい。
この問題は何を聞いているの?

「針で示す計器(アナログ)と、数字で示す計器(ディジタル)の特徴について、間違っている説明はどれか」を聞いています。

イ・ロはしくみ、ハは読みやすさ、ニは測る相手への影響の話です。特にニの「入力抵抗」という言葉が分かるかどうかが、この問題のカギになります。

問題文の言葉を説明する

用語アナログ計器とディジタル計器とは?

アナログ計器とは、針が動いて目盛りを指すことで値を示す計器です。ディジタル計器とは、値を数字で表示する計器です。時計で例えると、針の時計がアナログ、数字だけの時計がディジタルにあたります。

用語永久磁石可動コイル形計器とは?

永久磁石可動コイル形計器とは、磁石の間に、回転できるコイル(電線を巻いたもの)を置いた計器です。コイルに電流が流れると、磁石の力(電磁力)でコイルが回り、付いている針が動くしくみです。電流が大きいほど針は大きく振れます。

用語振れ角(ふれかく)とスケールとは?

振れ角とは、針が0の位置からどれだけ回ったかの角度です。スケールとは目盛り板のことです。アナログ計器は、針が目盛りのどこを指しているかを見て値を読みます。

用語A-D変換(エーディーへんかん)とは?

A-D変換とは、連続して変わる量(アナログ)を、数字(ディジタル)に置き換えることです。Aはアナログ、Dはディジタルの頭文字です。ディジタル計器は、測った電圧をいったん直流の電圧にそろえてから、この変換で数字にして表示します。

「入力抵抗」とは何か

用語入力抵抗(にゅうりょくていこう)とは?

入力抵抗とは、計器を回路につないだとき、計器の中を電流がどれだけ流れにくいかを表す値です。電圧を測るときは、計器を測りたい場所に横並び(並列)につなぐので、計器の中にも少し電流が流れ込みます。

なぜ?なぜ電圧計は入力抵抗が高いほうがよいのか?

計器に流れ込む電流が少ないほど、測る相手の回路を乱さないからです。入力抵抗が低いと、計器そのものが電流を横取りしてしまい、回路の電圧が変わってしまいます。体温計を当てたせいで体温が下がっては、正しく測れません。それと同じで、電圧計は「流れ込みにくい(入力抵抗が高い)」ほど正確です。

一般に、入力抵抗が高いのはディジタル計器のほうです。アナログ計器は針を動かすためにコイルへ電流を流す必要があるので、ディジタル計器より入力抵抗が低くなりやすいのです。

選択肢を1つずつ確かめる

イ … アナログ計器は電磁力で針を動かし、振れ角を目盛りで読む。しくみの説明として正しい内容です。→ 正しい

ロ … ディジタル計器は交流などを直流の電圧に直し、A-D変換で数字にして表示する。→ 正しい

ハ … 針の動きで増えているか減っているかがひと目で分かるのがアナログの長所。一方で、目盛りの読み方で誤差が出やすい。→ 正しい

ニ … アナログとディジタルが逆です。入力抵抗が高く回路に影響を与えにくいのはディジタル計器のほうです。→ 誤り=これが答え

よって答えはニです。

なぜ?なぜアナログ計器は読み取り誤差が出やすいのか?

針と目盛りを、人の目で見比べて読むからです。斜めから見ると、針が実際とずれた目盛りに重なって見えます。目盛りと目盛りの間を読むときも、人によって読み方が変わりがちです。ディジタル計器は数字がそのまま出るので、この種の誤差は起きません。

間違えた人が選びやすいのはロ

ロは文がとても長く、「A-D変換回路」など見慣れない言葉が並ぶため、どこかが間違っていそうに見えます。しかし中身は、「交流→直流にそろえる→数字に変える→表示する」という順番の説明で、正しい内容です。

長くて難しそうな文が誤りとは限りません。ニのように、2つのものを比べる文は「逆になっていないか」を確かめるのが近道です。

覚えるこの問題の覚え方

「アナログ=変化が見やすい・読み誤りが出やすい」「ディジタル=入力抵抗が高い・回路を乱しにくい」。電圧計は流れ込みにくいほど正確、と理由から思い出せるようにしましょう。

問28

分野:法令(電気工事士法)重要度 ★★★

「電気工事士法」において,一般用電気工作物に係る工事の作業で,a,bともに電気工事士でなければ従事できないものは。

イ.a:配電盤を造営材に取り付ける。
  b:電線管を曲げる。
ロ.a:地中電線用の管を設置する。
  b:定格電圧100 Vの電力量計を取り付ける。
ハ.a:電線を支持する柱を設置する。
  b:電線管に電線を収める。
ニ.a:接地極を地面に埋設する。
  b:定格電圧125 Vの差込み接続器にコードを接続する。
答え・解説を見る
正解

イ.a:配電盤を造営材に取り付ける。
  b:電線管を曲げる。
この問題は何を聞いているの?

「家などの電気工事の中で、電気工事士の資格を持つ人でなければやってはいけない作業はどれか。aとbの両方が資格の必要な作業になっている組合せを選べ」という問題です。

資格がいらない作業は、法令で「軽微な作業」「軽微な工事」として決められているのです。8つの作業を「資格が必要/いらない」に分けることができれば解けます。

問題文の言葉を説明する

用語電気工事士法とは?

電気工事士法とは、電気工事の欠陥による災害(感電や火事)を防ぐために、電気工事をしてよい人や、守るべきことを決めた法律です。

用語一般用電気工作物(いっぱんようでんきこうさくぶつ)とは?

一般用電気工作物とは、電力会社から低い電圧(600 V以下)のまま電気を受けて使う、一般的な住宅や小さなお店の電気設備のことです。第二種電気工事士が工事できる範囲がこれです。

用語造営材(ぞうえいざい)とは?

造営材とは、建物を形づくっている材料のことです。柱・壁・天井・床などを思い浮かべてください。「造営材に取り付ける」は「壁などに固定する」という意味です。

なぜ?なぜ資格がいる作業と、いらない作業に分けられているのか?

作業を間違えたときに、感電や火事につながるかどうかで分けられているからです。電線を壁に固定したり、電線管を曲げたりする作業は、やり方を誤ると電線が傷ついて漏電や火事の原因になります。反対に、柱を立てるだけ、管を埋めるだけの作業は、それ自体で電気の事故になりにくいのです。

8つの作業を1つずつ分ける

用語配電盤(はいでんばん)とは?

配電盤とは、電気をいくつもの回路に分けて送り出すための、ブレーカーなどをまとめた盤のことです。これを壁などに取り付ける作業は、資格が必要です。

配電盤を造営材に取り付ける … 資格が必要

電線管を曲げる … 資格が必要(電線管を曲げる・ねじを切る・つなぐ作業)

電線管に電線を収める … 資格が必要

接地極を地面に埋設する … 資格が必要(接地極=地面に埋めるアース用の金属の棒や板)

地中電線用の管を設置する … 資格はいらない(軽微な作業)

電線を支持する柱を設置する … 資格はいらない(軽微な作業)

電力量計を取り付ける … 資格はいらない(軽微な工事)

600 V以下の差込み接続器にコードを接続する … 資格はいらない(軽微な工事)

用語差込み接続器(さしこみせつぞくき)とは?

差込み接続器とは、コンセントやプラグのように、差し込んで電気をつなぐ器具のことです。定格電圧125 Vは、125 Vまでの電圧で使えるという意味で、600 V以下にあたります。

なぜ?なぜ電力量計の取り付けは資格がいらないのか?

電力量計(電気の使用量を測るメーター)の取り付けは、法令で「軽微な工事」とされているからです。ただし、電力量計まで電線を引いてくる工事は別で、資格が必要です。

選択肢を1つずつ確かめる

イ … a 配電盤の取り付け=必要、b 電線管を曲げる=必要。両方とも資格が必要です。→ これが答え

ロ … a 地中電線用の管=いらない、b 電力量計=いらない。→ 誤り

ハ … a 電線を支持する柱=いらない、b 電線管に電線を収める=必要。→ 誤り(片方だけ)

ニ … a 接地極の埋設=必要、b 差込み接続器にコード=いらない。→ 誤り(片方だけ)

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすいのはニ

ニのaの接地極の埋設は資格が必要なので、「aが正しいからニ」と飛びつきやすい選択肢です。しかしbのコードを差込み接続器につなぐ作業は軽微な工事で、資格はいりません。

この問題は「a,bともに」と聞いています。片方だけで決めず、必ず両方を確かめましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「電線・電線管・配電盤・接地に手を加える作業は資格が必要」「柱・地中の管・メーター・コードのつなぎは資格なし」。迷ったら、作業を間違えたときに感電や火事につながるかを考えると判断しやすくなります。

問29

分野:法令(電気用品安全法)重要度 ★★★

「電気用品安全法」について述べた記述で,正しいものは。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問29 の選択肢ロ。丸の中にPSとEを書いた記号を含む「特定電気用品には,〜または(PS)Eの表示が付されている。」の文
イ.電気工事士は,適法な表示が付されているものでなければ,電気用品を電気工作物の設置等の工事に使用してはならない(経済産業大臣の承認を受けた特定の用途に使用される電気用品を除く)。
ロ.特定電気用品には,〔丸の中にPSとEを書いた記号(下の図)〕または(PS)Eの表示が付されている。
ハ.定格使用電圧100 Vの漏電遮断器は特定電気用品以外の電気用品である。
ニ.電気工作物の部分となり,又はこれに接続して用いられる機械,器具又は材料はすべて電気用品である。
答え・解説を見る
正解

イ.電気工事士は,適法な表示が付されているものでなければ,電気用品を電気工作物の設置等の工事に使用してはならない(経済産業大臣の承認を受けた特定の用途に使用される電気用品を除く)。
この問題は何を聞いているの?

「電気用品安全法という法律について、正しい説明はどれか」を聞いています。

ポイントは3つです。①電気工事士は表示のない電気用品を工事に使えない、②「特定電気用品」とそれ以外では表示の形が違う、③電気用品は法令で決められたものだけ。この3つを押さえれば解けます。

問題文の言葉を説明する

用語電気用品安全法とは?

電気用品安全法とは、電気製品や配線の材料などが原因の感電や火事を防ぐために、作り方・売り方・使い方を決めた法律です。基準を満たした製品には「PSE」という表示が付けられます。

用語電気用品(でんきようひん)とは?

電気用品とは、家などの電気設備の部分になったり、それにつないで使ったりする機械・器具・材料のうち、政令(国が決めた決まり)で指定されたものです。電線、ブレーカー、コンセント、家電製品などが指定されています。

用語特定電気用品(とくていでんきようひん)とは?

特定電気用品とは、電気用品の中でも、特に危険が起きやすく、より厳しい検査を受けなければならないものです。例えば電線、ヒューズ、配線用遮断器、漏電遮断器、コンセントなど、住宅の配線に組み込まれる部品の多くがこれにあたります。

なぜ?なぜ特定電気用品は、それ以外の電気用品と分けられているのか?

壊れたときの危険が大きく、しかも壁の中などに組み込まれて、ふだん目で確かめられないものが多いからです。そこで、国に登録された検査機関の検査を受けるなど、より厳しい手続きが求められるのです。その違いが、表示の形の違いとして現れています。

PSEマークの形の違い

特定電気用品 … ひし形(◇)の中にPSE。文字で書く場合は<PS>E。

特定電気用品以外の電気用品 … 丸(○)の中にPSE。文字で書く場合は(PS)E。

選択肢ロの記号は丸の中にPSとEです。これは特定電気用品以外の表示なので、ロは誤りになります。

覚えるひし形と丸の見分け方

特定電気用品は、より厳しい検査を受けるもの=角(かど)のあるひし形。それ以外は丸。「厳しいほうはとがっている」と覚えると区別しやすくなります。

選択肢を1つずつ確かめる

イ … 電気用品安全法では、電気工事士はPSEなどの表示が付いた電気用品でなければ、工事に使ってはいけないと決められています。カッコの中の例外も法律のとおりです。→ 正しい=これが答え

ロ … 丸の中のPSE、(PS)Eは「特定電気用品以外」の表示です。特定電気用品はひし形のPSE、<PS>Eです。→ 誤り

ハ … 漏電遮断器は特定電気用品に指定されています。「特定電気用品以外」ではありません。→ 誤り

ニ … 電気用品は、電気設備に使う物のうち「政令で定めるもの」だけです。「すべて」ではありません。→ 誤り

よって答えはイです。

なぜ?なぜ電気工事士は、表示のない電気用品を使ってはいけないのか?

検査を通っていない部品を壁の中などに組み込むと、後から問題に気づきにくいからです。電気工事士は安全な工事をする責任を持つ人です。そのため法律で、基準を満たした証であるPSE表示の付いたものだけを使うよう決められています。

間違えた人が選びやすいのはロ

ロは「PSE」「(PS)E」という、実際に使われている表示が書かれているので、正しく見えやすい選択肢です。しかし形が丸なので、特定電気用品以外の表示です。

表示があるかどうかではなく、ひし形か丸かを見るのがポイントです。

覚えるこの問題の覚え方

「電気工事士は表示のないものを使えない」「特定=ひし形・それ以外=丸」「漏電遮断器・配線用遮断器は特定」「電気用品は政令で決めたものだけ」。「すべて」という言葉が出たら、本当に例外がないかを疑いましょう。

問30

分野:法令(電圧の区分)重要度 ★★★

「電気設備に関する技術基準を定める省令」で定められている交流の電圧区分で,正しいものは。

イ.低圧は600 V以下,高圧は600 Vを超え10 000 V以下
ロ.低圧は600 V以下,高圧は600 Vを超え7 000 V以下
ハ.低圧は750 V以下,高圧は750 Vを超え10 000 V以下
ニ.低圧は750 V以下,高圧は750 Vを超え7 000 V以下
答え・解説を見る
正解

ロ.低圧は600 V以下,高圧は600 Vを超え7 000 V以下
この問題は何を聞いているの?

「交流の電気は、電圧の大きさで『低圧』『高圧』などに分けられている。その境目の数字として正しいものはどれか」を聞いています。

選択肢に出てくる数字は600・750・7 000・10 000の4つです。交流と直流で境目が違うことが、ひっかけになっています。

問題文の言葉を説明する

用語「電気設備に関する技術基準を定める省令」とは?

この省令は、電気設備が守らなければならない安全の基準を、国が決めたものです。「電技(でんぎ)」と略される省令です。電圧の区分も、この省令の第2条で決められています。

用語交流(こうりゅう)と直流(ちょくりゅう)とは?

交流とは、家庭用コンセントに来ている電気のように、プラスとマイナスが1秒間に100回以上も入れ替わる電気です。直流とは、乾電池のように、一方向にだけ流れる電気です。

用語低圧・高圧・特別高圧とは?

電気は、電圧が高いほど感電したときの危険が大きくなるもの。そのため、電圧の大きさで低圧・高圧・特別高圧の3つに分け、それぞれに合った安全のルールを決めています。

電圧の区分(電技 第2条)

低圧 … 交流は600 V以下、直流は750 V以下

高圧 … 交流は600 Vを超え7 000 V以下、直流は750 Vを超え7 000 V以下

特別高圧 … 交流・直流とも7 000 Vを超えるもの

つまり、低圧と高圧の境目は交流と直流で違い(600 Vと750 V)、高圧と特別高圧の境目は同じ7 000 Vです。

例身近な電圧で確かめる

家庭用コンセントの100 V、エアコンなどの200 V … 600 V以下なので低圧。

電柱の上の太い電線の6 600 V … 600 Vを超え7 000 V以下なので高圧。電柱の変圧器で100 Vや200 Vに下げてから家に引き込んでいます。

なぜ?なぜ電柱の電線は6 600 Vなのに「高圧」で、特別高圧ではないのか?

高圧の上限が7 000 Vだからです。6 600 Vは7 000 Vより小さいので、高圧の範囲に入るわけです。住宅街の電柱で一般的な6 600 Vが高圧に入るように覚えておくと、7 000という数字を思い出しやすくなります。

選択肢を1つずつ確かめる

イ … 低圧600 V以下は正しい。しかし高圧の上限10 000 Vが誤り(正しくは7 000 V)。→ 誤り

ロ … 低圧600 V以下、高圧は600 Vを超え7 000 V以下。交流の区分として正しい。→ 正しい=これが答え

ハ … 750 Vは直流の境目です。高圧の上限10 000 Vも誤り。→ 誤り

ニ … 高圧の上限7 000 Vは正しい。しかし750 Vは直流の境目で、交流では600 Vです。→ 誤り

よって答えはロです。

間違えた人が選びやすいのはニ

ニは750と7 000という、実際に法令に出てくる数字だけでできているため、正しく見えやすい選択肢です。しかし750 Vは直流の低圧の上限です。問題文は「交流の電圧区分」と聞いています。

問題文の「交流」「直流」の言葉を必ず確かめることが、このひっかけを避けるコツです。

覚えるこの問題の覚え方

「交流600、直流750、上はどちらも7 000」。家のコンセントは低圧、電柱の6 600 Vは高圧と、身近な電圧に当てはめて覚えましょう。

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この記事のまとめ

問21〜30は施工の決まり・検査・法令の分野でした。計算がないぶん、数字と言葉を正確に覚えているかが得点を左右します。下に、この10問から持ち帰ってほしいことをまとめました。

まとめこの10問で持ち帰ること

問21 パイロットランプ … 確認表示灯=照明と同時に光る(同時点灯)。ランプをスイッチを通ったあとの線と白い線の間につなぐ。黒と白に直接なら常時点灯、スイッチと横並びなら異時点灯。

問22 D種接地工事の省略 … 金属管は4 m以下・乾燥なら電圧不問、8 m以下なら対地電圧150 V以下。機械は150 V以下・乾燥か、木の床か、15 mA・0.1秒の漏電遮断器。30 mAでは省略できない。

問23 電流減少係数 … 3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56、7〜15本0.49。0.07ずつ小さくなる。

問24 測定器 … 電力計=その瞬間の電力(W)、電力量計=使った合計(Wh)。検相器は三相の相順、クランプ式電流計は電線をはさんで電流を測る。

問25 絶縁抵抗計 … 電池確認→E・L端子を短絡して0確認→電源を切って測る。電子機器がある回路は測定電圧を選ぶ。

問26 接地抵抗と絶縁抵抗 … D種は100 Ω以下、0.5秒以内に止まる装置があれば500 Ω以下。絶縁抵抗は対地電圧150 V以下で0.1 MΩ以上。

問27 アナログとディジタル … 入力抵抗が高く回路を乱しにくいのはディジタル。アナログは変化が見やすいが読み取り誤差が出やすい。

問28 電気工事士法 … 配電盤の取り付け・電線管を曲げる・電線管に電線を収める・接地極の埋設は資格が必要。柱・地中の管・電力量計・差込み接続器へのコード接続は不要。

問29 電気用品安全法 … 電気工事士は表示のない電気用品を工事に使えない。特定=ひし形PSE、それ以外=丸PSE。漏電遮断器は特定電気用品。

問30 電圧の区分 … 交流は低圧600 V以下、高圧7 000 V以下、それを超えると特別高圧。750 Vは直流の境目。

コツこの分野を伸ばすコツ

測定器や部品は、名前の意味から使い道を考えることです。検相器=相を検べる/電力量計=電力量を計る/確認表示灯=動いていることを確認する灯——名前の中に答えのヒントが入っていることが多くあります。

なぜ?なぜ数字や名前だけを丸暗記するのは危ないのか?

理由を知らないと、条件を少し変えられただけで迷うからです。問22の「30 mAの漏電遮断器」も、「省略できるのは15 mA以下の敏感なものだけ」と分かっていれば、ひっかけに気づけるでしょう。「なぜそうするのか」とセットで覚えると、本番で迷いにくくなります。

出典

令和3年度上期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和3年度上期 午後 全5記事)

▶ 問1〜10
計算と配線の設計

▶ 問11〜20
材料・器具・工具と施工方法(写真で名前や用途を答える問題を含む)

▶ 配線図 問31〜40
配線図の読み取り(図記号・施工方法など)

▶ 配線図 問41〜50
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用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

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電圧・電流・抵抗のきほんから

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電力・電力量・熱量

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VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

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幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

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「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

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