この記事でわかること
令和4年度・1級管工事施工管理技士「1次検定 A⑪〜⑳」の問題と、初学者にもわかるやさしい解説です。出題分野は、電気設備・建築・空調設備・熱負荷・自動制御・コージェネレーションです。
問11
分野:電気重要度 ★★★
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)低圧(電圧の区分) ▶交流では600V以下、直流では750V以下
(2)単相3線式 ▶3本の電線で標準電圧100Vと200Vを使用できる電気方式
(3)D種
接地工事 ▶300Vを超える電路に施設する接地抵抗値10Ω以下の接地工事
(4)
スターデルタ始動方式 ▶始動時の電流およびトルクが全電圧始動に対して1/3になる始動方式
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電気の基礎用語と数値を問う問題です。電圧の区分・接地工事の種類・始動方式など、数字とセットで覚えているかがカギになります。
⭕(1)低圧(電圧の区分) ▶交流では600V以下、直流では750V以下
正しい記述です。低圧は、交流600V以下・直流750V以下と定められています。
低圧とは?
電気は電圧の高さで低圧・高圧・特別高圧に分けられます。低圧はもっとも電圧が低い区分で、一般の住宅や事務所で使われます。
数字がまぎらわしいですが、交流は600、直流は750とそのまま暗記しましょう。直流のほうが数字が大きい点に注意です。
⭕(2)単相3線式 ▶3本の電線で標準電圧100Vと200Vを使用できる電気方式
正しい記述です。単相3線式は、3本の電線で100Vと200Vの両方を取り出せる電気方式です。
一般の住宅で広く使われ、照明やコンセントは100V、エアコンやIH調理器は200Vと使い分けられます。問題文は正しい内容です。
❌(3)D種接地工事 ▶300Vを超える電路に施設する接地抵抗値10Ω以下の接地工事
「300Vを超える電路・接地抵抗値10Ω以下」はC種接地工事の内容で、これが誤りです。D種接地工事は、300V以下の低圧機器に施す工事で、接地抵抗値は100Ω以下です(漏電遮断器が0.5秒以内に動作する場合は500Ω以下)。
接地工事とは?
機器の金属部分を地面とつないで、漏電したときに電気を地面へ逃がし、感電を防ぐ工事です。電圧に応じてA〜D種に分かれます。
C種とD種は名前も数字も似ていてまぎらわしいですが、D種=300V以下・100Ω以下/C種=300V超・10Ω以下と対で覚えましょう。問題文はこの2つを入れかえています。
A〜D種接地工事のちがい(早見表)
| 種類 | どんな機器に施す?(電圧区分) | 接地抵抗値(小さいほど安全) |
|---|
| A種 | 高圧・特別高圧の機器の鉄台や金属製の外箱など | 10Ω以下 |
| B種 | 変圧器の高圧側と低圧側がふれ合う事故(混触)を防ぐために低圧側に施す | 150/I Ω以下(Iは1線地絡電流。条件で300/I・600/Iも) |
| C種 | 300Vを超える低圧の機器の金属製外箱など | 10Ω以下 (0.5秒以内に切れる漏電遮断器があれば500Ω以下) |
| D種 | 300V以下の低圧の機器の金属製外箱など | 100Ω以下 (0.5秒以内に切れる漏電遮断器があれば500Ω以下) |
覚え方のコツ…A種=高圧で10Ω、D種=300V以下で100Ωをまず固定。C種はD種の「300V超」版。電圧が高いぶん、許される抵抗値はD種の100ΩよりさらにきびしいC種の10Ω(小さいほど電気が地面へ逃げやすく安全)です。B種だけは数字でなく「混触を防ぐ変圧器用」と役割で覚えると混同しません。
接地のA〜D種のちがいや「なぜ抵抗値は小さいほど厳しいのか」をもっと詳しく知りたい方は、下記の記事が参考になります。
👉 この用語をもっとくわしく接地(アース)とは?感電を防ぐ仕組みを初心者にもやさしく図解⭕(4)スターデルタ始動方式 ▶始動時の電流およびトルクが全電圧始動に対して1/3になる始動方式
正しい記述です。スターデルタ始動方式は、始動時の電流とトルクを、全電圧で始動する場合の1/3におさえる方式です。
モーターは始動の瞬間に大きな電流が流れます。そのままだと電気設備に負担がかかるため、大きなモーターは電流をおさえて始動します。問題文は正しい内容です。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(3)です。300V超・10Ω以下はC種接地工事の内容で、D種接地工事(300V以下・100Ω以下)ではない点がひっかけです。
問12
分野:電気重要度 ★★☆
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)同一電線管に多数の電線を収納すると許容電流は増加する。
(2)同一ボックス内に低圧の電線と弱電流電線を収納する場合は、直接接触しないように隔壁を設ける。
(3)電動機端子箱への電源接続部には、金属製可とう電線管を使用する。
(4)回路の遮断によって公共の安全に支障が生じる回路には、漏電遮断器に代えて漏電警報器をもうけることができる。
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電気配線・配管の施工に関する問題です。許容電流・隔壁・可とう電線管・漏電警報器など、それぞれの理由まで押さえましょう。
❌(1)同一電線管に多数の電線を収納すると許容電流は増加する。
「増加する」が誤りです。正しくは、放熱が悪くなるため許容電流はむしろ減少します。
許容電流とは?
電線に安全に流せる電流の上限です。これをこえると電線が過熱して危険なため、太さや放熱の条件で決められています。
同じ電線管に電線を多数つめこむと、たがいの発熱がこもって温度が上がりやすくなります。熱を逃がしにくくなるぶん、安全に流せる電流(許容電流)は減ります。「たくさん入れる=放熱が悪い=流せる電流は減る」と理解しましょう。
⭕(2)同一ボックス内に低圧の電線と弱電流電線を収納する場合は、直接接触しないように隔壁を設ける。
正しい記述です。低圧の電線と弱電流電線を同じボックスに収める場合は、直接ふれないよう隔壁(しきり)を設けます。
弱電流電線(電話・LANなど)に強い電気が混じると誤作動や故障の原因になります。だから物理的に分けて、影響しないようにします。
⭕(3)電動機端子箱への電源接続部には、金属製可とう電線管を使用する。
正しい記述です。モーター(電動機)の端子箱への接続部には、金属製可とう電線管を使います。
金属製可とう電線管とは?
自由に曲げられる、じゃばら状の金属の電線管です。機器の振動や位置のズレを吸収できるため、モーターまわりなどに使われます。
モーターは運転中に振動します。かたい管で直結すると振動で接続部がゆるんだり傷んだりするため、曲げられて振動を吸収できる管を使います。
⭕(4)回路の遮断によって公共の安全に支障が生じる回路には、漏電遮断器に代えて漏電警報器をもうけることができる。
正しい記述です。回路を止めると公共の安全に支障が出るような回路では、電気を止める漏電遮断器の代わりに、警報を鳴らすだけの漏電警報器を設けることができます。
たとえば消防設備や避難に関わる回路は、漏電のたびに止まると逆に危険です。そこで「止める」のではなく「知らせる」方法が認められています。問題文は正しい内容です。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(1)です。電線を多数収納すると放熱が悪くなり、許容電流はむしろ減る点がひっかけです。
問13
分野:建築重要度 ★★☆
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)スペーサーは、鉄筋のかぶり厚さを保つためのものである。
(2)基礎の鉄筋のかぶり厚さは、捨てコンクリート部分を含めた厚さとする。
(3)かぶり厚さの確保には、火災時に鉄筋の強度低下を抑える効果がある。
(4)床スラブの最小かぶり厚さは、土に接する部分より土に接しない部分の方が小さい。
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鉄筋コンクリートのかぶり厚さに関する問題です。「かぶり厚さは何のためか・どこから測るか」を押さえると解けます。
かぶり厚さとは?
鉄筋の表面から、コンクリート表面までの距離のことです。鉄筋を火やサビから守るために、一定以上の厚さが必要です。
⭕(1)スペーサーは、鉄筋のかぶり厚さを保つためのものである。
正しい記述です。スペーサーは、鉄筋とコンクリート表面との距離(かぶり厚さ)を一定に保つための部品です。
型枠の中で鉄筋がかたよると、かぶり厚さが足りない部分ができてしまいます。スペーサーですき間を確保して、均一なかぶり厚さを保ちます。
❌(2)基礎の鉄筋のかぶり厚さは、捨てコンクリート部分を含めた厚さとする。
「捨てコンクリート部分を含めた厚さ」が誤りです。正しくは、基礎のかぶり厚さは捨てコンクリート部分を含めずに測ります。
捨てコンクリートとは?
基礎をつくる前に、地面をならし、墨出し(位置の印つけ)をしやすくするために打つ下地のコンクリートです。建物を支える強度には数えません。
捨てコンクリートは構造上の強度に数えない下地なので、鉄筋を守る「かぶり」としても数えません。だから、かぶり厚さは捨てコンクリートの上から測ります。
⭕(3)かぶり厚さの確保には、火災時に鉄筋の強度低下を抑える効果がある。
正しい記述です。かぶり厚さを十分に確保すると、火災のときに鉄筋の温度上昇をおさえ、強度の低下を防ぐ効果があります。
鉄は熱に弱く、高温になると強度が落ちます。まわりのコンクリートが厚いほど熱が鉄筋に届きにくくなるため、耐火上も大切です。
⭕(4)床スラブの最小かぶり厚さは、土に接する部分より土に接しない部分の方が小さい。
正しい記述です。かぶり厚さは土に接する部分のほうが大きく必要で、土に接しない部分のほうが小さくてよいです。
土に接する部分は湿気でサビやすいため、より厚くコンクリートで覆って鉄筋を守ります。問題文の「土に接しない部分の方が小さい」は正しい内容です。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(2)です。捨てコンクリートは強度に数えない下地なので、かぶり厚さに含めない点がひっかけです。
問14
分野:建築重要度 ★★☆
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)強化ガラスは、割れても破片が細かい粒状になるため安全性が高い。
(2)複層ガラスは、ガラスとガラスの間に特殊フィルムをはさみ、加熱圧着したガラスである。
(3)石こうボードは、火災時に石こうに含まれる結晶水が失われるまでの間、温度上昇を抑制するため、耐火性に優れている。
(4)ロックウールやグラスウール等の多孔質材料は、一般的に、周波数が高い音域に対する吸音効果に優れている。
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建築材料に関する問題です。ガラスの種類(強化・複層・合わせ)や石こうボード・吸音材など、それぞれの特徴を区別して覚えましょう。
⭕(1)強化ガラスは、割れても破片が細かい粒状になるため安全性が高い。
正しい記述です。強化ガラスは、割れても破片が細かい粒状になるため、大きな破片でけがをしにくく安全性が高いガラスです。
ふつうのガラスは割れると鋭いかけらになりますが、強化ガラスは角の丸い小さな粒になります。自動車の窓などに使われます。
❌(2)複層ガラスは、ガラスとガラスの間に特殊フィルムをはさみ、加熱圧着したガラスである。
「特殊フィルムをはさみ加熱圧着」は合わせガラスの説明で、これが誤りです。複層ガラスは、2枚のガラスの間に乾燥した空気の層をつくり、断熱性を高めたガラスです。
複層ガラスと合わせガラスとは?
複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気層を設けて断熱性を高めたもの。合わせガラスは、2枚のガラスの間に特殊フィルムをはさんで割れにくくしたものです。
名前が似ていて入れかえやすいので注意です。複層=空気の層で断熱/合わせ=フィルムで安全と、目的とセットで覚えましょう。
⭕(3)石こうボードは、火災時に石こうに含まれる結晶水が失われるまでの間、温度上昇を抑制するため、耐火性に優れている。
正しい記述です。石こうボードは、火災時に石こうにふくまれる結晶水が蒸発するまでの間、温度上昇をおさえるため、耐火性にすぐれています。
水が蒸発するときに熱をうばうので、結晶水が「時間かせぎ」をしてくれるイメージです。壁や天井の下地に広く使われます。
⭕(4)ロックウールやグラスウール等の多孔質材料は、一般的に、周波数が高い音域に対する吸音効果に優れている。
正しい記述です。ロックウールやグラスウールなどの多孔質材料は、周波数が高い音(高い音域)をよく吸収します。
多孔質とは小さな穴がたくさんあいた材料のこと。穴の中で高い音が摩擦で熱に変わり吸収されます。一方、低い音の吸収は苦手な点も押さえましょう。問題文は正しい内容です。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(2)です。フィルムを挟むのは合わせガラスで、複層ガラス(空気層で断熱)ではない点がひっかけです。
問15
分野:空調重要度 ★★★
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)熱源の台数制御は、熱源を適切な容量、台数に分割することで、低負荷時に熱源機器の運転効率を良くする。
(2)蓄熱方式による空調システムは、省エネルギーが図れるが、熱源容量は非蓄熱方式より大きくなる。
(3)変流量方式における流量制御には、インバーターによる
ポンプの回転数制御とポンプの台数制御がある。
(4)
全熱交換器は、建物からの排気と導入外気を熱交換させるもので、導入外気の温湿度を室内空気の温湿度に近づけることができる。
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空調の省エネ手法に関する問題です。台数制御・蓄熱方式・変流量方式・全熱交換器など、それぞれがなぜ省エネになるかを押さえましょう。
⭕(1)熱源の台数制御は、熱源を適切な容量、台数に分割することで、低負荷時に熱源機器の運転効率を良くする。
正しい記述です。熱源の台数制御は、熱源を適切な容量・台数に分け、負荷が小さいときに必要な台数だけ動かして効率よく運転する方法です。
大きな機械を1台で中途半端に動かすより、小分けにして必要な分だけ稼働させたほうがムダがありません。問題文は正しい内容です。
❌(2)蓄熱方式による空調システムは、省エネルギーが図れるが、熱源容量は非蓄熱方式より大きくなる。
「大きくなる」が誤りです。正しくは、ピークをおさえられるため、熱源容量はむしろ非蓄熱方式より小さくできます。
蓄熱方式とは?
夜間などにあらかじめ熱(または冷熱)をタンクにためておき、昼間の需要が多い時間に取り出して使う空調方式です。電力のピークをおさえられます。
昼のピークを夜にためた熱でまかなえるので、機械は一番きつい時間に合わせて大きくしなくてよいのです。だから熱源容量はむしろ小さくできます。「ためておく=ピークを平らにする=機械は小さくできる」と理解しましょう。
⭕(3)変流量方式における流量制御には、インバーターによるポンプの回転数制御とポンプの台数制御がある。
正しい記述です。変流量方式の流量制御には、インバーターでポンプの回転数を変える方法と、ポンプの運転台数を変える方法があります。
必要な分だけ水を流すことで、ムダなポンプ動力を減らすのが変流量方式です。問題文は正しい内容です。
⭕(4)全熱交換器は、建物からの排気と導入外気を熱交換させるもので、導入外気の温湿度を室内空気の温湿度に近づけることができる。
正しい記述です。全熱交換器は、排気と外気のあいだで熱(温度と湿度)を交換し、外気を室内の状態に近づける装置です。
全熱交換器とは?
換気のときに、捨てる空気の熱と湿気を回収して、取り入れる新しい空気に移す装置です。冷暖房の負荷を減らし、省エネにつながります。
たとえば冬、暖かい排気の熱を冷たい外気に渡せば、取り入れる空気をあらかじめ暖められ、暖房の負担が減ります。問題文は正しい内容です。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(2)です。蓄熱方式はピークを平らにできるため、熱源容量はむしろ小さくできる点がひっかけです。
問16
分野:空調重要度 ★★☆
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)床吹出し方式は、吹出口の移動や増設によりレイアウト変更に対応しやすい。
(2)大温度差送風(低温送風)方式は、送風量の低減により
ダクトサイズを小さくすることができる。
(3)エアフローウインドウ方式は、窓面で熱負荷を除去することにより、日射や外気温度による室内への熱の影響を小さくすることができる。
(4)放射冷房方式は、効率的に潜熱負荷を処理できるため快適性が高い。
答え・解説を見る
空調の各種方式に関する問題です。床吹出し・大温度差送風・エアフローウインドウ・放射冷房など、それぞれの特徴を押さえましょう。
⭕(1)床吹出し方式は、吹出口の移動や増設によりレイアウト変更に対応しやすい。
正しい記述です。床吹出し方式は、床から空気を吹き出す方式で、吹出口の移動や増設がしやすく、レイアウト変更に対応しやすいのが特徴です。
オフィスの模様替えで机の位置が変わっても、床の吹出口を動かすだけで対応できます。OAフロア(二重床)のオフィスで使われます。
⭕(2)大温度差送風(低温送風)方式は、送風量の低減によりダクトサイズを小さくすることができる。
正しい記述です。大温度差送風(低温送風)方式は、送る空気の温度差を大きくとることで必要な送風量を減らせ、ダクトサイズも小さくできます。
同じ熱を運ぶなら、より冷たい空気を使えば少ない風量ですむという考え方です。ダクトが小さくなれば天井裏のスペースも節約できます。
⭕(3)エアフローウインドウ方式は、窓面で熱負荷を除去することにより、日射や外気温度による室内への熱の影響を小さくすることができる。
正しい記述です。エアフローウインドウ方式は、窓のすき間に空気を流して窓面で熱を処理する方式で、日射や外気温度の影響を小さくできます。
窓ぎわは夏は暑く冬は寒くなりがちです。窓の部分で先に熱を処理してしまうことで、室内環境を快適に保ちます。
❌(4)放射冷房方式は、効率的に潜熱負荷を処理できるため快適性が高い。
「潜熱負荷も効率的に処理できる」が誤りです。放射冷房は主に顕熱(温度)を処理する方式で、潜熱(湿気)の処理は得意ではありません。
顕熱・潜熱とは?
顕熱は温度を上げ下げする熱、潜熱は水分の蒸発や結露にかかわる熱(=湿気の熱)です。放射冷房は顕熱の処理が中心です。
放射冷房(冷えた天井面などで冷やす方式)は温度は下げられますが、除湿(潜熱の処理)は苦手です。湿気を取るには別の設備が必要になります。「放射冷房=温度は得意・湿気は苦手」と覚えましょう。
👉 この用語をもっとくわしく顕熱・潜熱とは?空調の基本を初心者にもやさしく図解この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(4)です。放射冷房は主に顕熱(温度)を処理する方式で、潜熱(除湿)は得意でない点がひっかけです。
問17
答え・解説を見る
正解は(1)の19.2kg/hです。
有効加湿量とは?
加湿器が1時間に空気へ加える水の量のことです。求め方は「1時間に流れる空気の重さ(kg/h)×空気1kgあたりに加わった水の量(kg/kg)」です。
【図の見方】横軸は空気の温度(乾球温度)、右の縦軸は絶対湿度(空気1kgあたりの水分量)、ななめの線は比エンタルピ(空気1kgがもつ熱量)です。点が右へ動けば温度が上がり、上へ動けば水分が増えます。
図の5つの地点は、暖房のときに空調機が空気をつくる順番を表しています。
①外気(OA)(比エンタルピ5.4/絶対湿度0.0014):外から取り入れた、寒く乾いた空気
②混合空気(MA)(29.4/0.0050):外気と還気を混ぜ合わせた空気
③室内空気=還気(RA)(38/0.0066):室内から空調機へ戻ってくる、暖かく湿った空気
④加熱コイルの出口=加湿器の入口(42/0.0050):混合空気を加熱コイルで温めた空気。温度だけ上がり、湿度は0.0050のまま
⑤加湿器の出口=吹出(SA)(47/0.0066):加湿器で水分を加え、部屋へ送り出す空気
有効加湿量に使うのは、加湿器の入口=加熱コイルの出口(④・絶対湿度0.0050)と、加湿器の出口=吹出SA(⑤・0.0066)の2地点だけです。加湿器は水分だけを足すので、図では点が真上に動き、絶対湿度が0.0050から0.0066へ増えます。温度や比エンタルピの数字は、加湿量の計算には使いません。
絶対湿度の意味から見ます。0.0050kg/kgは「空気1kgあたり水5g」、0.0066kg/kgは「6.6g」です。つまり加湿器が加えた水は、空気1kgあたり0.0066−0.0050=0.0016kg(1.6g)。あとは1時間に流れる空気全体の重さを出して掛けます。
1時間に流れる空気の重さ=風量×空気密度=10,000m³/h×1.2kg/m³=12,000kg/h
加えた水の合計=12,000kg×0.0016=19.2kg/h
よって有効加湿量は19.2kg/h、正解は(1)です。
問18
分野:空調負荷重要度 ★★★
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)窓ガラスからの負荷は、室内外の温度差による通過熱と、透過する太陽日射熱とに区分して計算する。
(2)人体からの発生熱量は、室温が下がるほど顕熱が小さくなり、潜熱が大きくなる。
(3)土間床、地中壁からの通過熱負荷は、一般的に、年間を通じて熱損失側であるため無視する。
(4)北側のガラス窓からの熱負荷は、日射の影響も考慮する。
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空調負荷(冷暖房に必要な熱量)の計算に関する問題です。窓・人体・地中・北側の窓など、どの熱をどう見積もるかがテーマです。
⭕(1)窓ガラスからの負荷は、室内外の温度差による通過熱と、透過する太陽日射熱とに区分して計算する。
正しい記述です。窓ガラスからの負荷は、温度差で伝わる通過熱と、ガラスを透過して入る日射熱とに分けて計算します。
窓は「温度差で熱が伝わる」だけでなく「日光が直接差しこむ」二つの経路があります。性質がちがう熱なので分けて計算するのが正しい考え方です。
❌(2)人体からの発生熱量は、室温が下がるほど顕熱が小さくなり、潜熱が大きくなる。
「顕熱が小さくなり、潜熱が大きくなる」が誤りです。正しくは、室温が下がるほど顕熱は大きく、潜熱は小さくなります。
顕熱・潜熱とは?
顕熱は温度を上げ下げする熱、潜熱は汗や水分の蒸発にかかわる熱です。暑いと汗をかくため、室温が高いほど人体の潜熱は大きくなります。
まず、ここでいう「顕熱」は、体の表面から空気へ温度差で逃げていく熱のことです。体の表面温度は、まわりが暑くても寒くても、体温の働きで常に33〜34℃くらいに保たれています。
だから室温が下がると、体(約33℃)と空気の温度差が大きくなり、温度差で逃げる熱=顕熱は大きくなります。体の温度はほぼ変わらないのに、相手(空気)だけが冷たくなるので、差が開くわけです。
温かいコーヒーで考えるとイメージできます。
・暖かい部屋に置く…まわりとの温度差が小さい → ゆっくり冷める(逃げる熱が少ない)
・寒い部屋に置く…まわりとの温度差が大きい → どんどん冷める(逃げる熱が多い)
熱には「温度差が大きいほど、たくさん逃げる」性質があります。人の体も同じで、室温が下がって体との温度差が広がるほど、温度差で逃げる顕熱は大きくなります。
一方、潜熱は汗が蒸発するときに体から奪われる熱です。室温が下がると涼しくなって汗をかかなくなるので、潜熱は小さくなります。問題文(2)は、この顕熱と潜熱の大小を反対に書いた引っかけです。
👉 この用語をもっとくわしく顕熱・潜熱とは?空調の基本を初心者にもやさしく図解⭕(3)土間床、地中壁からの通過熱負荷は、一般的に、年間を通じて熱損失側であるため無視する。
正しい記述です。土間床や地中壁からの通過熱負荷は、年間を通じて熱が逃げる側(熱損失側)になることが多いため、一般的に冷房計算では無視します。
地中の温度は外気ほど高くならないため、夏でも地面側へ熱が逃げる傾向です。冷房の負荷(部屋を冷やす邪魔をする熱)としては小さいので無視できる、という考え方です。
⭕(4)北側のガラス窓からの熱負荷は、日射の影響も考慮する。
正しい記述です。北側の窓でも、空からの拡散日射などが入るため、熱負荷の計算では日射の影響も考慮します。
北向きは直射日光こそ入りにくいものの、空全体から回りこむ光(拡散日射)があります。「北だから日射ゼロ」とはしない点がポイントです。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(2)です。室温が下がると、人体からの顕熱は大きく・潜熱は小さくなる(大小が逆)点がひっかけです。
問19
分野:空調重要度 ★★☆
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)加湿器 ▶還気ダクト内の湿度
(2)空気調和機の冷温水コイルの制御弁 ▶空気調和機出口空気の温度
(3)空気調和機のファン ▶還気ダクト内の静圧
(4)外気及び排気用電動ダンパー ▶還気ダクト内の二酸化炭素濃度
答え・解説を見る
空調機器と、その制御に使う「検出する量」の正しい組合せを選ぶ問題です。「何を測って何を動かすか」がかみ合っているかを確かめましょう。
⭕(1)加湿器 ▶還気ダクト内の湿度
正しい組合せです。加湿器は、還気(部屋から戻る空気)ダクト内の湿度を検出して制御します。
部屋の湿り具合は、戻ってくる空気の湿度を見れば分かります。それが低ければ加湿する、という自然な組合せです。
⭕(2)空気調和機の冷温水コイルの制御弁 ▶空気調和機出口空気の温度
正しい組合せです。冷温水コイルの制御弁は、空気調和機の出口空気の温度を検出して開閉を制御します。
コイルは空気を冷やす・温める部分です。出口の空気が目標温度になるよう、弁で水量を調整します。理にかなった組合せです。
❌(3)空気調和機のファン ▶還気ダクト内の静圧
この組合せが誤りです。正しくは、空気調和機の給気ファンは給気(供給)ダクト内の静圧を検出して風量を制御します(VAV方式)。
静圧とVAV方式とは?
静圧は、ダクト(風の通り道)の壁を内側から押す圧力です。VAV方式は、各部屋の必要量に合わせて送る風量を変える方式で、給気ダクトの静圧を一定に保つようファンの回転を調整します。
そもそも、静圧は何のためにあるのでしょうか。ひとことで言うと、空気を押し出すために、ダクトの中にためておく「押す力の余力(貯金)」です。
この余力があるおかげで、ファンから遠い部屋まで空気が届き、吹き出し口から各部屋へ空気を送り出せます。静圧がなければ、空気を押し出す力そのものがないということになります。
水道で考えると分かりやすいです。
・蛇口を閉じていても、水道管の中にはつねに圧力がかかっています。
・その圧力(押す力の貯金)があるから、蛇口を開けた瞬間に、必要な分だけ水がすぐ出ます。
静圧もこれと同じです。ダクトに一定の押す力を用意しておくことで、各部屋のVAVが「今ほしい風量だけ」をいつでも取り出せます。
だからVAV方式では、各部屋が風量を絞っても増やしても、ダクトの静圧(=みんなが共有する押す力)を一定に保つようファンの回転を調整します。静圧さえ一定なら、どの部屋も必要なときに必要な風量を確保できるからです。
制御したいのは「各部屋へ送る空気(給気)」なので、見るべきは給気ダクト側の静圧です。戻り側の還気ダクトの静圧で給気ファンを制御するのは不自然で、ここがひっかけです。
⭕(4)外気及び排気用電動ダンパー ▶還気ダクト内の二酸化炭素濃度
正しい組合せです。外気・排気用の電動ダンパーは、還気ダクト内の二酸化炭素濃度を検出し、開度を変えて取り入れる外気量を調整します。
二酸化炭素濃度は部屋の人の多さ=空気の汚れ具合の目安です。濃度が上がれば外気を多く取り入れて換気する、という合理的な組合せです。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(3)です。空調機の給気ファンは給気ダクトの静圧で制御します(還気ダクトの静圧ではない)。
問20
分野:電気設備重要度 ★★☆
次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1)マイクロガスタービン発電機を用いるシステムでは、ボイラー・タービン主任技術者の選任は不要である。
(2)コージェネレーションシステムは、BCP(事業継続計画)の主要な構成要素の1つである。
(3)ガスタービン方式は、排ガスボイラーにより蒸気を取り出すことで熱回収が可能である。
(4)コージェネレーションシステムの総合的な効率は、年間を通じた熱需要には影響されない。
答え・解説を見る
発電と熱利用を組み合わせたコージェネレーションシステムなどに関する問題です。仕組みと、効率が何で決まるかを押さえましょう。
コージェネレーションシステムとは?
発電と同時に出る排熱も給湯や暖房に利用し、エネルギーをムダなく使う仕組みです。電気だけでなく熱も使うため、総合効率が高くなります。
⭕(1)マイクロガスタービン発電機を用いるシステムでは、ボイラー・タービン主任技術者の選任は不要である。
正しい記述です。マイクロガスタービン発電機を用いるシステムでは、ボイラー・タービン主任技術者の選任は不要です。
マイクロガスタービンは小型で出力が小さいため、大型発電設備のような主任技術者の選任義務の対象外となっています。問題文は正しい内容です。
⭕(2)コージェネレーションシステムは、BCP(事業継続計画)の主要な構成要素の1つである。
正しい記述です。コージェネレーションは停電時にも電気と熱を自前でつくれるため、BCP(事業継続計画)の主要な構成要素の一つです。
BCP(事業継続計画)とは?
災害や停電などの非常時にも、事業をできるだけ止めずに続けるための計画です。自前で電気をつくれる設備は、その重要な柱になります。
災害で電力が止まっても事業を続けられるため、病院やデータセンターなどで重視されます。問題文は正しい内容です。
⭕(3)ガスタービン方式は、排ガスボイラーにより蒸気を取り出すことで熱回収が可能である。
正しい記述です。ガスタービン方式は、高温の排ガスを排ガスボイラーに通して蒸気を取り出すことで、熱を回収できます。
発電で終わりにせず、捨てるはずの排ガスの熱から蒸気をつくって利用するのがコージェネの考え方です。問題文は正しい内容です。
❌(4)コージェネレーションシステムの総合的な効率は、年間を通じた熱需要には影響されない。
「影響されない」が誤りです。正しくは、発生する熱を使い切れるほど総合効率が高くなるため、年間の熱需要の大きさに影響されます。
コージェネは出てきた熱を使ってこそ効率が上がるしくみです。熱の需要が少ないと、つくった熱が余って捨てられ、総合効率は下がります。だから「熱需要に影響されない」は誤りです。
この問題のまとめ
この問題で誤っているのは(4)です。コージェネは熱を使い切れるほど総合効率が上がるため、年間の熱需要の大きさに影響される点がひっかけです。
この問題の要点(直前チェック用)
- 問11:D種接地は300V以下・100Ω以下(300V超10ΩはC種)
- 問12:電線を多数収納すると許容電流は減る
- 問13:かぶり厚さに捨てコンクリートは含めない
- 問14:複層ガラスは空気層(フィルムは合わせガラス)
- 問15:蓄熱方式は熱源容量を小さくできる
- 問16:放射冷房は潜熱(除湿)が苦手
- 問18:人体発熱は室温が下がると顕熱が大きくなる
- 問19:換気ファンは静圧でなくCO₂等で制御
- 問20:コージェネ効率は熱需要に影響される
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