第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和6年度 上期(2024年5月26日実施)の問21〜30です。
問21〜問30は施工方法・検査・法令が中心です。数字の決まりと、測定器の使い方、3つの法律の役割分担を覚えているかが問われます。「なぜその決まりがあるのか」を理解すると丸暗記より覚えやすいので、理由もあわせて見ていきましょう。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和6年度上期第二種電気工事士試験(学科試験)
問21
分野:施工(電動機回路)重要度 ★★★
使用電圧200 Vの三相電動機回路の施工方法で,不適切なものは。
イ.湿気の多い場所に1種金属製可とう電線管を用いた金属可とう電線管工事を行った。
ロ.造営材に沿って取り付けた600Vビニル絶縁ビニルシースケーブルの支持点間の距離を2 m以下とした。
ハ.金属管工事に600Vビニル絶縁電線を使用した。
ニ.乾燥した場所の金属管工事で,管の長さが3 mなので金属管のD種接地工事を省略した。
答え・解説を見る
正解
イ.湿気の多い場所に1種金属製可とう電線管を用いた金属可とう電線管工事を行った。
この問題は何を聞いているの?
「200Vのモーター回路の工事のやり方として、決まりに反しているのはどれか」を聞いています。正しいものが3つ、まちがいが1つです。
用語可とう電線管(かとうでんせんかん)とは?
くねくね曲げられる電線管のことです。「可とう」は「曲げられる」という意味。モーターのように振動する機器と固定配管をつなぐ、最後の短い区間に使います。
なぜ?なぜモーターの手前だけ曲がる管を使うのか?
モーターは回るときに振動するからです。硬い金属管で直接つないでしまうと、振動で管が折れたり、接続部がゆるんだりします。曲がる管をあいだに入れて、振動を逃がします。
用語1種と2種のちがい
1種金属製可とう電線管(フレキシブルコンジット) … 金属の帯を巻いただけの管。すき間があるので水が入る。乾燥した、点検できる場所にしか使えない。
2種金属製可とう電線管(プリカチューブ) … 防水構造になっている。湿気の多い場所・水気のある場所でも使える。
なぜ?なぜ1種は湿気のある場所で使えないのか?
構造上、管のすき間から水分が入ってしまうからです。中に水がたまれば、電線の被覆が傷んで漏電(電気が外へ漏れること)が起きます。「湿気・水気がある場所は必ず2種」と覚えます。
選択肢を1つずつ判定する
覚えるイ 湿気の多い場所に1種可とう電線管 … 1種は湿気のある場所には使えない。→ 不適切
ロ VVF(住宅でよく使われる平たいケーブル)の支持点間2m以下 … ケーブル工事の支持点間は2m以下が決まり。→ 適切
ハ 金属管工事に600Vビニル絶縁電線(IV) … 金属管の中にはIVを通すのが標準。→ 適切
ニ 乾燥した場所・管の長さ3mでD種接地(金属部分を地面につなぐ工事の一種)を省略 … 300V以下・乾燥・4m以下なら省略できる。→ 適切
よって答えはイです。
なぜ?なぜ乾燥した場所で4m以下なら接地を省略できるのか?
金属管に電気が漏れても、人が感電する危険が小さいからです。乾いていれば人体に電気が流れにくく、管が短ければ触れる面積も小さくなります。
なぜ?なぜ湿気があるとこの省略が認められないのか?
水は電気を通すからです。床や壁が湿っていると、人の体を通って地面へ電気が流れやすくなり、同じ漏電でも命にかかわる事故になります。そのため湿気・水気のある場所では、接地の省略はほぼ認められません。
覚えるこの問題の覚え方
「1種=乾燥した場所だけ/2種=どこでもOK」——これが決め手です。選択肢に「湿気の多い場所」と「1種」が同時に出てきたら、それが答えと考えて問題ありません。2mと4mの数字は「ケーブルの支持は2m、接地の省略は4m」と覚えます。
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問22
分野:施工(弱電流電線)重要度 ★★☆
ケーブル工事による低圧屋内配線で,ケーブルと弱電流電線の接近又は交差する箇所がa〜dの4箇所あった。a〜dのうちから適切なものを全て選んだ組合せとして,正しいものは。
a:弱電流電線と交差する箇所で接触していた。
b:弱電流電線と重なり合って接触している長さが3 mあった。
c:弱電流電線と接触しないように離隔距離を10 cm離して施設していた。
d:弱電流電線と接触しないように堅ろうな隔壁を設けて施設していた。
イ.dのみ
ロ.c, d
ハ.b, c, d
ニ.a, b, c, d
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この問題は何を聞いているの?
「電力のケーブルと、電話やLANなどの弱い電線が近づくとき、どうすればよいか」を聞いています。ルールは「接触させない」の1つだけなので、判定はとても簡単です。
用語弱電流電線とは?
電話線・インターホン・テレビのアンテナ線・LANケーブルなど、弱い電気を扱う電線のことです。100Vや200Vを流す「強電」の電線に対して「弱電」と呼びます。
なぜ?なぜ強電の電線と分けて扱うのか?
近づけると弱電のほうが影響を受けるからです。電話にノイズが乗ったり、通信が乱れたりします。さらに、もし強電の被覆が破れて弱電線に触れれば、本来100Vが来ないはずの電話線に100Vが流れ込み、触った人が感電するおそれがあります。
決まりは「接触させない」だけ
覚えるケーブル工事での弱電流電線との関係【暗記】
接触させてはいけない(交差でも並行でも、長さに関係なく)
接触しないように離して施設する … OK
接触しないように堅ろうな隔壁(しきり)を設ける … OK
金属管などに収める … OK
a 交差する箇所で接触していた … 接触は禁止。→ 不適切
b 重なり合って接触している長さが3m … 長さに関係なく接触は禁止。→ 不適切
c 接触しないように10cm離した … 離してあるのでOK。→ 適切
d 接触しないように堅ろうな隔壁を設けた … しきりがあるのでOK。→ 適切
適切なのはcとdなので、答えはロです。
なぜ?なぜ「3mなら短いからよい」とはならないのか?
接触は長さの問題ではなく、触れているかどうかの問題だからです。1cmでも触れていれば、そこから電気が伝わる可能性があります。
なぜ?なぜ10cmという距離が出てくるのか?
これは「金属管工事など、別の工事方法での目安」として出題されることのある数字です。ただしこの問題では「接触しないように」と書いてあるので、距離が何cmであっても、離れていればそれで適切です。数字に惑わされず、「接触しているか、していないか」だけを見てください。
覚えるこの問題の覚え方
選択肢の文に「接触していた」と書いてあれば不適切、「接触しないように」と書いてあれば適切——それだけで4つとも判定できます。離す・しきる・管に入れるの3つが認められた対策です。
問23
分野:施工(合成樹脂管工事)重要度 ★★★
硬質ポリ塩化ビニル電線管による合成樹脂管工事として,不適切なものは。
イ.管の支持点間の距離は2 mとした。
ロ.管相互及び管とボックスとの接続で,専用の接着剤を使用し,管の差込み深さを管の外径の0.9倍とした。
ハ.湿気の多い場所に施設した管とボックスとの接続箇所に,防湿装置を施した。
ニ.三相200 V配線で,簡易接触防護措置を施した場所に施設した管と接続する金属製プルボックスに,D種接地工事を施した。
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この問題は何を聞いているの?
「塩ビ管(VE管)の工事で、決まりに反しているのはどれか」を聞いています。数字が2つ出てくるので、そこを覚えていれば取れます。
覚える数字は2つだけ
覚える合成樹脂管工事の数字【暗記】
支持点間は1.5 m以下 ← 金属管やケーブル(2m)より短い
管の差込み深さは、管の外径の0.8倍以上(接着剤を使う場合)
接着剤を使わない場合は1.2倍以上
なぜ?なぜ塩ビ管だけ支持点間が短いのか?
金属管より柔らかく、たわみやすいからです。支持の間隔が広いと、自分の重みで垂れ下がってしまいます。また塩ビは温度で伸び縮みするので、しっかり支える必要があります。
なぜ?なぜ差込み深さに決まりがあるのか?
浅いと抜けてしまうからです。接着剤を使えばくっつくので0.8倍で足りますが、接着剤なしなら摩擦だけで留めるので1.2倍と深く入れる必要があります。
選択肢を1つずつ判定する
例イ 支持点間2m … 塩ビ管は1.5m以下。2mでは広すぎる。→ 不適切
ロ 接着剤あり・差込み深さが外径の0.9倍 … 0.8倍以上なのでOK。→ 適切
ハ 湿気の多い場所で接続箇所に防湿装置 … 湿気対策は必要。→ 適切
ニ 三相200V・簡易接触防護措置あり・金属製プルボックス(電線を引き入れたりつないだりするための箱)にD種接地 … 金属部分の接地は必要。→ 適切
よって答えはイです。
用語簡易接触防護措置とは?
人がうっかり触れないように、高い位置に付けたり、囲いを設けたりすることです。「屋内なら床から1.8m以上」などの決まりがあります。
なぜ?なぜ触れにくくしても接地が要るのか?
触れにくいことと、触れないことはちがうからです。点検や掃除で人が近づくことはありますし、金属製の箱は漏電すれば電気を帯びます。接地しておけば、漏れた電気が地面へ逃げるので、触れても感電しにくく、また漏電遮断器(漏電を感じ取って電気を止める装置)が働いてくれます。
覚えるこの問題の覚え方
支持点間は「塩ビ管1.5m/ケーブル・金属可とう2m」——この2つを対にして覚えましょう。差込み深さは「接着剤あり0.8倍/なし1.2倍」。接着剤があるほうが浅くてよいと、理屈で覚えれば逆にしません。
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問24
分野:検査(回路計)重要度 ★★☆
アナログ式回路計(電池内蔵)の回路抵抗測定に関する記述として,誤っているものは。
イ.回路計の電池が有効であることを確認する。
ロ.抵抗測定レンジに切り換える。被測定物の概略値が想定される場合は,測定レンジの倍率を適正なものにする。
ハ.赤と黒の測定端子(テストリード)を短絡し,指針が0 Ωになるよう調整する。
ニ.被測定物に,赤と黒の測定端子(テストリード)を接続し,その時の指示値を読む。なお,測定レンジに倍率表示がある場合は,読んだ指示値を倍率で割って測定値とする。
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正解
ニ.読んだ指示値を倍率で割って測定値とする。
この問題は何を聞いているの?
「テスターで抵抗を測る手順のうち、まちがっているのはどれか」を聞いています。最後の1文だけがおかしいという、引っかけの形の出題です。
用語回路計(テスター)とは?
電圧・電流・抵抗など、いろいろな量を1台で測れる計器です。「アナログ式」は針が振れるタイプ、「デジタル式」は数字が出るタイプ。「電池内蔵」とあるのは、抵抗を測るときに自分で電気を流す必要があるからです。
なぜ?なぜ抵抗を測るのに電池が要るのか?
抵抗は電気を流してみないと分からないからです。テスター自身が電池から小さな電流を流し、そのときの電圧との関係から抵抗を計算しています。電池が切れていると、この電流が流れないので正しく測れません。
用語0Ω調整(ゼロオーム調整)とは?
測る前に、赤と黒の棒どうしを直接くっつけて、針がぴったり0Ωを指すように合わせることです。
なぜ?なぜ毎回この調整が要るのか?
電池が減ってくると、同じ抵抗でも針の振れ方が変わってしまうからです。棒どうしをくっつけた状態は「抵抗0Ω」のはずなので、そこで針を0に合わせておけば、電池の減り具合のズレを打ち消せます。
倍率レンジのしくみ
用語倍率(レンジ)とは?
テスターの抵抗測定には×1・×10・×100・×1kといった切り替えがあります。目盛りは1つしかないので、読んだ数字に倍率をかけて実際の値を求める仕組みです。
なぜ?なぜ「かける」のであって「割る」のではないのか?
倍率は「目盛りの何倍の範囲まで測れるか」を表しているからです。×100のレンジで針が「5」を指したなら、実際は5×100=500Ωになります。ここで割ってしまうと0.05Ωとなり、けた違いに小さい値になってしまいます。
イ 電池が有効か確認する … 抵抗測定には電池が要る。→ 正しい
ロ 抵抗レンジに切り換え、倍率を適正にする … 正しい手順。→ 正しい
ハ テストリードを短絡して0Ωに調整 … 0Ω調整そのもの。→ 正しい
ニ 指示値を倍率で割って測定値とする … 正しくはかける。→ 誤り
よって答えはニです。
覚えるこの問題の覚え方
倍率は「かける」——これだけです。テスターの手順は「電池を確認 → レンジを選ぶ → 0Ω調整 → 測って倍率をかける」の4段。この流れのどこかを入れ替えたり、最後を「割る」に変えたりするのが定番の引っかけです。
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問25
分野:検査(絶縁抵抗計)重要度 ★★★
アナログ形絶縁抵抗計(電池内蔵)を用いた絶縁抵抗測定に関する記述として,誤っているものは。
イ.絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗計の電池が有効であることを確認する。
ロ.絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗測定のレンジに切り替え,測定モードにし,接地端子(E:アース)と線路端子(L:ライン)を短絡し零点を指示することを確認する。
ハ.電子機器が接続された回路の絶縁測定を行う場合は,機器等を損傷させない適正な定格測定電圧を選定する。
ニ.被測定回路に電源電圧が加わっている状態で測定する。
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正解
ニ.被測定回路に電源電圧が加わっている状態で測定する。
この問題は何を聞いているの?
「絶縁抵抗計(メガー)の使い方でまちがっているのはどれか」を聞いています。「電源を切ってから測る」という大原則を知っていればすぐに解けます。
用語絶縁抵抗とは?
電線と大地(アース)の間の、電気の漏れにくさのことです。単位はMΩ(メガオーム)で、1MΩ=100万Ω。数字が大きいほど良い(漏れていない)状態です。
なぜ?なぜ普通の抵抗(Ω)ではなくメガオームなのか?
正常な絶縁は何百万Ω、何千万Ωもあるからです。Ωのままでは0が多すぎて読みにくいので、100万倍をひとまとめにしたMΩを使います。
用語絶縁抵抗計(メガー)とは?
絶縁抵抗を測る専用の計器です。内部で直流の高い電圧(125V・250V・500Vなど)を作ってかけ、どれだけ漏れるかを見ます。
なぜ?なぜわざわざ高い電圧をかけるのか?
低い電圧では、傷んだ絶縁でも漏れが見つからないことがあるからです。実際に使う電圧と同じかそれ以上をかけて、「この電圧で使っても大丈夫か」を確かめています。
絶対に守るべき原則
用語測定するときは必ず電源を切る
絶縁抵抗の測定はブレーカーを切って、電気が来ていない状態で行います。これは例外のない原則です。
なぜ?なぜ電気が来たまま測ってはいけないのか?
理由は2つあります。①正しく測れない——メガーは自分で電圧をかけて測るので、外から別の電圧が来ていると値が狂います。②計器が壊れ、人も危険——メガーは電源のかかった回路に当てることを想定していません。内部が損傷したり、火花が出たりする危険があります。
イ 電池が有効か確認 … メガーも電池で電圧を作る。→ 正しい
ロ E端子とL端子を短絡して零点を確認 … 棒どうしをくっつければ抵抗0、つまり零点を指すはず。→ 正しい
ハ 電子機器がある回路では適正な測定電圧を選ぶ … 500Vをかけると壊れる機器がある。→ 正しい
ニ 電源電圧が加わっている状態で測定する … 必ず電源を切る。→ 誤り
よって答えはニです。
用語回路計(問24)とメガー(問25)で、零点調整の向きが逆になる?
どちらも「棒どうしを短絡したときに0を指すように確認する」という点は共通しています。回路計の抵抗レンジもメガーも、短絡すれば抵抗は0だからです。
なぜ?なぜ紛らわしいと感じるのか?
アナログ計器では目盛りの左右がちがうからです。回路計の抵抗目盛りは右端が0Ω、メガーは左端が0MΩになっています。それでも「短絡したら0を指すことを確認する」という手順は同じなので、手順で覚えておけば混乱しません。
覚えるこの問題の覚え方
「絶縁抵抗の測定は、必ず電源を切ってから」——これ1つで答えが出ます。選択肢に「電源電圧が加わっている状態で」という言葉が出てきたら、それが誤りです。なお実務では、電源を切れない場合に漏れ電流(クランプメータで1mA以下)で代用する方法が認められています。
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問26
分野:検査(接地抵抗と絶縁抵抗)重要度 ★★★
使用電圧100 Vの低圧電路に,地絡が生じた場合0.1秒で自動的に電路を遮断する装置が施してある。この電路の屋外にD種接地工事が必要な自動販売機がある。その接地抵抗値a[Ω]と電路の絶縁抵抗値b[MΩ]の組合せとして,「電気設備に関する技術基準を定める省令」及び「電気設備の技術基準の解釈」に適合していないものは。
イ.a 600 / b 2.0
ロ.a 500 / b 1.0
ハ.a 100 / b 0.2
ニ.a 10 / b 0.1
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この問題は何を聞いているの?
「接地抵抗と絶縁抵抗の2つの数字を見て、決まりを満たしていない組合せはどれか」を聞いています。2つの数字を別々に判定して、片方でも基準を満たさないものを探しましょう。
用語接地抵抗とは?
接地線(機器と地面をつなぐ線)と大地の間の抵抗のことです。小さいほど良い(電気が地面へ逃げやすい)状態です。絶縁抵抗が「大きいほど良い」のとは逆なので、混同しないでください。
なぜ?なぜ接地抵抗は小さいほうが良いのか?
接地は漏れた電気を地面へ逃がすための道だからです。道が細ければ(抵抗が大きければ)電気は地面へ行かず、機器に触れた人の体を通って流れてしまいます。「逃がす道は太く=抵抗は小さく」と覚えます。
D種接地工事の数字
覚える接地工事の種類と抵抗値【暗記】
A種 … 10Ω以下(高圧の機器など)
B種 … 変圧器の中性点(計算で決まる)
C種 … 10Ω以下(300Vを超える低圧)。0.5秒以内に切れる装置があれば500Ω以下
D種 … 100Ω以下(300V以下の低圧)。0.5秒以内に切れる装置があれば500Ω以下
なぜ?なぜ「0.5秒以内に切れるなら500Ωでよい」のか?
危険な時間が短ければ、感電の被害が小さくなるからです。接地抵抗が大きくても、漏電した瞬間にブレーカーが落ちてしまえば、人が電気を浴びる時間はごくわずかで済みます。この問題では0.1秒で遮断すると書いてあるので、500Ω以下が条件になります。
絶縁抵抗の数字
覚える低圧電路の絶縁抵抗の最小値【暗記】
対地電圧150V以下 … 0.1MΩ以上 ← 100Vの家庭用はここ
対地電圧150V超300V以下 … 0.2MΩ以上
300Vを超えるもの … 0.4MΩ以上
この問題は100Vなので、絶縁抵抗は0.1MΩ以上あれば適合です。
4つの組合せを判定する
例イ a=600Ω … 500Ωを超えているので不適合。(b=2.0MΩは十分)→ 適合していない
ロ a=500Ω … 500Ω以下なのでOK。b=1.0MΩもOK。→ 適合
ハ a=100Ω … OK。b=0.2MΩもOK。→ 適合
ニ a=10Ω … OK。b=0.1MΩもぎりぎりOK(0.1MΩ以上)。→ 適合
よって答えはイです。
なぜ?なぜニの0.1MΩは「ぎりぎりOK」なのか?
決まりが「0.1MΩ以上」だからです。ちょうど0.1MΩは「以上」に含まれるので適合します。
なぜ?なぜ「以上」と「超える」を区別する必要があるのか?
その値そのものを含むかどうかが変わるからです。「0.1MΩ以上」は0.1を含み、「0.1MΩを超える」は0.1を含みません。法令の問題では、この1文字で正解が変わることがあります。
覚えるこの問題の覚え方
判定する数字は「接地は500Ω以下(0.5秒以内に切れる装置があるから)/絶縁は0.1MΩ以上(100Vだから)」の2つだけです。接地は小さいほど良い、絶縁は大きいほど良い——この向きさえ間違えなければ、あとは数字を見比べるだけです。
問27
分野:検査(測定器の目盛板)重要度 ★★★
図は測定器の目盛板を示したものである。この測定器に関する記述として,誤っているものは。
イ.この測定器は電圧計である。
ロ.永久磁石可動コイル形の測定器である。
ハ.測定器を水平に置いて測定する。
ニ.交流回路用の測定器である。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「目盛板に書かれた記号を読んで、どんな測定器かを当てる」問題です。記号は4種類しか書かれていないので、1つずつ読み解けば答えにたどり着けます。
目盛板の記号を1つずつ読む
例この目盛板に書かれているもの
V … 電圧計(Aなら電流計、Wなら電力計)
〜 … 交流用(直流なら「—」の記号)
ばねのような記号 … 可動鉄片形
横長の記号 … 水平に置いて使う
1.0 … 階級(誤差が±1.0%まで)
用語可動鉄片形とは?
コイルに電流を流したときにできる磁力で、中の鉄片が動いて針が振れるしくみの計器です。交流でも直流でも動きますが、おもに交流の測定に使われます。
なぜ?なぜ可動鉄片形は交流でも動くのか?
鉄片は電気の向きが変わっても、同じ方向に引き寄せられるからです。磁石にクリップを近づけると、磁石の向きがどちらでも引き寄せられるのと同じです。だから向きが行ったり来たりする交流でも、針は片側に振れます。
用語永久磁石可動コイル形とは?
永久磁石のあいだに置いたコイルに電流を流し、コイルが回って針が動くしくみです。記号は馬てい形(U字形)の磁石の絵で、この目盛板には描かれていません。
なぜ?なぜ永久磁石可動コイル形は直流専用なのか?
電流の向きによって、コイルが回る向きが逆になるからです。交流を流すと針が右へ左へ振動してしまい、値が読めません。「永久磁石可動コイル形=直流専用」と覚えます。
選択肢を判定する
イ 電圧計である … 目盛板にVとある。→ 正しい
ロ 永久磁石可動コイル形である … 記号は可動鉄片形。しかも「〜」で交流用なので、直流専用の可動コイル形ではありえない。→ 誤り
ハ 水平に置いて測定する … 横長の姿勢記号が書かれている。→ 正しい
ニ 交流回路用である … 〜の記号がある。→ 正しい
よって答えはロです。
なぜ?なぜ「置く向き」まで決まっているのか?
置く向きがちがうと、内部の針や可動部にかかる重力の向きが変わり、誤差が出るからです。水平に置く前提で作られた計器を立てて使うと、正しい値が出ません。
どうやって向きを見分けるのか?
横長の記号なら水平置き、縦線(⊥)なら鉛直(立てて)置きです。記号の形が、そのまま置き方を表していると考えると覚えやすくなります。
覚えるこの問題の覚え方
「〜(交流)と、永久磁石可動コイル形(直流専用)は同時に成り立たない」——この矛盾に気づけば、記号の形を覚えていなくても答えが出ます。記号は「馬てい形磁石=可動コイル形(直流)/ばね状=可動鉄片形(交流)」の2つを押さえておきましょう。
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問28
分野:法令(電気工事士法)重要度 ★★★
「電気工事士法」において,一般用電気工作物に係る工事の作業で,a,bともに電気工事士でなければ従事できないものは。
イ.a:配電盤を造営材に取り付ける。/b:電線管を曲げる。
ロ.a:地中電線用の管を設置する。/b:定格電圧100 Vの電力量計を取り付ける。
ハ.a:電線を支持する柱を設置する。/b:電線管に電線を収める。
ニ.a:接地極を地面に埋設する。/b:定格電圧125 Vの差込み接続器にコードを接続する。
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正解
イ.a:配電盤を造営材に取り付ける。/b:電線管を曲げる。
この問題は何を聞いているの?
「aとbの両方が、資格がないとできない作業である組合せはどれか」を聞いています。資格が要らない作業(軽微な工事・軽微な作業)を覚えて消していくのが早道です。
用語一般用電気工作物とは?
一般の住宅や小さな店舗など、電力会社から低圧(600V以下)で受電している(電気を受け取っている)設備のことです。第二種電気工事士が工事できるのは、この範囲に限られます。
なぜ?なぜ範囲が決められているのか?
扱う電圧が高くなるほど危険が大きく、必要な知識も増えるからです。工場やビルのように高圧で受電する設備(自家用電気工作物)は、第一種電気工事士などの、より上位の資格が必要になります。
資格が要らない作業を覚える
覚える電気工事士でなくてもできる作業【暗記】
電線を支持する柱・腕木を設置する(電線に触れない土木的な作業)
地中電線用の管を設置する(電線を入れる前の管だけ)
電力量計・電流制限器・ヒューズを取り付ける
差込み接続器(プラグ)にコードを接続する(定格電圧125V以下・コンセント側ではない)
露出型点滅器・コンセントを取り換える(ねじ止めしない配線器具に限る)
電線を支持する柱・がいし(電線を支える焼き物の絶縁部品)を取り付ける
なぜ?なぜこれらは資格が要らないのか?
電線そのものに触れず、危険が小さい作業だからです。管を埋めるだけ、柱を立てるだけなら、まだ電気は通っていません。一方で「電線をつなぐ・電線管に電線を収める・配電盤を取り付ける」のように、電気が流れる部分を直接さわる作業には、必ず資格が要ります。
どこで線を引けばいいのか?
「電気の通り道そのものを作る・つなぐ作業か」で考えます。通り道を作る(電線をつなぐ、管に電線を通す、盤を取り付ける)なら資格が要り、その周りの準備(管を埋める、柱を立てる)なら要りません。
選択肢を1つずつ判定する
例イ a:配電盤を造営材に取り付ける(要資格)/b:電線管を曲げる(要資格) → 両方とも要資格
ロ a:地中電線用の管を設置(資格不要)/b:100Vの電力量計を取り付ける(資格不要) → 両方とも不要
ハ a:電線を支持する柱を設置(資格不要)/b:電線管に電線を収める(要資格) → aが不要
ニ a:接地極を地面に埋設(要資格)/b:125Vの差込み接続器にコードを接続(資格不要) → bが不要
よって答えはイです。
覚えるこの問題の覚え方
資格が要らないものを4つだけ覚えます——「柱を立てる/管を埋める/メーターを付ける/プラグにコードをつなぐ」。この4つのどれかが入っている組合せは、その時点で消せます。なお「接地極の埋設」は資格が要るのに、「地中電線用の管の設置」は要らない——ここが最大の引っかけどころです。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】法令のきほんをゼロから解説【3つの法律の役割】
問29
分野:法令(電気用品安全法)重要度 ★★★
「電気用品安全法」における特定電気用品に関する記述として,誤っているものは。
答え・解説を見る
正解
ハ.電気用品の輸入の事業を行う者は,一定の要件を満たせば輸入した特定電気用品に(PS)Eの表示を付すことができる。
この問題は何を聞いているの?
「特定電気用品に付ける記号や、表示のルールとしてまちがっているのはどれか」を聞いています。2つのマークの形のちがいが分かれば解けます。
用語電気用品安全法とは?
電気製品そのものの安全を守るための法律です。コードやコンセント、電線などが安全に作られているかを国が定めた基準で規制しています。
なぜ?なぜ工事の法律とは別に、モノの法律があるのか?
工事が正しくても、使う部品が粗悪なら事故が起きるからです。電気工事士法は「人(工事をする人)」を、電気用品安全法は「モノ(部品・製品)」を、電気事業法は「設備全体」を、それぞれ受け持っています。
用語特定電気用品とは?
特に危険が大きく、きびしい検査が必要とされる電気用品のことです。電線・ヒューズ・配線器具・小形単相変圧器などが該当します。
なぜ?なぜ「特定」とそうでないものに分けるのか?
危険の大きさに見合った規制にするためです。すべての電気製品に同じきびしい検査を課すと手間もコストもかかりすぎるので、事故につながりやすいものだけを「特定電気用品」として、第三者機関の検査を義務づけています。
2つのマークの形を覚える
覚えるPSEマークの形【暗記】
特定電気用品 … ひし形(◇)の中にPSE。表示スペースがない場合は<PS>Eと書いてよい
特定電気用品以外の電気用品 … 丸(○)の中にPSE。スペースがない場合は(PS)E
なぜ?なぜ形を変えて区別するのか?
ぱっと見て、どちらの区分かが分かるようにするためです。文字を読まなくても、ひし形か丸かで判別できます。
どうやって覚えればよいのか?
「特定=とがっている(ひし形)/それ以外=まるい(丸)」と、危険なほうがとがっているとイメージすると覚えやすくなります。
選択肢を1つずつ判定する
イ 製造事業者が特定電気用品にひし形のPSEを付ける … 形も立場も正しい。→ 正しい
ロ スペースが足りない特定電気用品は<PS>Eと書いてよい … 決まりのとおり。→ 正しい
ハ 輸入事業者が特定電気用品に丸のPSEを付ける … 特定電気用品はひし形。丸ではない。→ 誤り
ニ 販売事業者は表示のない特定電気用品を販売してはならない … 決まりのとおり。→ 正しい
よって答えはハです。
用語輸入する人がマークを付けてよいのは正しいのか?
正しいです。製造する人だけでなく、輸入する人も、届出をして基準を満たしていることを確認すれば、自分でマークを付けられます。ハがまちがっているのは「輸入」の部分ではなく、マークの形のほうです。
なぜ?なぜ引っかかりやすいのか?
「輸入した人が付けていいのか?」と、立場のほうに気を取られてマークの形を見落とすように作られているからです。この問題では、まずひし形か丸かを確かめてください。
覚えるこの問題の覚え方
「特定電気用品はひし形」——この1点です。選択肢に丸のPSEマークが出てきて、文が「特定電気用品に」となっていたら、それが誤りです。<PS>E(かぎかっこ)=特定/(PS)E(丸かっこ)=特定以外という文字表記の対応も、あわせて覚えておくと安心でしょう。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】法令のきほんをゼロから解説【3つの法律の役割】
問30
分野:法令(電気設備技術基準)重要度 ★★☆
「電気設備に関する技術基準を定める省令」に関する記述として,誤っているものは。
イ.電圧の種別である低圧,高圧及び特別高圧を規定している。
ロ.電気設備は,感電,火災その他人体に危害を及ぼし,又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならないと規定している。
ハ.「電気機械器具」とは,電路を構成する機械器具をいうと定義されている。
ニ.「電線」とは,通常の使用状態で電気が通じているところをいうと定義されている。
答え・解説を見る
正解
ニ.「電線」とは,通常の使用状態で電気が通じているところをいうと定義されている。
この問題は何を聞いているの?
「電気設備技術基準に書かれている内容として、まちがっているのはどれか」を聞いています。用語の定義がすり替えられているという引っかけのパターンです。
用語電気設備に関する技術基準を定める省令とは?
電気設備をどう作れば安全かを国が定めたルールです。「電技(でんぎ)」と略されます。電気事業法という法律を受けて作られた、より細かい決まりです。
なぜ?なぜ法律と省令に分かれているのか?
法律は大きな方針を、省令は具体的な数字や方法を書くという役割分担だからです。技術は変わっていくので、細かい部分は変えやすい省令のほうに置いています。
用語の定義を確かめる
覚える電技で定義されている用語【暗記】
電線 … 強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体など
電路 … 通常の使用状態で電気が通じているところ
電気機械器具 … 電路を構成する機械器具
電圧の種別 … 低圧・高圧・特別高圧の3つ
例「電線」と「電路」はちがう
電線=モノそのもの(銅線とその被覆)。
電路=電気が通っている道すじ全体(電線だけでなく、機器の中も含む)。
なぜ?なぜこの2つを分けるのか?
電気が通る場所は、電線だけではないからです。ブレーカーの中もモーターの中も電気は通っています。これらをまとめて指す言葉が必要なので、「電路」という広い言葉を別に用意しています。ニの文は「電路」の定義を「電線」の定義だと書いているので誤りです。
選択肢を判定する
イ 低圧・高圧・特別高圧を規定 … 電技で定められている。→ 正しい
ロ 感電・火災のおそれがないように施設 … 電技の基本方針そのもの。→ 正しい
ハ 「電気機械器具」=電路を構成する機械器具 … 定義のとおり。→ 正しい
ニ 「電線」=通常の使用状態で電気が通じているところ … これは「電路」の定義。→ 誤り
よって答えはニです。
覚える参考:電圧の種別【暗記】
低圧 … 交流600V以下/直流750V以下
高圧 … 低圧を超えて7 000V以下
特別高圧 … 7 000Vを超えるもの
覚えるこの問題の覚え方
「電線=モノ/電路=道すじ」の区別が、この問題の核心です。「通じているところ」という言葉が出てきたら、それは電路の定義。あわせて低圧=交流600V・直流750V/高圧=7 000Vまでの数字も覚えてください。こちらも出題されやすい数字です。
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この記事のまとめ
まとめこの10問で持ち帰りたいこと
問21 可とう電線管 … 1種は乾燥した場所だけ/2種(プリカ)は湿気・水気もOK
問22 弱電流電線 … 接触は長さに関係なく禁止。離す・しきる・管に入れるはOK
問23 合成樹脂管 … 支持点間1.5m以下/差込み深さは接着剤ありで外径の0.8倍以上
問24 回路計 … 倍率は「かける」。手順は電池→レンジ→0Ω調整→測定
問25 絶縁抵抗計 … 必ず電源を切ってから測る。例外なし
問26 接地と絶縁 … 0.5秒以内に切れるならD種500Ω以下/100Vの絶縁は0.1MΩ以上
問27 目盛板 … 〜は交流。永久磁石可動コイル形は直流専用なので両立しない
問28 電気工事士法 … 資格不要は「柱を立てる・管を埋める・メーター・プラグ」
問29 電気用品安全法 … 特定電気用品はひし形の<PS>E。丸は特定以外
問30 電技 … 「通じているところ」は電路の定義。低圧=交流600V・直流750V
出典
令和6年度上期第二種電気工事士試験(学科試験)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和6年度上期 全5記事)
▶ 問1〜10
計算と電気の基礎(合成抵抗・抵抗率・熱量・力率・電圧降下・幹線)
▶ 問11〜20
材料と工具(アウトレットボックス・IV 60℃・写真鑑別・リングスリーブ)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(リモコン・VE28・接地工事・絶縁抵抗・電線本数)
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(コネクタ・カップリング・工具・スリーブ・コンセント)
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと、実際に手を動かす練習ができません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する