試運転調整は、工事の最後に「ちゃんと動くか」を確かめる作業です。ゼロパスに載せている1級・2級管工事の過去問を数えたところ、この分野は24問出ていました。覚えることは多くありません。中心になるのは「順番」と「何を見て調整するか」の2つです。この記事では、設備の知識がない状態からでも分かるように解説します。

試運転は「単体 → 組み合わせ」の順で行う

試運転の順番(まず単体で動かし、次に系統でつなげて動かす)を示した図
いきなり全部を動かさず、1台ずつ確かめてから組み合わせます。

コツ順番の原則

① 単体運転 … ポンプ・ファン・オイルポンプなどを1台ずつ動かして確認

② 系統運転 … 関係する機器をつないで、順番どおり起動するか確認

③ 調整 … 風量・水量を設計値に合わせる

④ 性能確認 … 温度・湿度・騒音などが基準に入っているか確認

注意注意

熱源まわりの起動順は、先に水を回してから冷凍機を動かすのが原則です。冷水ポンプ・冷却水ポンプ・冷却塔(冷凍機の熱を外へ捨てる装置)が起動したあとに、冷凍機が起動することを確認します。水が流れていない状態で冷凍機を動かすと、凍結や過熱で機械を壊すためです。

ボイラーも同じ考え方です。運転の前に、給水ポンプ・オイルポンプ・給気ファンなどの単体運転を確認してから火をつけます。

風量の調整:ダンパは全閉から開けていく

コツ風量調整の手順で問われる点

・調整は風量調整ダンパ(ダクトの中で風の量を加減する板)が全閉であることを確認してから始める

・インバータ制御(モーターの回転数を自由に変える制御)の場合は、回転数を徐々に上げながら規定風量に合わせる

・風量測定口がないときは、試験成績表(工場で測った機器の性能の記録)の電流値を参考にする

なぜ?なぜ全閉から始めるのですか。

全開のまま起動すると、モーターに大きな負荷がかかって過電流(電気の流れすぎ)になるおそれがあるからです。遠心送風機は風量が少ないほど必要な動力が小さいので、全閉で起動してから電流値を見ながら少しずつ開けていき、規定風量に合わせます。ポンプも同じ考え方で、吐出し側の弁を全閉にして起動し、徐々に開けていきます。

覚える覚え方

調整は基本的に「絞った状態から、少しずつ開く」と覚えてください。風も水も回転数も同じです。全開から絞る手順を書いた選択肢は、まず疑ってかまいません。

水量と安全装置の確認

冷凍機の試運転では、まずポンプと冷却塔を動かし、冷水量・冷却水量が規定の流量であることを確かめます。そのうえで、安全装置が正しく働くかも確認します。

例えば冷水量が大きく減ったときに、断水リレー(水が止まったことを感知する装置)が働いて冷凍機が停止する——これは異常ではなく、正しく守られている状態です。試運転では、この「止まること」を確かめます。

騒音の測定

注意注意

屋外騒音の測定は、冷却塔など音の出る機器を運転した状態で、敷地境界線上で行います。止めたまま測っても意味がありませんし、機器のすぐそばで測っても、近所への影響は分かりません。

例現場の使いどころ

実際の現場では、試運転は引き渡し直前のいちばん慌ただしい時期に行われます。それでも順番を飛ばさないのは、機械を壊す事故は、この段取りを省いたときに起きやすいからです。「水を回してから熱源」「絞った状態から開く」は、現場でも口ぐせのように言われます。

試験ではこう出る

よくある選択肢 判断
冷凍機を起動してからポンプを起動する 誤り。ポンプ・冷却塔が先
風量調整はダンパ全開から始める 誤り。全閉から
インバータは一気に規定回転数にする 誤り。徐々に上げる
測定口がなければ電流値を参考にする 正しい
屋外騒音は機器を止めて測る 誤り。運転して敷地境界線上で測る

よくある質問

Q. TABとは何ですか。

A. 試験・調整・バランスをまとめた呼び方です。試験では用語そのものより、手順と測り方が問われます。

Q. 試運転はだれが行うのですか。

A. 施工者が行い、監督員などの立会いで確認します。記録を残して引き渡すところまでが一連の作業です。

Q. 調整で合わないときはどうしますか。

A. 機器の能力・配管やダクトの抵抗・設定値のどこかに原因があります。試験で深く問われることは少ないので、順番と測り方を優先して覚えてください。

まとめまとめ

・試運転は単体 → 系統 → 調整 → 性能確認の順

・熱源はポンプ・冷却塔が先、冷凍機があと

・風量調整はダンパ全閉から、インバータは徐々に

・測定口がなければ試験成績表の電流値を参考にする

・屋外騒音は機器を運転して敷地境界線上で測る