第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年度 下期・午後(2023年10月29日実施)の問1〜10です。

問1〜問10は計算問題と配線の決まりがまとまって出てくるところです。数字が並ぶと身構えてしまいがちですが、計算の土台はオームの法則と電力の式の2本が中心です。この記事では、図のどこを見て、どの順番で数字を入れるのかを、電気を習ったことがない人でも追えるように1段ずつ書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が表示される仕組みです。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和5年度下期第二種電気工事士試験(午後)

問1

分野:電気の基礎(直列・並列と消費電力)重要度 ★★★

図のような回路で,8 Ωの抵抗での消費電力[W]は。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午後 問1 の回路図
イ.200
ロ.800
ハ.1200
ニ.2000
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正解

ロ.800[W]
この問題は何を聞いているの?

図の回路に200Vの電池をつないだとき、右上にある8Ωの抵抗1個が、どれだけの電力を使っているかを聞いています。回路全体の電力ではなく、8Ωの1個だけという点が大事です。まず、出てくる言葉を順に確認しましょう。

用語抵抗[Ω]とは?

抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)。図の中の細長い長方形が抵抗を表していて、この問題には20Ω・30Ω・8Ωの3つがあります。

なぜ?なぜ「流れにくさ」に数字が付いているのか?

流れにくさが分かれば、どれだけ電気が流れるかを計算できるからです。水道管に例えると、管が細いほど水は通りにくくなります。その通りにくさの度合いを数字にしたものがΩです。

用語電圧[V]と電流[A]とは?

電圧とは電気を押し出す力で、単位はV(ボルト)です。電流とは実際に流れる電気の量で、単位はA(アンペア)。図の左の「200 V」は電池の押す力を表しています。

なぜ?なぜ電圧と電流を分けて考えるのか?

水道でいえば、電圧は水圧、電流は流れる水の量にあたります。同じ水圧でも、管が細ければ水は少ししか流れません。押す力と、実際に流れる量は別のものなので、分けて考えるのです。

用語消費電力[W]とは?

消費電力とは、その部品が1秒間に使う電気の仕事の量のことです。単位はW(ワット)。抵抗の場合、使った電気は熱に変わります。

なぜ?なぜ電力は「電流×電流×抵抗」で求められるのか?

電力の基本は電圧×電流です。抵抗にかかる電圧は電流×抵抗(オームの法則)なので、これを入れると電流×抵抗×電流になります。だから電力=電流²×抵抗という形でも計算できるのです。

まず左の「2本に分かれた部分」をまとめる

図の左側では、20Ωと30Ωが上下に分かれて並んでいるのが見えるでしょうか。電気は黒い点で2つの道に分かれ、また次の黒い点で1つに戻ります。この形が並列です。

用語並列(へいれつ)とは?

並列とは、部品が2本以上の道に分かれて、同じ2点のあいだに並んでいる形のことです。この問題では20Ωと30Ωが並列になっています。

なぜ?なぜ並列にすると全体の抵抗が小さくなるのか?

電気の通り道が増えるからです。改札口が1つより2つあるほうが、人は通りやすいでしょう。だから20Ωと30Ωを並列にすると、小さいほうの20Ωよりもさらに小さい値になります。

用語合成抵抗(ごうせいていこう)とは?

合成抵抗とは、いくつかの抵抗を、同じ働きをする1個の抵抗に置きかえた値のことです。回路を単純にしてから計算するために使います。

なぜ?なぜ2個の並列は「かけ算÷足し算」でまとめられるのか?

2個の並列の合成抵抗は、(R₁×R₂)÷(R₁+R₂)で求められると決まっています。「和分の積(わぶんのせき)」とも呼ばれる式です。20Ωと30Ωなら、600÷50=12Ω。たしかに20Ωより小さくなっています。

次に、残った8Ωと「1本道」でつなぐ

並列の部分を12Ωの1個に置きかえると、回路は12Ω → 8Ω → 電池にもどるという1本道になります。

用語直列(ちょくれつ)とは?

直列とは、部品が1本道に順番に並んでいる形のことです。直列の抵抗はそのまま足し算してまとめられます。

なぜ?なぜ直列だと抵抗を足し算してよいのか?

1本道なので、電気は1つ目の邪魔と2つ目の邪魔を順番に全部受けるからです。細い管を2本続けてつなげば、1本のときより通りにくくなるのと同じ。12Ω+8Ω=20Ωです。

用語オームの法則とは?

オームの法則とは、電圧=電流×抵抗という関係のことです。形を変えると電流=電圧÷抵抗になり、流れる電流を求めるときに使います。

なぜ?なぜ全体の抵抗を先に求めるのか?

電池から出る電流は、回路全体の抵抗で決まるからです。全体が20Ωと分かれば、200V÷20Ω=10Aと一発で出せるのです。そして1本道なので、8Ωにもこの10Aがそのまま流れます。

手順1 20Ωと30Ωの並列をまとめる = (20×30)÷(20+30)= 600 ÷ 50 = 12Ω

手順2 12Ωと8Ωは直列なので足す = 12 + 8 = 20Ω(回路全体の抵抗)

手順3 電池から流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 200 ÷ 20 = 10A

手順4 1本道なので、8Ωにも同じ10Aが流れる

手順5 8Ωの消費電力 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 10 × 10 × 8 = 800W

よって答えはロの800Wです。

別の求め方でも同じ800Wになる

8Ωにかかる電圧を先に出しても確かめられます。電圧=電流×抵抗=10×8=80V。電力=電圧×電流=80×10=800Wで、答えは同じです。

覚えるこの問題の覚え方

この問題は「分かれた所をまとめる → 1本道を足す → 電流を出す → 1個ぶんの電力」の4段で解けます。並列2個は「かけ算÷足し算」、直列は足し算。そして聞かれているのが「どの抵抗の」電力なのかを、最後にもう一度確かめるのが大切です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.2000 … 回路全体の電力を出した人。200V×10A=2000Wで、これは20Ω全体が使う電力です。聞かれているのは8Ωの1個だけです。

ハ.1200 … 並列の部分(12Ω)の電力を出した人。10×10×12=1200Wで、8Ωとは別の部分です。

イ.200 … 誤りです。並列をまとめてから1本道を足す、という順番を守れば800Wにたどり着けます。

【第二種電気工事士】オームの法則と直列・並列をゼロから解説👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】オームの法則と直列・並列をゼロから解説

問2

分野:電気の基礎(抵抗率)重要度 ★★☆

抵抗率ρ[Ω・m],直径D[mm],長さL[m]の導線の電気抵抗[Ω]を表す式は。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午後 問2 の選択肢(4つの式)
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正解

イ.4ρL ÷ πD² × 10⁶
この問題は何を聞いているの?

「電線の材料の性質(抵抗率)・直径・長さが分かっているとき、その電線の抵抗をどんな式で表せるか」を聞いています。数字は出てこず、4つの式から正しい形を選ぶ問題です。

用語抵抗率ρ(ロー)[Ω・m]とは?

抵抗率とは、材料そのものの電気の通しにくさを表す数字のことです。記号はρ(ロー)。同じ太さ・同じ長さで比べたとき、ρが大きい材料ほど電気を通しにくくなります。

なぜ?なぜ抵抗とは別に「抵抗率」があるのか?

電線の抵抗は、材料だけでなく長さや太さでも変わるからです。長さや太さの影響を取りのぞいて、材料だけの性質を比べられるようにした数字が抵抗率です。

用語導線(どうせん)とは?

導線とは、電気を通すための金属の線のことです。この問題では「1本の細長い金属の棒」だと思って読めば十分です。

なぜ?なぜ直径がmmで、長さがmなのか?

電線の太さは1.6mmや2.0mmのように細いので、mmで表すのが一般的です。一方、長さは何mもあるのでmを使うのが一般的です。単位がそろっていないことが、この問題の「10⁶」につながります。

電線の抵抗は「長さに比例、断面積に反比例」

電線の抵抗は、長いほど大きく、太いほど小さくなります。式で書くと抵抗=ρ×長さ÷断面積です。

用語断面積(だんめんせき)とは?

断面積とは、電線を輪切りにしたときの切り口の面積のことです。切り口は円なので、直径Dから面積を計算します。

なぜ?なぜ長いと抵抗が大きく、太いと小さくなるのか?

長い電線は邪魔を受ける距離が長いので、通りにくいのです。太い電線は通り道が広いので通りやすくなります。人ごみの長い廊下は進みにくく、幅の広い廊下は進みやすいのと同じです。

例数字で確かめると

ある電線の抵抗が8Ωだったとします。

長さを2倍にすると → 抵抗も2倍の16Ω(長さは1乗で効く)

直径を2倍にすると → 断面積は2×2=4倍になるので、抵抗は4分の1の2Ω(直径は2乗で効く)

円の面積をDで表す

円の面積は半径×半径×π(円周率)です。半径は直径の半分なのでD÷2。すると面積は(D÷2)×(D÷2)×π=πD²÷4となります。ここで分母に4が出てくるのがポイントです。

用語π(パイ)とは?

πとは円周率のことで、約3.14です。円の面積や円周を求めるときに使う決まった数です。

なぜ?なぜ式に「4」が出てくるのか?

直径を半分にして半径にし、それを2回かけるからです。2×2=4で割ることになるので、面積はπD²÷4。これを分母に入れると、4が上に上がって4ρLという形になります。

mmをmに直すと「×10⁶」が出てくる

ρの単位はΩ・mなので、長さも面積もmでそろえる必要があります。ところが直径Dはmmです。

なぜ?なぜmmをmに直すと「10⁶」になるのか?

1mm=1000分の1mです。面積は直径を2回かけるので、1000分の1×1000分の1=100万分の1になります。100万は10⁶。100万分の1で割る=10⁶をかけるので、式の最後に×10⁶が付くのです。

手順1 抵抗の基本の式 = ρ × 長さ ÷ 断面積

手順2 直径D[mm]をmに直す = D × 10⁻³[m](1000分の1)

手順3 断面積 = π ×(D×10⁻³)² ÷ 4 = πD² × 10⁻⁶ ÷ 4[m²]

手順4 抵抗 = ρL ÷(πD² × 10⁻⁶ ÷ 4)

手順5 割り算の中の「÷4」と「×10⁻⁶」を上に出す = 4ρL ÷ πD² × 10⁶

よって答えはイです。

覚えるこの問題の覚え方

「長さは1乗、直径は2乗」と「円の面積で4が出る」「mmが混ざると10⁶」の3点をセットで覚えましょう。選択肢を見るときは、①Lが1乗か ②Dが2乗か ③4が付いているか、の3つを順に確認すれば1つに絞れます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.ρL²÷πD²×10⁶ … 長さLを2乗してしまい、さらに4も抜けています。2乗するのは断面積を作る直径のほうだけです。

ハ.4ρL÷πD×10⁶ … 直径Dを2乗し忘れた形です。面積は直径を2回かけて作る、と思い出せば防げます。

ニ.4ρL²÷πD×10⁶ … Lを2乗し、Dを2乗し忘れた形。2か所とも逆になっています。

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問3

分野:電気の基礎(電力量と熱量)重要度 ★★★

電線の接続不良により,接続点の接触抵抗が0.2 Ωとなった。この電線に10 A の電流が流れると,接続点から1 時間に発生する熱量[kJ]は。
ただし,接触抵抗の値は変化しないものとする。

イ.72
ロ.144
ハ.288
ニ.576
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正解

イ.72[kJ]
この問題は何を聞いているの?

電線のつなぎ目がうまくつながっておらず、そこに0.2Ωの抵抗ができてしまいました。そこへ10Aの電流を1時間流したとき、つなぎ目からどれだけの熱が出るかを聞いています。

用語接続不良(せつぞくふりょう)と接触抵抗とは?

接続不良とは、電線どうしのつなぎ目がゆるい・汚れているなどで、しっかり触れ合っていない状態のことです。そのとき、つなぎ目に生まれる余計な抵抗を接触抵抗といいます。

なぜ?なぜつなぎ目に抵抗ができると危険なのか?

抵抗に電流が流れると、電気が熱に変わるからです。つなぎ目は小さな場所なので、熱がこもって発熱や火災の原因になります。この問題は、その熱の量を数字で出すものです。

用語熱量[J・kJ]とは?

熱量とは、発生した熱の量のことです。単位はJ(ジュール)。1000Jをまとめて1kJ(キロジュール)と書きます。

なぜ?なぜ電力から熱量が求められるのか?

1Wとは、1秒間に1Jの仕事をすることだからです。抵抗では電気の仕事がすべて熱になるので、電力[W]×時間[秒]=熱量[J]になります。

用語ジュールの法則とは?

ジュールの法則とは、抵抗で発生する熱量=電流×電流×抵抗×時間(秒)という関係のことです。式で書くとH=I²Rtです。

なぜ?なぜ電流は2回かけるのか?

抵抗の電力は電圧×電流で、抵抗にかかる電圧は電流×抵抗です。合わせると電流×抵抗×電流になるので、電流が2回出てきます。電流が2倍になると、熱は4倍になるということです。

時間は「秒」に直してから計算する

Jは1秒あたりの考え方で作られた単位なので、時間は秒で入れます。1時間=60分、1分=60秒なので、60×60=3600秒です。

手順1 つなぎ目の電力 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 10 × 10 × 0.2 = 20W(1秒間に20Jの熱)

手順2 時間を秒に直す = 1時間 = 60 × 60 = 3600秒

手順3 熱量 = 電力 × 秒 = 20 × 3600 = 72000J

手順4 kJに直す(1000で割る) = 72000 ÷ 1000 = 72kJ

よって答えはイの72kJです。20Wは、小さな電球1個ぶんほどの電力にあたります。それが小さなつなぎ目1か所に集中するので、接続不良は軽く見られません。

なぜ?なぜ「接触抵抗の値は変化しない」と書いてあるのか?

実際には、温度が上がると抵抗の値が変わることがあります。そうなると計算ができないので、「0.2Ωのまま変わらないものとして計算してよい」と条件を決めているのです。

覚えるこの問題の覚え方

「電力(I²R)を出す → 秒をかける → 1000で割ってkJ」の3段です。特に1時間=3600秒は、熱量の問題で何度も使います。1W×1秒=1Jという関係も一緒に覚えておきましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.144/ハ.288/ニ.576 … どれも誤りです。電流を2回かけて20W、秒に直して3600秒、という2点を押さえれば72kJになります。

なお、電流を1回しかかけない(10×0.2=2W)と、2×3600=7200J=7.2kJとなり、選択肢のどれにも当てはまりません。選択肢にない数字が出たら、式を見直すサインです。

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問4

分野:電気の基礎(交流回路の消費電力)重要度 ★★★

図のような抵抗とリアクタンスとが直列に接続された回路の消費電力[W]は。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午後 問4 の回路図
イ.600
ロ.800
ハ.1 000
ニ.1 250
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正解

ロ.800[W]
この問題は何を聞いているの?

交流の100Vの電源に、8Ωの抵抗と6Ωのコイルを1本道でつないだとき、回路が使う電力を聞いています。8+6=14Ωとしてはいけないのが、この問題の一番の山場です。

用語交流(こうりゅう)とは?

交流とは、電気を押す向きが、1秒間に何十回も行ったり来たり入れ替わる電気のことです。家庭用コンセントの電気が交流です。図の丸の中の「~」の記号が交流の電源を表します。

なぜ?なぜ交流だとコイルが関係してくるのか?

コイルには電流の変化を嫌う性質があります。交流は向きが絶えず変わるので、コイルはその変化に逆らって電流を流れにくくするのです。ずっと同じ向きの電気(直流)では、この働きはほとんど出ません。

用語リアクタンス[Ω]とは?

リアクタンスとは、コイル(やコンデンサ)が交流の電流を流れにくくする度合いのことです。単位は抵抗と同じΩ。図のぐるぐる巻きの記号がコイルで、そのリアクタンスが6Ωです。

なぜ?なぜ抵抗とリアクタンスを区別するのか?

抵抗は電気を熱に変えて使ってしまうのに対し、コイルは電気をいったんためて、また電源に返すだけだからです。どちらも「流れにくくする」点は同じですが、電気を使うかどうかが違います。

用語インピーダンス[Ω]とは?

インピーダンスとは、抵抗とリアクタンスを合わせた、回路全体の交流の流れにくさのことです。記号はZで、単位はΩです。

なぜ?なぜ8+6=14Ωにならないのか?

抵抗とコイルでは、電圧がかかるタイミングがずれているからです。向きのずれた2つを合わせるときは、直角三角形の斜辺のように計算します。つまりZ=√(8²+6²)です。

用語√(ルート)とは?

√とは、2回かけるとその数になる数を表す記号です。例えば√100は、10×10=100なので10。2乗の逆の計算と考えてください。

インピーダンスを出して、電流を求める

手順1 インピーダンス = √(抵抗² + リアクタンス²) = √(8×8 + 6×6) = √(64 + 36) = √100 = 10Ω

手順2 流れる電流 = 電圧 ÷ インピーダンス = 100 ÷ 10 = 10A

手順3 電気を使うのは抵抗だけなので、消費電力 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 10 × 10 × 8 = 800W

よって答えはロの800Wです。

なぜ?なぜ消費電力は8Ωの抵抗だけで計算するのか?

コイルは電気をためては返すだけで、使ってはいないからです。熱になって消えていくのは抵抗の部分だけ。だから消費電力は電流²×抵抗(8Ω)で求めます。6Ωの出番は、電流を決めるときだけです。

コツ「3・4・5」の三角形で一瞬で解く

8と6は、3:4:5の直角三角形(6:8:10)の形です。抵抗とリアクタンスがこの組み合わせなら、インピーダンスはすぐ10Ωと分かるのです。試験では、このようにきれいに割り切れる組み合わせが使われることが多いので、覚えておくと計算が速くなります。

力率(りきりつ)を使っても確かめられます。力率とは、電圧×電流のうち、実際に使われる割合のことです。この回路の力率は抵抗÷インピーダンス=8÷10=0.8。消費電力=100V×10A×0.8=800Wで、同じ答えになります。

覚えるこの問題の覚え方

「流れにくさは三角形で合わせ、使う電力は抵抗だけ」と覚えましょう。電流を出すときはインピーダンス(10Ω)、電力を出すときは抵抗(8Ω)。同じ問題の中で使う数字が入れ替わることを意識すると、取りちがえを防げます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.1000 … 電圧×電流(100×10)をそのまま答えた人。これはコイルの分も含んだ見かけの値で、実際に使われる電力ではありません。

ニ.1250 … 100Vが全部8Ωにかかると考えた人。100×100÷8=1250Wとなりますが、実際にはコイルがあるので電流は10Aにとどまります。

イ.600 … コイルの6Ωで電力を計算した人(10×10×6=600)。コイルは電気を使わないので誤りです。

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問5

分野:電気の基礎(三相交流)重要度 ★★★

図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき,各線に20 Aの電流が流れた。線間電圧E[V]は。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午後 問5 の回路図
イ.120
ロ.173
ハ.208
ニ.240
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正解

ハ.208[V]
この問題は何を聞いているの?

三相交流の電源に、6Ωの抵抗3個をY字の形につないだ負荷(電気を使う部分)が接続された回路です。各線に20Aが流れているとき、線と線のあいだの電圧Eは何Vかを聞いています。

用語三相交流(さんそうこうりゅう)と「3φ3W」とは?

三相交流とは、タイミングを少しずつずらした3つの交流を、3本の電線でまとめて送る方式のことです。図の3φ3Wは「三相(φ=相)・3線式(W=ワイヤ)」という意味です。

なぜ?なぜわざわざ3つの交流を使うのか?

少ない電線で大きな電力を送れて、モーターを回しやすいからです。工場や大きなビルの機械の多くは、この三相交流で動いています。

用語Y(スター)結線とは?

Y結線とは、3つの負荷の片方の端を1点に集め、もう片方の端をそれぞれの電線につなぐ形のことです。形がアルファベットのYに見えるので、こう呼ばれます。読み方は「スター結線」です。

なぜ?なぜ図の6Ωの3個がY結線だと分かるのか?

3つの6Ωがまん中の1点で集まっていて、反対の端がそれぞれ上・中・下の電線につながっているからです。三角形にぐるっとつながっていれば、別の「Δ(デルタ)結線」になります。

用語線間電圧と相電圧とは?

線間電圧とは、3本の電線のうち2本のあいだの電圧のことです。図のE[V]がこれにあたります。相電圧とは、負荷1個ぶんにかかる電圧のことです。

なぜ?なぜY結線では線間電圧と相電圧が違うのか?

Y結線では、2本の電線のあいだに負荷が2個つながっているからです。しかも2個の電圧はタイミングがずれているので、単純な足し算にはならず、相電圧の√3倍(約1.73倍)になります。これは三相交流の決まりです。

まず負荷1個ぶんの電圧を出す

Y結線では、電線を流れる電流が、そのまま負荷1個に流れます。電線から負荷までが1本道だからです。つまり6Ωの抵抗1個に20Aが流れています。

手順1 負荷1個に流れる電流 = 電線の電流と同じ = 20A

手順2 負荷1個にかかる電圧(相電圧) = 電流 × 抵抗 = 20 × 6 = 120V

手順3 線間電圧 = 相電圧 × √3 = 120 × 1.73 = 207.6V

手順4 いちばん近い選択肢は 208V

よって答えはハの208Vです。問題の【注】に√3=1.73と書かれているので、その数字をそのまま使います。

なぜ?なぜ120+120=240Vにならないのか?

2個の負荷の電圧は、押すタイミングがずれているからです。2人で荷物を押すとき、少し違う向きから押すと、力は2倍より小さくなるでしょう。三相交流では、この合わさり方がちょうど√3倍になると決まっています。

覚えるこの問題の覚え方

「Y(スター)は電流そのまま、電圧は√3倍」と覚えましょう。Y結線では、①電線の電流=負荷の電流、②線間電圧=負荷の電圧×√3。この問題は「負荷の電圧(120V)を出してから1.73をかける」の2段で解けます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.120 … 負荷1個の電圧(相電圧)を出したところで止めた人。聞かれているのは線と線のあいだのEなので、√3をかける必要があります。

ニ.240 … 2個の負荷の電圧を単純に足した人(120+120)。タイミングがずれているので、足し算にはなりません。

ロ.173 … 誤りです。20A×6Ω=120Vを出してから1.73をかける、という順番を守れば208Vになります。

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問6

分野:配電理論(三相3線式の電力損失)重要度 ★★★

図のような三相3 線式回路で,電線1 線当たりの抵抗値が0.15 Ω,線電流が10 A のとき,この配線の電力損失[W]は。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午後 問6 の回路図
イ.2.6
ロ.15
ハ.26
ニ.45
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正解

ニ.45[W]
この問題は何を聞いているの?

三相3線式の電源から、点線の中の負荷(電気を使う機械)まで、3本の電線で電気を送っています。電線1本の抵抗は0.15Ω、流れる電流は10A。このとき電線の中でむだに失われる電力を聞いています。

用語三相3線式(3φ3W)とは?

三相3線式とは、タイミングをずらした3つの交流を、3本の電線で送る配線方式のことです。工場の機械などに電気を送るときに使われます。

なぜ?なぜ「3線式」の本数が大切なのか?

この問題では、電気が失われる場所が電線1本1本だからです。電線が何本あるかによって、失われる電力の合計が変わるのです。三相3線式なら3本ぶんを数えます。

用語電力損失(でんりょくそんしつ)とは?

電力損失とは、電線の抵抗によって、電気が熱になって失われてしまう分のことです。負荷に届く前に、電線の中で使われてしまう電力です。

なぜ?なぜ電線でも電力が失われるのか?

電線も、ほんの少しだけ抵抗を持っているからです。抵抗に電流が流れると、熱が出るのが特徴です。この熱は誰の役にも立たないので「損失」と呼びます。

用語線電流とは?

線電流とは、電源と負荷をつなぐ電線1本に流れる電流のことです。この問題では、3本それぞれに10Aが流れています。

1本ぶんを出してから、3本ぶんにする

電線1本で失われる電力は、抵抗で発生する電力と同じく電流×電流×抵抗で求めるのが基本です。それが3本あるので、最後に3倍します。

なぜ?なぜ点線の中の負荷は計算に使わないのか?

聞かれているのは「配線の」電力損失、つまり電線の中で失われる分だけだからです。負荷が三角形(Δ結線)につながっていても、電線1本に10Aが流れている事実は変わりません。負荷の形は気にしなくてよいのです。

手順1 電線1本の電力損失 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 10 × 10 × 0.15 = 15W

手順2 電線は3本あるので = 15 × 3 = 45W

よって答えはニの45Wです。

なぜ?なぜここでは√3(1.73)を使わないのか?

√3は、三相交流の電圧どうしを合わせるときに出てくる数です。この問題は電線1本1本の発熱を足すだけなので、電圧の合わさり方は関係しません。本数の3をかけるのが正しい計算です。

例配線方式ごとの「損失を数える電線の本数」

単相2線式 … 2本とも電流が流れるので2本ぶん

三相3線式 … 3本とも同じ電流が流れるので3本ぶん(この問題)

覚えるこの問題の覚え方

「損失は1本ぶん(I²R)× 本数」と覚えましょう。三相3線式なら×3です。三相と聞くと√3を使いたくなりますが、電線の損失の計算には√3は出てこないと区別しておくと迷いません。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.15 … 電線1本ぶんで止めた人。3本とも同じだけ熱が出ているので、3倍する必要があります。

ハ.26 … 3ではなく√3(1.73)をかけた人。15×1.73≒26となりますが、電線の損失には√3を使いません。

イ.2.6 … √3×電流×抵抗(1.73×10×0.15≒2.6)を計算した人。これは電線での電圧の下がり方を求める形で、電力損失ではありません。

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問7

分野:配電理論(単相3線式の中性線断線)重要度 ★★★

図のような単相3 線式回路(電源電圧210/105 V)において,抵抗負荷A 20 Ω,B 10 Ωを使用中に,図中の×印点P で中性線が断線した。断線後の抵抗負荷A に加わる電圧[V]は。
ただし,断線によって負荷の抵抗値は変化せず,どの配線用遮断器も動作しなかったものとする。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午後 問7 の回路図
イ.70
ロ.105
ハ.140
ニ.210
答え・解説を見る
正解

ハ.140[V]
この問題は何を聞いているの?

家庭でも使われる単相3線式の配線で、まん中の電線(中性線)が×印の所で切れてしまいました。そのとき、20Ωの負荷Aにかかる電圧が何Vになるかを聞いています。

用語単相3線式(1φ3W)とは?

単相3線式とは、3本の電線で、100V(105V)と200V(210V)の両方を取り出せる配線方式のことです。多くの住宅で使われています。図の「210/105 V」は、外側の2本のあいだが210V、外側とまん中のあいだが105Vという意味です。

なぜ?なぜ1つの配線で2種類の電圧が取れるのか?

外側の2本の電線のちょうどまん中に、中性線がつながっているからです。210Vの半分ずつに分かれるので、外側とまん中のあいだは105Vです。照明やコンセントは105V、エアコンなどは210Vを使えます。

用語中性線(ちゅうせいせん)とは?

中性線とは、単相3線式の3本のうち、まん中の電線のことです。外側の2本(電圧側の線)とのあいだで105Vを取り出すための、共通の帰り道の役目をしています。

なぜ?なぜ中性線が切れると困るのか?

中性線があるおかげで、AとBはそれぞれ別々に105Vをもらえているからです。中性線が切れると、AとBは210Vを2個で分け合う1本道になってしまいます。分け方は抵抗の大きさで決まるので、105Vずつにはなりません。

用語負荷(ふか)とは?

負荷とは、電気を使う機械や器具のことです。この問題では、熱を出すだけの単純な抵抗(ヒーターのようなもの)として、A=20Ω、B=10Ωが使われています。

断線前と断線後で、回路の形がどう変わるか

断線前は、AもBも外側の線と中性線のあいだにつながっていて、どちらも105Vがかかっています。断線後は、中性線という帰り道がなくなり、電気は上の線 → A → B → 下の線と、AとBを順番に通るしかありません。

なぜ?なぜ断線後はAとBが「直列」になるのか?

AとBの下側は、中性線の点Pより下でつながったままだからです。点Pで電源側との道だけが切れたので、AとBのつなぎ目はどこにも逃げ道がない状態になります。1本道=直列です。

用語直列のときの電圧の分け方とは?

直列につながった抵抗は、電源の電圧を抵抗の大きさの比で分け合う、という性質のことです。抵抗が大きいほうに、大きい電圧がかかります。

手順1 断線後、AとBは210Vの外側2本のあいだに直列になる

手順2 全体の抵抗 = 20 + 10 = 30Ω

手順3 流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 210 ÷ 30 = 7A

手順4 Aにかかる電圧 = 電流 × 抵抗 = 7 × 20 = 140V

手順5 確かめ:Bにかかる電圧=7×10=70V。140+70=210Vで合っている

よって答えはハの140Vです。抵抗の比で考えると、A:B=20:10=2:1なので、210Vを3つに分けた2つぶん=140Vとも求められます。

なぜ?なぜ「どの配線用遮断器も動作しなかった」と書いてあるのか?

配線用遮断器(ブレーカー)が切れると、電気が止まって電圧が0Vになってしまうからです。「どれも切れずに、そのまま電気が流れ続けた」と決めることで、計算できる問題にしています。

105V用の器具に140Vがかかると、器具がこわれたり発熱したりするおそれがあります。反対に、Bは70Vに下がって十分に働きません。中性線の断線が危険だといわれるのは、このためです。

覚えるこの問題の覚え方

「中性線が切れたら、2つの負荷は210Vの1本道」と覚えましょう。あとは抵抗の比で210Vを分けるだけです。抵抗の大きいほう(20Ω)に大きい電圧(140V)がかかる、という向きも一緒に確認してください。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.105 … 中性線が切れても何も変わらないと考えた人。これは断線前の電圧です。

イ.70 … Bのほうの電圧を答えた人。抵抗の小さいBには小さい電圧(70V)、抵抗の大きいAには大きい電圧(140V)がかかります。

ニ.210 … 210Vが全部Aにかかると考えた人。実際にはBと分け合うので、Aは140Vです。

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問8

分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に断面積3.5 mm²の600V ビニル絶縁電線(軟銅線)4 本を収めて施設した場合,電線1 本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は30℃以下,電流減少係数は0.63 とする。

イ.19
ロ.23
ハ.31
ニ.49
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正解

ロ.23[A]
この問題は何を聞いているの?

金属の管の中に、断面積3.5mm²の電線を4本まとめて通したとき、電線1本に流してよい電流の上限は何Aかを聞いています。表の数字に、問題文の0.63をかける問題です。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

許容電流とは、その電線に安全に流し続けてよい電流の上限のことです。電線の太さや種類ごとに、決まった値があります。

なぜ?なぜ電線に「流してよい上限」があるのか?

電流が流れると電線は熱を持つからです。流しすぎると電線のまわりのビニル(絶縁物)が熱で傷み、ショートや火災につながります。そうならない上限が許容電流です。

用語600Vビニル絶縁電線と軟銅線とは?

600Vビニル絶縁電線とは、銅の線をビニルで覆った電線で、記号はIVです。軟銅線(なんどうせん)とは、やわらかく加工した銅の線のことです。

なぜ?なぜ電線の太さを「mm²」で表すことがあるのか?

電線には、1本の太い線(単線)と、細い線を何本もより合わせたもの(より線)の2種類があるのです。より線は直径で表しにくいので、銅の部分の断面積(mm²)で太さを表します。3.5mm²は、このより線の太さです。

用語金属管工事とは?

金属管工事とは、電線を金属製の管の中に通して守る工事の方法のことです。電線が傷つきにくくなります。

なぜ?なぜ管に入れると流せる電流が減るのか?

管の中は熱が逃げにくいからです。しかも電線が何本も入っていると、おたがいの熱でさらに温まってしまうのです。そのため、管に入れたときは許容電流を小さくして使う決まりになっています。

用語電流減少係数とは?

電流減少係数とは、管に電線をまとめて入れたとき、許容電流を何倍に減らすかを表す数字のことです。この問題では0.63と書かれています。

なぜ?なぜ係数は電線の本数で変わるのか?

本数が多いほど、こもる熱が増えるからです。決まりでは、同じ管に入れる電線が3本以下なら0.70、4本なら0.63、5〜6本なら0.56と、本数が増えるほど小さくなります。この問題は4本なので0.63です。

用語周囲温度30℃以下とは?

電線のまわりの温度が30℃を超えないという条件です。許容電流の表の数字は、この温度を前提に作られています。

なぜ?なぜ周囲温度がわざわざ書いてあるのか?

まわりが暑いと電線はさらに熱を逃がしにくくなり、許容電流を別に減らす必要が出てくるからです。「30℃以下」と書くことで、表の数字をそのまま使ってよいと決めています。

表の数字に0.63をかける

600Vビニル絶縁電線(より線)の断面積3.5mm²の許容電流は、決まりで37Aとされています。これは、管に入れずに使うときの値です。

手順1 断面積3.5mm²の許容電流(表の値) = 37A

手順2 管に4本入れたので、電流減少係数0.63をかける = 37 × 0.63 = 23.31A

手順3 いちばん近い選択肢は 23A

よって答えはロの23Aです。

例よく使う電線の許容電流(600Vビニル絶縁電線・管に入れないとき)

単線 … 直径1.6mm=27A/2.0mm=35A

より線 … 断面積2mm²=27A/3.5mm²=37A/5.5mm²=49A

覚えるこの問題の覚え方

「表の数字 × 減少係数」の2段で解きます。3.5mm²は37A(「3.5は37」と、3がそろう組み合わせ)。係数は問題文に書かれていることが多いので、表の値さえ覚えていればかけ算だけで答えが出ます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.31 … 5.5mm²の許容電流(49A)に0.63をかけた人(49×0.63≒31)。3.5mm²と5.5mm²の数字を取りちがえています。

ニ.49 … 5.5mm²の許容電流そのものです。太さの取りちがえに加えて、0.63もかけていません。

イ.19 … 誤りです。3.5mm²=37Aを思い出し、問題文の0.63をかければ23Aになります。

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問9

分野:配線設計(幹線の分岐)重要度 ★★★

図のように定格電流50 A の配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線からVVR ケーブル太さ8 mm²(許容電流42 A)で低圧屋内電路を分岐する場合,a-b 間の長さの最大値[m]は。
ただし,低圧屋内幹線に接続される負荷は,電灯負荷とする。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午後 問9 の回路図
イ.3
ロ.5
ハ.8
ニ.制限なし
答え・解説を見る
正解

ニ.制限なし
この問題は何を聞いているの?

建物の中の太い電線(幹線)から、細い電線を枝分かれさせるとき、分かれ目aから次のブレーカーbまでの長さを最大何mにしてよいかを聞いています。決まりの数字と、簡単なかけ算で解ける問題です。

用語幹線(かんせん)とは?

幹線とは、建物の電気の入口(引込口)から、各分電盤などへ電気を運ぶ太い電線のことです。木の幹のように、そこから電線が枝分かれしていきます。

なぜ?なぜ幹線から細い電線を分けると注意が要るのか?

幹線を守る50Aのブレーカーは、50Aを超えるまで電気を止めないからです。分かれた先の電線が細いと、50Aより少ない電流でも細い電線のほうが先に過熱するおそれがあります。そこで、分かれた先にもう1つブレーカー(b)を置く場所を決めているのです。

用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?

配線用遮断器とは、電流が流れすぎたときに自動で電気を止める装置のことです。家庭の分電盤にあるブレーカーがこれにあたるものです。図の四角に「B」の記号で表します。

なぜ?なぜbの位置にもブレーカーを置くのか?

分かれた細い電線を、その電線に合った大きさの電流で守るためです。bから先は、bのブレーカーが電線を守ります。問題になるのは、aからbまでの、まだ守られていない区間の長さです。

用語VVRケーブルと「VVR 8」とは?

VVRケーブルとは、ビニルで覆った電線を、さらに丸い形のビニルの外装でまとめたケーブルのことです。図の「VVR 8」は、太さ8mm²のVVRケーブルという意味で、許容電流は問題文で42Aと示されています。

なぜ?なぜ分岐の長さが許容電流で決まるのか?

太い(許容電流が大きい)電線ほど、50Aの大きなブレーカーでもある程度守られるからです。分かれた電線が十分に太ければ、aからbまでが長くても危険は小さいわけです。そこで、許容電流が幹線のブレーカーの何%かで長さが決まっています。

分岐の長さの決まり(3つの段階)

例幹線から分岐するときの、a−b間の長さの決まり

3m以下 … 分かれた電線の許容電流に条件なし

8m以下 … 分かれた電線の許容電流が、幹線のブレーカーの35%以上

長さの制限なし … 分かれた電線の許容電流が、幹線のブレーカーの55%以上

この決まりは、電気設備の技術基準の解釈(国が示した、技術の決まりの具体的な中身)に書かれている内容です。この問題では、42Aが50Aの何%かを調べます。

手順1 幹線のブレーカーの55% = 50 × 0.55 = 27.5A

手順2 分かれた電線(VVR 8mm²)の許容電流は42A

手順3 42A は 27.5A 以上なので、55%以上の条件を満たしている

手順4 よって a−b間の長さに制限はない

よって答えはニの「制限なし」です。42÷50=0.84なので、42Aは50Aの84%。55%を大きく超えています。

なぜ?なぜ「電灯負荷とする」と書いてあるのか?

幹線にモーター(電動機)がつながる場合は、幹線やブレーカーの考え方が変わることがあるからです。「照明などの負荷だけ」と決めることで、上の3段階の決まりをそのまま当てはめてよいことになります。

覚えるこの問題の覚え方

「3m・8m・制限なし」と「35%・55%」をセットで覚えましょう。解くときは、まずブレーカーの値×0.55を計算します。分かれた電線の許容電流がそれ以上なら制限なし。足りなければ×0.35と比べて、以上なら8m、それも足りなければ3mです。大きいほう(55%)から調べると、迷わず答えが出ます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.8 … 35%の条件だけ確かめて止めた人(50×0.35=17.5A、42Aはそれ以上)。55%の条件も満たしているので、さらに上の「制限なし」になります。

イ.3 … 分岐はいつでも3m以内と思い込んだ人。3mは、分かれた電線が細い場合の決まりです。

ロ.5 … 誤りです。決まりに出てくる長さは3mと8mの2つだけで、5mという段階はありません。

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問10

分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★

低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器の定格電流とコンセントの組合せとして,不適切なものは。

令和5年度下期 第二種電気工事士 学科試験 午後 問10 の選択肢(4つの分岐回路の図)
答え・解説を見る
正解

ロ.30A(配線用遮断器)・15Aコンセント2個
この問題は何を聞いているの?

分岐回路のブレーカーの大きさと、その先につなぐコンセントの大きさの組み合わせのうち、決まりに合わないもの(不適切なもの)を1つ選ぶ問題です。「不適切なものは」と聞かれている点に注意しましょう。

用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?

分岐回路とは、分電盤のブレーカーから、コンセントや照明までつながる1本1本の回路のことです。家の中の「台所のコンセント」「寝室の照明」などが、それぞれ1つの分岐回路です。

なぜ?なぜ回路ごとにブレーカーの大きさが決まっているのか?

ブレーカーは、その回路の電線やコンセントが熱くなりすぎる前に電気を止めるための装置だからです。守る相手(電線・コンセント)に合った大きさでないと、守る役目を果たせません。

用語コンセントの定格電流とは?

コンセントの定格電流とは、そのコンセントに流してよい電流の上限のことです。15Aのコンセントなら、15Aまでの電流を流せるように作られています。

なぜ?なぜコンセントが「小さすぎても」だめなのか?

30Aのブレーカーは、30Aを超えるまで電気を止めません。そこに15Aのコンセントをつなぐと、コンセントに20A流れてもブレーカーは止めてくれないことになります。コンセントが熱を持って危険なので、ブレーカーに比べて小さすぎるコンセントもつないではいけないのです。

ブレーカーとコンセントの組み合わせの決まり

例分岐回路のブレーカー(配線用遮断器)とつないでよいコンセント

20Aのブレーカー … 20A以下のコンセント(15A・20A)

30Aのブレーカー … 20A以上30A以下のコンセント(20A・30A)

40Aのブレーカー … 30A以上40A以下のコンセント

この決まりも電気設備の技術基準の解釈に書かれたものです。コンセントの個数は関係なく、1個でも2個でも同じように考えます。

例選択肢を1つずつ当てはめる

イ ブレーカー30A/30Aコンセント2個 … 30A回路は20A以上30A以下なので、30AはOK → 適切

ロ ブレーカー30A/15Aコンセント2個 … 30A回路のコンセントは20A以上が必要。15Aは小さすぎる → 不適切

ハ ブレーカー20A/20Aコンセント1個 … 20A回路は20A以下なので、20AはOK → 適切

ニ ブレーカー20A/15Aコンセント2個 … 20A回路は20A以下なので、15AもOK → 適切

よって答えはロです。

なぜ?なぜ同じ15Aコンセントが、20A回路ではよくて30A回路ではだめなのか?

決まりの中で、20Aの回路は「20A以下」、30Aの回路は「20A以上30A以下」と定められているからです。30Aと15Aの組み合わせでは、ブレーカーはコンセントの2倍の電流まで電気を止めません。試験では、この表の範囲に入っているかどうかで判断します。

覚えるこの問題の覚え方

コンセントの範囲は「ブレーカーの1つ下の段から、ブレーカーと同じ値まで」と覚えましょう(30A回路なら20A〜30A、40A回路なら30A〜40A)。ずれた階段のイメージです。ただし20A回路だけは「20A以下」で下限がないので、15Aも20AもOKになります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.20A・15Aコンセント2個 … 「ブレーカーとコンセントの数字がそろっていないから不適切」と考えた人。20A回路は20A以下なら何でもよいので、15Aは適切です。

イ.30A・30Aコンセント2個 … 「コンセントが2個だと電流が増えるから不適切」と考えた人。個数は判断に関係しないので、適切です。

ハ.20A・20Aコンセント1個 … 適切な組み合わせです。数字がそろっていて、迷う人は少ない選択肢です。

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この記事のまとめ

問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返ります。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすいでしょう。

まとめこの10問で持ち帰ること

問1 直列・並列 … 並列2個は「かけ算÷足し算」で12Ω、直列は足して20Ω。8Ωに10Aで800W

問2 抵抗率 … 長さは1乗、直径は2乗。円の面積で4、mmが混ざると10⁶

問3 熱量 … 電力(I²R)20W × 3600秒 = 72000J = 72kJ

問4 交流の消費電力 … インピーダンスは三角形で10Ω。電気を使うのは抵抗だけで800W

問5 三相交流(Y結線) … Y(スター)は電流そのまま、電圧は√3倍。120V×1.73≒208V

問6 電力損失 … 1本ぶん(I²R)× 本数。三相3線式は3本で45W。√3は使わない

問7 中性線の断線 … AとBが210Vの1本道になり、抵抗の比で分ける。Aは140V

問8 許容電流 … 3.5mm²=37A。減少係数0.63をかけて23A

問9 幹線の分岐 … 3m・8m・制限なし/35%・55%。42Aは50Aの55%以上なので制限なし

問10 分岐回路 … 30A回路のコンセントは20A以上30A以下。15Aは小さすぎて不適切

この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電流²×抵抗)の2本でした。これに抵抗率・インピーダンス・√3の決まりが加わり、後半の問8〜10は決まりの表を覚えているかが問われます。式を増やすより、この2本の使い方に慣れることが近道になるでしょう。

出典

令和5年度下期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

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用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

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電圧・電流・抵抗のきほんから

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幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

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▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

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