第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和4年度 上期・午前(2022年5月29日実施)の問1〜10です。
問1〜問10には計算問題と電気の基礎がまとまって出てきます。「公式を覚えていないから無理」と感じる人も少なくありませんが、土台になる式はオームの法則と電力の式がほとんどです。この記事では、その式がどうしてそうなるのか、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開けば、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和4年度上期第二種電気工事士試験(午前)
問1
分野:電気の基礎(直並列回路)重要度 ★★★
図のような回路で,電流計Ⓐの値が1 A を示した。このときの電圧計Ⓥの指示値[V]は。
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この問題は何を聞いているの?
図の回路で、電流計が「1A」を指しているとき、右側の電圧計は何ボルトを指すかを聞いています。つまり、電流計の1Aという手がかりから回路の電流を順にたどり、右の4Ωにかかる電圧を出す問題です。まず、出てくる言葉を1つずつ確認しましょう。
用語電流[A]とは?
電流とは、電線の中を流れる電気の量のことです。単位はA(アンペア)。数字が大きいほど、たくさんの電気が流れています。
なぜ?なぜ電流を「水の量」に例えるのか?
水道管の中を水が流れるように、電気も電線の中を流れていくからです。蛇口から1秒間に出る水が多いほど勢いがあるのと同じで、電流が大きいほど多くの電気が通っていると考えます。
用語電圧[V]とは?
電圧とは、電気を押し出す力の強さのことです。単位はV(ボルト)。図の下にある、長い線と短い線が並んだ記号が電池で、ここが回路全体を押す力のもとになっています。
なぜ?なぜ電圧は「2つの点のあいだ」で測るのか?
電圧は水の高さの差のようなものだからです。水は高い所から低い所へ流れますが、流れの強さを決めるのは「どれだけ高いか」ではなく「上と下でどれだけ差があるか」。そのため、電圧はいつも部品の両はしの差として測ります。
用語抵抗[Ω]とは?
抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)。図の細長い長方形が抵抗で、4Ωが4つ、8Ωが1つです。
なぜ?なぜ電気に「流れにくさ」があるのか?
ホースの中にスポンジが詰まっていると水が通りにくいのと同じで、部品の中には電気の通り道を邪魔するものがあります。その邪魔の度合いを数字にしたものが抵抗です。
用語電流計(Ⓐ)とは?
電流計とは、その道を通った電流の大きさを表示する計器のことです。図では丸の中にAと書いた記号で、真ん中の8Ωと同じ1本道に入っています。
なぜ?なぜ電流計は道の途中に入れるのか?
水道メーターが水道管の途中に入っていて、通った水だけを数えるのと同じだからです。電流計も、自分の中を通った電流しか数えられません。だからこの問題の1Aは、真ん中の8Ωを通る電流だと読み取れます。
用語電圧計(Ⓥ)とは?
電圧計とは、2つの点のあいだの電圧を表示する計器のことです。図では丸の中にVと書いた記号で、右の4Ωの両はしをまたぐようにつながっています。
なぜ?なぜ電圧計は部品をまたぐようにつなぐのか?
電圧は2点の差だからです。高さの差を測るときに上と下の両方に物差しを当てるのと同じで、電圧計は部品の入口と出口の両方につなぎます。この問題の答えは、右の4Ωにかかっている電圧そのものです。
なお、この問題では電流計と電圧計そのものは、回路の電流に影響しないものとして考えます。計器は「測るだけの道具」と考えてかまいません。
図を「枝分かれの部分」と「右の4Ω」に分けて見る
図の左側は、同じ2つの点(黒い丸)のあいだで道が3本に分かれています。上の道は4Ωと4Ω、真ん中の道は8Ωと電流計、下の道は4Ωです。3本の道は右の黒い丸で1本に戻り、そのあと右の4Ωを通って電池に帰ります。
用語並列(へいれつ)とは?
並列とは、道が枝分かれして、同じ2つの点のあいだに横に並んでいるつなぎ方のことです。この図の左側の3本の道が並列になっています。
なぜ?なぜ並列の道にはどれも同じ電圧がかかるのか?
3本の道は出発点も到着点も同じだからです。山の上から麓まで3本の登山道があっても、上り下りする高さの差はどの道も同じです。電気でも、並列に並んだ道には同じ電圧がかかります。
用語直列(ちょくれつ)とは?
直列とは、部品が1本道に順番に並んでいるつなぎ方のことです。上の道の4Ωと4Ωは直列なので、足し算して4+4=8Ωの1本として扱えます。
なぜ?なぜ直列だと抵抗が足し算になるのか?
1本道では、電気がどちらの邪魔も順番に受けるからです。スポンジを2個続けて詰めたホースは、1個のときより通りにくくなります。邪魔が重なるぶんだけ足すと覚えましょう。
用語オームの法則とは?
オームの法則とは、電圧=電流×抵抗という関係のことです。形を変えて電流=電圧÷抵抗としても使えます。
なぜ?なぜこの1つの式で電圧も電流も出せるのか?
電圧・電流・抵抗の3つのうち2つが分かれば、残りの1つが決まる関係だからです。例えば「抵抗8Ωに1Aが流れている」なら、電圧は8×1=8Vと計算できるわけです。
電流計の1Aから、枝分かれ部分の電圧を出す
真ん中の道には8Ωの抵抗に1Aが流れています。オームの法則で、8Ω×1A=8V。これが真ん中の道にかかる電圧です。
並列の道には同じ電圧がかかるので、上の道にも下の道にも8Vがかかっています。ここから、それぞれの道の電流を出してみましょう。
上の道は4Ω+4Ω=8Ωなので、8V÷8Ω=1A。下の道は4Ωなので、8V÷4Ω=2Aです。
3本の電流を合わせたものが、右の4Ωを流れる
なぜ?なぜ枝の電流を足すと右の4Ωの電流になるのか?
電流は途中で消えたり増えたりしないからです。川の支流が合流すると、合流後の水の量は支流の水を足した量になります。3本の道を通った電気は右の黒い丸で合流し、全部が右の4Ωを通るのです。
合わせた電流は1A+1A+2A=4A。右の4Ωにかかる電圧は、4A×4Ω=16Vとなります。電圧計はこの4Ωをまたいでいるので、指示値は16Vです。
手順1 真ん中の道(8Ω)の電圧 = 電流 × 抵抗 = 1 × 8 = 8V
手順2 並列なので、上の道と下の道にも同じ8Vがかかる
手順3 上の道(4+4=8Ω)の電流 = 8 ÷ 8 = 1A
手順4 下の道(4Ω)の電流 = 8 ÷ 4 = 2A
手順5 右の4Ωを流れる電流 = 1 + 1 + 2 = 4A
手順6 右の4Ωの電圧(電圧計の指示値) = 4 × 4 = 16V
よって答えはイの16Vです。
覚えるこの問題の覚え方
電流計が出てきたら「電流計のいる道で電圧を出す → 並列の仲間に同じ電圧を配る → 各道の電流を出して合流させる」の3段で進めます。並列は電圧が同じ、直列は電流が同じ。この2つを使い分けるだけで、図が複雑に見えても1本ずつほどけます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.32 … 誤りです。右の4Ωに流れる電流は、3本の道の電流を合わせた4Aです。
ハ.40 … 誤りです。まず真ん中の道の電圧(8V)を出し、並列の道に配る順番で進めると16Vにたどり着けます。
ニ.48 … 誤りです。電圧計がまたいでいるのは右の4Ωだけなので、その4Ωの電圧だけを計算します。
問2
分野:電気の基礎(電線の抵抗と許容電流)重要度 ★★★
ビニル絶縁電線(単線)の抵抗又は許容電流に関する記述として,誤っているものは。
イ.許容電流は,周囲の温度が上昇すると,大きくなる。
ロ.許容電流は,導体の直径が大きくなると,大きくなる。
ハ.電線の抵抗は,導体の長さに比例する。
ニ.電線の抵抗は,導体の直径の2乗に反比例する。
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正解
イ.許容電流は,周囲の温度が上昇すると,大きくなる。
この問題は何を聞いているの?
電線の「抵抗(電気の流れにくさ)」と「許容電流(安全に流せる電流の上限)」について、4つの文のうち誤っているものを1つ選ぶ問題です。「正しいもの」ではなく「誤っているもの」を聞いている点に気をつけましょう。
用語ビニル絶縁電線(単線)とは?
ビニル絶縁電線とは、電気を通す銅の線を、電気を通さないビニルで包んだ電線のことです。単線とは、中の銅が1本の太い線でできているもので、細い線を何本もより合わせたより線と区別されます。
なぜ?なぜ銅の線をビニルで包むのか?
むき出しの銅に人が触れたり、銅どうしが触れ合ったりすると、感電やショート(電気の近道)が起きるからです。電気を通さないビニルで包むことを絶縁(ぜつえん)といいます。
用語導体(どうたい)とは?
導体とは、電気を通す部分のことです。ビニル絶縁電線では、中の銅の線が導体にあたります。
なぜ?なぜ「電線の直径」ではなく「導体の直径」と書くのか?
電気が流れるのは中の銅だけで、外側のビニルには流れないからです。電線の太さを比べるときは、ビニルを除いた銅の部分の太さで考えます。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
許容電流とは、電線に流し続けても安全な電流の上限のことです。例えば、直径1.6mmのビニル絶縁電線(単線)は27A、直径2.0mmは35Aと決められています。
なぜ?なぜ電線に流せる電流に上限があるのか?
電流が流れると、電線は抵抗のせいで熱を持つからです。熱くなりすぎるとまわりのビニルが傷み、絶縁が保てなくなって感電や火災につながります。ビニルが傷まない範囲で決めた上限が許容電流です。
イ.周囲の温度が上がると、許容電流は大きくなる → 誤り
周囲の温度が上がると、許容電流は小さくなります。だからイが「誤っているもの」で、この問題の答えです。
なぜ?なぜまわりが暑いと流せる電流が小さくなるのか?
電線の熱はまわりの空気へ逃げていくからです。まわりが暑いと熱が逃げにくく、同じ電流でも電線の温度が高くなります。熱いお茶が、真夏の部屋では冷めにくいのと同じです。ビニルが傷まない温度に収めるには、流す電流を減らすしかありません。
ロ.導体の直径が大きくなると、許容電流は大きくなる → 正しい
太い電線ほど抵抗が小さく、熱を持ちにくいので、多くの電流を流せます。実際に1.6mmは27A、2.0mmは35Aと、太いほうが大きな値になっているのが分かるでしょう。
ハ.電線の抵抗は、導体の長さに比例する → 正しい
用語比例(ひれい)とは?
比例とは、一方が2倍、3倍になると、もう一方も2倍、3倍になる関係のことです。
なぜ?なぜ長い電線ほど抵抗が大きくなるのか?
電線が長いほど、電気が邪魔を受けながら進む距離が長くなるからです。例えば10mで0.1Ωの電線なら、20mでは0.2Ω、30mでは0.3Ωになります。
ニ.電線の抵抗は、導体の直径の2乗に反比例する → 正しい
用語反比例(はんぴれい)とは?
反比例とは、一方が2倍になると、もう一方が2分の1になる関係のことです。「2乗に反比例」なら、一方が2倍になると、もう一方は2×2=4分の1になります。
なぜ?なぜ「直径」ではなく「直径の2乗」が効いてくるのか?
電気の通り道の広さを決めるのは、銅の切り口の面積(断面積)だからです。円の面積は半径×半径×3.14なので、直径が2倍になると面積は2×2=4倍。通り道が4倍に広がるので、抵抗は4分の1になります。
例具体的な数字で確かめる
直径1.6mmの電線の抵抗を仮に4Ωとする
直径を2倍の3.2mmにすると、断面積は2×2=4倍
通り道が4倍に広がるので、抵抗は4÷4=1Ω(4分の1)
このように、ロ・ハ・ニはどれも正しい文です。誤っているのはイだけなので、答えはイとなります。
覚えるこの問題の覚え方
電線の抵抗は「長いほど大きく、太いほど小さい」。太さは面積で効くので2乗です。許容電流は「熱をどれだけ逃がせるか」で考えるのがコツです。太い電線は熱を持ちにくいので大きく、まわりが暑いと熱が逃げないので小さくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.直径の2乗に反比例 … 「直径に反比例」と思い込んでいると、「2乗」が誤りに見えます。抵抗を決めるのは断面積で、断面積は直径の2乗に比例するので、ニは正しい文です。
ロ・ハ … どちらも正しい文です。問題文が「誤っているものは」と聞いていることを、最後にもう一度確かめましょう。
問3
分野:電気の基礎(電力と熱量)重要度 ★★★
抵抗器に100 Vの電圧を印加したとき,5 Aの電流が流れた。1時間30分の間に抵抗器で発生する熱量[kJ]は。
イ.750
ロ.1 800
ハ.2 700
ニ.5 400
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この問題は何を聞いているの?
抵抗器に100Vの電圧をかけたら5Aの電流が流れたとき、1時間30分のあいだに出る熱の量は何kJ(キロジュール)かを聞いています。「1秒あたりの熱」×「秒数」で求める問題です。
用語抵抗器(ていこうき)とは?
抵抗器とは、決まった大きさの抵抗(電気の流れにくさ)を持たせた部品のことです。電気が流れると、抵抗器は電気のエネルギーを熱に変えます。
なぜ?なぜ抵抗に電気が流れると熱が出るのか?
電気が邪魔をかき分けながら進むときに、そのエネルギーが熱になるからです。電気ストーブやドライヤーも同じしくみで、中の抵抗に電気が流れて熱が出ています。
用語印加(いんか)とは?
印加とは、電圧をかけることです。「100Vの電圧を印加した」は、「100Vをかけた」と読みかえてかまいません。
なぜ?なぜ「かける」ではなく「印加」という言葉を使うのか?
電気の分野で昔から使われている専門の言い方だからです。試験では「印加=かける」と覚えておけば十分。
用語電力[W]とは?
電力とは、1秒あたりに電気が行う仕事の量のことです。単位はW(ワット)で、電力=電圧×電流で求めます。
なぜ?なぜ電圧と電流をかけると電力になるのか?
電圧は押す力の強さ、電流は流れる量だからです。強い力で、たくさん流すほど、1秒間にできる仕事は大きくなります。水車に当たる水も、勢いが強く量が多いほどよく回るのと同じです。
用語熱量[J・kJ]とは?
熱量とは、出てきた熱の量のことです。単位はJ(ジュール)で、1Wの電力を1秒間使うと1Jの熱が出ます。1kJ=1,000Jです。
なぜ?なぜ電力に「秒」をかけると熱量になるのか?
電力は1秒あたりの量だからです。1秒で500Jの熱が出るなら、2秒で1,000J、10秒で5,000J。秒数をかければ、合計の熱の量になります。
時間を「秒」に直す
熱量をJで出すには、時間を秒に直すことが必要です。1時間は60分、1分は60秒です。
1時間30分=90分。90分を秒にすると、90×60=5,400秒になります。
手順1 電力 = 電圧 × 電流 = 100 × 5 = 500W(1秒あたり500Jの熱)
手順2 時間 = 1時間30分 = 90分 = 90 × 60 = 5,400秒
手順3 熱量 = 電力 × 秒 = 500 × 5,400 = 2,700,000J
手順4 kJに直す = 2,700,000 ÷ 1,000 = 2,700kJ
よって答えはハの2,700kJです。
kW・hを使って確かめる方法もある
電気料金の明細で見るkW・h(キロワット時)を使っても、同じ答えになります。1kW・h=3,600kJという関係を使う方法です。
なぜ?なぜ1kW・hが3,600kJになるのか?
1kW・hは1kW(1,000W)を1時間使った量だからです。1時間は3,600秒なので、1,000×3,600=3,600,000J=3,600kJになります。
手順1 電力 = 500W = 0.5kW
手順2 時間 = 1時間30分 = 1.5時間
手順3 電力量 = 0.5 × 1.5 = 0.75kW・h
手順4 kJに直す = 0.75 × 3,600 = 2,700kJ
覚えるこの問題の覚え方
熱量は「電力(W)×秒=J」。時間が「時間」で書かれていたら、まず秒に直すのが最初の一手です。kW・hから直すときは「1kW・h=3,600kJ」。3,600は1時間の秒数と同じ数なので、理由ごと覚えておくと忘れにくくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.750 … 500W×1.5時間=750W・hで止めてしまった人が選ぶ数字です。答えはkJで聞かれているので、W・hのままでは単位が合いません。
ロ.1,800 … 30分を忘れて1時間(3,600秒)だけで計算すると、500×3,600=1,800,000J=1,800kJになります。
ニ.5,400 … 誤りです。5,400は1時間30分を秒に直した数で、熱量ではありません。
問4
分野:交流回路(抵抗とコイルの直列)重要度 ★★★
図のような交流回路において,抵抗8 Ωの両端の電圧V[V]は。
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この問題は何を聞いているの?
交流100Vの電源に8Ωの抵抗と6Ωのコイルが1本道につながっているとき、8Ωの抵抗の両はしにかかる電圧を聞いています。回路全体の流れにくさ→電流→8Ωの電圧の順に出していく問題です。
用語交流(こうりゅう)とは?
交流とは、流れる向きが1秒間に100回以上も入れかわる電気のことです。家庭用コンセントの電気が交流で、図の丸の中に「〜」が描かれた記号が交流の電源を表します。
なぜ?なぜ交流だと「コイル」が電気の邪魔をするのか?
コイルには電流の変化をいやがる性質があるからです。交流は向きがいつも変わり続けるので、コイルはそのたびに流れを押し返し、結果として電気の邪魔をします。向きが変わらない電気(直流)では、この邪魔は起きません。
用語コイルとは?
コイルとは、電線をばねのようにぐるぐる巻いた部品のことです。図のくるくるした記号がコイルで、「6Ω」は交流を邪魔する強さを表しています。
なぜ?なぜコイルの邪魔の強さもΩで表すのか?
抵抗と同じように「何ボルトかけると何アンペア流れるか」を決める量だからです。コイルの邪魔の強さをリアクタンスといい、抵抗と同じΩで表します。
用語インピーダンスとは?
インピーダンスとは、抵抗とコイルなどを合わせた、回路全体の流れにくさのことです。単位はΩ。交流の電流は電圧÷インピーダンスで求めます。
なぜ?なぜ8Ωと6Ωを足して14Ωにしてはいけないのか?
抵抗とコイルでは、電圧が一番大きくなるタイミングがずれているからです。2人が直角の向きに荷物を引っぱると、力は単純な足し算にならないのと同じです。そのため、抵抗とコイルは直角三角形の斜めの辺として合わせます。
直角三角形で「回路全体の流れにくさ」を出す
横の辺を8(抵抗)、縦の辺を6(コイル)とした直角三角形を考えてみましょう。斜めの辺の長さが、回路全体の流れにくさ(インピーダンス)になります。
用語三平方の定理とは?
三平方の定理とは、直角三角形で「横の2乗+縦の2乗=斜めの2乗」になる決まりのことです。2乗とは、同じ数を2回かけることを指します(8の2乗=8×8=64)。
なぜ?なぜ最後に√(ルート)をつけるのか?
式で出てくるのは斜めの辺の2乗だからです。√は「2回かけるとその数になる数」を表す記号で、√100は10×10=100なので10です。2乗を元の長さに戻すために√を使います。
手順1 8の2乗 + 6の2乗 = 64 + 36 = 100
手順2 インピーダンス = √100 = 10Ω
手順3 流れる電流 = 電圧 ÷ インピーダンス = 100 ÷ 10 = 10A
手順4 8Ωの両はしの電圧V = 電流 × 抵抗 = 10 × 8 = 80V
1本道なので、8Ωにもコイルにも同じ10Aが流れています。よって答えはニの80Vです。
80V+60Vが100Vにならないのはなぜ?
コイルの電圧は10A×6Ω=60Vです。80V+60V=140Vとなり、電源の100Vを超えてしまうように見えます。
なぜ?なぜ2つの電圧を足すと電源の100Vより大きくなるのか?
電圧もタイミングがずれているので、直角三角形で合わせるからです。80の2乗+60の2乗=6,400+3,600=10,000、√10,000=100V。ちゃんと電源の電圧と一致します。
覚えるこの問題の覚え方
抵抗とコイルが並んだら「足さずに直角三角形」。6・8・10は試験によく出てくる組み合わせで、3・4・5の三角形を2倍したものです。インピーダンスで電流を出したら、聞かれている部品のΩだけをかけるのが最後の一手になります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.57 … 8+6=14Ωと足し算で考え、100Vを8:6で分けた人が選ぶ数字です(100×8÷14≒57V)。
イ.43 … 同じく14Ωで考え、コイル側の6の割合で分けると100×6÷14≒43Vになります。
ハ.60 … 電流10Aまで正しく出せたのに、コイルの6Ωをかけてしまうと10×6=60Vです。聞かれているのは8Ωの抵抗の電圧です。
問5
分野:三相交流(Δ結線の消費電力)重要度 ★★★
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この問題は何を聞いているの?
3本の電線で電気を送る三相3線式の回路に、「6Ωの抵抗と8Ωのコイル」の組が三角形に3組つながっています。この回路全体で消費される電力は何kWかを聞く問題です。
用語三相3線式(さんそう3せんしき)とは?
三相3線式とは、3本の電線を使って電気を送る方式のことです。工場のモーターや大きなエアコンなどに使われます。図の「3φ3W」は、3相(φ)・3線(W=wire、線)という意味の記号です。
なぜ?なぜこの図ではどの2本のあいだも200Vなのか?
三相3線式は、3本のうちどの2本を選んでも同じ電圧になるように電気を送っているからです。図の左に「200V」が3か所書いてあるのは、上と真ん中、真ん中と下、上と下のどの組み合わせも200Vということを表しています。
用語Δ(デルタ)結線とは?
Δ結線とは、3組の負荷を三角形の3つの辺のようにつなぐ方法のことです。負荷とは、電気を使う側の部品や機械のことです。この図では三角形の各辺に6Ωの抵抗と8Ωのコイルが入っています。
なぜ?なぜΔ結線では1組の負荷に200Vがそのままかかるのか?
三角形の各辺の両はしが、電線2本にそれぞれ直接つながっているからです。電線2本のあいだは200Vなので、どの辺の負荷にも200Vがかかります。
用語インピーダンスとは?
インピーダンスとは、抵抗とコイルを合わせた全体の流れにくさのことです。抵抗とコイルは直角三角形の斜めの辺として合わせます。6Ωと8Ωなら√(6×6+8×8)=√100=10Ωです。
なぜ?なぜ6Ωと8Ωを足して14Ωにしないのか?
抵抗とコイルでは電圧が一番大きくなるタイミングがずれているからです。直角の向きに引っぱる2つの力が単純に足せないのと同じで、「2乗して足して√」で合わせます。√は「2回かけるとその数になる数」を表す記号です。
用語消費電力とは?
消費電力とは、熱や光などとして実際に使われる電力のことです。単位はW(ワット)、1kW=1,000W。交流の回路では抵抗だけが電力を消費し、コイルは消費しません。
なぜ?なぜコイルは電力を消費しないのか?
コイルは電気のエネルギーを一時的にためて、すぐに電源へ返す働きをするだけだからです。受け取っては返すのくり返しなので、差し引きで使われるエネルギーは0になります。電力の計算に使うのは抵抗の6Ωだけです。
まず三角形の「1辺」だけを計算する
3つの辺はどれも同じ6Ωと8Ωで、どれにも200Vがかかる形です。だから1辺ぶんの消費電力を出して3倍すれば、全体の消費電力になります。
なぜ?なぜ電力を「電流×電流×抵抗」で出すのか?
電力は電圧×電流で、抵抗にかかる電圧は電流×抵抗だからです。2つを合わせると電流×抵抗×電流。これが電流の2乗×抵抗という式になります。コイルにかかる電圧を混ぜずに、抵抗の分だけを取り出せるのが利点です。
手順1 1辺のインピーダンス = √(6×6 + 8×8) = √100 = 10Ω
手順2 1辺に流れる電流 = 電圧 ÷ インピーダンス = 200 ÷ 10 = 20A
手順3 1辺の消費電力 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 20 × 20 × 6 = 400 × 6 = 2,400W
手順4 全体の消費電力 = 2,400 × 3 = 7,200W
手順5 kWに直す = 7,200 ÷ 1,000 = 7.2kW
よって答えはハの7.2kWです。
覚えるこの問題の覚え方
Δ結線は「1辺に電圧がそのまま」。あとは1辺だけの小さな回路として解き、最後に3倍します。消費電力は「電流の2乗×抵抗(コイルは使わない)」。6・8・10の三角形は前の問題にも出てくる組み合わせなので、インピーダンス10Ωはすぐ出せるようにしておきましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.2.4 … 1辺ぶん(2,400W)で止めて、3倍するのを忘れた人が選ぶ数字です。
ニ.9.6 … 電力の計算にコイルの8Ωを使うと、20×20×8=3,200W、3倍で9,600W=9.6kWになります。電力を消費するのは抵抗の6Ωだけです。
ロ.4.8 … 誤りです。1辺のインピーダンス→電流→抵抗の電力→3倍、の順で進めれば7.2kWになります。
問6
分野:配電理論(三相3線式の電力損失)重要度 ★★★
図のような三相3線式回路で,電線1線当たりの抵抗が0.15 Ω,線電流が10 Aのとき,この電線路の電力損失[W]は。
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この問題は何を聞いているの?
3本の電線で電気を送る三相3線式の回路で、電線1本の抵抗が0.15Ω、どの電線にも10Aが流れているとき、電線で失われる電力は合計何Wかを聞いています。1本ぶんを出して、本数をかける問題です。
用語三相3線式とは?
三相3線式とは、3本の電線を使って電気を送る方式のことです。工場のモーターなどに使われます。図の「3φ3W」は3相・3線という意味の記号です。
なぜ?なぜこの問題では電線が3本描かれているのか?
三相3線式は3本の電線すべてに電流が流れて電気を送るからです。図では3本とも10Aの矢印と0.15Ωの抵抗が描かれていて、3本とも同じ条件だと分かります。
用語線電流(せんでんりゅう)とは?
線電流とは、電線1本を流れる電流のことです。この問題ではどの電線にも10Aが流れています。
なぜ?なぜ「線」電流とわざわざ言うのか?
三相の回路では、電線を流れる電流と、負荷(電気を使う機械)の中を流れる電流を区別することがあるからです。この問題で使うのは電線の電流=10Aだけ。
用語電線の抵抗とは?
電線の抵抗とは、電線そのものが持っている、わずかな電気の流れにくさのことです。電線も金属なので、長い距離になると0.15Ωのような小さな抵抗を持ちます。図の小さな長方形が、その抵抗です。
なぜ?なぜ電線にも抵抗があるのか?
銅のように電気を通しやすい金属でも、電気の邪魔がまったくないわけではないからです。1mあたりはごくわずかでも、長く引けばそのぶん抵抗が積み重なります。
用語電力損失(でんりょくそんしつ)とは?
電力損失とは、電線の抵抗によって熱に変わり、無駄になる電力のことです。単位はW(ワット)。1本の電線の損失=電流×電流×電線の抵抗で求めます。
なぜ?なぜ電力損失は「電流×電流×抵抗」になるのか?
電力は電圧×電流で、電線の両はしの電圧は電流×抵抗だからです。合わせると電流×抵抗×電流。電流を2回かけるので、電流が2倍になると損失は4倍になります。
1本ぶんの損失を出して、3本ぶんにする
1本の電線では、10A×10A×0.15Ω=15Wが熱になって失われる計算。電線は3本とも同じ条件なので、合計は15W×3本=45Wです。
なぜ?なぜ三相なのに√3(1.73)を使わないのか?
電力損失は電線1本1本で出る熱を足したものだからです。3本の電線がそれぞれ15Wずつ熱を出しているので、15を3回足す(3倍する)だけで合計になります。√3が出てくるのは、電線2本のあいだの電圧などを扱う別の計算です。
手順1 1本の電力損失 = 電流 × 電流 × 抵抗 = 10 × 10 × 0.15 = 15W
手順2 電線の本数 = 三相3線式なので 3本
手順3 全体の電力損失 = 15 × 3 = 45W
よって答えはニの45Wです。
覚えるこの問題の覚え方
電力損失は「1本ぶん(電流×電流×抵抗)×電流が流れている本数」。三相3線式は3本、単相2線式なら行きと帰りの2本です。本数は方式の名前の「〇線」を見れば分かります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.15 … 1本ぶんで止めて、本数をかけ忘れた人が選ぶ数字です。
ハ.30 … 単相2線式と同じように2本ぶんで計算すると、15×2=30Wになります。
ロ.26 … 「三相だから√3」と考え、15×1.73≒26Wとした人が選ぶ数字です。損失は本数の3倍で、√3は使いません。
問7
分野:配電理論(単相3線式の中性線断線)重要度 ★★★
図のような単相3線式回路において,消費電力1 000 W,200 Wの2つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の✕印点で断線した場合,a−b間の電圧[V]は。
ただし,断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
3本の電線で100Vと200Vを取り出す単相3線式の回路で、真ん中の線(中性線)が×印の所で切れたとき、上の負荷(a−b間)にかかる電圧は何Vになるかを聞いています。線が切れると、つながり方がどう変わるかを見抜く問題です。
用語単相3線式(たんそう3せんしき)とは?
単相3線式とは、3本の電線で、100Vと200Vの両方を使えるようにする方式のことです。上の線と真ん中の線のあいだが100V、真ん中の線と下の線のあいだが100V、上と下のあいだが200Vになります。住宅への引き込みで多く使われる方式です。
なぜ?なぜ3本の線で100Vと200Vの両方が取り出せるのか?
100Vの電源を2つ、縦に積み重ねた形になっているからです。階段1段ぶんが100Vなら、真ん中から1段上・1段下はそれぞれ100V、一番上から一番下までは2段ぶんの200Vになります。
用語中性線(ちゅうせいせん)とは?
中性線とは、単相3線式の3本のうち、真ん中の線のことです。図では×印がついている線が中性線で、bの点につながっています。
なぜ?なぜ中性線が切れると困るのか?
中性線は、上の負荷と下の負荷に、それぞれ100Vずつを分けて届ける役目をしているからです。中性線が切れると、2つの負荷が200Vを取り合う形になり、100Vからずれた電圧がかかります。
用語抵抗負荷とは?
抵抗負荷とは、電気ストーブや電球のように、抵抗として働いて電気を熱や光に変える機械のことです。図では上が1,000W(10Ω)、下が200W(50Ω)と書かれています。
なぜ?なぜ1,000Wの負荷が10Ωと書かれているのか?
100Vをかけたときに1,000Wになる抵抗が10Ωだからです。電流は100÷10=10A、電力は100×10=1,000W。同じように、50Ωなら電流2A、電力100×2=200Wです。この問題ではΩの数字を使って計算します。
用語断線(だんせん)とは?
断線とは、電線が途中で切れて、電気が通れなくなることです。図の×印が断線した場所を表しています。
なぜ?なぜ「負荷の抵抗値は変化しない」と書いてあるのか?
実際の機械は、かかる電圧が変わると抵抗の値が少し変わることがあるからです。問題を解けるように、10Ωと50Ωのまま変わらないものとして計算してよい、と決めています。
中性線が切れると、2つの負荷は「200Vの1本道」になる
中性線が切れると、電気は真ん中の線を通れません。残る道は、上の線 → 10Ω → b点 → 50Ω → 下の線という1本道だけです。
つまり、10Ωと50Ωが直列(1本道)につながり、その両はしに200Vがかかる形に変わります。
なぜ?なぜ直列になると、抵抗の大きいほうに大きな電圧がかかるのか?
1本道ではどちらの負荷にも同じ電流が流れるからです。電圧は電流×抵抗なので、電流が同じなら抵抗が大きいほど電圧も大きくなります。10Ωと50Ωなら、電圧も1対5の割合です。
手順1 2つの負荷を合わせた抵抗 = 10 + 50 = 60Ω
手順2 流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 200 ÷ 60 = 約3.33A
手順3 a−b間(10Ω)の電圧 = 電流 × 抵抗 = 3.33 × 10 = 約33V
手順4 (参考)下の50Ωの電圧 = 3.33 × 50 = 約167V
33V+167V=200Vとなり、電源の200Vをちょうど分け合っていることも確かめられます。よって答えはロの33Vです。
コツ割り算をしないで出す方法
10Ωと50Ωは1対5なので、200Vを6つに分けて1つぶんと5つぶんにします。200÷6≒33.3なので、10Ω側は約33V、50Ω側は約167Vです。
この結果から、中性線が切れると下の200Wの機械には100Vより大きい約167Vがかかることが分かります。機械が壊れるおそれがあるので、中性線の断線は危険な故障です。
覚えるこの問題の覚え方
「中性線が切れたら、上下の負荷は200Vの1本道」。あとは直列の分け合いで、抵抗の比のとおりに200Vを分けるだけです。小さい抵抗(大きいW)の機械には小さい電圧、大きい抵抗(小さいW)の機械には大きい電圧がかかります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.100 … 断線しても今までどおり100Vと考えた人が選ぶ数字です。中性線が切れると、上下の負荷は1本道になり、電圧の分かれ方が変わります。
ニ.167 … 電流までは正しく出せたのに、下の50Ωの電圧を答えてしまうと約167Vです。聞かれているのはa−b間=上の10Ωです。
イ.17 … 1本道にかかる電圧を200Vではなく100Vで計算すると、100÷60×10≒17Vになります。中性線が切れたあと、2つの負荷の両はしは上と下の線=200Vです。
問8
分野:配線設計(許容電流と電流減少係数)重要度 ★★★
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径2.0 mmの600Vビニル絶縁電線(軟銅線)4本を収めて施設した場合,電線1本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は30 ℃以下,電流減少係数は0.63とする。
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この問題は何を聞いているの?
金属の管の中に、直径2.0mmの電線を4本通したとき、電線1本あたりに安全に流せる電流は何Aかを聞いています。表の値(2.0mm=35A)に、問題で与えられた係数0.63をかける問題です。
用語金属管工事とは?
金属管工事とは、電線を金属のパイプ(電線管)の中に通して守る工事のことです。電線がぶつかったり、こすれたりして傷むのを防げます。
なぜ?なぜ電線をわざわざ管に通すのか?
壁の中や天井、工場などでは、電線が物に当たって傷つくおそれがあるからです。傷ついてビニルがはがれると、感電や火災につながります。管に入れておけば、外からの力から電線を守れるのです。
用語600Vビニル絶縁電線(軟銅線)とは?
600Vビニル絶縁電線とは、600Vまでの電気に使える、銅の線をビニルで包んだ電線のことです。略してIV(アイブイ)と呼ばれます。軟銅線は、やわらかくて曲げやすい銅の線のことです。
なぜ?なぜ屋内配線には軟銅線が使われるのか?
やわらかい銅は曲げても折れにくく、壁や管の中を通しやすいからです。電気も通しやすいので、屋内の配線に向いています。
用語許容電流とは?
許容電流とは、電線に流し続けても安全な電流の上限のことです。ビニル絶縁電線(単線)では、直径1.6mm=27A、2.0mm=35A、2.6mm=48Aと決められています。
なぜ?なぜ許容電流を超えて流し続けてはいけないのか?
電流が流れると電線は熱を持ち、熱くなりすぎるとまわりのビニルが傷んで感電や火災につながるからです。ビニルが傷まない範囲で決めた上限が、許容電流と呼ばれています。
用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?
電流減少係数とは、管の中に電線を何本も入れるときに、許容電流を割り引くための数のことです。表の許容電流にこの係数をかけた値が、管の中での1本あたりの許容電流になります。
なぜ?なぜ管の中に何本も入れると、流せる電流が減るのか?
管の中では、何本もの電線の熱がこもって逃げにくいからです。満員電車の車内が暑くなるのと同じで、本数が多いほど熱がこもりやすくなります。そのぶん、1本あたりに流す電流を減らして温度を抑えるしくみです。
例管に入れる本数と電流減少係数
3本以下 … 0.70
4本 … 0.63(この問題)
5〜6本 … 0.56
この問題では係数0.63が問題文に書かれているので、それをそのまま使います。「周囲温度は30℃以下」は、表の許容電流をそのまま使ってよい条件だと考えてかまいません。
表の35Aに0.63をかける
直径2.0mmの電線の許容電流は35A。管の中に4本入れるので、35×0.63を計算します。
小数のかけ算は、35×0.6=21と35×0.03=1.05に分けると楽です。合わせて21+1.05=22.05Aになります。
手順1 直径2.0mmの電線の許容電流(表の値) = 35A
手順2 管に4本入れるときの電流減少係数 = 0.63(問題文で指定)
手順3 1本あたりの許容電流 = 35 × 0.63 = 22.05A
手順4 選択肢で一番近い値 = 22A
よって答えはイの22Aです。
覚えるこの問題の覚え方
許容電流の表は「1.6mm=27A、2.0mm=35A、2.6mm=48A」。管の中に入れたら「表の値×係数」です。本数が増えるほど係数は小さくなる(熱がこもるから)と理由ごと覚えておくと、数字の向きを取り違えにくくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.35 … 表の35Aをそのまま答え、係数0.63をかけ忘れた人が選ぶ数字です。
ロ.31 … 誤りです。2.0mmの35Aに0.63をかけると、約22Aになります。
ニ.38 … 誤りです。管に入れると許容電流は表の値より小さくなるので、35Aより大きい値にはなりません。
問9
分野:配線設計(幹線の太さを決める電流)重要度 ★★★
定格電流12 Aの電動機5台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値[A]は。
ただし,需要率は80%とする。
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この問題は何を聞いているの?
12Aのモーター(電動機)が5台つながった幹線で、幹線の太さを決めるもとになる電流は最小で何Aかを聞いています。「需要率で減らす」→「モーター用の割り増しをする」の2段で求める問題です。
用語幹線(かんせん)とは?
幹線とは、電気の引き込み口から、各部屋などへ枝分かれする場所までの太い電線のことです。木の幹にあたる部分で、そこから枝(分岐回路)が分かれていきます。
なぜ?なぜ幹線の太さを計算で決めるのか?
幹線にはその先につながる機械の電流がまとめて流れるからです。細すぎると熱を持って危険になるので、流れる電流に耐えられる太さを選ぶ必要があります。
用語定格電流(ていかくでんりゅう)とは?
定格電流とは、その機械を決められた条件で使ったときに流れる電流のことです。この問題ではモーター1台あたり12Aと決まっています。
なぜ?なぜモーター5台なら12×5で合計が出せるのか?
5台は同じ幹線から並列に枝分かれしてつながっていて、幹線にはそれぞれの電流が合流して流れるからです。全部が同時に動けば、12×5=60Aが幹線を流れます。
用語需要率(じゅようりつ)とは?
需要率とは、つながっている機械の合計のうち、実際に同時に使われる割合のことです。この問題では80%なので、60Aのうち8割を見込みます。
なぜ?なぜ合計の60Aをそのまま使わず、80%にするのか?
工場などでは、全部の機械がいつも同時にフル回転しているわけではないからです。実際に流れる電流に近い値で考えるために、合計に需要率をかけます。80%は小数で0.8です。
用語幹線の太さの根拠となる電流とは?
幹線の太さの根拠となる電流とは、「幹線の許容電流(安全に流せる電流の上限)は、最低でもこの値以上にしなさい」という基準の電流のことです。モーターがつながる幹線では、モーターの電流を割り増しして求めます。
なぜ?なぜモーターの電流だけ割り増しするのか?
モーターは動き始めの瞬間に、定格より大きな電流が流れる性質があるからです。その分の余裕を持たせるために、割り増しした電流で幹線の太さを決める決まりになっています。
例モーター(電動機)だけがつながる幹線の割り増し
モーターの電流の合計が50A以下 … 1.25倍
モーターの電流の合計が50Aを超える … 1.1倍
50Aと比べるのは「需要率をかけたあと」の電流
ここが一番の分かれ道です。60Aのまま比べると「50Aを超える」に見えますが、需要率80%をかけると60×0.8=48Aになります。
48Aは50A以下なので、割り増しは1.25倍です。48×1.25を計算すると、60Aになります。
48×1.25は、48×1=48と48×0.25=12(48の4分の1)に分けると暗算も簡単です。合わせて48+12=60Aです。
手順1 モーターの定格電流の合計 = 12 × 5 = 60A
手順2 需要率80%をかける = 60 × 0.8 = 48A
手順3 48Aは50A以下なので、割り増しは 1.25倍
手順4 幹線の太さの根拠となる電流 = 48 × 1.25 = 60A
よって答えはロの60Aです。
覚えるこの問題の覚え方
「合計 → 需要率 → 50Aと比べて割り増し」の順番を守るのがすべてです。割り増しは50A以下なら1.25倍、超えたら1.1倍。小さいほうが割り増しが大きいと覚えておくと、1.25と1.1を取り違えにくくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.48 … 需要率まではかけたのに、1.25倍の割り増しを忘れた人が選ぶ数字です。
ニ.75 … 需要率をかけずに60×1.25とすると75Aになります。
ハ.66 … 需要率をかけずに「60Aは50Aを超える」と判断し、60×1.1とすると66Aです。50Aと比べるのは需要率をかけたあとの48Aです。
問10
分野:配線設計(分岐回路の電線とコンセント)重要度 ★★★
定格電流30 Aの配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと,接続できるコンセントの図記号の組合せとして,適切なものは。
ただし,コンセントは兼用コンセントではないものとする。
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正解
ニ.断面積5.5mm²・20A 2口コンセント
この問題は何を聞いているの?
30Aのブレーカー(配線用遮断器)で守られる分岐回路に使ってよい電線の太さとコンセントの組み合わせを、4つの中から1つ選ぶ問題です。電線とコンセントの両方が決まりに合っているものだけが正解になります。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
配線用遮断器とは、決められた以上の電流が流れると、自動で電気を止める装置のことです。家庭の分電盤にあるブレーカーがこれにあたります。「定格電流30A」は、30Aを目安に電気を止める大きさという意味です。
なぜ?なぜブレーカーの大きさで電線やコンセントが決まるのか?
ブレーカーは30A近くまでは電気を止めないからです。つまりその先の電線やコンセントには、30A近い電流が流れる可能性があります。それに耐えられる太さの電線と、合った大きさのコンセントを選ばなければなりません。
用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?
分岐回路とは、幹線から枝分かれして、コンセントや照明までつながる電線の道のことです。1つの分岐回路ごとに1つのブレーカーが付いています。
なぜ?なぜ分岐回路ごとにブレーカーを付けるのか?
1つの回路で使いすぎやショートが起きたとき、その回路だけを止めて、ほかの部屋の電気は使えるようにするためです。
用語「直径」と「断面積」の書き方とは?
電線の太さは、1本の銅でできた単線は「直径(mm)」、細い線をより合わせたより線は「断面積(mm²)」で表すのが一般的です。断面積とは、電線を輪切りにしたときの銅の部分の面積を指します。
なぜ?なぜ「直径2.6mm」と「断面積5.5mm²」が同じ扱いになるのか?
直径2.6mmの銅の断面積を計算すると、半径1.3×1.3×3.14≒5.3mm²で、5.5mm²のより線とほぼ同じ太さだからです。そのため試験では、30Aの分岐回路の電線を「直径2.6mm以上(より線なら断面積5.5mm²以上)」として扱います。
用語コンセントの図記号とは?
図の丸に横線が入った記号がコンセントです。右側の数字で中身を表し、「2」「3」は差し込み口の数(2口・3口)、「20A」は定格電流20Aを表します。A(アンペア)の数字が書いていなければ15Aのコンセントです。
なぜ?なぜ「2」がアンペアではなく口数だと分かるのか?
アンペアを表すときは「20A」のように必ずAを付けて書く決まりだからです。Aの付かない数字は差し込み口の数を表します。選択肢ニの「20A」と「2」のように、2つ並んで書かれる場合もあるので注意しましょう。
問題文の「兼用コンセントではない」は、15Aと20Aのどちらのプラグも差せるコンセントは考えなくてよいという意味です。図記号に書かれた数字だけで判断してかまいません。
30Aのブレーカーで使える電線とコンセント
ブレーカーの大きさごとに、電線の太さとコンセントの大きさの組み合わせが決まっています。この問題で使うのは30Aの行です。
例配線用遮断器の大きさごとの決まり
20A … 電線 直径1.6mm以上/コンセント 20A以下
30A … 電線 直径2.6mm以上(断面積5.5mm²以上)/コンセント 20A以上30A以下
40A … 電線 断面積8mm²以上/コンセント 30A以上40A以下
50A … 電線 断面積14mm²以上/コンセント 40A以上50A以下
なぜ?なぜコンセントは小さすぎてもいけないのか?
30Aのブレーカーは30A近くまで電気を止めないからです。15Aのコンセントに15Aを超える電流が流れても、ブレーカーは止まらず、コンセントが熱を持つおそれがあります。だから30Aの回路では、20A以上のコンセントしか付けられません。
4つの選択肢を1つずつ確かめる
手順1 イ 電線5.5mm²は合格。コンセントは数字がなく15Aの2口で、20A未満なので不合格
手順2 ロ 電線3.5mm²は5.5mm²より細いので不合格(コンセントも15Aの3口で不合格)
手順3 ハ コンセント20Aは合格。電線2.0mmは2.6mmより細いので不合格
手順4 ニ 電線5.5mm²は合格、コンセントも20Aの2口で合格 → 両方とも合格
電線とコンセントの両方が決まりに合っているのはニだけです。よって答えはニとなります。
覚えるこの問題の覚え方
30Aの回路は「電線は2.6mm(5.5mm²)、コンセントは20Aか30A」。コンセントの範囲は「ブレーカーの1つ下の段からブレーカーまで」と考えると、小さすぎるコンセントもだめだと一緒に思い出せます。図記号は数字なし=15A、「2」「3」は口数です。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.断面積5.5mm²・2口コンセント … 電線だけ見て正しいと思った人が選びやすい形です。「2」は口数で、Aの数字がないので15A。30Aの回路には小さすぎます。
ハ.直径2.0mm・20Aコンセント … コンセントだけ見て正しいと思った人が選びやすい形です。電線は2.6mm以上が必要なので、2.0mmでは細すぎます。
ロ.断面積3.5mm²・3口コンセント … 誤りです。電線もコンセント(15A)も、30Aの回路の決まりに合いません。
📝 読んだあとは、解いて確かめる
令和4年度 上期 午前 第二種電気工事士 学科(全50問)を、1問ずつ解いて答え合わせ
全50問。選択肢を選ぶとその場で正解・不正解と解説が出ます。登録も料金もいりません。
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この記事のまとめ
問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。
まとめこの10問で持ち帰ること
問1 直並列回路 … 電流計の道で電圧を出し(8V)、並列の道に配る。電流を合流させて4A、右の4Ωで16V
問2 電線の抵抗と許容電流 … まわりが暑いと許容電流は小さくなる。抵抗は長さに比例、直径の2乗に反比例
問3 熱量 … 電力(W)×秒=J。1時間30分は5,400秒。500×5,400で2,700kJ
問4 交流回路 … 抵抗とコイルは直角三角形で合わせる。8と6で10Ω、電流10Aで8Ωには80V
問5 三相の消費電力 … Δ結線は1辺に200V。電流20A、電力は抵抗の6Ωだけで2,400W、3倍で7.2kW
問6 三相の電力損失 … 1本ぶん(電流²×抵抗)=15Wを出して、3本で45W。√3は使わない
問7 中性線の断線 … 上下の負荷が200Vの1本道になる。10Ωと50Ωで分け合い、10Ω側は約33V
問8 許容電流 … 2.0mm=35A。管に4本なら0.63をかけて約22A
問9 幹線の太さ … 合計60A→需要率で48A→50A以下なので1.25倍して60A
問10 分岐回路 … 30A回路は2.6mm(5.5mm²)以上、コンセントは20A以上30A以下
この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流²×抵抗)の2本でした。これに熱量・インピーダンスの考え方が加わり、残りは決まりの表に当てはめるか、図から本数やつながり方を読み取るかです。式を増やすより、この2本の使い方に慣れるほうが近道になるでしょう。
出典
令和4年度上期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
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▶ 問11〜20
材料と器具(地中配線のケーブル・絶縁物の最高許容温度・工具・電動機の回転速度・写真の見分け・電線の接続)
▶ 問21〜30
施工・検査・法令(図記号と工事方法・D種接地工事・合成樹脂管工事・絶縁抵抗・電気工事士法・電気用品安全法)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(電線本数・引込口開閉器・引込線の高さ・接地工事・絶縁抵抗・コンセントの極配置)
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(リングスリーブ・差込形コネクタ・ケーブル・電線管の接続・器具)
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する