第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和4年度 上期・午後(2022年5月29日実施)の問21〜問30です。
ここは工事のルール・検査・法令の分野です。計算はほとんど出てきませんが、そのかわり数字と言葉の決まりごとがたくさん並んでいます。丸暗記だけでは混ざりやすいので、この記事では「なぜその決まりがあるのか」を一つずつ書きました。理由が分かると、似た数字が並んでいても迷いにくくなります。
各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和4年度上期第二種電気工事士試験(午後)
用語この10問で問われている分野
問21 住宅用分電盤と配線用遮断器 / 問22 接地線の太さと接地抵抗 / 問23 合成樹脂管の支持点間の距離 / 問24 ネオン式検電器 / 問25 漏えい電流による絶縁性能の判定 / 問26 接地抵抗計の補助接地極の配置 / 問27 電圧計・電流計・電力計のつなぎ方 / 問28 電気工事士法 / 問29 電気用品安全法 / 問30 一般用電気工作物
なぜ?なぜこの10問はまとめて勉強すると効率がいいのか?
出てくる言葉と考え方が、たがいに関係し合っているからです。例えば問22と問26はどちらも接地抵抗を、問28と問30はどちらも一般用電気工作物と自家用電気工作物の違いを扱っています。1回まとめて理解しておけば、角度を変えて聞かれても得点しやすいでしょう。
問21
分野:施工(住宅用分電盤)重要度 ★★☆
単相3線式100/200 V屋内配線の住宅用分電盤の工事を施工した。不適切なものは。
イ.ルームエアコン(単相200 V)の分岐回路に2極2素子の配線用遮断器を取り付けた。
ロ.電熱器(単相100 V)の分岐回路に2極2素子の配線用遮断器を取り付けた。
ハ.主開閉器の中性極に銅バーを取り付けた。
ニ.電灯専用(単相100 V)の分岐回路に2極1素子の配線用遮断器を取り付け,素子のある極に中性線を結線した。
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正解
ニ.電灯専用(単相100 V)の分岐回路に2極1素子の配線用遮断器を取り付け,素子のある極に中性線を結線した。
この問題は何を聞いているの?
「家の分電盤の中で、ブレーカーの付け方や線のつなぎ方として間違っているものはどれか」を聞いています。4つの選択肢には「2極2素子」「2極1素子」「中性極」「銅バー」といった、聞き慣れない言葉が並んでいるのが特徴です。
つまり、この言葉の意味が分かれば自然に解ける問題です。まずは分電盤とは何か、から順番に説明していきます。
問題文の言葉を順に説明する
用語分電盤(ぶんでんばん)とは?
分電盤とは、電力会社から来た電気を、家の中の各部屋・各用途へ分けて送り出す箱のことです。玄関や洗面所の上のほうにある、ブレーカーがずらっと並んだ箱を思い浮かべてください。
なぜ?なぜ電気をいったん分電盤に集めるのか?
電気の通り道を小分けにして、1本ずつ見張るためです。台所で電気を使いすぎても、台所の分だけが止まり、ほかの部屋は使えたままになります。この小分けにした1本1本が分岐回路(ぶんきかいろ)です。
用語単相3線式100/200 Vとは?
単相3線式とは、3本の電線で家に電気を引き込み、100 Vと200 Vの両方を使えるようにする方式です。3本のうち、真ん中の1本を中性線(ちゅうせいせん)、残りの2本を電圧側の線と呼びます。中性線と電圧側の線の間が100 V、電圧側の線どうしの間が200 Vです。
なぜ?なぜ中性線は触れても感電しにくい線なのか?
中性線は、電柱の変圧器のところで大地(地面)につないであるからです。地面と同じ高さの電圧なので、地面に立っている人との間にほとんど電圧の差がありません。一方、電圧側の線は地面との間に100 Vの差があります。この「地面との差」が対地電圧です。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
配線用遮断器とは、電気が流れすぎたときに自動で電気を止める装置のことです。家庭では「ブレーカー」と呼ばれています。この「流れすぎ」が過電流(かでんりゅう)です。
なぜ?なぜ電気が流れすぎたら止めなければいけないのか?
電線は電気が流れると熱を持つからです。流れる量が限度を超えると、電線のまわりのビニル(被覆=ひふく)が溶け、火災につながります。そうなる前に電気を止めるのがブレーカーの役目です。
用語「極(きょく)」と「素子(そし)」とは?
極とは、ブレーカーの中で電線を1本つないで、切ったりつないだりできる場所のことです。2極なら2本の電線を同時に切れます。素子とは、流れすぎを見張って、ブレーカーを切らせる部品のことです。
なぜ?なぜ「2極2素子」と「2極1素子」の2種類があるのか?
見張りが要る線の本数が、回路によって違うからです。2極2素子は、2本の線の両方に見張りが付いたものです。2極1素子は、2本とも切れますが、見張りは片方の線にだけあります。見張りのない側の極には「N」という印があり、ここには中性線をつなぐ決まりです。
どの線に見張り(素子)が要るのか
200 Vの回路 … 使う線は電圧側の線2本。どちらも地面との差が100 Vある。だから両方に見張りが要る=2極2素子。
100 Vの回路 … 使う線は電圧側の線1本と中性線1本。見張りが要るのは電圧側の線。だから2極1素子でもよい(2極2素子でもかまわない)。
2極1素子の決まり … 素子のある極=電圧側の線、素子のない極(N)=中性線。
なぜ?なぜ見張りは中性線ではなく電圧側の線に付けるのか?
電圧側の線のほうが、電気が地面へ逃げる事故を起こしやすいからです。電圧側の線が傷んで金属の箱などに触れると、電気は中性線を通らずに地面へ流れることがあります。このとき見張りが中性線にしか付いていないと、異常に気づけません。だから見張りは、電気を送り出す電圧側の線に付けます。
用語主開閉器の中性極と銅バーとは?
主開閉器(しゅかいへいき)とは、分電盤の中で家全体の電気をまとめて入り切りする大もとのブレーカーのことです。単相3線式では3本の線が入ってきます。そのうち中性線をつなぐ極が中性極です。銅バーとは、見張りの部品の代わりに入れる、ただの銅の板のことです。
なぜ?なぜ中性極には見張りを付けず、銅バーでつなぐのか?
中性線だけが途中で切れると、かえって危険になるからです。中性線が切れると、100 V用の機器どうしが200 Vを分け合う形になるのです。その結果、機器によっては100 Vより大きな電圧がかかって壊れることがあります。そこで中性極には見張りを入れず、銅バーで確実につないでおく形にするのです。
選択肢を1つずつ確かめる
イ ルームエアコン(単相200 V)に2極2素子 … 200 Vの回路は電圧側の線2本を使う。両方に見張りが要るので2極2素子でよい。→ 適切
ロ 電熱器(単相100 V)に2極2素子 … 100 Vの回路は見張りが1つあれば足りるが、2つ付いていても困ることはない。→ 適切
ハ 主開閉器の中性極に銅バー … 中性線には見張りを入れず、銅バーでつなぐのが決まった形。→ 適切
ニ 電灯専用(単相100 V)に2極1素子、素子のある極に中性線 … 逆につないでいる。素子のある極には電圧側の線、Nの極に中性線をつなぐ。→ 不適切=これが答え
よって答えはニです。
間違えた人が選びやすいのはハ
「主開閉器なのに、中性極には遮断の部品がなく銅の板だけ」と聞くと、手抜き工事のように感じる人が多いでしょう。しかし中性線は、途中で切れるほうが危ない線です。だから見張りを入れず、銅バーでつなぐのが正しい形になります。
覚えるこの問題の覚え方
「見張り(素子)は電圧側、中性線は見張らずにつなぎっぱなし」。2極1素子のNの印はNeutral(ニュートラル=中性)の頭文字で、「Nには中性線」とセットで覚えます。主開閉器の中性極が銅バーなのも、同じ考え方です。
問22
分野:施工(接地工事)重要度 ★★★
床に固定した定格電圧200 V,定格出力1.5 kWの三相誘導電動機の鉄台に接地工事をする場合,接地線(軟銅線)の太さと接地抵抗値の組合せで,不適切なものは。
ただし,漏電遮断器を設置しないものとする。
イ.直径1.6 mm,10 Ω
ロ.直径2.0 mm,50 Ω
ハ.公称断面積0.75 mm2,5 Ω
ニ.直径2.6 mm,75 Ω
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この問題は何を聞いているの?
「200 Vで動くモーターの台にアース(接地)を取るとき、アース線の太さと接地抵抗の値の組合せで、ルールに合わないものはどれか」を聞いています。
解くために必要なのは、①どの種類の接地工事になるか、②その接地抵抗の上限、③アース線の太さの決まりの3つです。順番に見ていきましょう。
問題文の言葉を順に説明する
用語三相誘導電動機(さんそうゆうどうでんどうき)とは?
三相誘導電動機とは、工場や大きな建物で使われる、一般的なモーターのことです。「三相」は、3本の電線で送る電気の方式のこと。ポンプや送風機などを回すのに使われます。
なぜ?なぜモーターの鉄台にアースを取るのか?
モーターの中の電線が傷むと、電気が金属の外側や鉄台に漏れることがあるからです。これを漏電と呼びます。漏電した鉄台に人が触れると、電気が体を通って地面へ流れ、感電する危険があるのです。アースを取っておけば、漏れた電気は人の体よりも通りやすいアース線を通って地面へ逃げていきます。
用語接地工事(せっちこうじ)と接地抵抗(せっちていこう)とは?
接地工事とは、機械の金属部分と地面を電線でつなぐ工事のことです。一般には「アース」と呼ばれます。接地抵抗とは、機械から地面までの電気の流れにくさのことで、単位はΩ(オーム)です。数字が小さいほど電気が流れやすいことを表します。
なぜ?なぜ接地抵抗は小さいほどよいのか?
接地抵抗が小さいほど、漏れた電気がアース線のほうへ流れやすくなるからです。電気には通りやすい道を多く流れる性質があります。アース側の道が通りやすいほど、人の体のほうへ流れる電気は少なくなるのです。だから接地工事には「〇〇Ω以下」という上限が決められています。
どの種類の接地工事になるのか
例接地工事の種類は、機械の電圧で決まる
D種接地工事 … 300 V以下の低圧の機械。家庭用や200 Vのモーターなど。
C種接地工事 … 300 Vを超える低圧の機械(400 V級など)。
この問題 … 定格電圧(決められた使用電圧)は200 V。300 V以下なのでD種接地工事。
用語D種接地工事の接地抵抗の上限とは?
D種接地工事の接地抵抗は100 Ω以下と決められています。ここが基本の数字です。ただし、漏電したときに0.5秒以内に電気を自動で止める装置(漏電遮断器)を付けた場合は、500 Ω以下まで緩められます。
なぜ?なぜ漏電遮断器があると上限を緩めてよいのか?
漏電しても、すぐに電気そのものが止まるからです。危険な状態が0.5秒以内で終わるので、アースの通りやすさに多少余裕がなくても安全を保てるという考え方です。この問題は「漏電遮断器を設置しない」と書いてあるので、100 Ω以下で考えます。
用語接地線(せっちせん)の太さの決まりとは?
接地線とは、機械と地面をつなぐアース用の電線のことです。D種接地工事で、機械を床などに固定している場合は、直径1.6 mm以上の軟銅線を使います。軟銅線(なんどうせん)とは、やわらかく曲げやすい銅の電線のことです。
なぜ?なぜ0.75 mm²という細さは、この問題では使えないのか?
0.75 mm²は、持ち運んで使う機械のための数字だからです。移動して使う機械では、コード(多心コードなど)の中の1本をアース線にすることができ、その場合は断面積0.75 mm²以上とされています。この問題のモーターは床に固定されているので、直径1.6 mm以上が必要です。
例「直径」と「公称断面積」の違い
直径(mm) … 電線の太さを端から端まで測った長さ。1本の銅線(単線)でよく使う表し方。
公称断面積(mm²) … 電線を輪切りにしたときの切り口の面積。細い線をより合わせた線(より線)でよく使う表し方。
比べてみる … 直径1.6 mmの切り口の面積は、0.8×0.8×3.14で約2.0 mm²。0.75 mm²はその半分にも届かない細さです。
選択肢を1つずつ確かめる
確かめる条件 … 太さは直径1.6 mm以上、接地抵抗は100 Ω以下。
イ 直径1.6 mm,10 Ω … 太さ1.6 mmはぎりぎり合格。10 Ωは100 Ω以下。→ 適切
ロ 直径2.0 mm,50 Ω … 2.0 mmは1.6 mm以上。50 Ωは100 Ω以下。→ 適切
ハ 公称断面積0.75 mm²,5 Ω … 5 Ωは合格だが、0.75 mm²は固定した機械には細すぎる。→ 不適切=これが答え
ニ 直径2.6 mm,75 Ω … 2.6 mmは1.6 mm以上。75 Ωは100 Ω以下。→ 適切
よって答えはハです。
間違えた人が選びやすいのはニ
75 Ωという数字は、4つの中でいちばん大きいので、「アースとしては不十分そう」と感じやすい選択肢です。しかし上限は100 Ωなので、75 Ωは問題ありません。逆にハは5 Ωという優秀な数字に目を奪われて、太さの単位が「mm²」に変わっていることを見落としやすい選択肢です。
覚えるこの問題の覚え方
「D種は100 Ω(漏電遮断器ありなら500 Ω)、アース線は固定1.6 mm・移動0.75 mm²」。選択肢の中で単位が1つだけ違うもの(mmとmm²)があったら、固定か移動かを問題文で確かめましょう。
問23
分野:施工(合成樹脂管工事)重要度 ★★☆
低圧屋内配線の合成樹脂管工事で,合成樹脂管(合成樹脂製可とう電線管及びCD管を除く)を造営材の面に沿って取り付ける場合,管の支持点間の距離の最大値[m]は。
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この問題は何を聞いているの?
「電線を通すプラスチックの管を、壁や天井に沿って取り付けるとき、管を留める金具どうしの間は最大で何mまで空けてよいか」を聞いています。決まった数字を知っているかどうかを問う問題です。
問題文の言葉を順に説明する
用語合成樹脂管工事(ごうせいじゅしかんこうじ)とは?
合成樹脂管工事とは、プラスチックの管の中に電線を通して配線する工事のことです。合成樹脂とは、プラスチックのことです。この問題で対象になっているのは、硬くてまっすぐな管で、「VE管(硬質ポリ塩化ビニル電線管)」と呼ばれます。
なぜ?なぜ電線をわざわざ管に通すのか?
電線を傷や衝撃から守るためです。むき出しの電線は、物がぶつかったり、こすれたりすると被覆が破れてしまうでしょう。破れたところから漏電や火災が起こるおそれがあります。管に通しておけば、管が身代わりになって電線を守ってくれるのです。
用語問題文のカッコ内(合成樹脂製可とう電線管及びCD管を除く)の意味
可とう(かとう)とは、手で曲げられるやわらかさがあるという意味です。合成樹脂製可とう電線管(PF管)やCD管は、じゃばら状でくねくね曲がる管です。この問題はそれらを対象から外し、硬い合成樹脂管(VE管)に絞って聞いています。
用語造営材(ぞうえいざい)と支持点(しじてん)とは?
造営材とは、建物を形づくっている材料のことで、壁・天井・柱・梁(はり)などを指します。支持点とは、管を金具(サドルなど)で造営材に留める場所のことです。「支持点間の距離」は、となり合う留め金具どうしの間隔を意味します。
なぜ?なぜ留め金具の間隔に上限があるのか?
間を空けすぎると、管が自分の重さや電線の重さでたわむからです。プラスチックの管は金属の管より曲がりやすく、たわむと垂れ下がったり、外れたりするおそれがあるのです。そこで「この間隔以下で留めなさい」という上限が決められています。
答えの数字
合成樹脂管の支持点間の距離 … 1.5 m以下。
イメージ … 大人が両手を広げた幅がおよそ1.5〜1.7 m。「両手を広げたくらいの間隔ごとに1か所留める」と考えると想像しやすい。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 1 … 1 m間隔で留めるのはルールの範囲内ですが、問題は最大値を聞いています。→ 誤り
ロ 1.5 … 合成樹脂管の支持点間の距離の上限。→ 正しい=これが答え
ハ 2 … ケーブルを造営材の下面や側面に沿って取り付けるときの上限が2 mです。管の数字ではありません。→ 誤り
ニ 2.5 … 合成樹脂管の上限1.5 mを超えている。→ 誤り
よって答えはロです。
間違えた人が選びやすいのはハ
2 mはケーブル工事の支持点間の数字で、試験にもよく顔を出します。そのため「支持点間=2 m」と1つだけ覚えていると、管の問題でもハを選んでしまいがちです。何を留める問題かを必ず確かめましょう。
覚えるこの問題の覚え方
「プラスチックの管は1.5 m、ケーブルは2 m」。管のほうが狭いと大小をセットで覚えておくと、選択肢に1.5と2が並んでいても迷いにくくなります。問題文に「管」とあるか「ケーブル」とあるかを最初に確かめるのがコツです。
問24
分野:検査(測定器)重要度 ★★☆
ネオン式検電器を使用する目的は。
イ.ネオン放電灯の照度を測定する。
ロ.ネオン管灯回路の導通を調べる。
ハ.電路の漏れ電流を測定する。
ニ.電路の充電の有無を確認する。
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この問題は何を聞いているの?
「ネオン式検電器という道具は、何をするために使うのか」を聞いています。選択肢には「ネオン放電灯」「ネオン管灯回路」など、名前の似た言葉が並んでいて紛らわしい問題です。
問題文の言葉を順に説明する
用語検電器(けんでんき)とは?
検電器とは、電線や器具に電気が来ているかどうかを調べる道具のことです。「電気を検(しら)べる器具」と読むと覚えやすいでしょう。ペンのような形で、先を電線に当てるだけで使えます。
なぜ?なぜ工事の前に電気が来ているかを調べるのか?
電気が来ている線に触れると感電するからです。ブレーカーを切ったつもりでも、別の回路の線だったということもありえるのです。作業の前に検電器で確かめれば、「本当に電気が止まっているか」を目で確認できます。
用語ネオン式とは?
ネオン式とは、電気が来ていると、中の小さなネオンランプが光る仕組みのことです。ネオンとは、電気を通すと赤っぽく光るガスのことで、昔の看板の「ネオンサイン」にも使われていました。
なぜ?なぜ先を当てるだけでランプが光るのか?
電圧のかかった線に当てると、ネオンランプと人の体を通ってごくわずかな電気が地面へ流れるからです。この電気は人が感じないほど小さいものですが、ネオンを光らせるには十分です。だから光った=電気が来ていると判断できます。
用語充電(じゅうでん)とは?(選択肢ニの言葉)
この問題の「充電」とは、電路に電圧がかかっている状態のことです。スマートフォンの「充電(電気をためる)」とは意味が違うので注意しましょう。電路(でんろ)とは、電気が流れる道すじ全体のことです。
なぜ?なぜ電気工事では「充電」という言葉を使うのか?
電気工事では、電圧がかかって「生きている」線を「充電部」、止まっている線を「停電」と呼び分けるからです。「充電の有無を確認する」は、「電気が来ているかいないかを確かめる」という意味になります。
選択肢を1つずつ確かめる
イ ネオン放電灯の照度を測定する … 照度(明るさ)を測るのは照度計。検電器ではない。→ 誤り
ロ ネオン管灯回路の導通を調べる … 導通(電気が通る道がつながっているか)を調べるのは回路計(テスタ)や導通試験器。→ 誤り
ハ 電路の漏れ電流を測定する … 漏れ電流を測るのはクランプ形漏れ電流計。→ 誤り
ニ 電路の充電の有無を確認する … 電気が来ているかを確かめる=検電器の役目そのもの。→ 正しい=これが答え
よって答えはニです。
間違えた人が選びやすいのはロ
「ネオン式」という名前から、ネオン管(ネオンサイン)を調べる道具だと思い込むと、イやロを選んでしまいます。ネオンは「光る仕組み」の名前で、調べる相手ではありません。名前の前半ではなく、後半の「検電器」で用途を判断しましょう。
覚えるこの問題の覚え方
「検電器=電気が来ているかを検べる。ネオンは光るランプの種類」。測定器の問題は、名前の最後の言葉(〇〇計・〇〇器)を見れば用途が分かることが多いです。照度計=明るさ、漏れ電流計=漏れた電気、検電器=電気の有無、と対にして覚えます。
問25
分野:検査(漏えい電流)重要度 ★★★
絶縁抵抗測定が困難なので,単相100/200 Vの分電盤の各分岐回路に対し,使用電圧が加わった状態で,クランプ形漏れ電流計を用いて,漏えい電流を測定した。その測定結果は,使用電圧100 VのA回路は0.5 mA,使用電圧200 VのB回路は1.5 mA,使用電圧100 VのC回路は3 mAであった。絶縁性能が「電気設備の技術基準の解釈」に適合している回路は。
イ.すべて適合している。
ロ.A回路とB回路が適合している。
ハ.A回路のみが適合している。
ニ.すべて適合していない。
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この問題は何を聞いているの?
「電気を止めずに、漏れている電気の量を測った。基準に合格している回路はどれか」を聞いています。3つの回路の測定値が並んでいるので、合格ラインの数字を1つ知っていれば解ける問題です。
問題文の言葉を順に説明する
用語絶縁抵抗(ぜつえんていこう)とは?
絶縁抵抗とは、電線のまわりのビニルなどが、どれだけしっかり電気を外に漏らさずにいるかを表す数字です。単位はMΩ(メガオーム)で、1 MΩ=100万Ωです。数字が大きいほど、電気が漏れにくいことを表します。
なぜ?なぜ普段は絶縁抵抗を測って確かめるのか?
電線の被覆は、年月とともに傷んで電気を漏らしやすくなるからです。傷み具合を数字で確かめるのが絶縁抵抗測定です。ただしこの測定は、回路の電気を止めてから行う必要があります。
なぜ?なぜこの問題では「絶縁抵抗測定が困難」なのか?
絶縁抵抗の測定には、停電させる(電気を止める)必要があるからです。病院やお店、パソコンが動き続けている事務所などでは、電気を止められないこともあるでしょう。そのような場合の代わりの方法として、電気を流したまま漏れた電気(漏えい電流)を測る方法が認められています。
用語漏えい電流(ろうえいでんりゅう)とは?
漏えい電流とは、本来の道から外れて、地面などへ漏れ出している電流のことです。単位のmA(ミリアンペア)は1 Aの1000分の1で、1 mA=0.001 Aです。
なぜ?なぜ漏れている電気の量で、絶縁がよいかを判断できるのか?
絶縁がよい(電気を漏らしにくい)ほど、漏れる電気は少なくなるからです。絶縁抵抗が大きい=漏えい電流が小さい、という裏表の関係です。だから漏えい電流を測れば、絶縁の状態を逆から確かめることができます。
用語クランプ形漏れ電流計とは?
クランプ形漏れ電流計とは、電線を先端の輪っかではさむだけで、漏れている電流を測れる測定器のことです。クランプとは「はさむ」という意味です。電線を切ったり外したりしなくてよいので、電気を流したまま測れます。
なぜ?なぜ電線をはさむだけで漏れた電気が分かるのか?
回路の線をまとめてはさむと、行きの電流と帰りの電流が打ち消し合うからです。漏れがなければ、行きと帰りは同じ量なので合計は0です。漏れがあると、漏れた分だけ帰りが少なくなり、その差が表示されます。
合格ラインの数字
基準 … 「電気設備の技術基準の解釈」では、絶縁抵抗の測定が難しい場合、漏えい電流が1 mA以下なら合格としています。
大事な点 … この1 mAは、使用電圧が100 Vでも200 Vでも同じ数字です。
参考:数字のつながり … 100 Vの回路の絶縁抵抗の基準は0.1 MΩ以上。0.1 MΩ=100,000 Ωなので、100 V ÷ 100,000 Ω=0.001 A=1 mA。2つの基準の数字はこのように対応しています。
3つの回路を1つずつ確かめる
A回路(100 V)0.5 mA … 0.5は1以下。→ 適合
B回路(200 V)1.5 mA … 1.5は1を超える。200 Vでも基準は同じ1 mA。→ 不適合
C回路(100 V)3 mA … 3は1を超える。→ 不適合
結果 … 適合しているのはA回路だけ。
選択肢を1つずつ確かめる
イ すべて適合している … BとCは1 mAを超えている。→ 誤り
ロ A回路とB回路が適合している … Bの1.5 mAは1 mAを超えている。→ 誤り
ハ A回路のみが適合している … 上の確認のとおり。→ 正しい=これが答え
ニ すべて適合していない … Aの0.5 mAは合格。→ 誤り
よって答えはハです。
間違えた人が選びやすいのはロ
B回路だけ200 Vなので、「電圧が2倍なら、許される漏れも2倍の2 mAまでだろう」と考えるとロを選んでしまいます。しかし漏えい電流の基準は、電圧に関係なく1 mA以下です。絶縁抵抗の基準は電圧で変わるが、漏えい電流の基準は変わらない点に注意しましょう。
覚えるこの問題の覚え方
「止められないときは、漏れを測って1 mA以下」。100 V ÷ 0.1 MΩ=1 mAという計算と一緒に覚えると、絶縁抵抗0.1 MΩと漏えい電流1 mAをセットで思い出せます。電圧ごとに数字を変えなくてよいので、どの回路も「1」と比べるだけです。
問26
分野:検査(接地抵抗の測定)重要度 ★★☆
直読式接地抵抗計(アーステスタ)を使用して直読で,接地抵抗を測定する場合,被測定接地極Eに対する,2つの補助接地極P(電圧用)及びC(電流用)の配置として,最も適切なものは。
イ.(下の図のイ)
ロ.(下の図のロ)
ハ.(下の図のハ)
ニ.(下の図のニ)
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正解
ハ.(図のハ)E・P・Cの順に一直線、10 mずつ
この問題は何を聞いているの?
「アースがきちんと効いているかを測る道具(アーステスタ)を使うとき、補助の棒2本をどこに打ち込めばよいか」を聞いています。4つの図で違うのは、E・P・Cの3つの点の並び方だけです。
E・P・Cがそれぞれ何なのかが分かれば、正しい並び方は自然に決まります。1つずつ見ていきましょう。
問題文の言葉を順に説明する
用語接地抵抗(せっちていこう)とは?
接地抵抗とは、機械のアース(接地)から地面までの、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、小さいほど電気が地面へ逃げやすいことを表します。
なぜ?なぜ接地抵抗を測る必要があるのか?
アース線をつないだだけでは、電気がきちんと地面へ逃げるか分からないからです。地面の土が乾いていたり、石が多かったりすると、電気が流れにくくなるのです。そこで工事のあとに測定し、決められた値(D種なら100 Ω以下など)に収まっているかを確かめます。
用語直読式接地抵抗計(アーステスタ)とは?
直読式接地抵抗計とは、接地抵抗を測って、その値を目盛りや画面でそのまま読める測定器のことです。直読(ちょくどく)とは、計算せずに直接読めるという意味です。一般には「アーステスタ」と呼ばれます。
なぜ?なぜアーステスタには補助の棒が2本も要るのか?
地面の中に電気を流す役と、電圧を測る役の2つが必要だからです。抵抗は「電圧 ÷ 電流」で求まるからです。そのため、地面に電流を流すための棒と、電圧を測るための棒を別々に打ち込みます。
用語E・P・Cの3つの点の意味
E(被測定接地極) … 測りたいアースそのもの。地面に埋めてある金属の棒や板。「被測定」は測られる側という意味。
P(補助接地極・電圧用) … 電圧を測るために打ち込む補助の棒。
C(補助接地極・電流用) … 地面に電流を流すために打ち込む補助の棒。
正しい並び方を順に考える
手順1 アーステスタは、EからCへ、地面の中に電流を流す。つまりEとCは電流の「入口と出口」。
手順2 PとEの間の電圧を測り、「電圧 ÷ 電流」でEの接地抵抗を出す。
手順3 電圧を測るPは、電流の通り道であるEとCの間に置く。そのため並び方はE → P → Cの順になる。
手順4 3本は一直線上に、およそ10 mずつ間隔を空けて打ち込む。
なぜ?なぜ棒どうしを10 mも離すのか?
棒どうしが近すぎると、たがいの影響を受けて正しい値が出ないからです。棒のまわりの地面には、電気が広がっていく範囲があります。棒どうしが近いとその範囲が重なり、Eだけの抵抗を取り出して測れません。そこで10 mほど離して、重なりを小さくします。
選択肢を1つずつ確かめる
イ P → E → C … 測りたいEが真ん中にある。電圧用のPが電流の通り道(E〜C)の外にある。→ 不適切
ロ E → C → P … 電流用のCが真ん中。PがEとCの間にない。→ 不適切
ハ E → P → C … Eから始まり、Pが真ん中、Cがいちばん遠く。一直線で10 mずつ。→ 最も適切=これが答え
ニ 三角形に配置 … 3本が一直線になっていない。→ 不適切
よって答えはハです。
間違えた人が選びやすいのはイ
「測りたいものを真ん中に置く」のは自然に感じるので、Eが中央のイを選んでしまいがちです。しかしアーステスタはEとCの間に電流を流し、その途中のPで電圧を測る仕組みです。真ん中に来るのはP(電圧用)だと覚えておきましょう。
覚えるこの問題の覚え方
「E(測る相手)→ P(電圧)→ C(電流)、一直線に10 mずつ」。電流はEとCの間を流れ、その途中のPで電圧を測ると仕組みで覚えれば、真ん中はPだとすぐに分かります。図を見たら、まず真ん中の文字を確かめましょう。
問27
分野:検査(計器の結線)重要度 ★★☆
図の交流回路は,負荷の電圧,電流,電力を測定する回路である。図中にa,b,cで示す計器の組合せとして,正しいものは。
イ.a 電流計 b 電圧計 c 電力計
ロ.a 電力計 b 電流計 c 電圧計
ハ.a 電圧計 b 電力計 c 電流計
ニ.a 電圧計 b 電流計 c 電力計
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「回路図の中のa・b・cの丸は、それぞれ電圧計・電流計・電力計のどれか」を聞いています。計器が回路にどうつながっているかを見れば、どれがどの計器か決まるでしょう。
図に出てくる言葉を順に説明する
用語1φ2W(たんそうにせんしき)とは?
図の左にある1φ2Wは、単相2線式を表す記号です。「1φ」は単相、「2W」は電線2本(Wire=ワイヤ)を意味します。2本の電線で電気を送る、家庭で一般的な方式です。
なぜ?なぜ図に配線方式の記号が書いてあるのか?
電線が何本で、どこが行きと帰りかを読み手に伝えるためです。この図では上の線と下の線の2本で電源と負荷がつながっています。負荷(ふか)とは、電気を使う側の機械や器具のことです。
用語電圧計と電流計のつなぎ方とは?
電圧計は、2本の線の間に橋をかけるようにつなぎます(並列)。電流計は、電線を途中で切って、その間に入れるようにつなぎます(直列)。
なぜ?なぜ電圧計は並列、電流計は直列につなぐのか?
電圧は「2点の間の差」、電流は「1本の線を流れる量」だからです。電圧は行きの線と帰りの線の高さの差なので、2本の間に計器をまたがせて測るのです。電流は道を流れる水の量のようなものなので、流れの途中に計器を入れて、全部の電流を計器に通して測ります。
用語電力計とは?
電力計とは、負荷が使っている電力(W=ワット)を測る計器のことです。電力は電圧と電流の両方で決まるので、電力計の中には電流を測る部分と電圧を測る部分の両方があります。
なぜ?なぜ電力計だけ線が3本以上つながっているのか?
電流を測る部分は直列に、電圧を測る部分は並列につなぐ必要があるからです。そのため電力計は、電線の途中に入る線に加えて、もう片方の線へ伸びる線も持っています。図のcから下の線へ1本伸びているのがその目印です。
図のa・b・cを1つずつ読む
a … 上の線と下の線の間に縦向きにつながっている。2本の間にまたがる=並列=電圧計。
b … 上の線の途中に入っている。電流が必ず通る=直列=電流計。
c … 上の線の途中に入り(直列)、さらに下の線へも1本つながっている(並列)。両方を持つ=電力計。
組合せ … a 電圧計/b 電流計/c 電力計。
選択肢を1つずつ確かめる
イ a電流計 b電圧計 c電力計 … aは2本の線の間(並列)なので電流計ではない。→ 誤り
ロ a電力計 b電流計 c電圧計 … aには電線の途中に入る部分がない。cは直列の部分を持つので電圧計ではない。→ 誤り
ハ a電圧計 b電力計 c電流計 … bは線が2本しかなく電力計ではない。cは下の線へもつながるので電流計ではない。→ 誤り
ニ a電圧計 b電流計 c電力計 … 上の読み取りと一致。→ 正しい=これが答え
よって答えはニです。
間違えた人が選びやすいのはイ
aが電源のすぐそばにあるので、「電源から出てくる電流を測っている」と考えてイを選ぶ人がいます。しかし大事なのは位置ではなく、つながり方です。aは上下2本の線にまたがっているので、電圧計です。
覚えるこの問題の覚え方
「縦向きにまたぐのは電圧計、横向きに割り込むのは電流計、両方やっているのが電力計」。回路図では、上下の線をつなぐ縦向きの計器=並列=電圧計と見分けると、すばやく判断できます。
問28
分野:法令(電気工事士法)重要度 ★★★
「電気工事士法」において,第二種電気工事士免状の交付を受けている者であっても従事できない電気工事の作業は。
イ.自家用電気工作物(最大電力500 kW未満の需要設備)の低圧部分の電線相互を接続する作業
ロ.自家用電気工作物(最大電力500 kW未満の需要設備)の地中電線用の管を設置する作業
ハ.一般用電気工作物の接地工事の作業
ニ.一般用電気工作物のネオン工事の作業
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正解
イ.自家用電気工作物(最大電力500 kW未満の需要設備)の低圧部分の電線相互を接続する作業
この問題は何を聞いているの?
「第二種電気工事士の免状を持っていても、してはいけない作業はどれか」を聞いています。ポイントは「自家用電気工作物」と「一般用電気工作物」の違いです。この2つの言葉から順に説明します。
問題文の言葉を順に説明する
用語電気工事士法(でんきこうじしほう)とは?
電気工事士法とは、電気工事をしてよい人の資格と、その範囲を決めた法律のことです。資格のない人が工事をして感電や火災が起きないように、作業ごとに必要な資格を定めています。
なぜ?なぜ電気工事に資格が必要なのか?
工事の失敗が、あとから住む人や使う人の命にかかわるからです。つなぎ方を間違えると、何年もたってから発熱して火災になることもあるのです。そのため、知識と技能を試験で確かめた人だけが工事できる仕組みになっています。
用語一般用電気工作物と自家用電気工作物とは?
一般用電気工作物とは、電力会社から600 V以下の低圧で電気を受けている、住宅や小さなお店などの設備のことです。自家用電気工作物とは、高圧(6,600 Vなど)で電気を受けている工場・ビルなどの設備のことです。
なぜ?なぜ自家用電気工作物の工事は、第二種では足りないのか?
大きな建物の設備は規模が大きく、事故のときの被害も大きいからです。たとえ建物の中の100 Vや200 Vの部分(低圧部分)でも、高圧の設備とひとつながりになっています。そこで最大電力500 kW未満の自家用電気工作物の工事は、第一種電気工事士(低圧部分だけなら認定電気工事従事者も可)が行う決まりです。
例資格と工事できる範囲
第二種電気工事士 … 一般用電気工作物の工事(住宅・小さなお店など)。
第一種電気工事士 … 一般用電気工作物に加え、最大電力500 kW未満の自家用電気工作物の工事。
認定電気工事従事者 … 最大電力500 kW未満の自家用電気工作物のうち、低圧部分の工事。
用語軽微な工事(けいびなこうじ)とは?
軽微な工事とは、電気工事士の資格がなくてもしてよいと法令で決められた、簡単な工事のことです。例えば地中に電線を通すための管を埋める作業がこれにあたります。
なぜ?なぜ地中電線用の管を埋めるのは資格がいらないのか?
管を埋めるだけで、電線そのものには触れないからです。管は電線の通り道を用意する土木の作業にあたり、電線をつないだり器具を付けたりする作業とは別です。そのため法令上、資格のいらない軽微な工事に分けられています。
用語ネオン工事とは?(選択肢ニの言葉)
ネオン工事とは、ネオンサイン(光る看板)の配線などの工事のことです。自家用電気工作物でのネオン工事には、「特種電気工事資格者」という別の資格が必要です。
なぜ?なぜ一般用電気工作物のネオン工事は第二種でできるのか?
特別な資格が要るのは、自家用電気工作物でのネオン工事だけだからです。住宅やお店などの一般用電気工作物なら、ネオン工事も第二種電気工事士の範囲に入ります。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 自家用電気工作物(500 kW未満)の低圧部分の電線相互を接続する作業 … 自家用の工事なので、第一種か認定電気工事従事者が必要。第二種では従事できない。→ これが答え
ロ 自家用電気工作物(500 kW未満)の地中電線用の管を設置する作業 … 軽微な工事=資格がなくてもできる。もちろん第二種でもできる。→ 従事できる
ハ 一般用電気工作物の接地工事の作業 … 一般用なので第二種の範囲。→ 従事できる
ニ 一般用電気工作物のネオン工事の作業 … 特別な資格が要るのは自家用のネオン工事だけ。一般用なら第二種の範囲。→ 従事できる
よって答えはイです。
間違えた人が選びやすいのはロ
ロにも「自家用電気工作物」という言葉が入っているので、「自家用だから第二種では無理」と考えてロを選びがちです。しかし管を埋めるだけの作業は軽微な工事で、資格そのものがいりません。「自家用」の言葉だけで決めず、作業の中身まで読むことが大切です。
覚えるこの問題の覚え方
「第二種は一般用まで。自家用で電線に触る作業は第一種」。ただし管を埋めるだけ(電線に触らない)は資格不要。電線に触るかどうかで区別すると、イとロの違いがはっきりします。
問29
分野:法令(電気用品安全法)重要度 ★★★
「電気用品安全法」の適用を受ける次の電気用品のうち,特定電気用品は。
イ.定格消費電力40 Wの蛍光ランプ
ロ.外径19 mmの金属製電線管
ハ.定格消費電力30 Wの換気扇
ニ.定格電流20 Aの配線用遮断器
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この問題は何を聞いているの?
「電気用品安全法で、特に厳しく管理される『特定電気用品』はどれか」を聞いています。4つとも電気用品安全法の対象で、特定電気用品かどうかで分かれる問題です。
問題文の言葉を順に説明する
用語電気用品安全法(でんきようひんあんぜんほう)とは?
電気用品安全法とは、電気製品や電気の部品が、安全に作られているかを国が確かめるための法律のことです。対象になる製品には、PSEマークを付けることが義務づけられています。
なぜ?なぜ電気製品の安全を法律で確かめるのか?
電気製品の欠陥は、使う人には見えないからです。中の部品の質が悪くても、買う人には分かりません。そこで作る会社や輸入する会社に、国の基準を守らせる仕組みになっています。
用語特定電気用品(とくていでんきようひん)とは?
特定電気用品とは、電気用品の中でも、事故が起きたときに特に危険が大きいもののことです。目印はひし形のPSEマークです。それ以外の電気用品には丸形のPSEマークが付きます。
なぜ?なぜ特定電気用品だけ別に分けているのか?
壊れたときに火災や感電に直結しやすいものは、より厳しく確かめる必要があるからです。特定電気用品は、国に登録された検査機関の検査を受けなければなりません。ブレーカーや電線など、電気の通り道そのものを担う部品が多く含まれます。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?(選択肢ニの言葉)
配線用遮断器とは、電気が流れすぎたときに自動で電気を止める装置のことで、家庭では「ブレーカー」と呼ばれています。定格電流20 Aとは、20 Aまでなら流し続けてよいという意味です。
なぜ?なぜ配線用遮断器は特定電気用品なのか?
配線用遮断器がきちんと働かないと、電線が過熱して火災になるからです。ブレーカーは家の電線を守る最後の砦です。だから特に厳しく品質を確かめる特定電気用品に入っています。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 定格消費電力40 Wの蛍光ランプ … 電気用品安全法の対象だが、特定電気用品以外(丸形のPSE)。→ 誤り
ロ 外径19 mmの金属製電線管 … 電線を通す管。対象だが、特定電気用品以外。→ 誤り
ハ 定格消費電力30 Wの換気扇 … 対象だが、特定電気用品以外。→ 誤り
ニ 定格電流20 Aの配線用遮断器 … 特定電気用品(ひし形のPSE)。→ 正しい=これが答え
よって答えはニです。
間違えた人が選びやすいのはロ
金属製電線管は電線を守る大事な部材なので、「特に危険なもの」に入りそうに見えます。しかし電線管は電気の通り道そのものではなく、電線を収める入れ物です。特定電気用品には入っていません。
覚えるこの問題の覚え方
「ブレーカー・ヒューズ・電線・スイッチ・コンセントなど、電気の通り道を直接担う部品はひし形(特定)になりやすい」。照明や換気扇などの電気を使う側の家電や電線管は丸形(特定以外)のものが多い、と対で覚えましょう。
問30
分野:法令(電気事業法・一般用電気工作物)重要度 ★★★
一般用電気工作物に関する記述として,正しいものは。
ただし,発電設備は電圧600 V以下とする。
イ.低圧で受電するものは,出力55 kWの太陽電池発電設備を同一構内に施設しても,一般用電気工作物となる。
ロ.低圧で受電するものは,小出力発電設備を同一構内に施設しても,一般用電気工作物となる。
ハ.高圧で受電するものであっても,需要場所の業種によっては,一般用電気工作物になる場合がある。
ニ.高圧で受電するものは,受電電力の容量,需要場所の業種にかかわらず,すべて一般用電気工作物となる。
答え・解説を見る
正解
ロ.低圧で受電するものは,小出力発電設備を同一構内に施設しても,一般用電気工作物となる。
この問題は何を聞いているの?
「一般用電気工作物(住宅などの設備)に入るのはどんな場合か、正しい説明を選べ」という問題です。判断のポイントは①電気を受ける電圧(低圧か高圧か)と②敷地内の発電設備の大きさの2つです。
問題文の言葉を順に説明する
用語一般用電気工作物とは?
一般用電気工作物とは、電力会社から600 V以下の低圧で電気を受けている、住宅や小さなお店などの電気設備のことです。第二種電気工事士が工事できる範囲でもあります。
なぜ?なぜ「低圧で受電」が一般用電気工作物の条件になっているのか?
高圧の電気を扱う設備は、専門の管理が必要だからです。高圧で受電する工場やビルは、自家用電気工作物として電気主任技術者(設備の保安を監督する専門家)を置くなどの決まりがあるのです。低圧で受電する住宅などは、それよりゆるやかな扱いになっています。
用語受電(じゅでん)と同一構内(どういつこうない)とは?
受電とは、電力会社から電気を受け取ることです。同一構内とは、同じ敷地の中という意味。「同一構内に施設する」は、同じ敷地内に設置するということです。
なぜ?なぜ敷地内の発電設備まで条件に入るのか?
大きな発電設備があると、その敷地の設備全体の危険度が上がるからです。受電が低圧でも、敷地内に大きな発電設備があれば、一般用としては扱えません。どこまでなら一般用のままでよいかを決めたのが、次の「小出力発電設備」です。
用語小出力発電設備(しょうしゅつりょくはつでんせつび)とは?
小出力発電設備とは、電圧600 V以下で、出力が小さい発電設備のことです。この試験の当時(2022年5月)は、太陽電池発電設備なら出力50 kW未満がこれにあたりました。kW(キロワット)は1,000 Wのことです。
なぜ?なぜ小出力発電設備なら一般用電気工作物のままでよいのか?
出力が小さければ、事故が起きても被害が限られるからです。住宅の屋根の太陽光発電のような小さな設備まで自家用扱いにすると、管理の負担が大きすぎるでしょう。そこで、小出力発電設備までなら一般用のままとしています。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 低圧受電+出力55 kWの太陽電池発電設備 … 当時の小出力の上限は50 kW未満。55 kWはこれを超えるので、一般用電気工作物にならない。→ 誤り
ロ 低圧受電+小出力発電設備 … 低圧受電で、発電設備も小出力なので一般用電気工作物。→ 正しい=これが答え
ハ 高圧受電でも業種によっては一般用 … 高圧で受電するものは業種に関係なく自家用電気工作物。→ 誤り
ニ 高圧受電はすべて一般用 … 逆。高圧受電は自家用電気工作物。→ 誤り
よって答えはロです。
注意現在の規定との違い(太陽電池の区分)
2023年3月20日の改正で、太陽電池発電設備の小出力発電設備は「10 kW未満」に変わりました。10 kW以上50 kW未満は小規模事業用電気工作物という新しい区分です。この問題は改正前(2022年5月)の試験なので、当時の基準(50 kW未満)で答えはロになります。55 kWはどちらの基準でも一般用電気工作物にはなりません。
間違えた人が選びやすいのはイ
イは「低圧で受電するもの」という、一般用電気工作物の条件で始まっています。そのため前半だけ読んで正しいと判断してしまいがちです。しかし後半の55 kWの太陽電池は、小出力発電設備の上限を超えています。数字が出てきたら上限と比べるくせをつけましょう。
覚えるこの問題の覚え方
「一般用=低圧受電+(発電設備があるなら)小出力まで」。高圧受電は例外なく自家用です。選択肢に「業種によっては」「すべて」といった言葉で高圧受電を一般用に入れようとするものがあれば、誤りと判断できます。
📝 読んだあとは、解いて確かめる
令和4年度 上期 午後 第二種電気工事士 学科(全50問)を、1問ずつ解いて答え合わせ
全50問。選択肢を選ぶとその場で正解・不正解と解説が出ます。登録も料金もいりません。
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この記事のまとめ
問21〜30は施工のルール・検査・法令の分野でした。計算が少ないぶん、数字と言葉を正確に覚えているかが勝負になります。下に、この10問から持ち帰ってほしいことをまとめました。
まとめこの10問で持ち帰ること
問21 住宅用分電盤 … 200 Vは2極2素子。2極1素子は素子のある極に電圧側、Nの極に中性線。主開閉器の中性極は銅バー。
問22 接地線と接地抵抗 … 300 V以下はD種=100 Ω以下(0.5秒以内に切れる漏電遮断器なら500 Ω)。接地線は固定1.6 mm以上/移動0.75 mm²以上。
問23 合成樹脂管 … 支持点間は1.5 m以下。ケーブルは2 m以下。
問24 ネオン式検電器 … 電気が来ているか(充電の有無)を確かめる道具。
問25 漏えい電流 … 絶縁抵抗を測れないときは1 mA以下で合格。電圧に関係なく同じ。
問26 接地抵抗の測定 … E → P → Cの順に一直線、10 mずつ。真ん中は電圧用のP。
問27 計器のつなぎ方 … 電圧計=並列/電流計=直列/電力計=両方。
問28 電気工事士法 … 第二種は一般用まで。自家用の低圧部分は第一種か認定電気工事従事者。地中電線用の管を埋めるのは軽微な工事。
問29 電気用品安全法 … 配線用遮断器は特定電気用品(ひし形)。蛍光ランプ・電線管・換気扇は特定以外(丸形)。
問30 一般用電気工作物 … 低圧受電+小出力発電設備まで。高圧受電は自家用。
コツこの分野を伸ばすコツ
数字が出てきたら、「何の数字か」と「以上か以下か」をセットで書き出すことです。100 Ω・500 Ω(D種の接地抵抗=以下)/1.6 mm・0.75 mm²(接地線の太さ=以上)/1.5 m(合成樹脂管の支持点間=以下)/1 mA(漏えい電流=以下)/10 m(補助接地極の間隔)——この10問で特に大事な数字です。
なぜ?なぜ数字は文章ごと覚えたほうがよいのか?
数字だけ覚えると、どの場面の数字かが混ざりやすいからです。例えば「1.5」は合成樹脂管の支持点間(1.5 m)にも、問25のB回路の測定値(1.5 mA)にも出てきます。「合成樹脂管は1.5 m以下で留める」のように、条件まで含めて文章で覚えると混ざりにくいでしょう。
出典
令和4年度上期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和4年度上期 午後 全5記事)
▶ 問1〜10
計算のきほん(回路の電圧・抵抗の式・熱量・コイルと周波数・三相の電力・電圧降下・許容電流・幹線・分岐回路)
▶ 問11〜20
材料と器具(リングレジューサ・CVケーブル・工具・スターデルタ始動・力率・写真の材料と器具・絶縁処理・施設場所と工事の種類)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(木造2階建住宅の配線図を読む)
▶ 配線図 問41〜50
接続と写真の見分け(差込形コネクタ・リングスリーブ・写真で選ぶ材料と器具)
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する