第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和3年度 上期・午後(2021年5月30日実施)の問1〜10です。

問1〜問10には計算問題と配線の決まりがまとまって出てきます。数字が並ぶと身構えてしまいますが、土台になるのはオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力の式が中心です。この記事では、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ言葉で書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和3年度上期第二種電気工事士試験(午後)

問1

分野:電気の基礎(直列・並列回路の消費電力)重要度 ★★★

図のような回路で,8 Ωの抵抗での消費電力[W]は。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問1 の回路図
イ.200
ロ.800
ハ.1 200
ニ.2 000
答え・解説を見る
正解

ロ.800[W]
この問題は何を聞いているの?

図の右上にある8Ωの抵抗が、1秒間にどれだけの電気を使っているか(消費電力)を聞いています。左側には20Ωと30Ωの抵抗が横に並んだ部分があり、そこを先にまとめるのが解き方の入口です。まずは言葉を1つずつ確かめましょう。

用語抵抗[Ω]とは?

抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、図の細長い長方形が抵抗を表します。この図に描かれた抵抗は、20Ω・30Ω・8Ωの3つです。

なぜ?なぜ抵抗が電気を「使う」ことになるのか?

電気が抵抗を通り抜けるとき、流れにくさに逆らって進むぶん、電気のエネルギーが熱に変わるからです。電気ストーブやドライヤーが熱くなるのは、中の抵抗(電熱線)で電気が熱に変わっているためです。

用語消費電力[W]とは?

消費電力とは、電気を使う物が1秒間に使う電気の量のことです。単位はW(ワット)で、数字が大きいほど多くの電気を使い、多くの熱や光を出します。

なぜ?なぜ消費電力は「電流×電流×抵抗」でも求められるのか?

電力は電圧×電流で、その電圧は電流×抵抗(オームの法則)で決まるからです。電圧の部分を「電流×抵抗」に入れかえると、電力=電流×電流×抵抗になります。例えば2Aが10Ωに流れれば、2×2×10=40Wです。

用語図の「200 V」と縦線2本の記号とは?

左側の、長い線と短い線を組み合わせた記号は電池(直流電源)です。200Vは、電気を押し出す力(電圧)が200ボルトという意味です。

なぜ?なぜ電源の電圧が分かると電流が求められるのか?

電流=電圧÷抵抗(オームの法則)だからです。回路全体の抵抗が1つの数字にまとまれば、200Vをその数字で割るだけで、電源から流れ出る電流が分かります。

20Ωと30Ωは「並列」、8Ωはそれと「直列」

図をよく見ると、20Ωと30Ωは左の黒い点と右の黒い点を、上下2本の道でつないでいます。そこを出た電気は、8Ωを通って電源に戻る流れです。

用語並列(へいれつ)とは?

並列とは、2つ以上の部品が、同じ2つの点の間に横並びでつながっている形のことです。電気は途中で道が分かれ、また合流します。

なぜ?なぜ並列にすると全体の抵抗は小さくなるのか?

電気の通れる道が増えるからです。改札が1つより2つあるほうが人が通りやすいのと同じで、並列の合成抵抗は、いちばん小さい抵抗(ここでは20Ω)よりも必ず小さくなります。

用語直列(ちょくれつ)とは?

直列とは、部品が1本道に並んでつながっている形のことです。直列の部品にはどれも同じ大きさの電流が流れます。

なぜ?なぜ直列の抵抗は足し算でまとめられるのか?

1本道に流れにくい所が2つあれば、流れにくさが積み重なるからです。12Ωと8Ωが1本道に並べば、12+8=20Ωと考えられます。

並列の抵抗をまとめる式

覚える2つの抵抗の並列は「かけ算÷足し算」

並列の合成抵抗=(R₁×R₂)÷(R₁+R₂)

20Ωと30Ωなら (20×30)÷(20+30)=600÷50=12Ω

用語合成抵抗とは?

合成抵抗とは、いくつかの抵抗を、同じ働きをする1つの抵抗に置きかえたときの値のことです。

なぜ?なぜ合成抵抗にまとめると計算が楽になるのか?

回路全体が「電源と抵抗1つ」だけの単純な形になり、オームの法則を1回使うだけで全体の電流が出せるからです。

1ステップずつ計算する

手順1 20Ωと30Ωの並列をまとめる (20×30)÷(20+30)=600÷50=12Ω

手順2 8Ωと直列なので足す 12+8=20Ω(回路全体の抵抗)

手順3 電源から流れる電流 200÷20=10A

手順4 8Ωは1本道の途中にあるので、8Ωにも同じ10Aが流れる

手順5 8Ωの消費電力 10×10×8=800W

よって答えはロの800Wです。別の道筋として、8Ωにかかる電圧を先に出す方法もあります。電圧は10×8=80Vなので、電力は80×10=800W。同じ答えです。

なぜ?なぜ8Ωに流れる電流は、20Ωや30Ωに流れる電流と違うのか?

並列部分では10Aが2本の道に分かれて流れるからです。20Ω側に6A、30Ω側に4Aと分かれ、合流してから10Aそろって8Ωを通ります。8Ωは分かれ道より後ろの1本道にあるので、10Aがそのまま流れるわけです。

覚えるこの問題の覚え方

「並列をまとめる → 全部足す → 全体の電流 → 目当ての抵抗で電流×電流×抵抗」の4段です。聞かれているのがどの抵抗の電力かを最後にもう一度確かめましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.1 200 … 並列部分(12Ω)の消費電力を出してしまった数字です。10×10×12=1 200Wになります。聞かれているのは8Ωの電力です。

ニ.2 000 … 回路全体の消費電力を出した数字です。200V×10A=2 000Wになります。8Ωだけの電力ではありません。

イ.200 … 誤りです。8Ωに流れる電流が10Aであることと、電力=電流×電流×抵抗の式を確かめましょう。

問2

分野:電気の基礎(電線の太さ・長さと抵抗)重要度 ★★☆

直径2.6 mm,長さ20 mの銅導線と抵抗値が最も近い同材質の銅導線は。

イ.断面積8 mm2,長さ40 m
ロ.断面積8 mm2,長さ20 m
ハ.断面積5.5 mm2,長さ40 m
ニ.断面積5.5 mm2,長さ20 m
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正解

ニ.断面積5.5 mm2,長さ20 m
この問題は何を聞いているの?

「直径2.6mm・長さ20m」の銅の電線と、電気の流れにくさ(抵抗)がいちばん近い電線を選ぶ問題です。選択肢は「断面積」で書かれているので、直径を断面積に直してから比べるのがポイントになります。

用語導線(どうせん)とは?

導線とは、電気を通すための金属の線のことです。この問題では銅(どう)でできた線を比べています。「同材質」とは、どれも同じ銅でできているという意味です。

なぜ?なぜ「同材質」とわざわざ書いてあるのか?

材料が違うと、同じ太さ・長さでも電気の流れにくさが変わるからです。銅とアルミでは流れにくさが違います。材料をそろえておけば、太さと長さだけで比べられるでしょう。

用語直径と断面積とは?

直径とは、電線を輪切りにしたときの円の、端から端までの長さです。断面積とは、その輪切りの円の面積のことで、単位はmm²(平方ミリメートル)です。

なぜ?なぜ電線の太さに「直径」と「断面積」の2通りの書き方があるのか?

1本の銅線でできた電線(単線)は直径(1.6mm・2.0mm・2.6mmなど)で、細い線をより合わせた電線(より線)は断面積(5.5mm²・8mm²など)で太さを表すのが一般的だからです。この問題は、その2つの書き方をつなげられるかを見ています。

抵抗は「長いほど大きく、太いほど小さく」なる

覚える電線の抵抗の決まり

長さが2倍になると、抵抗は2倍(長さに比例)

断面積が2倍になると、抵抗は半分(断面積に反比例)

なぜ?なぜ長い電線ほど抵抗が大きいのか?

電気が流れにくい道を長く進むことになるからです。細いストローで飲み物を吸うとき、ストローが長いほど吸いにくくなるのと同じです。

なぜ?なぜ太い電線ほど抵抗が小さいのか?

太いほど電気の通れる道幅が広いからです。ストローも太いほうが楽に吸えます。

直径2.6mmを断面積に直す

用語円の面積の求め方とは?

円の面積は半径×半径×円周率(3.14)で求めます。半径とは直径の半分の長さです。直径2.6mmなら、半径は2.6÷2=1.3mmです。

なぜ?なぜ直径ではなく半径を使うのか?

円の面積の公式が半径をもとに作られているからです。直径をそのまま2回かけると、面積を4倍に見積もってしまいます。

手順1 半径を出す 2.6÷2=1.3mm

手順2 半径×半径 1.3×1.3=1.69

手順3 円周率をかける 1.69×3.14=約5.3mm²

手順4 5.3mm²にいちばん近い選択肢の断面積は5.5mm²

手順5 長さは元の電線と同じ20mにすれば、抵抗も近くなる

よって答えはニの「断面積5.5mm²・長さ20m」です。直径2.6mmと断面積5.5mm²の電線は、太さがほぼ同じ仲間として覚えておくと、ほかの問題でも役立ちます。

なぜ?なぜ8mm²・40mも抵抗が近いように見えるのか?

8mm²は5.5mm²より太く、40mは20mより長いので、抵抗が小さくなる方向と大きくなる方向が打ち消し合うように見えるからです。ただし計算すると、太さは約1.5倍(8÷5.3)にしかならないのに、長さは2倍になります。抵抗は約1.3倍に増えるので、いちばん近いとは言えません。

覚えるこの問題の覚え方

「直径2.6mm ≒ 5.5mm²」「直径2.0mm ≒ 3.5mm²」「直径1.6mm ≒ 2mm²」。半径×半径×3.14で確かめられますが、組み合わせで覚えておくと試験中の計算が減ります。

例1.6mmと2.0mmでも確かめる

直径1.6mm → 0.8×0.8×3.14=約2.0mm²

直径2.0mm → 1.0×1.0×3.14=約3.1mm²(より線の3.5mm²が近い仲間)

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.5.5mm²・40m … 太さは合っていますが、長さが2倍なので抵抗も2倍になります。

ロ.8mm²・20m … 長さは同じですが、8mm²は5.3mm²より太いので抵抗が小さくなります。元の電線と同じにはなりません。

イ.8mm²・40m … 上の「なぜ」の箱のとおり、計算すると抵抗は約1.3倍になり、ニより離れます。

問3

分野:電気の基礎(電熱器の発熱量)重要度 ★★★

消費電力が400 Wの電熱器を1時間20分使用した時の発熱量[kJ]は。

イ.960
ロ.1 920
ハ.2 400
ニ.2 700
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正解

ロ.1 920[kJ]
この問題は何を聞いているの?

400Wの電熱器(電気で熱を出す器具)を1時間20分使ったとき、全部でどれだけの熱が出たかを聞いています。答えの単位がkJ(キロジュール)なので、時間を「秒」に直してから計算するのがポイントです。

用語電熱器とは?

電熱器とは、電気を熱に変えて使う器具のことです。電気ストーブ・電気コンロ・電気ポットなどがこれにあたります。

なぜ?なぜ電熱器では消費電力をそのまま発熱量として計算できるのか?

電熱器の中の抵抗(電熱線)は、使った電気をほぼすべて熱に変えるからです。光や動きにはほとんど変わらないので、使った電気の量=出た熱の量と考えられます。

用語発熱量[J]とは?

発熱量とは、出た熱の合計の量のことです。単位はJ(ジュール)で、1Wの電力を1秒間使うと1Jの熱が出ます。1kJ(キロジュール)=1 000Jです。

なぜ?なぜ発熱量は「電力×時間」で求められるのか?

電力(W)は1秒あたりの量なので、使った秒数をかければ合計になるからです。蛇口から毎秒1リットル出る水を10秒ためれば10リットルになるのと同じ考え方です。

覚える発熱量の式

発熱量[J]=電力[W]×時間[秒]

1kJ=1 000J(kは「1 000倍」という意味)

時間を秒に直す

手順1 1時間20分を分に直す 60分+20分=80分

手順2 分を秒に直す 80×60=4 800秒

手順3 発熱量を出す 400×4 800=1 920 000J

手順4 kJに直す(1 000で割る) 1 920 000÷1 000=1 920kJ

よって答えはロの1 920kJです。

なぜ?なぜ「1時間20分=1.2時間」としてはいけないのか?

1時間は100分ではなく60分だからです。20分は60分の3分の1なので、1時間20分は約1.33時間にあたります。小数で考えると間違えやすいので、いったん分(80分)にしてから秒に直すのが安全です。

コツWhから求める別の道筋

電力量(使った電気の量)は 400W×(80÷60)時間=約533Wh(ワット時)

1Wh=3 600J(1Wを3 600秒使った量)なので、533.3…×3 600=1 920 000J

どちらの道筋でも同じ1 920kJになります。

用語Wh(ワット時)とは?

Whとは、1Wの電力を1時間使ったときの電気の量です。電気料金の明細に出てくるkWh(キロワット時)の仲間です。

なぜ?なぜ1Whが3 600Jになるのか?

1時間は3 600秒(60分×60秒)だからです。1Wを1秒使うと1Jなので、3 600秒使えば3 600Jになります。

覚えるこの問題の覚え方

「J(ジュール)は秒、Wh(ワット時)は時間」。答えがkJで聞かれたら、時間を秒に直して電力をかけ、最後に1 000で割ります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.960/ハ.2 400/ニ.2 700 … いずれも誤りです。1時間20分=80分=4 800秒になっているか、最後に1 000で割ってkJに直したかを確かめましょう。

問4

分野:電気の基礎(交流回路の力率)重要度 ★★★

図のような回路で,電源電圧が24 V,抵抗R=4 Ωに流れる電流が6 A,リアクタンスXL=3 Ωに流れる電流が8 Aであるとき,回路の力率[%]は。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問4 の回路図
イ.43
ロ.60
ハ.75
ニ.80
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正解

ロ.60[%]
この問題は何を聞いているの?

交流の電源に、抵抗とコイルが横並び(並列)につながっています。そのとき回路の「力率(りきりつ)」が何%かを聞く問題です。図の上に書かれた10Aという数字が大きな手がかりになります。

用語交流(こうりゅう)とは?

交流とは、電気の流れる向きが、1秒間に何十回も行ったり来たりする電気のことです。家庭用コンセントの電気は交流です。図の丸の中に波(~)の記号が交流の電源を表します。

なぜ?なぜ交流では電池(直流)と違う考え方が必要になるのか?

交流では、コイルのような部品があると電流の波が電圧の波より遅れて流れるからです。タイミングがずれた電流は、単純な足し算ができなくなります。

用語リアクタンス[Ω]とは?

リアクタンスとは、コイルなどが交流の流れをさまたげる働きのことです。単位は抵抗と同じΩ(オーム)です。図のくるくる巻いた線がコイルで、XL=3Ωと書かれています。

なぜ?なぜコイルのリアクタンスは電気を消費しないのか?

コイルは電気を磁石の力としていったんためて、また返す働きをするからです。行ったり来たりするだけで、抵抗のように熱に変えて使い切ることはありません。

用語力率(りきりつ)とは?

力率とは、電源から送った電気のうち、実際に仕事(熱や光など)に使われた割合のことです。100%に近いほどむだが少ないことを表します。

なぜ?なぜ力率は100%にならないことがあるのか?

コイルに流れる電流のように、行ったり来たりするだけで仕事をしない電流が混ざるからです。電線にはその電流も流れるのに、仕事には使われません。

全体の電流は6+8=14Aではなく10A

図の上を見ると、電源から出る電流は10Aと書かれています。抵抗に6A、コイルに8A流れているのに、合計は14Aではありません。

なぜ?なぜ6Aと8Aを足しても14Aにならないのか?

抵抗の電流とコイルの電流は流れるタイミングが4分の1周期ずれているからです。このずれは直角(90度)の関係として扱い、直角三角形の斜めの辺のように合わせます。√(6×6+8×8)=√100=10Aとなり、図の10Aと一致するのです。

並列回路の力率は「抵抗の電流÷全体の電流」

覚える並列回路の力率

力率=抵抗に流れる電流÷全体の電流

(同じ意味で)力率=消費電力÷(電圧×全体の電流)

なぜ?なぜ抵抗の電流を全体の電流で割ると力率になるのか?

並列回路では、抵抗にもコイルにも同じ24Vがかかっています。電気を仕事に使うのは抵抗だけなので、「全体の電流のうち、抵抗に流れる電流の割合」が、そのまま仕事に使われた割合になるからです。

1ステップずつ計算する

手順1 全体の電流は図より 10A(6Aと8Aの直角の合わせ方でも10A)

手順2 仕事をする電流(抵抗の電流)は 6A

手順3 力率 6÷10=0.6

手順4 %に直す 0.6×100=60%

例電力で確かめる

消費電力(抵抗が使う電力) 24V×6A=144W

電源が送り出す見かけの電力 24V×10A=240VA(VA=ボルトアンペア。見かけの電力の単位)

144÷240=0.6 → 60%で同じ答え

よって答えはロの60%です。

覚えるこの問題の覚え方

「並列の力率は、抵抗の電流÷全体の電流」。全体の電流は足し算ではなく、直角三角形(6・8・10)で合わせます。3・4・5や6・8・10の組み合わせは、計算問題で出てくることの多い形です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.43 … 電流を6+8=14Aと足し算してしまうと、6÷14=約0.43で43%になります。交流では足し算できません。

ニ.80 … コイルの電流8Aを使って8÷10=0.8としてしまった数字です。仕事をするのは抵抗の電流です。

ハ.75 … リアクタンス3Ωと抵抗4Ωを割り算(3÷4=0.75)してしまった数字です。力率は電流(または電力)の割合で考えます。

問5

分野:電気の基礎(三相交流・スター結線の電流)重要度 ★★★

図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問5 の回路図
イ.2.9
ロ.5.0
ハ.5.8
ニ.10.0
答え・解説を見る
正解

ハ.5.8[A]
この問題は何を聞いているの?

3本の電線で電気を送る「三相3線式」の回路に、20Ωの抵抗がY字の形につながっています。そのとき1本の電線に流れる電流Iを求める問題です。

用語三相3線式(さんそうさんせんしき)とは?

三相3線式とは、3本の電線を使い、タイミングを少しずつずらした3つの交流をまとめて送る方式のことです。図の左の「3φ3W」は、三相(3φ)・3線(3W)という意味です。工場やビルのモーターなどで使われます。

なぜ?なぜ3つの交流をずらして送るのか?

3つの波を3分の1周期ずつずらすと、合わせたときに電気の流れがなめらかになり、少ない電線で多くの電力を送れるからです。モーターを回すのにも向いています。

用語Y結線(スター結線)とは?

Y結線とは、3つの負荷(電気を使う物)の片方の端を1か所にまとめ、もう片方の端をそれぞれの電線につなぐ形のことです。形がアルファベットのYに似ているので、スター結線とも呼ばれます。

なぜ?なぜY結線では1つの抵抗に200Vがかからないのか?

電線と電線の間(200V)には、抵抗が2つ、中心を通ってつながっているからです。ただし2つの抵抗にかかる電圧はタイミングがずれているので、単純に半分の100Vにもなりません。200Vを√3(約1.73)で割った値が、1つの抵抗にかかる電圧になります。

用語√3(ルート3)とは?

√3とは、2回かけると3になる数のことで、約1.73です。問題の注意書きで√3=1.73を使うよう決められています。

なぜ?なぜ三相の計算に√3が出てくるのか?

3つの交流が3分の1周期(120度)ずつずれているため、2つの電圧の差を求めると、元の電圧の√3倍になるからです。逆に言えば、電線間の200Vから1つの抵抗の電圧を出すときは√3で割ります。

Y結線の電圧と電流の決まり

覚えるY結線(スター結線)の決まり

1つの抵抗にかかる電圧=電線間の電圧÷√3

電線に流れる電流=1つの抵抗に流れる電流(そのまま同じ)

なぜ?なぜY結線では電線の電流と抵抗の電流が同じなのか?

図を見ると、上の電線は20Ωの抵抗1つにまっすぐつながっていて、途中で分かれ道がないからです。1本道なので、電線を流れる電流Iは、そのまま20Ωにも流れます。

1ステップずつ計算する

手順1 1つの抵抗にかかる電圧 200÷1.73=約115.6V

手順2 1つの抵抗に流れる電流 115.6÷20=約5.78A(オームの法則:電流=電圧÷抵抗)

手順3 Y結線では電線の電流=抵抗の電流なので I=約5.78A

手順4 いちばん近い選択肢は 5.8A

よって答えはハの5.8Aです。まとめて書くと、200÷(1.73×20)=200÷34.6=約5.78Aです。

コツΔ(デルタ)結線との区別

抵抗が三角形(Δ)につながっている場合は、1つの抵抗に電線間の電圧200Vがそのままかかります。Y字なら÷√3、三角形ならそのままと、図の形を最初に見分けましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「Yは電圧を√3で割る、電流はそのまま」。200÷1.73≒115.6Vは三相の問題でくり返し出てくる数字なので、覚えておくと計算が速くなります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.10.0 … 1つの抵抗に200Vがそのままかかると考えた数字です。200÷20=10Aになります。これは三角形(Δ)結線の考え方です。

ロ.5.0 … 電線間の200Vに20Ωが2つ直列につながっていると考え、200÷40=5Aとした数字です。3本目の電線の影響を無視しています。

イ.2.9 … 誤りです。1つの抵抗にかかる電圧(約115.6V)を20Ωで割っているかを確かめましょう。

問6

分野:配電理論(単相2線式の電圧降下)重要度 ★★★

図のような単相2線式回路で,c-c′間の電圧が100 Vのとき,a-a′間の電圧[V]は。ただし,r1及びr2は電線の電気抵抗[Ω]とする。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問6 の回路図
イ.101
ロ.102
ハ.103
ニ.104
答え・解説を見る
正解

ロ.102[V]
この問題は何を聞いているの?

電源(左のa-a′)から、電線を通って2つの負荷に電気を送っています。いちばん奥のc-c′の電圧が100Vのとき、電源側のa-a′の電圧は何Vかを聞く問題です。電線にも少し抵抗があり、そこで電圧が減ることを逆にたどって計算します。

用語単相2線式(たんそうにせんしき)とは?

単相2線式とは、行きと帰りの2本の電線で交流を送る方式のことです。図の左の「1φ2W」は、単相(1φ)・2線(2W)という意味。家庭用コンセントの100Vの回路がこの形です。

なぜ?なぜ電線が2本必要なのか?

電気は電源から出て、負荷を通り、電源に戻ってこないと流れないからです。上の電線が「行き」、下の電線が「帰り」の道になります。

用語負荷(ふか)とは?

負荷とは、電気を使う物のことです。図の「抵抗負荷」は、電熱器のように電気を熱に変えて使う物を表しています。

なぜ?なぜ問題文では「抵抗負荷」と書いてあるのか?

抵抗負荷なら、コイルのような電流のタイミングのずれ(問4のような話)を考えなくてよいからです。電圧の減り方を、直流と同じ単純な計算で求められます。

用語電圧降下(でんあつこうか)とは?

電圧降下とは、電線の抵抗に電流が流れることで、電圧が少しずつ減っていくことです。減る量は電流×電線の抵抗(オームの法則)で求めます。

なぜ?なぜ電線にも抵抗があるのか?

電線は銅などの電気を通しやすい金属でできていますが、抵抗がまったくない金属はないからです。図のr1=0.05Ω、r2=0.1Ωは、その電線の小さな抵抗を表しています。

どの電線に何A流れているかを読む

b-b′の負荷に5A、c-c′の負荷に5A流れています。r2の電線はc側の負荷だけに電気を送るので5Aです。r1の電線は2つの負荷の両方に電気を送るので、5+5=10Aが流れます。

なぜ?なぜr₁の電線には10Aが流れるのか?

電源からb点までの電線は、b側の負荷の分とc側の負荷の分を、まとめて運んでいるからです。b点で5Aがb側の負荷へ分かれ、残りの5Aがc側へ進みます。

なぜ?なぜ行きと帰りの2本ぶんの電圧降下を足すのか?

電流は上の電線を行き、下の電線を帰るので、両方の電線で電圧が減るからです。図でも上下の電線にそれぞれr1・r2が描かれています。

奥(c-c′)から電源側へ、1ステップずつたどる

手順1 r2の電線1本の電圧降下 5×0.1=0.5V

手順2 行きと帰りの2本ぶん 0.5×2=1V

手順3 b-b′間の電圧 100+1=101V

手順4 r1の電線1本の電圧降下 10×0.05=0.5V

手順5 行きと帰りの2本ぶん 0.5×2=1V

手順6 a-a′間の電圧 101+1=102V

よって答えはロの102Vです。

なぜ?なぜ電源側に向かって電圧を「足していく」のか?

電気は電源(a-a′)から送られ、電線を通るたびに電圧が減って、最後にc-c′で100Vになりました。減ったあとの値から元の値を求めるので、逆向きにたどるときは減った分を足し戻すことになります。

覚えるこの問題の覚え方

「奥から順に、電線の電流×抵抗×2本を足し戻す」。手前の電線ほど、奥の負荷の電流もまとめて運ぶので電流が大きくなる点に注意しましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.101 … b-b′間の電圧で止めてしまった数字です。聞かれているのは、さらに電源側のa-a′間です。

ハ.103/ニ.104 … どちらも誤りです。r1に10A、r2に5Aが流れていることと、行き・帰りの2本ぶんを足していることを確かめましょう。

問7

分野:配電理論(単相3線式の中性線断線)重要度 ★★★

図のような単相3線式回路において,消費電力100 W,200 Wの2つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の×印点で断線した場合,a-b間の電圧[V]は。ただし,断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問7 の回路図
イ.67
ロ.100
ハ.133
ニ.150
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正解

ハ.133[V]
この問題は何を聞いているの?

3本の電線で100Vと200Vを送る「単相3線式」で、まん中の電線が×印の所で切れた(断線した)ときに、上の負荷(100Ω)にかかる電圧が何Vになるかを聞いています。

用語単相3線式(たんそうさんせんしき)とは?

単相3線式とは、3本の電線で、100Vと200Vの両方を取り出せるようにした方式のことです。図の左の「1φ3W」は、単相(1φ)・3線(3W)という意味です。多くの住宅では、この方式で電気が引き込まれています。

なぜ?なぜ3本の電線で100Vと200Vの両方が使えるのか?

まん中の電線(中性線)と上の電線の間が100V、中性線と下の電線の間も100V、上と下の電線の間は合わせて200Vになるように作られているからです。照明やコンセントには100V、大きなエアコンなどには200Vを使えます。

用語中性線(ちゅうせいせん)とは?

中性線とは、単相3線式のまん中の電線のことです。上の負荷と下の負荷の両方の「共通の帰り道」になり、それぞれの負荷に100Vずつがかかるように支える役目をしています。

なぜ?なぜ中性線が切れると危険なのか?

支えがなくなり、上下の負荷が200Vの間に1本道(直列)でつながった形になるからです。すると200Vを抵抗の大きさの割合で分け合うことになり、片方の負荷に100Vより高い電圧がかかってしまいます。

用語断線(だんせん)とは?

断線とは、電線が切れて電気が通らなくなることです。この問題では、図の×印の所で中性線が切れたと考えます。

なぜ?なぜ「断線によって負荷の抵抗値は変化しない」と書いてあるのか?

計算を100Ωと50Ωのままで進められるようにするためです。実際の器具は温度などで抵抗が変わることがありますが、試験ではその影響を考えない約束にしています。

断線すると、100Ωと50Ωの直列に200Vがかかる

中性線が切れると、電気は上の電線 → 100Ω → b点 → 50Ω → 下の電線という1本道でしか流れられません。つまり、200Vの電源に100Ωと50Ωが直列につながった回路になります。

なぜ?なぜ直列では抵抗の大きいほうに大きな電圧がかかるのか?

直列の抵抗には同じ電流が流れ、使われる電圧は電流×抵抗で決まるからです。電流が同じなら、抵抗が大きいほど電圧も大きくなります。

1ステップずつ計算する

手順1 直列の合成抵抗 100+50=150Ω

手順2 流れる電流 200÷150=約1.33A(3分の4A)

手順3 a-b間(100Ω)の電圧 1.33×100=約133V

手順4 (確かめ)b-下の電線間(50Ω)の電圧 1.33×50=約67V。133+67=200Vで合う

よって答えはハの133Vです。割合で考えると、200Vを100:50=2:1で分けるので、100Ω側は200×2÷3=約133Vです。

なぜ?なぜ消費電力の小さい100Wの負荷のほうが高い電圧を受けるのか?

同じ100Vで使うとき、消費電力が小さい器具ほど抵抗が大きいからです。100Wの負荷は100Ω、200Wの負荷は50Ωです。直列では抵抗の大きい側が大きな電圧を受け持つので、小さな器具ほど高い電圧にさらされます。

注意中性線の断線が危険な理由

133Vは、100V用の器具にとって決められた電圧より3割以上高い状態です。器具がこわれたり、発熱したりするおそれがあります。

覚えるこの問題の覚え方

「中性線が切れたら、上下の負荷は200Vの直列」。抵抗の大きい(消費電力の小さい)側に、100Vより大きな電圧がかかります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.67 … 50Ωの負荷側の電圧(1.33×50=約67V)を答えてしまった数字です。a-b間は100Ωの負荷の電圧です。

ロ.100 … 断線しても100Vのままと考えた答えです。中性線が切れると、上下の負荷は200Vを分け合う形に変わります。

ニ.150 … 誤りです。200Vを100Ωと50Ωの割合(2:1)で分けていることを確かめましょう。

問8

分野:配線設計(電線の許容電流と電流減少係数)重要度 ★★★

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径1.6 mmの600Vビニル絶縁電線(軟銅線)6本を収めて施設した場合,電線1本当たりの許容電流[A]は。ただし,周囲温度は30℃以下,電流減少係数は0.56とする。

イ.15
ロ.19
ハ.20
ニ.27
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正解

イ.15[A]
この問題は何を聞いているの?

直径1.6mmの電線を金属の管の中に6本まとめて入れたとき、1本あたり何Aまで流してよいかを聞いています。電線1本だけのときの値を覚えておき、それに電流減少係数をかけるのが解き方です。

用語600Vビニル絶縁電線(IV)とは?

600Vビニル絶縁電線とは、銅の線を、ビニルの皮(絶縁物)で1重に包んだ電線のことです。略してIV(アイブイ)と呼びます。IはIndoor(屋内)、VはVinyl(ビニル)の頭文字です。

なぜ?なぜ電線をビニルで包むのか?

ビニルは電気を通さないからです。銅がむき出しだと、人がふれて感電したり、ほかの金属にふれて電気がもれたりします。電気を通さない物で包むことを「絶縁」というのです。

用語軟銅線(なんどうせん)とは?

軟銅線とは、熱を加えてやわらかくした銅の線のことです。曲げやすいので、建物の中の配線に広く使われます。

なぜ?なぜ問題文に「軟銅線」と書いてあるのか?

同じ太さでも、材料によって流してよい電流の値が変わるからです。このあと使う「1.6mmで27A」という値は、軟銅線の場合の値です。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

許容電流とは、電線に安全に流し続けてよい電流の上限のことです。単位はA(アンペア)です。

なぜ?なぜ電線に流してよい電流に上限があるのか?

電線にも小さな抵抗があり、電流が流れると熱が出るからです。流しすぎると熱でビニルの皮が傷み、電気がもれたり火災の原因になったりします。

覚えるIV電線(軟銅線)の許容電流(周囲温度30℃以下)

直径1.6mm … 27A

直径2.0mm … 35A

直径2.6mm … 48A

用語電流減少係数とは?

電流減少係数とは、管の中に何本も電線をまとめて入れたときに、許容電流を減らすためにかける数のことです。この問題では0.56と与えられています。

なぜ?なぜ管に電線をまとめて入れると許容電流を減らすのか?

管の中は熱がこもりやすく、電線どうしの熱も重なるからです。満員電車の中が暑くなるのと同じで、本数が多いほど熱が逃げにくくなります。そこで、1本あたりに流す電流を少なめにするのです。

例電流減少係数の表(同じ管に入れる電線の本数)

3本以下 … 0.70

4本 … 0.63

5〜6本 … 0.56

7〜15本 … 0.49

この問題は6本なので0.56です(問題文にも書かれています)。

1ステップずつ計算する

手順1 直径1.6mmのIV電線1本の許容電流は 27A

手順2 6本まとめて入れるので、電流減少係数0.56をかける

手順3 27×0.56=15.12A

手順4 いちばん近い選択肢は 15A(15.12に最も近い値)

よって答えはイの15Aです。

なぜ?なぜ「27A」は問題文に書かれていないのか?

1.6mm=27Aのような電線1本の許容電流は、覚えておく前提の数字として出題されているからです。この問題で与えられるのは電流減少係数だけです。

覚えるこの問題の覚え方

「1.6mm=27A、2.0mm=35A」に、本数ごとの係数をかける。1.6mmなら27×0.56=約15A、2.0mmなら35×0.56=約19.6Aです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.27 … 電流減少係数をかけ忘れた数字です。管に6本まとめて入れているので、0.56をかけます。

ロ.19 … 誤りです。1.6mmの許容電流27Aに0.56をかけて約15Aになることを確かめましょう。

ハ.20 … 直径2.0mm(35A)の値を使った数字です。35×0.56=19.6で、20が近くなります。問題の電線は1.6mmです。

問9

分野:配線設計(幹線から分岐する電線の太さと長さ)重要度 ★★★

図のように,定格電流100 Aの配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線からVVRケーブルで低圧屋内電路を分岐する場合,a-b間の長さLと電線の太さAの組合せとして,不適切なものは。ただし,VVRケーブルの太さと許容電流の関係は表のとおりとする。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問9 の回路図と許容電流の表
イ.L:1 m A:2.0 mm
ロ.L:2 m A:5.5 mm2
ハ.L:10 m A:8 mm2
ニ.L:15 m A:14 mm2
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正解

ハ.L:10 m A:8 mm2
この問題は何を聞いているの?

太い電線(幹線)から細い電線を枝分かれさせるとき、枝分かれした所(a)から次のブレーカー(b)までの長さLと、その間の電線の太さAの組み合わせのうち、決まりに合わないものを選ぶ問題です。「不適切なもの」を選ぶ点に注意しましょう。

用語幹線(かんせん)とは?

幹線とは、電気の引込口から、各部屋への分かれ道までをつなぐ太い電線のことです。木の「幹」のように、多くの電気をまとめて運びます。

なぜ?なぜ幹線から細い電線を分けるときに決まりがあるのか?

幹線を守るブレーカーは100Aなので、細い電線で事故が起きても、100Aを超えるまでは電気が止まらないからです。細い電線にとっては流れすぎの状態が続き、熱で傷むおそれがあります。

用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?

配線用遮断器とは、決められた以上の電流が流れたときに、自動で電気を止める装置のことです。家庭の分電盤にあるブレーカーがこれです。図のBの四角が配線用遮断器を表します。

なぜ?なぜ配線用遮断器は電線を守ることになるのか?

電線は流れすぎると熱を持ちます。その前に配線用遮断器が電気を止めれば、電線が熱くなりすぎるのを防げるからです。

用語VVRケーブルとは?

VVRケーブルとは、ビニルで絶縁した電線を何本かまとめ、さらにビニルの外装で包んだ、断面が丸いケーブルのことです。名前の最後のRはRound(丸い)の頭文字です。

なぜ?なぜこの問題では電線の許容電流が表で与えられているのか?

ケーブルの種類によって許容電流が違うため、計算に使う値を受験者の間でそろえるためです。表の値(2.0mm=24A、5.5mm²=34A、8mm²=42A、14mm²=61A)をそのまま使います。

分岐の長さで、必要な許容電流が変わる

覚える幹線から分岐するときの決まり(幹線の遮断器の定格電流に対して)

3m以下 … 電線の太さの制限なし

3mを超え8m以下 … 許容電流が35%以上

8mを超える … 許容電流が55%以上

なぜ?なぜ分岐する長さが長いほど太い電線が必要になるのか?

短い電線なら、傷みや事故が起きる場所が限られ、点検もしやすいからです。長くなるほど細い電線が守られないまま続く範囲が広がるので、より多くの電流に耐えられる太い電線が求められます。

100Aの35%と55%を出す

手順1 35% 100×0.35=35A(3mを超え8m以下のとき)

手順2 55% 100×0.55=55A(8mを超えるとき)

選択肢を1つずつ確かめる

手順1 イ.1m・2.0mm(24A) → 3m以下なので太さの制限なし。適切

手順2 ロ.2m・5.5mm²(34A) → 3m以下なので太さの制限なし。適切

手順3 ハ.10m・8mm²(42A) → 8mを超えるので55A以上が必要。42Aでは足りない。不適切

手順4 ニ.15m・14mm²(61A) → 8mを超えるので55A以上が必要。61Aなので適切

よって不適切なものはハです。

なぜ?なぜ24Aや34Aのような細い電線でも、3m以下ならよいのか?

3m以下の短い区間なら、すぐ先の配線用遮断器(b)がその先の電線を守り、細い電線の区間はごく短く済むからです。そのため、この区間には太さの決まりがありません。

覚えるこの問題の覚え方

「3m・8mで区切って、0%・35%・55%」。まず長さで区分を決め、幹線のブレーカーの定格電流にその割合をかけて、電線の許容電流と比べます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.1m・2.0mm/ロ.2m・5.5mm² … 3m以下でも35%の決まりを当てはめると、24Aや34Aは35Aに足りないので不適切に見えます。3m以下は太さの制限がないので、どちらも適切です。

ニ.15m・14mm² … 15mと長いので不適切に見えますが、8mを超える区間に必要な55Aに対し、14mm²は61Aあるので適切です。

問10

分野:配線設計(分岐回路の遮断器・電線・コンセント)重要度 ★★★

低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,不適切なものは。ただし,分岐点から配線用遮断器までは3 m,配線用遮断器からコンセントまでは8 mとし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午後 問10 の選択肢の図
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正解

ロ.30 Aの配線用遮断器・2.0 mm・30 Aのコンセント2個
この問題は何を聞いているの?

ブレーカー(配線用遮断器)の大きさに対して、電線の太さとコンセントの定格電流の組み合わせが決まりに合っているかを見る問題です。4つの図のうち、決まりに合わないものを1つ選びます。

4つの図は、上から配線用遮断器の大きさ → 電線の太さ → コンセントの順に読みます。イ.20A・1.6mm・15Aのコンセント2個 ロ.30A・2.0mm・30Aのコンセント2個 ハ.20A・2.0mm・20Aのコンセント3個 ニ.40A・8mm²・30Aのコンセント1個です。

用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?

分岐回路とは、分電盤のブレーカーから、コンセントや照明までつながる1本1本の配線のことです。家の分電盤に小さなブレーカーが何個も並んでいるのは、分岐回路ごとに1つずつ付いているためです。

なぜ?なぜ分岐回路ごとにブレーカーを付けるのか?

1つの回路で使いすぎや事故があっても、その回路だけを止めれば済むからです。家全体の電気が止まらずに済みます。

用語コンセントの定格電流とは?

コンセントの定格電流とは、そのコンセントで安全に使える電流の上限のことです。家庭でよく見るコンセントは15Aのものが多く、形の違う20A・30Aなどのコンセントもあります。

なぜ?なぜブレーカーの大きさによって使えるコンセントが決まっているのか?

ブレーカーが大きすぎると、コンセントの上限を超える電流が流れても電気が止まらないからです。逆に、大きな電流用の回路に小さなコンセントを付けると、そのコンセントに見合わない使い方をされるおそれがあります。

用語兼用コンセントとは?

兼用コンセントとは、15Aと20Aの両方の差込プラグを差せる形のコンセントのことです。問題文では「兼用コンセントではない」と決めて、図に書かれた定格電流だけで判断するようにしています。

なぜ?なぜ問題文でわざわざ兼用コンセントを外しているのか?

兼用コンセントかどうかで当てはめる決まりが変わり、答えがぶれるのを防ぐためです。

覚える分岐回路の決まり(ブレーカー・電線・コンセント)

20Aの配線用遮断器 … 電線1.6mm以上、コンセント20A以下

30Aの配線用遮断器 … 電線2.6mm(5.5mm²)以上、コンセント20A以上30A以下

40Aの配線用遮断器 … 電線8mm²以上、コンセント30A以上40A以下

なぜ?なぜブレーカーが大きいほど電線を太くするのか?

ブレーカーが大きいと、止まるまでに流れる電流も大きくなるからです。その電流が流れても熱くなりすぎないよう、それに見合う太さの電線が必要になります。

選択肢を1つずつ確かめる

手順1 イ.20A・1.6mm・15Aコンセント → 1.6mm以上で、15Aは20A以下。適切

手順2 ロ.30A・2.0mm・30Aコンセント → 30Aには2.6mm以上が必要。2.0mmでは細すぎるので不適切

手順3 ハ.20A・2.0mm・20Aコンセント → 2.0mmは1.6mm以上で、20Aは20A以下。適切

手順4 ニ.40A・8mm²・30Aコンセント → 8mm²以上で、30Aは30A以上40A以下。適切

よって不適切なものはロです。コンセントは30Aで合っていますが、電線の太さが決まりに足りません。

なぜ?なぜコンセントの個数(2個・3個・1個)は判断に関係しないのか?

この決まりは、ブレーカーの大きさに対する電線の太さとコンセントの定格電流を定めたもので、1つの分岐回路に付けるコンセントの個数は条件に入っていないからです。

覚えるこの問題の覚え方

「20A=1.6mm、30A=2.6mm、40A=8mm²」を表で覚えます。コンセントは20Aなら20A以下、30Aなら20〜30A、40Aなら30〜40Aです。電線とコンセントの両方を確かめましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.20A・1.6mm・15Aコンセント … ブレーカーが20Aなのにコンセントが15Aなので不適切に見えますが、20Aの回路のコンセントは20A以下でよいので適切です。

ニ.40A・8mm²・30Aコンセント … 40Aの回路に30Aのコンセントは小さく見えますが、40Aの回路は30A以上40A以下でよいので適切です。

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この記事のまとめ

問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。

まとめこの10問で持ち帰ること

問1 並列と直列の消費電力 … 20Ωと30Ωの並列は600÷50=12Ω。全体20Ωで10A、8Ωの電力は10×10×8=800W

問2 電線の太さと抵抗 … 直径2.6mmは1.3×1.3×3.14=約5.3mm²。同じ長さの5.5mm²が近い

問3 発熱量 … 1時間20分=4 800秒。400×4 800=1 920 000J=1 920kJ

問4 並列回路の力率 … 抵抗の電流÷全体の電流。6÷10=60%(6+8=14とは足さない)

問5 スター結線の電流 … 1つの抵抗の電圧は200÷√3=約115.6V。÷20Ωで約5.8A

問6 電圧降下 … 奥から足し戻す。5A×0.1×2=1V、10A×0.05×2=1Vで102V

問7 中性線の断線 … 100Ωと50Ωが200Vの直列に。100Ω側は200×2÷3=約133V

問8 許容電流 … 1.6mm=27A。6本なので0.56をかけて約15A

問9 幹線からの分岐 … 3m以下は制限なし、8mまで35%、8m超は55%。10mで42A<55Aが不適切

問10 分岐回路 … 20A=1.6mm・30A=2.6mm・40A=8mm²。30Aに2.0mmは細すぎる

前半の問1〜7は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流×電流×抵抗)を、回路の形に合わせて使い分ける問題でした。後半の問8〜10は、許容電流の表や配線の決まりに当てはめる問題です。新しい式を増やすより、基本の2本の式と、覚える表の数字に慣れることが近道になるでしょう。

出典

令和3年度上期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

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▶ 問11〜20
材料・工具と電動機(ねじなしボックスコネクタ・IV電線の最高許容温度・コンクリート壁への金属管の取付け・誘導電動機の回転速度・進相コンデンサ・写真の材料と器具・電線の接続・工事の方法)

▶ 問21〜30
施工・検査・法令(パイロットランプの回路・D種接地工事の省略・電流減少係数・測定器・絶縁抵抗計・接地抵抗値と絶縁抵抗値・アナログ計器とディジタル計器・電気工事士法・電気用品安全法・電圧の区分)

▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(引込線の高さ・使用できない電線・図記号の名称・遮断器の定格電流・接地抵抗・最少電線本数など)

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(漏電遮断器・リングスリーブと差込形コネクタ・ケーブル・電線管の工具と材料・コンセントとスイッチなど)

用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから

▶ W・Wh・Jの違い
電力・電力量・熱量

▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
配線方式のちがい

▶ 配線図の図記号の読み方
スイッチ・コンセント・照明の記号

▶ 電線とケーブルの種類・許容電流
VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

▶ 電線管の種類と配線工事
金属管・VE・PF・CD管のちがいと付属品

▶ 幹線と分岐回路の決まり
幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する