第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和4年度 下期・午前(2022年10月30日実施)の問1〜10です。
問1〜問10には計算問題と電気の基礎がまとまって出てきます。「公式を覚えていないから無理」と感じる人も少なくありませんが、土台になる式はオームの法則と電力の式がほとんどです。この記事では、その式がどうしてそうなるのか、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開けば答えと考え方が分かる、という作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和4年度下期第二種電気工事士試験(午前)
問1
分野:電気の基礎(直流回路の合成抵抗)重要度 ★★★
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この問題は何を聞いているの?
図の左にある16Vの電池から出ていく電流 I が何アンペアか、という問題です。電池の右側には抵抗が5つ、はしごのような形に組まれています。5つの抵抗を「1つの抵抗」にまとめられれば、あとは割り算1回で答えにたどり着けるでしょう。まず、出てくる言葉を1つずつ確認しましょう。
用語電流[A]とは?
電線の中を流れる電気の量のことです。単位はA(アンペア)。図の左上にある上向きの矢印と「I[A]」が、この問題で求める電流を表しています。
なぜ?なぜ電流を「水の量」に例えるのか?
水道管を流れる水と同じように、電気も電線の中を流れていくものだからです。蛇口から1秒間に出てくる水の量が多いほど勢いよく流れるのと同じで、電流が大きいほどたくさんの電気が流れていることになります。
用語電圧[V]とは?
電圧とは、電気を押し出す力の強さのことです。単位はV(ボルト)。図の「16V」と書かれた記号(長い線と短い線が並んだもの)が電池で、16Vの力で電気を押し出しています。
なぜ?なぜ電池の記号は長い線と短い線なのか?
電池のプラス側を長い線、マイナス側を短い線で描く決まりがあるからです。この問題では電池の向きを気にしなくても答えは出せるので、「ここが16Vの電源」とだけ分かれば十分。
用語抵抗[Ω]とは?
抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)。図の細長い長方形が抵抗で、横向きに2Ωが2つ、縦向きに4Ωが3つです。
なぜ?なぜ電気に「流れにくさ」があるのか?
ホースの途中にスポンジが詰まっていると水が通りにくくなるのと同じで、部品の中には電気の通り道を邪魔するものがあります。その邪魔の度合いを数字にしたものが抵抗です。数字が大きいほど流れにくくなります。
用語合成抵抗(ごうせいていこう)とは?
合成抵抗とは、いくつもの抵抗を、同じ働きをする1つの抵抗に置きかえたときの値のことです。この問題は、5つの抵抗の合成抵抗を出すことが中心になります。
なぜ?なぜ1つにまとめる必要があるのか?
電流を求める式「電流=電圧÷抵抗」は、抵抗が1つのときにそのまま使えるからです。5つのままでは式に入れる数字が決まりません。1つにまとめれば、16Vをその値で割るだけになります。
まとめ方は「直列」と「並列」の2種類だけ
抵抗のつながり方は、1本道に並ぶ「直列」と、道が枝分かれして横に並ぶ「並列」の2種類です。この図はこの2つが組み合わさっているだけなので、2つの計算方法を知っていれば解けます。
用語直列(ちょくれつ)とは?
直列とは、抵抗が1本道に順番に並んでいるつなぎ方のことです。直列の抵抗は足し算で1つにまとめます。例えば2Ωと2Ωの直列なら、2+2=4Ωです。
なぜ?なぜ直列だと足し算になるのか?
1本道なので、電気はどの抵抗の邪魔も順番に全部受けるからです。スポンジを2個続けて詰めたホースは、1個のときより通りにくくなります。邪魔が積み重なるので、数字も足し算です。
用語並列(へいれつ)とは?
並列とは、道が枝分かれして、抵抗が横に並んでいるつなぎ方のことです。同じ大きさの抵抗が2つ並列なら、半分になります。例えば4Ωと4Ωの並列なら、4÷2=2Ωです。
なぜ?なぜ並列だと抵抗が小さくなるのか?
道が2本に増えると、電気の通り道が広がるからです。改札口が1つから2つに増えると、同じ人数でもスムーズに通れます。通り道が増えるほど流れやすくなるので、まとめた抵抗は元の1本より小さくなるのです。
コツ違う大きさの2つが並列のときの式
大きさが違う2つの抵抗の並列は、「かけ算÷足し算」で求めます。例えば4Ωと4Ωなら、(4×4)÷(4+4)=16÷8=2Ω。同じ大きさのときに「半分」になるのと、同じ答えになります。
いちばん右から順にまとめていく
はしご形の回路は、電池からいちばん遠い右はしからまとめていくのがコツです。右から1段ずつ「並列→直列→並列→直列」とたたんでいくと、最後に1つの抵抗だけが残ります。
なぜ?なぜ右はしから計算するのか?
右はしの4Ωは、真ん中の4Ωと同じ2つの点(上の線と下の線)にはさまれているからです。ここは並列だとすぐ分かるでしょう。形がはっきりしているところからまとめていくと、残りの形も順に見えてきます。
手順1 いちばん右の4Ωと、その左の縦の4Ωは並列。同じ大きさなので半分 = 4 ÷ 2 = 2Ω
手順2 その2Ωと、上の線の右側の2Ωは直列(1本道でつながる)。足し算 = 2 + 2 = 4Ω
手順3 その4Ωと、左の縦の4Ωは並列。同じ大きさなので半分 = 4 ÷ 2 = 2Ω
手順4 その2Ωと、上の線の左側の2Ωは直列。足し算 = 2 + 2 = 4Ω(これが全体の合成抵抗)
手順5 電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 16 ÷ 4 = 4A
用語オームの法則とは?
オームの法則とは、電圧=電流×抵抗(V=I×R)という関係のことです。電流を知りたいときは、形を変えて電流=電圧÷抵抗として使います。
なぜ?なぜ電圧を抵抗で割ると電流になるのか?
押す力(電圧)が強いほど電流は増え、流れにくさ(抵抗)が大きいほど電流は減るからです。強く押すほど多く、邪魔が大きいほど少なくという関係を式にすると、電圧÷抵抗になります。16Vで押して4Ωの邪魔なら、16÷4=4Aです。
よって答えはハの4Aです。
覚えるこの問題の覚え方
はしご形は「右から、たたむ」。右はしの2本は並列で半分、すぐ左の横向きの抵抗は直列で足し算。「半分→足す→半分→足す」をくり返すと、この図ではちょうど4Ωにまとまります。4Ωが2本並んで2Ω、そこに2Ωを足してまた4Ω、という同じ形のくり返しになっているのがこの問題のしかけです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.1 … 5つの抵抗を全部足してしまった人が選びやすい数字です。2+2+4+4+4=16Ωと考えると、16÷16=1Aになります。縦の4Ωは並列なので、足し算はできません。
ニ.8 … 右側をまとめた2Ωだけで割り、左上の2Ωを最後に足し忘れた人が選びやすい数字です。16÷2=8Aになります。手順4の足し算まで終えてから割りましょう。
ロ.2 … 誤りです。右はしから「並列なら半分、直列なら足し算」を1段ずつ進めれば、合成抵抗4Ω・電流4Aにたどり着けます。
問2
分野:電気の基礎(電線の抵抗と許容電流)重要度 ★★★
ビニル絶縁電線(単線)の抵抗又は許容電流に関する記述として,誤っているものは。
イ.許容電流は,周囲の温度が上昇すると,大きくなる。
ロ.許容電流は,導体の直径が大きくなると,大きくなる。
ハ.電線の抵抗は,導体の長さに比例する。
ニ.電線の抵抗は,導体の直径の2乗に反比例する。
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正解
イ.許容電流は,周囲の温度が上昇すると,大きくなる。
この問題は何を聞いているの?
電線の抵抗(電気の流れにくさ)と許容電流(流してよい電流の上限)について、4つの文のうちまちがっているものを1つ選ぶ問題です。計算はありません。「何が大きくなると、どちらに変わるか」の向きを1つずつ確かめれば解けます。
用語ビニル絶縁電線(単線)とは?
ビニル絶縁電線とは、銅の線のまわりをビニルで包んだ電線のことです。「単線」は、中の銅が1本の太い線でできているという意味です。中の銅の部分を導体(どうたい)と呼びます。
なぜ?なぜ銅の線をビニルで包むのか?
銅がむき出しだと、人がさわって感電したり、ほかの線とふれて火花が出たりするからです。ビニルは電気をほとんど通さないので、電気を銅の中だけに閉じこめる役目です。電気を通さないもので包むことを「絶縁(ぜつえん)」といいます。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
許容電流とは、その電線に流し続けてもよい電流の上限のことです。単位はA(アンペア)。例えば直径1.6mmのビニル絶縁電線なら27Aが許容電流とされています。
なぜ?なぜ電線に流してよい電流の上限があるのか?
電線に電流が流れると、電線の抵抗のせいで熱が出るからです。流す電流が大きいほど熱も大きくなり、熱くなりすぎるとまわりのビニルが傷み、やがて溶けたり燃えたりするおそれがあります。ビニルが耐えられる温度を超えないように決めた上限が、許容電流です。
イ:まわりが暑いと、許容電流は「小さく」なる
イは「周囲の温度が上がると、許容電流は大きくなる」と書いています。これがまちがいです。正しくは、まわりが暑くなるほど許容電流は小さくなります。
なぜ?なぜまわりが暑いと流せる電流が減るのか?
ビニルが耐えられる温度の上限は決まっているので、まわりが最初から暑いと、電流の熱で上がってよい分が少なくなるからです。お風呂に例えると、もともと40℃のお湯は、20℃の水より少し温めただけで熱くなりすぎます。スタートの温度が高いほど、余裕が小さいということです。
ロ・ハ・ニは正しい文
残りの3つは、すべて正しい文です。1つずつ理由を確かめておきましょう。
なぜ?なぜ太い電線ほど許容電流が大きいのか?
太い電線ほど抵抗が小さく、同じ電流を流しても出る熱が少ないからです。表面積も大きく、熱を外へ逃がしやすいという理由もあります。だから太い電線ほど、多くの電流を流せるのです。ロは正しい文といえます。
なぜ?なぜ電線が長いほど抵抗が大きくなるのか?
電気が通る道が長くなるほど、邪魔を受ける距離も長くなるからです。長さが2倍なら抵抗も2倍、3倍なら3倍です。このように一方が2倍になるともう一方も2倍になる関係を「比例(ひれい)」といいます。ハは正しい文です。
用語「直径の2乗に反比例」とは?(ニ)
「反比例」とは、一方が2倍になると、もう一方が2分の1になる関係のことです。「直径の2乗に反比例」は、直径が2倍になると、抵抗は2×2=4で4分の1になる、という意味になります。
なぜ?なぜ直径の「2乗」が効くのか?
電気が通るのは電線の切り口(断面)の広さで、その面積は直径×直径に比例するからです。直径が2倍になると、切り口の円は縦にも横にも2倍になるので、面積は4倍。道幅が4倍になれば、抵抗は4分の1です。例えば直径1mmで8Ωの電線を直径2mmにすると、8÷4=2Ωになります。ニは正しい文です。
よって誤っているものはイです。
覚えるこの問題の覚え方
許容電流は「熱との戦い」と考えると、向きをまちがえにくくなります。熱が出にくい(太い)→多く流せる。熱が逃げにくい(まわりが暑い)→少ししか流せない。抵抗のほうは「長いほど大きい・太いほど小さい(直径は2乗で効く)」と、道の長さと道幅で考えます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ … 「2乗」という言葉に引っかかって、まちがいだと思った人が選びやすい選択肢です。抵抗は切り口の面積に反比例し、面積は直径の2乗に比例するので、ニは正しい文です。
ロ・ハ … どちらも正しい文です。太いほど流せる、長いほど流れにくい、という向きを確かめましょう。
問3
分野:電気の基礎(電力量と熱量)重要度 ★★☆
電熱器により,90 kgの水の温度を20 K上昇させるのに必要な電力量[kW・h]は。
ただし,水の比熱は4.2 kJ/(kg・K)とし,熱効率は100 %とする。
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この問題は何を聞いているの?
電気で水を温める道具(電熱器)を使って、90kgの水を20度温めるのに、電気をどれだけ使うかを聞いています。答えの単位はkW・h(キロワット時)です。①水を温めるのに要る熱の量を出す→②その熱の量をkW・hに直す、の2段階で解きます。
用語電力量[kW・h]とは?
電力量とは、使った電気の合計の量のことです。kW・h(キロワット時)は「1kWの電気を1時間使ったときの量」を1とする単位で、電気料金の明細にも使われています。
なぜ?なぜ「キロワット」に「時間」をかけるのか?
電気の使う勢い(kW)が同じでも、長く使うほど合計の量は増えるからです。蛇口から1分に10Lの水を出し続けると、2分で20L、3分で30Lたまるでしょう。電気も同じで、勢い×時間=合計の量になります。
用語比熱(ひねつ)4.2kJ/(kg・K)とは?
比熱とは、1kgのものを1度温めるのに必要な熱の量のことです。水の比熱が4.2kJ/(kg・K)というのは、水1kgを1度温めるには4.2kJの熱が要るという意味です。kJ(キロジュール)は熱の量の単位で、1kJ=1,000J。
なぜ?なぜ温めるものの重さと温度差をかけ算するのか?
1kgを1度温めるのに4.2kJなら、2kgなら2倍、2度なら2倍の熱が要るからです。やかん1杯より風呂おけ1杯のお湯を沸かすほうが時間がかかるのと同じです。だから熱の量=比熱×重さ×温度差で求めます。
用語K(ケルビン)とは?
K(ケルビン)とは、温度の単位の1つです。温度の「差」を表すときは、1K=1℃と同じと考えてかまいません。「20K上昇」は「20℃上がる」という意味です。
なぜ?なぜ℃ではなくKで書いてあるのか?
理科や工学では、温度の差を表すときにKを使う決まりになっていることが多いからです。目盛りの間隔は℃と同じなので、20Kの上昇=20℃の上昇として計算してかまいません。
用語熱効率100%とは?
熱効率100%とは、使った電気が、むだなく全部お湯を温める熱になるという条件を指します。
なぜ?なぜ熱効率100%という条件が付いているのか?
実際の電熱器では、熱の一部がまわりの空気などに逃げてしまうからです。逃げる分まで考えると計算が決まらないので、「逃げる熱はない」と決めて、計算を簡単にしているのです。
いちばんの山場は「kJ」を「kW・h」に直すところ
熱の量はkJで出てきますが、答えはkW・hで聞かれています。この2つを結ぶのが「1kW・h=3,600kJ」という関係です。ここを覚えていれば、あとは割り算1回で済みます。
なぜ?なぜ1kW・hが3,600kJになるのか?
1Wの電気を1秒使うと1Jの熱になると決められているからです。1kWを1秒なら1kJ。1時間は60分×60秒=3,600秒なので、1kWを1時間使えば3,600kJになります。
手順1 水を温める熱の量 = 比熱 × 重さ × 温度差 = 4.2 × 90 × 20
手順2 4.2 × 90 = 378。378 × 20 = 7,560kJ(水90kgを20度上げるのに要る熱)
手順3 熱効率100%なので、必要な電気もそのまま 7,560kJ
手順4 kW・hに直す = 7,560 ÷ 3,600 = 2.1kW・h
よって答えはハの2.1kW・hです。
コツ7,560÷3,600を楽に計算するには
両方を360で割ると、7,560÷360=21、3,600÷360=10 になります。21÷10=2.1。電卓が使えない試験なので、割りやすい数でそろえてから計算すると、ミスが減ります。
覚えるこの問題の覚え方
「熱の量=4.2×重さ×温度差」で出して、最後に3,600で割る。この2行で、水を温める問題の多くに対応できるでしょう。3,600は「1時間=3,600秒」から来ている数字なので、数字を丸暗記するより時間を秒に直していると考えると忘れにくくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.0.7/ロ.1.4/ニ.2.8 … いずれも誤りです。熱の量7,560kJを出したあと、3,600で割るところまで進めると2.1になります。
問4
分野:電気の基礎(交流回路の電圧)重要度 ★★★
図のような交流回路において,抵抗 12 Ω の両端の電圧V[V]は。
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この問題は何を聞いているの?
家庭用コンセントと同じ交流の200V電源に、抵抗12Ωとコイル16Ωが1本道(直列)でつながった回路です。このとき抵抗12Ωの両はしに何ボルトかかるかを聞いています。交流のコイルはふつうの足し算ができない、というのがこの問題のポイントです。
用語交流(こうりゅう)とは?
交流とは、電気の流れる向きが、1秒間に何十回も行ったり来たりする電気のことです。家庭用コンセントの電気も交流。図の電源の丸の中にある「~」の記号が交流を表します。
なぜ?なぜ交流と直流を分けて考えるのか?
コイルという部品が、交流のときだけ電気の流れを邪魔するからです。向きが変わらない直流(電池の電気)では、コイルはほとんどただの電線です。交流の回路ではコイルの働きを考えに入れる必要があります。
用語コイルとは?
コイルとは、電線をぐるぐる巻いた部品のことです。図の右下の、山がいくつも連なったような記号がコイルで、16Ωと書いてあります。
なぜ?なぜ巻いた電線が交流を邪魔するのか?
電線を巻くと、電流が変化しようとするのを押し返す働きが生まれるからです。交流は向きが変わり続けるので、コイルはそのたびに変化を押し返すのです。この押し返しの強さを「リアクタンス」といい、抵抗と同じΩで表します。
用語インピーダンスとは?
インピーダンスとは、交流の回路全体の、電流の流れにくさのことです。抵抗とコイルのリアクタンスをまとめた値で、単位はΩを使います。
なぜ?なぜ12Ωと16Ωをそのまま足して28Ωにしてはいけないのか?
抵抗とコイルでは、電気を邪魔するタイミングがずれているからです。抵抗は電流と同じタイミングで、コイルは4分の1周期ずれたタイミングで邪魔をします。邪魔の向きがそろっていないので、直角三角形の斜めの辺のように合わせるのです。
12Ωと16Ωは「直角三角形」で合わせる
抵抗とコイルが直列のとき、全体のインピーダンスは「抵抗を横、コイルを縦にした直角三角形の、斜めの辺の長さ」になります。式で書くと√(抵抗²+リアクタンス²)です。√(ルート)は「2回かけるとその数になる数」を表す記号で、例えば√400=20(20×20=400)。
なぜ?なぜ「12・16・20」はきれいな数になるのか?
3:4:5の直角三角形と同じ形だからです。12:16:20は、3:4:5をそれぞれ4倍した数にあたります。試験では3:4:5や6:8:10のような組み合わせがよく使われるので、この比を知っていると√を計算せずに済むわけです。
手順1 インピーダンス = √(12² + 16²)= √(144 + 256)= √400 = 20Ω
手順2 流れる電流 = 電圧 ÷ インピーダンス = 200 ÷ 20 = 10A
手順3 直列なので、抵抗12Ωにもコイルにも同じ10Aが流れる
手順4 抵抗12Ωの両はしの電圧 = 電流 × 抵抗 = 10 × 12 = 120V
よって答えはハの120Vです。
なぜ?なぜ120Vとコイルの160Vを足すと200Vを超えるのか?
コイルの両はしの電圧は10×16=160Vで、120+160=280Vと電源の200Vより大きくなります。これも2つの電圧のタイミングがずれているからです。電圧も直角三角形で合わせると、√(120²+160²)=√40,000=200Vで、ちゃんと電源と一致します。
覚えるこの問題の覚え方
交流の「抵抗+コイル」は足し算ではなく直角三角形。12と16を見たら「3:4:5の4倍だから20」と気づけるようにしておきましょう。あとは電流(200÷20=10A)を出して、聞かれた部品の値をかけるだけです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.86 … 12Ωと16Ωをそのまま足して28Ωと考えた人が選びやすい数字です。200÷28=約7.14A、7.14×12=約86Vになります。交流のコイルは足し算できません。
ロ.114 … 28Ωと足し算したうえで、コイル側(16Ω)の電圧を出した人の数字です。200÷28×16=約114Vになります。
ニ.160 … インピーダンス20Ω・電流10Aまでは正しく出せたのに、コイルの16Ωをかけてしまった人の数字です。10×16=160Vは、コイルの両はしの電圧です。
問5
分野:電気の基礎(三相回路の断線)重要度 ★★☆
図のような電源電圧E[V]の三相3線式回路で,図中の✕印点で断線した場合,断線後のa-c 間の抵抗R[Ω]に流れる電流I[A]を示す式は。
イ.E/2R(2R分のE)
ロ.E/√3R(√3R分のE)
ハ.E/R(R分のE)
ニ.3E/2R(2R分の3E)
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この問題は何を聞いているの?
三相3線式(3本の電線で電気を送る方式)の回路で、×印のところで電線が1本切れたとき、a−c間の抵抗Rに流れる電流 Iを表す式を選ぶ問題です。数字ではなく、E(電源の電圧)とR(抵抗)を使った式で答えます。
用語三相3線式(さんそう3せんしき)とは?
三相3線式とは、3本の電線を使い、少しずつタイミングをずらした3つの交流をまとめて送る方式のことです。工場やビルの大きなモーターなどに使われています。図の「3φ3W」がこの方式を表す記号です。
なぜ?なぜ3本の電線でまとめて送るのか?
3本の電線のどの2本の間にも同じ大きさの電圧がかかるので、少ない電線で多くの電気を送れるからです。図でも、電源の左側にE[V]の矢印が3か所描かれていて、どの2本の間もE[V]だと分かります。
用語Δ結線(デルタけっせん)とは?
Δ結線とは、3つの抵抗を三角形につないだ形のことです。図の右側の三角形(a・b・cの3点)がΔ結線で、各辺にR[Ω]の抵抗が1つずつ入っています。
なぜ?なぜΔ結線では「辺」ごとに考えられるのか?
Δ結線の抵抗は、どれも2本の電線のあいだに直接つながっているからです。a−c間の抵抗は、aにつながる電線とcにつながる電線の2本だけで電圧が決まります。ほかの電線がどうなっても、この2本が無事なら電圧は変わりません。
切れたのはどの電線か、図で確かめる
図の×印は、いちばん下の電線(電源からbにつながる線)の上にあります。つまり切れたのはbへの電線で、aへの線とcへの線はつながったままです。
なぜ?なぜbの線が切れてもa−c間の電圧は変わらないのか?
a−c間の抵抗には、電源の上の端子(aへ)と真ん中の端子(cへ)の電圧E[V]が、そのままかかっているからです。この2本は切れていません。電源とa・cの間の道が無事なので、a−c間には切れる前と同じE[V]がかかるわけです。
a−c間の抵抗RにはE[V]がかかっているので、オームの法則「電流=電圧÷抵抗」に当てはめれば答えが出ます。
用語オームの法則とは?
オームの法則とは、電圧=電流×抵抗という関係のことです。電流を求めるときは電流=電圧÷抵抗の形で使います。
なぜ?なぜ式の形で答えるのか?
Eの値もRの値も、問題には具体的な数字が書かれていないからです。例えばE=200V、R=10Ωなら200÷10=20A。どんな数字でも成り立つ形として、E÷Rと書くわけです。
手順1 ×印で切れたのはbにつながる電線。aとcにつながる電線は無事
手順2 a−c間の抵抗Rには、電源の電圧 E[V]がそのままかかる
手順3 電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = E ÷ R(E/R)
よって答えはハのE/Rです。
残りの2つの抵抗はどうなっているか
bの線が切れると、a−b間とb−c間の抵抗は「aからbを通ってcへ行く1本の回り道」になります。この回り道は2つのRの直列(2R)で、ここにもE[V]がかかるので、流れる電流はE÷2Rです。
覚えるこの問題の覚え方
断線の問題は「切れた線にさわっていない抵抗から見る」。Δ結線なら、切れていない2本の電線にはさまれた抵抗には電源の電圧Eがそのままかかり、電流はE/Rです。切れた線につながっていた2つの抵抗は、直列の2Rになって電流はE/2Rになります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.E/2R … 回り道のほう(a→b→c)の電流を答えてしまった人が選びやすい式です。2つのRの直列にE[V]がかかるのでE÷2Rですが、問われているのはa−c間の抵抗の電流です。
ニ.3E/2R … aにつながる電線を流れる電流を答えてしまった人の式です。a−c間のE/Rと回り道のE/2Rを足すと3E/2Rになりますが、これは2つの道の合計です。
ロ.E/√3R … 誤りです。√3(約1.73)は三相の計算でよく出てきますが、この問題ではa−c間に電圧Eがそのままかかるので使いません。
問6
分野:配電理論(単相2線式の電圧降下)重要度 ★★★
図のような単相2 線式電線路において,線路の長さは50 m,負荷電流は25 A で,抵抗負荷が接続されている。線路の電圧降下(Vs−Vr)を4 V 以内にするための電線の最小太さ(断面積)[mm2]は。
ただし,電線の抵抗は表のとおりとする。
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この問題は何を聞いているの?
200Vの電源から50m先の機器まで電線を引いたとき、電線のせいで下がる電圧(電圧降下)を4V以内におさえるには、どの太さの電線が必要かを聞いています。表の中から、条件を満たすいちばん細い電線を選びましょう。
用語単相2線式(たんそう2せんしき)とは?
単相2線式とは、2本の電線で電気を送る、いちばん基本の配線方式のことです。図の「1φ2W」がこの方式の記号です。電気は上の線で行き、下の線で帰ってくるように流れます。
なぜ?なぜ電気には「行き」と「帰り」の線が要るのか?
電気はぐるっと1周して電源に戻ってこないと流れないからです。電源から出た25Aは、上の線を通って機器へ行き、同じ25Aが下の線を通って電源へ帰るのです。だから50m先の機器でも、電線は行き50m+帰り50m=100m使っています。
用語電圧降下(でんあつこうか)とは?
電圧降下とは、電線に電流が流れると、電線の抵抗のせいで電圧が少し下がることです。図のVs(送る側の電圧)とVr(受ける側の電圧)の差、Vs−Vrが電圧降下です。下がる大きさは電流×電線の抵抗で決まります。
なぜ?なぜ電圧降下を小さくしなければならないのか?
電圧が下がりすぎると、機器に届く電圧が足りなくなり、正しく動かなくなるおそれがあるからです。電線の抵抗は太いほど小さいので、電圧降下を小さくしたいときは太い電線を選ぶわけです。
用語「1km当たりの導体抵抗[Ω/km]」とは?
表の右の列は、その太さの電線を1km(1,000m)引いたときの抵抗を表しています。例えば5.5mm²の電線は、1kmで3.33Ωです。左の列のmm²(平方ミリメートル)は、電線の切り口の面積を表しています。
なぜ?なぜ表は「1km当たり」で書かれているのか?
電線の抵抗は長さに比例するので、基準の長さの値があれば、どんな長さにも直せるからです。例えば100mは1kmの10分の1なので、1kmの値を10で割れば100m分の抵抗になります。
考え方の順番は「許される抵抗」から逆算する
この問題は、まず電線全体に許される抵抗を出し、それを1km当たりに直して表と比べるのが近道です。表の4つを1つずつ計算して確かめる方法もありますが、逆算のほうが計算は1回で済みます。
手順1 電圧降下 = 電流 × 電線全体の抵抗。電圧降下を4V、電流を25Aとおく
手順2 電線全体(行きと帰りの2本)に許される抵抗 = 4 ÷ 25 = 0.16Ω
手順3 電線の長さは行き50m+帰り50m=100m。100mで0.16Ωまで許される
手順4 1km(1,000m)当たりに直す。1,000mは100mの10倍なので 0.16 × 10 = 1.6Ω/km
手順5 表で1.6Ω/km以下の電線を探す。5.5mm²=3.33(大きすぎ)、8mm²=2.31(大きすぎ)、14mm²=1.30(OK)
手順6 いちばん細くて条件を満たすのは 14mm²
なぜ?なぜ「1.6以下」で、いちばん細いものを選ぶのか?
問題が「4V以内にするための最小太さ」を聞いているからです。22mm²(0.82Ω/km)でも4V以内にはなりますが、必要以上に太い電線です。条件を満たす中でいちばん細い14mm²が答えになります。
念のため14mm²で確かめると、100mの抵抗は1.30÷10=0.13Ω、電圧降下は25×0.13=3.25Vで4V以内です。8mm²では0.231Ω×25=約5.8Vで4Vを超えます。よって答えはハの14mm²です。
覚えるこの問題の覚え方
単相2線式の電圧降下は「電線2本分」。50mの線路でも、電気は行きと帰りで100m走るのです。「許される抵抗=4V÷25A」→「2本分の長さで割り戻す」→「表と比べる」の3段で解けます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.8 … 帰りの線を数え忘れて、電線を50mぶんだけで計算した人が選びやすい数字です。0.16Ωが50mで許されると考えると、1km当たり3.2Ω/km。3.2以下は8mm²(2.31)からなので、8を選んでしまいます。
イ.5.5/ニ.22 … 誤りです。5.5mm²は電圧降下が4Vを超え、22mm²は条件を満たしますが「最小」ではありません。
問7
分野:配電理論(単相3線式の電力損失)重要度 ★★★
図のような単相3 線式回路において,電線1 線当たりの抵抗が0.1 Ω,抵抗負荷に流れる電流がともに15 A のとき,この電線路の電力損失[W]は。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
単相3線式という方式で、上下2つの抵抗負荷(電気を使う機器)に15Aずつ電流が流れています。電線1本の抵抗は0.1Ω。このとき電線の中でむだに熱になって消える電力(電力損失)が何ワットかを聞いています。
用語単相3線式(たんそう3せんしき)とは?
単相3線式とは、3本の電線を使い、100Vと200Vの両方を取り出せる方式のことです。多くの住宅で使われています。上と真ん中の線の間が100V、真ん中と下の線の間も100V、上と下の線の間が200Vです。
なぜ?なぜ真ん中の線があるのか?
真ん中の線(中性線)を共通にすることで、100Vの機器を上と下の2組に分けてつなげるからです。照明やコンセントは100V、エアコンなどは200V、と使い分けられます。
用語電力損失(でんりょくそんしつ)とは?
電力損失とは、電線の抵抗に電流が流れて、電線の中で熱になって消えてしまう電力のことです。1本の電線の損失は電流×電流×抵抗(I²R)で求めます。単位はW(ワット)です。
なぜ?なぜ電流を2回かけるのか?
電力は電圧×電流で、電線の中で下がる電圧は電流×抵抗だからです。2つを組み合わせると(電流×抵抗)×電流=電流²×抵抗になります。例えば10Aが0.1Ωを流れると、10×10×0.1=10Wの熱が出る計算です。
まず真ん中の線(中性線)に流れる電流を見る
この問題のいちばんの山場は、真ん中の線に電流が流れるかどうかです。上の負荷と下の負荷にはどちらも15Aが流れています。
なぜ?なぜ上下が同じ15Aだと、真ん中の線の電流は0になるのか?
真ん中の線では、上の負荷から帰ってくる電流と、下の負荷へ向かう電流が、反対向きに重なるからです。上下が同じ15Aなら、15−15=0Aで打ち消し合います。上の線から入った15Aは、上の負荷→下の負荷と通って、そのまま下の線へ抜けていくイメージです。
用語平衡(へいこう)とは?
平衡とは、単相3線式で上下の負荷に流れる電流が同じ大きさの状態のことです。平衡のとき、中性線には電流が流れません。
なぜ?なぜ電流0の線では損失が出ないのか?
損失は電流×電流×抵抗なので、電流が0なら0×0×0.1=0Wだからです。電線があっても、電流が流れなければ熱は出ません。
手順1 上の線の電流=15A、下の線の電流=15A、真ん中の線の電流=15−15=0A
手順2 上の線の損失 = 15 × 15 × 0.1 = 225 × 0.1 = 22.5W
手順3 下の線の損失 = 15 × 15 × 0.1 = 22.5W
手順4 真ん中の線の損失 = 0 × 0 × 0.1 = 0W
手順5 合計 = 22.5 + 22.5 + 0 = 45W
よって答えはハの45Wです。
覚えるこの問題の覚え方
単相3線式で上下の電流が同じなら、真ん中は0A。電線は3本あっても、損失を数えるのは外側の2本だけです。「1本分(I²R)を出して、電流が流れている本数をかける」と考えると、ほかの配線方式の問題にも使えます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.68 … 真ん中の線にも15Aが流れると考え、3本分を足した人が選びやすい数字です。22.5×3=67.5Wで、いちばん近い68を選んでしまいます。
イ.23 … 電線1本分だけを答えてしまった人の数字です。22.5Wは1本分で、電流が流れる線は2本あります。
ロ.39 … 1本分の22.5Wに三相の計算で出てくる√3(1.73)をかけてしまった人の数字です。22.5×1.73=約38.9Wになりますが、単相3線式に√3は使いません。
問8
分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径1.6 mm の600V ビニル絶縁電線(軟銅線)3 本を収めて施設した場合,電線1 本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は30℃以下,電流減少係数は0.70 とする。
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この問題は何を聞いているの?
金属の管の中に、直径1.6mmの電線を3本通したとき、電線1本に流してよい電流の上限(許容電流)は何アンペアかを聞いています。①直径1.6mmの電線のもとの許容電流を思い出す→②電流減少係数0.70をかける、の2段階で答えが出せるでしょう。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
許容電流とは、その電線に流し続けてもよい電流の上限のことです。電線は電流が流れると熱くなるので、まわりのビニルが傷まない温度におさまる上限が決められています。
なぜ?なぜ電線の太さで許容電流が変わるのか?
太い電線ほど抵抗が小さく、熱が出にくいからです。例えば600Vビニル絶縁電線では、直径1.6mmは27A、2.0mmは35A、2.6mmは48Aとされています。この3つは試験で何度も使われる数字です。
用語600Vビニル絶縁電線(軟銅線)とは?
600Vビニル絶縁電線とは、600V以下で使う、銅の線をビニルで包んだ電線のことです。「IV(アイブイ)」とも呼ばれます。軟銅線(なんどうせん)は、曲げやすいようにやわらかく加工した銅の線のことです。
なぜ?なぜこの問題で電線の種類まで書いてあるのか?
許容電流は電線の種類と太さで決まるからです。「600Vビニル絶縁電線(軟銅線)の直径1.6mm」と書いてあることで、もとの許容電流は27Aだと特定できます。
用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?
電流減少係数とは、電線を管の中にまとめて入れたとき、許容電流を何倍に減らすかを表す数字のことです。この問題では0.70と書いてあるので、もとの許容電流の7割まで減らします。
なぜ?なぜ管の中に入れると流せる電流が減るのか?
管の中では、電線の熱が外へ逃げにくいからです。しかも3本が近くに集まっているので、おたがいの熱で温め合ってしまいます。熱くなりすぎないように、流せる電流を少なめにするわけです。
用語金属管工事(きんぞくかんこうじ)とは?
金属管工事とは、鉄などの金属でできた管の中に電線を通して配線する工事のことです。電線を傷や衝撃から守れます。
なぜ?なぜ「周囲温度は30℃以下」と書いてあるのか?
許容電流は、まわりの温度が高いほど小さくなるからです。27Aという値は周囲の温度が30℃以下のときのものなので、この一文で「温度による補正はしなくてよい」と分かります。
手順1 直径1.6mmの600Vビニル絶縁電線の許容電流 = 27A
手順2 管の中に3本入れるので、電流減少係数 0.70 をかける
手順3 27 × 0.70 = 18.9A
手順4 選択肢でいちばん近いのは 19A
よって答えはイの19Aです。
コツ27×0.70を楽に計算するには
0.70は「7をかけて10で割る」のと同じです。27×7=189、189÷10=18.9。小数のかけ算が苦手な人は、整数のかけ算に直してから小数点を動かすと、まちがえにくくなります。
覚えるこの問題の覚え方
「1.6mm=27A、2.0mm=35A、2.6mm=48A」の3つを覚えたうえで、管に入れたら係数をかけて減らす。この型は、過去の試験でも繰り返し出題されている形です。「管の中は熱がこもる→減らす」と理由で覚えておくと、かけ忘れを防げます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.27 … 電流減少係数0.70をかけ忘れた人が選びやすい数字です。27Aは管に入れる前の許容電流です。
ロ.24 … 直径2.0mmの許容電流35Aと取り違えた人の数字です。35×0.70=24.5Aで、いちばん近い24を選んでしまいます。
ニ.34 … 誤りです。直径1.6mmの27Aに0.70をかけると18.9Aで、27Aより大きくなることはありません。
問9
分野:配線設計(幹線の分岐)重要度 ★★★
図のように定格電流60 A の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,10 m の位置に過電流遮断器を施設するとき,a-b 間の電線の許容電流の最小値[A]は。
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この問題は何を聞いているの?
建物の中の太い電線(幹線)から細い電線を枝分かれさせ、分かれ目から10m先にブレーカー(過電流遮断器)を付ける場面です。このとき、分かれ目aからブレーカーbまでの電線は、少なくとも何アンペア流せる太さが必要かを聞いています。
用語幹線(かんせん)とは?
幹線とは、電源から各部屋への分かれ道まで、電気をまとめて運ぶ太い電線のことです。木の幹から枝が分かれるように、幹線から各回路の電線が分かれていきます。
なぜ?なぜ幹線は太くするのか?
幹線には、その先で分かれるすべての回路の電流が合わさって流れるからです。多くの電流が流れても熱くなりすぎないように、太い電線を使うわけです。この問題では、幹線を60Aのブレーカーが守っています。
用語過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)とは?
過電流遮断器とは、決められた以上の電流が流れたときに、自動で電気を止める装置のことです。ブレーカーやヒューズがこれにあたります。図の「B」と書かれた四角が、配線用遮断器(ブレーカー)を表す記号です。
なぜ?なぜ電流が流れすぎると止める必要があるのか?
電線に許容電流より大きな電流が流れ続けると、電線が熱くなりすぎて、火事の原因になるからです。遮断器は、電線を熱から守る見張り役といえます。
用語許容電流とは?
許容電流とは、その電線に流し続けてもよい電流の上限のことです。太い電線ほど大きくなります。この問題では、a−b間の電線に最低いくつの許容電流が必要かを求めるのが、この問題です。
なぜ?なぜa−b間の電線には特別な決まりがあるのか?
a−b間の電線は、手前の60Aのブレーカーにしか守られていないからです。細い電線に60A近くの電流が流れても、60Aのブレーカーはなかなか落ちません。そこで、守りが弱い区間が長いほど、電線を太くする決まりがあります。
分かれ目からの距離で決まる3つのルール
枝分かれした先のブレーカーをどこに付けるかで、a−b間の電線に必要な許容電流が変わる仕組みです。基準になるのは、幹線を守るブレーカーの定格電流(この問題では60A)です。
覚える分岐点からブレーカーまでの距離のルール
3m以下 … 電線の許容電流に特別な制限はない
3mを超えて8m以下 … 幹線のブレーカーの定格電流の35%以上
8mを超える … 幹線のブレーカーの定格電流の55%以上
なぜ?なぜ距離が長いほど電線を太くしなければならないのか?
分かれ目からブレーカーまでの区間は、手前の大きなブレーカーにしか守られていない「守りの弱い区間」だからです。区間が短ければ、何か起きる場所も限られるでしょう。長くなるほど危険も増えるので、電線を太くして(許容電流を大きくして)安全を確保します。
この問題は10mなので「55%」を使う
手順1 分かれ目aからブレーカーbまでの距離は 10m
手順2 10mは8mを超えるので、55%以上のルールを使う
手順3 幹線のブレーカーは 60A
手順4 必要な許容電流 = 60 × 0.55 = 33A
よって答えはニの33Aです。
コツ60×0.55を楽に計算するには
60の半分(50%)は30、60の5%は3なので、足して33。55%を「50%+5%」に分けると、暗算で出せます。
覚えるこの問題の覚え方
距離のルールは「3m・8m」と「35%・55%」の2組だけです。遠くなるほど、パーセントが大きくなると向きで覚えましょう。あとは幹線のブレーカーの値にパーセントをかけるだけです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ロ.21 … 8mを超えているのに35%のルールを使った人が選びやすい数字です。60×0.35=21Aになります。10mは8mを超えるので55%です。
イ.15/ハ.27 … 誤りです。距離10mから55%のルールを選び、60×0.55を計算すると33Aになります。
問10
分野:配線設計(分岐回路の組合せ)重要度 ★★★
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,不適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは3 m,配線用遮断器からコンセントまでは8 mとし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。
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正解
ロ.30A・2.0mm・定格電流30Aのコンセント2個
この問題は何を聞いているの?
ブレーカー(配線用遮断器)・電線の太さ・コンセントの3つの組合せのうち、決まりに合っていないもの(不適切なもの)を1つ選ぶ問題です。ブレーカーの大きさごとに、使ってよい電線とコンセントが決まっているので、その表と照らし合わせます。
用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?
分岐回路とは、分電盤のブレーカーから、コンセントや照明までつながる1本1本の回路のことです。家の分電盤に並んでいる小さなブレーカーの1つ1つが、それぞれの分岐回路を守っています。
なぜ?なぜ分岐回路ごとにブレーカーを付けるのか?
1つの回路で電流が流れすぎたときに、その回路だけを止められるからです。家全体の電気を止めずに済み、電線が熱くなりすぎる前に電気を切れます。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
配線用遮断器とは、電流が流れすぎると自動で電気を止める装置のことで、いわゆるブレーカーです。図の「B」の四角がこれを表し、横の「20A」「30A」が、何アンペアで止まるか(定格電流)を示しています。
なぜ?なぜブレーカーの大きさで電線の太さが決まるのか?
ブレーカーは定格電流までは電気を止めないからです。30Aのブレーカーなら、30A近くまで流れ続けることもあるのです。そのとき電線が細いと、ブレーカーが落ちる前に電線が熱くなりすぎてしまいます。だから大きいブレーカーほど太い電線が必要です。
用語コンセントの定格電流とは?
コンセントの定格電流とは、そのコンセントに流してよい電流の上限のことです。家庭でよく見るのは15Aのコンセントで、ほかに20A・30Aなどがあります。
なぜ?なぜコンセントは大きすぎても小さすぎてもいけないのか?
大きすぎる(例:20A回路に30Aコンセント)と、30A用の機器をつないだときに電線やブレーカーの能力を超えて使われるおそれがあるのです。小さすぎる(例:30A回路に15Aコンセント)と、コンセントの上限を超えて流れても、ブレーカーがすぐには落ちません。どちらも安全に使えないので、範囲が決められています。
覚えるのはこの表ひとつ
ブレーカーの大きさごとに、電線の太さの下限とコンセントの範囲がセットで決まっているのです。この問題に出てくる20Aと30Aの行を中心に見てください。
覚える分岐回路の組合せ表(配線用遮断器の場合)
20A … 電線1.6mm以上 / コンセント20A以下
30A … 電線2.6mm(または5.5mm²)以上 / コンセント20A以上30A以下
40A … 電線8mm²以上 / コンセント30A以上40A以下
50A … 電線14mm²以上 / コンセント40A以上50A以下
なぜ?なぜ「2.6mm」と「5.5mm²」が同じ行に並んでいるのか?
電線の太さには、直径(mm)で表す書き方と、切り口の面積(mm²)で表す書き方の2つがあるからです。30Aの回路では、直径なら2.6mm以上、面積なら5.5mm²以上の電線を使います。単位が違うだけで、どちらも30A回路に使ってよい太さです。
選択肢を1つずつ表と照らし合わせる
見るところは「ブレーカー」「電線」「コンセント」の3つです。1つでも表から外れていれば不適切と決めて、順に確かめましょう。コンセントの個数は、この問題では判断に関係しません。
例4つの選択肢の判定
イ ブレーカー20A/電線1.6mm/15Aコンセント2個 … 電線は1.6mm以上でOK。コンセントは20A以下なので15AもOK。 → 適切
ロ ブレーカー30A/電線2.0mm/30Aコンセント2個 … コンセントは20A以上30A以下でOK。しかし30A回路の電線は2.6mm以上なので、2.0mmでは細すぎる。 → 不適切
ハ ブレーカー20A/電線2.0mm/20Aコンセント3個 … 電線は1.6mm以上なので2.0mmもOK。コンセントは20A以下でOK。 → 適切
ニ ブレーカー30A/電線5.5mm²/20Aコンセント1個 … 電線は5.5mm²以上でOK。コンセントは20A以上30A以下でOK。 → 適切
よって不適切なものはロです。
なぜ?なぜ「3m」「8m」「兼用コンセントではない」と書いてあるのか?
条件をはっきりさせて、表だけで判断できるようにするためです。分岐点からブレーカーまで3mなら、問9の距離のルールで追加の制限は付きません。「兼用コンセントではない」は、図に書かれた定格電流だけを持つコンセントとして考えてよい、という意味です。
覚えるこの問題の覚え方
「電線は細すぎると不可、コンセントは大きすぎても小さすぎても不可」。数字は「20Aは1.6mm、30Aは2.6mm(5.5mm²)、40Aは8mm²、50Aは14mm²」。コンセントの範囲は「ブレーカーの1つ下の段からブレーカーまで」(30A回路なら20A〜30A)と覚えると、上限と下限を一緒に思い出せます。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ … 電線が「5.5mm²」とmm²の書き方なので、2.6mmと比べられずに不適切だと思った人が選びやすい選択肢です。30A回路では2.6mmと5.5mm²が同じ行なので、ニは適切です。
ハ … コンセントが3個あるので多すぎると思った人が選びやすい選択肢です。個数の制限は表にないので、20A回路に20Aコンセントで適切です。
イ … 適切です。20A回路のコンセントは「20A以下」なので、15Aでもかまいません。
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令和4年度 下期 午前 第二種電気工事士 学科(全50問)を、1問ずつ解いて答え合わせ
全50問。選択肢を選ぶとその場で正解・不正解と解説が出ます。登録も料金もいりません。
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この記事のまとめ
問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。
まとめこの10問で持ち帰ること
問1 合成抵抗 … はしご形は右からたたむ。並列は半分、直列は足し算。4Ωにまとめて16÷4=4A
問2 抵抗と許容電流 … まわりが暑いと許容電流は小さくなる。抵抗は長さに比例、直径の2乗に反比例
問3 電力量 … 熱の量=4.2×重さ×温度差。kJを3,600で割るとkW・h
問4 交流回路 … 抵抗とコイルは直角三角形で合わせる。12と16で20Ω、電流10Aで12Ωには120V
問5 三相の断線 … 切れていない2本にはさまれた抵抗には電圧Eがそのまま。電流はE/R
問6 電圧降下 … 単相2線式は行きと帰りの2本分。4÷25=0.16Ωを100mで割り戻して1.6Ω/km以下
問7 単相3線式の電力損失 … 上下が同じ電流なら中性線は0A。外側2本分で45W
問8 許容電流 … 1.6mm=27A。管に3本なら0.70をかけて約19A
問9 幹線の分岐 … 3m以下は制限なし、8mまで35%、それより先は55%。10mなので60×0.55=33A
問10 分岐回路 … 30A回路は2.6mm(5.5mm²)以上。2.0mmでは細すぎる
この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電流²×抵抗)の2本でした。これに熱量・インピーダンスの式が加わり、残りは暗記した表に当てはめるか、図から本数や距離を読み取るかです。式を増やすより、この2本の使い方に慣れるほうが近道になるでしょう。
出典
令和4年度下期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和4年度下期 午前 全5記事)
▶ 問11〜20
材料と器具(2号コネクタ・絶縁物の最高許容温度・工具・電動機の回転速度・写真の見分け)
▶ 問21〜30
施工・検査・法令(工事方法・特殊場所・絶縁抵抗・接地抵抗計・電気用品安全法)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(図記号・引込口開閉器・絶縁抵抗・接地工事・電線本数)
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(リングスリーブ・差込形コネクタ・測定器・ケーブル・スイッチ)
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する