第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和8年度 上期(2026年5月24日実施)の問1〜問10です。
専門用語はその場で必ず説明します。「この言葉、知っている前提で進むな」と感じたら、それはこちらの書き方が悪いので、遠慮なく飛ばさずに読んでください。用語を知らなくても、上から順に読めば解けるように作っています。
各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和8年度上期第二種電気工事士試験(学科試験)
問1
分野:電気の基礎(合成抵抗)重要度 ★★★
図のような回路で,端子a−b間の合成抵抗[Ω]は。
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この問題は何を聞いているの?
「合成抵抗(ごうせいていこう)を求めなさい」という問題です。まずこの言葉から説明します。
抵抗とは?
電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど電気が流れにくいことを表します。図の中の四角い部品が抵抗です。
なぜ電気に「流れにくさ」があるのか? ホースで水を流すところを想像してください。ホースの中にスポンジが詰まっていると水は流れにくくなります。この「詰まり具合」が抵抗で、詰まりが多いほどΩの数字が大きくなります。
合成抵抗とは?
回路の中にバラバラに置かれた抵抗を、ぜんぶまとめて「1個の抵抗」に置きかえたら何Ωになるかという値です。この問題ではa と b の2つの端子の間をまとめます。
なぜ1個にまとめる必要があるのか? 実際の回路は抵抗がいくつも入り組んでいて、そのままでは電流を計算できません。1個にまとめてしまえば、あとはオームの法則(電流=電圧÷抵抗)で一発だからです。
まず「直列」と「並列」を知る
抵抗のまとめ方は2種類だけです。この2つを知っていれば、合成抵抗の問題はほぼ解けます。
直列(ちょくれつ)とは?
1本道に、抵抗が順番に並んでいるつなぎ方です。電流の通り道が1本しかありません。
このとき合成抵抗はそのまま足し算です。5Ωと5Ωなら 5+5=10Ω。
なぜ直列だと足し算になるのか? 詰まったスポンジが縦に2個ぶん続くのと同じだからです。通り道が長くなるほど流れにくくなります。
並列(へいれつ)とは?
道が枝分かれして、両方に電流が流れるつなぎ方です。
合成抵抗はもとの1本より必ず小さくなります。同じ大きさの抵抗が2本なら、答えは半分です。5Ωと5Ωなら 5÷2=2.5Ω。
なぜ並列だと抵抗が小さくなるのか? 通り道が2本に増える=道幅が2倍になるのと同じだからです。道が広がれば水は流れやすくなります。「並列にしたのに小さくなるの?」と戸惑いますが、並列は必ず小さくなると覚えてください。
図を3つの区間に分けて読む
図をいきなり全部見ようとすると混乱します。左のa、真ん中の点、右のbの3つに区切って見ていきます。真ん中の点とは、上の線と下の線が縦の線でつながっている場所のことです。ここを仮に「中央」と呼びます。
区間ごとに何があるか
a から中央まで … 上に5Ω、下にも5Ω → 枝分かれしている=並列
中央から b まで … 上に5Ω、下は抵抗なしの導線だけ
ここが最大のポイント:抵抗のない道
短絡(たんらく/ショート)とは?
抵抗を通らずに電気が回り込める「近道」ができている状態です。電流は流れやすい道に集中して流れるので、近道と並んでいる抵抗にはほとんど電流が流れません。つまりその抵抗は無いのと同じになります。
なぜ近道があると抵抗が消えるのか? 並列の合成抵抗は「必ず小さいほうより小さくなる」と説明しました。片方が0Ω(ただの導線)なら、合成抵抗も0Ωまで下がりきる、ということです。
この問題では、中央からbまでが、まさにこの形になっています。上の5Ωと、下のただの導線が並列。だからこの区間の抵抗は0Ω、つまり右上の5Ωは無いのと同じです。
1ステップずつ計算する
手順1 a から中央まで = 5Ωと5Ωの並列 = 5 ÷ 2 = 2.5Ω
手順2 中央から b まで = 5Ωと導線(0Ω)の並列 = 0Ω
手順3 この2つは1本道に並んでいる=直列なので足す = 2.5 + 0 = 2.5Ω
よって答えはイの2.5Ωです。
この問題の覚え方
図を見たら、まず「抵抗が1つもない、導線だけの道」を探す。見つけたら、その道と並んでいる抵抗は鉛筆で消してしまう。残った形は、たいてい単純な直列か並列になります。
間違えた人が選びやすい選択肢
ハの7.5Ωを選んだ人は、右上の5Ωを消し忘れて「2.5+5」と計算しています。ニの15Ωを選んだ人は、3つの抵抗を全部足しています(直列だと思ってしまった形)。
問2
分野:電気の基礎(電気抵抗)重要度 ★★☆
軟銅線の電気抵抗に関する記述として,誤っているものは。
イ.電気抵抗は周囲温度が上昇すると大きくなる。
ロ.電気抵抗は軟銅線の断面積の2乗に反比例する。
ハ.電気抵抗は軟銅線の長さに比例する。
ニ.抵抗率はアルミニウム線よりも低い。
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この問題は何を聞いているの?
「軟銅線(なんどうせん)の電気抵抗について、4つの文のうち間違っているものを1つ選べ」という問題です。
軟銅線とは?
電線の中身に使われるやわらかい銅の線のことです。「銅でできた、ふつうの電線」と思って差し支えありません。
なぜ「やわらかい」銅を使うのか? 銅はかたいと曲げにくく、電気工事で扱いづらいためです。熱を加えてやわらかくした銅を軟銅といいます。
電気抵抗とは?
電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)。数字が大きいほど流れにくくなります。
なぜ電線に抵抗があるのか? 電線の中を電気が進むとき、じゃまをするものが必ずあります。その「じゃまの量」を数字にしたものが抵抗です。
抵抗の大きさは何で決まるのか
電線の抵抗は、たった3つの要素で決まります。これを知っていれば、この手の問題はすべて解けます。
抵抗を決める3要素
①長さ … 長いほど抵抗は大きい(比例)
②太さ(断面積) … 太いほど抵抗は小さい(反比例)
③材質 … 金属の種類による流れにくさ。これを抵抗率という
断面積とは?
電線を輪切りにしたときの切り口の面積です。単位はmm²(平方ミリメートル)。太い電線ほど断面積が大きいと考えてください。
なぜ太さで流れやすさが変わるのか? 電気が通れる道幅にあたるからです。道幅が広いほど、たくさんの電気が楽に通れます。
抵抗率とは?
その金属そのものの、電気の流れにくさを表す数字です。同じ太さ・同じ長さで比べたときに差が出ます。銅はアルミより抵抗率が低い=銅のほうがよく流れます。
なぜ金属によって流れやすさが違うのか? 金属によって内部の構造が違い、電気の通りやすさが変わるためです。だから電線には主に銅が使われます。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 正しい … 金属は温まると抵抗が大きくなります。夏場に電線が熱くなると流れにくくなる、という現象です。
ロ これが誤り … 抵抗は断面積の「2乗に」反比例ではなく、断面積そのものに反比例します。
ハ 正しい … 長さに比例します。長い延長コードほど電圧が下がるのはこのためです。
ニ 正しい … 銅の抵抗率はアルミより低い。だから同じ太さなら銅のほうがよく流れます。
よって答えはロです。
この問題の覚え方
抵抗と太さの関係はただの反比例。選択肢に「2乗」「3乗」が出てきたら、まず疑うのが定石です。試験では「2乗に反比例」という言い方で毎回のように引っかけてきます。
問3
分野:電気の基礎(電力量・熱量)重要度 ★★☆
消費電力が300 Wの電熱器を,2時間使用したときの発熱量[kJ]は。
イ.600
ロ.1 080
ハ.2 160
ニ.3 600
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この問題は何を聞いているの?
「300Wの電熱器を2時間使ったら、どれだけの熱が出るか」を求める問題です。答えの単位がkJ(キロジュール)になっているところが、この問題の山場です。
電熱器とは?
電気を熱に変える器具のことです。電気ストーブ、電気ポット、ドライヤーなどが仲間です。使った電気がそのまま熱になるのが特徴です。
なぜ電気が熱に変わるのか? ニクロム線などの抵抗が大きい線にわざと電気を流して、流れにくさで発生する熱を利用しているためです。
W(ワット)とは?
1秒あたりに使う電気の量です。電力ともいいます。300Wなら「1秒ごとに300ぶんの電気を使っている」という意味です。
なぜ「1秒あたり」で表すのか? 「たくさん使う」だけでは比べられないので、1秒あたりに直して比べられるようにした単位だからです。
J(ジュール)とは?
熱や仕事の量を表す単位です。式にすると 熱量[J]=電力[W]×時間[秒]。
kJ(キロジュール)は1 000Jのことです。
なぜ電力×秒で熱の量になるのか? Wが「1秒あたりの量」なので、それに秒数をかければ合計の量になるからです。時給×働いた時間=給料、と同じ考え方です。
つまずくのは「単位」だけ
計算そのものは掛け算1回です。ただし時間は「秒」に直す必要があり、答えは1 000で割ってkJにする必要があります。ここを飛ばすと、用意された間違いの選択肢にきれいに引っかかります。
手順1 時間を秒に直す … 2時間 = 2 × 60分 × 60秒 = 7 200秒
手順2 掛け算する … 300W × 7 200秒 = 2 160 000 J
手順3 kJに直す … 2 160 000 ÷ 1 000 = 2 160 kJ
よって答えはハの2 160kJです。
もう1つのやり方
Wh(ワット時)を経由する方法もあります。300W×2時間=600Wh。1Wh=3 600Jなので、600×3 600=2 160 000J=2 160kJ。どちらの道でも同じ答えになります。
間違えた人が選びやすい選択肢
イの600は「300×2=600」と、時間を秒に直さずに計算した数字です。ニの3 600は1Wh=3 600Jの3 600をそのまま書いたものです。単位を直す2か所を落ち着いてやれば防げます。
問4
分野:電気の基礎(力率改善)重要度 ★★☆
図のような交流回路で,負荷に対してコンデンサCを設置して,力率を100 %に改善した。このときの電流計の指示値は。
イ.零になる。
ロ.コンデンサ設置前と比べて変化しない。
ハ.コンデンサ設置前と比べて増加する。
ニ.コンデンサ設置前と比べて減少する。
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この問題は何を聞いているの?
「コンデンサをつけて力率を100%にしたら、電流計の針はどうなるか」という問題です。用語が多いので、1つずつ片づけていきます。
交流とは?
電気の流れる向きが、1秒間に何十回も入れかわる電気のことです。家庭のコンセントに来ているのはこの交流です。図の左にある丸に波線の記号が交流電源です。
なぜ家庭には交流が来ているのか? 発電所から遠くまで電気を送るとき、交流のほうが電圧を変えやすく、送電のロスが少ないためです。
負荷(ふか)とは?
電気を使う機器のことです。図の右にある「負荷」の中の、うずまき記号はコイルを表します。モーターや蛍光灯のようにコイルが入った機器だと思ってください。
なぜ図にコイルが描かれているのか? コイルが入っていると、次に説明する「力率が悪い」状態になり、この問題の話につながるからです。
力率(りきりつ)とは?
電源から流れ出た電流のうち、実際に仕事をしている割合です。100%=ムダな電流がゼロという意味になります。
なぜ「仕事をしない電流」が生まれるのか? コイルが入った機器は、行ったり来たりするだけで仕事をしない電流を必要とします。この電流も電線を通るので、電線には流れているのに何も生み出していない、という状態が起きるのです。
コンデンサとは?
電気を一時的にためて、吐き出す部品です。図のCがそれです。力率を良くするために取り付けます。
なぜコンデンサで力率が良くなるのか? コイルが作る「遅れる電流」と、コンデンサが作る「進む電流」は向きが逆なので、互いに打ち消し合うからです。
図のどこに電流計があるかを見る
この問題でいちばん大事なのは電流計の位置です。図をよく見ると、丸にAと書かれた電流計は電源のすぐ横、つまりコンデンサより前についています。
つまりこの電流計は、電源から流れ出ていく電流の合計を測っています。負荷そのものの電流ではありません。
何が起きるか
コンデンサをつける前 … 電源からは「仕事をする電流」+「ムダな電流」の両方が流れ出ている
コンデンサをつけた後 … ムダな電流はコンデンサと負荷のあいだで行き来するだけになり、電源まで戻ってこなくなる
結果 … 電源から流れ出る電流は仕事をする電流だけになり、減る
よって答えはニの「減少する」です。
「零になる」を選んではいけない理由
負荷は実際に仕事をしています。仕事をするための電流は必ず必要なので、電流がゼロになることはありません。消えるのはムダな電流だけです。
この問題の覚え方
力率改善は「仕事は同じまま、電流だけ減らす」工夫だと覚えてください。電流が減れば電線を細くでき、電気のロスも減るので、工場などでは必ず行われています。
問5
分野:電気の基礎(三相交流)重要度 ★★★
図のような三相3線式200 Vの回路で,c−o間の抵抗が断線した。断線前と断線後のa−o間の電圧Vの値[V]の組合せとして,正しいものは。
イ.断線前116/断線後116
ロ.断線前116/断線後100
ハ.断線前100/断線後116
ニ.断線前100/断線後100
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この問題は何を聞いているの?
「三相3線式という配線で、途中の抵抗が1本切れたら、電圧はいくつになるか」という問題です。切れる前と切れた後の2つを答えます。
三相3線式(さんそう3せんしき)とは?
3本の電線で電気を送る方式です。工場やビルのモーターなど、大きな電力を使う機器に使われます。図の左にある「3φ3W 電源」がそれです。
なぜ大きな機器は3本で送るのか? 3本で送ると、同じ太さの電線でより多くの電力を効率よく送れるからです。家庭は電気の量が少ないので2本(単相2線式)で足ります。
Y(スター)結線とは?
3つの抵抗の片方の端を1点に集めたつなぎ方です。図でいうと、3つのRがoという点に集まっている形です。カタカナのYの字に似ているのでこう呼ばれます。
なぜ1点に集めるのか? 集めた1点(中性点といいます)を作ると、電圧が3方向にきれいに分かれ、バランスよく電気を配れるからです。
線間電圧と相電圧
線間電圧=電線と電線のあいだの電圧。この問題では200Vです。
相電圧=抵抗1個にかかる電圧。図のa−o間の電圧Vがこれです。
Y結線では 線間電圧 = 相電圧 × √3 の関係になります。
なぜ√3という数字が出てくるのか? 3本の電線の電気はタイミングがずれてやってきます。単純な足し算にならず、ずれを計算に入れると√3倍(約1.73倍)という数字が出てくるのです。試験では√3=1.73と覚えるだけで十分です。
切れる前を計算する
求めたいのはa−o間の電圧=相電圧です。線間電圧200Vが分かっているので、√3で割ればよいことになります。
関係式 … 線間電圧 = 相電圧 × 1.73
ひっくり返す … 相電圧 = 線間電圧 ÷ 1.73
あてはめる … 200 ÷ 1.73 = 約116V
切れた後は「回路の形」が変わる
ここが本当の山場です。c−o間が切れると、そこには電気が通れなくなります。すると残るのはa−o と o−b の2つだけ。この2つは1本道でつながった形=直列になります。
直列とは?
抵抗が1本道に順番に並んでいるつなぎ方です。電流の通り道が1本しかありません。抵抗が同じ大きさなら、電圧はきれいに等分されます。
なぜ同じ抵抗なら電圧が等分されるのか? 同じ流れにくさのものが並んでいれば、電圧の分け前も等しくなるからです。同じ太さのストローを2本つなげば、抵抗も半分ずつ受け持つのと同じです。
手順1 c−oが切れる → 残るのは a−o と o−b の直列
手順2 この直列の両端は a と b → かかる電圧は線間電圧の200V
手順3 2つの抵抗は同じ大きさ → 200 ÷ 2 = 100Vずつ
よって切れる前116V・切れた後100V、答えはロです。
この問題の覚え方
200 ÷ 1.73 ≒ 116 は、そのまま覚えてしまってよい数字です。そして「断線したら直列になって山分け」。この2つで解けます。
引っかけの見抜き方
選択肢は「116と116」「100と100」のように同じ数字が並ぶものも用意されています。断線で形が変わる=電圧も変わるので、前後が同じ数字になる選択肢はまず疑ってください。
問6
分野:電気の基礎(電圧降下)重要度 ★★★
図のように,電線のこう長12 mの配線により,消費電力1 600 Wの抵抗負荷に電力を供給した結果,負荷の両端の電圧は100 Vであった。配線における電圧降下[V]は。ただし,電線の電気抵抗は長さ1 000 m当たり5.0Ωとする。
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この問題は何を聞いているの?
「電線そのもので、電圧がどれだけ下がってしまうか」を求める問題です。
電圧降下(でんあつこうか)とは?
電線にもごくわずかな抵抗があります。そのせいで電源側の電圧より、機器に届く電圧のほうが低くなります。この下がったぶんが電圧降下です。
なぜ電線で電圧が下がるのか? 抵抗があるところに電流が流れると、必ず電圧が使われてしまうからです(オームの法則)。長い延長コードの先で、ドライヤーの風が弱く感じるのはこの現象です。
こう長(こうちょう)とは?
電源から機器までの距離のことです。片道の距離を指します。この問題では12mです。
なぜ片道の距離で表すのか? 設計するときは「どこからどこまで何メートル引くか」で考えるので、片道で表すのが自然だからです。ただし計算では往復ぶんが必要になります。ここが最大の落とし穴です。
落とし穴:電線は「行き」と「帰り」がある
電気は行ったきりでは流れません。かならず行って、帰ってくることで回路になります。図をよく見ると、上と下に1本ずつ、合計2本の電線が引かれ、どちらにも「12m」と書かれています。
つまり抵抗を考えるときは12m+12m=24mぶんで計算しなければいけません。ここを12mのままにすると、答えはちょうど半分になり、用意された選択肢「1」を選んでしまいます。
1ステップずつ計算する
手順1 電流を出す … 電力1 600W ÷ 電圧100V = 16A(電流=電力÷電圧)
手順2 電線の長さを往復にする … 12m + 12m = 24m
手順3 電線の抵抗を出す … 1 000mで5.0Ωなので 5.0 × 24 ÷ 1 000 = 0.12Ω
手順4 オームの法則をあてはめる … 電圧 = 電流 × 抵抗 = 16 × 0.12 = 1.92V
手順5 最も近い選択肢を選ぶ … 1.92に最も近いのは 2V
なぜ電流=電力÷電圧なの?
電力(W)は 電圧(V)× 電流(A) で求まります。この式を電流について解き直すと 電流 = 電力 ÷ 電圧 になります。
なぜこの式で電流が求まるのか? たとえば100Vで1 600Wを使うには、100V×◯A=1 600W となる◯を探すことになり、1 600÷100=16Aと出るわけです。
よって答えはロの2Vです。
この問題の覚え方
「こう長は片道。計算は往復」。単相2線式(電線2本)なら2倍して使います。試験ではこの1点だけで正解と不正解が分かれます。
問7
分野:電気の基礎(単相3線式)重要度 ★★★
図のような単相3線式回路において,抵抗負荷は3.3Ωで一定である。スイッチSを開いているとき,図中の電圧Vは99 Vであった。この状態からスイッチSを閉じた場合,電圧Vはどのように変化するか。ただし,電源電圧は105 V一定で,電線1線当たりの抵抗は0.1Ωとする。
イ.3 V下がる。
ロ.変化しない。
ハ.1 V上がる。
ニ.3 V上がる。
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この問題は何を聞いているの?
「スイッチを入れて負荷を増やしたら、電圧はどう変わるか」という問題です。ふつうに考えると「負荷が増えたら電圧は下がる」と思いますよね。ところがこの問題の答えは「上がる」です。理由を順に見ていきます。
単相3線式(たんそう3せんしき)とは?
3本の電線で電気を送る、住宅でいちばん多い方式です。図の左の「1φ3W 電源」がそれです。上・真ん中・下の3本が出ています。
真ん中の線を中性線、上下の線を外側の線(電圧線)と呼びます。
なぜ電線を3本にするのか? 3本にすると100Vと200Vの両方が取り出せるからです。照明やコンセントは100V、エアコンやIHは200V、と使い分けられます。
中性線(ちゅうせいせん)とは?
3本のうち真ん中の線のことです。上側の負荷と下側の負荷の電流の差だけが、この線を流れます。
なぜ中性線に電流が流れないことがあるのか? 上と下がまったく同じ量を使っていれば、差はゼロ。つまり中性線には電流が流れなくなります。この性質がこの問題の答えそのものです。
平衡(へいこう)とは?
上側と下側に同じ大きさの負荷がつながっている状態です。このとき中性線の電流はゼロになります。
なぜ上下が同じだと打ち消し合うのか? 上で使ったぶんと下で使ったぶんが打ち消し合うからです。天びんの左右に同じ重さを乗せると釣り合うのと同じイメージです。
スイッチを開いているとき(今の状態)
図でSは下側にあります。Sが開いている=上側の3.3Ωだけが使われている状態です。
このとき電流は、上の外側の線(0.1Ω)を通って負荷へ行き、中性線(0.1Ω)を通って戻ります。つまり電線の抵抗を2本ぶん通ることになります。
スイッチを開いているときの計算
手順1 回路全体の抵抗 … 外側の線0.1 + 負荷3.3 + 中性線0.1 = 3.5Ω
手順2 電流を出す … 105V ÷ 3.5Ω = 30A
手順3 負荷にかかる電圧 … 30A × 3.3Ω = 99V
問題文の「99Vであった」と一致しました。読み方が合っていることの確認になります。
スイッチを閉じたとき
Sを閉じると、下側にも同じ3.3Ωがつながります。上下が同じ=平衡です。すると中性線に電流が流れなくなり、中性線での電圧の目減りが消えます。
スイッチを閉じたときの計算
手順1 通る電線は外側の線だけ … 外側の線0.1 + 負荷3.3 = 3.4Ω
手順2 電流を出す … 105V ÷ 3.4Ω = 約30.9A
手順3 負荷にかかる電圧 … 30.9A × 3.3Ω = 約102V
手順4 変化を見る … 99V が 102V になった = 約3V上がった
よって答えはニの「3V上がる」です。
なぜ増やしたのに上がるのか
負荷が増えたのに電圧が上がるのは不思議に感じますが、理由は単純です。邪魔をしていた中性線の抵抗が、仕事から外れたからです。電気の通り道が3.5Ωから3.4Ωへ短くなったぶん、負荷に届く電圧が増えたのです。
この問題の覚え方
単相3線式は「バランスすると中性線が休む」。中性線が休む=そこでの電圧降下がなくなる=機器に届く電圧はむしろ上がる。この流れで覚えてください。
問8
分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★☆
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に断面積3.5 mm²の600Vビニル絶縁電線(軟銅線)4本を収めて施設した場合,電線1本当たりの許容電流[A]は。ただし,周囲温度は30℃以下,電流減少係数は0.63とする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「金属の管の中に電線を4本まとめて入れたとき、1本あたり何アンペアまで流してよいか」という問題です。
許容電流(きょようでんりゅう)とは?
その電線に安全に流してよい電流の上限です。単位はA(アンペア)。これを超えると電線が熱を持ち、最悪は火災になります。
なぜ流してよい上限が決められているのか? 電線にも抵抗があるので、電流が流れると必ず発熱します。熱がこもって被覆(ひふく=まわりのビニル)が溶けない範囲が上限として決められているのです。
金属管工事とは?
電線を金属のパイプの中に通して配線する工事です。電線をしっかり守れるので、工場や屋外などで使われます。
なぜこの問題で「管」が出てくるのか? この問題で管が出てくるのは、管に入れると熱が逃げにくくなるからです。次の「電流減少係数」につながります。
電流減少係数とは?
電線を1本の管の中に何本もまとめて入れると、たがいに温め合って冷えにくくなります。そこで許容電流を減らすために掛ける数字が電流減少係数です。この問題では0.63と与えられています。
なぜまとめて入れると許容電流を減らすのか? 1本だけ空気中にある電線なら熱は逃げますが、4本が管の中で密集していると熱がこもります。同じ電流でも温度が上がりやすいので、あらかじめ流してよい量を減らしておくのです。
3.5mm²の電線は何アンペアまで?
この問題を解くには、もとの許容電流を覚えている必要があります。3.5mm²の600Vビニル絶縁電線(軟銅線)は37Aです。
mm²(平方ミリメートル)とは?
電線を輪切りにした切り口の面積です。数字が大きいほど太い電線で、たくさん電流を流せます。
なお1.6mm・2.0mm・2.6mmという表記は「直径」で、単位が違うので注意してください。
なぜmmとmm²の2つの表し方があるのか? 細い電線は直径で、太い電線は断面積で呼ぶ習慣があるためです。試験では両方が混ざって出るので、mmとmm²を見分けることが大切です。
1ステップずつ計算する
手順1 もとの許容電流を思い出す … 3.5mm² = 37A
手順2 減少係数を掛ける … 37 × 0.63 = 23.31A
手順3 最も近い選択肢を選ぶ … 23A
よって答えはロの23Aです。
必ず覚える許容電流(この4つで足りる)
直径1.6mm = 27A / 直径2.0mm = 35A / 直径2.6mm = 48A / 断面積3.5mm² = 37A
この4つは繰り返し出題されます。mm(直径)とmm²(断面積)を取り違えないように、セットで覚えてください。
問9
分野:配線設計(幹線の太さ)重要度 ★★★
図のように,三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合,幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値[A]は。ただし,需要率は100 %とする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
「この幹線には、最低でも何アンペア流せる電線を使わなければいけないか」を求める問題です。
幹線(かんせん)とは?
建物の中でいちばん太い、大もとの電線のことです。ここから枝分かれして各機器へ電気が届きます。図の左の「幹線」がそれです。
なぜ幹線はいちばん太いのか? 大もとにはすべての機器の電流が合流して流れます。だから幹線は、つながっている機器の合計に耐えられる太さが必要なのです。
図の記号の読み方
Ⓜ(M)=電動機(モーター)。Ⓗ(H)=電熱器(ヒーター)。四角のB=配線用遮断器(ブレーカー)です。
この図では、電動機が1台(10A)と電熱器が2台(15Aと20A)つながっています。
なぜ図記号を覚える必要があるのか? 図記号を読めないと問題文が理解できません。MはMotor(モーター)、HはHeater(ヒーター)の頭文字だと覚えると忘れません。
なぜ電動機だけ特別扱いなのか
電動機の始動電流とは?
モーターは動き始めの一瞬だけ、通常の4〜8倍の電流が流れます。これを始動電流といいます。
なぜ動き始めだけ大きな電流が流れるのか? 止まっているモーターを回し始めるには大きな力が必要だからです。この一瞬の大電流に電線が耐えられるよう、電動機がたくさんある場合は割増して計算するルールになっています。
計算のルール
幹線の計算は、まず「電動機」と「電動機以外」に分けるところから始まります。
幹線の電流を求めるルール
まず分ける … 電動機の合計をIM、電動機以外の合計をIHとする
IMがIH以下のとき … 割増なし。IM + IH がそのまま答え
IMがIHより大きく、IMが50A以下のとき … IM × 1.25 + IH
IMがIHより大きく、IMが50Aを超えるとき … IM × 1.1 + IH
つまり最初にやることは、電動機と電動機以外のどちらが大きいかを比べることです。ここを飛ばすと、割増するかどうかを間違えます。
1ステップずつ計算する
手順1 図から数字を拾う … 電動機Ⓜは10A、電熱器Ⓗは15Aと20A
手順2 電動機の合計 … IM = 10A(電動機は1台だけ)
手順3 電動機以外の合計 … IH = 15 + 20 = 35A
手順4 大小を比べる … IM(10A)は IH(35A)より小さい → 割増なし
手順5 足すだけ … 10 + 35 = 45A
よって答えはイの45Aです。
需要率100%とは?
「つながっている機器がすべて同時に使われるものとして計算しなさい」という意味です。
なぜ「同時に使う割合」を考えるのか? 実際の建物では全部が同時に動くとは限らないので、設計では「何割が同時に動くか」を見込むことがあります。この問題では100%=全部同時と指定されているので、単純に合計してよい、ということです。
この問題の覚え方
「まず電動機とそれ以外に分けて、大小を比べる」。電動機のほうが小さければただ足すだけです。割増(1.25倍・1.1倍)が必要なのは、電動機のほうが大きいときだけです。
問10
分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。ただし,分岐点から配線用遮断器までは3 m,配線用遮断器からコンセントまでは8 mとし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。
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この問題は何を聞いているの?
「ブレーカー・電線の太さ・コンセントの3つの組合せとして、正しいものはどれか」という問題です。4つの図から適切なものを選びます。
分岐回路(ぶんきかいろ)とは?
分電盤(家の中のブレーカーが並んだ箱)から、各部屋・各コンセントへ枝分かれしていく回路のことです。
なぜ回路を分けるのか? 1本の太い線から全部使うと危ないので、用途ごとに分けて、それぞれにブレーカーを付けるのが決まりです。台所だけ止まる、といった動きはこの仕組みによるものです。
配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
いわゆるブレーカーです。図の四角いBがそれです。決められた電流を超えると自動で電気を切って、電線が燃えるのを防ぎます。「20A」と書いてあれば、20Aを超えると切れます。
なぜブレーカーが必要なのか? 電線には流してよい上限(許容電流)があります。その上限を超える前に電気を切る見張り役がブレーカーです。だからブレーカーの大きさに合った太さの電線でなければいけません。
図の「1.6mm」「2.0mm」とは?
電線の直径です。数字が大きいほど太く、たくさん流せます。
直径1.6mm=27A、2.0mm=35A、2.6mm=48Aが目安です。
なぜブレーカーに合った太さが必要なのか? ブレーカーが20Aで切れる設計なら、電線は20A以上流せる太さでなければ意味がありません。細い電線に大きなブレーカーを付けると、電線が先に燃えてしまうからです。
この表だけ覚えれば解ける
分岐回路の組合せ(暗記必須)
ブレーカー20Aのとき → 電線は直径1.6mm以上、コンセントは20A以下
ブレーカー30Aのとき → 電線は直径2.6mm以上、コンセントは20A以上30A以下
コンセントに下限(20A以上)があるのが分かりにくいところです。理由は次のとおりです。
なぜ30Aのブレーカーに15Aのコンセントを付けてはいけないの?
コンセント自体が15Aまでしか耐えられないのに、ブレーカーは30Aまで切れません。つまりコンセントが焼けてもブレーカーが働かないという危険な状態になるからです。
なぜ小さすぎるコンセントだと危ないのか? 守る側(ブレーカー)より、守られる側(コンセント)が弱いと守りになりません。だから「ブレーカーより小さすぎるコンセント」は禁止されています。
選択肢を1つずつ確かめる
イ 誤り … ブレーカー20A・電線1.6mm・コンセント30A。20Aのブレーカーに30Aのコンセントは大きすぎ。上限は20Aまで。
ロ 誤り … ブレーカー30A・電線2.0mm・コンセント30A。30Aなら電線は2.6mm以上必要。2.0mmでは細すぎる。
ハ 正しい … ブレーカー20A・電線2.0mm(1.6mm以上を満たす)・コンセント20A(20A以下を満たす)。すべて条件に合う。
ニ 誤り … ブレーカー30A・電線2.6mm・コンセント15A。30Aなら20A以上のコンセントが必要。15Aでは小さすぎる。
よって答えはハです。
この問題の覚え方
まずブレーカーの数字を見る。そこから電線の太さとコンセントの大きさを確認する、という順番で見ていきます。引っかけは「30Aなのに電線が細い」と「コンセントが大きすぎる・小さすぎる」の2種類だけです。
この記事のまとめ
問1〜問10でとくに落としたくないのは、次の3つです。どれも毎回のように出題されます。
この10問で必ず持ち帰ること
問6 電圧降下 … こう長は片道。計算では往復(2倍)にする。
問8 許容電流 … 1.6mm=27A/2.0mm=35A/2.6mm=48A/3.5mm²=37A。管に入れたら減少係数を掛ける。
問9 幹線 … 電動機と電動機以外に分けて、大小を比べる。電動機が小さければ足すだけ。
問10 分岐回路 … 20A→1.6mm以上・コンセント20A以下/30A→2.6mm以上・コンセント20〜30A。
計算問題は公式を暗記するより、図から数字を拾う順番を体に入れるほうが早く伸びます。同じ問題を2回・3回と解き直すのがいちばん効きます。
出典
令和8年度上期第二種電気工事士試験(学科試験)
問題・図・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。